JP2014146441A - ニッケル複合水酸化物粒子とその製造方法、非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および非水系電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記、(イ)〜(ハ)の工程でリチウムニッケル複合酸化物を製造する。(イ)所定組成のニッケル水酸化物および/またはニッケルオキシ水酸化物を、850℃以下の非還元雰囲気下で焙焼してニッケル酸化物を調製する。(ロ)前記ニッケル酸化物とリチウム化合物を所定のモル比で混合した後、酸素雰囲気下、650〜850℃の範囲で焼成する。(ハ)得られた焼成粉末を所定のスラリー濃度とした状態で次の式を満足する時間以内で水洗した後、濾過、乾燥する。B/40<A≦B/10(式中、Aは、分単位として表示した水洗時間、Bは、g/Lの単位で表示した焼成粉末のスラリー濃度を表す。)。
【選択図】図1
Description
また、本発明は、上記リチウムニッケル複合酸化物から製造された非水電解質二次電池用の正極活物質およびその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記非水電解質二次電池用の正極活物質を有する非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
(イ)主成分としてニッケルを含有し、かつ、副成分として他の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するニッケル水酸化物および/またはニッケルオキシ水酸化物を、850℃以下の非還元雰囲気下で焙焼して、ニッケル酸化物を調製する工程。
(ロ)前記ニッケル酸化物とリチウム化合物を、該ニッケル酸化物中のニッケルその他の遷移金属元素、2族元素、及び13族元素の合計量に対して前記リチウム化合物中のリチウム量がモル比で1.00〜1.10になるように混合した後、酸素雰囲気下、650〜850℃の温度範囲で焼成して、次の組成式(1)で表される焼成粉末を調製する工程。
組成式(1):LiaNi1−bMbO2・・・・・・(1)
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aは、1.00≦a≦1.10であり、bは、0.01≦b≦0.5である。)
(ハ)前記焼成粉末を、500〜2000g/Lのスラリー濃度とした状態で次の式(2)を満足する範囲の時間水洗した後、濾過、乾燥してリチウムニッケル複合酸化物粉末を得る工程。
B/40<A≦B/10・・・・・・(2)
(式中、Aは、分単位として表示した水洗時間、Bは、g/Lの単位で表示したスラリー濃度を表す。)
第2発明の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法は、第1発明において、前記スラリーの液体部の電気伝導度を30〜60mS/cmに制御することを特徴とする。
第3発明の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法は、第1発明において、前記ニッケル水酸化物は、加温した反応槽中に、主成分としてニッケルを、かつ副成分として他の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属化合物の水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液とを滴下し、その際、反応溶液をアルカリ性に保持するに十分な量のアルカリ金属水酸化物の水溶液を所望に応じて適宜滴下して調製されることを特徴とする。
第4発明の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法は、第1発明において、前記ニッケルオキシ水酸化物は、加温した反応槽中に、主成分としてニッケルを、かつ副成分として他の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属化合物の水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液とを滴下し、その際、反応溶液をアルカリ性に保持するに十分な量のアルカリ金属水酸化物の水溶液を所望に応じて適宜滴下し、引き続き、さらに酸化剤を添加して調製されることを特徴とする。
第5発明の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法は、第1発明において、前記リチウム化合物は、リチウムの水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩およびハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
第6発明の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法は、第1発明において、(ハ)の工程において、炭素および硫黄を含む化合物成分を含有しないガス雰囲気下または真空雰囲気下で乾燥することを特徴とする。
第7発明の非水電解質二次電池用の正極活物質は、第1〜第6発明のいずれかの製造方法で得られることを特徴とする。
第8発明の非水電解質二次電池用の正極活物質は、第7発明の非水電解質二次電池用の正極活物質を用いてなることを特徴とする。
第2発明によれば、焼成粉末表面に付着している不純物を適切に除去することができる。
第3発明によれば、高嵩密度のニッケル水酸化物粉末が得られるので、水洗処理後の比表面積の小さいリチウムニッケル複合酸化物を製造しやすくなる。
