JP6657607B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質、その製造方法及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質、その製造方法及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質、その製造方法及びリチウムイオン二次電池に関する。
近年、地球温暖化の防止や化石燃料の枯渇への懸念から、走行に必要となるエネルギーが少ない電気自動車や、太陽光や風力等の自然エネルギーを利用した発電システムに期待が集まっている。しかしながら、これらの技術には次のような技術的課題があり、普及が進んでいない。
電気自動車の課題は、駆動用電池のエネルギー密度が低く、一回の充電による走行距離が短いことである。一方、自然エネルギーを利用した発電システムの課題は、発電量の変動が大きく、出力の平準化のために大容量の電池が必要となり、高コストとなる点である。いずれの技術においても、上記課題を解決するために安価で高エネルギー密度を有する二次電池が求められている。
例えば、リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池や鉛電池等の二次電池に比べて重量当たりのエネルギー密度が高いため、電気自動車の駆動用電池や電力貯蔵システムへの応用が期待されている。ただし、電気自動車の駆動用電池や電力貯蔵システムの要請に応えるためには、さらなる高エネルギー密度化が必要である。そのためには、正極及び負極のエネルギー密度を高める必要がある。
リチウムイオン二次電池の正極を構成する正極活物質としては、R−3mに帰属される層状構造を持ち、組成式LiM1Oで表される材料(層状構造化合物、M1はLi以外の金属元素である)が広く使用されている。金属元素M1としてNiを多く含む場合、Niの割合が高いほど容量が向上する傾向にあり、特に、金属元素M1中のNiの割合が70原子%を超える場合には、180Ah/kgを超える高い可逆容量を得ることも可能となり、エネルギー密度を向上させることができる。
しかし、金属元素中のNiの割合が高い場合には、カチオンミキシングと呼ばれるLiサイトへのNiによるサイト交換が起こり易くなる。Liサイトへ導入されたNiは、価数変化しないため充放電に寄与できず、その結果、電池の容量が低下したり、抵抗が高くなったりする。
カチオンミキシングを抑制する方法として、Li原料を量論比よりも過剰に加える方法が一般的である。しかし、金属元素中のNiの割合が高い場合、過剰なLiが正極結晶中に取り込まれづらい。そのため、Li原料を過剰に加えても、焼成過程において十分に反応できずに正極結晶の表面に残留するLiが増加してしまう。
残留したLi化合物は、主に水酸化リチウムや炭酸リチウムとして存在している。特に水酸化リチウムは、結晶水を持ち、さらに潮解性であるため、電池内に水分を生成し易く、生成した水分は、金属溶出の原因となるHFを生成させたり、電解液分解を促進したりするため、充放電サイクルに伴う抵抗上昇や容量低下の原因となる。
特許文献1では、Niの割合を70原子%以下に抑えることで、リチウムイオンとニッケルイオンとが置き換わるディスオーダー(カチオンミキシング)を抑えつつ、安価な炭酸Liの使用を可能とし、高容量、高安全性、負荷特性、サイクル寿命を両立する技術が開示されている。
特許文献2では、LiMeO2+0.5(x−1)(式中、Meは、Niと他の遷移金属から選ばれる少なくとも一種の金属とを含む遷移金属である)で表され、NiのMeに対する原子比(A=Ni/Me×100)が、粒子の全体で60mol%以上90mol%以下であり、且つ、前記原子比の値が中心部(コア)よりも周辺部(シェル)で小さい複合酸化物において、リートベルト法による構造解析によって、カチオンミキシング率が2.0%以上6.0%以下であるようにすることで、高容量とサイクル特性を両立させる技術が開示されている。なお、上記「粒子の全体」とは、コア及びシェルを含めた粒子の全体を意味する。
国際公開第2009/060603号 特開2014−40363号公報
特許文献1の場合、Niの割合を70原子%以下としているため、180Ah/kgを超えるような高容量が得られない。Niの割合を70%を超える値にする場合、高容量を得るためには水酸化リチウムを原料に使用することが必須と考えられており、水酸化リチウムを原料とすれば正極結晶の表面に残存する水酸化リチウムの割合が高くなることが予想され、抵抗上昇や容量低下の抑制が難しくなる。
特許文献2では、カチオンミキシング率(3aサイトにおける遷移金属のサイト占有率)が2.0%以上と高い。カチオンミキシング率のより低い正極活物質の記載はあるものの(特許文献2の比較例2)、その場合はLiが過剰であり、正極結晶の表面における水酸化リチウムの発生を抑制することが難しいと考えられる。
