JP5499992B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池 - Google Patents

非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水系電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池、および該電池の正極材料として用いられる非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法に関する。
携帯電話やノート型パソコンなどの携帯機器の普及にともない、さらに高いエネルギ密度を有する小型で軽量な二次電池が必要とされている。このような特性を備える二次電池として、非水系電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池があり、その研究開発が盛んに行われている。
また、自動車分野では、資源、環境問題に対応できる電気自動車やハイブリッド自動車に対する関心が高まってきており、これらの自動車にはモータ駆動用の電源として二次電池が必要とされている。このような自動車用途に適用可能な二次電池として、安価で、容量が大きく、さらにはサイクル特性および出力特性も良好なリチウムイオン二次電池の出現が望まれている。
リチウムイオン二次電池の正極材料として用いられる正極活物質としては、主として、リチウム(Li)イオンが脱離挿入しうるリチウム含有複合酸化物が用いられる。
このようなリチウム含有複合酸化物の中でも、特に合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギ密度を有する電池として期待され、その実用化が進められている。このリチウムコバルト複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池に関しては、すぐれた初期容量特性やサイクル特性を得るための開発がすでに数多く行われている。
しかしながら、リチウムコバルト複合酸化物は、主原料に希産で高価なコバルト(Co)化合物を用いているため、電池のコストアップの原因となっている。実際、リチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池の容量あたりの単価は、二次電池としてすでに実用化されているニッケル水素電池の約4倍と高くなっている。このため、リチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用いた二次電池が適用される用途は、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯機器分野に用いられる小型二次電池にもっぱら限定されているのが実情である。
正極活物質のコストを下げ、より安価な電池の製造を可能とすることは、すでに普及している小型二次電池としての用途だけでなく、リチウムイオン二次電池の適用を、電力貯蔵用や自動車用などの大型二次電池としての用途にまで拡大することが可能となることから、工業的に大きな意義を持つといえる。 このため、正極材料として、リチウムコバルト複合酸化物の代替材料の開発が要望されている。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質として新たに提案されている材料としては、Coよりも安価なマンガン(Mn)を用いたリチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)や、ニッケル(Ni)を用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)をあげることができる。
リチウムマンガン複合酸化物は、原料が安価であるうえ、熱安定性、特に、発火などについての安全性にすぐれるため、有力な代替材料であるといえるが、理論容量がリチウムコバルト複合酸化物のおよそ半分程度しかないため、年々高まるリチウムイオン二次電池の高容量化の要求に応えるのが難しいという欠点を有している。また、45℃以上では、自己放電が激しく、充放電寿命も低下してしまうという問題もある。
一方、リチウムニッケル複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物よりも高い理論容量を持ち、リチウムコバルト複合酸化物よりもやや低い電池電圧を示す。このため、電解液の酸化による分解が問題になりにくく、より高容量が期待できることから、その開発が盛んに行われている。
しかしながら、Niを他の元素で置換せずに、純粋にNiのみで構成したリチウムニッケル複合酸化物を正極材料として用いたリチウムイオン二次電池は、リチウムコバルト複合酸化物を用いたものと比べて、サイクル特性に劣ってしまう。また、高温環境下で使用されたり保存されたりした場合に、比較的電池性能を損ないやすいという欠点も有している。
このような欠点を解決するために、たとえば、特許文献1では、リチウムイオン二次電池の自己放電特性やサイクル特性を向上させることを目的として、LixNiaCobc2(0.8≦x≦1.2、0.01≦a≦0.99、0.01≦b≦0.99、0.01≦c≦0.3、0.8≦a+b+c≦1.2、Mは、Al、V、Mn、Fe、CuおよびZnから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウム含有複合酸化物が提案されている。
また、特許文献2では、高温環境下で保存したり充放電を繰り返したりした場合でも、高容量が維持され、かつ、良好なサイクル特性が得られることを目的として、ホウ素(B)が添加されたLiwNixCoyz2(0.05≦w≦1.10、0.5≦x≦0.995、0.005≦z≦0.2、x+y+z=1)で表されるリチウム含有複合酸化物が提案されている。
しかしながら、上記したNiの一部を他元素で置換したのみのリチウムニッケル複合酸化物では、リチウムコバルト複合酸化物に比べて、充電容量、放電容量ともに高く、サイクル特性も改善されているが、満充電状態で高温環境下に放置しておくと、リチウムコバルト複合酸化物に比べて低い温度から酸素放出を伴ってしまう問題がある。
リチウムニッケル複合酸化物の熱的安定性を向上させることを目的として、たとえば特許文献3において、Coとチタン(Ti)を含むリチウムニッケル複合酸化物Li1+ZNi1-x-yCoxTiy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.03≦y≦0.08、−0.05≦z≦0.10)が提案されている。このリチウムニッケル複合酸化物は、Ni塩とCo塩の混合水溶液と硫酸チタニルの水溶液に、アルカリ溶液を加えて共沈させることによって得たニッケル複合水酸化物Ni1-x-yCoxTiy(OH)2を、300℃以上、900℃未満の温度で熱処理し、得られたニッケル複合酸化物とLi化合物とを混合し、650℃以上、800℃以下の温度で熱処理することによって、得られている。
特許文献3の提案では、酸化力の強いTiでNiを置換させることで、リチウムイオン電池の正極材料として用いた場合に、電池の熱安定性の向上を図ることができるとしている。また、4価で安定するTiでNiを置換することによりNiの一部が3価から2価で安定化するために、Niを別元素に置換したことによる電池の初期容量の低下を防止することができるとしている。
特許文献3で提案されているリチウムニッケル複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物に比べて、充電容量、放電容量がともに高く、かつ、従来のリチウムニッケル複合酸化物に比べて熱安定性も改善されている。しかしながら、従来の製造方法によって製造すると、内部抵抗が大きくなってしまい、電気自動車用途において必要とされる出力特性が十分には得られていない。
その原因は、主として、正極活物質の導電性が低く、かつ、Liイオンの拡散性が十分でないことにある。このため、電池を構成する際、十分な導電性を確保するために正極活物質とともに混合する導電材の量を増やさざるを得ず、その結果として、このリチウムニッケル複合酸化物を正極材料とする電池では、電池全体としての質量あたりの容量および体積あたりの容量が小さくなってしまうのである。
さらに、特許文献4において、層状型の結晶構造を有するリチウム含有複合酸化物からなる粉末状正極活物質が提案されている。このリチウム含有複合酸化物は、原料を可燃性液体中に懸濁させたサスペンション、または該原料を溶媒中に溶解させた溶液を可燃性液体中に乳濁させたエマルジョンを、酸素を含む雰囲気中で液滴状に噴霧して、液滴中の可燃性液体を燃焼させることにより、該液滴を加熱処理して、液滴中の原料を反応させることにより酸化物粉末となし、次いで該酸化物粉末を400℃〜1000℃に再加熱することにより、得られている。
この粉末状活物質は、均一な組成を有し、粒子径が小さく、酸素欠損もなく、かつ、高電流密度で充放電を繰り返してもその容量劣化がほとんどないとされている。しかしながら、高電流密度におけるサイクル特性の改善については報告されているものの、出力特性に関する報告はなく、その効果は不明である。また、得られた粉末状活物質の粒子径は小さいものの、粒子径の均一性が十分でなく微細粒子が含まれることから、微細粒子への電流集中による電池特性の劣化や熱安定性の低下が予想される。
以上のように、電力貯蔵用や自動車用などの大型二次電池としての用途にまで拡大が期待されている現状においては、非水系電解質二次電池の正極材料として用いた場合に、高容量で、熱安定性および出力特性にすぐれ、かつ、低コストである、リチウムニッケル複合酸化物からなる正極活物質の開発が望まれている。
