JP6849276B2 - 溶液の分析方法 - Google Patents

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本発明は、易炭酸化性化合物を含有する溶液、若しくは易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物を含有する不溶性化合物を純水に浸出した溶液の分析方法に属する。
易炭酸化性化合物を含有する溶液の分析の具体例として、アンモニア回収設備で回収された回収アンモニア水が挙げられる。半導体工場等の電子産業工場や化学工場において、アンモニアは、各種化学製品の製造の有効成分として、また、一般に薬剤コストが低く、廃液処理において、容易に回収可能な薬剤である点も、工業上有利であるとして、多くの製造工程で利用されている。
上記電子産業工場や化学工場において、排出されたアンモニア含有排水等は、アンモニア回収設備でアンモニア水として回収されるが、工場における低コストでの操業を維持するためには、その純分の迅速かつ正確な分析は必須である。ところが、易炭酸化性化合物であるアンモニア水には、反応式(1)に示す様に、空気中の二酸化炭素を吸収する性質があるほか、反応式(2)に示す様に、アンモニアガスとして揮散し易いという性質があるため、これらの現象は、アンモニアの分析結果が低値を示す要因となっている。
2NHOH + CO→ (NHCO+ HO (1)
NH + OH→ HO + NH↑ (2)
それ故に、JIS−K−8085:アンモニア水(試薬)や、JIS−K−9903:高純度試薬−アンモニア水で採用されている中和滴定法では、サンプルを酸で直接滴定するのを諦め、分析操作を増やし、サンプルに過剰の硫酸を添加し、水酸化ナトリウム溶液で逆滴定している。つまり、空(ブランク)試験として、同一条件で添加した硫酸の同量を滴定し、サンプルの場合との滴定量の差からアンモニアの濃度を求める。
また、JIS−K−0102:工場排水試験法によるアンモニウムイオンについては、更に分析操作を増やし、前処理としてサンプルをアルカリ性で加熱蒸留し、留出したアンモニアを硫酸に吸収捕集した後、インドフェノール青吸光光度法、中和滴定法(逆滴定)、イオン電極法、イオンクロマトグラフ法など、様々な分析方法を用いアンモニアの濃度を求めている。
仮に、中和滴定法において、サンプルを酸で直接滴定出来たならば、分析の迅速化・簡便化に繋がる。しかしながら、先行文献1(特許文献のこと。以降同様。)では、イオン電極法に代わる高精度分析法として、塩酸による直接滴定が記載されているが、アンモニアの二酸化炭素の吸収や揮散については、一切触れられていない。また、先行文献2では、JIS−K−8085およびJIS−K−9903を応用し、消化汚泥の有機酸とアンモニアを同時測定する技術が記載されているのみである。
また、易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物を含有する不溶性化合物を純水に浸出した溶液の分析の具体例としては、非水電解質二次電池の正極材料に用いられる、不溶性化合物であるリチウムニッケル複合酸化物における、リチウム化合物(例えば、水酸化リチウムや炭酸リチウムの様な水溶性リチウム化合物)の分析が挙げられる。リチウムニッケル複合酸化物を製造する際に、リチウムニッケル複合酸化物へと反応し切れなかったリチウム化合物(例えば、水酸化リチウムや炭酸リチウムの様な水溶性リチウム化合物)が存在する場合がある。該水溶性リチウム化合物は、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、主として存在している。
表面に存在する、該水溶性リチウム化合物におけるリチウムイオンの量(以降、リチウム量とも称する。)の分析については、既にR.B.Warder法やCl.Winkler法を基とした中和滴定法が、特許文献3〜8に記載されており、公知技術として一般的に知られている。
R.B.Warder法は、水酸化物と炭酸塩における終点pHの差を利用した2段滴定法である。これに対し、Cl.Winkler法は、全アルカリを滴定する一方で、炭酸塩を塩化バリウムにより沈澱させて水酸化物のみを滴定し、前後の滴定量差から、それぞれの分析結果を求める方法である。
どちらも、反応式(3)〜(5)に従った分析方法であり、R.B.Warder法のほうが迅速かつ簡便である。ただ、指示薬(目視)による終点判定を行うことを鑑みると、反応式(6)に示す通り、炭酸が共存しないCl.Winkler法の方が、変色の鋭敏さという面で優っている。
LiOH + HCl → LiCl + HO (3)
LiCO + HCl → LiCl + LiHCO (4)
LiHCO + HCl → LiCl + CO + HO (5)
LiCO + BaCl → 2LiCl + BaCO (6)
