JPH11124572A - 蛍光材料およびこれを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

蛍光材料およびこれを用いた有機電界発光素子

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JPH11124572A
JPH11124572A JP10168234A JP16823498A JPH11124572A JP H11124572 A JPH11124572 A JP H11124572A JP 10168234 A JP10168234 A JP 10168234A JP 16823498 A JP16823498 A JP 16823498A JP H11124572 A JPH11124572 A JP H11124572A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長波長、特に赤色の可視発光特性の向上した
有機電界発光素子を提供する。 【解決手段】 基板上に、陽極及び陰極により挟持され
た正孔輸送層または電子輸送層を少なくとも含む有機電
界発光素子であって、正孔輸送層および/または電子輸
送層が、下記一般式(I)で表わされるチオキサンテン
誘導体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。 【化1】 (式中、R1 からR6 のうち、少なくとも1つは、ジア
リールアミノ基を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機電界発光素子に
関するものであり、詳しくは、有機化合物から成る正孔
輸送層と電子輸送層との組み合わせにより、電界をかけ
て光を放出する薄膜型デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、薄膜型の電界発光(EL)素子と
しては、無機材料のII−VI族化合物半導体であるZn
S、CaS、SrS等に、発光中心であるMnや希土類
元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが
一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子
は、 1)交流駆動が必要(50〜1000Hz)、 2)駆動電圧が高い(〜200 V)、 3)フルカラー化が困難(特に青色)、 4)周辺駆動回路のコストが高い、 という問題点を有している。
【0003】しかし、近年、上記問題点の改良のため、
有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになっ
た。特に、発光効率を高めるため、電極からのキャリア
ー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行
い、芳香族ジアミンから成る正孔輸送層と8−ヒドロキ
シキノリンのアルミニウム錯体から成る発光層とを設け
た有機電界発光素子の開発(Appl. Phys. Lett., 51
巻, 913 頁,1987年)により、従来のアントラセン等の
単結晶を用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改
善がなされ、実用特性に近づいている。
【0004】上記の様な低分子材料を用いた電界発光素
子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p−フェニレ
ンビニレン)(Nature, 347 巻, 539 頁, 1990年他)、
ポリ[2-メトキシ-5- (2-エチルヘキシルオキシ)-1,4
- フェニレンビニレン](Appl. Phys. Lett., 58 巻,
1982頁, 1991年他)、ポリ(3-アルキルチオフェン)
(Jpn. J. Appl. Phys, 30巻, L1938 頁, 1991年他)等
の高分子材料を用いた電界発光素子の開発や、ポリビニ
ルカルバゾール等の高分子に低分子の発光材料と電子移
動材料を混合した素子(応用物理, 61巻, 1044頁, 1992
年)の開発も行われている。
【0005】また、例えば、8−ヒドロキシキノリンの
アルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレ
ーザ用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phys.,65
巻,3610頁,1989年)等も行われている。しかし、レー
ザー用蛍光色素をドープすることによる赤色電界発光素
子の製造では、例えば、ローダミンやオキサジン誘導体
はイオン性の塩であり真空蒸着時に分解する、DCMを
ドープした電界発光素子は発光波長が短波長で赤色発光
が十分に得られない、フェノキサゾン誘導体をドープし
た電界発光素子では赤色発光効率が低い、などの問題点
があった。無置換のベンゾチオキサンテンは
【0006】
【化4】
【0007】発光層を兼ねた電子輸送層のホスト材料と
して使用することが示されているが(特開平3-17748
6)、このような素子は実用に耐える発光輝度を有して
いない。しかし、ドープすることにより、オレンジ色の
発光が報告されている(特開平5-222362)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、これま
でに開示されている有機電界発光素子では、可視長波長
領域、特に、赤色領域での発光効率がまだ不十分であ
り、更なる改良検討が望まれていた。有機電界発光素子
において十分な赤色発光が得られないことは、有機電界
発光素子を用いたフルカラー表示可能なフラットパネル
・ディスプレイ等の表示素子の開発に大きな障害とな
り、有機電界発光素子の応用範囲が限定される。本発明
者等は、上記実状に鑑み、特に赤色領域で高発光効率で
駆動させることができる化合物及び有機電界発光素子を
提供することを目的として鋭意検討した結果、特定の置
換基を有するチオキサンテン誘導体及びそれを正孔輸送
層および/または電子輸送層にドープすることが好適で
あることを見い出し、本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、第一の発明
は、下記一般式(I)
【0010】
【化5】
【0011】(式(I)中、R1 〜R6 のうち、少なく
とも1つは、以下に示すジアリールアミノ基(II)
【0012】
【化6】
【0013】(式(II)中、Ar1 とAr2 は、それぞ
れ独立して下記一般式(III )から(IX)
【0014】
【化7】
【0015】で表される基である。)であり、残りの基
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換
基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していて
もよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアラル
キル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換
基を有していてもよいアルキニル基、シアノ基、置換基
を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよ
いアミド基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアシ
ル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル
基、置換基を有していてもよいカルボキシル基、置換基
を有していてもよいアルキルスルホニル基、水酸基、置
換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族
複素環基を表す。)で表されるチオキサンテン誘導体を
含有する蛍光材料である。
【0016】第二の発明は、基板上に、陽極及び陰極に
より挟持された正孔輸送層または電子輸送層を少なくと
も含む有機電界発光素子であって、正孔輸送層および/
または電子輸送層が、上記一般式(I)で表されるチオ
キサンテン誘導体を含有することを特徴とする有機電界
発光素子である。第三の発明は、上記一般式(I)で表
されるチオキサンテン誘導体である。R 1 からR6 のう
ち、少なくとも1つは、前記一般式(II)で表されるジ
アリールアミノ基である。それ以外のR1 〜R6 が表
す、置換基について詳述すると、水素原子の他、R1
6 が表すハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原
子、ヨウ素原子などが挙げられる。アルキル基として
は、メチル基、エチル基、ターシャリーブチル基などの
炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。アルコキシ
基としてはメトキシ基、エトキシ基など上記のアルキル
基に対応する炭素数1〜7のアルコキシ基が挙げられ
る。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基、
フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基などが挙げら
れる。アルケニル基としてはビニル基、アリル基など炭
素数2〜10の低級アルケニル基が挙げられる。アルキ
ニル基としてはエチニル基、プロピニル基など炭素数2
〜10のアルキニル基が挙げられる。2級または3級ア
ミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジ
メチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ
基など炭素数1〜7のアルキル基やアリール基を有する
ものが挙げられる。アミド基としてはアセチルアミノ基
が、アシル基としてはホルミル基、アセチル基、プロピ
オニル基、ベンゾイル基などが挙げられる。アルコキシ
カルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシ
カルボニル基などアルキル基の炭素数が1〜7のアルコ
キシカルボニル基が挙げられる。アルキルスルホニル基
としてはメチルスルホニル基がそれぞれ挙げられる。芳
香族炭化水素基としてはフェニル基やビフェニル基、ナ
フチル基などが挙げられる。芳香族複素環基としてはピ
リジル基、キノリル基、チエニル基、カルバゾリル基な
どが挙げられる。また、上記のR1 〜R5 が表す置換基
の炭化水素部分にはさらに他の置換基が結合していても
よく、このような置換基としてはハロゲン原子、水酸
基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素
基、芳香族複素環基などが挙げられる。
【0017】好ましくは、R1 〜R6 は水素原子、アル
キル基、アルコキシ基のいずれかであり、前記一般式
(I II )から(IX)においては、置換基を有していて
も良い。置換基としては、好ましくは、水素原子、塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、シアノ
基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ
基、ニトロ基、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の
アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6
のアルコキシ基;ベンジル基、フェネチル基等のアラル
キル基;フェニル基、ナフチル基、アセナフチル基、ア
ントリル基等の芳香族炭化水素基;チエニル基、カルバ
ゾル基、インドリル基、フリル基等の複素環基等が挙げ
られる。特に好ましくは、水素原子、塩素原子等のハロ
ゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の
アルコキシ基、芳香族炭化水素環基が選ばれる。上記一
般式(I)で表される化合物は、例えば、以下の経路で
合成される。上記一般式(I)で表されるチオキサンテ
ン誘導体をニトロベンゼン中で臭素と反応させ、R1
らR6 の位置に少なくとも、一つの臭素が置換した一般
式(XI)で表される化合物を合成し、
【0018】
【化8】
【0019】さらに、下記一般式(XII)で表される
ジアリールアミン誘導体を
【0020】
【化9】
【0021】Ullmann 反応(Organic Synthesis ,1
巻,544 頁)にて反応させ、目的の上記一般式(I)で
表されるチオキサンテン誘導体を得る。本発明において
は、前記一般式(I)に示す分子構造により、蛍光波長
を600nm以上の長波長化が可能になり、難しいとされて
いた赤色発光が容易に得ることが出来る。前記一般式
(I)で表されるチオキサンテン誘導体の好ましい具体
例を以下の表に示すが、これらに限定するものではな
い。表中、R1 〜R6 について、置換基が特に表記され
ていない場合、水素原子が置換している。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】これらの化合物は、単独で用いてもよい
し、必要に応じて、各々、混合して用いてもよい。前記
に示した化合物は、分散状態で蛍光強度が強く、耐光
性、耐熱性も良好である。以下、本発明の有機電界発光
素子について、図面を参照しながら説明する。図1は本
発明に用いられる一般的な有機電界発光素子の構造例を
模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽極、4は
正孔輸送層、5は電子輸送層、7は陰極を各々表わす。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、
石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィ
ルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリ
エステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポ
リスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成
樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必
要がある。基板のガスバリヤ性が低すぎると、基板を通
過する外気により有機電界発光素子が劣化することがあ
るので好ましくない。このため、合成樹脂基板のどちら
か片側もしくは両側に緻密なシリコン酸化膜等を設けて
ガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つであ
る。
【0029】基板1上には陽極2が設けられるが、陽極
2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものであ
る。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケ
ル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/また
はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロ
ゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3-メ
チルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導
電性高分子などにより構成される。陽極2の形成は通
常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われる
ことが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅など
の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒
子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバイン
ダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより
陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子
の場合は電解重合により直接基板1上に薄膜を形成した
り、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成す
ることもできる(Appl. Phys. Lett., 60 巻, 2711頁,
1992年)。陽極2は異なる物質で積層して形成すること
も可能である。陽極2の厚みは、必要とする透明性によ
り異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過
率を、通常、60%以上、好ましくは80%以上とすること
が望ましく、この場合、厚みは、通常、5 〜1000nm、好
ましくは10〜500nm 程度である。不透明でよい場合は陽
極2は基板1と同一でもよい。また、さらには上記の陽
極2の上に異なる導電材料を積層することも可能であ
る。
【0030】陽極2の上には正孔輸送層4が設けられ
る。正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極
からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効
率よく輸送することができる材料であることが必要であ
る。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可
視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大
きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製
造時や使用時に発生しにくいことが要求される。上記の
一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素
子にはさらに耐熱性が要求される。従って、Tgとして70
℃以上の値を有する材料が望ましい。
【0031】このような正孔輸送材料としては、例え
ば、1,1-ビス(4-ジ-p- トリルアミノフェニル)シクロ
ヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香
族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4,4'-
ビス[N-(1-ナフチル)-N- フェニルアミノ]ビフェニ
ルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の
縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開
平5−234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体
でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国
特許第4,923,774 号)、N,N'- ジフェニル-N,N'-ビス
(3-メチルフェニル)ビフェニル-4,4'-ジアミン等の芳
香族ジアミン(米国特許第4,764,625 号)、α, α,
α',α'-テトラメチル- α, α'-ビス(4-ジ-p- トリル
アミノフェニル)-p- キシレン(特開平3−269084号公
報)、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルア
ミン誘導体(特開平4−129271号公報)、ピレニル基に
芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−
175395号公報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニッ
トを連結した芳香族ジアミン(特開平4−264189号公
報)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4
−290851号公報)、チオフェン基で芳香族3級アミンユ
ニットを連結したもの(特開平4−304466号公報)、ス
ターバースト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号
公報)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号
公報)、フルオレン基で3級アミンを連結したもの(特
開平5−25473 号公報)、トリアミン化合物(特開平5
−239455号公報)、ビスジピリジルアミノビフェニル
(特開平5−320634号公報)、N,N,N-トリフェニルアミ
ン誘導体(特開平6−1972号公報)、フェノキサジン構
造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公
報)、ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開
平7−252474号公報)、ヒドラゾン化合物(特開平2−
311591号公報)、シラザン化合物(米国特許第4,950,95
0 号公報)、シラナミン誘導体(特開平6−49079 号公
報)、ホスファミン誘導体(特開平6−25659 号公
報)、キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの化
合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、各々、
混合して用いてもよい。
【0032】上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料
として、ポリビニルカルバゾールやポリシラン(Appl.
