JP2016110982A - 正極活物質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Ni高濃度のリチウム複合酸化物からなる正極活物質を工業的に量産することができる正極活物質の製造方法の提供。
【解決手段】炭酸リチウムとNiを含む化合物とを混合する混合工程S1と、混合物を酸化性雰囲気で焼成してNi高濃度のリチウム複合化合物を得る焼成工程S2と、を有する正極活物質の製造方法であって、焼成工程S2が200〜400℃の熱処理温度で0.5〜5時間に亘って熱処理することで第1前駆体を得る第1熱処理工程S21と、第1前駆体を450〜700℃の熱処理温度で2〜50時間に亘って熱処理することで第2前駆体を得る第2熱処理工程S22と、第2前駆体を700〜850℃の熱処理温度で熱処理することでリチウム複合化合物を得る第3熱処理工程S23と、を有する製造方法。第2熱処理工程S22及び第3熱処理工程S23の酸化性雰囲気の酸素濃度は、80%以上である製造方法。
【選択図】図1A

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の正極に用いられる正極活物質の製造方法に関する。
非水系電解質が電極間の電気伝導を媒介する非水系二次電池の一種として、リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、充放電反応における電極間の電気伝導をリチウムイオンが担う二次電池であり、ニッケル・水素蓄電池やニッケル・カドミウム蓄電池等の他の二次電池と比較して、エネルギー密度が高く、メモリ効果が小さいといった特徴を有している。そのため、リチウムイオン二次電池は、携帯電子機器、家庭用電気機器等の小型電源から、電力貯蔵装置、無停電電源装置、電力平準化装置等の定置用電源や、船舶、鉄道、ハイブリット自動車、電気自動車等の駆動電源等の中型・大型電源に至るまでその用途が拡大している。
特に、リチウムイオン二次電池を中型・大型電源として用いる場合には、電池の高エネルギー密度化が要求される。電池の高エネルギー密度化の実現には、正極及び負極の高エネルギー密度化が必要であり、正極及び負極に用いられる活物質の高容量化が要求されている。高い充放電容量を有する正極活物質としては、α−NaFeO型層状構造を有するLiM´O(M´は、Ni、Co、Mn等の元素を示す。)の化学式であらわされるリチウム複合化合物の粉末が知られている。この正極活物質は、特にNiの比率が高くなるほど容量が高くなる傾向を示すことから、電池の高エネルギー化を実現する正極活物質として期待されている。
このような正極活物質として、LiNiM1M2(O)(SOで示されるリチウム含有化合物の粉体及びその製造方法が開示されている(下記特許文献1を参照)。特許文献1に記載された発明は、電池製造(正極)において二次粒子が破壊されず、粉末状にならないリチウム混合金属酸化物を提供することを目的としている。その解決手段として、初期粉体と200MPaで圧縮した後の粉体とでASTM B 822に従って測定したD10値の差を、1.0μm以下としている。
特許文献1に記載されたリチウム含有化合物の粉体の製造工程は、所定の空隙率を有する共沈させたニッケル含有前駆体を調製する工程と、そのニッケル含有前駆体とリチウム含有化合物を混合して前駆体混合物を得る工程とを有している。このリチウム含有化合物としては、炭酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、酸化リチウム、硝酸リチウム又はそれらの混合物が例示されている。さらに、得られた前駆体混合物を、CO非含有(CO含有率0.5ppm以下)酸素含有キャリアガスを使用しながら多段階で200〜1000℃に加熱して粉体生成物を製造する工程と、超音波による粉末の解砕及び解砕された粉末の篩分けを行う工程と、を有している。
特許文献1によれば、上記の製造工程の温度保持段階と関連する反応制御により、強く互いに焼結した二次粒子の凝集がない生成物が得られるとしている。これにより、電極製造において、高圧力下の材料床内で粒子の破壊を起こす、角を有する角形粒子が形成される粉砕工程を省くことができる、としている。
特表2010−505732号公報
一方、特許文献1のように前駆体混合物を加熱するのではなく、炭酸リチウムとNiを含む化合物との混合物を焼成して、例えば、化学式LiM´O(M´は、Niを含む金属元素)のM´におけるNiの原子比(Ni/M´)が0.7以上であるNi高濃度の層状構造のリチウム複合化合物を製造するには、次のような課題がある。Ni高濃度のリチウム複合酸化物を工業的に量産するためには、多量かつ均一に合成反応を進行させる必要がある。しかし、炭酸リチウムとNiを含む化合物の混合物を加熱すると、炭酸リチウムから多量の炭酸ガスが発生するため、多量かつ均一な合成反応が阻害されることが分かった。炭酸ガスが発生すると、酸素分圧が低下してNi価数を2価から3価に酸化させる反応が阻害されてしまうためである。特にNi高濃度のリチウム複合化合物においては、Niの酸化が不十分であると、容量が大きく低下するなどの課題があることを見出した。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、炭酸リチウムとNiを含む化合物との混合物を焼成して、Ni高濃度のリチウム複合酸化物からなる正極活物質を工業的に量産することができる正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明の正極活物質の製造方法は、リチウムイオン二次電池の正極に用いられる正極活物質の製造方法であって、炭酸リチウムと下記式(1)中のLi以外の金属元素をそれぞれ含む化合物とを混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合物を酸化性雰囲気下で焼成して下記式(1)で表されるリチウム複合化合物を得る焼成工程と、を有し、前記焼成工程は、前記混合物を200℃以上かつ400℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ5時間以下に亘って熱処理することで第1前駆体を得る第1熱処理工程と、前記第1前駆体を450℃以上かつ700℃未満の熱処理温度で2時間以上かつ50時間以下に亘って熱処理することで第2前駆体を得る第2熱処理工程と、前記第2前駆体を700℃以上かつ850℃以下の熱処理温度で2時間以上かつ50時間以下に亘って熱処理することで前記リチウム複合化合物を得る第3熱処理工程と、を有し、前記第2熱処理工程及び前記第3熱処理工程の酸化性雰囲気の酸素濃度は、80%以上であることを特徴とする。
Li1+aNiMnCo2+α …(1)
ただし、前記式(1)中、Mは、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、Nbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、b、c、d、e及びαは、−0.1≦a≦0.2、0.7≦b≦0.9、0≦c≦0.35、0.05≦d≦0.30、0≦e≦0.35、b+c+d+e=1、及び、−0.1≦α≦0.1、を満たす数である。