その態様例として、リチウムニッケル複合酸化物を純水に浸出し、濾過後の濾液を酸で滴定する中和滴定法を用いることにより、反応式(3)〜(5)に基づき、水酸化リチウム量と炭酸リチウム量を分別して求める分析方法が、特許文献5、7に記載されている。
また、リチウムニッケル複合酸化物に純水を注ぎ、スラリー化した後、表面に存在するリチウム化合物が、スラリー中の全アルカリ量であると見なした上で、スラリーのアルカリ成分を酸で滴定する、中和滴定法を用いることによって全アルカリ量を求め、次いで、全アルカリ量をリチウムに換算してリチウム量を求める分析方法が、特許文献8に記載されている。
中和滴定法を用いた各特許文献について紹介したが、固形・粉末サンプルを対象とした中和滴定法としては、大別すると以下の様に分かれる。
(i)サンプルを完全溶解させずに、目的成分のみを溶解させ、所定の保持時間における目的成分の溶出量を求める。
(ii)サンプルを完全溶解させ、目的成分の全量を求める。
ここで、先に挙げた、リチウムニッケル複合酸化物へと反応し切れなかった水溶性リチウム化合物であって、リチウムニッケル複合酸化物の表面に主として存在するものの分析については、(i)を採用することになる。つまり、リチウムニッケル複合酸化物を純水に投入し、溶解した水溶性リチウム化合物について分析を行う。詳しく言うと、リチウムニッケル複合酸化物の表面に残存していて、純水に溶解した水溶性リチウム化合物である水酸化リチウム、炭酸リチウムについて分析を行うことになる。中和滴定法により、水酸化リチウム(LiOH)においては、OHの量を求めた上で、OHとLiが1:1であることを利用して、OHの量からリチウムイオン(Li)の量を算出する。そして、炭酸リチウムの(LiCO)においては、CO 2−の量を求めた上で、CO 2−とLiが1:2であることを利用して、CO 2−の量からリチウムイオン(Li)の量を算出する。両リチウムイオン(Li)の量を合計したものを、リチウム量と称する。
(i)を採用し、かつ上記の様な水溶性リチウム化合物を分析対象とする場合、種々の留意点が存在する。例えば、該水溶性リチウム化合物のうち、水酸化リチウムは易炭酸化性化合物であり、先にも挙げた、回収アンモニア水の場合と同様に、大気中の二酸化炭素(CO)と反応し、炭酸リチウムへと変化してしまう可能性がある。その変化の反応式を、以下に示す。まず、水溶性リチウム化合物が固体の状態の場合は、先にも挙げた、以下の反応式が生じ得る。
2LiOH + CO → LiCO + HO (7)
また、水溶性リチウム化合物を、純水に溶解させて溶液とした場合は、以下の反応式が生じ得る。
2OH + CO → CO 2− + HO (8)
いずれにせよ、外部からCOが入り込むため、中和滴定法で求めたOHの量の一部がCO 2−に変化し、CO 2−の量に足されることで、水酸化リチウム由来のリチウムと、炭酸リチウム由来のリチウムの比が狂ってしまう。
この炭酸化による悪影響によって、水酸化リチウム由来のリチウムと、炭酸リチウム由来のリチウムを、正確に分けて分析することが出来なくなってしまう。
回収アンモニア水の様な、易炭酸化性化合物を含有する溶液の分析、不溶性化合物であるリチウムニッケル複合酸化物における、リチウム化合物(例えば水酸化リチウムや炭酸リチウムの様な水溶性リチウム化合物)の分析では、中和滴定法において、サンプルの炭酸化を抑制する方法として、一般的に行われているのが、特許文献9および10に示される方法である。具体的に言うと、グローブボックスに分析装置や器具を収め、その中を窒素などの不活性ガスでパージするという方法である。
特開昭59−168355号公報 特開平06−174714号公報 特開2010−76963号公報 特開2011−96655号公報 WO2012/133434号公報 特開2014−7016号公報 特許第3769344号公報 特許第5894388号公報 特開平10−54899号公報 特開平10−185821号公報
ただ、特許文献9および10に示される方法を用いた場合、グローブボックスに取り付けられた専用手袋が届く範囲の操作しか出来ず、作業性が低下する。また、グローブボックスを基本とした設備自体も、中に収める装置等が大きく、かつ複雑な仕組みになる程、大掛かりなものにする必要がある。その他にも、この方法を採用するにあたってのイニシャルコストのほか、上記の不活性ガスの様な、作業に必要な物質に係るランニングコストについても無視出来ない。
その一方で、特許文献3〜8に記載されている中和滴定法の過程において、大気中の二酸化炭素の影響を抑制する対策が取られているのは、特許文献6に示された窒素ガスによるパージ操作のみであり、簡便で高精度に測定可能な分析方法は、未だ見出されていないのが現状である。
