JP2007284411A - 新規なカルバゾール誘導体とその利用 - Google Patents

新規なカルバゾール誘導体とその利用 Download PDF

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雅美 中山
Hideyuki Kato
秀之 加藤
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Abstract

【課題】有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入及び/又は輸送剤として好適なカルバゾール誘導体の提供。
【解決手段】下式(式中、Aは、例えばアルキル基又はフェニル基であり、RからRは、例えば水素原子である。)で表される化合物。
Figure 2007284411

【選択図】なし

Description

本発明は、アモルファス電子材料として有用である新規なカルバゾール誘導体とその正孔注入及び/又は輸送剤としての利用に関する。詳しくは、本発明は、常温以上の温度で安定なアモルファス膜を形成し、しかも、高いガラス転移温度を有し、従って、耐熱性にすぐれており、更に、加熱によっても、結晶化の起こり難い新規なカルバゾール誘導体に関する。更に、本発明は、そのようなカルバゾール誘導体からなる正孔注入及び/又は輸送剤と、これらを含む正孔注入及び/又は輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
従来、光を照射することによって導電性や電荷生成等を生じる所謂光・電子機能を有する有機電子材料のうち、殆どの低分子量有機化合物は、それ自体では、薄膜形成能をもたないので、薄膜を形成するためには、バインダー樹脂に分散させて(即ち、希釈した状態で)、基材上に塗布し、薄膜化することが必要である。従って、従来、低分子量有機化合物からなる有機電子材料は、マトリックスであるバインダー樹脂の影響を受けると共に、希釈されているので、その本来の特性を十分に発揮することができない。更に、従来の低分子量有機化合物からなる有機電子材料は、バインダーの助けを借りて、常温で比較的安定な膜を形成させることができても、ガラス転移温度が低いので、耐熱性に劣り、実用的なデバイスに用いることが困難である。そこで、近年、常温以上の温度で安定なアモルファス膜を形成することができるアモルファス電子材料の開発が進められている。
他方、種々の電子デバイスのなかでも、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、低電圧駆動、高効率、高輝度を有し、また、自己発光型デバイスであることから、薄型化できるので、近年、バックライトや照明装置のほか、ディスプレイ装置として、その実用化が進められている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この有機エレクトロルミネッセンス素子は、代表的には、透明基板、例えば、ガラス基板上にITO膜(酸化インジウム−酸化スズ膜)のような透明電極からなる陽極が積層されており、この陽極上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び金属電極からなる陰極がこの順序にて積層されてなるものであり、上記陽極と陰極は外部の電源に接続されている。場合によっては、正孔注入層と正孔輸送層が単層に形成されることもあり、また、発光層と陰極との間に電子輸送層が積層されることもある。このほかにも、種々の有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、上記正孔注入層は、陽極に密着していて、この陽極から正孔を正孔輸送層を経て発光層に輸送し、注入すると共に、電子をブロックし、他方、電子輸送層は、陰極に密着していて、この陰極から電子を発光層に輸送し、注入し、そこで、発光層において、陰極から注入された電子と陽極から発光層に注入された正孔とが再結合するときに発光が生じ、これが透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。このように、電極間に発光層を挟んで、正孔注入層と(正孔輸送層と)電子輸送層を積層することによって、有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光効率が向上することが知られている。
従来の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、正孔注入層、正孔輸送層又は正孔注入輸送層に用いられる有機電子材料、即ち、正孔注入及び/又は輸送剤としては、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)や(例えば、特許文献2参照)、また、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ))ビフェニル(α−NPD)等の芳香族第3級アミン類が知られているが(例えば、特許文献3参照)、しかし、これらの芳香族第3級アミン類は、耐熱性と電気的安定性が尚も、不十分であるという問題がある。また、高いガラス転移温度を有する芳香族第3級アミン類も開発されているが、そのような芳香族第3級アミン類は分子量が高いので、真空蒸着に際して高い温度を必要とし、従って、自体の劣化や分解が促進される問題がある。
