JP2020198195A - リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、xEVと呼ばれる環境対応自動車においても、ハイブリッド車(HEV)から高容量の二次電池を必要とするプラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(BEV)への移行が進んでいる。このBEVは、1回の充電での走行距離がガソリン車に比べ短く、これを改善するため二次電池の高容量化が求められている。
このリチウムイオン二次電池は、負極および正極と電解液等で構成され、負極および正極の活物質は、リチウムを脱離および挿入することの可能な材料が用いられている。
さらにリチウムイオン二次電池は、現在、研究開発が盛んに行われているところであるが、中でも、層状またはスピネル型のリチウム金属複合酸化物を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。
さらに、近年のXEVの需要拡大に伴い、その低価格化が求められている。そのため環境対応自動車の高コスト要因の一つである二次電池の低コスト化の要求が高まってきており、リチウム二次電池を構成する材料の一つである正極活物質も低コスト化を求められている。
リチウム混合物の焼成は、例えば、650℃以上、1100℃以下程度の温度で3時間以上行われる。この焼成工程の間に、リチウム化合物がニッケルを含む化合物と反応(焼結)して、高い結晶性を有するリチウムニッケル複合酸化物が得られる。
そこで、リチウム混合物の粉末の焼成を効率よく行うための焼成条件について、これまでいくつかの提案がなされている。
また、特許文献2に記載の技術では、マイクロ波による原料内の水分の突沸やマイクロ波の集中による原料の発火が生じる可能性が有る。また、大量生産の場合には、かなり大型のマイクロ波発信装置が必要となり、装置導入コストが高く、大量のマイクロ波による装置の損傷も懸念される。また、電波の漏えい対策等、電波法への対応も必要である。
本実施形態は、リチウムニッケル複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」ともいう。)の製造方法である。
リチウムニッケル複合酸化物は、リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及び、それ以外の元素(M)の原子数比が、Li:Ni:Co:M=s:(1−x−y):x:y(ただし、0.93<s<1.03、0.01≦x≦0.35、0.03≦y≦0.35)で表される。また、上記リチウムニッケル複合酸化物(以下、単に「複合酸化物」ともいう。)は、層状構造の結晶構造を有し、一次粒子が凝集して形成された二次粒子を含んでもよい。
図1に示されるように、正極活物質の製造方法は、例えば、ニッケル複合酸化物と、リチウム化合物と、を含むリチウム混合物を得ること(混合工程:ステップS10)と、その混合物を焼成して焼成体を得ること(焼成工程:ステップS20)と、を備える。以下、各工程について説明する。
まず、ニッケル複合酸化物と、リチウム化合物とを混合してリチウム混合物を得る混合工程(ステップS10)について説明する。
本実施形態の製造方法は、原料としてニッケル複合酸化物を用いることにより、非常に短時間の焼成で結晶性の高いリチウムニッケル複合酸化物を生産性も高く得ることができる。以下、混合工程(ステップS10)に用いる各原料について説明する。
ニッケル複合酸化物は、ニッケル、コバルト、及び、それ以外の元素を含む酸化物(以下、「ニッケル複合酸化物」ともいう。)である。
ニッケル複合酸化物は、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、および、それ以外の元素Mを含み、各元素の原子数比(モル比)が、Ni:Co:M=(1−x−y):x:y(0.01≦x≦0.35、0.03≦y≦0.35)で表されてもよい。また、元素Mは、遷移金属、アルカリ土類金属、卑金属、半金属のうちの少なくとも一種であってもよい。なお、ニッケル複合酸化物に含まれる各元素の比率は、リチウムニッケル複合酸化物まで継承される。よって、ニッケル複合酸化物全体の組成は、得ようとするリチウムニッケル複合酸化物のリチウム以外の金属の組成と同様とすることができる。
ニッケル複合酸化物を用いた場合、リチウム混合物の焼成時に発生する水蒸気の量が減少し、格段に反応が進みやすくなり、焼成時間を大幅に短縮することができる。
図2は、ニッケル複合酸化物の製造方法の一例を示した図である。
例えば、ニッケル複合酸化物は、図2に示すように、晶析(ステップS1)により得られたニッケル複合水酸化物を酸化焙焼すること(ステップS2)を備える方法により得ることができる。晶析により得られるニッケル複合水酸化物は、粒子全体で組成が均一となり、最終的に得られる正極活物質の組成も均一になる。なお、ニッケル複合酸化物は、晶析以外の方法により得てもよい。以下、ニッケル複合酸化物を製造する各工程について説明する。