この様に、グローブボックス中で、不活性ガスによりパージを行い、炭酸化を抑制して分析する方法以外に見出せない場合は、易炭酸化性化合物を含有する溶液、若しくは、易炭酸化性化合物と炭酸化合物を含有する不溶性化合物において、易炭酸化性化合物を含有する溶液、若しくは易炭酸化性化合物と炭酸化合物が溶解した溶液を用いて、易炭酸化性化合物と炭酸化合物に係る分析を行い、易炭酸化性化合物量と炭酸化合物量をそれぞれ測定するための、より簡便で、高精度に、しかも連続して測定可能な分析工程がないこととなる。そして、例示した様に、易炭酸化性化合物量と炭酸化合物量に基づいて、更に、一具体例を挙げると、水酸化リチウム由来のリチウムと、炭酸リチウム由来のリチウムを分けて、簡便で、高精度に、しかも連続して分析することが出来ないという課題が残ることとなる。
本発明は、上述した従来の実情を鑑みて提案するものであり、易炭酸化性化合物を含有する溶液の場合は、易炭酸化性化合物に係る分析を行い、易炭酸化性化合物量を測定する分析を、若しくは、易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物を含有する不溶性化合物の場合には、易炭酸化性化合物と炭酸化合物に係る分析を行い、易炭酸化性化合物量と炭酸化合物量をそれぞれ測定する分析を、更には、アルカリ金属を含有する、易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物から、易炭酸化性化合物量と炭酸化合物量をそれぞれ測定して、得られた易炭酸化性化合物量と炭酸化合物量に基づいて、さらに、易炭酸化性化合物由来のアルカリ金属と、炭酸化合物由来のアルカリ金属に分けて、それぞれのアルカリ金属量を測定する分析を、設備コストを掛けずに、簡便かつ高精度で測定可能とする技術を提供することを目的とする。
本発明者は、上述の問題点を解決するべく、分析結果の精度向上やコスト削減を念頭に置きつつ、滴定操作の簡便化、省力化、迅速化を図るため、鋭意研究を重ねた。そして、本発明者は、滴定の際の具体的な作業内容について注目した。中和滴定法においては、分析対象に対して、まず純水による液量調整、若しくは純水で浸出を行い、その後、滴定液の滴下が成される。その際、グローブボックス等の設備が存在しない場合、サンプル採取から滴定液の滴下終了に至るまで、分析対象を含有する溶液は、大気と常に接触した状態となっている。本発明者は、この状況を改善することにより、上記の課題を解決することが出来るのではないかという知見を得た。そして、この知見に基づき、鋭意検討を重ねた結果、本発明を見出し完成するに至った。
上記の知見に基づいて成された、本発明の態様は、以下の通りである。
本発明の第1の態様は、
容器内に、易炭酸化性化合物を含有する溶液を採取し、純水で液量調整する準備工程と、前記準備工程後、前記容器内の溶液液面に浮き(うき)を配置した状態で、前記易炭酸化性化合物に係る分析を行う分析工程とを有する、ことを特徴とする溶液の分析方法である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明であって、
前記分析工程において、前記易炭酸化性化合物に対し、中和滴定法を用いた濃度分析を行う、ことを特徴とする溶液の分析方法である。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の発明であって、
前記易炭酸化性化合物は、回収アンモニア水に含有されるアンモニアである、ことを特徴とする溶液の分析方法である。
本発明の第4の態様は、
容器内に、易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物を含有する不溶性化合物を採取し、純水に浸出する準備工程と、前記準備工程後、前記容器内の溶液液面に浮き(うき)を配した状態で、前記易炭酸化性化合物と前記炭酸化合物に係る分析を行う分析工程とを有する、ことを特徴とする溶液の分析方法である。
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の発明であって、
前記分析工程において、前記易炭酸化性化合物と前記炭酸化合物に対し、中和滴定法を用いた濃度分析を行う、ことを特徴とする溶液の分析方法である。
本発明の第6の態様は、第4または第5の態様に記載の発明であって、
前記易炭酸化性化合物と前記炭酸化合物は、リチウムニッケル複合酸化物に含有される水酸化リチウムと炭酸リチウムである、ことを特徴とする溶液の分析方法である。
本発明の第7の態様は、第1〜第6のいずれかの態様に記載の発明であって、
前記浮き(うき)の素材は樹脂またはゴムであり、前記溶液液面に浮上可能である、ことを特徴とする溶液の分析方法である。
本発明によれば、易炭酸化性化合物を含有する溶液、若しくは、易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物を含有する不溶性化合物を純水に浸出した溶液において、易炭酸化性化合物、若しくは、易炭酸化性化合物と炭酸化合物に係る分析を行い、易炭酸化性化合物量と炭酸化合物量をそれぞれ測定する分析を、設備コストを掛けずに、簡便かつ高精度で分析可能とする。
