JP2008120769A - 新規な芳香族第3級アミン類とその利用 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規な芳香族第3級アミン類とその利用に関し、詳しくは、比較的低い分子量を有しながら、ガラス転移温度が高く、従って、比較的低い温度で熱分解が殆どなしに、又は実質的になしにて、蒸着によって薄膜に形成することができる新規な芳香族第3級アミン類とその利用、特に、有機電子機能材料としての利用に関する。
従来、光を照射することによって導電性や電荷生成等を生じる所謂光・電子機能を有する有機電子機能材料のうち、殆どの低分子量有機化合物は、それ自体では、薄膜形成能をもたないので、薄膜を形成するためには、バインダー樹脂に分散させて(即ち、希釈した状態で)、基材上に塗布し、薄膜化することが必要である。従って、従来、低分子量有機化合物からなる有機電子機能材料は、マトリックスであるバインダー樹脂の影響を受けると共に、希釈されているので、その本来の特性を十分に発揮することができない。更に、従来の低分子量有機化合物からなる有機電子機能材料は、バインダーの助けを借りて、常温で比較的安定な膜を形成させることができても、ガラス転移温度が低いので、耐熱性に劣り、実用的なデバイスに用いることが困難である。そこで、近年、常温以上の温度でアモルファス性を有し、それ自体で薄膜を形成することができるアモルファス電子材料の開発が進められている。
他方、種々の電子デバイスのなかでも、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、低電圧駆動、高効率、高輝度を有し、また、自己発光型デバイスであることから、薄型化できるので、近年、バックライトや照明装置のほか、ディスプレイ装置として、その実用化が進められている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この有機エレクトロルミネッセンス素子は、代表的には、透明基板、例えば、ガラス基板上にITO膜(酸化インジウム−酸化スズ膜)のような透明電極からなる陽極が積層されており、この陽極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び金属電極からなる陰極がこの順序にて積層されてなるものであり、上記陽極と陰極は外部の電源に接続されている。場合によっては、正孔注入層と正孔輸送層が単層に形成されることもあり、また、発光層と陰極との間に電子輸送層が積層されることもある。このほかにも、種々の有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、上記正孔注入層は、陽極に密着していて、この陽極から正孔を正孔輸送層に注入し、正孔輸送層はこの正孔を発光層に輸送し、注入すると共に、電子をブロックし、他方、電子輸送層は、陰極に密着していて、この陰極から電子を発光層に輸送し、注入し、そこで、発光層において、陰極から注入された電子と陽極から発光層に注入された正孔とが再結合するときに発光が生じ、これが透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。このように、電極間に発光層を挟んで、正孔注入層と(正孔輸送層と)電子輸送層を積層することによって、有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光効率が向上することが知られている。
従来の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、正孔注入層、正孔輸送層又は正孔注入輸送層に用いられる有機電子機能材料、即ち、正孔注入及び/又は輸送剤としては、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)や(例えば、特許文献2参照)、また、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ))ビフェニル(α−NPD)等の芳香族第3級アミン類が知られているが(例えば、特許文献3参照)、しかし、これらの芳香族第3級アミン類は、ガラス転移温度が低く、耐熱性が十分ではない。また、高いガラス転移温度を有する芳香族第3級アミン類、例えば、1,3,5−トリス(N,N−ビス(4‘−メチルビフェニル−4−イル)アミノベンゼンも開発されているが(特許文献4参照)、そのような芳香族第3級アミン類は、分子量が高いので、真空蒸着に際して分解温度に近い高い温度を必要とし、従って、自体の劣化や分解が促進される問題がある。
特開平06−001972号公報
特開平07−090256号公報
特開平05−234681号公報
特開2005−276802号公報
