JP2006290866A - 新規な芳香族第3級アミン類とその有機電子機能材料としての利用 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、アモルファス電子材料として有用である新規な芳香族第3級アミン類とその有機電子機能材料としての利用に関する。詳しくは、本発明は、常温以上の温度でアモルファス状態を保持することができるので、それ自体で薄膜化することができ、しかも、耐熱性にすぐれるので、有機電子機能材料として有用であり、特に、種々の電子デバイス素子、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機感光体素子、有機太陽電池素子、電界効果型トランジスタ等における正孔注入剤として好適に用いることができる新規で有用な芳香族第3級アミン類とその有機電子機能材料としての利用、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入剤としての利用に関する。
従来、光を照射することによって導電性や電荷生成等を生じる所謂光・電子機能を有する有機材料、即ち、有機電子機能材料のうち、殆どの低分子量有機化合物は、それ自体では、薄膜形成能をもたないので、薄膜を形成するためには、バインダー樹脂に分散させて(即ち、希釈した状態で)、基材上に塗布し、薄膜化することが必要である。従って、従来、低分子量有機化合物からなる有機電子機能材料は、マトリックスであるバインダー樹脂の影響を受けると共に、希釈されているので、その本来の特性を十分に発揮することができない。更に、従来の低分子量有機化合物からなる有機電子機能材料は、バインダーの助けを借りて、常温で比較的安定な膜を形成させることができても、ガラス転移温度が低いので、耐熱性に劣り、実用的なデバイスに用いることが困難である。そこで、近年、常温でアモルファス性を有し、それ自体で薄膜を形成することができるアモルファス電子材料の開発が進められている。
他方、例えば、特開平06−001972号公報や特開平07−090256号公報に記載されているように、種々の電子デバイスのなかでも、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、低電圧駆動、高効率、高輝度を有し、また、薄型化できるので、近年、バックライトや照明装置のほか、ディスプレイ装置として、その実用化が進められている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この有機エレクトロルミネッセンス素子は、代表的には、透明基板、例えば、ガラス基板上にITO膜(酸化インジウム−酸化スズ膜)のような透明電極からなる陽極が積層されており、この陽極上に正孔輸送層、発光層及び金属電極からなる陰極がこの順序にて積層されてなるものであり、上記陽極と陰極は外部の電源に接続されている。場合によっては、正孔輸送層が正孔注入層と正孔輸送層とに分割されて積層されることがあり、また、発光層と陰極との間に電子輸送層が積層されることもある。このほかにも、種々の有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、上記正孔輸送層は、陽極に密着していて、この陽極から正孔を発光層に輸送すると共に、電子をブロックし、他方、電子輸送層は、陰極に密着していて、この陰極から電子を発光層に輸送し、そこで、発光層において、陰極から注入した電子と陽極から発光層に注入した正孔とが再結合するときに発光が生じ、これが透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。
従来の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、正孔輸送層に用いられる有機電子機能材料、即ち、正孔輸送剤としては、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)や(例えば、特許文献2参照)、また、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ))ビフェニル(α−NPD)等の芳香族第3級アミン化合物が知られているが(例えば、特許文献3参照)、しかし、これらの芳香族第3級アミン化合物を正孔輸送剤とする正孔輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子は、これを駆動させるために高い駆動電圧を必要とする。
そこで、例えば、4,4’,4”−トリス(N, N−フェニル−m−トリルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)(1)
が(特許文献4参照)、また、4,4’,4”−トリス(N, N−(2−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)(2)
がそれぞれ提案されており(特許文献5参照)、更には、4,4’,4”−トリス(N, N−(1−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(1−TNATA)等が有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔輸送剤として提案されている(例えば、特許文献6及び非特許文献1参照)。
しかし、これらのトリフェニルアミン類は、例えば、4,4’,4”−トリス(N, N−フェニル−m−トリルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)は、ガラス転移温度が約77℃であり、実用的な電子テバイスに用いるには、耐熱性に難があり、他方、4,4’,4”−トリス(N, N−(2−又は1−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−又は1−TNATA)は、110℃前後のガラス転移温度を有し、耐熱性にすぐれたアモルファス膜を形成するが、比較的結晶しやすい性質を有しており、安定なアモルファス性を有するとはいい難い。
そこで、近年、常温以上の温度でアモルファス性を有し、それ自体で薄膜を形成することができ、耐熱性にすぐれ、しかも、正孔輸送剤と組み合わせて、正孔注入剤として用いることによって、低い電圧で駆動することができる有機エレクトロルミネッセンス素子を与える有機電子機能材料の開発が強く求められるに至っている。
特開平06−001972号公報
特開平07−090256号公報
特開平05−234681号公報
特開平01−224353号公報
特開平08−291115号公報
特開平05−234681号公報
「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊第28〜35頁