本実施形態において、ビーカー内に易炭酸化性化合物を含有する溶液を採取し、純水で液量調整した後、回転子を載置すると共に、溶液液面に浮き(うき)を配置した様子を示す断面概略図である。 本実施形態において、ビーカー内に易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物を含有する不溶性化合物を採取し、回転子を載置すると共に、純水に浸出した後、溶液液面に浮き(うき)を配置した様子を示す断面概略図である。 本実施形態において、オートサンプラー付属の自動滴定装置を用いて、中和滴定工程を行う様子を示す断面概略図である。 実施例1および比較例1において、回収アンモニア水に対する、溶液液面を浮きで覆った状態とすることによる、炭酸化および揮散抑制効果を示した図であり、横軸をサンプルの滴定順(例えば、12だと12番目に中和滴定法を行ったサンプル)、縦軸をアンモニア純分(g/l)とした図である。 実施例2および比較例2において、水酸化リチウム溶液に対する、溶液液面を浮きで覆った状態とすることによる、炭酸化抑制効果を示した図であり、横軸をサンプルの滴定順(例えば、12だと12番目に中和滴定法を行ったサンプル)、縦軸をLiOH由来のリチウム(Li)量(mol/l)とした図である。 実施例3および比較例3において、リチウムニッケル複合酸化物を、純水に浸出した溶液に対する、溶液液面を浮きで覆った状態とすることによる、炭酸化抑制効果を示した図であり、横軸をサンプルの滴定順(例えば、12だと12番目に中和滴定法を行ったサンプル)、縦軸をLiOH由来のリチウム(Li)量(%)とした図である。 実施例3および比較例3において、リチウムニッケル複合酸化物を、純水に浸出した溶液に対する、溶液液面を浮きで覆った状態とすることによる、炭酸化抑制効果を示した図であり、横軸をサンプルの滴定順(例えば、12だと12番目に中和滴定法を行ったサンプル)、縦軸をLiCO由来のリチウム(Li)量(%)とした図である。
以下、本発明の実施の形態について、以下の順に説明する。
1.測定方法
1−1.準備工程(液量調整、若しくは純水に浸出)
1−2.分析工程(浮き(うき)配置、中和滴定法)
2.変形例等
本明細書において、「〜」は所定の値以上、かつ所定の値以下のことを指す。
<1.測定方法>
本実施形態においては、
a)易炭酸化性化合物を含有する溶液、若しくは、
b)易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物を含有する不溶性化合物を純水に浸出した溶液、を、分析対象としている。
具体的に例示すると、a)は、アンモニア回収設備で回収された回収アンモニア水の易炭酸化性化合物の分析であり、b)は、リチウムニッケル複合酸化物のアルカリ金属の分析が挙げられる。つまり、a)では、回収アンモニア水のアンモニア純分の分析を、b)では、リチウムニッケル複合酸化物、ひいてはその表面に存在する水溶性リチウム化合物(水酸化リチウムや炭酸リチウム)の分析を行う。
先にも挙げたが、b)については、リチウムニッケル複合酸化物を製造する際に、リチウムニッケル複合酸化物へと反応し切れなかった水溶性リチウム化合物(例えば、水酸化リチウムや炭酸リチウム)であって、リチウムニッケル複合酸化物の表面に主として存在するものにおけるリチウムイオンの量(リチウム量)の定量、即ち濃度分析を行う例を挙げる。ここでは、水酸化リチウムが易炭酸化性化合物であり、炭酸リチウムが炭酸化合物に当たる。詳しく言うと、中和滴定法により、水酸化リチウム(LiOH)のOHの濃度、そして、炭酸リチウム(LiCO)のCO 2−の濃度を、別々に求める。そして、水酸化リチウム(LiOH)のOHの濃度から水酸化リチウム由来のリチウムイオン(Li)の濃度を算出し、それとは別に、炭酸リチウムの(LiCO)のCO 2−の濃度から炭酸リチウム由来のリチウムイオン(Li)の濃度を算出する例を挙げる。
1−1.準備工程(液量調整、若しくは純水に浸出)
本工程においては、分析対象の測定に係る準備を行う。以下、特記の無い事項(例えば、中和滴定法)については、公知の装置や手法を採用しても構わない。
a)については、容器内に、易炭酸化性化合物を含有する溶液を採取し、純水で液量調整する。
b)については、容器内に、易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物を含有する不溶性化合物を採取し、純水に浸出する。
上記以外にも、後述の分析工程(中和滴定法)のための準備を、適宜行う。例えば、回転子も、ビーカー内に載置しておく。
1−2.分析工程(浮き(うき)配置、中和滴定法)
本実施形態における、大きな特徴の一つは、図1および図2に示す様に、容器内の溶液液面に、浮き(うき)を配置した状態としておくことにある。
なお、図1および図2において、符号1はビーカー、符号2は浮き(うき)、符号3は回転子を示す。これらの符号については、説明の便宜上、以降省略する。