第4発明によれば、高嵩密度のニッケルオキシ水酸化物粉末が得られるので、水洗処理後の比表面積の小さいリチウムニッケル複合酸化物を製造しやすくなる。
第5発明によれば、焼成後に不純物が残留しないという利点が得られる。
第6発明によれば、リチウムニッケル複合酸化物の水分率を十分に下げることができるため、非水電解質二次電池の正極活物質として使用した場合に、水分起因のガス発生を抑制できるという利点が得られる。
第7発明によれば、非水電解質二次電池の正極活物質として使用すれば、非水電解質二次電池を、高容量かつ高安全性を保持しつつ、サイクル特性に優れたものとすることができる。
第8発明によれば、第7発明の正極活物質を使用しているので、高容量かつ高安全性を保持しつつ、サイクル特性を向上させることができる。
つまり、本発明の製造方法によって製造されたリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として使用した場合、高い電池容量、熱安定性を保持しつつ、良好なサイクル特性を示す二次電池を製造することができるのである。
まず、本発明の非水電解質二次電池用の正極活物質を説明する。
本発明の非水電解質二次電池用の正極活物質は、下記組成式(1)を有する焼成粉末、つまり、リチウムニッケル複合酸化物粉末を所定の条件で水洗して乾燥することによって、その表面に存在する不純物や副生成物などの付着物を除去したものである。
組成式(1):LiaNi1−bMbO2 ・・・・・・(1)
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aは、1.00≦a≦1.10であり、bは、0.01≦b≦0.5である。)
つぎに、上述した本発明の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法(以下、本発明の製造方法という)を説明する。
組成式(1):LiaNi1−bMbO2・・・・・・(1)
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aは、1.00≦a≦1.10であり、bは、0.01≦b≦0.5である。)
B/40<A≦B/10・・・・・・(2)
(式中、Aは、分単位として表示した水洗時間、Bは、g/Lの単位で表示したスラリー濃度を表す。)
また、この際のスラリーの液体部の電気伝導度は30〜60mS/cmに制御することが好ましい。
(イ)ニッケル酸化物調製工程では、主成分としてニッケルを、かつ副成分として他の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するニッケル酸化物を調製する。
具体的には、主成分としてニッケルを、かつ副成分として他の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するニッケル水酸化物および/またはニッケルオキシ水酸化物を、大気雰囲気下で焙焼して、ニッケル酸化物を調製する。
(イ)の工程に用いるニッケル水酸化物は、とくに限定されない。例えば、晶析法や共沈法、均一沈殿法などの方法で製造されたニッケル水酸化物を使用することができる。また、晶析法の場合、種々の条件でニッケル水酸化物を製造できるので、ニッケル水酸化物を製造する条件もとくに限定されない。
(イ)の工程に用いるニッケル水酸化物も、とくに限定されないが、上述した上記ニッケル水酸化物に次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素水等の酸化剤をさらに添加して調製されたものが好ましい。この方法により製造されたニッケルオキシ水酸化物は高嵩密度の粉末であり、水洗処理後の比表面積の小さいリチウムニッケル複合酸化物を製造しやすくなるので、非水電解質二次電池用の正極活物質に用いるリチウムニッケル複合酸化物の原料として好適である。
上記ニッケル水酸化物および/またはニッケルオキシ水酸化物は、850℃以下の非還元雰囲気下、とくに500〜745℃の温度で焙焼することが好ましい。
850℃を超える焙焼温度で焙焼すると、焙焼によりニッケル水酸化物またはニッケルオキシ水酸化物が転換された酸化ニッケルとリチウム化合物との反応性が低下して、水洗の際にリチウムの溶出量が増加するため、水洗後の電池容量が低下する。
(ロ)焼成粉末調製工程は、(イ)の工程で得られたニッケル酸化物とリチウム化合物とを混合した後、酸素雰囲気下、最高温度が650〜850℃の範囲で焼成して、上記組成式(1)で表される焼成粉末を調製する工程である。
ニッケル酸化物と混合されるリチウム化合物は、とくに限定されないが、リチウムの水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩およびハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。かかるリチウム化合物を使用した場合には、焼成後に不純物が残留しないという利点が得られる。
(ロ)の工程において、ニッケル酸化物とリチウム化合物の混合比は、とくに限定されない。例えば、ニッケル酸化物中のニッケルその他の遷移金属元素、2族元素、および13族元素の合計量に対して、リチウム化合物中のリチウム量がモル比で1.00〜1.10になるように調整することが好ましい。
一方モル比が1.10を超えると、得られる焼成粉末の表面に余剰のリチウム化合物が多量に存在し、これを水洗で除去するのが難しくなる。すると、得られた焼成粉末を正極活物質として用いると、電池の充電時にガスが多量に発生されるばかりでなく、高pHを示す粉末であるため電極作製時に使用する有機溶剤などの材料と反応してスラリーがゲル化して不具合を起こす要因ともなる。