他方、芳香族第3級アミン類のなかでも、これまで、分子中にカルバゾール骨格を有するもの、例えば、4,4−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)やポリビニルカルバゾール等も提案されており、最近では、カルバゾールの3位と6位にそれぞれジアリールアミノ基を結合させててなる骨格を有するカルバゾール誘導体、即ち、例えば、3,6−ジ(ジフェニルアミノ)−9−アルキルカルバゾールや3,6−ジ(ジフェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾールが正孔輸送剤として提案されている(非特許文献1、2及び特許文献4参照)。しかし、これらはガラス転移温度が低く、耐熱性ある実用的な正孔輸送剤として用いることは困難である。
また、これまでに知られている上述したようなカルバゾール誘導体は、有機エレクトロルミネッセンス素子において、真空蒸着によって形成された薄膜が熱及び電気的に十分に安定でないので、素子の駆動時の発熱によって、上記薄膜の結晶化が促進され、膜質が変化し、かくして、素子の発光効率の低下、ダークスポットと呼ばれる非発光部の発生と増加、定電流駆動時の電圧の上昇等を招き、遂には、素子の破壊に至る。
特開平06−001972号公報 特開平07−090256号公報 特開平05−234681号公報 特開2005−154421号公報 Synthetic Metals, 122 (2001), 311-314 Synthetic Metals, 128 (2002), 127-131
本発明は、従来のアモルファス電子材料としての有機材料、特に、正孔注入及び/又は輸送剤における上述したような問題を解決して、常温以上の温度で、それ自体で、即ち、バインダー樹脂の助けなしに、安定なアモルファス膜を形成することができ、しかも、高いガラス転移温度、即ち、すぐれた耐熱性を有し、正孔注入及び/又は輸送剤として用いることによって、低電圧にて駆動することができて、高輝度、高効率、耐久性ある有機エレクトロルミネッセンス素子を与える新規なカルバゾール誘導体を提供することを目的とする。
更に、本発明は、そのようなカルバゾール誘導体からなる正孔注入及び/又は輸送剤とそのような正孔注入及び/又は輸送剤からなる正孔注入及び/又は輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とする。
本発明によれば、一般式(I)
Figure 2007284411
(式中、Aは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基を示し、R1 からR6 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、それぞれのアルキル基の炭素数が1〜20の範囲にあるジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基を示す。)
で表されるカルバゾール誘導体が提供される。
更に、本発明によれば、上記カルバゾール誘導体からなる正孔注入及び/又は輸送剤と、このような正孔注入及び/又は輸送剤を含む正孔注入及び/又は輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明によれば、前記一般式(I)で表される新規なカルバゾール誘導体が提供される。このようなカルバゾール誘導体は、常温以上の温度において安定なアモルファス膜を形成すると共に、従来、知られている芳香族第3級アミン類やカルバゾール誘導体に比べて、高いガラス転移温度を有し、耐熱性にすぐれており、従って、高いアモルファス性と耐熱性とを有する正孔注入及び/又は輸送剤として、有機エレクトロルミネッセンス素子に好適に用いることができる。このように、本発明によるカルバゾール誘導体を正孔注入又は輸送剤として用いることによって、従来に比べて、低い電圧で駆動することができ、高い輝度を有し、しかも、耐久性にすぐれる有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明による新規なカルバゾール誘導体は、一般式(I)
Figure 2007284411
(式中、Aは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基を示し、R1 からR6 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、それぞれのアルキル基の炭素数が1〜20の範囲にあるジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基を示す。)
で表される。
上記一般式(I)で表されるカルバゾール誘導体において、Aは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。Aの具体例として、例えば、水素原子、塩素原子やフッ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等のアリール基、イミダゾリル基、オキサチオリル基、チアゾアル基等の複素環基を挙げることができる。上記アルキル基やアルコキシル基が3以上の炭素原子を有するとき、それらのアルキル基とアルコキシル基におけるアルキル基は、それぞれ直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。上記アリール基や複素環基は、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシル基等の置換基を有していてもよい。しかし、本発明において、上記一般式(I)で表されるカルバゾール誘導体において、Aは、好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基である。