本発明によれば、層状構造を有するNi高濃度のリチウム複合酸化物からなる正極活物質を工業的に量産することが可能になる。
本発明の正極活物質の製造方法の実施形態を示すフロー図。 図1Aに示す正極活物質の製造方法の変形例を示すフロー図。 正極活物質を含む正極を備えたリチウムイオン二次電池の一実施形態を示す模式部分断面図。
以下、本発明の正極活物質の製造方法の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の正極活物質の製造方法は、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池の正極に用いられる正極活物質を製造するための方法である。まず、本実施形態の正極活物質の製造方法によって製造される正極活物質について詳細に説明する。
(正極活物質)
本実施形態の製造方法によって製造される正極活物質は、α−NaFeO型の層状構造を有し、下記式(1)で表されるNi高濃度のリチウム複合化合物の粉末である。
Li1+aNiMnCo2+α …(1)
ただし、前記式(1)中、Mは、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、Nbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、b、c、d、e及びαは、−0.1≦a≦0.2、0.7≦b≦0.9、0≦c≦0.35、0.05≦d≦0.30、0≦e≦0.35、b+c+d+e=1、及び、−0.1≦α≦0.1、を満たす数である。
前記式(1)で表されるα−NaFeO型の層状構造を有するリチウム複合化合物の粉末からなる正極活物質は、充放電に伴ってリチウムイオンの可逆的な挿入及び脱離を繰り返すことが可能であり、かつ抵抗の低い層状正極活物質である。なお、正極活物質を構成するリチウム複合化合物の粒子は、個々の粒子が分離した一次粒子であってもよく、複数の一次粒子を焼結等によって結合させた二次粒子であってもよく、遊離リチウム化合物を含む一次粒子又は二次粒子であってもよい。
正極活物質の一次粒子の平均粒径は、例えば、0.1μm以上かつ2μm以下であることが好ましい。正極活物質の一次粒子の平均粒径を2μm以下とすることで、正極活物質を含む正極を製造する際に、正極における正極活物質の充填性が改善し、エネルギー密度が高い正極を製造することができる。また、正極活物質の二次粒子の平均粒径は、例えば、3μm以上かつ50μm以下であることが好ましい。
正極活物質の粒子は、後述する正極活物質の製造方法によって製造された一次粒子を、乾式造粒又は湿式造粒によって造粒することによって二次粒子化することができる。造粒手段としては、例えば、スプレードライヤーや転動流動層装置等の造粒機を利用することができる。
前記式(1)において、aは、化学式LiM´Oで表される正極活物質の量論比率、すなわちLi:M´:O=1:1:2からのLiの過不足量を表している。ここで、M´は式(1)におけるLi以外の金属元素を示す。Liの含有率が高いほど、充電前の遷移金属の価数が高くなって、Li脱離時の遷移金属の価数変化の割合が低減され、正極活物質の充放電サイクル特性を向上させることができる。その反面、Liの含有率が高いほど、正極活物質の充放電容量は低下する。したがって、前記式(1)中のLiの過不足量を表すaの範囲を−0.1以上かつ0.2以下とすることで、正極活物質の充放電サイクル特性を向上させ、かつ充放電容量の低下を抑制することができる。
より好ましくは、前記式(1)中のLiの過不足量を表すaの範囲は、−0.05以上かつ0.1以下とすることができる。前記式(1)中のaが−0.05以上であれば、充放電に寄与するのに十分なLi量が確保され、正極活物質の高容量化を図ることができる。また、前記式(1)中のaが0.1以下であれば、遷移金属の価数変化による電荷補償を十分確保することができ、高容量と高充放電サイクル特性を両立させることができる。
また、前記式(1)中のNiの含有率を示すbが0.7以上であれば、正極活物質において充放電に寄与するのに十分なNi量が確保され、高容量化を図ることができる。一方、前記式(1)中のbが0.9を超えると、Niの一部がLiサイトに置換され、充放電に寄与するのに十分なLi量が確保できず、正極活物質の充放電容量が低下する虞がある。したがって、前記式(1)中のNiの含有率を示すbを、0.7以上かつ0.9以下の範囲、より好ましくは、0.75以上かつ0.85以下の範囲とすることで、正極活物質を高容量化させつつ、充放電容量の低下を抑制することができる。
また、Mnの添加は、充電によってLiが脱離しても層状構造を安定に維持する作用がある。ただし、前記式(1)中のMnの含有率を示すcが0.35を超えると、正極活物質の容量が低下する。したがって、前記式(1)中のcを、0以上かつ0.35以下の範囲とすることで、充放電によってLiが挿入・脱離されても、正極活物質の層状構造を安定に維持することができ、正極活物質の容量低下を抑制することができる。
また、前記式(1)中のCoの含有率を示すdが0.05以上であれば、正極活物質の層状構造を安定に保つことができる。層状構造を安定に保つことにより、例えば、LiサイトにNiが混入するカチオンミキシングを抑制することができるため、優れた充放電サイクル特性を得ることができる。一方、前記式(1)中のdが0.3を超えると、供給量が限られコストが高いCoの比率が相対的に多くなり、正極活物質の工業的な生産において不利になる。したがって、前記式(1)中のCoの含有量を示すdを、0.05以上かつ0.3以下の範囲、より好ましくは、0.1以上かつ0.2以下の範囲とすることで、正極活物質の充放電サイクル特性を向上させることができ、正極活物質の工業的な量産においても有利になる。
また、前記式(1)中のMが、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、Nbからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素からなるものであることにより、正極活物質における電気化学的活性を確保することができる。また、これらの金属元素で正極活物質の金属サイトを置換することで、正極活物質の結晶構造の安定性や層状正極活物質の電気化学特性(サイクル特性等)を向上させることができる。なお、前記式(1)中のMの含有率を示すeが0.35を超えると、正極活物質の容量が低下する。したがって、前記式(1)中のeの範囲を0以上かつ0.35以下とすることで、正極活物質の容量低下を抑制することができる。
また、前記式(1)中のαは、空間群R−3mに帰属される層状構造化合物を許容する範囲であり、酸素の可不足量を示す。正極活物質のα−NaFeO型の層状構造を維持する観点から、例えば、−0.1以上かつ0.1以下の範囲であることが好ましい。
正極活物質の粒子の結晶構造は、例えば、X線回折法(X-ray diffraction;XRD)等によって確認することができる。また、正極活物質の粒子の平均組成は、高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma;ICP)、原子吸光分析(Atomic Absorption Spectrometry;AAS)等によって確認することができる。