ニッケル複合水酸化物は、例えば、ニッケルを含む塩(Ni塩)、コバルトを含む塩(Co塩)、及び、アルミニウムを含む塩(Al塩)を含有する水溶液に、中和剤などを供給して、晶析すること(ステップS1)で得られる。
ニッケル複合水酸化物に含まれる各元素の比率は、ニッケル複合酸化物、及び、リチウムニッケル複合酸化物まで継承される。よって、ニッケル複合水酸化物全体の組成は、得ようとするリチウムニッケル複合酸化物のリチウム以外の金属の組成と同様とすることができる。
次いで、ニッケル複合水酸化物を、酸化焙焼(熱処理)をすることにより、ニッケル複合酸化物を得る(ステップS2)。
酸化焙焼の条件は、ニッケル複合水酸化物の大部分がニッケル複合酸化物に変換される条件であれば、特に限定されないが、例えば、酸化焙焼の温度は600℃以上、800℃以下であることが好ましい。酸化焙焼の温度が600℃未満である場合、ニッケル複合水酸化物(前駆体)に水分が残留して酸化が十分に進まないことがある。一方、酸化焙焼の温度が800℃を超える場合、複合酸化物同士が結着して粗大粒子が形成されることがある。また、酸化焙焼の温度が高すぎる場合、多くのエネルギーを使用するため、コストの観点から、生産性が低下し、工業的に適当ではない。
リチウム化合物としては、特に限定されず、公知のリチウム化合物を用いることができ、例えば、水酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、又は、これらの混合物が用いることができる。これらの中でも、好ましくは水酸化リチウム、炭酸リチウムが用いられる。
リチウム混合物は、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物とを混合することで得られる。
ニッケル複合酸化物とリチウム化合物との混合割合は、ニッケル複合酸化物中のニッケル、コバルト及びその他の金属元素の合計の原子数(Me)とリチウムの原子数(Li)との比(Li/Me比)が、0.93を超え1.03未満の範囲となるように混合される。
次いで、得られたリチウム混合物を酸素雰囲気中、650℃以上、1100℃以下で焼成処理する(焼成工程、ステップS20)。
このリチウム混合物の焼成では、混合物中のニッケル複合酸化物とリチウム化合物とが反応し、リチウムニッケル複合酸化物を生成する。
特に、この焼成中にリチウム混合物を撹拌操作することにより、従来の焼成時間よりも非常に短い時間で、従来と同等以上の高い結晶性と電池特性を有するリチウムニッケル複合酸化物(正極活物質)を得ることができる。
一方、焼成温度が1100℃を超える場合、リチウムニッケル複合酸化物粒子間で激しく焼結が生じるとともに異常粒成長を生じて、比表面積が低下することがある。また、正極活物質の比表面積が低下して、二次電池における正極の抵抗が上昇して電池容量が低下することがある。なお、焼成温度は、組成に応じて、適宜、調整することができる。
また、その他の元素Mにマンガンを用いた場合は、800℃以上、1100℃以下であってもよく、850℃以上、950℃以下であってもよい。
また、その他の元素Mにマンガンを用いた場合は、420分間以下が好ましく、300分間以下がより好ましく、180分間以下が更に好ましい。
なお、本実施形態においては、提示した焼成温度、および組成によって、15分間から180分間の焼成時間で高い結晶性を有するリチウムニッケル複合酸化物が得られて好ましく、さらに焼成時間は、その範囲内において結晶性を維持しつつ、短いほど、生産性の向上が望め、好ましい。
焼成時の雰囲気の酸素濃度が80容量%未満である場合は、ニッケル複合酸化物とリチウム化合物の反応に必要な量の酸素を供給できず、リチウムニッケル複合酸化物の形成に多くの時間がかかり、大気より酸素濃度が低い場合は、リチウムニッケル複合酸化物が十分に形成されない場合がある。
焼成中の撹拌操作において、その撹拌方法は、リチウム混合物を撹拌できれば特に限定されない。好ましくは1回の撹拌でリチウム混合物の30%以上が撹拌される撹拌方法で有ればよく、50%以上撹拌される方法であればより好ましく、70%以上撹拌される方法であればさらに好ましい。
図3に示すように、本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、焼成工程(ステップS20)後に得られたリチウムニッケル複合酸化物(焼成物)を解砕して解砕物(リチウムニッケル複合酸化物の粉末)を得ること(解砕工程:ステップS30)と、解砕物を水洗および、ろ過すること(水洗工程:ステップS40)と、水洗されたリチウムニッケル複合酸化物を乾燥すること(乾燥工程:ステップS50)と、を備えてもよい。なお、本実施形態に係る正極活物質の製造方法は、上記の解砕(ステップS30)、水洗(ステップS40)、及び、乾燥工程(ステップS50)を備えなくてもよいし、これらの3つの工程のうち、少なくとも1つの工程を備えてもよい。以下、各工程について説明する。