特開平8−213015号公報 特開平8−45509号公報 特開2007−265784号公報 特開平9−320603号公報
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、非水系電解質二次電池の正極材料として用いた場合に、内部抵抗が小さく、出力特性にすぐれるとともに、高い熱安定性を有し、かつ高容量であるリチウムイオン二次電池を得ることができる正極活物質を提供することを目的としている。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式:Li1+zNi1-x-yCoxTiy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08、−0.05≦z≦0.10)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の一次粒子により構成された略球状の二次粒子からなり、該二次粒子の平均粒径が1.0μm〜4.0μmであり、かつ、粒度分布幅sdが2.0μm以下であることを特徴とする。
前記二次粒子の比表面積は、4.0m2/g〜7.0m2/gであることが好ましい。
また、前記リチウムニッケル複合酸化物における、3a、3b、6cの各サイトを[Li1+z3a[Ni1-x-yCoxTiy3b[O26cで表示した場合、該リチウムニッケル複合酸化物のX線回折のリートベルト解析から得られた3aサイトにおけるリチウム席占有率が98%以上であることが好ましい。
さらに、正極材料として用いた場合に、電池の初期放電容量が200mAh/g以上となることが好ましい。
このような本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、第1の態様として、ニッケルとコバルトが固溶した化合物とチタン化合物との複合造粒体を焙焼して、一般式:Ni1-x-yCoxTiy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08)で表される平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合酸化物粒子を得る第1の工程と、該ニッケル複合酸化物粒子とリチウム化合物とを混合し、690℃〜750℃の温度で焼成することにより、前記リチウムニッケル複合酸化物を得る第2の工程を有する製造方法により得ることができる。
本発明の製造方法の第1の態様においては、前記ニッケルとコバルトが固溶した化合物とチタン化合物との複合造粒体を、該ニッケルとコバルトが固溶した化合物および該チタン化合物を含有するスラリーを、該スラリー濃度を50g/L〜150g/L、気流体供給量/スラリー供給量の比を1000以上2200以下として噴霧乾燥することにより、平均粒径1.0μm〜4.0μmの範囲となるように得ることが好ましい。
また、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、第2の態様として、ニッケルとコバルトが固溶した化合物を焙焼して、一般式:Ni1-xCox2(ただし、0.10≦x≦0.23)で表される平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合酸化物粒子を得る第1の工程と、該ニッケル複合酸化物粒子とリチウム化合物およびチタン化合物とを混合し、690℃〜750℃の温度で焼成することにより前記リチウムニッケル複合酸化物を得る第2の工程とを有する製造方法により得ることもできる。
本発明の製造方法のいずれの態様においても、前記ニッケルとコバルトが固溶した化合物として、ニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液に錯化剤とアルカリ溶液を添加した反応液から、該反応液の温度を50℃〜80℃の範囲、pHを12以上の範囲に保持して、共沈により晶析させて得た、平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合水酸化物を用いることが好ましい。
もしくは、ニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液に錯化剤の非存在下でアルカリ溶液を添加した反応液から、該反応液の温度を60℃〜80℃の範囲、pHを11以上の範囲に保持して、共沈により晶析させて得た、平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合水酸化物を用いることが好ましい。
なお、前記チタン化合物として酸化チタンを用いることができる。
さらに、前記第2の工程で得られたリチウムニッケル複合酸化物を、質量比で1〜0.5の水と混合してスラリーとし、30分〜1時間の撹拌後、濾過、真空乾燥する第3の工程をさらに有することが望ましい。
本発明の非水系電解質二次電池は、上記の本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質を正極材料として用いた正極を備える点に特徴がある。
本発明の正極活物質を用いて非水系電解質二次電池を構成すれば、電池の内部抵抗を低減することができ、電池の高出力化が可能になる。さらに、本発明の非水系電解質二次電池は、最近の携帯電子機器などの小型二次電池に対する高容量化の要求を満足するとともに、自動車用途における大型二次電池に要求される熱安定性などの安全性をも確保したものとなっている。
また、本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法を用いれば、このような正極活物質を安定して低コストで製造することが可能となるため、本発明の工業的価値はきわめて大きいということができる。
図1は、実施例において正極活物質の初期容量評価に用いた2032型コイン電池を示す一部破断斜視図である。 図2は、交流インピーダンス測定によって得られるプロットを用いた2032型コイン電池の内部抵抗に関する説明図である。
本発明者は、非水系電解質二次電池の正極として用いた場合に高容量とすぐれた熱安定性を備える、コバルト(Co)とチタン(Ti)を含むリチウムニッケル複合酸化物の改善に関して鋭意検討したところ、内部抵抗が小さく、出力特性にすぐれ、かつ、高容量である二次電池を得るためには、該CoとTiを含むリチウムニッケル複合酸化物の平均粒径が小さく、かつ、その粒度分布幅が狭いことが必要であるとの知見を得たのである。
また、上記粒径および粒度分布を有するCoとTiを含むリチウムニッケル複合酸化物を得るためには、(1)リチウム(Li)化合物と、微細な粒径のニッケル複合酸化物とを混合したのち、特定温度で焼成する必要があること、(2)このような微細な粒径のニッケル複合酸化物は、晶析条件を制御した中和晶析により得られたニッケル複合水酸化物、もしくは、噴霧乾燥法により得た、このニッケル複合水酸化物とTi化合物との複合造粒体を、特定温度で焙焼することで得られるとの知見を得ることにより、本発明に至ったものである。
リチウムイオン二次電池における充放電反応は、正極活物質内のLiイオンが可逆的に挿抜(脱離挿入)されることで進行する。Liイオンの挿抜は、電解液を介して正極活物質の表面で行われるため、比表面積が大きいほどLiイオンの挿抜が容易となり、この挿抜に起因する抵抗が低下し、出力特性の向上が期待できる。
また、同じ電流量であれば正極活物質の比表面積が大きいほど活物質単位面積あたりの電流密度は小さくなり、Liイオンの拡散にとって有利に働く。したがって、正極活物質の粒径をできるだけ小さくし、比表面積を大きくした方が、Liイオンの拡散性にすぐれ、電極全体での電流密度を大きくした時の容量低下も小さくなる、すなわち、すぐれた負荷特性が得られることから、出力特性の向上が期待できる。
一方、正極活物質を構成する粒子の粒分布幅が広い場合には、Liイオンの挿抜抵抗が大きい粒径の大きな粒子と挿抜抵抗が小さい微粉が混在する状態となるため、微粉への電流集中による発熱や微粉の劣化による容量の低下が生じやすくなる。また、正極活物質中に含まれる微粉が多い場合には、正極形成に用いるペースト作製時にゲル化するおそれがある。特に、本発明の正極活物質では、平均粒径そのものが微細であるため、微粉が発生しやすく、その弊害の発生する可能性が高くなる。
すなわち、平均粒径を細かくするとともに、粒分布幅を狭くすることにより、容量の低下を抑制しながら、出力特性を向上させることが可能となるとともに、熱安定性も向上させることができる。
したがって、本発明においては、非水系電解質二次電池用正極活物質を、一般式:Li1+zNi1-x-yCoxTiy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08、−0.05≦z≦0.10)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の一次粒子が凝集した略球状の二次粒子から構成するとともに、該二次粒子の平均粒径を1.0μm〜4.0μm、好ましくは1.5μm〜3.0μmとし、かつ、SD法による粒度分布幅(粒度分布幅sd)を2.0μm以下、好ましくは1.5μm以下とする。
上記二次粒子の平均粒径が1.0μm未満であると、電池の正極を形成したときに正極活物質の充填密度が低下して、正極の容積あたりの電池容量が低下する。また、通常の焼成方法のみで得ることは難しく、何らかの粉砕工程を必要とすることから、工業上好ましくないだけでなく、粉砕により結晶内に欠陥が導入されることで電池特性が低下してしまう可能性がある。