また、上記一般式(I)で表されるカルバゾール誘導体において、R1 からR6 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、それぞれのアルキル基の炭素数が1〜20の範囲にあるジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。このようなR1 からR6 の具体例として、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基等のジアルキルアミノ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基等のアリール基、イミダゾリル基、オキサチオリル基、チアゾアル基等の複素環基を挙げることができる。上記アルキル基やアルコキシル基が3以上の炭素原子を有するとき、それらのアルキル基とアルコキシル基におけるアルキル基は、それぞれ直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。上記アリール基や複素環基は、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシル基等の置換基を有していてもよい。しかし、本発明において、上記一般式(I)で表されるカルバゾール誘導体において、R1 からR6 はそれぞれ水素原子であることが好ましい。
従って、本発明による好ましいカルバゾール誘導体として、式(1)
Figure 2007284411
で表される3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾールや、式(2)
Figure 2007284411
で表される3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−エチルカルバゾールを挙げることができる。
上記式(1)で表される3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾールは、スキーム1に示すように、適宜の反応溶媒中、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン(3)に銅粉と炭酸カリウムのような塩基の存在下にヨウ化ベンゼンを反応させて、N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(4)を得る。別に、同様に、カルバゾール(5)にヨウ化ベンゼンを反応させて、9−フェニルカルバゾール(6)を得る。次に、9−フェニルカルバゾール(6)の3位と6位をそれぞれヨード化して、3,6−ジヨード−9−フェニルカルバゾール(7)を得、次いで、前記N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(4)に銅粉と炭酸カリウムのような塩基の存在下に上記3,6−ジヨード−9−フェニルカルバゾール(7)を反応させることによって、目的とする3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾール(1)を得ることができる。
Figure 2007284411
同様に、3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−エチルカルバゾール(2)は、スキーム2に示すように、9−エチルカルバゾール(8)の3位と6位をそれぞれヨード化し、得られた3,6−ジヨード−9−エチルカルバゾール(9)にN,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(4)を反応させることによって得ることができる。
Figure 2007284411
本発明によるカルバゾール誘導体はいずれも、非常に高いガラス転移温度と分解温度を有しており、従って、常温以上の温度で、それ自体で、即ち、バインダー樹脂の助けなしに、安定なアモルファス膜を形成することができ、しかも、すぐれた耐熱性を有し、従って、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子において、これを正孔注入剤として用いてなる正孔注入層を陽極と正孔輸送層との間に設けることによって、又はこれを正孔輸送剤として用いてなる正孔輸送層を正孔注入層と発光層との間に設けることによって、又はこれを正孔注入輸送剤として用いてなる正孔注入輸送層を陽極と発光層との間に設けることによって、低電圧にて駆動することができる耐久性にすぐれる高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。しかし、本発明によるカルバゾール誘導体は、バインダー樹脂を用いて、薄膜からなる正孔注入及び/又は輸送層としてもよいことは勿論である。