また、正極活物質の粒子のBET比表面積は、例えば、概ね0.2m/g以上かつ2.0m/g以下とすることが好ましい。正極活物質の粒子のBET比表面積を概ね2.0m/g以下とすることによって、正極における正極活物質の充填性が改善し、エネルギー密度が高い正極を製造することができる。なお、BET比表面積は、自動比表面積測定装置を用いて測定することができる。
また、正極活物質の粒子破壊強度は50MPa以上かつ100MPa以下であることが好ましい。これにより、電極作製の過程で正極活物質の粒子が破壊されることがなく、正極集電体の表面に正極活物質を含むスラリーを塗工して正極合剤層を形成する際に、剥がれなどの塗工不良が抑制される。正極活物質の粒子破壊強度は、例えば、微小圧縮試験機を用いて測定することができる。
(正極活物質の製造方法)
次に、前述の正極活物質を製造する本実施形態の正極活物質の製造方法について説明する。図1Aは、本実施形態の正極活物質の製造方法に含まれる各工程を示すフロー図である。図1Bは、図1Aに示す本実施形態の正極活物質の製造方法の変形例における各工程を示すフロー図である。
本実施形態の正極活物質の製造方法は、炭酸リチウムと前記式(1)中のLi以外の金属元素をそれぞれ含む化合物とを混合する混合工程S1と、混合工程S1で得られた混合物を酸化性雰囲気下で焼成して前記式(1)で表されるリチウム複合化合物を得る焼成工程S2と、を有している。
混合工程S1では、正極活物質の出発原料として、炭酸リチウムに加えて、前記式(1)中のLi以外の金属元素を含む化合物、例えば、Ni含有化合物、Mn含有化合物、Co含有化合物、M含有化合物等を用いることができる。なお、M含有化合物とは、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、Nbからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む化合物である。
混合工程S1では、前記式(1)に対応する所定の元素組成となる比率で秤量した前記出発原料を混合して原料粉末を調製する。本実施形態の正極活物質の製造方法では、Liを含有する出発原料として、炭酸リチウムを用いている。炭酸リチウムは、酢酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム等、他のLi含有化合物と比較して、工業利用性及び実用性に優れている。
正極活物質の出発原料としてのNi含有化合物、Mn含有化合物、及びCo含有化合物は、例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、又は酢酸塩等を用いることができ、特に、酸化物、水酸化物、又は炭酸塩を用いることが好ましい。また、M含有化合物としては、例えば、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酸化物、又は水酸化物等を用いることができ、特に、炭酸塩、酸化物、又は水酸化物を用いることが好ましい。
混合工程S1では、前記出発原料を、例えば、粉砕機によって粉砕して混合することが好ましい。これにより、均一に混合された粉末状の固体混合物を調製することができる。前記出発原料の化合物を粉砕する粉砕機としては、ボールミル、ジェットミル、サンドミル等の一般的な精密粉砕機を用いることができる。また、出発原料の粉砕は、湿式で行なうことが好ましい。工業的な観点から、湿式粉砕に用いる溶媒は、水であることが好ましい。混合工程S1において粉砕された出発原料の粉砕粉の粒度は、出発原料の混合の程度を表わす指標となる。
工業的に利用可能な実用的な出発原料の粒度、すなわち、体積基準で測定した場合の粒度(累積分布)は、平均粒径であるD50が1μm以上、最大粒径であるD100が10μm以上である。この場合、体積基準で測定した場合の出発原料の粉砕粉の粒度は、D50を0.3μm以下、D100を1.0μm以下とすることが好ましい。このように、D50を0.3μm以下にすることで、出発原料の粉砕を十分に行って均一に混合することができる。また、D100を1.0μm以下とすることで、後の焼成工程S2において組成の均一化や結晶化を促進させることができる。なお、体積基準の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布計で測定することができる。出発原料の粉砕を湿式で行うことにより、上記の好ましい粒度分布に容易に到達することができる。
混合工程S1において、出発原料を湿式で粉砕した固液混合物は、例えば、乾燥機によって乾燥させることができる。乾燥機は、例えば、噴霧乾燥機、流動床乾燥機、エバポレータ等を使用することができる。特に、噴霧乾燥機によって固液混合物を乾燥させ、D50が10μm以上、30μm以下に造粒乾燥された混合粉を得ることが好ましい。混合粉のD50を10μm以上にすることで、正極活物質のD50も10μm以上とすることができ、正極活物質を電極化する際に集電箔から正極層が剥離するのを防止できる。また、混合粉のD50を30μm以下にすることで、電極における厚み方向の正極活物質の充填を均一にして、導電経路が低減するのを防止できる。このような混合粉のD50の好ましい範囲を満たすには、回転円盤方式の噴霧乾燥機が適している。
混合工程S1によって得られた混合粉の嵩比重は0.6g/cc以上、0.8g/cc以下であることが好ましい。混合粉の嵩比重を0.6g/cc以上にすることで、微粉の少ない混合粉となり、電極化の際に集電箔から正極層が剥離するのを防止できる。また、混合粉の嵩比重を0.8g/cc以下にすることで、粒子間隙を確保し、焼成工程S2において混合粉を容器に充填して加熱する際、酸化性雰囲気ガスが混合粉へ通気させ易くなる。
焼成工程S2では、混合工程S1で得られた混合物を酸化性雰囲気で焼成して前記式(1)で表されるリチウム複合化合物の粉末である正極活物質を製造する。本実施形態の焼成工程S2は、第1熱処理工程S21、第2熱処理工程S22、及び第3熱処理工程S23を有している。
第1熱処理工程S21では、混合工程S1で得られた混合物を200℃以上かつ400℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ5時間以下に亘って熱処理することで、第1前駆体を得る。第1熱処理工程S21は、混合工程S1で得られた混合物から、正極活物質の合成反応を妨げる気化成分を除去することを主な目的として行われる。すなわち、第1熱処理工程S21は、混合物中の気化成分を除去する熱処理工程である。
第1熱処理工程S21では、熱処理される混合物に含まれる気化成分、例えば、水分、不純物、熱分解に伴う揮発成分等が、気化、燃焼、揮発するなどしてガスが発生する。混合物が炭酸リチウム等の炭酸塩を含む場合は、炭酸塩の熱分解に伴い炭酸ガスが発生する。
第1熱処理工程S21において、熱処理温度が200℃未満であると、不純物の燃焼反応や出発原料の熱分解反応が不十分となる場合がある。また、第1熱処理工程S21において、熱処理温度が400℃を超えると、熱処理によって混合物から発生したガスを含む雰囲気下で、リチウム複合化合物の層状構造が形成されてしまう虞がある。したがって、第1熱処理工程S21において、200℃以上かつ400℃以下の熱処理温度で混合物を熱処理することで、気化成分が十分に除去され、かつ、未だ層状構造が形成されていない第1前駆体を得ることができる。