一方、上記二次粒子の平均粒径が4.0μmを超えると、上記正極活物質の比表面積が減少して活物質単位面積あたりの電流密度は大きくなってしまう。また、電極全体での電流密度を大きくした時の容量低下が大きくなってしまうとともに、出力特性の低下を招くことになる。
また、粒度分布幅sdが2.0μmを超えると、正極活物質中に含まれる微粉量が多くなり、熱的安定性の低下や高電流密度における充放電時の容量低下が生じる。また、正極ペーストのゲル化が発生するおそれがある。粒度分布幅sdは小さいほど効果が大きく、下限は限定されるものではないが、粒度分布幅sdが0μmの状態、すなわち、完全に各粒子の粒径を同一にすることは困難であり、現実的な粒度分布幅sdの下限は0.1μm程度である。
ここで、平均粒径は、レーザ散乱式粒度分布測定にて得られた体積累積カーブが50%となる点の粒径(メディアン径;d50)と定義される。また、SD法による粒度分布幅(粒度分布幅sd)は、(体積累積カーブが84%となる点の粒径−体積累積カーブが16%となる点の粒径)/2として定義される。
以下、本発明の実施形態について、構成要素ごとにそれぞれ詳しく説明する。本発明は、正極活物質、正極活物質の製造方法、非水系電解質二次電池から構成される。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明は、下記実施形態をはじめとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定されるものではない。
(1)正極活物質
本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式 Li1+zNi1-x-yCoxTiy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08、−0.05≦z≦0.10)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の粉末により構成される。
ここで、コバルト(Co)は、サイクル特性の向上に寄与する添加元素である。添加量を示す上記一般式におけるxの値が0.10未満であると、十分なサイクル特性を得ることはできず、電池における容量維持率も低下してしまう場合がある。一方、xの値が0.21を超えると、電池における初期放電容量の低下が大きくなる。また、高価なCoの量が増加することとなり、コストの観点からも好ましくない。
チタン(Ti)は、酸素と強固に結合して結晶を安定化させ、熱安定性を改善するとともに、ニッケル(Ni)価数を3価から2価に安定させ、電池の初期容量の低下を防止する元素である。添加量を示す上記一般式におけるyの値が0.01未満であると、結晶を安定化させる効果が十分でなく、高い熱安定性が得られない。一方、yの値が0.08を超えると、酸化還元反応に寄与するNiが減少して電池とした場合に十分な容量が得られない。また、結晶成長が抑制されて結晶性が十分に得られない場合がある。
リチウム(Li)とLi以外の金属元素との原子数比(Li/M)の範囲を示す上記一般式におけるzの値が−0.05より小さいと、Liサイトに混入するLi以外の金属元素が多くなり、電池に用いた場合の特性が低下する。一方、zの値が0.10を超えると、余剰のLiが多く、粒子表面に存在するLiが多くなるため、電池特性の低下を引き起こすとともに、十分な熱安定性が得られない。
上記リチウムニッケル複合酸化物は、上記平均粒径および粒度分布幅を満足すれば一次粒子が含まれてもよいが、一次粒子により構成された略球状の二次粒子からなることが好ましい。二次粒子は、一次粒子が凝集して形成されたものであり、二次粒子を形成する一次粒子の形状、大きさの種類については本発明では問われることはない。ただし、一次粒子の結晶構造は、菱面体晶であり、かつ、層状構造を備えることが好ましい。層状構造とは、具体的には、リチウムと、リチウム以外の金属元素と酸素が積層された構造をいうが、この層状構造を採ることにより、電流密度を大きくした時でも、容量劣化が抑制され、サイクル特性が改善される。なお、該二次粒子は一次粒子の焼結体であることが好ましい。焼結体とすることで充放電サイクル時の微粉の発生を防止して容量低下を抑制することができる。
また、上記二次粒子は略球状であることが好ましい。略球状とすることで電池の正極活物質の充填度が高くなり、体積あたりの電池向上させることができる。なお、略球状には、球状のもののほか、楕円形状などの実質的に球状と判断されうる形状が含まれる。
さらに、上記正極活物質の比表面積は、4.0m2/g〜7.0m2/gであることが好ましい。比表面積が4.0m2/g未満になると、正極活物質と電解液との接触が十分でなく、出力特性の向上が十分に得られない場合がある。一方、比表面積が7.0m2/gを超えると、正極ペーストのゲル化が発生するおそれがある。なお、ここでいう比表面積は、BET法により測定されたものをいう。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、層状構造が維持され結晶性が良好であることが好ましく、リチウムニッケル複合酸化物における3a、3b、6cの各サイトを[Li1+z3a[Ni1-x-yCoxTiy3b[O26cで表示した場合、該リチウムニッケル複合酸化物のX線回折のリートベルト解析から得られた3aサイトにおけるリチウム席占有率が98%以上、好ましくは99%以上であることが好ましい。該サイト占有率が98%未満になると、電池に用いた場合に電池容量が十分に得られない。
具体的には、本発明の組成、二次粒子の平均粒径、粒度分布幅を備える正極活物質であっても、上記の3aサイトにおけるリチウム席占有率が98%未満になった場合、該正極活物質を正極材料として用いて2032型コイン電池を作製した場合、該2032型コイン電池において、200mAh/g以上の初期放電容量が得られない場合がある。なお、正極材料として用いた場合の初期放電容量は、207mAh/g以上となることが好ましい。
(2)正極活物質の製造方法
以下、本発明の正極活物質の製造方法について、工程ごとに詳細に説明する。
(2−1)第1の工程
第1の工程は、NiとCoが固溶した化合物、およびTi化合物の複合造粒体を焙焼して、一般式:Ni1-x-yCoxTiy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08)で表される平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合酸化物粒子を得る工程である。
または、NiとCoが固溶した化合物を焙焼して、一般式:Ni1-xCox2(ただし、0.10≦x≦0.23)で表される平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合酸化物粒子を得る工程である。
従来のようにCoとTiを含むニッケル複合酸化物粒子は、晶析法を用いて共沈させたCoとTiを含むニッケル複合水酸化物を焙焼することでも得られるが、水溶性のTi化合物は、不安定であり加水分解あるいは酸化により、Tiの偏析が生じやすく、最終的に得られる正極活物質においても、特に粒子間においてTiの偏析が解消されず、該正極活物質を電池に用いた場合に十分な特性が得られない。
また、晶析時の加水分解あるいは酸化で生成した微粒子により、ニッケル複合水酸化物粒子の微粉が発生し、最終的に得られる正極活物質の粒度分布幅が悪化する。Ti化合物として硫酸チタニルを用いることにより上記Tiの加水分解あるいは酸化の影響はある程度まで改善されるが、この手段によっては、上記の問題が完全に解消され、電池に用いた場合に十分な特性が得られるまでに至ることができない。
本発明の製造方法においては、NiとCoが固溶した化合物(以下、NiCo固溶化合物と記載)にTi化合物を機械的に分散させ、均一に混合することにより、電池の特性を十分なものとすることができる。すなわち、上記Tiの加水分解あるいは酸化の影響が解消され、電池に用いた場合に十分な特性が得られる。
また、前記複合造粒体を焙焼して得られるニッケル複合酸化物(CoとTi含有)粒子、および前記NiCo固溶化合物を焙焼して得られるニッケル複合酸化物(Coのみ含有)粒子は、平均粒径1.0μm〜4.0μmであり、略球状であることが好ましい。該複合酸化物粒子の形骸は、後工程である焼成工程においてもほぼ維持されるため、該複合酸化物粒子の形骸を制御することで、最終的に得られるリチウムニッケル複合酸化物の二次粒子の平均粒径を1.0μm〜4.0μmとするとともに、略球状とすることができる。
一方、粒度分布幅は、焙焼および後工程の焼成時に微粉が優先的に焼結することにより改善されるが、リチウムニッケル複合酸化物の二次粒子の粒度分布幅sdをより確実に2.0μm以下とするためには、上記複合造粒体および複合酸化物粒子の粒度分布幅sdを2.0μm以下とすることが好ましい。
NiとCoは、後工程であるLi化合物との混合物の焼成時によっても十分に固溶しないため、あらかじめ上記複合酸化物粒子中で固溶させておく必要がある。前記NiCo固溶化合物を用いることで、NiとCoが十分に固溶している上記複合酸化物粒子が得られる。
Ti化合物は、上記焙焼および後工程である焼成によってNiおよびCoと固溶するため、NiCo固溶化合物と混合して前記複合造粒体中に含有させることで、焼成後にTiが十分に固溶したリチウムニッケル複合酸化物が得られる。
Ti化合物は、Li化合物が溶融した状態で焼成されると、より容易にNiおよびCoと固溶しやすい性質を持つことから、NiCo固溶化合物を焙焼して得たニッケル複合酸化物とLi化合物とともにTi化合物を混合し、焼成してもよい。特に、粉砕を行わず、1.0μm〜4.0μmの粒径を有するNiCo固溶化合物を用いる場合には、第1の工程でニッケル複合酸化物粒子を得て、Li化合物とともにTi化合物を混合し、焼成することが好ましい。