焼成(ステップS20)後に得られたリチウムニッケル複合酸化物(焼成物)は、さらに解砕してもよい(ステップS30)。
この解砕により、凝集又は軽度の焼結が生じているリチウムニッケル複合酸化物の二次粒子同士を分離し、得られる正極活物質の平均粒径や粒度分布を好適な範囲に調整することができる。なお、解砕とは、焼成時に二次粒子間の焼結ネッキングなどにより生じた複数の二次粒子からなる凝集体に、機械的エネルギーを投入して、二次粒子自体をほとんど破壊することなく分離させて、凝集体をほぐす操作をいう。
次いで、得られた解砕物を水洗してもよい(ステップS40)。
リチウムニッケル複合酸化物(解砕物)を水洗することで、リチウムニッケル複合酸化物粒子表面の余剰のリチウムや不純物が除去され、より高容量で熱安定性が高いリチウムイオン二次電池用正極活物質を得ることができる。ここで、水洗方法としては、特に限定されず、公知の技術が用いられる。
スラリー濃度として、水1質量部に対する解砕物の投入量が2質量部を超える場合、粘度が非常に高くなり撹拌が困難となることや、液中のアルカリ度(pH)が高いので平衡の関係から付着物の溶解速度が遅くなったり、剥離が起きても粉末からの分離が難しくなったりすることがある。一方、スラリー濃度として、水1質量部に対する解砕物の投入量が0.5質量部未満である場合、スラリーが希薄過ぎるためリチウムの溶出量が多く、リチウムニッケル複合酸化物(解砕物)の結晶格子中からのリチウムの脱離も起きるようになり、結晶が崩れやすくなることや、高pHの水溶液(スラリー)が大気中の炭酸ガスを吸収して、リチウムニッケル複合酸化物の表面に炭酸リチウムが再析出することがある。
水洗(ステップS40)後、乾燥してリチウムニッケル複合酸化物(正極活物質)を得てもよい(ステップS50)。乾燥条件は、リチウムニッケル複合酸化物中の水分の少なくとも一部が除去されれば、特に限定されない。乾燥工程(ステップS50)は、例えば、濾過(固液分離)後のリチウムニッケル複合酸化物(粉末)を、炭素および硫黄を含む化合物成分を含有しないガス雰囲気下、または真空雰囲気下に制御できる乾燥機を用いて、所定の温度で行なうことが好ましい。
また、乾燥温度は、生産性および熱エネルギーコストの観点から、120℃以上、350℃以下がより好ましい。
上記した本実施形態に係る正極活物質の製造方法により、非常に短時間の焼成で、結晶性に優れるリチウムニッケル複合酸化物(正極活物質)を生産性も高く得ることができる。以下、本実施形態に係る製造方法により得られるリチウムニッケル複合酸化物(正極活物質)の特性について説明する。
リチウムニッケル複合酸化物は、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とコバルト(Co)とそれ以外の元素(M)とを含み、各金属元素のモル比が、Li:Ni:Co:M=s:(1−x−y):x:y(ただし、0.93<s<1.03、0.01≦x≦0.35、0.03≦y≦0.35、Mは遷移金属、アルカリ土類金属、卑金属、または、半金属のうち、少なくとも一種)で表される。
リチウムニッケル複合酸化物は、例えば、X線回折パターンのリートベルト解析から得られるリチウム主体層である3aサイトのリチウム席占有率が95%以上であり、好ましくは96%以上であり、より好ましくは97%以上である。リチウム席占有率が上記範囲である場合、焼成工程(ステップS20)において、前駆体とリチウム化合物との焼結反応が十分に行われており、リチウムニッケル複合酸化物が高い結晶性を有することを示す。結晶性の高いリチウムニッケル複合酸化物を二次電池の正極活物質として用いた場合、優れた電池特性(高い電池容量等)を示す。
リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いて作製された評価用の2032型コイン型電池(図4参照)における、初期充放電効率(初期放電容量/初期充電容量)は、例えば、85%以上であり、好ましくは89%以上、より好ましくは89.5%以上である。初期充放電効率が上記範囲である場合、焼成工程(ステップS30)において、前駆体とリチウム化合物との焼結反応が十分に行われており、リチウムニッケル複合酸化物が高い結晶性を有することを示す。なお、初期放電容効率は、実施例で使用したコイン型電池を製作してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2としてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を測定した値である。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法(以下、「二次電池の製造方法」ともいう)は、正極、負極、および、非水系電解質を用いてリチウムイオン二次電池を得ること、を備え、正極は、上述の製造方法で得られた正極活物質を用いて得られる。なお、本実施形態に係る製造方法により得られる二次電池は、例えば、正極、負極、セパレータおよび非水系電解液を備えてもよく、正極、負極、および固体電解質を備えてもよい。また、二次電池は、公知のリチウムイオン二次電池と同様の構成要素により構成されてもよい。