本発明は、従来のアモルファス電子材料としての有機材料における上述したような問題を解決して、常温以上の温度で、それ自体で、即ち、バインダー樹脂の助けなしに、安定なアモルファス膜を形成することができ、しかも、高いガラス転移温度、即ち、すぐれた耐熱性を有し、従って、有機エレクトロルミネッセンス素子において、陽極から正孔輸送層、延いては、発光層に正孔を低電圧にて輸送し、注入することを可能にする正孔注入剤として好適に用いることができる新規な芳香族第3級アミン類を提供することを目的とする。
更に、本発明は、そのような芳香族第3級アミン類からなる有機電子機能材料とそのような有機電子機能材料からなる正孔注入剤とこのような正孔注入剤からなる正孔注入層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
本発明によれば、一般式(I)
(式中、Xは一般式(II)、(III) 又は(IV)
(式中、R7 からR9 はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を示す。)
で表される芳香族二価基を示し、R1 からR6 はそれぞれ独立に一般式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)
で表される芳香族二価基を示し、R1 からR6 はそれぞれ独立に一般式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)
(式中、R10からR15はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を示す。)
で表される一価基を示す。但し、R1 からR6 のすべてがフェニル基であるときは、Xは1,4−フエニレン基ではない。)
で表される芳香族第3級アミン類が提供される。
で表される一価基を示す。但し、R1 からR6 のすべてがフェニル基であるときは、Xは1,4−フエニレン基ではない。)
で表される芳香族第3級アミン類が提供される。
本発明によれば、特に好ましい芳香族第3級アミン類の第1は、上記一般式(I)で表されるもののうち、R1、R2、R3 及びR5 がそれぞれ独立に1−又は2−ナフチル基であるものであり、特に好ましい芳香族第3級アミン類の第2は、上記一般式(I)で表されるもののうち、R1、R2、R3、R4、R5及びR6 がすべてフェニル基又はトリル基であるものである。これらの特に好ましい芳香族第3級アミン類の第1及び第2において、前記芳香族二価基Xは、好ましくは、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基又は9,10−アントラセンジイル基である。但し、これらの好ましい芳香族第3級アミン類において、R1 からR6 のすべてがフェニル基であるときは、Xは1,4−フエニレン基ではない。
更に、本発明によれば、上記芳香族第3級アミン類からなる有機電子機能材料が提供され、更に、そのような有機電子機能材料からなる正孔注入剤が提供され、特に、そのような正孔注入剤を含む正孔注入層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明によれば、前記一般式(I)で表される新規な芳香族第3級アミン類が提供される。このような芳香族第3級アミン類は、従来、知られている芳香族第3級アミン類に比べて、常温以上の温度においてアモルファス性にすぐれると共に、高いガラス転移温度を有し、耐熱性にすぐれており、従って、高いアモルファス性と耐熱性とを有する有機電子機能材料として、種々の電子デバイス素子、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機感光体素子、有機太陽電池素子、電界効果型トランジスタ等における正孔注入剤として、好適に用いることができる。特に、本発明による芳香族第3級アミン類を正孔注入剤として用いることによって、従来に比べて、低い電圧で駆動することができる有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明による芳香族第3級アミン類は、一般式(I)
(式中、Xは一般式(II)、(III) 又は(IV)
(式中、R7 からR9 はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を示す。)
で表される芳香族二価基を示し、R1 からR6 はそれぞれ独立に一般式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)
で表される芳香族二価基を示し、R1 からR6 はそれぞれ独立に一般式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)
(式中、R10からR15はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を示す。)
で表される一価基を示す。但し、R1 からR6 のすべてがフェニル基であるときは、Xは1,4−フエニレン基ではない。)
で表される。
で表される一価基を示す。但し、R1 からR6 のすべてがフェニル基であるときは、Xは1,4−フエニレン基ではない。)
で表される。
上記R7 からR9 が炭素原子数1〜6のアルキル基であるとき、具体例として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等を挙げることができ、アルキル基の炭素原子数が3以上であるとき、そのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、上記R7 からR9 が炭素原子数1〜4のアルコキシル基であるとき、具体例として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブキトシ基等を挙げることができ、アルコキシル基におけるアルキル基の炭素原子数が3以上であるとき、そのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
同様に、上記R10からR15が炭素原子数1〜6のアルキル基であるとき、具体例として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等を挙げることができ、アルキル基の炭素原子数が3以上であるとき、そのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、上記R10からR15が炭素原子数1〜4のアルコキシル基であるとき、具体例として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブキトシ基等を挙げることができ、アルコキシル基におけるアルキル基の炭素原子数が3以上であるとき、そのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