ニッケル酸化物とリチウム化合物を混合した混合物を焼成する装置や方法はとくに限定されない。例えば、酸素雰囲気、除湿および除炭酸処理を施した乾燥空気雰囲気等の酸素濃度20重量%以上のガス雰囲気に調整した電気炉、キルン、管状炉、プッシャー炉等の焼成炉を使用することができる。
650℃未満でも500℃を超えるような温度で焼成すればニッケル酸リチウムが生成されるが、その結晶が未発達で構造的に不安定であり充放電による相転移などにより容易に構造が破壊されてしまう。
一方、850℃を超えると、層状構造が崩れ、リチウムイオンの挿入、脱離が困難となったり、さらには分解により酸化ニッケルなどが生成されたりしてしまう。
(ハ)水洗工程は、(ロ)焼成粉末調製工程で得られたリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末を、500〜2000g/Lのスラリー濃度とした状態で次の式(2)を満足する範囲の時間水洗した後、濾過、乾燥する工程である。
B/40<A≦B/10・・・・・・(2)
(式中、Aは、分単位として表示した水洗時間、Bは、g/Lの単位で表示したスラリー濃度を表す。)
上記水洗では、水とリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末とを混合してスラリーを形成し、このスラリーを撹拌することによってリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末を洗浄する。その際に、水とリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末が混合したスラリーの濃度(スラリー濃度)が、500〜2000g/L、好ましくは600〜1800g/Lとなるように調整しておく。
スラリー濃度が濃いほどスラリー中の粉末量が多くなるが、2000g/Lを超えると、スラリーの粘度が高くなるため攪拌が困難となる。しかも、スラリーの液体中のアルカリ濃度が高くなるので、平衡の関係から、粉末に付着している付着物の溶解速度が遅くなるし、粉末からの付着物の剥離が起きても剥離した付着物を粉末から分離することが難しくなる。
一方、スラリー濃度が500g/L未満では、希薄過ぎるため、個々の粒子表面から液体中に溶出するリチウムの量が多くなる。しかも、リチウムニッケル複合酸化物の結晶格子中からのリチウムの脱離も起きるようになる。すると、結晶が崩れやすくなるばかりか、高pHの水溶液が大気中の炭酸ガスを吸収して炭酸リチウムが粉末表面に再析出するという現象も生じる。
したがって、水洗の際には、スラリーの濃度を、500〜2000g/Lとなるように調整しておく。
水洗中のスラリーにおける液体部の電気伝導度はとくに限定されないが、30〜60mS/cmに制御すれば、焼成粉末表面に付着している不純物を適切に除去することができるので好ましい。
液体部の電気伝導度が上記範囲(30〜60mS/cm)から外れる場合は、過洗浄となって上記過洗浄の問題が生じたり、洗浄不十分のために、前記焼成粉末表面に付着している不純物が除去されずに多く残留したりすることがある。例えば、スラリーの濃度が高く、スラリー中へのリチウムの溶出総量が多くなると、スラリー中のリチウム濃度が高くなって電気伝導度が高くなる。すると、個々の粒子からの溶出するリチウムの量が減少するため、洗浄不十分となることがある。また、スラリーの濃度が低く、スラリー中へのリチウムの溶出総量が少なくなると、スラリー中のリチウム濃度が低くなって電気伝導度が下がる。すると、個々の粒子からの溶出するリチウムの量が増加するため、過洗浄となることもある。
なお、スラリー濃度以外の焼成条件や撹拌などの洗浄条件によってもリチウムの溶出総量が変化し、電気伝導度が変化する。このため、電気伝導度を測定すれば、焼成状態や洗浄状態を判断する目安とすることができる。
スラリーを形成するために使用する水は、とくに限定されない。しかし、正極活物質への不純物の付着による電池性能の低下を防ぐ上では、電気伝導率測定で10μS/cm未満の水が好ましく、1μS/cm以下の水がより好ましい。
リチウムニッケル複合酸化物焼成粉末は、スラリー濃度に対応して上記の式(2)を満足する時間以内で水洗する。
上述した方法でリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末を形成した場合には、水洗時間が上記式(2)で算出される時間よりも短くなると、焼成粉末の表面に付着した不純物や副生成物の除去を十分に行なうことができなくなる。かかる粉末を正極活物質として使用すると、二次電池のサイクル特性が悪化するという問題が生じる
一方、水洗時間が上記の式(2)で算出される時間以上に長くなると、多量の高pHの水溶液が大気中の炭酸ガスを吸収して粉末表面に炭酸リチウムを再析出する。かかる炭酸リチウムが粉末表面に大量に付着している粉末を正極活物質として使用すると、二次電池が高温になったときに大量にガス発生するという問題が生じる。
したがって、リチウムニッケル複合酸化物焼成粉末は、スラリー濃度に対応して上記の式(2)を満足する時間以内で水洗することが好ましい。
水洗後のリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末を乾燥する温度や方法はとくに限定されないが、乾燥温度は、80〜700℃が好ましく、100〜550℃がより好ましく、120〜350℃がさらに好ましい。
80℃以上とするのは、水洗後のリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末を素早く乾燥し、粒子表面と粒子内部とでリチウム濃度の勾配が起こることを防ぐためである。