これらの操作により、以下の効果が得られる。
仮に、オートサンプラー付属の自動滴定装置を用いて、無人で複数のサンプル(例えば、12サンプル)を連続分析する場合、先に挙げた様に、最後である12番目のサンプルの滴定が開始されるまでの長時間の間に、大気中の二酸化炭素を、a)の回収アンモニア水のアンモニアのほか、b)のリチウムニッケル複合酸化物における水溶性リチウム化合物、特に、易炭酸化性化合物である水酸化リチウムが、取り込んでしまうことになる。その変化の反応式を、以下の(1)、(7)、(8)に示す。b)については、まず、水溶性リチウム化合物が固体の場合は、先にも挙げた、(7)の反応式が生じ得る。
2NHOH + CO→ (NHCO+ HO (1)
2LiOH + CO → LiCO + HO (7)
また、水溶性リチウム化合物を、純水に溶解させて溶液とした場合は、(8)の反応式が生じ得る。
2OH + CO → CO 2− + HO (8)
けれども、本実施形態の様に、オートサンプラーに対して、容器内の溶液液面に浮き(うき)を配置した状態としたなら、アンモニアや水酸化リチウムを、大気から保護することが可能となる。つまり、オートサンプラーにサンプルをセットしてから滴定開始までのタイムラグの間、大気の影響を排することが可能となる。
図3の右図に示す様に、溶液液面を浮き(うき)で覆うことにより、溶液が大気に対して接触する面積を減らすことができ、ひいては大気から溶液を保護することが可能となる。先にも挙げたが、滴定においては、操作に10〜数10分の時間を要するものの、浮き(うき)を採用することにより、この時間の間も、大気から溶液を保護することが出来る。
上記の浮き(うき)の素材は、浮上可能で、環境上の問題も無く、滴定電極を傷付けたり、表面へ付着したりしないものであれば、特に限定は無いが、樹脂またはゴムであるのが好ましい。樹脂の場合、ポリエチレンやポリスチレンなどの他の樹脂を用いてもよい。また、発砲スチロールや発砲ウレタンなどの加工品や、中空タイプ以外に中身が詰まった中実タイプのものでもよい。ゴムの場合、天然ゴムやシリコーンゴムなどのゴムを用いてもよい。なお、浮き(うき)の形状としては、真球のほか楕円状や塊状のものでもよいが、なるべく最大幅が10mm以下のものを用いるのが好ましい。
また、浮き(うき)の数は、任意で構わない。例えば、1個の浮き(うき)であっても、ドーナツ状のものであれば、自動滴定装置におけるpH電極、ビュレット、予備ノズル等(図3右図参照)と干渉せずに済み、複数の小さな浮き(うき)を準備することにより、水面において浮き(うき)が密となり、溶液表面を実質的に覆い(例えば、溶液表面の70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、非常に好ましくは95%以上を覆う。本明細書においては、単に“覆う”と記載する。)、大気から溶液を効率的に保護することが出来る。
また、本実施形態においては、オートサンプラー付属の自動滴定装置を用いるため、上記のように溶液液面を浮き(うき)で覆った状態で、ビーカーを複数用意しておく。ビーカーの数は、任意で構わないが、先にも挙げた様に、サンプル数が12の場合を例示する。
本工程において、オートサンプラー付属の自動滴定装置を操作用PCで起動し、滴定を開始する。図3に示す様に、自動滴定装置のアームと付属のオートサンプラーが作動し、1番目のサンプルを収めたビーカー内へと、pH電極、滴定液を滴下するビュレット、他の試薬を添加する場合の予備ノズルが移動する。なお、図3において、符号4はpH電極、符号5はビュレット、符号6は予備ノズルを示す。
その後、回転子を回転させた状態で、自動滴定装置による自動制御で、滴定液(例えば、塩酸1mol/l)をビーカー内に添加し、滴定を行う。なお、滴定開始時には、pH電極、ビュレットおよび予備ノズルの先端は、溶液に浸された状態になる様に設定する。
以上の作業により、ビーカー内の溶液を用い、a)の回収アンモニア水のアンモニア純分に係る濃度分析や、b)のリチウムニッケル複合酸化物における水溶性リチウム化合物であり、かつ易炭酸化性化合物である水酸化リチウムと、炭酸化合物である炭酸リチウムに係る濃度分析が行われる。なお、この分析作業は、自動滴定装置により自動で行われ、アンモニア純分の濃度ほか、水酸化リチウム(LiOH)のOHの濃度、そして、炭酸リチウムの(LiCO)のCO 2−の濃度が操作用PCに表示され、更には、LiOH由来のLiの濃度、および、LiCO由来のLiの濃度が自動で算出され、その値が操作用PCに表示される。
なお、1番目のサンプルに対する滴定が終了した後、自動滴定装置のアームと付属のオートサンプラーが再び作動し、2番目のサンプル(ビーカー)内へと、pH電極、ビュレット、予備ノズルが移動する。その後、この作業を、12番目のサンプルに至るまで自動で行い、容器内の溶液を用いて分析対象に係る分析を進める。
