JP2012043716A - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】NiとCoが固溶した化合物を焙焼して、平均粒径1.0〜4.0μmのNiCo複合酸化物粒子を得て、該複合酸化物粒子をLi化合物およびTi化合物と混合し、690〜750℃の温度で焼成して、一般式:Li1+zNi1-x-yCoxTiyO2(0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08、−0.05≦z≦0.10)で表されるLiNi複合酸化物の一次粒子により構成された略球状の二次粒子からなり、該二次粒子の平均粒径が1.0〜4.0μmであり、粒度分布幅sdが2.0以下である正極活物質を得る。
【選択図】なし
Description
本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式 Li1+zNi1-x-yCoxTiyO2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08、−0.05≦z≦0.10)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の粉末により構成される。
以下、本発明の正極活物質の製造方法について、工程ごとに詳細に説明する。
第1の工程は、NiとCoが固溶した化合物、およびTi化合物の複合造粒体を焙焼して、一般式:Ni1-x-yCoxTiyO2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08)で表される平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合酸化物粒子を得る工程である。
本発明における上記NiCo固溶化合物としてのCoを含有するニッケル複合水酸化物を得る方法の第1の態様は、Ni塩とCo塩の混合水溶液に錯化剤とアルカリ溶液を添加して反応液とし、該反応液の温度を50℃〜80℃の範囲、pHを12以上の範囲に保持して、共沈により、平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合水酸化物を晶析させるものである。
反応液の温度を、錯化剤を用いた場合には50℃〜80℃に、錯化剤の非存在下の場合には60℃〜80℃に、それぞれ制御することで、微粉が少なく、結晶が成長した略球状のニッケル複合水酸化物を得ることができる。
本発明における上記複合造粒体を得る方法の第2の態様は、上記NiCo固溶化合物とTi化合物を含有するスラリーを、該スラリー濃度を50g/L〜150g/L、気流体供給量/スラリー供給量の比を1000以上2200以下として噴霧乾燥することにより、平均粒径1.0μm〜4.0μmの前記複合造粒体を得るものである。
第2の工程は、第1の工程で得られたCoとTiを含むニッケル複合酸化物粒子とLi化合物とを混合し、もしくは、上記Coを含むニッケル複合酸化物粒子とLi化合物およびTi化合物とを混合し、得られた混合物を690℃〜750℃の温度で焼成して、リチウムニッケル複合酸化物(焼成物)を得る工程である。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、第2の工程によって得られるが、第2の工程で得られたリチウムニッケル複合酸化物は、粒子表面に余剰のLi化合物が残留するため、第3の工程として、得られたリチウムニッケル複合酸化物の水洗処理を行うことが好ましい。水洗により、粒子表面に存在する余剰のLi化合物および不純物が除去され、電池に用いた場合の容量と熱安全性をさらに向上させることができる。
以下、非水系電解質二次電池の代表例として、図1に2032型コイン電池を例示する。本発明の非水系電解質二次電池は、負極1、非水系電解液を保持するセパレータ2、正極3、ガスケット4、負極缶5、正極缶6、集電体7など、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素から構成される。なお、本発明の非水系電解質二次電池は、その形状および用途を特に限定されるものではない。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質を用いた正極は、たとえば、次のようにして作製する。
負極には、金属リチウム、リチウム合金などのリチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
正極と負極との間にはセパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な穴を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解液は、支持塩としてのLi塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネートや、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、さらには、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトンなどの硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのリン化合物、その他の有機溶媒材料から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
以上説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明のリチウム二次電池の形状は、円筒型、積層型など、種々のものとすることができる。
本発明の正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、2032型コイン電池の場合、初期放電容量が200mAh/g以上の高容量を有するとともに、安全性にもすぐれたものとなる。このように高容量で高い安全性を備えるとともに、本発明の非水系電解質二次電池は、電池の内部抵抗が低く、その出力特性にもすぐれることから、携帯電子機器などの小型二次電池のみならず、ハイブリッド自動車や電気自動車などのモータ駆動用の大型二次電池としても好適に用いることができる。
第1工程として、Ni:Coのモル比が82:15となるように、硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合溶液を準備し、この混合溶液を、25質量%水酸化ナトリウム溶液および錯化剤としての25質量%アンモニア水とともに、反応槽に撹拌しながら同時に添加し、反応液を25℃基準でpHを12.2〜12.5の範囲、反応温度を52℃〜56℃の範囲において一定に保って晶析を行い、反応槽内が定常状態になったのちに、オーバーフローした沈殿物を採取し、濾過、水洗後に乾燥させ、Coを含むニッケル複合水酸化物の乾燥粉末を得た。得られたニッケル複合水酸化物の平均粒径を測定したところ、2.6μmであった。
粒度分布幅sd=(累積カーブが84%となる点の粒径−累積カーブが16%となる点の粒径)/2
第2工程における焼成時の温度を700℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第2工程における焼成時の温度を740℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第1工程における晶析時に錯化剤を用いず、pHを11.1〜11.3の範囲、反応温度を62℃〜66℃の範囲で制御したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。なお、得られたニッケル複合水酸化物の平均粒径は2.4μm、ニッケル複合酸化物の平均粒径は2.2μmであった。評価結果を表1に示す。
第3工程において、リチウムニッケル複合酸化物を質量比で0.5の純水と混合してスラリーとしたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第1工程において、pHを12.5〜13.0に制御して晶析したこと以外は、実施例1と同様にして、Coを含むニッケル複合水酸化物を得た。
第1工程における気液比を1000としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。その評価結果を表1に示す。なお、得られた複合造粒体の平均粒径を測定したところ、3.9μmであった。また、得られたニッケル複合酸化物の平均粒径を測定したところ、3.7μmであった。