正極は、上記の正極活物質を含む。正極は、例えば、以下のようにして、製造することができる。なお、正極の作製方法は、以下の例に限られることなく、他の方法によってもよい。
負極には、金属リチウムやリチウム合金等を用いてもよい。また、負極には、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを用いてもよい。
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解質としては、例えば非水系電解液を用いることができる。
非水系電解液としては、例えば支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものを用いることができる。また、非水系電解液として、イオン液体にリチウム塩が溶解したものを用いてもよい。なお、イオン液体とは、リチウムイオン以外のカチオンおよびアニオンから構成され、常温でも液体状の塩をいう。
酸化物系固体電解質としては、特に限定されず、例えば酸素(O)を含有し、かつリチウムイオン伝導性と電子絶縁性とを有するものを好適に用いることができる。例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)、Li3PO4NX、LiBO2NX、LiNbO3、LiTaO3、Li2SiO3、Li4SiO4−Li3PO4、Li4SiO4−Li3VO4、Li2O−B2O3−P2O5、Li2O−SiO2、Li2O−B2O3−ZnO、Li1+XAlXTi2−X(PO4)3(0≦X≦1)、Li1+XAlXGe2−X(PO4)3(0≦X≦1)、LiTi2(PO4)3、Li3XLa2/3−XTiO3(0≦X≦2/3)、Li5La3Ta2O12、Li7La3Zr2O12、Li6BaLa2Ta2O12、Li3.6Si0.6P0.4O4等が挙げられる。
そのような硫化物系固体電解質としては、例えば、Li2S−P2S5、Li2S−SiS2、LiI−Li2S−SiS2、LiI−Li2S−P2S5、LiI−Li2S−B2S3、Li3PO4−Li2S−Si2S、Li3PO4−Li2S−SiS2、LiPO4−Li2S−SiS、LiI−Li2S−P2O5、LiI−Li3PO4−P2S5等が挙げられる。
以上のように説明してきた正極、負極、及び、非水系電解質で構成される本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続し、電池ケースに密閉して、リチウムイオン二次電池を完成させる。
なお、固体電解質を採用する場合、固体電解質がセパレータを兼ねていてもよい。
本実施形態により得られた正極活物質およびこの正極活物質を用いた正極合材ペースト、リチウムイオン二次電池について、その性能を測定した。なお、本実施例では、複合水酸化物製造、正極活物質および二次電池の作製には、和光純薬工業株式会社製試薬特級の各試料を使用した。
以下の方法により2032型のコイン型電池(図4参照)を作製し、正極活物質の電池特性の評価を行った。
正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して正極PE(評価用電極)を作製した。その作製した正極PEを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。
電解液には、1MのLiPF6を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。
セパレータSEには膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。
その構造は図4に示すようにコイン型電池1は、ケース2と、このケース2内に収容された電極3とから構成されている。
ケース2は、中空かつ一端が開口された正極缶PCと、この正極缶PCの開口部に配置される負極缶NCとを有しており、負極缶NCを正極缶PCの開口部に配置すると、負極缶PCと正極缶PCとの間に電極3を収容する空間が形成されるように構成される。電極3は、正極PE、セパレータSEおよび負極NEとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極PEが正極缶PCの内面に接触し、負極NEが負極缶NCの内面に接触するようにケース2に収容される。また、ガスケットGAが正極缶PCと負極缶NCの間に設けられ、その気密性を担保している。