また、第1熱処理工程S21において、熱処理温度が250℃以上かつ400℃以下、より好ましくは250℃以上かつ380℃以下の範囲内であれば、気化成分の除去効果と層状構造の形成を抑制する効果とをより向上させることができる。また、熱処理時間は、例えば、熱処理温度、気化成分の除去の度合い、層状構造の形成の抑制の度合い等に応じて、適宜変更することができる。
第1熱処理工程S21では、混合物から発生するガスの排気を目的として、雰囲気ガスの気流下やポンプによる排気下で熱処理することが好ましい。雰囲気ガスの1分間あたりの流量又はポンプによる1分間あたりの排気量は、混合物から発生するガスの体積よりも多いことが好ましい。混合物から発生するガスの体積は、例えば、混合物に含まれる出発原料の質量と気化成分の比率等に基づいて算出することができる。
また、第1熱処理工程S21は、大気圧以下の減圧下で行ってもよい。また、第1熱処理工程S21は、酸化反応を主な目的としていないため、第1熱処理工程S21の酸化性雰囲気は大気であってもよい。第1熱処理工程S21の酸化性雰囲気として大気を用いることで、熱処理装置の構成を簡略化し、雰囲気の供給を容易にして、正極活物質の生産性を向上させて製造コストを低減することができる。また、第1熱処理工程S21の熱処理の雰囲気は、酸化性雰囲気に限られず、例えば不活性ガス等の非酸化性雰囲気であってもよい。
焼成工程S2では、第1熱処理工程S21の終了後に第2熱処理工程S22を行うが、図1Aに示すように、第1熱処理工程S21の工程中に、酸化性雰囲気を置換する第1ガス置換工程S24を有してもよい。また、図1Bに示すように、第1熱処理工程S21の終了後に、第1ガス置換工程S24を行ってもよい。第1ガス置換工程S24では、第1熱処理工程S21で用いた酸化性雰囲気を排気し、新たな酸化性雰囲気を導入して第2熱処理を行うことができる。このようにガス置換工程S24を行うことにより、第1熱処理工程S21の熱処理で出発原料の混合物から発生したガスが、第2熱処理工程S22に影響を及ぼすことを防止できる。
また、第1ガス置換工程S24では、第1前駆体を熱処理装置から一旦取り出して、再び熱処理装置内に入れるようにしてもよい。この場合、熱処理装置から第1前駆体を取り出す際に第1熱処理工程S21で用いた酸化性雰囲気を排気し、同一又は別の熱処理装置に第1前駆体とともに新たな酸化性雰囲気を導入して第2熱処理工程S22を行うようにしてもよい。
また、第1熱処理工程S21の熱処理時又は熱処理後に排気を行う場合には、第1熱処理工程S21、第1ガス置換工程S24、及び第2熱処理工程S22を連続的に行ってもよい。この場合、第1ガス置換工程S24では、熱処理装置から第1前駆体を取り出すことなく、同一の熱処理装置内で酸化性雰囲気を連続的に置換してもよい。
第2熱処理工程S22では、第1熱処理工程S21で得られた第1前駆体を、450℃以上かつ700℃未満の熱処理温度で2時間以上かつ50時間以下に亘って熱処理することで、第2前駆体を得る。第2熱処理工程S22は、第1前駆体中のNiを2価から3価へと酸化させるとともに、組成式LiM´Oで表される層状構造の化合物を合成することを主な目的として行われる。すなわち、第2熱処理工程S22は、第1前駆体中のNi酸化反応と層状構造の形成とを行う熱処理工程である。
前記式(1)中のNiの含有率を示すbの範囲が0.7以上かつ0.9以下であるNi高濃度の正極活物質に高容量を発現させるためには、焼成工程S2においてNiの価数を2価から3価へ酸化させる必要がある。2価のNiは、層状構造LiM´Oにおいて容易にLi位置を占有してしまい、正極活物質の容量を低下させる原因となる。そのため、焼成工程S2において、混合物を酸化性雰囲気で焼成し、Niの価数を2価から3価へ変化させる。
組成式LiM´Oで表される層状構造の化合物を合成するためには、第1前駆体と雰囲気中の酸素が反応することが必要である。第1前駆体に含まれるリチウム酸化物とニッケル酸化物からLiNiOを合成する反応は下記式(2)で表わされる。
LiO+2NiO+(1/2)O→2LiNiO …(2)
Ni酸化反応と前記式(2)の反応を促進させるために、第2熱処理工程S22の熱処理の雰囲気は、酸素を含む酸化性雰囲気であり、酸素濃度が80%以上であることが好ましく、酸素濃度が90%以上であることがより好ましく、酸素濃度が95%以上であることがさらに好ましく、酸素濃度が100%であることがさらにより好ましい。また、Ni酸化反応と前記式(2)の反応を逐次進行させるためには、第2熱処理工程S22の熱処理時に酸素を連続的に供給することが好ましく、酸化性雰囲気ガスの気流下で熱処理を行うことが好ましい。
第2熱処理工程S22では、第1熱処理工程S21で出発原料の混合物中の気化成分が除去された第1前駆体を熱処理することで、熱処理時に第1前駆体から炭酸ガス等のガスが発生することが抑制され、酸化性雰囲気中の酸素濃度が低下するのを抑制することができる。したがって、第2熱処理工程S22における第1前駆体のNi酸化反応が円滑に進行し、リチウム複合化合物の形成反応が均一に進行した第2前駆体を得ることができる。さらには、出発原料に由来する残渣も十分に低減することができる。
なお、第2熱処理工程S22の熱処理温度が450℃未満であると、第1前駆体を熱処理して層状構造を有する第2前駆体を形成する際に、層状構造の形成反応の進行が著しく遅くなる。一方、第2熱処理工程S22の熱処理温度が700℃以上になると、第1前駆体を熱処理して層状構造を有する第2前駆体を形成する際に、形成途上で粒成長が進行して酸素との反応が不十分になる。
したがって、第2熱処理工程S22の熱処理温度を450℃以上かつ700℃未満にすることで、第1前駆体を熱処理して層状構造を有する第2前駆体を形成する際に、層状構造の形成反応を促進しつつ、結晶粒の成長を抑制して酸素との反応が不十分になるのを抑制することができる。なお、第2熱処理工程S22の熱処理温度を450℃以上かつ660℃以下とすることで、結晶粒の成長抑制効果をより向上させることができる。
また、第2熱処理工程S22の熱処理の温度範囲で、第1前駆体を十分に酸素と反応させるためには、熱処理の時間を2時間以上かつ100時間以下とすることができる。生産性を向上させる観点からは、第2熱処理工程S22の熱処理の時間を2時間以上かつ50時間以下にすることが好ましく、2時間以上かつ15時間以下とすることがより好ましい。
焼成工程S2では、第2熱処理工程S22の終了後に第3熱処理工程S23を行うが、図1Aに示すように、第2熱処理工程S22の工程中に、酸化性雰囲気を置換する第2ガス置換工程S25を有してもよい。また、図1Bに示すように、第2熱処理工程S22の終了後に、第2ガス置換工程S25を行ってもよい。第2ガス置換工程S25では、第2熱処理工程S22で用いた酸化性雰囲気を排出し、新たな酸化性雰囲気を導入して第3熱処理を行うことができる。これにより、第2熱処理工程S22の熱処理で第1前駆体から発生したガスが、第3熱処理工程S23に影響を及ぼすことを防止できる。