上記一般式(II)から一般式 (X) で表される芳香族基において、上述したように、R7 からR15が水素原子でない置換基、例えば、アルキル基やアルコキシル基であるとき、そのような置換基は、上記芳香族基を形成するいずれのベンゼン核に置換されていてもよく、また、その置換基の数は1〜4の範囲であればよく、更に、上記一般式(II)から一般式 (X) で表される基がこのように2以上の置換基を有するとき、それらの置換基はそれぞれ上記のいずれでもよい。しかし、本発明によれば、上記R7 からR15は水素原子又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であるときは、メチル基であることが好ましい。
特に、本発明による好ましい芳香族第3級アミン類の第1は、上記一般式(I)で表されるもののうち、R1、R2、R3 及びR5 がそれぞれ独立に1−又は2−ナフチル基であるものである。即ち、本発明による好ましい芳香族第3級アミン類の第1は、一般式(Ia)
(式中、Aはそれぞれ独立に1−又は2−ナフチル基を示し、X、R4 及びR6 は前記と同じである。)
で表されるものである。
で表されるものである。
なかでも、本発明による好ましい芳香族第3級アミン類の第1は、上記一般式(Ia)で表されるもののうち、R4 及びR6 がフェニル基、トリル基(即ち、o−、m−又はp−トリル基)又はナフチル基(即ち、1−又は2−ナフチル基)であり、好ましくは、フェニル基であると共に、基Xが1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基又は9,10−アントラセンジイル基である芳香族第3級アミンである。
従って、本発明によるこのような好ましい芳香族第3級アミン類の第1の具体例として、例えば、1,4−ビス〔N−(4−(N−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕ベンゼン、1,4−ビス〔N−(4−(N−ナフチル−N−トリルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕ベンゼン、1,4−ビス〔N−(4−(N,N−ジナフチルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕ベンゼン、1,4−ビス〔N−(4−(N−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕ナフタレン、1,4−ビス〔N−(4−(N−ナフチル−N−トリルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕ナフタレン、1,4−ビス〔N−(4−(N,N−ジナフチルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕ナフタレン、9,10−ビス〔N−(4−(N−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕アントラセン、9,10−ビス〔N−(4−(N−ナフチル−N−トリルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕アントラセン、9,10−ビス〔N−(4−(N,N−ジナフチルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕アントラセン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
しかし、なかでも、特に、本発明による最も好ましい芳香族第3級アミンの第1の1つは、次式(3)
で表される1,4−ビス〔N−(4−(N−2−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル−N−2−ナフチルアミノ〕ベンゼンである。
このような芳香族第3級アミンの第1のものは、例えば、上記式(3)で表される芳香族第3級アミンを例にとれば、下記スキームに示すように、N,N’−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン(4)にメシチレンのような不活性溶媒中、炭酸カリウムのような塩基と銅粉の存在下にヨウ化ベンゼン(5)と反応させて、N,N’−ジ−2−ナフチル−N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(6)を得、次いで、不活性溶媒中、ナトリウムt−ブトキシドのような強塩基と酢酸パラジウムとトリ−t−ブチルホスフィンのような触媒の存在下に上記N,N’−ジ−2−ナフチル−N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(6)にキシレンのような不活性溶媒中、1,4−ジブロモベンゼン(7)を反応させることによって得ることができる。
本発明による好ましい芳香族第3級アミン類の第2は、前記一般式(I)で表されるもののうち、R1、R2、R3、R4、R5 及びR6がそれぞれ独立にフェニル基又はトリル基(即ち、o−、m−又はp−トリル基)であるものであり、より好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5 及びR6がそれぞれ独立にフェニル基又はトリル基であり、芳香族2価基Xが1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基又は9,10−アントラセンジイル基であるものである。但し、R1 からR6 のすべてがフェニル基であるときは、基Xは1,4−フェニレン基ではない。
従って、本発明によるこのような好ましい芳香族第3級アミン類の第2の具体例として、例えば、1,4−ビス〔N−(4−ジトリルアミノフェニル)−N−トリルアミノ〕ベンゼン、1,4−ビス〔N−(4−フェニルトリルアミノフェニル)−N−トリルアミノ〕ベンゼン、1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕ナフタレン、1,4−ビス〔N−(4−ジトリルアミノフェニル)−N−トリルアミノ〕ナフタレン、1,4−ビス〔N−(4−フェニルトリルアミノフェニル)−N−トリルフェニルアミノ〕ナフタレン、1,4−ビス〔N−(4−フェニルトリルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕ナフタレン、9,10−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕アントラセン等を挙げることができる。
特に、本発明による好ましい芳香族第3級アミン類の第2は、前記一般式(I)で表されるものうち、R1、R2、R3、R4、R5 及びR6がすべてフェニル基であるもの、即ち、一般式(Ib)
で表され、ここに、芳香族2価基Xが1,4−ナフタレンジイル基又は9,10−アントラセンジイル基であるものである。