NiCo固溶化合物としては限定されないが、炭酸塩、炭酸塩水和物、水酸化物、オキシ水酸化物の中から選ばれる1種を用いることが好ましく、Coを含有するニッケル複合水酸化物が特に好ましい。また、Ti化合物として、酸化チタン、水酸化チタンの中から選ばれる1種を用いることが好ましく、入手および取扱いが容易な酸化チタンが特に好ましい。
上記の1.0μm〜4.0μmの平均粒径(d50)および2.0μm以下の粒度分布幅sdを有する、複合造粒体あるいはニッケル複合酸化物粒子を得る方法としては、たとえば、(a)晶析法により得られたCoを含有するニッケル複合水酸化物とTi化合物とを混合して複合造粒体を得るか、上記ニッケル複合水酸化物を単独で酸化焙焼して、ニッケル複合酸化物粒子を得る方法、(b)NiCo固溶化合物とTi化合物を含有するスラリーを噴霧乾燥する方法が用いられる。以下、晶析法および噴霧乾燥法に関して、詳細に説明する。
(a)晶析法
本発明における上記NiCo固溶化合物としてのCoを含有するニッケル複合水酸化物を得る方法の第1の態様は、Ni塩とCo塩の混合水溶液に錯化剤とアルカリ溶液を添加して反応液とし、該反応液の温度を50℃〜80℃の範囲、pHを12以上の範囲に保持して、共沈により、平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合水酸化物を晶析させるものである。
また、本発明における上記Coを含有するニッケル複合水酸化物を得る方法の第2の態様は、Ni塩とCo塩の混合水溶液に錯化剤の非存在下でアルカリ溶液を添加して反応液とし、該反応液の温度を60℃〜80℃の範囲、pHを11以上の範囲に保持して、共沈により、平均粒径1μm〜4μmのニッケル複合水酸化物を晶析させるものである。
NiとCoを共沈により晶析させて、上記一般式の組成比のニッケル複合水酸化物を得るためには、該組成比が高いNiについて晶析の反応液中におけるその溶解度を十分に高めておく必要がある。Niの溶解度は、反応液が低温になると低下するが、錯化剤を添加することで低温でもNiの溶解度を高めることができる。このため、錯化剤を用いる場合には、反応液の温度を50℃以上とすればNiとCoを該組成比で共沈により晶析させるに十分な溶解度が得られる。
一方、錯化剤の非存在下で晶析を行う場合には、錯化剤によるNiの溶解度の上昇効果がないため、温度を高めることによりNiの溶解度を高める必要がある。このため、反応液の温度を60℃以上とすることで、NiとCoを該組成比で共沈により晶析させるに十分な溶解度を得ることができる。
反応液の温度が錯化剤を用いた場合には50℃未満、錯化剤の非存在下の場合には60℃未満になると、Niの溶解度が十分に得られず、目的組成のニッケル複合水酸化物が得られない。また、上記組成比に合せるためにNiとCoの濃度を下げると、該複合水酸化物の結晶が十分に成長しない。
一方、上記いずれの場合においても、反応液の温度が80℃を超えると、水の蒸発量が多いためにスラリー濃度が高くなり、Niの溶解量が低下するうえ、反応液中に硫酸ナトリウムなどの結晶が発生し、不純物含有量が上昇するなど、電池の充放電容量の低下につながる問題が生じる。また、結晶核の発生が多く、微粉が増加するため、ニッケル複合水酸化物の粒度分布幅が広くなるとともに、平均粒径が1μm未満となってしまう。
反応液の温度を、錯化剤を用いた場合には50℃〜80℃に、錯化剤の非存在下の場合には60℃〜80℃に、それぞれ制御することで、微粉が少なく、結晶が成長した略球状のニッケル複合水酸化物を得ることができる。
また、反応液のpHは、錯化剤を用いた場合には12以上、錯化剤の非存在下の場合には11以上とすることが重要である。反応液のpHを高くすることで、晶析時の核発生を促進して、粒子径を小さくすることが可能となる。
錯化剤を用いた場合には、Niの溶解度が上昇するため、核発生が起こりにくい状態となり、pHをさらに高める必要がある。このため、錯化剤を用いた場合には、pHを12以上とすることで、核発生を促進して、平均粒径4μm以下のニッケル複合水酸化物を得ることができる。
一方、錯化剤の非存在下の場合には、Niの溶解度の上昇が生じないため、錯化剤を用いた場合と比べると核発生が起こりやすい状態となる。このため、pHを11以上とすることで、平均粒径4μm以下のニッケル複合水酸化物を得ることができる。
pHが錯化剤を用いた場合には12未満、錯化剤の非存在下の場合には11未満になると、核発生が少なく粗大な粒子が増加するため、平均粒径が4μmを超えるばかりか、粒度分布幅も悪化する。一方、pHの上限は、特に限定されるものではないが、13.5以下とすることが好ましい。pHが13.5を超えると、ニッケル複合水酸化物の晶析速度が速くなり、核発生も増加するため、平均粒径が1μm未満となる場合があるばかりか、反応液がゲル化して、固液分離が困難となる。
晶析時の温度およびpHを上記条件で制御することにより、平均粒径1.0μm〜4.0μm、かつ、粒度分布幅sdが2.0μm以下であり、上記一般式の組成比を有するニッケル複合水酸化物を得ることができる。
反応液のpHは、アルカリ溶液を添加することにより制御することができる。アルカリ溶液は、特に限定されるものではなく、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物水溶液を用いることができる。アルカリ金属水酸化物を、直接、混合水溶液に添加してもよいが、pH制御の容易さから、水溶液として添加することが好ましい。アルカリ溶液の添加方法も特に限定されるものではなく、反応液を十分に攪拌しながら、定量ポンプなどの流量制御が可能なポンプで、錯化剤の使用の有無によりpHが12以上もしくは11以上の範囲となるように添加すればよい。
Ni塩とCo塩の混合比は、上記ニッケル複合酸化物の一般式におけるNiとCoの原子比となるようにすればよく、NiとCoの混合水溶液の塩濃度は、各塩の合計で1mol/L〜2mol/Lとすることが好ましい。1mol/L未満であると、塩濃度が低く、ニッケル複合水酸化物の結晶が十分に成長しない。一方、2mol/Lを超えると、常温での飽和濃度を超えるため、結晶が再析出して配管を詰まらせるなどの危険があるうえ、結晶核の発生が多く、微細な粒子が多くなってしまう。
Ni塩およびCo塩としては、これらの硫酸塩、硝酸塩、または塩化物が好ましく用いられる。
錯化剤は、特に限定されるものではなく、水溶液中でNiイオンおよびCoイオンと結合して錯体を形成可能なものであればよい。たとえば、アンモニウムイオン供給体(アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、フッ化アンモニウムなど)、エチレンジアミン四酢酸、ニトリト三酢酸、ウラシル二酢酸およびグリシンがあげられる。
錯化剤の添加量は、反応液中のNiイオンおよびCoイオンと結合して錯体を形成するのに十分な量であればよく、反応液の塩濃度が1mol/L〜2mol/Lの場合には、反応後液中の濃度で5g/L〜10g/Lとすることが好ましい。
晶析における反応方式は、特に限定されるものではなく、バッチ方式を採ってもよいが、オーバーフローパイプを備えた反応槽に原料を供給して連続的に生成粒子を採取できる連続方式を採ることが、生産性、安定性の面から好ましい。
連続方式の場合、温度を一定に保持しながら、混合水溶液と錯化剤を反応槽に一定量供給するとともに、アルカリ溶液を添加してpHを制御し、反応槽内が定常状態になったのち、オーバーフローパイプより生成粒子を連続的に採取することが好ましい。また、混合水溶液と錯化剤をあらかじめ混合してから反応槽に供給することも可能であるが、錯化剤との混合時に、混合水溶液中にニッケル複合水酸化物が生成することを防止するため、混合水溶液と錯化剤は、個別に反応槽に供給することが好ましい。
いずれの反応方式を用いる場合においても、晶析中は均一な反応を維持するために、十分に攪拌することが好ましい。しかしながら、過度に撹拌すると、大気雰囲気を多量に巻き込み、水溶液中の塩が酸化することがあるので、反応を十分均一に維持できる程度に撹拌することが好ましい。また、晶析に用いる水は、不純物混入防止のため、純水などの可能な限り不純物含有量が少ない水を用いることが好ましい。
共沈により晶析させることで得られたニッケル複合水酸化物は、濾過したのち、水洗される。濾過は、通常用いられる方法でよく、たとえば、遠心機、吸引濾過機が用いられる。また、水洗は、通常行なわれる方法でよく、ニッケル複合水酸化物に含まれる余剰の塩基、非還元性錯化剤を除去できればよい。水洗で用いる水としては、不純物混入防止のため、可能な限り不純物含有量が少ない水を用いることが好ましい。
次に、上記複合造粒体を得る場合には、晶析によって得られたニッケル複合水酸化物とTi化合物を混合すればよい。また、Li化合物とともにTi化合物を混合して焼成する場合には、得られたニッケル複合水酸化物を酸化焙焼することでニッケル複合酸化物を得ることができる。
ニッケル複合水酸化物とTi化合物は、上記のCoとTiを含むニッケル複合酸化物の一般式におけるNi、CoおよびTiの原子比となるように混合する。また、ニッケル複合酸化物における粒子の形骸は、混合後の焼成においても維持されるので、該形骸が破壊されない範囲で、Ti化合物が均一に分散されるように十分混合する。
上記複合造粒体の粒子間におけるTiの偏在を抑制するためには、該複合造粒体に付着させるTi化合物は微粒子の状態になっていることが好ましい。一方、上記混合は、ニッケル複合酸化物の形骸を維持する程度で行われるため、Ti化合物は粉砕されない。したがって、用いられるTi化合物は、あらかじめ1.0μm以下の微粒子としておくことが好ましく、平均粒径として0.01μm〜0.1μmのTi化合物を用いることが好ましい。