そこで本発明は、高エネルギー密度と高サイクル特性を両立したリチウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びにその正極活物質を使用したリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質であって、前記層状構造化合物は組成式:Li1+aM1O2+α(式中、M1は、Li以外の金属元素であって少なくともNiを含み、−0.03≦a≦0.10、−0.1<α<0.1である)で表され、M1におけるNiの割合が70原子%より大きく、リートベルト法による構造解析による3aサイトにおける遷移金属のサイト占有率が2%未満であり、前記正極活物質中の残留水酸化リチウムの含有量が1質量%以下であることを特徴とする。なお、本明細書において、正極活物質とは、Liイオンの吸蔵放出が可能な結晶である層状構造化合物(正極結晶)と、その層状構造化合物の表面に残留し、主に水酸化リチウム及び炭酸リチウムを含む不純物であるLi化合物とを合わせたものをいう。
また、前記目的を達成するため、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法は、Li以外の金属元素を含む原料と、炭酸リチウムを80質量%以上含むリチウム原料とを平均粒径が0.3μm以下になるように粉砕混合する粉砕混合工程と、得られた粉砕混合粉を650℃以下で熱処理する熱処理工程と、熱処理した粉砕混合粉を740℃以上850℃未満で焼成する焼成工程と、を有する製造方法を適用することができる。
また、前記目的を達成するため、本発明のリチウムイオン二次電池は、上記正極活物質を含む正極と、負極と、セパレータとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、高エネルギー密度と高サイクル特性を両立したリチウムイオン二次電池を提供することが可能となる。
前記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明のリチウム二次電池を利用した電気自動車の駆動システムの一実施形態を示す図である。 本発明のリチウム二次電池を利用した発電システムの一実施形態を示す図である。
次に、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本発明のリチウムイオン二次電池は、円筒型、偏平型、角型、コイン型、ボタン型、シート型等、いずれの形状のリチウムイオン二次電池でも良く、従来と同様の基本構成を採用することができる。例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に挟みこまれ、有機電解質に含浸されたセパレータとを有する構成とすることができる。なお、有機電解質に含浸されたセパレータは、正極と負極とを隔てて短絡を防止し、リチウムイオン(Li)が通過するイオン伝導性を有している。さらに、正極は、正極活物質、導電材、バインダ、集電体等から構成され、正極活物質、導電材及びバインダを含む正極合材を集電体上に塗布し合材層を形成することによって正極とすることができる。
(正極活物質)
正極活物質は、正極結晶と不純物としてのリチウム化合物が含まれる。正極結晶はリチウム金属複合酸化物を含み、Li以外の金属元素の内、70原子%を超える割合がNiである。正極結晶中の金属組成は、例えば、ICP−AES分析により確認することができる。
さらに、正極結晶の結晶構造は、空間群R−3mに帰属される層状構造であり、3aサイトにおける遷移金属のサイト占有率が2%未満である。さらに望ましくは1.6%未満である。サイト占有率は、正極結晶のX線回折プロファイルをリートベルト解析することにより算出することができる。3aサイトにおける遷移金属のサイト占有率が2%以上であると、充放電に寄与できないNi量が増え、電池の容量が低下する。
さらに、正極活物質は、不純物である残留水酸化リチウムの含有量が1質量%以下である。さらに望ましくは0.5質量%以下である。正極活物質に残存する不純物は、主に水酸化リチウム及び炭酸リチウムから構成され、正極活物質中の正極結晶を除いた残留リチウム化合物の総量は、本発明では通常0.1質量%〜2.0質量%である。また、これらの不純物である水酸化リチウム及び炭酸リチウムの含有量は、活性ガスをバブリングした超純水中に正極活物質を分散させた後、正極活物質を濾過して得られる濾液を酸で滴定することによって確認できる。
さらに、正極結晶は、Li以外の金属元素に対するLiの比が0.97以上であり、好ましくは1.00以上である。正極結晶内のLi量は、正極活物質中のLi量から、不純物である残留リチウム化合物のLi量を引くことで算出できる。正極活物質中のLi量は、例えばICP−AES分析により確認することができ、不純物の残留Li量は、上記酸滴定により算出することができる。
本発明における正極結晶は、サイト占有率が低いため、高容量且つ低抵抗となる。また、正極活物質中に水を生成して電解液分解の原因となる残留水酸化リチウムが少ないため、充放電サイクルに伴う抵抗上昇や容量低下が抑えられる。