上記の各工程を経て、a)アンモニア純分、若しくは、b)リチウム量の分析が行われる。b)については、具体的には、先にも挙げたが、中和滴定法により、水酸化リチウム(LiOH)のOHの濃度、そして、炭酸リチウムの(LiCO)のCO 2−の濃度を、別々に求める。そして、水酸化リチウム(LiOH)のOHの濃度から、水酸化リチウム由来のリチウムイオン(Li)の濃度を算出し、それとは別に、炭酸リチウムの(LiCO)のCO 2−の濃度から、炭酸リチウム由来のリチウムイオン(Li)の濃度を算出する。両リチウムイオン(Li)の量を合計したものをリチウム量とし、このリチウム量を算出する。OHがどれだけCO 2−に置き換わっても、両リチウムイオン(Li)の量の合計は変わらないが、リチウムニッケル複合酸化物の表面に存在している水酸化リチウムと炭酸リチウムの割合に従い、水酸化リチウム由来のリチウムと、炭酸リチウム由来のリチウムを、正確に分けて分析することが出来る。
本実施形態の分析方法は、a)回収アンモニア水や、b)リチウムニッケル複合酸化物における水溶性リチウム化合物をはじめ、b)については、リチウム二次電池の製造に使用される材料に未反応で残る、リチウム化合物のリチウム量の分析に適している。また、本実施形態に従えば、グローブボックスの様な、大掛かりな炭酸化抑制設備を用いることなく、上述のサンプルを連続測定することができ、ひいては二酸化炭素がサンプルに入り込む量を低減出来るため、分析精度を向上させることが可能となる。
その結果、本実施形態によれば、分析対象を、設備コストを掛けずに、簡便かつ高精度で、しかも連続測定を可能とする。
<2.変形例>
本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件や、その組み合わせによって得られる、特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
上記の実施の形態においては、分析対象として、a)回収アンモニア水のアンモニア純分、b)リチウムニッケル複合酸化物に含有される水酸化リチウムおよび炭酸リチウム、を例示したが、本発明の技術的思想の適用範囲は、これに限らない。
この分析対象として、a)回収アンモニア水のアンモニア純分、b)リチウムニッケル複合酸化物に含有される水溶性リチウム化合物以外としては、例えば、水酸化バリウムの純度分析が挙げられる。
<水酸化バリウムの純度分析>
水酸化バリウムは、化学分析用の試薬としてだけでなく、樹脂安定剤をはじめ、特殊石鹸、殺虫剤、硬水軟化、テンサイ砂糖精製、ボイラー垢除去、ガラス潤滑などに用いられ、その工業的用途は幅広い。水酸化バリウムの純度分析には、JIS−K−1417やJIS−K−8577で定められている通り、塩酸による中和滴定法が一般的に用いられている。しかしながら、その分析に使用する水は、二酸化炭素を含まないことが必須であると共に、分析サンプルを水で溶解した後は、空気中からの二酸化炭素の吸収も抑制しなければならない。どちらから二酸化炭素が混入しても、サンプル溶液中の水酸化物イオンが炭酸イオンに変化し、その炭酸イオンが更にバリウムイオンと反応し、炭酸バリウムとして沈澱することで、分析結果は低値を示す。これに対して、本発明を用いた場合、浮き(うき)によって、空気中からの二酸化炭素の吸収を抑制することが可能となり、水酸化バリウムの純度を正しく分析することが出来る。
また、分析工程の内容は、濃度分析や炭酸化抑制効果のみに限らない。本発明の技術的思想は、分析対象を純水に溶解した溶液をはじめ、各種溶媒を用いた分析操作全般(例えば、石油の臭素価分析における臭素の揮散抑制や、ニッケルめっき液中のニッケル分析におけるアンモニア揮散抑制等)に対して適用可能である。
<石油の臭素価分析における臭素の揮散抑制>
中和滴定法以外に、臭素価分析に用いられる電気滴定法でも、本発明の、浮き(うき)によって液面を保護する技術が適用可能である。臭素もアンモニアと同様に、揮散し易い物質であり、電気滴定法による石油の臭素価分析では、終点付近における臭素の揮散が、分析結果がばらつく要因となる。この場合も、浮き(うき)によって液面を保護することで、臭素の揮散を抑制でき、正確な分析へ対応可能となる。
<ニッケルめっき液中のニッケル分析におけるアンモニア揮散抑制>
ニッケルめっき液中のニッケル分析は、MX(ムレキシド)指示薬を用いたキレート(EDTA:エチレンジアミン四酢酸塩)標準溶液による光度滴定法が広く一般的に行われている。ところが、オートサンプラーによる自動測定を行う場合、サンプル溶液に緩衝液として多量に添加したアンモニア水が、アンモニアガスとして揮散するし、炭酸化も進む。このため、オートサンプラー上で待機している、複数のサンプル溶液のpHが下がるだけでなく、作業場内に腐食性かつ刺激臭を持つアンモニアガスが充満することとなる。