(初期放電容量)
初期放電容量は、コイン型電池1を製作してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2としてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を初期放電容量とした。
得られたリチウムニッケル複合酸化物の結晶子径およびLi席占有率をX線回折装置で測定した。また、得られたリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いてコイン型電池を作製し、初期放電容量を測定した。
これらの測定結果は表1に示す。
得られたリチウムニッケル複合酸化物の結晶子径、Li席占有率、初期放電容量は表1に示す。
得られたリチウムニッケル複合酸化物の結晶子径、Li席占有率、初期放電容量は表1に示す。
得られたリチウムニッケル複合酸化物の結晶子径、Li席占有率、初期放電容量は表1に示す。
得られたリチウムニッケル複合酸化物の結晶子径、Li席占有率、初期放電容量は表1に示す。
焼成中に撹拌をしなかったこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムニッケル複合酸化物を得た。
得られたリチウムニッケル複合酸化物の結晶子径、Li席占有率、初期放電容量は表1に示す。
焼成中に撹拌をしなかったこと以外は、実施例3と同様にしてリチウムニッケル複合酸化物を得た。
得られたリチウムニッケル複合酸化物の結晶子径、Li席占有率、初期放電容量は表1に示す。
焼成中に撹拌をしなかったこと以外は、実施例5と同様にしてリチウムニッケル複合酸化物を得た。
得られたリチウムニッケル複合酸化物の結晶子径、Li席占有率、初期放電容量は表1に示す。
実施例で得られたリチウムニッケル複合酸化物は、昇温速度が速く、かつ、焼成時間が短かったにも関わらず、その結晶子径は十分に大きく、リチウム席占有率が高いことが示されている。
また、実施例1〜5で得られたリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いた二次電池は、非常に高い初期充放電容量を有することが示された。
以上から、本実施形態の製造方法によれば、リチウム混合物を撹拌しながら焼成することにより、リチウム混合物を極めて短時間で焼成することが可能であり、大幅に生産性を向上させることができ、大きなコスト削減が可能であることが明らかである。
S20 焼成工程
S1 晶析工程
S2 酸化焙焼工程
S30 解砕工程
S40 水洗工程
S50 …乾燥工程
1 コイン型電池
2 ケース
PC 正極缶
NC 負極缶
GA ガスケット
3 電極
PE 正極
NE 負極
SE セパレータ
Claims (7)
- ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及び、それ以外の元素(M)を含み、かつ、各元素の原子数比がNi:Co:M=(1−x−y):x:y(ただし、0.01≦x≦0.35、0.03≦y≦0.35、Mは遷移金属、アルカリ土類金属、卑金属、半金属のうち、少なくとも一種)で表されるニッケル複合酸化物粒子と、リチウム化合物粉末を混合してリチウム混合物を得る混合工程と、
前記リチウム混合物を酸化性雰囲気で焼成処理する焼成工程とを有し、
前記焼成工程が、焼成処理中に少なくとも一回はリチウム混合物の撹拌操作を伴う工程であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記リチウム混合物の撹拌操作が、炉内温度を150℃上昇させる毎に、1回以上の頻度で撹拌を行う操作であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記リチウム混合物の撹拌操作における1回の撹拌で、撹拌されるリチウム混合物の量が、前記焼成処理に供されたリチウム混合物全量の30%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記酸化性雰囲気が、酸素濃度80容量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成工程の焼成温度が、650℃以上、1100℃以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成工程における焼成温度での保持時間である焼成時間が15分以上、180分以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成工程で得られた焼成物を、解砕、水洗、乾燥することを備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
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