Phys. Lett. ,59巻,2760頁,1991年)、ポリフォスフ
ァゼン(特開平5−310949号公報)、ポリアミド(特開
平5−310949号公報)、ポリビニルトリフェニルアミン
(特開平7−53953 号公報)、トリフェニルアミン骨格
を有する高分子(特開平4−133065号公報)、トリフェ
ニルアミン単位をメチレン基等で連結した高分子(Synt
hetic Metals,55-57 巻,4163頁,1993年)、芳香族ア
ミンを含有するポリメタクリレート(J. Polym. Sci.,
Polym. Chem.Ed. ,21巻,969 頁,1983年)等の高分子
材料が挙げられる。
【0033】上記の正孔輸送材料を塗布法あるいは真空
蒸着法により前記陽極2上に積層することにより正孔輸
送層4を形成する。塗布法の場合は、正孔輸送材料を1
種または2種以上と、必要により正孔のトラップになら
ないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤とを添
加し、溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法など
の方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4
を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バ
インダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させる
ので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好
ましい。
【0034】真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真
空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当
な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを
加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き合っ
て置かれた基板1上の陽極2上に正孔輸送層4を形成さ
せる。正孔輸送層4の膜厚は、通常、10〜300nm 、好ま
しくは30〜100nm である。この様に薄い膜を一様に形成
するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。陽
極2と正孔輸送層4のコンタクトを向上させるために、
図2に示す様に、陽極バッファ層3を設けることが考え
られる。陽極バッファ層に用いられる材料に要求される
条件としては、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が
形成でき、熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移
温度が高く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度
としては 100℃以上が要求される。さらに、イオン化ポ
テンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正
孔移動度が大きいことが挙げられる。この目的のため
に、これまでにポルフィリン誘導体やフタロシアニン化
合物(特開昭63−295695号公報)、スターバスト型芳香
族トリアミン(特開平4−308688号公報)、ヒドラゾン
化合物(特開平4−320483号公報)、アルコキシ置換の
芳香族ジアミン誘導体(特開平4−220995号公報)、p-
(9-アントリル)-N,N-ジ-p- トリルアニリン(特開平
3−111485号公報)、ポリチエニレンビニレンやポリ−
p−フェニレンビニレン(特開平4−145192号公報)、
ポリアニリン(Appl. Phys. Lett., 64 巻,1245 頁, 19
94年参照)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜
(特開平8− 31573号公報)や、バナジウム酸化物、ル
テニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(第
43回応用物理学関係連合講演会,27a-SY-9,1996年)が
報告されている。
【0035】上記陽極バッファ層材料としてよく使用さ
れる化合物としては、ポルフィリン化合物またはフタロ
シアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金
属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。好ま
しいこれらの化合物の具体例としては、以下の化合物が
挙げられる:ポルフィン、5,10,15,20- テトラフェニル
-21H,23H- ポルフィン、5,10,15,20- テトラフェニル-2
1H,23H- ポルフィンコバルト(II)、5,10,15,20- テト
ラフェニル-21H,23H- ポルフィン銅(II)、5,10,15,20
- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィン亜鉛(II)、5,
10,15,20- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィンバナジ
ウム(IV)オキシド、5,10,15,20- テトラ(4-ピリジ
ル)-21H,23H- ポルフィン、29H,31H-フタロシアニン、
銅(II)フタロシアニン、亜鉛(II)フタロシアニン、
チタンフタロシアニンオキシド、マグネシウムフタロシ
アニン、鉛フタロシアニン、銅(II)4,4',4'',4'''-テ
トラアザ-29H,31H- フタロシアニンである。
【0036】陽極バッファ層の場合も、正孔輸送層と同
様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さ