また、第2ガス置換工程S25では、第2前駆体を熱処理装置から一旦取り出して、再び熱処理装置内に入れるようにしてもよい。この場合、熱処理装置から第2前駆体を取り出す際に第2熱処理工程S22で用いた酸化性雰囲気を排気し、同一又は別の熱処理装置に第2前駆体とともに新たな酸化性雰囲気を導入して第3熱処理工程S23を行うようにしてもよい。また、第1熱処理工程で出発原料の混合物の気化成分が除去されているため、第2ガス置換工程S25を行わず、第2前駆体を熱処理装置から取り出すことなく、第2熱処理工程S22と第3熱処理工程S23とを連続的に行ってもよい。
第3熱処理工程S23では、第2熱処理工程S22で得られた第2前駆体を700℃以上かつ850℃以下の熱処理温度で熱処理することでリチウム複合化合物からなる正極活物質を得る。第3熱処理工程S23は、第2前駆体中のNiを2価から3価へ酸化させるNi酸化反応を十分に進行させるとともに、熱処理によって得られるリチウム複合化合物からなる正極活物質が電極性能を発現するために、結晶粒を成長させることを主な目的として行われる。すなわち、第3熱処理工程S23は、第2前駆体中のNi酸化反応と結晶粒成長を行う熱処理工程である。
Ni酸化反応を十分に進行させるために、第3熱処理工程S23の熱処理の雰囲気は、酸素を含む酸化性雰囲気であり、酸素濃度が80%以上であることが好ましく、酸素濃度が90%以上であることがより好ましく、酸素濃度が95%以上であることがさらに好ましく、酸素濃度が100%であることがさらにより好ましい。
なお、第3熱処理工程S23の熱処理温度が700℃未満であると第2前駆体の結晶化が不十分となり、850℃を超えると第2前駆体の層状構造が分解して2価のNiが生成され、得られる正極活物質の容量が低下してしまう。したがって、第3熱処理工程S23の熱処理温度を700℃以上かつ850℃以下にすることで、第2前駆体の粒成長を促進させ、かつ層状構造の分解を抑制して、得られる正極活物質の容量を向上させることができる。なお、第3熱処理工程S23の熱処理温度を、700℃以上840℃以下にすることで、粒成長の促進効果と層状構造の分解抑制効果をより向上させることができる。
また、第3熱処理工程S23において、酸素分圧が低いとNi酸化反応を促進させるために熱が必要となる。したがって、第2前駆体への酸素供給が不十分である場合、熱処理温度を上昇させる必要がある。熱処理温度を上昇させると、層状構造の分解が不可避となり、得られる正極活物質において良好な電極特性を得ることができなくなる。したがって、第2前駆体への酸素供給を十分に行うために、第3熱処理工程S23の熱処理の時間は、2時間以上かつ100時間以下とすることができる。正極活物質の生産性を向上させる観点から、第3熱処理工程S23の熱処理の時間は、2時間以上かつ50時間以下であることが好ましく、2時間以上かつ15時間以下であることがより好ましい。
以上説明したように、本実施形態の正極活物質の製造方法では、混合工程S1で得られた混合物を酸化性雰囲気で焼成する焼成工程S2の第1熱処理工程S21において、混合物から炭酸ガスを十分に発生させ、加熱による炭酸ガスの発生が抑制された第1前駆体を得ることができる。そして、焼成工程S2の第2熱処理工程S22では、第1前駆体からの炭酸ガスの発生が抑制されることで、酸化性雰囲気の酸素分圧の低下が抑制され、第1前駆体のNi酸化反応が促進されて多量かつ均一に進行し、第2前駆体が得られる。さらに、焼成工程S2の第3熱処理工程S23においても、第2前駆体からの炭酸ガスの発生が抑制されることで、酸化性雰囲気の酸素分圧の低下が抑制され、第2前駆体のNi酸化反応が多量かつ均一に進行するとともに、結晶粒の成長が進行する。したがって、層状構造を有するNi高濃度のリチウム複合化合物中に残存する2価のNiを減少させた高容量かつ容量維持率に優れた正極活物質を得ることができる。
本実施形態の正極活物質の製造方法は、製造する正極活物質の重量が、例えば、数百g以上の多量になると、効果が顕著になる。製造する活物質の重量が数gであれば、焼成工程S2において出発原料から発生するガスによる影響は少ないが、正極活物質を工業的な規模で量産する場合は、焼成工程S2において出発原料から発生するガスの体積が多くなり、熱処理工程における酸化雰囲気の酸素分圧が低下しやすくなるからである。
なお、焼成工程S2において、第1熱処理工程S21を省略すると、第2熱処理工程S22及び第3熱熱処理工程S23で酸素分圧が低下してしまう。その結果、Niの酸化を伴う層状構造の形成反応を充分に進行させるために、より高温で熱処理する必要があり、好適な温度範囲を超えてしまう。また、第2熱処理工程S22を省略すると、Niの酸化反応が不十分なまま粒成長が進行するので好ましくない。また、第3熱処理工程S23を省略すると適正な電極特性が得られない。
(正極及びリチウムイオン二次電池)
以下、前述の正極活物質の製造方法によって製造された正極活物質を用いた非水系二次電池用の正極と、それを備えた非水系二次電池の構成について説明する。図2は、本実施形態の正極111及びそれを備えた非水系二次電池100の模式的な部分断面図である。
本実施形態の非水系二次電池100は、例えば、円筒形のリチウムイオン二次電池であり、非水電解液を収容する有底円筒状の電池缶101と、電池缶101内に収容される捲回電極群110と、電池缶101の上部開口を封止する円板状の電池蓋102と、を備えている。電池缶101と電池蓋102は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属材料により製作され、絶縁性を有する樹脂材料からなるシール材106を介して電池蓋102が電池缶101にかしめ等によって固定されることで、電池缶101が電池蓋102によって封止されるとともに互いに電気的に絶縁されている。なお、非水系二次電池100の形状は、円筒形に限られず、角形、ボタン形、ラミネートシート形等、他の任意の形状を採用することができる。
捲回電極群110は、長尺帯状のセパレータ113を介して対向させた長尺帯状の正極111と負極112とを捲回中心軸周りに捲回することによって製作されている。捲回電極群110は、正極集電体111aが正極リード片103を介して電池蓋102と電気的に接続され、負極集電体112aが負極リード片104を介して電池缶101の底部と電気的に接続されている。捲回電極群110と電池蓋102の間及び捲回電極群110と電池缶101の底部との間には、短絡を防止する絶縁板105が配置されている。正極リード片103及び負極リード片104は、それぞれ正極集電体111a及び負極集電体112aと同様の材料によって製作された電流引出用の部材であり、それぞれ正極集電体111a及び負極集電体112aにスポット溶接又は超音波圧接等によって接合されている。
本実施形態の正極111は、正極集電体111aと、正極集電体111aの表面に形成された正極合剤層111bと、を備えている。正極集電体111aとしては、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル等を用いることができる。金属箔は、例えば、15μm以上かつ25μm以下程度の厚さにすることができる。正極合剤層111bは、前述の正極活物質の製造方法によって製造された正極活物質を含んでいる。また、正極合剤層111bは、導電材、結着剤等を含んでいてもよい。