本発明は、従来から知られている芳香族第3級アミン類における上述したような問題を解決するためになされたものであって、比較的低い分子量を有しながら、ガラス転移温度が高く、従って、比較的低い温度で、従って、熱分解が殆どなしに、又は実質的になしにて、蒸着によって薄膜に形成することができる新規な芳香族第3級アミン類を提供することを目的とする。更に、本発明は、そのような芳香族第3級アミン類からなる有機電子機能材料を提供することを目的とする。
本発明によれば、一般式(I)
(式中、R1 及び R2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基であり、同一でもよく、異なっていてもよく、Aは置換基を有していてもよいフェニル基、カルバゾリル基、フェニルカルバゾリル基、ナフチル基、フェナントリル基又はアントリル基であり、x、y及びzはそれぞれ独立に0、1又は2であり、同一でもよく、異なっていてもよく、窒素原子に結合している3つのフェニレン基のうちの2つは窒素原子に結合している炭素原子に隣接する炭素原子間に単結合を形成してカルバゾール構造を形成していてもよい。)
で表されると共に、分子中に少なくとも1つのカルバゾール構造を有することを特徴とする芳香族第3級アミン類が提供される。
で表されると共に、分子中に少なくとも1つのカルバゾール構造を有することを特徴とする芳香族第3級アミン類が提供される。
更に、本発明によれば、上記芳香族第3級アミン類からなる有機電子機能材料が提供され、また、好ましい態様として、このような有機電子機能材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
特に、好ましい態様として、本発明によれば、上記芳香族第3級アミン類からなる正孔注入及び/又は輸送剤と、そのような正孔注入及び/又は輸送剤を含む正孔注入及び/又は輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明による芳香族第3級アミン類は、比較的低い分子量を有しながら、ガラス転移温度が高く、従って、比較的低い温度で熱分解が殆どなしに、又は実質的になしにて、蒸着によって薄膜に形成することができる。従って、本発明による芳香族第3級アミン類は、耐熱性にすぐれる有機電子機能材料として有用であり、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入及び/又は輸送剤として、また、発光層におけるホスト剤として、好適に用いることができる。
本発明による新規な芳香族第3級アミン類は、一般式(I)
(式中、R1 及び R2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基であり、同一でもよく、異なっていてもよく、Aは置換基を有していてもよいフェニル基、カルバゾリル基、フェニルカルバゾリル基、ナフチル基、フェナントリル基又はアントリル基であり、x、y及びzはそれぞれ独立に0、1又は2であり、同一でもよく、異なっていてもよく、窒素原子に結合している3つのフェニレン基のうちの2つは窒素原子に結合している炭素原子に隣接する炭素原子間に単結合を形成してカルバゾール構造を形成していてもよい。)
で表されると共に、分子中に少なくとも1つのカルバゾール構造を有する。
で表されると共に、分子中に少なくとも1つのカルバゾール構造を有する。
本発明において、上記一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、式中、R1 及び R2 はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基であり、同一でもよく、異なっていてもよい。R1 又はR2 がアルキル基であるとき、好ましい具体例として、例えば、メチル基やエチル基を挙げることができる。また、R1 又はR2 がシクロアルキル基であるとき、好ましい具体例として、例えば、シクロヘキシル基を挙げることができる。
また、上記一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、式中、Aは置換基を有していてもよいフェニル基、カルバゾリル基、フェニルカルバゾリル基、ナフチル基、フェナントリル基又はアントリル基であり、好ましくは、フェニル基、9−カルバゾリル基、3−(9−フェニル)カルバゾリル基、1−又は2−ナフチル基、9−フェナントリル基又は9−アントリル基である。Aが有していてもよい置換基は、例えば、上述したような炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基である。
更に、本発明による芳香族第3級アミン類は、分子中に少なくとも1つカルバゾール構造を有する。
本発明においては、上記一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、式中、x、y及びzはいずれも2であることが好ましい。特に、本発明による好ましい第1の芳香族第3級アミン類1は、次の一般式(II)