らに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD
法が用いられる。以上の様にして形成される陽極バッフ
ァ層3の膜厚は、通常、3 〜100nm 、好ましくは10〜50
nmである。正孔輸送層4の上には電子輸送層5が設けら
れる。電子輸送層5は、電界を与えられた電極間におい
て陰極からの電子を効率よく正孔輸送層4の方向に輸送
することができる化合物より形成される。電子輸送層5
に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極7からの
電子注入効率が高く、かつ、注入された電子を効率よく
輸送することができる化合物であることが必要である。
そのためには、電子親和力が大きく、しかも電子移動度
が大きく、さらに安定性に優れトラップとなる不純物が
製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求
される。
【0037】このような条件を満たす材料としては、テ
トラフェニルブタジエンなどの芳香族化合物(特開昭57
− 51781号公報)、8−ヒドロキシキノリンのアルミニ
ウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、
10- ヒドロキシベンゾ[h] キノリンの金属錯体(特開平
6−322362号公報)、混合配位子アルミニウムキレート
錯体(特開平5−198377号公報、特開平5−198378号公
報、特開平5−214332号公報、特開平6−172751号公報
シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公
報)、ペリノン誘導体(特開平2−289676号公報)、オ
キサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報)、ビ
ススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、
同2−222484号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−18
9890号公報、同3− 791号公報)、クマリン化合物(特
開平2−191694号公報、同3− 792号公報)、希土類錯
体(特開平1−256584号公報)、ジスチリルピラジン誘
導体(特開平2−252793号公報)、p−フェニレン化合
物(特開平3− 33183号公報)、チアジアゾロピリジン
誘導体(特開平3− 37292号公報)、ピロロピリジン誘
導体(特開平3− 37293号公報)、ナフチリジン誘導体
(特開平3−203982号公報)、シロール誘導体(日本化
学会第70春季年会,2D1 02及び2D1 03,1996年)などが
挙げられる。
【0038】電子輸送層5の膜厚は、通常、10〜200 n
m、好ましくは30〜100 nmである。電子輸送層も正孔輸
送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真
空蒸着法が用いられる。素子の発光効率を向上させると
ともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシ
キノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマ
リン等のレーザ用蛍光色素をドープすること(J. Appl.
Phys., 65巻, 3610頁, 1989年)等が行われている。こ
の方法の利点は、 1)高効率の蛍光色素により発光効率が向上すること、 2)蛍光色素の選択により発光波長が可変であること、 3)濃度消光を起こす蛍光色素も使用可能であること、 4)薄膜性のわるい蛍光色素も使用可能であること、 等が挙げられる。
【0039】素子の駆動寿命を改善する目的において
も、前記電子輸送材料をホスト材料として、蛍光色素を
ドープすることは有効である。例えば、8−ヒドロキシ
キノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体をホスト材
料として、ルブレンに代表されるナフタセン誘導体(特
開平4−335087号公報)、キナクリドン誘導体(特開平
5− 70773号公報)、ペリレン等の縮合多環芳香族環
(特開平5−198377号公報)を、ホスト材料に対して
0.1〜10重量%ドープすることにより、素子の発光特
性、特に駆動安定性を大きく向上させることができる。
ホスト材料としては、例えば、電子輸送層5がその役割
を果たす場合、前述の電子輸送性化合物が挙げられ、正
孔輸送層4がホスト材料としての役割を果たす場合、前
述の芳香族アミン化合物やヒドラゾン化合物が挙げられ
る。
【0040】前記一般式(I)で表される化合物は、溶
液状態で強い蛍光を示し、ホスト材料にドープされた場
合素子の発光効率が向上する。さらに、前記化合物はホ
スト材料にドープされた場合、600nm より長波長の可視
光を効率よく得ることができる。前記一般式(I)で表
される化合物がドープされる領域は電子輸送層および/
または正孔輸送層、あるいはその一部分であってもよ
く、上記化合物がホスト材料に対してドープされる量は
10-3〜10モル%が好ましい。前記一般式(I)で表され
る化合物が電子輸送層5にドープされる場合は、塗布法
あるいは真空蒸着法により、前記正孔輸送層4の上に積
層することにより形成される。
【0041】塗布の場合は、電子輸送化合物と、前記一
般式(I)で表される化合物、さらに必要により、電子
のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂
や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加
し溶解した塗布溶液を調整し、スピンコート法などの方
法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥して電子輸送層
5を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネ
ート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。