なかでも、本発明による最も好ましい芳香族第3級アミンの第2の1つは、下記式(8)
で表される1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕ナフタレンである。
このような芳香族第3級アミンも、前述した1,4−ビス〔N−(4−(N−2−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル−N−2−ナフチルアミノ〕ベンゼンの製造と同様にして、例えば、上記式(8)で表される芳香族第3級アミンを例にとれば、下記スキームに示すように、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン(9)にメシチレンのような不活性溶媒中、炭酸カリウムのような塩基と銅粉の存在下にヨウ化ベンゼン(5)と反応させて、N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(10)を得、次いで、不活性溶媒中、ナトリウムt−ブトキシドのような強塩基とパラジウムt−ブチルホスフィンブロマイドダイマーのような触媒の存在下に上記N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミンにキシレンのような不活性溶媒中、1,4−ジブロモナフタレン(11)を反応させることによって得ることができる。
本発明による芳香族第3級アミン類は、高いガラス転移温度を有し、また、粉末X線回折において、明確なピークを示さないこと等から、異方性をもたないアモルファス性の物質であり、従って、常温以上の温度で、それ自体で、即ち、バインダー樹脂の助けなしに、安定なアモルファス膜を形成することができ、しかも、高いガラス転移温度、即ち、すぐれた耐熱性を有し、従って、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子において、このような有機電子機能材料を正孔注入剤として用いてなる正孔注入層を陽極と正孔輸送層との間に設けることによって、低電圧にて駆動することができる耐久性にすぐれる有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。しかし、本発明による有機電子機能材料は、バインダー樹脂を用いて、薄膜としてもよいことは勿論である。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい一例を図1に示すように、例えば、ガラスのような透明基板1上にITOからなる透明な陽極2が密着して積層、支持されており、この陽極上に正孔注入層3aと正孔輸送層3bと発光層4と金属又はその化合物からなる陰極5がこの順序で積層されてなるものである。上記陽極と陰極は外部の電源6に接続されている。従って、このような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、陽極から正孔注入層と正孔輸送層を経て発光層に正孔が容易に注入されるので、低電圧で素子を駆動することができる。発光層には上記陰極から電子が注入され、そこで、この発光層において、上記陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが再結合して発光を生じ、この発光層における発光が上記透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。
更に、本発明においては、場合によっては、前述したように、発光層と陰極との間に電子輸送層が積層されてもよく、また、余分な正孔が陰極側に抜け出るのを防止するために、ブロッキング層を設けてもよい。このように、本発明において、有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構造は、特に、限定されるものではない。
即ち、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記正孔注入層が前述した芳香族第3級アミン類からなる有機電子機能材料を含む点に特徴を有する。本発明による有機電子機能材料は、それ自体でアモルファス膜を形成することができるので、例えば、真空蒸着装置を用いて、有機電子機能材料を前記透明電極上に蒸着させて、正孔注入層を形成することができる。その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲であり、好ましくは、20〜80nmの範囲である。
しかし、本発明によれば、この有機電子機能材料を、必要に応じて適宜のバインダー樹脂と共に、適宜の有機溶媒に溶解させ、これを適宜の手段、例えば、スピンコート法によって、陽極上にコーティングし、乾燥して、正孔注入層を形成することもできる。この場合においても、その膜厚は上述したと同じである。
このようにして形成した正孔注入層の上に、常法に従って、例えば、α−NPD等の正孔輸送剤からなる正孔輸送層を積層し、更に、この上に発光層と陰極を積層すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子においては、上記正孔注入層以外の層、即ち、透明基板、正孔輸送層、陽極、発光層、電子輸送層及び電極は、従来より知られているものが適宜に用いられる。陽極としては、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)からなる透明電極が好ましく用いられ、陰極には、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、銀等の単体金属やこれらの合金、例えば、Al−Mg合金、Ag−Mg合金、フッ化リチウム等が用いられ、透明基板としては、通常、ガラス基板が用いられる。
正孔輸送剤としては、従来より知られている低分子量有機化合物、例えば、前述したようなα−NPDやTPDのほか、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等が用いられる。その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。
有機発光層には、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )が用いられ、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。また、有機エレクトロルミネッセンス素子が電子輸送層を含むときは、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。
以下に参考例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
(N,N’−ジ−2−ナフチル−N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(6)の合成)