一方、水洗後のリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末の表面付近では、化学量論比にきわめて近いかもしくは若干リチウムが脱離して充電状態に近い状態になっていることが予想される。すると、700℃を超える温度では、充電状態に近い粉末の結晶構造が崩れる契機になり、電気特性の低下を招く恐れがある。
したがって、水洗後のリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末の物性および特性上の懸念を低減するためには、100〜550℃が望ましく、さらに生産性および熱エネルギーコストも考慮すると120〜350℃がより望ましい。
乾燥後のリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末の水分率はとくに限定されないが、0.2重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましい。粉末の水分率が0.2重量%を超えると、大気中の炭素、硫黄を含むガス成分を吸収して表面にリチウム化合物を生成する契機となるためである。
なお、上記水分率の測定値は、気化温度300℃の条件においてカールフィッシャー水分計で測定した場合の測定値である。
なお、上記例では、水洗前のリチウムニッケル複合酸化物焼成粉末を得る方法として、晶析法によりリチウム以外の金属元素を固溶または分散させたニッケル化合物とリチウム化合物を原料としてこれらを混合し焼成した場合を説明した。しかし、リチウムニッケル複合酸化物焼成粉末を得る方法は、とくに限定されない。例えば、所望の金属元素を含有する水溶液を全て混合した液を噴霧熱分解処理する方法、およびボールミルなど機械粉砕により所望の金属元素の化合物を全て粉砕混合した後焼成する方法が挙げられる。しかし、水洗処理後の比表面積の小さいリチウムニッケル複合酸化物を製造する上では、上述した方法で製造されたリチウムニッケル複合酸化物を使用することが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、上述したリチウムニッケル複合酸化物からなる正極活物質、とくに、上述した製造方法により得られたリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いて正極を作製し、この正極を使用して作製されたものである。そして、本発明の非水電解質二次電池は、かかる正極を使用しているので、高容量で安全性が高く、しかも、サイクル特性も優れているのである。
本発明の非水系電解質二次電池(以下、単に本発明の二次電池という)は、正極の材料に本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、単に本発明の正極活物質という)を用いた以外は、一般的な非水系電解質二次電池と実質同等の構造を有している。
まず、本発明の二次電池の特徴である正極について説明する。
正極は、シート状の部材であり、本発明の正極活物質を含有する正極合剤を、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布乾燥して形成することができるが、正極の作製方法はとくに限定されない。例えば、正極活物質粒子と結着剤とを含む正極合剤を、帯状の正極芯材(正極集電体)に担持させることによって正極を作製することも可能である。
正極合剤は、粉末状になっている本発明の正極活物質と、導電材および結着剤とを混合して形成された正極剤に、溶剤を添加して混練して形成することができる。
以下、正極活物質以外の正極合剤を構成する材料について説明する。
前記正極合剤の結着剤としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよいが、熱可塑性樹脂が好ましい。かかる熱可塑性樹脂はとくに限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらは、Na+イオンなどによる架橋体であってもよい。
正極合剤の導電材としては、電池内で化学的に安定な電子伝導性材料であればよく、とくに限定されない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、アルミニウム等の金属粉末類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物、ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料、フッ化カーボン等を使用することができる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
溶剤は、結着剤を溶解して、正極活物質や導電材等を結着剤中に分散させるものである。この溶剤はとくに限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を使用することができる。
正極芯材(正極集電体)としては、電池内で化学的に安定な電子伝導体であればよく、とくに限定されない。例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素、導電性樹脂等からなる箔またはシートを用いることができ、この中でアルミニウム箔、アルミニウム合金箔等がより好ましい。ここで、箔またはシートの表面には、カーボンまたはチタンの層を付与したり、酸化物層を形成したりすることもできる。また、箔またはシートの表面に凹凸を付与することもでき、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群成形体等を用いることもできる。
正極芯材の厚みも、とくに限定されないが、例えば、1〜500μmが好ましい。