このように、本発明によるカルバゾール誘導体は、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入層を形成するための正孔注入剤として用いることができ、従って、同じ機能を有する正孔輸送層を形成するための正孔輸送剤としても用いることができる。また、有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入層と正孔輸送層を単層に形成するときは、正孔注入輸送剤として用いることもできる。即ち、本発明によるカルバゾール誘導体は、正孔注入及び/又は輸送剤として用いることができ、また、このような正孔注入及び/又は輸送剤はそれぞれ、有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔注入及び/又は輸送層を形成するために用いることができる。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい一例を図1に示すように、例えば、ガラスのような透明基板1上にITOからなる透明な陽極2が密着して積層、支持されており、この陽極上に正孔注入層3aと正孔輸送層3bと発光層4と金属又はその化合物からなる陰極5がこの順序で積層されてなるものである。上記陽極と陰極は外部の電源6に接続されている。従って、このような有機エレクトロルミネッセンス素子においては、陽極から正孔注入層と正孔輸送層を経て発光層に正孔が容易に注入されるので、低電圧で素子を駆動することができる。発光層には上記陰極から電子が注入され、そこで、この発光層において、上記陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが再結合して発光を生じ、この発光層における発光が上記透明電極(陽極)と透明基板を通して外部に放射される。
更に、本発明においては、場合によっては、前述したように、発光層と陰極との間に電子輸送層が積層されてもよく、また、余分な正孔が陰極側に抜け出るのを防止するために、ブロッキング層を設けてもよい。このように、本発明において、有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構造は、特に、限定されるものではない。
即ち、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記正孔注入及び/又は輸送層が前述したカルバゾール誘導体からなる正孔注入及び/又は輸送剤を含む点に特徴を有する。本発明によるカルバゾール誘導体は、それ自体でアモルファス膜を形成することができるので、例えば、真空蒸着装置を用いて、前記透明電極上に蒸着して、正孔注入層を形成することができる。その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲であり、好ましくは、20〜80nmの範囲である。また、適宜に形成した正孔注入層上に蒸着して、正孔輸送層を形成することができ、この場合も、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲であり、好ましくは、20〜80nmの範囲である。勿論、透明電極上に本発明によるカルバゾール誘導体からなる単層の正孔注入及び/又は輸送層を形成することができる。
しかし、本発明によれば、このカルバゾール誘導体を、必要に応じて適宜のバインダー樹脂と共に、適宜の有機溶媒に溶解させ、これを適宜の手段、例えば、スピンコート法によって、陽極上にコーティングし、乾燥して、正孔注入及び/又は輸送層を形成することもできる。この場合においても、その膜厚は上述したと同じである。
このようにして本発明によるカルバゾール誘導体から形成した正孔注入層の上に、常法に従って、例えば、α−NPD等の正孔輸送剤からなる正孔輸送層を積層し、更に、この上に発光層と陰極を積層すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。同様に、適宜に形成した正孔注入層上に本発明によるカルバゾール誘導体から正孔輸送層を積層し、更に、この上に発光層と陰極を積層すれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子においては、本発明によるカルバゾール誘導体からなる上記正孔注入及び/又は輸送層以外の層、即ち、透明基板、本発明による正孔注入及び/又は輸送層と組合わせる通常の正孔注入及び/又は輸送層、陽極、発光層、電子輸送層及び電極は、従来より知られているものが適宜に用いられる。陽極としては、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)からなる透明電極が好ましく用いられ、陰極には、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、銀等の単体金属やこれらの合金、例えば、Al−Mg合金、Ag−Mg合金、フッ化リチウム等が用いられ、透明基板としては、通常、ガラス基板が用いられる。
有機発光層には、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3 )が用いられ、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。また、有機エレクトロルミネッセンス素子が電子輸送層を含むときは、その膜厚は、通常、10〜200nmの範囲である。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
(3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾール(1)の製造)
(N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミンの製造)