N,N’−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン(4)50.0g、ヨウ化ベンゼン21.2g、炭酸カリウム38.7g及び銅粉12.0gを反応溶媒メシチレン100mLと共に500mL容量四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気中、160〜165℃の温度で10時間還流下に反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンで抽出し、これを濃縮した。得られた濃縮液にトルエン/ヘキサン混合溶媒を加え、シリカゲルクロマトグラフィーに付して、反応生成物を分取した。分取した溶液を濃縮して得られた粘稠な液体を減圧下、120℃で8時間乾燥させた。収量20.1g、収率66%であった。
(N,N’−ジ−2−ナフチル−N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(6)の合成)
N,N’−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン(4)50.0g、ヨウ化ベンゼン21.2g、炭酸カリウム38.7g及び銅粉12.0gを反応溶媒メシチレン100mLと共に500mL容量四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気中、160〜165℃の温度で10時間還流下に反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンで抽出し、これを濃縮した。得られた濃縮液にトルエン/ヘキサン混合溶媒を加え、シリカゲルクロマトグラフィーに付して、反応生成物を分取した。分取した溶液を濃縮して得られた粘稠な液体を減圧下、120℃で8時間乾燥させた。収量20.1g、収率66%であった。
(1,4−ビス〔N−(4−(N−2−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−2−ナフチルアミノ〕ベンゼン(3)の合成)
N,N’−ジ−2−ナフチル−N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(6)20.0g、1,4−ジブロモベンゼン5.4g、ナトリウムt−ブトキシド5.2g、酢酸パラジウム0.005g及びトリ−t−ブチルホスフィン0.02gをo−キシレン100mLに溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で5時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を水/トルエン混合物で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウム上で脱水した後、濃縮して、黄色固体を得た。この黄色固体をテトラヒドロフランから再結晶精製した後、昇華精製して、純度99.7%の1,4−ビス〔N−(4−(N−2−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−2−ナフチルアミノ〕ベンゼン8.0gを得た。収率は36%であった。
N,N’−ジ−2−ナフチル−N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン(6)20.0g、1,4−ジブロモベンゼン5.4g、ナトリウムt−ブトキシド5.2g、酢酸パラジウム0.005g及びトリ−t−ブチルホスフィン0.02gをo−キシレン100mLに溶解させ、窒素雰囲気下、120℃で5時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を水/トルエン混合物で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウム上で脱水した後、濃縮して、黄色固体を得た。この黄色固体をテトラヒドロフランから再結晶精製した後、昇華精製して、純度99.7%の1,4−ビス〔N−(4−(N−2−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−2−ナフチルアミノ〕ベンゼン8.0gを得た。収率は36%であった。
元素分析(%):
C H N
計算値 88.76 5.32 5.92
実測値 88.61 5.26 6.00
C H N
計算値 88.76 5.32 5.92
実測値 88.61 5.26 6.00
示差走査熱量分析測定(DSC):
DSCチャートを図2に示すように、ガラス転移温度(Tg)は120.8℃であって、耐熱性にすぐれると共に、常温以上の温度で安定なアモルファス膜を形成することができることが示される。
DSCチャートを図2に示すように、ガラス転移温度(Tg)は120.8℃であって、耐熱性にすぐれると共に、常温以上の温度で安定なアモルファス膜を形成することができることが示される。
熱重量測定/示差熱測定(TG/DTA):
測定結果を図3に示すように、分解温度は510℃以上であって、熱安定性にすぐれることが示される。
測定結果を図3に示すように、分解温度は510℃以上であって、熱安定性にすぐれることが示される。
サイクリックボルタンメトリー(CV):
CVチャートを図4に示すように、酸化電位は0.16V(vs Ag/Ag+ )であった。また、繰り返し安定性もよく、酸化還元過程の可逆性にもすぐれている。
CVチャートを図4に示すように、酸化電位は0.16V(vs Ag/Ag+ )であった。また、繰り返し安定性もよく、酸化還元過程の可逆性にもすぐれている。
実施例2
ITO透明電極(陽極)上に前記1,4−ビス〔N−(4−(N−2−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕ベンゼン(3)からなる正孔注入層(膜厚50nm)を積層し、その上に4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)〕ビフェニル(α−NPD)からなる正孔輸送層(膜厚10nm)を積層し、その上に発光層としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )層(膜厚75nm)を真空蒸着法によって積層し、更に、その上に陰極としてフッ化リチウム(0.5nm)とアルミニウム(100nm)をこの順序にて蒸着して、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