つぎに、本発明の非水電解質二次電池の構成要素のうち、正極以外の構成要素について説明する。
なお、本発明の非水電解質二次電池は、上記正極活物質を用いる点に特徴を有するものであり、その他の構成要素は、その用途および要求される性能に応じて適宜選択することができ、後述するものに限定されない。
負極としては、リチウムを充放電することができるであればよく、とくに限定されない。例えば、負極活物質と結着剤を含み、任意成分として導電材や増粘剤を含む負極合剤を負極芯材に担持させたものを使用することができる。このような負極は、正極と同様の方法で作製することができる。
また、負極活物質の平均粒径はとくに限定されず、例えば、1〜30μmが好ましい。
負極合剤の結着剤としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよいが、熱可塑性樹脂が好ましい。かかる熱可塑性樹脂はとくに限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらは、Na+イオンなどによる架橋体であってもよい。
負極合剤の導電材としては、電池内で化学的に安定な電子伝導性材料であればよく、とくに限定されない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類、ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等を使用することができる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
この導電材の添加量は、とくに限定されないが、負極合剤に含まれる負極活物質粒子に対して、1〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
負極芯材(負極集電体)としては、電池内で化学的に安定な電子伝導体であればよく、とくに限定されない。例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、炭素、導電性樹脂等からなる箔またはシートを用いることができ、銅および銅合金が好ましい。箔またはシートの表面には、カーボン、チタン、ニッケル等の層を付与したり、酸化物層を形成したりすることもできる。また、箔またはシートの表面に凹凸を付与することもでき、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群成形体等を使用することもできる。
負極芯材の厚みも、とくに限定されないが、例えば、1〜500μmが好ましい。
非水電解液としては、リチウム塩を溶解した非水溶媒が好ましい。かかる非水溶媒はとくに限定されないが、例えば、エチレンカーボネ−ト(EC)、プロピレンカ−ボネ−ト(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
とくに、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒、または環状カーボネートと鎖状カーボネートと脂肪族カルボン酸エステルとの混合溶媒を使用することが好ましい。
非水電解液に溶解するリチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(CF3SO2)2、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、リチウムイミド塩等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、少なくともLiPF6を用いることが好ましい。
また、非水溶媒中のリチウム塩濃度はとくに限定されないが、0.2〜2mol/Lが好ましく、0.5〜1.5mol/Lがより好ましい。
非水電解液には、電池の充放電特性を改良する目的で、リチウム塩以外にも種々の添加剤を添加してもよい。添加剤はとくに限定されないが、例えば、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ピリジン、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、クラウンエーテル類、第四級アンモニウム塩、エチレングリコールジアルキルエーテル等を挙げることができる。
また、正極と負極との間には、微細なセパレータを介在させる。このセパレータはとくに限定されないが、大きなイオン透過度と所定の機械的強度を持ち、かつ絶縁性である微多孔性薄膜が好ましい。とくに、微多孔性薄膜は、一定温度以上で孔を閉塞し、抵抗を上昇させる機能を持つものが好ましい。
微多孔性薄膜の材質もとくに限定されないが、例えば、耐有機溶剤性に優れ、疎水性を有するポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンを使用することができる。また、ガラス繊維等から作製されたシート、不織布、織布等も使用することができる。
なお、実施例および比較例にいて、リチウムニッケル複合酸化物の金属の分析方法および水分率、比表面積は、以下の方法を用いて評価した。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)水分率の測定:京都電子製カールフィッシャー水分計(MKC210)を用いて気化温度300℃の条件で測定した。
(3)比表面積の測定:BET法(マルチソーブ16;ユアサアイオニクス社製)で行った。
本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として採用した非水電解質二次電池の電池性能の評価には、図1に示す2032型コイン型電池(以下、コイン型電池1という)を使用した。