また、本発明において、正極結晶内におけるLi以外の金属元素に対するLiの比が1.00以上である場合は、Li不足になっていないため、充電状態で結晶構造変化が抑えられる。充電状態での結晶構造変化を抑制することにより、サイクルに伴う抵抗上昇や容量低下が抑えられる。なお、正極結晶内におけるLi以外の金属元素に対するLiの比が1.00未満であっても、0.97以上であれば、少量のカチオンミキシングにより、充電状態での結晶構造変化を抑制することができる。Li以外の金属元素に対するLiの比が0.97未満であると、充放電に寄与するLi量が減少するため、電池の容量が低下する。
Li以外の金属元素中のNiの割合が70原子%を超えると、量論比を超えるLiが結晶内に取り込まれにくい。そのため、一般的には正極活物質として[Li元素]/[Li以外の金属元素]≧1.00であっても、正極結晶として[Li元素]/[Li以外の金属元素]≧1.00となるとは限らない。本発明では、正極活物質におけるLi以外の金属元素に対するLiの比ではなく、正極結晶内におけるLi以外の金属元素に対するLiの比を0.97以上、好ましくは1.00以上としている。
層状構造化合物(正極結晶)は、組成式:Li1+aM1O2+α(式中、M1は、Li以外の金属元素であって少なくともNiを含み、−0.03≦a≦0.10、−0.1<α<0.1である)で表される。好ましくは、0≦a≦0.10である。なお、1+aの値は、上述した正極結晶内におけるLi以外の金属元素に対するLiの比に相当する。金属元素M1としては、Ni、Mn、Co、Al、Zr、W、Mo、Nb、V等種々の元素を用いることができる。正極結晶内には、量論比よりもaだけ異なるLiが取り込まれる。量論比よりも過剰なLiが取り込まれる場合、そのような過剰なLiが存在するサイトは明らかではないが、遷移金属サイトや本来のLiサイトとは異なる中間位置に存在すると予想される。また、組成式中の酸素は、正極結晶における層状構造が維持される範囲であれば、欠損してもかまわない。αは空間群R−3mに帰属される層状構造化合物を許容する範囲である。
本発明の一実施形態として、層状構造化合物は、組成式:Li1+aNiMnCoM22+α(式中、M2は、Li、Ni、Mn及びCo以外の金属元素であり、−0.03≦a≦0.10、0.7<b<1.0、0<c<0.3、0<d<0.3、0≦e<0.1、b+c+d+e=1、−0.1<α<0.1である)で表される。好ましくは、0≦a≦0.10である。金属元素M2としては、Al、Zr、W、Mo、Nb、V等種々の元素が使用できる。また、層状構造化合物には、Al、Zr、V、Mo等のM1もしくはM2の酸化物、Li酸化物等の種々の被覆を設けても良い。
本発明の正極活物質は、一実施形態として、平均粒径が1μmより小さく粒界のない粒子(一次粒子)が複数個凝集結合した平均粒径が1μmより大きい顆粒(二次粒子)から構成されている。ここで一次粒子の平均粒径については、走査型電子顕微鏡で測定された画像の中から任意の二次粒子4個を選び、それぞれの二次粒子の中から任意の5個の一次粒子を選び、各一次粒子の直交する長辺及び短辺の平均値をその一次粒子径とし、全ての一次粒子径(20個)の平均値をその正極活物質に含まれる一次粒子の平均粒径としている。また、二次粒子の平均粒径は、個数基準の積算分布が50%となる粒径をいう。なお、取り扱いの簡便さから、二次粒子の粒径は、個数基準の積算分布が10%となる粒径(10%粒径)が1μm以上であることが望ましく、90%粒径は40μm以下であることが望ましい。粒径の積算分布はレーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
また、正極活物質の比表面積は、電解液の副反応を抑える観点から、2.0m/g以下であることが望ましく、1.0m/g以下であることがさらに望ましい。一方、充放電反応場を確保し、低抵抗とするため、0.1m/g以上であることが望ましい。
(正極活物質の製造方法)
上記リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造には、例えば以下の方法を適用することができる。本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質は、Li以外の金属元素を含む原料と、炭酸リチウムを80質量%以上含むリチウム原料とを平均粒径が0.3μm以下になるように粉砕混合する粉砕混合工程と、得られた粉砕混合粉を650℃以下で熱処理する熱処理工程と、熱処理した粉砕混合粉を740℃以上850℃未満で焼成する焼成工程とを含む方法により製造することができる。好ましくは、粉砕混合工程と熱処理工程の間に、粉砕混合工程により得られた粉砕混合粉を平均粒径1μm以上の凝集粒子とする造粒工程を有する。
Li以外の金属元素を含む原料としては、炭酸塩、水酸化物、オキシ水酸化物、酢酸塩、クエン酸塩、酸化物等、金属元素とC、H、O、Nで構成された化合物から適宜選択することができる。粉砕のし易さ、及び熱分解後のガス放出量の観点から、炭酸塩及び水酸化物が特に望ましい。