ITO透明電極(陽極)上に前記1,4−ビス〔N−(4−(N−2−ナフチル−N−フェニルアミノ)フェニル)−N−ナフチルアミノ〕ベンゼン(3)からなる正孔注入層(膜厚50nm)を積層し、その上に4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)〕ビフェニル(α−NPD)からなる正孔輸送層(膜厚10nm)を積層し、その上に発光層としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )層(膜厚75nm)を真空蒸着法によって積層し、更に、その上に陰極としてフッ化リチウム(0.5nm)とアルミニウム(100nm)をこの順序にて蒸着して、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
この有機エレクトロルミネッセンス素子について、固定電流及び固定輝度における特性を調べた。結果を表1に示す。また、電圧−輝度特性を図5に示し、電圧−電流密度特性を図6に示す。本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、低い電圧にて駆動することができる。
比較例1
実施例2において、正孔注入剤として、4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。因に、2−TNATAのガラス転移温度は110℃であり、分解温度は410℃以上である。
実施例2において、正孔注入剤として、4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)を用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。因に、2−TNATAのガラス転移温度は110℃であり、分解温度は410℃以上である。
この有機エレクトロルミネッセンス素子について、固定電流及び固定輝度における特性を調べた。結果を表1に示す。また、電圧−輝度特性を図5に示し、電圧−電流密度特性を図6に示す。この有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記実施例2によるものに比べて、駆動のために高い電圧を要する。
実施例3
(N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(10)の合成)
N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン100.0g、ヨウ化ベンゼン78.4g、炭酸カリウム265.5g及び銅粉77gを反応溶媒メシチレンと共に2L容量四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、160℃の温度て10時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンで抽出し、これを濃縮した。得られた濃縮液にエタノールを加え、しばらく攪拌した後、析出物を濾別した。得られた濾液を濃縮して、得られた粘稠な液体にトルエン/ヘキサン混合溶媒を加え、これをシリカゲルクロマトグラフィーに付して、反応生成物を分取した。分取した溶液を濃縮して得られた粘稠な液体にヘキサンを加え、しばらく攪拌した後、析出物を濾取し、乾燥して、目的とするN,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン37.5gを白色固体として得た。収率は29%であった。
(N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(10)の合成)
N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン100.0g、ヨウ化ベンゼン78.4g、炭酸カリウム265.5g及び銅粉77gを反応溶媒メシチレンと共に2L容量四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、160℃の温度て10時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンで抽出し、これを濃縮した。得られた濃縮液にエタノールを加え、しばらく攪拌した後、析出物を濾別した。得られた濾液を濃縮して、得られた粘稠な液体にトルエン/ヘキサン混合溶媒を加え、これをシリカゲルクロマトグラフィーに付して、反応生成物を分取した。分取した溶液を濃縮して得られた粘稠な液体にヘキサンを加え、しばらく攪拌した後、析出物を濾取し、乾燥して、目的とするN,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン37.5gを白色固体として得た。収率は29%であった。
(1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕ナフタレン(8)の合成)
N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン26.5g、1,4−ジブロモナフタレン9.0g及びナトリウムt−ブトキシド6.0g、パラジウムt−ブチルホスフィンブロマイドダイマー0.008gをo−キシレン200mLに溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で5時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を水/トルエン混合物で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウム上で脱水した後、濃縮した。この濃縮液をシリカゲルのオープンカラムにて目的物を分取し、減圧下で濃縮して固体を得た。この固体をトルエンから再結晶精製した後、昇華精製して、1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕ナフタレン(1)3.9gを黄色固体として得た。収率は16%であった。
N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン26.5g、1,4−ジブロモナフタレン9.0g及びナトリウムt−ブトキシド6.0g、パラジウムt−ブチルホスフィンブロマイドダイマー0.008gをo−キシレン200mLに溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で5時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を水/トルエン混合物で抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウム上で脱水した後、濃縮した。この濃縮液をシリカゲルのオープンカラムにて目的物を分取し、減圧下で濃縮して固体を得た。この固体をトルエンから再結晶精製した後、昇華精製して、1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕ナフタレン(1)3.9gを黄色固体として得た。収率は16%であった。