ケース2は、中空かつ一端が開口された正極缶2aと、この正極缶2aの開口部に配置される負極缶2bとを有しており、負極缶2bを正極缶2aの開口部に配置すると、負極缶2bと正極缶2aとの間に電極3を収容する空間が形成されるように構成されている。
電極3は、正極(評価用電極)3a、セパレータ3cおよび負極(リチウム金属負極)3bとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極3aが正極缶2aの内面に接触し、負極3bが負極缶2bの内面に接触するようにケース2に収容されている。
なお、ケース2はガスケット2cを備えており、このガスケット2cによって、正極缶2aと負極缶2bとの間が非接触の状態を維持するように相対的な移動が固定されている。また、ガスケット2cは、正極缶2aと負極缶2bとの隙間を密封してケース2内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。
まず、正極活物質粉末90重量部にアセチレンブラック5重量部およびポリ沸化ビニリデン5重量部を混合し、n−メチルピロリドンを加えペースト化した。このペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔に塗布した。なお、ペーストは、乾燥後の正極活物質の重量が0.05g/cm2なるように塗布した。
その後、ペーストが塗布されたアルミニウム箔について120℃で真空乾燥を行い、その後、直径1cmの円板状に打ち抜いて正極3aとした。
この正極3aと、負極3bと、セパレータ3cおよび電解液とを用いて、上述したコイン型電池1を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。
セパレータ3cには、膜厚20μmのポリエチレン多孔膜を用いた。
電解液には1MのLiClO4を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液(宇部興産社製)を用いた。
まず、コイン型電池1を作製してから24時間程度放置する。開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2としてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電させる。そして、カットオフ電圧3.0Vまで放電させたときの容量を初期放電容量とした。
まず、コイン型電池を充電電位4.1Vで充電して、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製、1255B)を使用して交流インピーダンス法により測定する。すると、図2に示すナイキストプロットが得られる。このナイキストプロットは、溶液抵抗、負極抵抗とその容量、および、正極抵抗とその容量を示す特性曲線の和として表しているため、このナイキストプロットに基づく等価回路を用いてフィッティング計算を行い、正極反応抵抗の値を算出した。
詳しくは、コイン型電池について、初期放電容量測定と同様に、電池を24時間程度放置してOCVが安定した後、正極に対して電流密度を0.5mA/cm2として、電圧が4.3Vとなるまで充電後、電圧規定で電流値が0.01mA以下になったら充電終了とする定電流―低電圧充電(CCCV充電)を行った。
その後、充電したコイン型電池を解体して内部の正極を取り出し、正極に付着している電解液を、正極に付着している量が0.05mg以下になるまで、できる限り除去した。
つぎに、DSC測定用のアルミニウム製パンに正極3mgとコイン型電池に用いた電解液1.3mgを入れて、アルミニウム製パンをかしめて密閉した。その後、ガス抜きのためにアルミニウム製パンの表面に極小さい穴をあけて、測定用試料を形成した。
一方、DSC測定用のアルミニウム製パンにアルミナ粉を3mgを入れて、測定用試料を形成した場合と同様の方法で、参照極を形成した。
上記測定用試料と参照極を、DSC装置において昇温速度10℃/minで室温〜305℃までの範囲を走査して、その発熱挙動を見た。なお、このとき使用したDSC装置は、株式会社リガク製DSC−10Aである。
本発明の方法、つまり、所定組成のニッケル酸化物を調製する工程、所定組成の焼成粉末を調製する工程、および得られた焼成粉末を水洗処理した後乾燥する工程の一連の工程を実施することによって、各金属成分が所定のモル比となったリチウムニッケル複合酸化物を製造した。
そして、得られたリチウムニッケル複合酸化物について、その比表面積を求めた。
さらに、上述した方法により、得られたリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として正極材料を形成し、この正極材料を使用してコイン型電池を作製した。
まず、硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製)、硫酸コバルト七水和物(和光純薬製)、および硫酸アルミニウム(和光純薬製)を、所望の比となるよう混合し水溶液を調製した。この水溶液をアンモニア水(和光純薬製)および苛性ソーダ水溶液(和光純薬製)と同時に、50℃に保温された水をはった吐出口付攪拌反応槽中に滴下して、反応晶析法により1次粒子が凝集した球状水酸化ニッケルを製造した。このとき、吐出口付攪拌反応槽内の液体のpHが11.5、反応槽内の粒子の滞留時間が11時間となるよう制御した。
そして、反応晶析法により得られた水酸化ニッケルを焙焼温度700℃で焙焼して、ニッケル酸化物を得た。