混合に用いる装置は、一般的な混合機を使用することができ、たとえば、シェーカーミキサ、レーディゲミキサ、ジュリアミキサ、Vブレンダなどを用いることができる。
(b)噴霧乾燥法
本発明における上記複合造粒体を得る方法の第2の態様は、上記NiCo固溶化合物とTi化合物を含有するスラリーを、該スラリー濃度を50g/L〜150g/L、気流体供給量/スラリー供給量の比を1000以上2200以下として噴霧乾燥することにより、平均粒径1.0μm〜4.0μmの前記複合造粒体を得るものである。
前記NiCo固溶化合物としては、Coを含むニッケル複合水酸化物が特に好ましく、晶析法で共沈させたCoを含むニッケル複合水酸化物は、NiとCoが均一に固溶しているとともに、その製造方法も容易である。Coを含むニッケル複合水酸化物は、晶析法のほか、その他の公知の技術を用いても得ることができる。
上記噴霧乾燥法を用いた複合造粒体を得る方法では、上記一般式のNi、CoおよびTiの原子比となるように、NiCo固溶化合物およびTi化合物を純水、エタノール、アセトンなどの溶媒と混合し、スラリーを得る。一方、後工程においてTi化合物と混合することも可能であり、その場合にはNiCo固溶化合物のみのスラリーとすればよい。ここで、リチウムニッケル複合酸化物粒子中でのTiの固溶を十分なものとし、かつ、該粒子間での偏在を防止するため、スラリー中の上記各化合物の平均粒径は0.5μm以下とすることが好ましく、操作性を考慮すると0.1μm〜0.5μmの範囲とすることがより好ましい。平均粒径が0.5μmを超えると、その後の焙焼および焼成によっても、NIおよびCoとTiとの固溶が不十分となり、チタン酸化物などの異相が生成してしまうことがあり、好ましくない。
上記各化合物は、ビーズミルなどの湿式微粉砕機、ボールミル、気流衝撃解砕(ジェットミル)装置などを用いて、あらかじめ平均粒径が0.5μm以下まで粉砕したのち、上記溶媒中に投入して混合してスラリーを得る。これらの装置の中で、特にビーズミルは、粉砕とともにNi、CoおよびTiを上記溶媒中に均一に分散させることが同時にできるため、特に好ましい。
ビーズミルを用いた粉砕と溶媒への分散は、通常の条件で行うことができるが、メディアとしては、上記各化合物の平均粒径を0.5μm以下とすることができればよく、直径1mm以下のものを用いることが好ましく、0.3mm以下のものを用いることがより好ましい。また、メディアの材質としては、ガラス、アルミナ、ジルコニアなどを用いることができ、不純物の混入を防止するため、安定化ジルコニアなどの硬質材料を用いることが好ましい。
その後、得られたスラリーを噴霧乾燥させて、略球状の複合造粒体を得る。ここで、スラリーを噴霧乾燥させずに、通常の乾燥後に、直ちにLi化合物と混合して焼成し、リチウムニッケル複合酸化物を合成すると、微粉末が凝集した状態で合成が進むため、異形状の凝集2次粒子が多くなってしまい、要求される平均粒径、粒度分布幅を有した粒子が得られず、得られる粉末のタップ密度が低下する。
上記スラリー濃度は50g/L〜150g/Lであることが必要である。スラリー濃度が50g/L未満になると、液滴乾燥時の寸法変化が大きく粒径制御が十分行えない。また、蒸発水分量が膨大になるため、スラリー供給量を大幅に減らすか、または生産設備の乾燥塔を数倍に大きくすることが必要となり、生産性が低下してしまう。一方、スラリー濃度が150g/Lを超えると、スラリーの粘度が高くなり、ノズルの閉塞が起こりやすくなり、安定的に生産することが困難となる。
次に、上記のごとく調整したスラリーを、三流体ノズルまたは四流体ノズルを用いて噴霧乾燥する。三流体ノズルおよび四流体ノズルは公知であり、流路構成と噴霧方向がそれぞれ異なる。すなわち、三流体ノズルは、スラリー供給管から供給されるスラリーを第1の気流体供給管からの気流体により押出し、さらに第2の気流体供給管からの気流体により1つの出口から垂直真下の方向にスラリーの液滴を噴霧するものであり、構造が簡単であるため広く使用されている。一方、四流体ノズルは、円筒の外周に断面三角形状に突き出たノズル先端が環状に設けられ、そのノズル先端の上側と下側にそれぞれスラリー供給管と気流体供給管の噴射口が開口しており、スラリーの液滴が環状に真横(水平方向)に噴霧される。ただし、四流体ノズルは三流体ノズルに比べ構造が複雑であり、汎用されていないためコストが高くなる。
上記噴霧乾燥法を用いた方法においては、得られる複合造粒体の平均粒径を特定範囲に制御する必要があるが、これは、噴霧乾燥におけるスラリー供給量と気流体供給量の気液比(気流体供給量/スラリー供給量)を制御することで達成される。すなわち、該気液比1000以上2200以下、好ましくは1200以上2000以下とすることで得られる複合造粒体の平均粒径を1μm〜4μmの範囲とすることができ、かつ、粒度分布幅sdについても2.0μm以下とすることができる。
前記気液比が1000未満では、得られる複合造粒体の平均粒径が大きくなりすぎて、4μmを超えるとともに粒度分布幅が悪化する。また、上記液滴が乾燥しないうちに管壁に付着してしまうことがある。逆に該気液比が高くなるほど該平均粒径は小さくなり、2200を超えると該平均粒径が1μm未満となる。一方、気液比を高くすることにより、別の問題が生じる。すなわち、気液比を高くすることは、気流体供給量を増やすか、またはスラリー供給量を減らすことになるため、気液比が2200を超えるとコンプレッサーの大型化や生産量の低下を来たし、量産化が困難になる。また、気流体供給量を増やすことは、ノズルにかかる圧力が大きくなり、ノズルや気流体供給管がその圧力に耐えられなくなるという問題がある。
なお、噴霧乾燥に際して用いられる乾燥媒体は、通常大気、窒素ガスなどの不活性ガスなどを用いることができる。また、乾燥媒体の温度は、75℃〜120℃の範囲とし、また、乾燥媒体の導入量は、50ml/min〜100ml/min程度とすることが好ましい。
噴霧乾燥機は、特に限定されるものではなく、たとえば藤崎電気株式会社製のマイクロミストドライヤなど、スラリーの噴霧乾燥による造粒体の作製に通常に用いられる装置を用いることができる。
次に、上記(a)晶析法もしくは(b)噴霧乾燥法で得られた上記複合造粒体を300℃〜500℃で酸化焙焼して、平均粒径1μm〜4μm、かつ、粒度分布幅sdが2.0μm以下であるCoとTiを含むニッケル複合酸化物粒子を、もしくはCoを含むニッケル複合水酸化物粒子を同様に酸化焙焼してCoを含むニッケル複合酸化物粒子を得る。
焙焼温度が300℃より低いと、上記複合造粒体もしくはニッケル複合水酸化物中に含まれる化合物の熱分解が十分に進まず、Li化合物と混合して焼成するときに未分解化合物から発生するガス、特に水酸化物から発生する水蒸気により、炉内の酸化雰囲気が制御できず、十分な特性を有する正極活物質が得られない。また、得られた複合酸化物中でのNi、Co、およびTiの固溶も十分に行われない。一方、焙焼温度が500℃を超えると、焙焼時に焼結が生じて平均粒径が4μmを超え、粒度分布幅sdも2.0μmを超えてしまう。構成元素の固溶を十分なものとし、平均粒径を制御するためには、焙焼温度を350℃〜450℃の範囲とすることがより好ましい。
上記焙焼時の雰囲気は、酸化性雰囲気であればよく、酸素雰囲気、酸素含有不活性ガス雰囲気あるいは大気雰囲気が用いられ、コスト面から大気雰囲気が好ましい。また、焙焼時間は、上記複合造粒体が酸化される時間であればよく、温度、雰囲気ガスの流量および処理量に応じて調整すればよいが、通常は5時間〜20時間程度とすることが好ましい。
上記焙焼に用いられる装置は、必要量の酸化性雰囲気の気流中で加熱できるものであれば、通常の酸化焙焼に用いられる装置と同様のものとすることができ、ガス発生のない電気炉が好ましく、バッチ式あるいは連続式の炉が好適に用いられる。
(2−2)第2の工程
第2の工程は、第1の工程で得られたCoとTiを含むニッケル複合酸化物粒子とLi化合物とを混合し、もしくは、上記Coを含むニッケル複合酸化物粒子とLi化合物およびTi化合物とを混合し、得られた混合物を690℃〜750℃の温度で焼成して、リチウムニッケル複合酸化物(焼成物)を得る工程である。
焼成前後において、組成はほとんど変化しないため、最終的に得ようとする正極活物質の組成となるように、これらの材料を混合すればよい。
Li化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウムなどを用いることができ、焼成時に有害なガスが発生しない水酸化リチウム、炭酸リチウムが特に好ましい。
第2の工程で用いるTi化合物も、第1の工程で用いるものと同様のものでよく、リチウムニッケル複合酸化物粒子中に十分に固溶させるためには、あらかじめ微粒子としておくことが好ましく、平均粒径として0.01μm〜0.1μmの範囲にあるTi化合物を用いることが好ましい。
また、焼成後においても焼成前の粒子の形骸が維持されるので、該粒子の形骸が破壊されない範囲で十分に混合を行う。混合に用いる装置は、一般的な混合機を使用することができ、たとえば、シェーカーミキサ、レーディゲミキサ、ジュリアミキサ、Vブレンダなどを用いることができる。
次に、得られた混合物を690℃〜750℃、好ましくは700℃〜740℃の温度で焼成することにより、CoとTiを含むリチウムニッケル複合酸化物粒子を得る。上記ニッケル複合酸化物粒子は小粒径であるため、焼成の反応が容易に進行するが、焼成温度が690℃より低温であると、リチウム化合物との反応が十分に進まず、所望の層状構造を持ったリチウムニッケル複合酸化物が得られない。また、750℃を超えると、リチウムニッケル複合酸化物粒子間の焼結が進行するため、平均粒径が4μmを超えるとともに、粒度分布幅sdも2.0μmを超えてしまう。