負極112は、負極集電体112aと、負極集電体112aの表面に形成された負極合剤層112bとを備えている。負極集電体112aとしては、銅又は銅合金、ニッケル又はニッケル合金等の金属箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル等を用いることができる。金属箔は、例えば、7μm以上かつ10μm以下程度の厚さにすることができる。負極合剤層112bは、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質を含んでいる。また、負極合剤層112bは、導電材、結着剤等を含んでいてもよい。
負極活物質としては、例えば、炭素材料、金属材料、金属酸化物材料等の一種以上を用いることができる。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛類や、コークス、ピッチ等の炭化物類や、非晶質炭素や、炭素繊維等を用いることができる。また、金属材料としては、リチウム、シリコン、スズ、アルミニウム、インジウム、ガリウム、マグネシウムやこれらの合金、金属酸化物材料としては、スズ、ケイ、リチウム、チタン素等を含む金属酸化物を用いることができる。
セパレータ113としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の微孔性フィルムや不織布等を用いることができる。
正極111及び負極112は、例えば、合剤調整工程、合剤塗工工程、及び成形工程を経て製造することができる。合剤調整工程では、例えば、プラネタリーミキサ、ディスパーミキサ、自転・公転ミキサ等の撹拌手段を用いて、正極活物質又は負極活物質を、例えば、導電材、結着剤を含む溶液とともに撹拌及び均質化して合剤スラリーを調製する。
導電材としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられている導電材を用いることができる。具体的には、例えば、黒鉛粉末、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等の炭素粒子や炭素繊維等を導電材として用いることができる。導電材は、例えば、合剤全体の質量に対して3質量%以上かつ10質量%以下程度となる量を用いることができる。
結着剤としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられている結着剤を用いることができる。具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリロニトリル、変性ポリアクリロニトリル等を結着剤として用いることができる。結着剤は、例えば、合剤全体の質量に対して2質量%以上かつ10質量%以下程度となる量を用いることができる。負極活物質と結着剤との混合比は、例えば重量比で95:5とすることが望ましい。
溶液の溶媒としては、結着剤の種類に応じて、N−メチルピロリドン、水、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等から選択することができる。
合剤塗工工程では、まず、合剤調整工程で調整した正極活物質を含む合剤スラリーと負極活物質を含む合剤スラリーを、例えば、バーコーター、ドクターブレード、ロール転写機等の塗工手段によって、それぞれ正極集電体111aと負極集電体112aの表面に塗布する。次に、合剤スラリーを塗布した正極集電体111aと負極集電体112aとをそれぞれ熱処理することで、合剤スラリーに含まれる溶液の溶媒を揮発又は蒸発させて除去し、正極集電体111aと負極集電体112aの表面に、それぞれ正極合剤層111bと負極合剤層112bを形成する。
成形工程では、まず、正極集電体111aの表面に形成された正極合剤層111bと、負極集電体112aの表面に形成された負極合剤層112bとを、例えば、ロールプレス等の加圧手段を用いて、それぞれ加圧成形する。これにより、正極合剤層111bを、例えば、100μm以上かつ300μm以下程度の厚さにして、負極合剤層112bを、例えば、20μm以上かつ150μm以下程度の厚さにすることができる。その後、正極集電体111a及び正極合剤層111bと、負極集電体112a及び負極合剤層112bとを、それぞれ長尺帯状に裁断することによって、正極111と負極112を製造することができる。
以上のように製造された正極111及び負極112は、セパレータ113を介して対向した状態で捲回中心軸周りに捲回されて捲回電極群110とされる。捲回電極群110は、負極集電体112aが負極リード片104を介して電池缶101の底部に接続され、正極集電体111aが正極リード片103を介して電池蓋102に接続され、絶縁板105等によって電池缶101及び電池蓋102と短絡が防止されて電池缶101に収容される。その後、電池缶101に非水電解液を注入し、シール材106を介して電池蓋102を電池缶101に固定し、電池缶101を密封することで、非水系二次電池100を製造することができる。
電池缶101に注入される電解液としては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、メチルアセテート(MA)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)等の溶媒に、電解質として6フッ化リン酸リチウム(LiPF)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)等を溶解させたものを用いるのが望ましい。電解質の濃度は0.7M以上1.5M以下とすることが望ましい。また、これら電解液に、カルボン酸無水基を有する化合物や、プロパンサルトン等の硫黄元素を有する化合物、ホウ素を有する化合物を混合させても良い。これらの化合物の添加目的は、負極表面での電解液の還元分解抑制や、正極から溶出したマンガン等の金属元素の負極での還元析出防止、電解液のイオン導電性向上、電解液の難燃化等であり、目的に応じて適宜選択すれば良い。
以上の構成を有する非水系二次電池100は、電池蓋102を正極外部端子、電池缶101の底部を負極外部端子として、外部から供給された電力を捲回電極群110に蓄積するとともに、捲回電極群110に蓄積した電力を外部の装置等に供給することができる。このように、本実施形態の非水系二次電池100は、例えば、携帯電子機器や家庭用電気機器等の小型電源、無停電電源や電力平準化装置等の定置用電源、船舶、鉄道、ハイブリット自動車、電気自動車等の駆動電源として使用することができる。
以下、本発明の正極活物質の製造方法に基づく実施例と、本発明の正極活物質の製造方法とは異なる比較例について説明する。
(実施例1)
まず、正極活物質の出発原料として、炭酸リチウム、水酸化ニッケル、炭酸コバルト及び炭酸マンガンを用意した。次に、各出発原料を、原子比でLi:Ni:Co:Mnが、1.04:0.80:0.10:0.10となるように秤量し、粉砕機で粉砕するとともに湿式混合してスラリーを調製し、得られたスラリー(混合物)を、スプレードライヤーで乾燥させた(混合工程)。その後、乾燥させた混合物を焼成して焼成粉を得た(焼成工程)。