粉砕混合工程では、ボールミル、ジェットミル、ロッドミル等種々の方法を使用することができる。水等の液体中で粉砕する湿式法と、液体を使用しない乾式法の双方が使用できる。粒径の小さな粉砕混合粉を調製する観点から、湿式法が望ましい。
造粒工程としては、噴霧乾燥法を用いることができる。その噴霧方式として、2流体、4流体ノズル、ディスク式等種々の方法を使用することができる。
熱処理工程及び焼成工程は、バッチ式、連続式の種々の方法により行うことができる。また、熱処理工程及び焼成工程は、酸化雰囲気であることが好ましく、酸素雰囲気であることが特に好ましい。金属元素を含む原料、及びリチウム原料から発生するガスを排出し、十分な酸素が粉砕混合粉に供給されるようにガスを流すことが好ましい。本発明では、金属元素を含む原料から発生するガスの排出を促すため、分解温度以上で且つ650℃よりも低い温度で予め一定時間熱処理をする。ここで、本発明における分解温度は、粉砕混合粉の組成によって異なるが、一般的には200℃以上400℃以下の範囲である。また、予め行う熱処理は、例えば、酸素雰囲気下400℃以上650℃以下、特に好ましくは600℃以上650℃以下で2時間以上24時間以下の条件で行うことが好ましい。
適正な焼成温度は、粉砕混合粉の組成や緻密度合いに応じて変動する。そのため、焼成温度は、粉砕混合粉の組成や粉体物性等を考慮し適宜設定することができる。適正な焼成温度よりも低い場合、リチウム原料と金属元素の反応が不十分となり、正極結晶中のLi量の低下、カチオンミキシングの増大が起こる。また、適正な焼成温度よりも高い場合、正極結晶の分解が起き、LiOが生成し、そのLiOが大気中の水分と反応して水酸化リチウムを生成する。このため、水酸化リチウム量の増大が起こり好ましくない。また、粒成長が進行し、高容量が得られなくなる。具体的には、焼成温度は740℃以上850℃未満の範囲内とし、さらに好ましい範囲は740℃以上825℃以下である。
本発明の製造方法では、水酸化リチウムの残留を抑えるため、炭酸リチウムをリチウム原料に使用している。Li以外の金属元素におけるNiの割合が70原子%以下である場合、炭酸リチウムをリチウム原料として使用することは一般的である。しかしながら、Li以外の金属元素におけるNiの割合が70原子%より大きい場合、Ni−Oの結合が弱く酸素が解離し易いことから、焼成温度を740℃以上850℃未満と低くせざるを得なくなり、炭酸リチウムの融点である723℃に近い温度となるため、炭酸リチウムの溶融によるリチウムの拡散の前に正極結晶を生成する反応が起こり、不均一な結晶となる虞がある。したがって、従来は、溶融によるリチウムの拡散を利用して均一な正極結晶を得るために、融点がより低い水酸化リチウムを使用することが一般的であった。これに対し本発明では、炭酸リチウムを80質量%以上含むリチウム原料とLi以外の金属元素を含む原料とを、予め平均粒径0.3μm以下となるように粉砕混合することによって、LiとLi以外の金属元素の混合状態が1μm以下の領域内においても均一となり、結果として均一な正極結晶を得ることができる。
炭酸リチウムは、650℃以下の熱処理工程では固相状態で反応し、炭酸リチウムの融点に近い740℃以上850℃未満の焼成工程では液相状態で反応する。したがって、炭酸リチウムの大部分は650℃以下の熱処理工程において固相状態で反応してしまい、740℃以上850℃未満の焼成工程で生成する液相はわずかとなるため、液相焼結による急激な粒成長を抑制でき、より高温での焼成が可能となる。これにより、正極結晶中のLi量が増加し、カチオンミキシングが低減される。
(負極)
リチウムイオン二次電池に使用する負極は、放電電位が低いことが好ましい。負極には、リチウム金属、低い放電電位をもつ炭素、重量比容量が大きいSi、Sn及びその合金や酸化物、安全性が高いチタン酸リチウム(LiTi12)等の種々の材料を使用することができる。
(セパレータ)
リチウムイオン二次電池に使用するセパレータには、イオン伝導性及び絶縁性を有し、且つ電解液に溶解しない材料であれば使用でき、ポリエチレンやポリプロピレン製の多孔体、不織布等が使用可能である。有機電解液としては、LiPFやLiBF等のLi塩をエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネートやジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネートに溶解させたものを使用することができる。
(リチウムイオン二次電池及びその利用)
前記の正極活物質を用いた正極を有するリチウムイオン二次電池について説明する。上述の正極活物質を含む正極と、負極と、セパレータを備えるリチウムイオン二次電池は、電池モジュールに使用することができ、エンジンとモータとで走行するハイブリッド鉄道、電池をエネルギー源としてモータで走行する電気自動車、ハイブリッド自動車、外部から電池に充電できるプラグインハイブリッド自動車、水素と酸素の化学反応から電力を取り出す燃料電池自動車等の種々の乗り物の電源に適用できる。
代表例として電気自動車の駆動システムの概略平面図を図1に示す。