焼成時の雰囲気は、酸素含有量が80容量%以上の酸化性雰囲気とすることが好ましく、混合ガス雰囲気とする場合は、酸素と正極活物質を汚染するおそれのない不活性ガスとの混合ガス雰囲気とすることがより好ましい。酸素含有量を80容量%以上とすることで、Li化合物との反応が活発となり、得られるリチウムニッケル複合酸化物の結晶構造が均整となる。酸素含有量が80%未満になると、Li化合物といずれのニッケル複合酸化物との反応、およびチタン化合物とCoのみを含むニッケル複合酸化物の反応が十分に進まず、良好な層状構造をもったリチウムニッケル複合酸化物を合成することが難しくなる。
焼成時間は、Li化合物とNi、CoおよびTiとが十分に反応して、結晶が層状構造となる時間でよく、焼成温度、処理量、雰囲気などにより調整すればよいが、通常は10時間〜20時間とすることが好ましい。焼成時間が10時間未満になると、十分な層状構造を持ったリチウムニッケル複合酸化物が得られない場合がある。また、焼成時間が20時間を超えると、リチウムニッケル複合酸化物粒子間の焼結が進行することがある。
焼成に用いられる炉は、特に限定されず、制御された雰囲気流中で加熱できるものであればよく、ガスの発生がない電気炉が好ましく、管状炉、マッフル炉などの静置炉やプッシャー炉、ローラーハースキルン、ロータリーキルンなどの連続炉が使用できる。
(2−3)第3の工程
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、第2の工程によって得られるが、第2の工程で得られたリチウムニッケル複合酸化物は、粒子表面に余剰のLi化合物が残留するため、第3の工程として、得られたリチウムニッケル複合酸化物の水洗処理を行うことが好ましい。水洗により、粒子表面に存在する余剰のLi化合物および不純物が除去され、電池に用いた場合の容量と熱安全性をさらに向上させることができる。
水洗処理は、上記リチウムニッケル複合酸化物を、質量比で1〜0.5の水、好ましくは純水と混合してスラリーとし、30分〜1時間撹拌後、濾過、乾燥することにより行う。
混合する水量が、質量比で1を超えると、該リチウムニッケル複合酸化物粒子から過剰にLiが溶出し、得られる非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた電池の特性が悪化してしまうことがある。一方、該水量が質量比で0.5未満になると、水洗スラリーの粘度が高すぎて、均一撹拌が難しくなり、水洗処理による十分な効果が得られない。
また、撹拌時間が30分間より短いと、撹拌が均一にならないことがあり、1時間より長くても、余剰のLiの溶出はある程度で飽和するため、それ以上の時間の撹拌は生産性を悪化させるにすぎない。
さらに、撹拌後の乾燥は、リチウムニッケル複合酸化物の劣化を防止するため、真空乾燥とすることが好ましく、乾燥温度は、120℃〜350℃とすることが好ましい。
(3)非水系電解質二次電池
以下、非水系電解質二次電池の代表例として、図1に2032型コイン電池を例示する。本発明の非水系電解質二次電池は、負極1、非水系電解液を保持するセパレータ2、正極3、ガスケット4、負極缶5、正極缶6、集電体7など、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素から構成される。なお、本発明の非水系電解質二次電池は、その形状および用途を特に限定されるものではない。
(3−a)正極
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた正極は、たとえば、次のようにして作製する。
まず、正極を形成する正極合材として、粉末状の正極活物質、導電材、結着剤とを混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整などの目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。正極合材中のそれぞれの材料の混合比も、リチウムイオン二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量%とした場合、一般のリチウムイオン二次電池の正極と同様、それぞれ、正極活物質の含有量を60質量%〜95質量%、導電材の含有量を1質量%〜20質量%、結着剤の含有量を1質量%〜20質量%とすることが望ましい。
得られた正極合材ペーストを、たとえば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して溶剤を飛散させる。必要に応じて、電極密度を高めるべくロールプレスなどにより加圧することもある。このようにしてシート状の正極を得ることができる。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断するなどして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、例示のものに限られることなく、他の方法によるものでもよい。
前記正極の作製にあたって、導電剤としては、たとえば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など)やアセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料などを用いることができる。
また、バインダとしては、たとえば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレンジエンゴム、フッ素ゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴムなどの含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。必要に応じて、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために活性炭を添加することができる。
(3−b)負極
負極には、金属リチウム、リチウム合金などのリチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂などの有機化合物焼成体、コークスなどの炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリデンなどの含フッ素樹脂を用いることができ、これらの負極活物質および結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。
(3−c)セパレータ
正極と負極との間にはセパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な穴を多数有する膜を用いることができる。
(3−d)非水系電解液
非水系電解液は、支持塩としてのLi塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネートや、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、さらには、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトンなどの硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのリン化合物、その他の有機溶媒材料から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO22およびこれらの複合塩などを用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル補足剤、界面活性剤および難燃剤などを含んでいてもよい。
(3−e)電池の形状、構成
以上説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明のリチウム二次電池の形状は、円筒型、積層型など、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、この電極体に上記非水電解液を含浸させる。正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、並びに負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リードなどを用いて接続する。以上の構成材料を電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
(3−f)電池特性
本発明の正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、2032型コイン電池の場合、初期放電容量が200mAh/g以上の高容量を有するとともに、安全性にもすぐれたものとなる。このように高容量で高い安全性を備えるとともに、本発明の非水系電解質二次電池は、電池の内部抵抗が低く、その出力特性にもすぐれることから、携帯電子機器などの小型二次電池のみならず、ハイブリッド自動車や電気自動車などのモータ駆動用の大型二次電池としても好適に用いることができる。
(実施例1)