元素分析(%):
C H N
計算値 87.44 5.53 7.03
実測値 87.31 5.51 7.18
C H N
計算値 87.44 5.53 7.03
実測値 87.31 5.51 7.18
質量分析による分子量:796.5
FT−IR(フーリエ変換赤外線吸収分析法、KBr錠剤法):
スペクトルを図7に示す。
スペクトルを図7に示す。
示差走査熱量分析測定(DSC):
DSCチャートを図8に示すように、ガラス転移温度(Tg)は110.3℃、結晶化温度177.2℃、融点255.5℃であって、常温以上の温度で安定なアモルファス膜を形成することができることが示される。
DSCチャートを図8に示すように、ガラス転移温度(Tg)は110.3℃、結晶化温度177.2℃、融点255.5℃であって、常温以上の温度で安定なアモルファス膜を形成することができることが示される。
熱重量測定/示差熱測定(TG/DTA):
測定結果を図9に示すように、分解温度は400℃以上であって、熱安定性にすぐれることが示される。
測定結果を図9に示すように、分解温度は400℃以上であって、熱安定性にすぐれることが示される。
サイクリックボルタンメトリー(CV):
CVチャートを図10に示すように、酸化電位は0.29V(vs Ag/Ag+)であった。
CVチャートを図10に示すように、酸化電位は0.29V(vs Ag/Ag+)であった。
実施例4
ITO透明電極(陽極)上に1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕ナフタレンからなる正孔注入層(膜厚50nm)を積層し、その上に4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)〕ビフェニル(α−NPD)からなる正孔輸送層(膜厚10nm)を積層し、その上に発光層としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)層(膜厚75nm)を真空蒸着法によって積層し、更に、その上に陰極としてフッ化リチウム(0.5nm)とアルミニウム(100nm)をこの順序にて蒸着して、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
ITO透明電極(陽極)上に1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕ナフタレンからなる正孔注入層(膜厚50nm)を積層し、その上に4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)〕ビフェニル(α−NPD)からなる正孔輸送層(膜厚10nm)を積層し、その上に発光層としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)層(膜厚75nm)を真空蒸着法によって積層し、更に、その上に陰極としてフッ化リチウム(0.5nm)とアルミニウム(100nm)をこの順序にて蒸着して、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
この有機エレクトロルミネッセンス素子の電圧輝度特性を測定したところ、発光開始電圧は2.5Vであり、輝度1000cd/m2 のときの駆動電圧は9.0Vであった。
比較例2
実施例4において、正孔輸送層として、α−NPD層(膜厚60nm)を形成した以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、これについて、電圧輝度特性を測定したところ、発光開始電圧は5.0Vであり、輝度1000cd/m2 のときの駆動電圧は14.0Vであった。α−NPDの酸化電位は0.48V(vs Ag/Ag+)であり、イオン化ポテンシャルは5.46eVである。
実施例4において、正孔輸送層として、α−NPD層(膜厚60nm)を形成した以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、これについて、電圧輝度特性を測定したところ、発光開始電圧は5.0Vであり、輝度1000cd/m2 のときの駆動電圧は14.0Vであった。α−NPDの酸化電位は0.48V(vs Ag/Ag+)であり、イオン化ポテンシャルは5.46eVである。
実施例5
(9,10−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕アントラセンの合成)
N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン40.0g、9,10−ジブロモアントラセン15.9g、ナトリウムt−ブトキシド21.9g、酢酸パラジウム0.10mg及びトリt−ブチルホスフィン0.38gのヘキサン溶液をo−キシレン300mLに溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で8時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物に水を加え、析出した赤色固体を濾取した。これを熱トルエンに溶解させ、熱時濾過によって不純物を除いた後、冷却して、9,10−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕アントラセン24.7gを赤色固体として得た。収率は24%であった。
(9,10−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕アントラセンの合成)
N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン40.0g、9,10−ジブロモアントラセン15.9g、ナトリウムt−ブトキシド21.9g、酢酸パラジウム0.10mg及びトリt−ブチルホスフィン0.38gのヘキサン溶液をo−キシレン300mLに溶解させ、窒素雰囲気下、70℃で8時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物に水を加え、析出した赤色固体を濾取した。これを熱トルエンに溶解させ、熱時濾過によって不純物を除いた後、冷却して、9,10−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕アントラセン24.7gを赤色固体として得た。収率は24%であった。
元素分析(%):
C H N
計算値 87.84 5.43 6.73
実測値 87.75 5.40 6.85
C H N
計算値 87.84 5.43 6.73
実測値 87.75 5.40 6.85
質量分析による分子量:846.7
実施例6