電池モジュール1から、図示しないバッテリコントローラ、モータコントローラ等を介して、モータ2に電力が供給され、電気自動車10が駆動される。また、減速時にモータ2により回生された電力が、バッテリコントローラを介して、電池モジュール1に貯蔵される。
図1に示すように、本発明の正極活物質を含む正極を備えるリチウムイオン二次電池を1つ以上用いた電池モジュール1を用いることにより、電池モジュールのエネルギー密度と寿命が向上し、電気自動車10のシステムに使用する電池を削減でき、電気自動車の軽量化、低コスト化につながる。
なお、乗り物としては、例示したもの以外にもフォークリフト、工場等の構内搬送車、電動車椅子、各種衛星、ロケット、潜水艦等に幅広く適用可能であり、バッテリ(電池)を有する乗り物であれば、限定されず適用可能である。
また、正極活物質を含む正極を備えたリチウムイオン二次電池を1つ以上用いた電池モジュールは、太陽の光エネルギーを電力に変換する太陽電池や、風力によって発電する風力発電等の自然エネルギーを利用した発電システム(電力貯蔵システム)の電力貯蔵用電源に適用できる。その概略を図2に示す。
図2に示すように、太陽電池3や風力発電装置4等の自然エネルギーを利用した発電では発電量が不安定であるため、安定な電力供給のためには、電力系統5の側の負荷に合わせて電力貯蔵用電源から電力を充放電する必要がある。
この電力貯蔵用電源に正極活物質を含む正極を備えたリチウムイオン二次電池を1つ以上用いた電池モジュール6を適用することにより、長期間使用した後においても、少ない電池で必要な容量、出力を得ることができ、発電システムSのコストが低減する。
なお、発電システムとして、太陽電池3や風力発電装置4を用いた発電システムSを例示したが、これに限定されず、その他の発電装置を用いた発電システムにも、幅広く適用可能である。
以下に、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
・正極活物質の合成
炭酸リチウム、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、炭酸マンガンを、Li:Ni:Co:Mn=1.04:0.8:0.1:0.1のモル比となるように秤量し、純水を加え、遊星ボールミルを用いて粉砕混合した。粉砕混合後の平均粒径は0.25μmであった。得られた粉砕混合粉のスラリーを2粒体ノズルで噴霧乾燥し、平均粒径10μmの凝集粒子(二次粒子)とした。得られた凝集粒子を酸素雰囲気において600℃で12時間熱処理した後、770℃で10時間焼成し、正極活物質を合成した。得られた正極活物質の一次粒子の平均粒径(走査型電子顕微鏡にて測定)は約0.35μmであった。
・サイト占有率の測定
合成した正極活物質についてX線回折測定を行った。その結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。得られたX線回折パターンを用いてリートベルト解析を行い、3aサイトにおける遷移金属のサイト占有率を算出した。その結果を表1に示す。
・残留水酸化リチウム量、残留リチウム化合物量の測定
合成した正極活物質をアルゴンガスでバブリングした純水中に分散させ、30分〜90分間攪拌した後、吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を塩酸で滴定した。滴定曲線は2段階となり、第一等量点までが水酸化リチウムの水酸化物イオンと炭酸リチウムの炭酸イオンの合計量を示しており、第一等量点から第二等量点までが炭酸イオンから生成した炭酸水素イオンの量を示している。そのため、第一等量点から第二等量点までの滴定量から炭酸リチウム量を算出し、第一等量点までの滴定量と、第一等量点から第二等量点までの滴定量の差分から、水酸化リチウム量を算出した。純水中で正極活物質を攪拌すると、正極結晶中からもLiが溶出し、水酸化リチウムとなるため、攪拌時間に対して滴定により算出される水酸化リチウム量は直線的に増加する。したがって、その直線の切片を正極活物質中の残留水酸化リチウム量とした。得られた残留水酸化リチウム量(残留LiOH量)及び残留炭酸リチウム量(残留LiCO量)を表1に示す。また、残留炭酸リチウム量、及び、残留水酸化リチウム量から正極結晶以外のLi量である残留Liを算出した。
・正極結晶中のLi量の算出
正極活物質のLi、Ni、Co及びMn組成をICP−AESにより測定した。正極結晶中のLi量は、ICP−AESにより測定した正極活物質のLi量と残留Li量の差分から算出した。正極結晶中のLi以外の各金属元素量は、正極結晶中に含まれ得るLi以外の金属元素のモル比率の合計が1となるように各金属元素のモル比率を分配することにより算出した。その結果、正極結晶(層状構造化合物)の組成は、Li1.01Ni0.803Co0.102Mn0.095であった。
(実施例2)