N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン100.0g、ヨウ化ベンゼン78.4g、炭酸カリウム265.5g及び銅粉77gを反応溶媒メシチレン250mLと共に2L容量の四つ口セパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下にて160℃にて10時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエン抽出し、これを濃縮した。得られた濃縮液にエタノールを加え、しばらく攪拌した後、析出物を濾別した。得られた濾液を濃縮し、得られた粘稠な液体にトルエン/ヘキサン混合溶媒を加え、得られた溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、反応生成物を分取した。分取した溶液を濃縮し、得られた粘稠な液体にヘキサンを加え、しばらく攪拌した後、析出物を濾取して、目的物であるN,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン37.5gを白色固体として得た。収率は29%であった。
(9−フェニルカルバゾールの製造)
ヨウ化ベンゼン37.0g、カルバゾール25.0g、炭酸カリウム50.5g及び銅粉15gをメシチレンに加え、得られた懸濁液を窒素雰囲気下、3時間還流させた。反応終了後、得られた反応混合物をトルエンにて抽出し、トルエン/ヘキサン(1/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、目的物を分取した。得られた固体を再結晶して、純度97%の9−フェニルカルバゾール31.3gを得た。収率は86%であった。
(3,6−ジヨード−N−フェニルカルバゾールの製造)
9−フェニルカルバゾール30.0gを酢酸50mLに80℃にて溶解させた。ヨウ化カリウム81.5gとオルト過ヨウ素酸カリウム二水和物53.5gを数回に分けて加えた。全量を加えた後、1時間攪拌して、得られた反応混合物を室温まで冷却した。この反応混合物を酢酸エチル/10%チオ硫酸ナトリウム水溶液で抽出し、得られた有機相を濃縮した。得られた粘稠な液体をトルエン/ヘキサン混合溶媒を用いて、アルミナカラムクロマトグラフィーに付して、純度98%の目的物32.7gを得た。収率は55%であった。
(3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾールの製造)
3,6−ジヨード−9−フェニルカルバゾール15.0g、N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン25.0g、炭酸カリウム21.5g及び銅4.5gを反応溶媒メシチレン中、165℃にて5時間攪拌した。反応終了後、熱トルエンを用いて有機物を溶解させ、濃縮して、赤褐色の粘稠な液体を得た。この液体をエタノール中に攪拌しながら滴下して、目的物を析出させた。その溶液を濾過して、黄緑色の固体を得た。この固体をトルエン/ヘキサン(1/2)混合溶媒を用いて、でカラム分離し、トルエン/エタノール混合溶媒から再結晶し、更に、昇華精製して、目的物である純度99.9%の3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾール5.6gを得た。収率は20%であった。
元素分析値(C66495 として、重量%):
C H N
計算値 86.91 5.41 7.68
測定値 86.84 5.47 7.69
質量分析(M+ (m/e)):911.8
赤外線吸収スペクトル:
KBr錠剤法にて測定した。図2に示す。
示差走査熱量分析測定(DSC):
DSCチャートを図3に示すように、ガラス転移温度(Tg)130℃であって、耐熱性にすぐれると共に、常温以上の温度で安定なアモルファス膜を形成することができることが示される。
熱重量測定/示差熱測定(TG/DTA):
測定結果を図4に示すように、分解温度は502℃であって、熱安定性にすぐれることが示される。
サイクリックボルタンメトリー(CV):
CVチャートを図5に示すように、酸化電位は0.25V(vs Ag/Ag+ )であった。また、繰り返し安定性もよく、酸化還元過程の可逆性にもすぐれている。
実施例2
(3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−エチルカルバゾール(2)の製造)
(3,6−ジヨード−9−エチルカルバゾールの製造)
9−エチルカルバゾール25.0gを酢酸30mLに80℃にて溶解させた後、この溶液にヨウ化カリウム42.5gとオルト過ヨウ素酸カリウム二水和物28.0gを数回に分けて加えた。全量を加えた後、1 時間攪拌し、得られた反応混合物を室温まで冷却した。反応混合物を酢酸エチル/10%チオ硫酸ナトリウム水溶液で抽出し、得られた有機相を濃縮した。得られた粘稠な液体をトルエン/ヘキサン混合溶媒を用いてアルミナオープンカラムにて精製して、純度99%の目的物40.6gを得た。収率は71%であった。(3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−
9−エチルカルバゾールの製造)
3,6−ジヨード−N−エチルカルバゾール40.0g、N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン58.5g、炭酸カリウム50.0g及び銅6.5gを反応溶媒メシチレン中、165℃で8時間攪拌した。反応終了後、熱トルエンを用いて、有機物を溶解させ、得られた溶液を濃縮して、赤褐色の粘稠な液体を得た。この液体をエタノール中に攪拌しながら滴下して、目的物を析出させた。この析出物を濾取して、黄緑色の固体を得た。この固体をトルエン/ヘキサン(1/2)混合溶媒を用いてカラム分離し、トルエン/エタノール混合溶媒から再結晶し、更に、昇華精製して、目的とする3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−エチルカルバゾール13.5gを得た。純度は99.9%、収率は18%であった。
元素分析値(C62495 として、重量%):
C H N