実施例4において、正孔注入層として、9,10−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕アントラセンを正孔注入剤として用いてなる正孔注入層を用いた以外は、実施例4と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して、その電圧−輝度特性を測定したところ、発光開始電圧は2.6Vであり、輝度1000cd/m2 のときの駆動電圧は9.4Vであった。
実施例4において、正孔注入層として、9,10−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕アントラセンを正孔注入剤として用いてなる正孔注入層を用いた以外は、実施例4と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して、その電圧−輝度特性を測定したところ、発光開始電圧は2.6Vであり、輝度1000cd/m2 のときの駆動電圧は9.4Vであった。
実施例7
(1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(p−トリルアミノ〕ナフタレンの合成)
実施例3において、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミンに代えて、N,N’−ジ−p−トリル−1,4−フェニレンジアミンを用いた以外は、同様にして、N−フェニル−N’,N’−ジ−p−トリル−1,4−フェニレンジアミンを得、実施例3と同様にして、これを1,4−ジブロモナフタレンと反応させて、1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−p−トリルアミノ〕ナフタレンを得た。
(1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(p−トリルアミノ〕ナフタレンの合成)
実施例3において、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミンに代えて、N,N’−ジ−p−トリル−1,4−フェニレンジアミンを用いた以外は、同様にして、N−フェニル−N’,N’−ジ−p−トリル−1,4−フェニレンジアミンを得、実施例3と同様にして、これを1,4−ジブロモナフタレンと反応させて、1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−p−トリルアミノ〕ナフタレンを得た。
元素分析(%):
C H N
計算値 87.30 5.87 6.83
実測値 87.11 5.76 7.13
C H N
計算値 87.30 5.87 6.83
実測値 87.11 5.76 7.13
質量分析による分子量:824.7
実施例8
実施例4において、正孔注入層として、1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−p−トリルアミノ〕ナフタレンを正孔注入剤として用いてなる正孔注入層を用いた以外は、実施例4と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して、その電圧−輝度特性を測定したところ、発光開始電圧は2.4Vであり、輝度1000cd/m2 のときの駆動電圧は9.3Vであった。
実施例4において、正孔注入層として、1,4−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−p−トリルアミノ〕ナフタレンを正孔注入剤として用いてなる正孔注入層を用いた以外は、実施例4と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製して、その電圧−輝度特性を測定したところ、発光開始電圧は2.4Vであり、輝度1000cd/m2 のときの駆動電圧は9.3Vであった。
1…透明基板
2…陽極
3a…正孔注入層
3b…正孔輸送層
4…発光層
5…陰極
6…電源
2…陽極
3a…正孔注入層
3b…正孔輸送層
4…発光層
5…陰極
6…電源
Claims (10)
- 一般式(I)
で表される芳香族二価基を示し、R1 からR6 はそれぞれ独立に一般式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)
で表される一価基を示す。但し、R1 からR6 のすべてがフェニル基であるときは、Xは1,4−フエニレン基ではない。)
で表される芳香族第3級アミン類。 - 一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、R1、R2、R3 及びR5 がそれぞれ独立に1−又は2−ナフチル基である請求項1に記載の芳香族第3級アミン類。
- 一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、R1、R2、R3 及びR5 がそれぞれ独立に1−又は2−ナフチル基であり、R4 及びR6 がフェニル基、トリル基又はナフチル基であると共に、基Xが1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基又は9,10−アントラセンジイル基である請求項1に記載の芳香族第3級アミン類。
- 一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6 がそれぞれフェニル基又はトリル基である(但し、R1 からR6 のすべてがフェニル基であるときは、Xは1,4−フエニレン基ではない。)請求項1に記載の芳香族第3級アミン類。
- 一般式(I)で表される芳香族第3級アミン類において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6 がそれぞれ独立にフェニル基又はトリル基であると共に、基Xが1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基又は9,10−アントラセンジイル基である(但し、R1 からR6 のすべてがフェニル基であるときは、Xは1,4−フエニレン基ではない。)請求項1に記載の芳香族第3級アミン類。
- 請求項1から7のいずれかに記載の芳香族第3級アミン類からなる有機電子機能材料。
- 請求項8に記載の有機電子機能材料からなる正孔注入剤。
- 請求項9に記載の正孔注入剤を含む正孔注入層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子。
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JP2005074464 | 2005-03-16 | ||
JP2005318080A JP2006290866A (ja) | 2004-11-08 | 2005-11-01 | 新規な芳香族第3級アミン類とその有機電子機能材料としての利用 |
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