第1工程として、Ni:Coのモル比が82:15となるように、硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合溶液を準備し、この混合溶液を、25質量%水酸化ナトリウム溶液および錯化剤としての25質量%アンモニア水とともに、反応槽に撹拌しながら同時に添加し、反応液を25℃基準でpHを12.2〜12.5の範囲、反応温度を52℃〜56℃の範囲において一定に保って晶析を行い、反応槽内が定常状態になったのちに、オーバーフローした沈殿物を採取し、濾過、水洗後に乾燥させ、Coを含むニッケル複合水酸化物の乾燥粉末を得た。得られたニッケル複合水酸化物の平均粒径を測定したところ、2.6μmであった。
次に、得られたニッケル複合水酸化物を、大気雰囲気中において、400℃で10時間焙焼し、ニッケル複合酸化物を得た。得られたニッケル複合酸化物の平均粒径を測定したところ、2.3μmであった。
第2工程として、モル比でLi:Ni:Co:Ti=1.06:0.82:0.15:0.03となるように、市販の水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)および酸化チタン(テイカ株式会社、TKP−102)と前記ニッケル複合酸化物を秤量し、シェーカーミキサ(WAB社製、TURBULA TypeT2C)により、10分間混合して混合物を得た。得られた混合物を、酸素濃度100容量%の雰囲気において、500℃で10時間保持したのち、720℃で10時間焼成して、CoとTiを含むリチウムニッケル複合酸化物を得た。その時の昇温速度は5℃/minであった。
第3工程として、得られたリチウムニッケル複合酸化物を、質量比で1の純水と混合してスラリーとし、30分間の撹拌後、濾過、210℃で真空乾燥し、正極活物質を得た。
得られた正極活物質について、走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製、FE−SEM、以下「SEM」と記載)により観察したところ、1次粒子が凝集した2次粒子から構成されており、この2次粒子は、層状の結晶構造を備えていることを確認した。
また、得られた正極活物質の評価を、下記の手段により行った。
(1)平均粒径:レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)による粒度分布測定にて得られた体積積算で50%となる粒径を平均粒径(メディアン径;d50)とした。なお、複合造粒体、ニッケル複合水酸化物、ニッケル複合酸化物の平均粒径についても、同様の手段により測定を行った。
(2)粒度分布幅sd:平均粒径と同様にして得られた体積積算による粒度分布測定結果を用いて、下記式で得られた値を粒度分布幅と定義した。
粒度分布幅sd=(累積カーブが84%となる点の粒径−累積カーブが16%となる点の粒径)/2
(3)比表面積:窒素吸着式BET法測定機(ユアサアイオニクス株式会社製、カンタソーブQS−10)により測定した。
(4)リチウム席占有率:X線回折装置(リガク電機株式会社製、RINT−1400)を用いて得られたX線回折パターンを、リートベルト解析法によるフィッティングを行うことにより算出した。
得られた正極活物質についての平均粒径、粒度分布幅sd、比表面積、Li席占有率の評価結果を表1に示す。
また、得られた正極活物質についての初期容量および出力特性の評価は、以下のようにして行った。
正極活物質の粉末60質量%に、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製)30質量%、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE;ダイキン工業株式会社製)10質量%を混合し、150mgを取り出して、圧力100MPaにより、直径11mmのペレットを作製し、正極とした。負極としてリチウム金属を用い、電解液には1MのLiPF6を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の等量混合溶液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。これらを用いて、露点が−80℃に管理されたアルゴン(Ar)雰囲気のグローブボックス中で、図1に一部破断斜視図を示すような2032型のコイン電池を作製した。
作製した電池は、12時間程度、放置し、開回路電圧(OCV;Open Circuit Voltage)が安定したのち、正極に対する電流密度を0.5mA/cm2として、カットオフ電圧4.3Vまで充電して、初期充電容量とし、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を、初期放電容量とした。得られた電池の初期放電容量を表1に示す。
また、出力の評価は、初期放電容量の評価と同様にして得た2032型のコイン電池を用い、出力特性と相関のある正極の反応抵抗を測定できる交流インピーダンス法により、80%の充電状態のときの正極抵抗を見積もった。測定には、ソーラトロン社製の周波数応答アナライザ(1255B型)およびポテンショガルバノスタット(1287型)を用いた。得られたプロットは、図2に示すように、溶液抵抗、負極抵抗、正極抵抗に近似でき、この近似から正極抵抗の値を見積もることができる。得られた正極活物質の正極抵抗を表1に示す。
(実施例2)
第2工程における焼成時の温度を700℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
第2工程における焼成時の温度を740℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
第1工程における晶析時に錯化剤を用いず、pHを11.1〜11.3の範囲、反応温度を62℃〜66℃の範囲で制御したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。なお、得られたニッケル複合水酸化物の平均粒径は2.4μm、ニッケル複合酸化物の平均粒径は2.2μmであった。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
第3工程において、リチウムニッケル複合酸化物を質量比で0.5の純水と混合してスラリーとしたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
第1工程において、pHを12.5〜13.0に制御して晶析したこと以外は、実施例1と同様にして、Coを含むニッケル複合水酸化物を得た。
得られたニッケル複合水酸化物に、Ni、CoおよびTiの合計に対して3mol%となるように秤量した酸化チタン(テイカ株式会社、TKP−102)を添加し、これに純水を加えて固形分濃度が10質量%(120g/L)のスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、直径0.3mmのジルコニアボールを用いてビーズミル(浅田鉄工株式会社製、NM−G5M)により、ニッケル複合水酸化物と酸化チタンとを湿式粉砕するとともに混合した。
混合後のスラリーを、三流体ノズルを設けたスプレードライヤ(藤崎電機株式会社製、マイクロミストドライヤ MDL−050M、乾燥塔寸法:直径310mm×高さ900mm)を用いて、噴霧乾燥して複合造粒体を得た。噴霧乾燥の条件は、乾燥ガス導入量は1m3/min、気液比(気流体供給量/スラリー供給量)は1650、乾燥ガス入口温度は200℃とした。噴霧乾燥した際の排気ガス温度は70℃であった。得られた複合造粒体の平均粒径を測定したところ、2.9μmであった。
得られた複合造粒体を、大気雰囲気中において400℃で10時間焼成し、CoとTiを含むニッケル複合酸化物を得た。得られたニッケル複合酸化物の平均粒径を測定したところ、2.4μmであった。
第2工程として、モル比でLi:Ni:Co:Ti=1.06:0.82:0.15:0.03となるように、市販の水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)と得られたニッケル複合酸化物とを秤量し、前記シェーカーミキサにより10分間混合して混合物を得た。得られた混合物を酸素濃度が100容量%の雰囲気中において500℃で10時間保持したのち、720℃で10時間焼成して正極活物質を得た。その時の昇温速度は5℃/minであった。得られた正極活物質について、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例7)
第1工程における気液比を1000としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。その評価結果を表1に示す。なお、得られた複合造粒体の平均粒径を測定したところ、3.9μmであった。また、得られたニッケル複合酸化物の平均粒径を測定したところ、3.7μmであった。
(実施例8)
第1工程における気液比を2000としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。その評価結果を表1に示す。なお、得られた複合造粒体の平均粒径を測定したところ、1.9μmであった。また、得られたニッケル複合酸化物の平均粒径を測定したところ、1.6μmであった。
(実施例9)
第2工程における焼成時の温度を700℃としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例10)
第2工程における焼成時の温度を740℃としたこと以外は、実施例6と同様にして正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例11)
第3工程において、得られたリチウムニッケル複合酸化物を質量比で1の純水と混合してスラリーとし、30分撹拌後、濾過、210℃で真空乾燥したこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例12)