(式中、R1 及び R2は前記と同じである。)
で表される。
で表される。
このような第1の芳香族第3級アミン類の好ましい具体例として、例えば、次式(1)
で表されるものを挙げることができる。
また、本発明による好ましい第2の芳香族第3級アミン類は、次の一般式(III)
(式中、R1 及び R2は前記と同じであり、R3は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基であり、R1、R2 及びR3 は同一でもよく、異なっていてもよい。)
で表される。R3 は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基であり、R3 がアルキル基であるとき、好ましい具体例として、例えば、メチル基やエチル基を挙げることができ、シクロアルキル基であるとき、好ましい具体例として、例えば、シクロヘキシル基を挙げることができる。
で表される。R3 は水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基であり、R3 がアルキル基であるとき、好ましい具体例として、例えば、メチル基やエチル基を挙げることができ、シクロアルキル基であるとき、好ましい具体例として、例えば、シクロヘキシル基を挙げることができる。
このような第2の芳香族第3級アミン類の好ましい具体例として、例えば、次式(2)
で表されるものを挙げることができる。
上述したところから明らかなように、本発明によるに芳香族第3級アミン類が分子中に有する少なくとも1つのカルバゾール構造は、前記基Aが含む9−カルバゾリル基又は3−(9−フェニル)カルバゾリル基と前述したように窒素原子に結合している3つのフェニレン基のうちの2つが窒素原子に結合している炭素原子に隣接する炭素原子間の単結合によって形成するカルバゾール構造の少なくとも1つに由来する。
本発明による芳香族第3級アミン類は、その構造に応じて、例えば、次のようにして得ることができる。例えば、上記式(1)で表される芳香族第3級アミンは、スキーム1に示すように、ハロゲン化アリールアミン(3)とビス(p−ターフェニル−4−イル)アミン(4)をパラジウム触媒と塩基の存在下に窒素、アルゴン、ヘリウム等のような不活性ガス雰囲気中、キシレン、デカリン、メシチレン、ヘプタン等のような炭化水素溶剤中で反応させることによって得ることができる。上記塩基としては、例えば、ナトリウムt−ブトキシドのようなアルカリ金属類、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩等が用いられる。特に限定されるものではないが、反応温度は、通常、100〜130℃の範囲であり、反応時間は、通常、5〜30時間の範囲である。反応終了後、得られた反応生成物を有機溶媒に溶解させ、用いた触媒を濾別し、次いで、適宜の溶出液を用いて反応生成物をカラムクロマトグラフィーにて分離精製を行い、得られた精製物をトルエンにて再結晶することによって得ることができる。
他方、上記式(2)で表される芳香族第3級アミンは、スキーム2に示すように、ハロゲン化アリールアミン(5)とビフェニル−4−イルホウ酸(6)をパラジウム触媒と塩基の存在下に窒素、アルゴン、ヘリウム等のような不活性ガス雰囲気中、テトラヒドロフラン等のような溶剤中で反応させることによって得ることができる。反応溶剤として、テトラヒドロフラン等のような溶剤を用いる以外は、上記芳香族第3級アミン(1)の場合と同様に反応を行った後、同様に精製処理すればよい。
本発明による芳香族第3級アミン類は、比較的分子量が低いにもかかわらず、ガラス転移温度と分解温度が高く、その結果として、比較的低い温度にで、熱分解が殆どなしに、又は実質的になしに、蒸着によって薄膜を形成することができる。しかも、このようにして得られる薄膜は、X線回折法にて分析しても、明確なピークを示さないこと等から、異方性をもたないアモルファス膜である。従って、本発明による芳香族第3級アミン類を用いることによって、常温以上の温度で、それ自体で、即ち、バインダー樹脂の助けなしに、安定なアモルファス膜を形成することができる。
従って、本発明による芳香族第3級アミン類は、これを含む有機電子機能材料として、種々の電子デバイスにおいて、耐熱性が求められる用途に好適に用いることができる。前述したように、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入及び/又は輸送剤として、また、発光層におけるホスト剤として、好適に用いることができる。
例えば、正孔注入剤として用いてなる正孔注入層を陽極と正孔輸送層との間に設けることによって、又はこれを正孔輸送剤として用いてなる正孔輸送層を正孔注入層と発光層との間に設けることによって、又はこれを正孔注入輸送剤として用いてなる正孔注入輸送層を陽極と発光層との間に設けることによって、低電圧にて駆動することができる耐久性にすぐれる高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