バインダー樹脂は添加量が多いと電子移動度を低下させ
るので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好まし
い。
【0042】真空蒸着法の場合には、電子輸送材料を真
空容器内に設置されたるつぼに入れ、前記一般式(I)
で表される化合物を別のるつぼに入れ、真空容器内を適
当な真空ポンプで10-6Torr程度にまで排気した後、各々
のるつぼを同時に加熱して蒸発させ、るつぼと向き合っ
て置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法とし
て、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のる
つぼを用いて蒸発させてもよい。上記ドーパントが正孔
輸送層および/または電子輸送層中にドープされる場
合、各層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜
厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、
正孔輸送層との界面近傍にのみドープしたり、逆に、陰
極界面近傍にドープしてもよい。本発明においては、以
上の様に、有機電界発光素子の前述の正孔輸送層および
/または電子輸送層のドープ材料として、前記一般式
(I)で表される化合物を用いることにより、安定した
発光特性をもたらす。
【0043】有機電界発光素子の発光効率をさらに向上
させる方法として、電子輸送層5の上にさらに電子注入
層6を積層することもできる(図3参照)。この電子注
入層6に用いられる化合物には、陰極からの電子注入が
容易で、電子の輸送能力がさらに大きいことが要求され
る。この様な電子輸送材料としては、既に電子輸送層材
料として挙げた8−ヒドロキシキノリンのアルミ錯体、
オキサジアゾール誘導体(Appl. Phys. Lett., 55 巻,
1489頁, 1989年他)やそれらをポリメタクリル酸メチル
(PMMA)等の樹脂に分散した系(Appl. Phys. Let
t. ,61巻,2793頁, 1992年)、フェナントロリン誘導
体(特開平5−331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N'
- ジシアノアントラキノンジイミン(Phys. Stat. Sol.
(a),142巻, 489 頁, 1994年)、n型水素化非晶質炭
化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げ
られる。電子注入層6の膜厚は、通常、5 〜200nm 、好
ましくは10〜100 nmである。
【0044】陰極7は、電子輸送層5に電子を注入する
役割を果たす。陰極7として用いられる材料は、前記陽
極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効
率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好
ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウ
ム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合
金が用いられる。陰極7の膜厚は通常、陽極2と同様で
ある。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、
この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金
属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的の
ために、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、金、白
金等の金属が使われる。
【0045】陰極と電子輸送層または電子注入層のコン
タクトを向上させるために、両者の間に界面層を設ける
ことを行ってもよい。この陰極界面層に用いられる化合
物としては、芳香族ジアミン化合物(特開平6−267658
号公報)、キナクリドン化合物(特開平6−330031号公
報)、ナフタセン誘導体(特開平6−330032号公報)、
有機シリコン化合物(特開平6−325871号公報)、有機
リン化合物(特開平5−325872号公報)、N−フェニル
カルバゾール骨格を有する化合物(特開平8−60144号
公報)、N−ビニルカルバゾール重合体(特開平8− 6
0145号公報)等で構成された層が例示できる。界面層の
膜厚は、通常、2 〜100nm 、好ましくは5〜30nmであ
る。界面層を設ける代わりに、電子輸送層及び電子注入
層の陰極界面近傍に上記界面層の材料を50重量%以上含
む領域を設けてもよい。
【0046】尚、図1とは逆の構造、すなわち、基板上
に陰極7、電子輸送層5、正孔輸送層4、陽極2の順に
積層することも可能であり、既述したように少なくとも
一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界
発光素子を設けることも可能である。同様に、図2から
図3に示した前記各層構成とは逆の構造に積層すること
も可能である。本発明は、有機電界発光素子が、単一の
素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と
陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれ
においても適用することができる。
【0047】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例の記載に限定されるものではない。 [化合物(5)の製造例]下記化合物16.8g を
【0048】
【化10】
【0049】ニトロベンゼン200ml に仕込み、140 ℃ま
で昇温し、同温度で臭素8.4gを滴下した。滴下終了後、
140 〜145 ℃で攪拌下1 時間反応した。反応後、室温ま
で冷却し、メタノール200ml を添加し、1 時間反応後、