具体的には、粉砕機としてビーズミルを用い、水を溶媒として湿式混合を行ない、粒度が安定するまで運転した。得られたスラリーの粒度をレーザー回折式粒度分布計によって測定したところ、D50=0.13μm、D100=0.26μmであった。スラリーを回転円盤方式の噴霧乾燥機を用いて乾燥させ、D50=17μm、嵩比重0.74g/ccの乾燥した混合粉を得た。
次に、混合工程で得られた混合物(混合粉)1kgを、縦300mm、横300mm、高さ100mmのアルミナ容器に充填し、連続搬送炉によって、大気雰囲気で350℃の熱処理温度で1時間に亘って熱処理を行なった(第1熱処理工程)。第1熱処理工程では、水酸化ニッケルの熱分解伴う水蒸気と、炭酸コバルトおよび炭酸マンガンの熱分解に伴う二酸化炭素が発生する。次に、得られた粉末(第1前駆体)を、炉内酸素濃度90%以上の雰囲気に置換した連続搬送炉によって、酸素気流中で600℃の熱処理温度で10時間に亘って熱処理を行った(第2熱処理工程)。第2熱処理工程では、第1熱処理工程で反応しきれなかった炭酸コバルトおよび炭酸マンガンが熱分解し、二酸化炭素が発生する。また、熱分解後のニッケル、コバルト、マンガンの各酸化物と反応してリチウム複合酸化物の前駆体を形成するため、炭酸リチウムは、分解して二酸化炭素を放出する。さらに、得られた粉末(第2前駆体)を、炉内酸素濃度90%以上の雰囲気に置換した連続搬送炉によって、酸素気流中で800℃の熱処理温度で10時間に亘って熱処理を行って、焼成粉(リチウム複合化合物)を得た(第3熱処理工程)。第3熱処理工程ではニッケルの酸化により前記式(2)の反応が進行するため、反応残渣であった炭酸リチウムがリチウム酸化物と二酸化炭素に分解し、二酸化炭素が発生する。リチウム複合酸化物を合成するためには、第2および第3熱処理工程で発生する二酸化炭素を迅速に排気するとともに、酸化反応を促進する十分な酸素が重要である。
得られた焼成粉を目開き53μm以下に分級し、正極活物質とした。正極活物質の元素比をICPによって分析した結果、Li:Ni:Mn:Coは、1.02:0.80:0.10:0.10であった。X線回折測定するとα−NaFeO型層状構造に対応した回折パターンが得られ、格子定数はa=0.287nm、c=1.42nmであった。また比表面積は、0.37m/gであった。
(実施例2)
実施例1で350℃であった第1熱処理工程の温度を250℃に低下させた以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
(実施例3)
実施例1で600℃であった第2熱処理工程の温度を650℃に上昇させた以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
(実施例4)
実施例1で600℃であった第2熱処理工程の温度を550℃に低下させた以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
(実施例5)
実施例1で600℃であった第2熱処理工程の温度を500℃に低下させた以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
(比較例1)
焼成工程において、第1熱処理工程を省略した以外は、実施例1と同様に正極活物質を合成し、X線回折測定および比表面積を測定した。得られた格子定数はa=0.287 nm、c=1.41nmであった。また、比表面積は0.40m/gであった。
(比較例2)
焼成工程において、第1熱処理工程及び第2熱処理工程を省略した以外は、実施例1と同様に正極活物質を合成し、X線回折測定および比表面積を測定した。得られた格子定数はa=0.287nm、c=1.42nmであった。また比表面積は、0.38m/gであった。
(比較例3)
実施例1で350℃であった第1熱処理工程の温度を150℃に低下させた以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
(比較例4)
実施例1で600℃であった第2熱処理工程の温度を700℃に上昇させた以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
(比較例5)
実施例1で600℃であった第2熱処理工程の温度を400℃に低下させた以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
(比較例6)
実施例1で90%以上の酸素濃度の酸化性雰囲気で行った第2熱処理及び第3熱処理をともに大気雰囲気で行った以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造した。
(リチウムイオン二次電池の製作)
実施例1から実施例5及び比較例1から比較例6で製造した正極活物質を用いて、以下の手順により、それぞれ、実施例1から実施例5及び比較例1から比較例6のリチウムイオン二次電池を作製した。
まず、正極活物質と、結着剤と、導電材とを混合し、正極合剤スラリーを調製した。そして、調製した正極合剤スラリーを、正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、120℃で乾燥させた後、電極密度が2.0g/cmとなるようにプレスで圧縮成形し、これを直径15mmの円盤状に打ち抜いて正極を製作した。また、負極活物質として金属リチウムを用いて負極を製作した。
次に、製作した正極、負極、及び非水電解液を用いて、リチウムイオン二次電池を製作した。非水電解液としては、体積比が3:7となるようにエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを混合した溶媒に、終濃度が1.0mol/LとなるようにLiPFを溶解させた溶液を用いた。
次に、実施例1から実施例5及び比較例1から比較例6のリチウムイオン二次電池のそれぞれについて、充放電試験を行い、初回の放電容量を測定した。充電は、充電電流を0.2CAとして、充電終止電圧4.4Vまで定電流、定電圧で行い、放電は、放電電流を0.2CAとして、放電終止電圧2.5Vまで定電流で行った。その後、充電および放電電流を1.0CA、充電終止電圧を4.4V、放電終止電圧2.5Vとして50サイクル充放電を繰返した。50サイクル目に計測される放電容量を、1サイクル目で計測される放電容量で除した値の百分率を算出して容量維持率と定義した。結果を表1に示す。
Figure 2016110982
以上の結果から、第1熱処理、第2熱処理、及び第3熱処理を有する焼成工程を経て製造された正極活物質を正極に用いた実施例1のリチウムイオン二次電池では、0.2C放電容量が198Ah/kg、1C初回放電が180Ah/kg、容量維持率が81%であり、いずれも良好な結果が得られた。また、第1熱処理工程を250℃以上かつ400℃以下の温度で行い、第2熱処理工程を450℃以上かつ700℃未満の温度で行い、第3熱処理工程を700℃以上かつ840℃以下で行った実施例2から実施例5のリチウムイオン二次電池でも同様に良好な結果が得られた。