このように、本発明による芳香族第3級アミン類は、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入層を形成するための正孔注入剤として用いることができ、従って、同じ機能を有する正孔輸送層を形成するための正孔輸送剤としても用いることができる。また、有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入層と正孔輸送層を単層に形成するときは、正孔注入輸送剤として用いることもできる。即ち、本発明による芳香族第3級アミン類は、正孔注入及び/又は輸送剤として用いることができる。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい一例を図1に示すように、例えば、ガラスのような透明基板1上にITOからなる透明な陽極2が密着して積層、支持されており、この陽極上に正孔注入層3aと正孔輸送層3bと発光層4と金属又はその化合物からなる陰極5がこの順序で積層されてなるものである。上記陽極と陰極は外部の電源6に接続されている。従って、このような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、陽極から正孔注入層と正孔輸送層を経て発光層に正孔が容易に注入されるので、低電圧で素子を駆動することができる。発光層には上記陰極から電子が注入され、そこで、この発光層において、上記陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが再結合して発光を生じ、この発光層における発光が上記透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。
更に、本発明においては、場合によっては、前述したように、発光層と陰極との間に電子輸送層が積層されてもよく、また、余分な正孔が陰極側に抜け出るのを防止するために、ブロッキング層を設けてもよい。このように、本発明において、有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構造は、特に、限定されるものではない。
本発明による芳香族第3級アミン類は、それ自体でアモルファス膜を形成することができるので、例えば、真空蒸着装置を用いて、前記透明電極上に蒸着して、正孔注入層を形成することができる。その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲であり、好ましくは、20〜80nmの範囲である。また、適宜に形成した正孔注入層上に蒸着して、正孔輸送層を形成することができ、この場合も、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲であり、好ましくは、20〜80nmの範囲である。勿論、透明電極上に本発明による芳香族第3級アミン類からなる単層の正孔注入及び輸送層を形成することができる。
このようにして本発明による芳香族第3級アミン類から形成した正孔注入層の上に、常法に従って、例えば、α−NPD等の正孔輸送剤からなる正孔輸送層を積層し、更に、この上に発光層と陰極を積層すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。同様に、適宜に形成した正孔注入層上に本発明による芳香族第3級アミン類からなる正孔輸送層を積層し、更に、この上に発光層と陰極を積層すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子においては、前述したように、本発明による芳香族第3級アミン類にて正孔注入及び/又は輸送層を形成した場合は、その他の部材、例えば、透明基板、本発明による正孔注入及び/又は輸送層と組合わせる通常の正孔注入及び/又は輸送層、陽極、発光層、電子輸送層及び電極は、従来より知られているものが適宜に用いられる。陽極としては、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)からなる透明電極が好ましく用いられ、陰極には、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、銀等の単体金属やこれらの合金、例えば、Al−Mg合金、Ag−Mg合金、フッ化リチウム等が用いられ、透明基板としては、通常、ガラス基板が用いられる。
例えば、通常の正孔輸送剤としては、従来より知られている低分子量有機化合物、例えば、前述したようなα−NPD(4、4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル)やTPD(4、4’−ビス(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルが用いられ、また、通常の正孔注入剤としては、銅フタロシアニン等が用いられる。その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。