析出した結晶を濾過した。メタノール及び水で洗浄後乾
燥し、暗赤色結晶20.3g を得た。この物を、N,N−ジ
メチルホルムアミドにより再結晶精製し、モノブロモ体
を得た。次に、このモノブロモ体2.00g 、ジフェニルア
ミン0.99g、炭酸カリウム1.08g、銅粉0.90gを20mlの
ニトロベンゼンに加え、窒素下、180 ℃で14時間反応さ
せた。反応終了後、不溶物を濾過により除去したニトロ
ベンゼン溶液を水蒸気蒸留法を用いてニトロベンゼンを
留去した。析出した赤茶色粗生成物をトルエンに溶解さ
せ、無水硫酸マグネシウムで一晩乾燥させた後、溶媒を
留去し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー
により精製して、0.20gの赤色粉末状の化合物(5)
【0050】
【化11】
【0051】を得た。収率は8 %であった。融点を測定
したところ 338℃であった。この化合物の質量分析を行
ったところ分子量が 503であり、さらにIRスペクトル
(図4)、1 H−NMRスペクトル(図5)により目的
化合物であることを確認した。上記の化合物(5)をク
ロロホルム溶媒中に1 ミリモル/リットルの濃度で溶か
した溶液を、水銀ランプ(波長350nm )で励起して測定
した蛍光測定の結果、640nm で赤色の蛍光を示した。
【0052】実施例1 図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法
で作製した。ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物
(ITO)透明導電膜を 120nm堆積したもの(ジオマテ
ック社製;電子ビーム成膜品;シート抵抗15Ω)を通常
のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて 2
mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。
パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波
洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる
超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後
に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内に設置し
た。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、
装置内の真空度が2x10-6Torr(約2.7x10-4Pa)以下にな
るまで液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプを用いて
排気した。正孔輸送層材料として、以下に示す4,4'- ビ
ス[N-(1-ナフチル)-N- フェニルアミノ]ビフェニル
(H−1)を
【0053】
【化12】
【0054】上記装置内に配置されたセラミックるつぼ
に入れ、るつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して
蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、245 〜250 ℃
の範囲で制御した。蒸着時の真空度は蒸着時の真空度は
2.2x10-6Torr(約2.9x10-4Pa)で、蒸着速度 0.1〜0.3n
m /秒で膜厚60nmの正孔輸送層4を得た。引続き、電子
輸送層5の材料として、以下の構造式に示すアルミニウ
ムの8−ヒドロキシキノリン錯体、Al (C9 6
O)3 (E−1)、
【0055】
【化13】
【0056】およびドープする化合物として前記化合物
(5)を、各々、別々のるつぼを用いて、同時に加熱し
て蒸着を行った。この時の各るつぼの温度は、アルミニ
ウムの8−ヒドロキシキノリン錯体に対しては 296〜30
7 ℃の範囲、化合物(5)に対しては214 〜216 ℃の範
囲で制御した。蒸着時の真空度は1.6 ×10-6Torr(約2.
1 ×10-4Pa)、蒸着速度は0.3 〜0.54nm/秒で、蒸着時
間は3分であった。結果として、膜厚75.5nmで化合物
(5)が錯体(E−1)に対して0.5 重量%ドープされ
た電子輸送層が得られた。
【0057】上記の正孔輸送層4及び電子輸送層5を真
空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。ここで、電
子輸送層5までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着
装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクと
して 2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2の
ITOストライプとは直交するように素子に密着させ
て、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして
装置内の真空度が2 ×10-6Torr(約2.7 ×10-4Pa)以下
になるまで排気した。続いて、陰極4として、マグネシ
ウムと銀の合金電極を2元同時蒸着法によって膜厚110n
m となるように蒸着した。蒸着はモリブデンボートを用
いて、真空度6.8 ×10-6Torr(約9.0 ×10-4Pa)、蒸着
時間5 分34秒で行った。また、マグネシウムと銀の原子
比は10:1.4 とした。以上のマグネシウム・銀合金の陰
極の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
【0058】以上の様にして、2mm ×2mm のサイズの発
光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この
素子の発光特性を、輝度が1cd/m2となる発光開始電圧、
250mA /cm2 の電流密度での発光輝度、 100cd/m2での
