JP2006022052A - 新規なトリフェニルアミン類とその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】常温で安定なアモルファス性と低い酸化電位と130℃程度のガラス転移温度を有し、更に、有機溶媒への溶解性にもすぐれ、かくして、発光効率と耐熱性にすぐれ、有機電子機能材料、例えば、正孔注入剤及び/又は正孔輸送剤として、有機エレクトロルミネッセンス素子用途に好適に用いることができる新規なトリフェニルアミン類を提供する。
【解決手段】本発明によれば、一般式(I)
【化1】
(式中、Aは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を示す。)
で表されるトリフェニルアミン類が提供される。更に、本発明によれば、上記トリフェニルアミン類からなる有機電子機能材料と、そのような有機電子機能材料からなる正孔注入剤及び/又は正孔輸送剤からなる正孔注入層及び/又は正孔輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
【選択図】なし
【解決手段】本発明によれば、一般式(I)
【化1】
(式中、Aは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を示す。)
で表されるトリフェニルアミン類が提供される。更に、本発明によれば、上記トリフェニルアミン類からなる有機電子機能材料と、そのような有機電子機能材料からなる正孔注入剤及び/又は正孔輸送剤からなる正孔注入層及び/又は正孔輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
【選択図】なし
Description
本発明は、アモルファス電子材料として有用な新規なトリフェニルアミン類に関し、詳しくは、常温でアモルファス状態を保持することができるので、それ自体で薄膜化することができ、しかも、耐熱性にすぐれるので、有機電子機能材料として有用であり、種々の電子デバイス素子、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機感光体素子、有機太陽電池素子、電界効果型トランジスタ等における有機正孔(電荷)注入及び/又は輸送剤として好適に用いることができる新規で有用なトリフェニルアミン類に関する。
従来、光を照射することによって導電性や電荷生成等を生じる所謂光・電子機能を有する有機材料、即ち、有機電子機能材料のうち、低分子量有機化合物は、それ自体では、薄膜形成能をもたないので、薄膜を形成するためには、バインダー樹脂に分散させて(即ち、希釈した状態で)、基材上に塗布し、薄膜化することが必要である。従って、従来、低分子量有機化合物からなる有機電子機能材料は、マトリックスであるバインダー樹脂の影響を受けると共に、希釈されているので、その本来の特性を十分に発揮することができない。更に、従来の低分子量有機化合物からなる有機電子機能材料は、バインダーの助けを借りて、常温で比較的安定な膜を形成させることができても、ガラス転移温度が低いので、耐熱性に劣り、実用的なデバイスに用いることが困難である。
そこで、近年、常温でアモルファス性を有し、それ自体で薄膜を形成することができるアモルファス電子材料の開発が進められた結果、例えば、4,4’,4”−トリス(N, N−フェニル−m−トリルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)(1)
(特許文献1参照)や、また、4,4’,4”−トリス(N, N−(2−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)(2)
(特許文献2参照)や4,4’,4”−トリス(N, N−(1−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(1−TNATA)等が提案されるに至っている。これらのトリフェニルアミン類は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔輸送剤として有用であることが知られている(例えば、非特許文献1及び特許文献3参照)。
上述した種々の電子デバイスのなかでも、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、低電圧直流駆動、高効率、高輝度を有し、また、薄型化できるので、近年、バックライトや照明装置のほか、ディスプレイ装置として、その実用化が進められている。
この有機エレクトロルミネッセンス素子は、代表的には、透明基板、例えば、ガラス基板上にITO膜(酸化インジウム−酸化スズ膜)のような透明電極からなる陽極が積層されており、この陽極上に有機正孔輸送層、有機発光層及び金属電極からなる陰極がこの順序にて積層されてなるものであり、上記陽極と陰極は外部の電源に接続されている。場合によっては、有機正孔輸送層が正孔注入層と正孔輸送層とに分割された積層されることがあり、また、有機発光層と陰極との間に有機電子輸送層が積層されることもある。このほか、有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成は、種々のものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
このような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、上記有機正孔輸送層は、陽極に密着していて、この陽極から正孔を有機発光層に輸送すると共に、電子をブロックし、他方、有機電子輸送層は、陰極に密着していて、この陰極から電子を有機発光層に輸送し、そこで、有機発光層において、陰極から注入した電子と陽極から有機発光層に注入した正孔とが再結合するときに発光が生じ、これが透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。