有機発光層には、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )が用いられ、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。また、有機エレクトロルミネッセンス素子が電子輸送層を含むときは、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。
有機発光層には、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )が用いられ、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。また、有機エレクトロルミネッセンス素子が電子輸送層を含むときは、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。
本発明による芳香族第3級アミン類は、その用途において何ら限定されるものではなく、上述した有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入及び/又は輸送剤、発光層におけるホスト剤のほか、例えば、太陽電池における有機半導体、電子写真装置における電荷輸送材料等にも好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
(芳香族第3級アミン(1)の合成)
500mL容量のセパラブルフラスコにビス(p−ターフェニル−4−イル)アミン14.5g(30.6ミリモル)と9−(4'−ヨードビフェニル−4−イル)カルバゾール13.6g(30.6ミリモル)、酢酸パラジウム0.034g(0.153ミリモル)、トリ−t−ブチルホスフィン0.062g(0.306ミリモル)及びナトリウムt−ブトキシド4.4g(45.9ミリモル)を反応溶媒キシレン320mLと共に仕込み、窒素気流下、温度100℃を保ちながら、5時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエンで抽出し、これをカラムクロマトグラフィーに付して、目的物を得た後、これをトルエンから再結晶して、芳香族第3級アミン(1)12.6gを黄白色結晶として得た。収率は52.0%であった。
(芳香族第3級アミン(1)の合成)
500mL容量のセパラブルフラスコにビス(p−ターフェニル−4−イル)アミン14.5g(30.6ミリモル)と9−(4'−ヨードビフェニル−4−イル)カルバゾール13.6g(30.6ミリモル)、酢酸パラジウム0.034g(0.153ミリモル)、トリ−t−ブチルホスフィン0.062g(0.306ミリモル)及びナトリウムt−ブトキシド4.4g(45.9ミリモル)を反応溶媒キシレン320mLと共に仕込み、窒素気流下、温度100℃を保ちながら、5時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエンで抽出し、これをカラムクロマトグラフィーに付して、目的物を得た後、これをトルエンから再結晶して、芳香族第3級アミン(1)12.6gを黄白色結晶として得た。収率は52.0%であった。
元素分析値(C60H42N2 として、重量%):
C H N
計算値 91.11 5.35 3.54
測定値 91.35 5.20 3.45
C H N
計算値 91.11 5.35 3.54
測定値 91.35 5.20 3.45
質量分析(M+(m/e)):790
赤外線吸収スペクトル:
KBr錠剤法にて測定した。図2に示す。
KBr錠剤法にて測定した。図2に示す。
示差走査熱量分析測定(DSC):
DSCチャートを図3に示すように、ガラス転移温度(Tg)は142℃であって、耐熱性にすぐれることが示される。
DSCチャートを図3に示すように、ガラス転移温度(Tg)は142℃であって、耐熱性にすぐれることが示される。
熱重量測定/示差熱測定(TG/DTA):
測定結果を図4に示すように、分解開始温度は444℃であり、分解温度は512℃であって、耐熱性にすぐれることが示される。
測定結果を図4に示すように、分解開始温度は444℃であり、分解温度は512℃であって、耐熱性にすぐれることが示される。
サイクリックボルタンメトリー(CV):
CVチャートを図5に示すように、酸化電位は0.60V(vs Ag/Ag+)であった。また、繰り返し安定性もよく、酸化還元過程の可逆性にもすぐれている。
CVチャートを図5に示すように、酸化電位は0.60V(vs Ag/Ag+)であった。また、繰り返し安定性もよく、酸化還元過程の可逆性にもすぐれている。