発光効率、輝度−電流密度特性の傾き、100cd /m2での
電圧について表7に示す。
【0059】
【表7】
【0060】この素子は、赤色の一様な発光を示し、発
光のピーク波長は600nm であった。ホスト材料の発光の
ピーク波長は、530nm で緑色である。(後述比較例1参
照)。したがって、化合物(5)をドープすることによ
り発光波長を変えることができ、長波長の発光を効率よ
く得ることができた。また、作製した素子を乾燥窒素中
(25℃、湿度3 %)で保存し、30日後、60日後、90日
後、120 日後の発光特性を表8に示す。120 日保存して
も、素子の発光特性の劣化は見られず、高い安定性を示
した。
【0061】
【表8】
【0062】比較例1 電子輸送層に前記化合物(5)をドープしなかったこと
以外は実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し
た。この素子は、530nm に発光のピーク波長を持ち、緑
色の一様な発光を示した。輝度が1cd/m2となる発光開始
電圧は3V、250mA /cm2 の電流密度での発光輝度は9482
cd/m2、 100cd/m2での発光効率は1.82lm/W、輝度−電
流密度特性の傾きは3.47、100cd /m2での電圧は6Vであ
った。
【0063】比較例2 電子輸送層に化合物(5)をドープする代わりに、フェ
ノキサゾン9(D−1)を
【0064】
【化14】
【0065】4.3 重量%ドープしたこと以外は実施例1
と同様にして有機電界発光素子を作製した。この素子
は、575nm に発光のピーク波長を持ち、黄色味を帯びた
オレンジ色の発光を示した。輝度が1cd/m2となる発光開
始電圧は10V 、 100cd/m2での発光効率は0.01lm/Wであ
った。 比較例3 電子輸送層に化合物(5)をドープする代わりに、DC
M(D−2)を
【0066】
【化15】
【0067】5 重量%ドープしたこと以外は実施例1と
同様にして有機電界発光素子を作製した。この素子は、
600nm に発光のピーク波長を示したが、発光輝度は低
く、100cd/m2での発光効率は0.33lm/Wであった。
【0068】
【発明の効果】本発明により、長波長領域、特に赤色領
域に蛍光を有するチオキサンテン誘導体を得ることがで
きる。本発明のチオキサンテン誘導体を含有することに
より、赤色蛍光材料を得ることができる。本発明が提供
するチオキサンテン誘導体を含有する正孔輸送層および
/または電子輸送層を有することにより、長波長、特に
赤色の可視発光特性の向上した有機電界発光素子を得る
ことができる。従って、本発明による有機電界発光素子
はフラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュ
ータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生か
した光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや
計器類のバックライト光源)、鮮明な赤色発光体として
の特徴を生かした光源(例えば計器類の警告表示光
源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的
価値は大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機電界発光素子の一例を示した模式断面図。
【図2】有機電界発光素子の別の例を示した模式断面
図。
【図3】有機電界発光素子の別の例を示した模式断面
図。
【図4】本発明で合成した化合物(5)の赤外吸収スペ
クトル。
【図5】本発明で合成した化合物(5)の1 H−NMR
スペクトル。
【符号の説明】
1 基板 2 陽極 3 陽極バッファ層 4 正孔輸送層 5 電子輸送層 6 電子注入層 7 陰極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 (式(I)中、R1 〜R6 のうち、 少なくとも1つは、以下に示すジアリールアミノ基(I
    I) 【化2】 (式(II)中、Ar1 とAr2 は、それぞれ独立して下
    記一般式(III )から(IX) 【化3】 で表される基である。)であり、 残りの基は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原
    子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有
    していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよ
    いアラルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル
    基、置換基を有していてもよいアルキニル基、シアノ
    基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有し
    ていてもよいアミド基、ニトロ基、置換基を有していて
    もよいアシル基、置換基を有していてもよいアルコキシ
    カルボニル基、置換基を有していてもよいカルボキシル
    基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、
    水酸基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基ま
    たは芳香族複素環基を表す。)で表されるチオキサンテ
    ン誘導体を含有する蛍光材料。
  2. 【請求項2】 基板上に、陽極及び陰極により挟持され
    た正孔輸送層または電子輸送層を少なくとも含む有機電
    界発光素子であって、正孔輸送層および/または電子輸
    送層が、請求項1記載のチオキサンテン誘導体を含有す
    ることを特徴とする有機電界発光素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のチオキサンテン誘導体。
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