しかし、このような有機エレクトロルミネッセンス素子等の電子デバイスへの利用において、上述した4,4’,4”−トリス(N, N−フェニル−m−トリルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)は、ガラス転移温度が約77℃であり、実用的な電子テバイスに用いるには、耐熱性に難がある。他方、上記4,4’,4”−トリス(N, N−(2−又は1−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−又は1−TNATA)は、110℃前後のガラス転移温度を有し、耐熱性にすぐれたアモルファス膜を形成するが、比較的結晶しやすい性質を有しており、安定なアモルファス性を有するとはいい難い。更に、従来より知られているこのようなトリフェニルアミン類は、通常、多くの有機溶媒に難溶性であるので、原料の反応によって得られた粗製品を精製するために多量の有機溶媒を必要とし、工業的に製造するには問題である。
そこで、このような問題を解決するために、既に、ガラス転移温度が105℃程度であり、常温で安定なアモルファス膜を形成でき、有機溶媒への溶解性にもすぐれる4,4’,4”−トリス(N, N−(2−又は1−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−又は1−MTNATA)が提案されている(特許文献5参照)。このようなトリフェニルアミン類は、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔輸送剤として有用であるが、有機エレクトロルミネッセンス装置の実用化に向けて、一層、発光効率と耐熱性にすぐれる正孔輸送剤としての有機材料が強く求められている。
特開平01−224353号公報
特開平08−291115号公報
特開平05−234681号公報
特開平06−001972号公報
特開2001−335542号公報
「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊第28〜35頁
本発明は、従来のアモルファス電子材料としての有機材料、特に、トリフェニルアミン類における上述したような問題を解決して、常温で安定なアモルファス性と低い酸化電位と120℃以上のガラス転移温度を有し、更に、有機溶媒への溶解性にもすぐれ、かくして、発光効率と耐熱性にすぐれ、有機電子機能材料、例えば、正孔注入及び/又は輸送剤として、有機エレクトロルミネッセンス素子用途に好適に用いることができる新規なトリフェニルアミン類を提供することを目的とする。更に、本発明は、このような新規なトリフェニルアミン類からなる有機電子機能材料と、そのような有機電子機能材料からなる正孔注入及び/又は輸送剤を用いる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
本発明によれば、一般式(I)
(式中、Aは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を示す。)
で表されるトリフェニルアミン類が提供される。
で表されるトリフェニルアミン類が提供される。
また、本発明によれば、上記トリフェニルアミン類からなる有機電子機能材料と、そのような有機電子機能材料からなる正孔注入層及び/又は正孔輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明によって、前記一般式(I)で表される新規なトリフェニルアミン類が提供される。このようなトリフェニルアミン類は、従来、知られているトリフェニルアミン類に比べて、常温にてより安定なアモルファス状態、即ち、ガラス状態を保持することができ、しかも、130℃程度の高いガラス転移温度を有する。
従って、本発明によるトリフェニルアミン類のアモルファス状態を利用することによって、それ自体で容易に薄膜化することができ、例えば、キャステイング法や真空蒸着等によって容易に薄膜化でき、また、大面積の薄膜も容易に得ることができる。従って、本発明による化合物は、アモルファス性を備えた有機電子機能材料として、種々の電子デバイス素子、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機感光体素子、有機太陽電池素子、電界効果型トランジスタ等における正孔注入剤及び/又は正孔輸送剤として、好適に用いることができる。
本発明による新規なトリフェニルアミン類は、一般式(I)
(式中、Aは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を示す。)
で表される。
で表される。
従って、本発明による新規なトリフェニルアミン類の具体例として、ナフチル基とt−ブチル基との置換位置に応じて、ナフチル基の置換位置が2−位置であり、t−ブチル基の置換位置が4−位置であるもの、ナフチル基の置換位置が2−位置であり、t−ブチル基の置換位置が3−位置であるもの、ナフチル基の置換位置が2−位置であり、t−ブチル基の置換位置が2−位置であるもの、ナフチル基の置換位置が1−位置であり、t−ブチル基の置換位置が4−位置であるもの、ナフチル基の置換位置が1−位置であり、t−ブチル基の置換位置が3−位置であるもの及びナフチル基の置換位置が1−位置であり、t−ブチル基の置換位置が2−位置であるものを挙げることができる。
なかでも、本発明によれば、ナフチル基の置換位置が2−又は1−位置であり、t−ブチル基の置換位置が4−又は3−位置であるものが好ましく、特に、発光効率と耐熱性にすぐれる点から、ナフチル基の置換位置が2−位置であり、t−ブチル基の置換位置が4−位置であるもの、即ち、4,4’,4”−トリス〔N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチル〕トリフェニルアミンが好ましい。
このような本発明によるトリフェニルアミン類は、目的とするトリフェニルアミン類に応じて、N,N−(4−(又は3−又は2−)t−ブチルフェニル)−2−(又は1−)ナフチルアミンと4,4’,4”−トリヨードトリフェニルアミンとを塩基及び銅粉の存在下に溶剤中で反応させることによって得ることができる。
塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましく用いられ、また、溶剤としては、炭化水素、例えば、メシチレンが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
本発明による新規なトリフェニルアミン類は、分子の中心にあるトリフェニルアミン構造が外縁のt−ブチル基と協働して、酸化電位を低くする役割を果たし、正孔注入効率及び正孔輸送効率を向上させ、分子の外縁をなすt−ブチルフェニル基とナフチル基の非対称構造がアモルファス膜の形成能を向上させ、更に、ナフチル基の剛直性とt−ブチル基の嵩高さによって、ガラス転移温度が高く、かくして、耐熱性にすぐれる。
本発明による化合物が異方性をもたないアモルファス状態にあることは、例えば、ガラス転移温度を有することや、粉末X線回折において明確なピークを示さないこと等によって立証される。
本発明によるトリフェニルアミン類は、アモルフアス性をそのような襟有機電子機能材料として有用であり、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入及び/又は輸送剤として有用である。このような場合において、本発明によるトリフェニルアミン類は、単独で用いてもよく、また、前述した4,4’,4”−トリス(N, N−(2−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)や4,4’,4”−トリス(N, N−(1−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(1−TNATA)との混合物として用いてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
(N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミンの合成)
4−t−ブチルフェニルアミン23.2g、2−ナフトール22.7g及びヨウ素0.7gを500mL容量四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、175〜180℃の温度にて12時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンに溶解させ、この溶液をシリカゲルのオープンカラムにて反応生成物を分取した後、濃縮して固体を得た。この固体をトルエンから再結晶して、N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミン17gを針状結晶として得た。収率40%。
(N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミンの合成)
4−t−ブチルフェニルアミン23.2g、2−ナフトール22.7g及びヨウ素0.7gを500mL容量四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、175〜180℃の温度にて12時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンに溶解させ、この溶液をシリカゲルのオープンカラムにて反応生成物を分取した後、濃縮して固体を得た。この固体をトルエンから再結晶して、N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミン17gを針状結晶として得た。収率40%。
(4,4’,4”−トリス〔N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミノ〕トリフェニルアミン(2−BTNANA)の合成)
N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミン11.0g、トリヨードトリフェニルアミン6.9g、18−クラウン−6−エーテル1.5g、炭酸カリウム15.5g及び銅粉15gを反応溶剤メシチレン50mLと共に500mL容量四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、162℃の温度にて23時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンで抽出し、シリカゲルのオープンカラムにて反応生成物を分取した。この反応生成物をトルエンから再結晶して精製した後、昇華精製を行って、目的とする4,4’,4”−トリス〔N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミノ〕トリフェニルアミン0.9gを得た。収率7.5%。
N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミン11.0g、トリヨードトリフェニルアミン6.9g、18−クラウン−6−エーテル1.5g、炭酸カリウム15.5g及び銅粉15gを反応溶剤メシチレン50mLと共に500mL容量四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、162℃の温度にて23時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンで抽出し、シリカゲルのオープンカラムにて反応生成物を分取した。この反応生成物をトルエンから再結晶して精製した後、昇華精製を行って、目的とする4,4’,4”−トリス〔N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミノ〕トリフェニルアミン0.9gを得た。収率7.5%。
元素分析値(C78H72N4)(%):
C H N
計算値 87.97 6.77 5.26
測定値 87.82 6.70 5.33
C H N
計算値 87.97 6.77 5.26
測定値 87.82 6.70 5.33
質量分析:
M(m/e)=1065
FT−IR(フーリエ変換赤外線吸収分析法、KBr錠剤法):
スペクトルを図1に示す。
M(m/e)=1065
FT−IR(フーリエ変換赤外線吸収分析法、KBr錠剤法):
スペクトルを図1に示す。
示差走査熱量測定(DSC):