計算値 86.18 5.72 8.10
測定値 86.08 5.78 8.14
質量分析(M+ (m/e)):863.8
赤外線吸収スペクトル:
KBr錠剤法にて測定した。図6に示す。
示差走査熱量分析測定(DSC):
DSC測定した結果、ガラス転移温度(Tg)120℃であって、耐熱性にすぐれると共に、常温以上の温度で安定なアモルファス膜を形成することができることが示される。サイクリックボルタンメトリー(CV):
CV測定の結果、酸化電位は0.26V(vs Ag/Ag+ )であった。また、繰り返し安定性もよく、酸化還元過程の可逆性にもすぐれている。
実施例3
板ガラス上の厚み600nmのITO透明電極(陽極)上に前記3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾール(1)を真空蒸着して正孔注入層(膜厚50nm)を積層形成し、その上に4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)からなる正孔輸送層(膜厚10nm)を同様に真空蒸着法によって積層し、その上に発光層としてトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)層(膜厚60nm)を真空蒸着法によって積層し、更に、その上に陰極としてフッ化リチウム(5nm)とアルミニウム(100nm)をこの順序にて蒸着して、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
この有機エレクトロルミネッセンス素子について、電流密度25mA/cm2 のときの輝度電流効率(cd/A)と発光電力効率(lm/W)と共に、初期輝度1000cd/m2 にて駆動したときに輝度が1/2になるまでの駆動時間で示す輝度半減寿命(時間)と最高輝度を表1に示す。
実施例4
実施例3において、3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾール(1)に代えて、3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−エチルカルバゾール(2)を用いた以外は、同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例3におけると同様のこれらの有機エレクトロルミネッセンス素子の特性を表1に示す。
比較例1
正孔注入層(膜厚10nm)を銅フタロシアニンから形成し、正孔輸送層(膜厚10nm)を4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ))ビフェニル(α−NPD)から形成した以外は、実施例1と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。実施例3におけると同様のこの有機エレクトロルミネッセンス素子の特性を表1に示す。
Figure 2007284411
本発明によるカルバゾール誘導体を正孔輸送剤とする正孔輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子は、輝度電流効率にすぐれており、特に、寿命において著しく改善されている。
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明による3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾールの赤外線吸収スペクトルである。 本発明による3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾールのDSCチャートである。 本発明による3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾールのTG/DTAチャートである。 本発明による3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−フェニルカルバゾールのCVチャートである。 本発明による3,6−ビス〔N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ〕−9−エチルカルバゾールの赤外線吸収スペクトルである。
符号の説明
1…透明基板
2…陽極
3a…正孔注入層
3b…正孔輸送層
4…発光層
5…陰極
6…電源

Claims (3)

  1. 一般式(I)
    Figure 2007284411
    (式中、Aは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基を示し、R1 からR6 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、それぞれのアルキル基の炭素数が1〜20の範囲にあるジアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基を示す。)
    で表されるカルバゾール誘導体。
  2. 請求項1に記載のカルバゾール誘導体からなる正孔注入及び/又は輸送剤。
  3. 請求項2に記載の正孔注入及び/又は輸送剤を含む正孔注入及び/又は輸送層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106631987A (zh) * 2016-09-30 2017-05-10 齐鲁工业大学 A型3,6‑二碘‑n‑苯基咔唑的晶体结构及其制备方法

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