得られたニッケル酸化物に、所望の組成になるように水酸化リチウム一水和物(和光純薬製)を加え混合した。得られた混合物を、電気炉を用いて酸素濃度30%以上の雰囲気中で600℃で3時間仮焼した後、765℃で8時間以上本焼成した。その後、室温まで炉内で冷却した後、解砕処理を行い一次粒子が凝集した球状焼成粉末を得て、その組成を分析した。
得られた焼成粉末に、純水を加えて濃度を750g/Lとしたスラリーを30分間撹拌して水洗した後、濾過して取り出した粉末を180℃に加温した真空乾燥機を用いて10時間静置した。その後、水洗乾燥して得られたリチウムニッケル複合酸化物粉末(つまり、最終製品であるリチウムニッケル複合酸化物粉末)の比表面積を測定した。結果を表1に示す。なお、水分率は、0.07重量%であった。また、得られた最終製品であるリチウムニッケル複合酸化物粉末のリチウム比は、0.99であった。
焼成粉末を水洗する工程のスラリー濃度を500g/Lとし20分間撹拌して水洗したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造し、得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を水洗する工程のスラリー濃度を1500g/Lとし60分間撹拌して水洗したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を水洗する工程のスラリー濃度を2000g/Lとし80分間撹拌して水洗したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
ニッケル酸化物を調製する工程で、焼成後のリチウムニッケル複合酸化物の各金属成分のモル比が、Ni:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように、原料水溶液の調合を硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製)、硫酸コバルト七水和物(和光純薬製)、硫酸アルミニウム(和光純薬製)、および硫酸マンガン五水和物(和光純薬製)を混合して調製したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。なお、得られた最終製品であるリチウムニッケル複合酸化物粉末のリチウム比は、1.02であった。
ニッケル酸化物を調製する工程で、焼成後のリチウムニッケル複合酸化物の各金属成分のモル比が、Ni:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.08となるように、原料水溶液の調合を硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製)、硫酸コバルト七水和物(和光純薬製)、硫酸アルミニウム(和光純薬製)、および硫酸マンガン五水和物(和光純薬製)を混合して調製したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。なお、得られた最終製品であるリチウムニッケル複合酸化物粉末のリチウム比は、1.04であった。
焼成粉末を調製する工程の本焼成の温度を650℃としたこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を調製する工程の本焼成の温度を700℃としたこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を調製する工程の本焼成の温度を800℃としたこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を調製する工程の本焼成の温度を850℃としたこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を水洗する工程のスラリー濃度を400g/Lとし10分間撹拌して水洗したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を水洗する工程のスラリー濃度を750g/Lとし15分間撹拌して水洗したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を水洗する工程のスラリー濃度を2250g/Lとし50分間撹拌して水洗したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を水洗する工程のスラリー濃度を400g/Lとし50分間撹拌して水洗したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を水洗する工程のスラリー濃度を750g/Lとし80分間撹拌して水洗したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を水洗する工程のスラリー濃度を2250g/Lとし210分間撹拌して水洗したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
ニッケル酸化物を調製する工程で、焼成後のリチウムニッケル複合酸化物の各金属成分のモル比が、Ni:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:0.98となるように、原料水溶液の調合を硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製)、硫酸コバルト七水和物(和光純薬製)、硫酸アルミニウム(和光純薬製)、および硫酸マンガン五水和物(和光純薬製)を混合して調製したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。なお、得られた最終製品であるリチウムニッケル複合酸化物粉末のリチウム比は、0.95であった。