焼成温度を740℃とした以外は実施例1と同様にして正極活物質を合成した。一次粒子の平均粒径は約0.3μmであり、二次粒子の平均粒径は約10μmであった。また、正極結晶の組成は、Li1.00Ni0.799Co0.101Mn0.100であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。実施例2の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3)
原料のモル比をLi:Ni:Co:Mn=1.04:0.7:0.1:0.2とし、焼成温度を800℃とした以外は実施例1と同様にして正極活物質を合成した。一次粒子の平均粒径は約0.3μmであり、二次粒子の平均粒径は約10μmであった。また、正極結晶の組成は、Li1.01Ni0.701Co0.098Mn0.201であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。実施例3の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例4)
原料のモル比をLi:Ni:Co:Mn:Zr=1.04:0.8:0.1:0.09:0.01とした以外は実施例1と同様にして正極活物質を合成した。一次粒子の平均粒径は約0.3μmであり、二次粒子の平均粒径は約10μmであった。また、正極結晶の組成は、Li1.00Ni0.802Co0.099Mn0.089Zr0.010であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。実施例4の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例5)
原料のモル比をLi:Ni:Co:Mn=1.04:0.8:0.15:0.05とした以外は実施例1と同様にして正極活物質を合成した。一次粒子の平均粒径は約0.3μmであり、二次粒子の平均粒径は約10μmであった。また、正極結晶の組成は、Li0.97Ni0.798Co0.151Mn0.051であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。実施例5の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)
金属原料として硫酸塩を使用し、モル比がNi:Co:Mn=0.8:0.1:0.1となるように秤量し、その粉末に純水を加えて水溶液を調製した。その水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、沈殿物をろ過乾燥して、遷移金属複合水酸化物を得た。得られた遷移金属複合水酸化物を500℃で焼成し、Li:Ni:Co:Mn:Zr=1.08:0.8:0.1:0.1となるように、遷移金属複合酸化物に水酸化リチウムを混合し、酸素雰囲気において600℃で12時間熱処理した後、740℃で10時間焼成し、正極活物質を合成した。得られた正極活物質の一次粒子の平均粒径は約0.30μmであり、二次粒子の平均粒径は約6μmであった。また、正極結晶の組成は、Li1.02Ni0.796Co0.103Mn0.101であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。比較例1の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1の正極活物質を0.1M塩酸水溶液中に10分間分散させた後、650℃酸素雰囲気中で6時間、熱処理した。得られた正極活物質について、Li0.96Ni0.795Co0.104Mn0.101であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。比較例2の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例3)
焼成温度を715℃とした以外は実施例1と同様にして正極活物質を合成した。一次粒子の平均粒径は約0.25μmであり、二次粒子の平均粒径は約10μmであった。また、正極結晶の組成は、Li0.97Ni0.804Co0.098Mn0.098であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。比較例3の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例4)
焼成温度を850℃とした以外は実施例1と同様にして正極活物質を合成した。一次粒子の平均粒径は約1μmであり、二次粒子の平均粒径は約8μmであった。また、正極結晶の組成は、Li0.97Ni0.804Co0.097Mn0.099であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。比較例4の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例5)