芳香族第3級アミン(1)は5Å/秒の蒸着速度を得るために、345℃を必要とした。この芳香族第3級アミン(1)は、上述したように、分解開始温度は444℃であって、上記蒸着温度345℃に比べて十分に高いことから、上記蒸着温度において、実質的に分解しない。
これに対して、前記1,3,5−トリス(N,N−ビス(4‘−メチルビフェニル−4−イル)アミノベンゼンは、5Å/秒の蒸着速度を得るために、415℃の温度を必要とした。そのTG/DTA測定によれば、分解開始温度は412℃であり、この温度が上記蒸着温度415℃に近いことから、上記芳香族第3級アミン)は上記蒸着温度において熱分解が伴うとみられる。
実施例2
(芳香族第3級アミン(2)の合成)
300mL容量の三口フラスコに3,6−ジヨード−9−(4’−ヨードフェニル)カルバゾール3.5g(5.6ミリモル)とビフェニル−4−イルホウ酸5.5g(28ミリモル)、酢酸パラジウム0.008g(0.036ミリモル)、トリフェニルホスフィン0.037g(0.143ミリモル)及び炭酸カリウム3.9g(28ミリモル)を反応溶媒テトラヒドロフラン/水(150mL/20mL)と共に仕込み、窒素気流下、温度65℃を保ちながら、12時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取した。これをカラムクロマトグラフィーに付して、目的物を得た後、トルエンから再結晶して、芳香族第3級アミン(2)2.8gを白色結晶として得た。収率は73.0%であった。
(芳香族第3級アミン(2)の合成)
300mL容量の三口フラスコに3,6−ジヨード−9−(4’−ヨードフェニル)カルバゾール3.5g(5.6ミリモル)とビフェニル−4−イルホウ酸5.5g(28ミリモル)、酢酸パラジウム0.008g(0.036ミリモル)、トリフェニルホスフィン0.037g(0.143ミリモル)及び炭酸カリウム3.9g(28ミリモル)を反応溶媒テトラヒドロフラン/水(150mL/20mL)と共に仕込み、窒素気流下、温度65℃を保ちながら、12時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取した。これをカラムクロマトグラフィーに付して、目的物を得た後、トルエンから再結晶して、芳香族第3級アミン(2)2.8gを白色結晶として得た。収率は73.0%であった。
元素分析値(C54H37N として、重量%):
C H N
計算値 92.67 5.33 2.00
測定値 92.71 5.19 2.10
C H N
計算値 92.67 5.33 2.00
測定値 92.71 5.19 2.10
質量分析(M+(m/e)):699
赤外線吸収スペクトル:
KBr錠剤法にて測定した。図6に示す。
KBr錠剤法にて測定した。図6に示す。
示差走査熱量分析測定(DSC):
DSCチャートを図7に示すように、ガラス転移温度(Tg)は142℃であって、耐熱性にすぐれることが示される。
DSCチャートを図7に示すように、ガラス転移温度(Tg)は142℃であって、耐熱性にすぐれることが示される。
熱重量測定/示差熱測定(TG/DTA):
測定結果を図8に示すように、分解開始温度は435℃であり、分解温度508℃であって、耐熱性にすぐれることが示される。
測定結果を図8に示すように、分解開始温度は435℃であり、分解温度508℃であって、耐熱性にすぐれることが示される。
サイクリックボルタンメトリー(CV):
CVチャートを図9に示すように、酸化電位は0.91V(vs Ag/Ag+)であった。また、繰り返し安定性もよく、酸化還元過程の可逆性にもすぐれている。
CVチャートを図9に示すように、酸化電位は0.91V(vs Ag/Ag+)であった。また、繰り返し安定性もよく、酸化還元過程の可逆性にもすぐれている。
芳香族第3級アミン(2)は5Å/秒の蒸着速度を得るために、332℃の温度を必要とした。この芳香族第3級アミン(2)の分解開始温度は上述したように435℃であって、上記蒸着温度332℃に比べて十分に高いので、上記蒸着温度において実質的に分解しない。
実施例3
片面にITOコーティングした板ガラス(山容真空(株)製)をアセトンを用いる超音波洗浄とメタノールを用いる蒸気洗浄を施した後、低圧水銀灯を用いて、紫外線を10分間照射した。この後、直ちに、上記ITOコーティング上にそれぞれ真空蒸着装置を用いて、銅フタロシアニン(CuPC)を蒸着して、厚み50nmの正孔注入層を形成した後、その上に化合物(1)を蒸着して、厚み10nmの正孔輸送層を形成した。次いで、この正孔輸送層の上にトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3) からなる厚み75nmの発光層を形成し、更に、その上に厚み0.5nmのフッ化リチウム層と厚み100nmのアルミニウム層を順次に蒸着積層して、陰極を形成し、かくして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