仮に、自動分注器を使用し、滴定の直前に、予備ノズルからアンモニア水をサンプル溶液へ添加するシーケンスを設定したとしても、アンモニア水が強烈な腐食性を持つ故に、自動分注器と関連部品の特殊な改造が必要である。
上記ニッケルめっき液中のニッケル分析において、本発明の、浮き(うき)で溶液液面を保護する技術を適用することにより、アンモニアの揮散を抑制することができ、滴定pHの安定化、ひいては正確かつ高精度のニッケル分析が可能となる。しかも、作業場に、アンモニアガスが充満することもなく、特に本発明を局所排気設備等と併用することにより、労働安全衛生上、作業環境の向上について大きな効果が得られる。
また、上記の実施形態においては、12個のサンプルを設置可能な自動滴定装置と、それに付属するオートサンプラーを採用した例を挙げた。ただ、上記の実施の形態の手法は、あくまで分析対象を連続で測定可能とするものであって、自動滴定装置とそれに付属するオートサンプラーを使用しない場合(例えば、作業者が手作業で作業する場合)を、排除するものではない。
以下、本実施例について説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。本実施例においては、浮き(うき)が、二酸化炭素の吸収抑制及び揮散抑制のために正しく作用し、溶液を大気から保護出来ているか否かを確認した。
(実施例1)
まず、実施例1について、詳しく説明する。サンプルAとして、20g/lのアンモニア水を、ビーカーに5ml採取し、純水で125mlに液量調整した。ここで、浮き(うき)としては、樹脂とゴムとの2種を用意し、各々を該アンモニア水と共にビーカー内へ入れた。樹脂の浮き(うき)としては、中空タイプのポリプロピレンボール(10mmΦ)を使用した。また、ゴムの浮き(うき)としては、中実タイプのシリコーンゴム球(5mmΦ)を使用した。そして、回転子もビーカー内に載置し、この状態のビーカーを12個用意し、オートサンプラーに設置した。この状態の各ビーカー内のアンモニア水に対し、オートサンプラー付属の自動滴定装置を用いて、中和滴定法を行った。中和滴定法の実施中においては、溶液液面をポリプロピレンボールで覆い、溶液を大気から保護した。そして、各アンモニア水におけるアンモニア純分を求めた。なお、自動滴定装置には、平沼産業(株)製のCOM−1750を、オートサンプラーには、平沼産業(株)製のC−1700を、それぞれ使用した。
(比較例1)
その一方、比較例1として、浮き(うき)で溶液液面を保護しなかったことを除き、本実施例1に記載の手法と同様にして、アンモニア純分を求めた。
この時の、アンモニア純分に対する、浮き(うき)の炭酸化抑制および揮散抑制効果を示したものが、図4である。図4は、横軸をサンプルの滴定順(例えば、12だと12番目に滴定したサンプル)、縦軸をアンモニア純分(g/l)とした図である。図4を見ると、浮き(うき)で溶液液面を保護しない場合だと、アンモニア水の滴定順が後になるにつれてアンモニア純分が減少している。これはつまり、滴定の待ち時間が長ければ長いほど、アンモニアが炭酸化すると共に、アンモニアがガスとして揮散することになり、アンモニア純分が減少したことを示している。
その一方で、樹脂でもゴムでも、浮き(うき)をビーカー内に載置した場合は、滴定の待ち時間が長くなったとしても、水酸化リチウム水溶液の水面を大気から保護された状態が維持されているため、LiOH由来のリチウムの減少量を顕著に抑えることが出来ていた。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。サンプルBとして、1mol/l水酸化リチウム(LiOH)溶液を、ビーカーに5ml採取したことを除き、本実施例1に記載の手法と同様にして、リチウム量を求めた。
(比較例2)
その一方、比較例2として、浮き(うき)で溶液液面を保護しなかったことを除き、本実施例2に記載の手法と同様にして、リチウム量を求めた。
この時の、リチウム量に対する、浮き(うき)の炭酸化抑制効果を示したものが、図5である。図5は、横軸をサンプルの滴定順(例えば、12だと12番目に滴定したサンプル)、縦軸をLiOH由来のリチウム(Li)量(mol/l)とした図である。図5を見ると、浮き(うき)で溶液液面を保護しない場合だと、水酸化リチウム溶液の滴定順が後になるにつれて、リチウム量が減少している。これはつまり、滴定の待ち時間が長ければ長いほど、LiOHが炭酸化することになり、LiOH由来のリチウム(以降、LiOH−Liとも記載。)が減少したことを示している。
その一方で、樹脂でもゴムでも、浮き(うき)で溶液液面を保護した場合は、滴定の待ち時間が長くなったとしても、水酸化リチウム溶液の溶液液面を、大気から保護された状態が維持されているため、LiOH由来のリチウムの減少量を、顕著に抑えることが出来ていた。
(実施例3)
本実施例においては、以下の点を除き、実施例1と同様にして試験を行った。
・実施例1、2の溶液サンプルとは別サンプルであって、リチウムニッケル複合酸化物である粉末サンプルCを使用した。