モル比が、Li:Ni:Co:Mn=1.00:0.8:0.1:0.1となるように原料を混合した以外は実施例1と同様にして正極活物質を合成した。一次粒子の平均粒径は約0.30μmであり、二次粒子の平均粒径は約10μmであった。また、正極結晶の組成は、Li0.98Ni0.799Co0.099Mn0.102であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。比較例5の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例6)
モル比が、Li:Ni:Co:Mn=1.10:0.8:0.1:0.1となるように原料を混合した以外は実施例1と同様にして正極活物質を合成した。一次粒子の平均粒径は約0.55μmであり、二次粒子の平均粒径は約10μmであった。また、正極結晶の組成は、Li1.02Ni0.803Co0.099Mn0.098であった。X線回折測定の結果、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物であると確認された。比較例6の正極活物質について実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(リチウムイオン二次電池の製造及び評価)
・正極の製造
合成した実施例1〜5及び比較例1〜6の正極活物質と炭素系導電材料、及び、予めN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させたバインダを質量比でそれぞれ90:6:4の割合で混合し、均一に混合されたスラリーを厚み20μmのアルミニウム箔の集電体上に8.5mg/cmの塗布量となるように塗布した。その後、120℃で乾燥し、プレスにて電極密度が2.7g/cmになるよう圧縮成形した。
・負極の製造
負極活物質にはチタン酸リチウムを用い、チタン酸リチウム:炭素系導電材料:バインダを質量比でそれぞれ85:10:5の割合で混合し、均一に混合されたスラリーを厚み20μmのアルミニウム箔の集電体上に14.5mg/cmの塗布量となるように塗布した。その後、120℃で乾燥し、プレスにて電極密度が1.8g/cmになるよう圧縮成形した。
・リチウムイオン二次電池の製造
次に、リチウムイオン二次電池の製造について説明する。
製造した正極は、直径15mmに打ち抜いて使用し、製造した負極は直径16mmに打ち抜いて使用した。セパレータには厚さ30μmのPP(ポリプロピレン)製のイオン伝導性及び絶縁性を有する多孔質セパレータを用いた。非水電解液(電解質)として有機溶媒のエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)を体積比3:7で混合したものに、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/L溶解させたものを用いた。参照極として金属リチウムを使用し、正極の電位を測定した。
・初期容量測定
実施例1〜5及び比較例1〜6の正極活物質を使用したリチウムイオン二次電池を、正極活物質重量基準40A/kg、上限電圧2.75V(Li金属基準正極電位4.3V)の定電流/定電位充電で充電した後、正極活物質重量基準40A/kgの定電流で下限電圧1.7V(Li金属基準正極電位3.3V)まで放電し、放電容量を測定した。得られた初期放電容量を表1に示す。
・充放電サイクルに伴う抵抗変化の測定
初期放電容量測定後の実施例1〜5及び比較例1〜6の正極活物質を使用したリチウムイオン二次電池を用いて、上限電圧を2.85V(Li金属基準正極電位4.4V)に高め、正極活物質重量基準40A/kgで充放電した後、300A/kg、10s放電での直流抵抗を測定した。その後、200Ah/kgでの定電流/定電位充電、600Ah/kgでの定電流放電を100サイクル行った後、再び直流抵抗を測定し、充放電サイクルに伴う抵抗変化を算出した。100サイクル後の抵抗増加率(100サイクル後の直流抵抗/1サイクル後の直流抵抗)を表1に示す。
Figure 0006657607
実施例1では、炭酸リチウムを原料とし、且つ適正な焼成温度であるため、サイト占有率が1.5%と低く、残留水酸化リチウムの含有量も低く、且つ層状構造化合物(正極結晶)中のLiのLi以外の金属元素に対するモル比(組成式中の1+a)も1.00を超えている。その結果、初期放電容量が183〜195Ah/kgと高く、且つ正極電位4.4Vで100サイクル後における抵抗増加率がいずれも1.3倍以下となり、抵抗増加が抑制され、高容量と抵抗増加抑制とが両立している。焼成温度が異なる実施例2、Ni量が少ない実施例3、Zr置換した実施例4においても、サイト占有率が2%未満であり、残留水酸化リチウムの含有量が1質量%以下、正極結晶中のLiのLi以外の金属元素に対するモル比も1.00以上となっているため、高容量と抵抗増加抑制とが両立できている。実施例5では、サイト占有率が2%未満であり、残留水酸化リチウムの含有量が1質量%以下、正極結晶中のLiのLi以外の金属元素に対するモル比は1.00を下回るものの0.97以上であり、カチオンミキシングによって、LiサイトにNi等の遷移金属が導入され充電状態での結晶構造変化が抑制されたため、高容量と抵抗増加抑制とが両立するという優れた結果が得られている。しかし、正極結晶中のLiのLi以外の金属元素に対するモル比が0.97と1.00を下回っているために、実施例1〜4と比較すると抵抗増加率がやや劣化する。