第1工程における気液比を2000としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。その評価結果を表1に示す。なお、得られた複合造粒体の平均粒径を測定したところ、1.9μmであった。また、得られたニッケル複合酸化物の平均粒径を測定したところ、1.6μmであった。
第2工程における焼成時の温度を700℃としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第2工程における焼成時の温度を740℃としたこと以外は、実施例6と同様にして正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第3工程において、得られたリチウムニッケル複合酸化物を質量比で1の純水と混合してスラリーとし、30分撹拌後、濾過、210℃で真空乾燥したこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第2工程における焼成時の温度を700℃としたこと、また、第3工程において、得られたリチウムニッケル複合酸化物を質量比で1の純水と混合してスラリーとし、30分撹拌後、濾過、210℃で真空乾燥したこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第2工程における焼成時の温度を740℃としたこと、また、第3工程において、得られたリチウムニッケル複合酸化物を質量比で1の純水と混合してスラリーとし、30分撹拌後、濾過、210℃で真空乾燥したこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
晶析時のpHを11〜11.5の範囲に制御したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、得られたニッケル複合水酸化物およびニッケル複合酸化物の平均粒径は、それぞれ4.8μmおよび4.6μmであった。
第2工程における焼成時の温度を680℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第2工程における焼成時の温度を760℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第1工程における気液比を950としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、得られた複合造粒体およびニッケル複合酸化物の平均粒径を測定したところ、それぞれ4.6μmおよび4.3μmであった。
第2工程における焼成時の温度を680℃としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
第2工程における焼成時の温度を760℃としたこと以外は、実施例6と同様にして、正極活物質を得るとともに、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜13で得られた正極活物質は、正極活物質(2次粒子)の平均粒径が小さく、正極の反応抵抗も6Ω以下と低く抑えられていることから、出力特性にすぐれた材料であることが理解される。また、リチウム席占有率が98%以上と高い結晶性を有し、初期放電容量も200mAh/g以上と高く、かつ正極の反応抵抗が6Ω未満と低く、すぐれた出力特性を備える正極活物質であることが理解される。
2 セパレータ(電解液含浸)
3 正極(評価用電極)
4 ガスケット
5 負極缶
6 正極缶
7 集電体
Claims (12)
- 一般式:Li1+zNi1-x-yCoxTiyO2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08、−0.05≦z≦0.10)で表されるリチウムニッケル複合酸化物の一次粒子により構成された略球状の二次粒子からなり、該二次粒子の平均粒径が1.0μm〜4.0μmであり、かつ、粒度分布幅sdが2.0以下であることを特徴とする、非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記二次粒子の比表面積が4.0m2/g〜7.0m2/gであることを特徴とする、請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記リチウムニッケル複合酸化物における、3a、3b、6cの各サイトを[Li1+z]3a[Ni1-x-yCoxTiy]3b[O2]6cで表示した場合、該リチウムニッケル複合酸化物のX線回折のリートベルト解析から得られた3aサイトにおけるリチウム席占有率が98%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 正極材料として用いた場合に、電池の初期放電容量が200mAh/g以上となることを特徴とする、請求項3に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- ニッケルとコバルトが固溶した化合物とチタン化合物との複合造粒体を焙焼して、一般式:Ni1-x-yCoxTiyO2(ただし、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.08)で表される平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合酸化物粒子を得る第1の工程と、該ニッケル複合酸化物粒子とリチウム化合物とを混合し、690℃〜750℃の温度で焼成することにより、前記リチウムニッケル複合酸化物を得る第2の工程とを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニッケルとコバルトが固溶した化合物とチタン化合物との複合造粒体を、該ニッケルとコバルトが固溶した化合物および該チタン化合物を含有するスラリーを、該スラリー濃度を50g/L〜150g/L、気流体供給量/スラリー供給量の比を1000以上2200以下として噴霧乾燥することにより、平均粒径1.0μm〜4.0μmの範囲となるように得ることを特徴とする、請求項5に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- ニッケルとコバルトが固溶した化合物を焙焼して、一般式:Ni1-xCoxO2(ただし、0.10≦x≦0.23)で表される平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合酸化物粒子を得る第1の工程と、該ニッケル複合酸化物粒子とリチウム化合物およびチタン化合物とを混合し、690℃〜750℃の温度で焼成することにより前記リチウムニッケル複合酸化物を得る第2の工程とを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニッケルとコバルトが固溶した化合物として、ニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液に錯化剤とアルカリ溶液を添加した反応液から、該反応液の温度を50℃〜80℃の範囲、pHを12以上の範囲に保持して、共沈により晶析させて得た、平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合水酸化物を用いることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニッケルとコバルトが固溶した化合物として、ニッケル塩とコバルト塩の混合水溶液に錯化剤の非存在下でアルカリ溶液を添加した反応液から、該反応液の温度を60℃〜80℃の範囲、pHを11以上の範囲に保持して、共沈により晶析させて得た、平均粒径1.0μm〜4.0μmのニッケル複合水酸化物を用いることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記チタン化合物として酸化チタンを用いることを特徴とする、請求項5〜9のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 第2の工程で得られたリチウムニッケル複合酸化物を、質量比で1〜0.5の水と混合してスラリーとし、30分〜1時間の撹拌後、濾過、真空乾燥する第3の工程をさらに有することを特徴とする、請求項5〜10のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を正極材料として用いた正極を備える非水系電解質二次電池。
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