片面にITOコーティングした板ガラス(山容真空(株)製)をアセトンを用いる超音波洗浄とメタノールを用いる蒸気洗浄を施した後、低圧水銀灯を用いて、紫外線を10分間照射した。この後、直ちに、上記ITOコーティング上にそれぞれ真空蒸着装置を用いて、銅フタロシアニン(CuPC)を蒸着して、厚み50nmの正孔注入層を形成した後、その上に化合物(1)を蒸着して、厚み10nmの正孔輸送層を形成した。次いで、この正孔輸送層の上にトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3) からなる厚み75nmの発光層を形成し、更に、その上に厚み0.5nmのフッ化リチウム層と厚み100nmのアルミニウム層を順次に蒸着積層して、陰極を形成し、かくして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
この有機エレクトロルミネッセンス素子について特性を評価した。電流密度25mA/cm2 のときの電流効率は5.4cd/A、エネルギー効率は3.4lm/W、初期輝度1000cd/m2 にて駆動したときに輝度が1/2になるまでの駆動時間で示す輝度半減寿命14256時間、最高輝度33239cd/m2 であった。
実施例4
実施例3において、化合物(1)に代えて、化合物(2)を用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この有機エレクトロルミネッセンス素子についてについて特性を評価した。電流密度25mA/cm2 のときの電流効率は5.3cd/A、エネルギー効率は3.3lm/W、初期輝度1000cd/m2 にて駆動したときに輝度が1/2になるまでの駆動時間で示す輝度半減寿命15745時間、最高輝度32567cd/m2 であった。
実施例3において、化合物(1)に代えて、化合物(2)を用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この有機エレクトロルミネッセンス素子についてについて特性を評価した。電流密度25mA/cm2 のときの電流効率は5.3cd/A、エネルギー効率は3.3lm/W、初期輝度1000cd/m2 にて駆動したときに輝度が1/2になるまでの駆動時間で示す輝度半減寿命15745時間、最高輝度32567cd/m2 であった。
比較例1
実施例3において、正孔輸送剤として、α−NPDを用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この有機エレクトロルミネッセンス素子についてについて特性を評価した。電流密度25mA/cm2 のときの電流効率は4.0cd/A、エネルギー効率は2.2lm/W、初期輝度1000cd/m2 にて駆動したときに輝度が1/2になるまでの駆動時間で示す輝度半減寿命8019時間、最高輝度28710cd/m2 であった。
実施例3において、正孔輸送剤として、α−NPDを用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この有機エレクトロルミネッセンス素子についてについて特性を評価した。電流密度25mA/cm2 のときの電流効率は4.0cd/A、エネルギー効率は2.2lm/W、初期輝度1000cd/m2 にて駆動したときに輝度が1/2になるまでの駆動時間で示す輝度半減寿命8019時間、最高輝度28710cd/m2 であった。
1…透明基板
2…陽極(透明電極)
3a…正孔注入層
3b…正孔輸送層
4…発光層
5…陰極
6…電源
2…陽極(透明電極)
3a…正孔注入層
3b…正孔輸送層
4…発光層
5…陰極
6…電源
Claims (7)
- 一般式(I)
で表されると共に、分子中に少なくとも1つのカルバゾール構造を有することを特徴とする芳香族第3級アミン類。 - 一般式(I)において、x、y及びzがいずれも2である請求項1に記載の芳香族第3級アミン類。
- 一般式(I)において、x、y及びzがいずれも2であり、Aが9−カルバゾリル基である請求項1に記載の芳香族第3級アミン類。
- 一般式(I)において、x、y及びzがいずれも2であり、Aがフェニル基であり、窒素原子に結合している3つのフェニレン基のうちの2つが窒素原子に結合している炭素原子に隣接する炭素原子間に単結合を形成してカルバゾール構造を形成している請求項1に記載の芳香族第3級アミン類。
- 請求項1から4のいずれかに記載の芳香族第3級アミン類からなる有機電子機能材料。
- 請求項5に記載の有機電子機能材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項5に記載の有機電子機能材料を正孔注入及び/又は輸送剤として含む有機エレクトロルミネッセンス素子。
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