ニッケル酸化物を調製する工程で、焼成後のリチウムニッケル複合酸化物の各金属成分のモル比が、Ni:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.13となるように、原料水溶液の調合を硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製)、硫酸コバルト七水和物(和光純薬製)、硫酸アルミニウム(和光純薬製)、および硫酸マンガン五水和物(和光純薬製)を混合して調製したこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。なお、得られた最終製品であるリチウムニッケル複合酸化物粉末のリチウム比は、1.09であった。
焼成粉末を調製する工程の本焼成の温度を600℃としたこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
焼成粉末を調製する工程の本焼成の温度を900℃としたこと以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。得られた粉末の組成および比表面積、並びに、この粉末を使用して作製されたコイン型電池の初期放電容量、正極反応抵抗、サイクル維持率およびDSC発熱量を測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
結果を表1に示す。
2 ケース
2a 正極缶
2b 負極缶
2c ガスケット
3 電極
3a 正極
3b 負極
3c セパレータ
Claims (8)
- 下記(イ)〜(ハ)の工程を含む
ことを特徴とするリチウムニッケル複合酸化物粉末からなる非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法。
(イ)主成分としてニッケルを含有し、かつ、副成分として他の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するニッケル水酸化物および/またはニッケルオキシ水酸化物を、850℃以下の非還元雰囲気下で焙焼して、ニッケル酸化物を調製する工程。
(ロ)前記ニッケル酸化物とリチウム化合物を、該ニッケル酸化物中のニッケルその他の遷移金属元素、2族元素、及び13族元素の合計量に対して前記リチウム化合物中のリチウム量がモル比で1.00〜1.10になるように混合した後、酸素雰囲気下、650〜850℃の温度範囲で焼成して、次の組成式(1)で表される焼成粉末を調製する工程。
組成式(1):LiaNi1−bMbO2・・・・・・(1)
(式中、Mは、Ni以外の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aは、1.00≦a≦1.10であり、bは、0.01≦b≦0.5である。)
(ハ)前記焼成粉末を、500〜2000g/Lのスラリー濃度とした状態で次の式(2)を満足する範囲の時間水洗した後、濾過、乾燥してリチウムニッケル複合酸化物粉末を得る工程。
B/40<A≦B/10・・・・・・(2)
(式中、Aは、分単位として表示した水洗時間、Bは、g/Lの単位で表示したスラリー濃度を表す。) - 前記スラリーの液体部の電気伝導度を30〜60mS/cmに制御する
ことを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法。 - 前記ニッケル水酸化物は、加温した反応槽中に、主成分としてニッケルを、かつ副成分として他の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属化合物の水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液とを滴下し、その際、反応溶液をアルカリ性に保持するに十分な量のアルカリ金属水酸化物の水溶液を所望に応じて適宜滴下して調製される
ことを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法。 - 前記ニッケルオキシ水酸化物は、加温した反応槽中に、主成分としてニッケルを、かつ副成分として他の遷移金属元素、2族元素、または13族元素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属化合物の水溶液と、アンモニウムイオン供給体を含む水溶液とを滴下し、その際、反応溶液をアルカリ性に保持するに十分な量のアルカリ金属水酸化物の水溶液を所望に応じて適宜滴下し、引き続き、さらに酸化剤を添加して調製されることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法。
- 前記リチウム化合物は、リチウムの水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩およびハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法。
- 前記(ハ)の工程において、炭素および硫黄を含む化合物成分を含有しないガス雰囲気下または真空雰囲気下で乾燥する
ことを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池用の正極活物質の製造方法。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の製造方法で得られたものである
ことを特徴とする非水電解質二次電池用の正極活物質。 - 請求項7記載の非水電解質二次電池用の正極活物質を用いてなる
ことを特徴とする非水電解質二次電池。
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