DSCチャートを図2に示すように、結晶化のピークがみられず、非常に安定なアモルファス性を有する。また、ガラス転移点(Tg)は139.3℃であって、耐熱性にもすぐれる。
DSCチャートを図2に示すように、結晶化のピークがみられず、非常に安定なアモルファス性を有する。また、ガラス転移点(Tg)は139.3℃であって、耐熱性にもすぐれる。
サイクリックボルタンメトリー(CV):
CVチャートを図3に示す。酸化電位は0.07V(vsAg/Ag+)であり、正孔輸送剤として好適に用いることができる。
CVチャートを図3に示す。酸化電位は0.07V(vsAg/Ag+)であり、正孔輸送剤として好適に用いることができる。
実施例2
ITO透明電極(陽極)上に正孔輸送層として2−BTNANA層(膜厚50nm)と4,4’−ビス(N, N−α−ナフチル−m−トリルアミノ)ジフェニルアミン(α−NPD)層(膜厚10nm)と発光層としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )層(膜厚50nm)をこの順序で真空蒸着法によって積層し、この上に陰極としてフッ化リチウム(5nm)とアルミニウム(200nm)をこの順序にて蒸着して、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。この有機エレクトロルミネッセンス素子の電圧輝度特性を図4に示し、輝度寿命特性を図5に示す。本発明による4,4’,4”−トリス〔N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミノ〕トリフェニルアミン(2−BTNANA)を正孔輸送剤として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧は4.2 Vであり、輝度半減期は3300時間であった。
ITO透明電極(陽極)上に正孔輸送層として2−BTNANA層(膜厚50nm)と4,4’−ビス(N, N−α−ナフチル−m−トリルアミノ)ジフェニルアミン(α−NPD)層(膜厚10nm)と発光層としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )層(膜厚50nm)をこの順序で真空蒸着法によって積層し、この上に陰極としてフッ化リチウム(5nm)とアルミニウム(200nm)をこの順序にて蒸着して、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。この有機エレクトロルミネッセンス素子の電圧輝度特性を図4に示し、輝度寿命特性を図5に示す。本発明による4,4’,4”−トリス〔N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミノ〕トリフェニルアミン(2−BTNANA)を正孔輸送剤として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧は4.2 Vであり、輝度半減期は3300時間であった。
比較例1
4,4’,4”−〔N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(2−TNATA)のDSCチャートを図6に示す。結晶化のピークがみられず、安定なアモルファス性を有する。ガラス転移点(Tg)は111℃である。
4,4’,4”−〔N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(2−TNATA)のDSCチャートを図6に示す。結晶化のピークがみられず、安定なアモルファス性を有する。ガラス転移点(Tg)は111℃である。
また、CVチャートを図7に示すように、酸化電位は0.07V(vsAg/Ag+)である。
正孔輸送層として、この2−BNTATA層(膜厚50nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。この有機エレクトロルミネッセンス素子の電圧輝度特性を図4に示し、輝度寿命特性を図5に示す。2−TNATAを正孔輸送剤として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動電圧は5.3Vであり、輝度半減期は2400時間であった。
このように、本発明による新規なトリフェニルアミン類、即ち、4,4’,4”−トリス〔N,N−(4−t−ブチルフェニル)−2−ナフチルアミノ〕トリフェニルアミンは、正孔輸送剤として有効に機能し、例えば、このようなトリフェニルアミン類からなる正孔注入輸送層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、比較例1による2−TNATAからなる正孔層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子と比較して明らかなように、駆動電圧の低下と輝度半減期の向上に大きく寄与することができる。
更に、本発明による新規なトリフェニルアミン類は、例えば、2−TNATAからなる有機正孔層を有する比較例4による有機エレクトロルミネッセンス素子と同等の性能を有し、しかも、2−TNATAに比べて、アモルファス性にすぐれており、電子デバイスの信頼性の向上に有用である。
Claims (4)
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JP2004202395A JP2006022052A (ja) | 2004-07-08 | 2004-07-08 | 新規なトリフェニルアミン類とその利用 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100535057C (zh) * | 2007-01-19 | 2009-09-02 | 南开大学 | 含三苯胺基团的有机染料及制备和应用 |
-
2004
- 2004-07-08 JP JP2004202395A patent/JP2006022052A/ja active Pending
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