・浮き(うき)には、中空タイプのポリプロピレンボール(10mmΦ)を使用した。
・まず、回転子を載置したビーカーを12個用意し、サンプルCを2gずつ採取した。これに、純水125mlを加え、ビーカー上部に調理用ラップフィルムを貼って密封した後、6連式のマグネチックスターラー2台を用いて室温で1時間以上浸出し、水溶性リチウム化合物を完全溶解した。更に、ビーカーから調理用ラップフィルムを剥がし、浮き(うき)で溶液液面を保護した後、オートサンプラー上に設置した。
・水酸化リチウムに由来するリチウム量と、炭酸リチウムに由来するリチウム量とを、分けて求めた。
(比較例3)
その一方、比較例3として、浮き(うき)を使用しなかったことを除き、実施例3に記載の手法と同様にして、リチウム量を求めた。
この時の、水酸化リチウムに由来するリチウム量に対する、浮き(うき)の炭酸化抑制効果を示したものが、図6である。図6は、横軸をサンプルの滴定順(例えば、12だと12番目に滴定したサンプル)、縦軸をLiOH由来のリチウム(Li)量(%)とした図である。図6を見ると、浮き(うき)で溶液液面を保護しない場合だと、水酸化リチウム溶液の滴定順が後になるにつれて、リチウム量が減少している。これはつまり、滴定の待ち時間が長ければ長いほど、LiOHが炭酸化することになり、LiOH由来のリチウムが減少したことを示している。その一方で、浮き(うき)で溶液液面を保護した場合は、滴定の待ち時間が長くなったとしても、水溶性リチウム化合物が溶解した溶液の液面を、大気から保護された状態が維持されているため、LiOH由来のリチウムの減少量を、顕著に抑えることが出来ていた。
また、炭酸リチウムに由来するリチウム量を示したものが、図7である。図7は、横軸をサンプルの滴定順(例えば、12だと12番目に滴定したサンプル)、縦軸をLiCO由来のリチウム(Li)量(%)とした図である。図7を見ると、浮き(うき)で溶液液面を保護しない場合だと、炭酸リチウム溶液の滴定順が後になるにつれて、LiCO由来のリチウム量が増加している。これは、滴定の待ち時間が長ければ長いほど、LiOHが炭酸化してLiCOが生成し、LiCO由来のリチウム量が増加したことを示している。その一方で、浮き(うき)で溶液液面を保護した場合は、滴定の待ち時間が長くなったとしても、水溶性リチウム化合物が溶解した溶液の液面を、大気から保護された状態が維持されているため、LiOHの炭酸化が抑制され、LiCO由来のリチウムの増加量を、顕著に抑えることが出来ていた。
1………ビーカー
2………浮き(うき)
3………回転子
4………pH電極
5………ビュレット
6………予備ノズル

Claims (7)

  1. 複数の容器の各々内に、易炭酸化性化合物と炭酸化合物の混合物を含有する不溶性化合物を採取し、純水浸出する準備工程と、前記準備工程後、前記各容器内の溶液液面に浮き(うき)を配した状態で、オートサンプラーを用いて前記各容器内の溶液に対し前記易炭酸化性化合物と前記炭酸化合物に係る連続分析を行う分析工程とを有する、ことを特徴とする溶液の分析方法。
  2. 前記分析工程において、前記易炭酸化性化合物と前記炭酸化合物に対し、中和滴定法を用いた濃度分析を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の溶液の分析方法。
  3. 前記易炭酸化性化合物と前記炭酸化合物は、リチウムニッケル複合酸化物に含有される水酸化リチウムと炭酸リチウムである、ことを特徴とする請求項1または2に記載の溶液の分析方法。
  4. 容器内に、易炭酸化性化合物を含有する溶液を採取し、純水で液量調整する準備工程と、前記準備工程後、前記容器内の溶液液面に浮き(うき)を配置した状態で、前記易炭酸化性化合物に係る分析を行う分析工程とを有し、
    前記易炭酸化性化合物は、回収アンモニア水に含有されるアンモニアである、ことを特徴とする溶液の分析方法。
  5. 複数の容器の各々内に、易炭酸化性化合物を含有する溶液を採取し、純水で液量調整する準備工程と、前記準備工程後、前記各容器内の溶液液面に浮き(うき)を配置した状態で、オートサンプラーを用いて前記各容器内の溶液に対し前記易炭酸化性化合物に係る連続分析を行う分析工程とを有し、
    前記分析工程において、前記易炭酸化性化合物に対し、中和滴定法を用いた濃度分析を行う、ことを特徴とする溶液の分析方法。
  6. 前記分析工程において、前記易炭酸化性化合物に対し、中和滴定法を用いた濃度分析を行う、ことを特徴とする請求項に記載の溶液の分析方法。
  7. 前記浮き(うき)の素材は樹脂またはゴムであり、前記溶液液面に浮上可能である、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の溶液の分析方法。
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