第2工程における焼成時の温度を700℃としたこと、また、第3工程において、得られたリチウムニッケル複合酸化物を質量比で1の純水と混合してスラリーとし、30分撹拌後、濾過、210℃で真空乾燥したこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例13)
第2工程における焼成時の温度を740℃としたこと、また、第3工程において、得られたリチウムニッケル複合酸化物を質量比で1の純水と混合してスラリーとし、30分撹拌後、濾過、210℃で真空乾燥したこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
晶析時のpHを11〜11.5の範囲に制御したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、得られたニッケル複合水酸化物およびニッケル複合酸化物の平均粒径は、それぞれ4.8μmおよび4.6μmであった。
(比較例2)
第2工程における焼成時の温度を680℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
第2工程における焼成時の温度を760℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
第1工程における気液比を950としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、得られた複合造粒体およびニッケル複合酸化物の平均粒径を測定したところ、それぞれ4.6μmおよび4.3μmであった。
(比較例5)
第2工程における焼成時の温度を680℃としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例6)
第2工程における焼成時の温度を760℃としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。

[評価]
表1に示すように、実施例1〜13で得られた正極活物質は、正極活物質(2次粒子)の平均粒径が小さく、正極の反応抵抗も6Ω以下と低く抑えられていることから、出力特性にすぐれた材料であることが理解される。また、リチウム席占有率が98%以上と高い結晶性を有し、初期放電容量も200mAh/g以上と高く、かつ正極の反応抵抗が6Ω未満と低く、すぐれた出力特性を備える正極活物質であることが理解される。
一方、第1工程における晶析時のpHが低い比較例1、第2工程における焼成温度が高い比較例3および比較例6、および、第2工程における気液比が低い比較例4については、いずれも得られるニッケル複合水酸化物の粒径が大きくなり、正極活物質の平均粒径が4μmを超えるものとなっている。
また、第2工程における焼成温度が高い比較例3および比較例6では、平均粒径が大きいとともに、初期放電容量が高いにもかかわらず、正極の反応抵抗が高く、出力特性に劣る材料となっている。これは、焼成が高温であるために、二次粒子同士が焼結してしまったことによるものと考えられる。
また、比較例1、3、4および6では、平均粒径が大きくなることで、正極活物質の比表面積が小さくなり、活物質単位面積あたりの電流密度が大きくなって、Liイオンの拡散が良好とならず、出力特性が低下してしまったものと考えられる。
さらに、焼成温度が低い比較例2では、Li化合物およびTi化合物とCoを含むニッケル複合酸化物との反応が、比較例5では、Li化合物とCoとTi含むニッケル複合酸化物との反応が、それぞれ十分に進まず、いずれも所望の層状構造をもったリチウムニッケル複合酸化物を合成されていないことが理解される。このことは、リチウム席占有率が98%未満と低く、初期放電容量が十分でないことから明らかに理解される。
出力特性がすぐれているという本発明の非水系電解質二次電池のメリットを活かすためには、瞬時に大きなエネルギが入力され、また、瞬時に大きなエネルギを出力するようなデバイスの電源としての用途が好適である。言い換えれば、充電開始から直ちに大電流で充電され、また、放電開始から直ちに大電流で放電するような用途の電源として用いることが好ましい。
電気自動車やハイブリッド自動車の駆動モータ用の電源においては、減速時などに瞬時に回生制動により大きなエネルギを回収できる必要がある。また、始動時、急発進時、急加速時などには大きなパワーを出力する必要がある。したがって、本発明のリチウムイオン二次電池は、これらの自動車用の電源として好適である。
1 負極
2 セパレータ(電解液含浸)
3 正極(評価用電極)
4 ガスケット
5 負極缶
6 正極缶
7 集電体

Claims (10)

  1. 一般式:Li1+zNi1-x-yCoxTiy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08、−0.05≦z≦0.10)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の一次粒子により構成された略球状の二次粒子からなり、該二次粒子の平均粒径が1.0μm〜4.0μm、粒度分布幅sdが2.0μm以下、かつ、該二次粒子の比表面積が4.0m 2 /g〜7.0m 2 /gであって、
    前記リチウムニッケル複合酸化物における、3a、3b、6cの各サイトを[Li 1+z 3a [Ni 1-x-y Co x Ti y 3b [O 2 6c で表示した場合、該リチウムニッケル複合酸化物のX線回折のリートベルト解析から得られた3aサイトにおけるリチウム席占有率が98%以上であることを特徴とする、非水系電解質二次電池用正極活物質。
  2. 正極材料として用いた場合に、電池の初期放電容量が200mAh/g以上となることを特徴とする、請求項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  3. ニッケルとコバルトが固溶した化合物とチタン化合物との複合造粒体を焙焼して、一般式:Ni1-x-yCoxTiy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08)で表される平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合酸化物粒子を得る第1の工程と、該ニッケル複合酸化物粒子とリチウム化合物とを混合し、690℃〜750℃の温度で焼成することにより、前記リチウムニッケル複合酸化物を得る第2の工程とを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 前記ニッケルとコバルトが固溶した化合物とチタン化合物との複合造粒体を、該ニッケルとコバルトが固溶した化合物および該チタン化合物を含有するスラリーを、該スラリー濃度を50g/L〜150g/L、気流体供給量/スラリー供給量の比を1000以上2200以下として噴霧乾燥することにより、平均粒径1.0μm〜4.0μmの範囲となるように得ることを特徴とする、請求項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. ニッケルとコバルトが固溶した化合物を焙焼して、一般式:Ni1-xCox2(ただし、0.10≦x≦0.23)で表される平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合酸化物粒子を得る第1の工程と、該ニッケル複合酸化物粒子とリチウム化合物およびチタン化合物とを混合し、690℃〜750℃の温度で焼成することにより前記リチウムニッケル複合酸化物を得る第2の工程とを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 前記ニッケルとコバルトが固溶した化合物として、ニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液に錯化剤とアルカリ溶液を添加した反応液から、該反応液の温度を50℃〜80℃の範囲、pHを12以上の範囲に保持して、共沈により晶析させて得た、平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合水酸化物を用いることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記ニッケルとコバルトが固溶した化合物として、ニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液に錯化剤の非存在下でアルカリ溶液を添加した反応液から、該反応液の温度を60℃〜80℃の範囲、pHを11以上の範囲に保持して、共沈により晶析させて得た、平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合水酸化物を用いることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 前記チタン化合物として酸化チタンを用いることを特徴とする、請求項3〜7のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 第2の工程で得られたリチウムニッケル複合酸化物を、質量比で1〜0.5の水と混合してスラリーとし、30分〜1時間の撹拌後、濾過、真空乾燥する第3の工程をさらに有することを特徴とする、請求項3〜8のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を正極材料として用いた正極を備える非水系電解質二次電池。
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