これに対し、焼成工程において第1熱処理、並びに、第1熱処理及び第2熱処理を省略した正極活物質を正極に用いた比較例1及び比較例2のリチウムイオン二次電池では、実施例1のリチウムイオン二次電池の結果よりも数値が低下した。また、第1熱処理工程の温度を150℃に低下させた比較例3、第2熱処理の温度を700℃に上昇させた比較例4、及び第2熱処理工程の温度を400℃に低下させた比較例5のリチウムイオン二次電池でも各実施例よりも数値が低下した。また、第1熱処理から第3熱処理までをすべて大気雰囲気で行った比較例6のリチウムイオン二次電池では、放電容量が大幅に低下した。これにより、実施例1から実施例5の正極活物質の製造方法により、高容量かつ容量維持率に優れた正極活物質が得られることを確認できた。
(実施例6)
次に、混合工程における湿式混合の時間を実施例1の50%に短縮した以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造し、実施例6のリチウムイオン二次電池を製作した。なお、混合工程において乾燥造粒する前の湿式混合後のスラリーに含まれる出発原料の粉砕粉の粒度をレーザー回折式粒度分布計で測定したところ、D50=0.18μm、D100=0.45μmであった。
(実施例7)
次に、湿式混合の時間を38%に短縮した以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造し、実施例7のリチウムイオン二次電池を製作した。なお、実施例6と同様に測定した湿式混合後のスラリーに含まれる出発原料の粉砕粉の粒度は、D50=0.27μm、D100=1.3μmであった。
(実施例8)
次に、湿式混合の時間を25%に短縮した以外は、実施例1と同様に正極活物質を製造し、実施例8のリチウムイオン二次電池を製作した。なお、実施例6と同様に測定した湿式混合後のスラリーに含まれる出発原料の粉砕粉の粒度は、D50=0.36μm、D100=5.1μmであった。
次に、実施例6、実施例7及び実施例8のリチウムイオン二次電池のそれぞれについて、実施例1のリチウムイオン二次電池と同様の条件で充放電試験を行い、初回の放電容量を測定し、容量維持率を算出した。実施例1及び実施例6のリチウムイオン二次電池の結果と、実施例7及び実施例8のリチウムイオン二次電池の結果との比較を表2に示す。
Figure 2016110982
実施例1及び実施例6のリチウムイオン二次電池は、比較的高い放電容量及び容量維持率を示した。一方、実施例7及び実施例8のリチウムイオン二次電池では、実施例1及び実施例6のリチウムイオン二次電池と同様に放電容量は高いが、50サイクル後の容量維持率が低下しており、充放電サイクルによる劣化が見られた。すなわち、混合工程における混合時間が短く、混合粉のD50及びD100が増加すると、サイクル後の容量が低下する。
以上により、実施例1及び実施例6のように高容量かつ容量維持率に優れた正極活物質を得るためには、出発原料を充分に混合すること必要であることが分かった。また、混合工程において、体積基準で測定した場合の乾燥造粒前の出発原料の粉砕粉の粒度は、D50が0.27μm未満、D100が1.3μm未満とすることが好ましく、D50が0.2μm以下、D100が1.0μm以下であることがより好ましいことが分かった。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
100 リチウムイオン二次電池、111 正極、S1 混合工程、S2 焼成工程、S21 第1熱処理工程、S22 第2熱処理工程、S23 第3熱処理工程、S24 第1ガス置換工程、S25 第2ガス置換工程

Claims (8)

  1. リチウムイオン二次電池の正極に用いられる正極活物質の製造方法であって、
    炭酸リチウムと下記式(1)中のLi以外の金属元素をそれぞれ含む化合物とを混合する混合工程と、
    前記混合工程で得られた混合物を酸化性雰囲気下で焼成して下記式(1)で表されるリチウム複合化合物を得る焼成工程と、を有し、
    前記焼成工程は、
    前記混合物を200℃以上かつ400℃以下の熱処理温度で0.5時間以上かつ5時間以下に亘って熱処理することで第1前駆体を得る第1熱処理工程と、
    前記第1前駆体を450℃以上かつ700℃未満の熱処理温度で2時間以上かつ50時間以下に亘って熱処理することで第2前駆体を得る第2熱処理工程と、
    前記第2前駆体を700℃以上かつ850℃以下の熱処理温度で2時間以上かつ50時間以下に亘って熱処理することで前記リチウム複合化合物を得る第3熱処理工程と、
    を有し、前記第2熱処理工程及び前記第3熱処理工程の酸化性雰囲気の酸素濃度は、80%以上であることを特徴とする正極活物質の製造方法。
    Li1+aNiMnCo2+α …(1)
    ただし、前記式(1)中、Mは、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、Nbからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、a、b、c、d、e及びαは、−0.1≦a≦0.2、0.7≦b≦0.9、0≦c≦0.35、0.05≦d≦0.30、0≦e≦0.35、b+c+d+e=1、及び、−0.1≦α≦0.1、を満たす数である。
  2. 前記第1熱処理工程の前記熱処理温度は、250℃以上かつ400℃以下であり、
    前記第2熱処理工程の前記熱処理温度は、450℃以上かつ660℃以下であり、
    前記第3熱処理工程の前記熱処理温度は、700℃以上かつ840℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
  3. 前記第1熱処理工程は、前記混合物に含まれる気化成分が除去された前記第1前駆体を得る工程であり、
    前記第2熱処理工程は、前記第1前駆体に含まれる2価のNiを3価のNiに酸化させるNi酸化反応を進行させて前記第2前駆体を得る工程であり、
    前記第3熱処理工程は、前記第2前駆体の前記Ni酸化反応と結晶粒の成長を進行させて前記リチウム複合化合物を得る工程であることを特徴とする請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
  4. 前記第1熱処理工程の工程中又は工程後に、前記酸化性雰囲気を置換する第1ガス置換工程を有することを特徴とする請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
  5. 前記第1ガス置換工程は、前記第1熱処理工程の後に行われ、前記第2熱処理工程において、新たな酸化性雰囲気を導入して前記熱処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の正極活物質の製造方法。
  6. 前記第2熱処理工程の工程中又は工程後に、前記酸化性雰囲気を置換する第2ガス置換工程を有することを特徴とする請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
  7. 前記第2ガス置換工程は、前記第2熱処理工程の後に行われ、前記第3熱処理工程において、新たな酸化性雰囲気を導入して前記熱処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の正極活物質の製造方法。
  8. 前記第1熱処理工程の酸化性雰囲気は大気であることを特徴とする請求項1に記載の正極活物質の製造方法。
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