一方、比較例1では、原料に水酸化リチウムを用いており、残留水酸化リチウム量が多く、抵抗増加率が大きい。比較例2では、塩酸中に分散させることで、残留水酸化リチウム量は低下したものの、正極結晶中からもLiが溶出しているため、正極結晶中のLiのLi以外の金属元素に対するモル比が0.96と少なく、抵抗増加率が大きい。比較例3では、正極結晶中のLiのLi以外の金属元素に対するモル比は0.97であるが、焼成温度が低く、炭酸リチウムと金属原料との反応が十分でないため、サイト占有率が高く、Niの割合が80原子%の材料としては初期放電容量が190Ah/kg未満と低く、抵抗増加率が大きい。比較例4では、焼成温度が高く、正極結晶の分解が進み、残留水酸化リチウム量が多く、抵抗増加率が大きい。比較例5では、サイト占有率が高く、抵抗増加率が大きい。比較例6では、原料に加えたLi量が多く、残留水酸化リチウムの含有量が多く、抵抗増加率が大きい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 電池モジュール
2 モータ
3 太陽電池
4 風力発電装置
5 電力系統
6 電池モジュール
10 電気自動車
S 発電システム

Claims (8)

  1. 空間群R−3mに帰属される層状構造化合物を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質であって、
    前記層状構造化合物は、組成式:
    Li1+aNiMnCoM22+α
    (式中、M2は、Li、Ni、Mn及びCo以外の金属元素であり、0≦a≦0.10、0.7<b<1.0、0<c<0.3、0<d<0.3、0≦e<0.1、b+c+d+e=1、−0.1<α<0.1である)で表され、リートベルト法による構造解析による3aサイトにおける遷移金属のサイト占有率が1.6%未満であり、
    前記正極活物質中の残留水酸化リチウムの含有量が1質量%以下であるリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  2. 前記正極活物質中の残留水酸化リチウムの含有量が0.5質量%以下である請求項1記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  3. 一次粒子が複数個凝集結合された二次粒子を含み、前記一次粒子の平均粒径が1μmより小さく、前記二次粒子の平均粒径が1μmより大きい請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
  4. 空間群R−3mに帰属される層状構造化合物を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質であって、前記層状構造化合物は、組成式:
    Li1+aM1O2+α
    (式中、M1は、Li以外の金属元素であって少なくともNiを含み、−0.03≦a≦0.10、−0.1<α<0.1である)で表され、M1におけるNiの割合が70原子%より大きく、リートベルト法による構造解析による3aサイトにおける遷移金属のサイト占有率が2%未満であり、前記正極活物質中の残留水酸化リチウムの含有量が1質量%以下であるリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    Li以外の金属元素を含む原料と、炭酸リチウムを80質量%以上含むリチウム原料とを平均粒径が0.3μm以下になるように粉砕混合する粉砕混合工程と、
    得られた粉砕混合粉を650℃以下で熱処理する熱処理工程と、
    熱処理した粉砕混合粉を740℃以上850℃未満で焼成する焼成工程と、
    を有するリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 前記層状構造化合物が、組成式:
    Li1+aM1O2+α
    (式中、M1は、Li以外の金属元素であって少なくともNiを含み、0≦a≦0.10、−0.1<α<0.1である)
    で表される請求項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 前記粉砕混合工程と前記熱処理工程の間に、粉砕混合工程により得られた粉砕混合粉を平均粒径1μm以上の凝集粒子とする造粒工程を有する請求項又はに記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記造粒工程が、噴霧乾燥法を用いて行われる請求項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質を含む正極と、負極と、セパレータとを備えるリチウムイオン二次電池。
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