JP6911644B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの非水系電解質二次電池の正極に用いられる、非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法、特にリチウムニッケル含有複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法に関する。
近年、携帯電話やノートパソコンなどの携帯電子機器の普及、および、エコカーなどの実用化に伴い、これらの小型電子機器に搭載される充放電可能な電源、あるいは、エコカーの動力源を含む車載用の充放電可能な大型電源として、非水系電解質二次電池、特にリチウムイオン二次電池の需要が急激に伸びている。非水系電解質二次電池の正極材料としては、リチウムコバルト含有複合酸化物やリチウムニッケル含有複合酸化物などのリチウム遷移金属含有複合酸化物が広く用いられている。
リチウムイオン二次電池は、小型で高いエネルギ密度を有することから、携帯電子機器の電源としてすでに利用されている。また、リチウムイオン二次電池について、ハイブリッド自動車や電気自動車などのエコカーに用いられる車載用の大型電源としての利用を目指した研究開発も進められている。
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)などの、主としてリチウムおよびコバルトを構成材料として含むリチウムコバルト含有複合酸化物が用いられているが、リチウムコバルト含有複合酸化物の原料には、希産で高価なコバルト化合物が用いられるため、正極活物質のコストアップの原因となっている。
正極活物質のコストを下げ、より安価なリチウムイオン二次電池の製造を実現することは、現在普及している携帯電子機器の低コスト化や将来の大型電源へのリチウムイオン二次電池の搭載を可能とすることから、工業的に大きな意義がある。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質として適用できるその他の正極材料として、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)などの、主としてリチウムおよびニッケルを構成材料として含むリチウムニッケル含有複合酸化物がある。リチウムニッケル含有複合酸化物は、リチウムコバルト含有複合酸化物との比較では、より高容量であり、原料であるニッケル化合物がコバルト化合物に比べて安価であり、かつ、ニッケル化合物が安定して入手可能であるといった利点を有していることから、次世代の正極材料として期待され、その研究および開発が活発に続けられている。
しかしながら、リチウムニッケル含有複合酸化物は、リチウムコバルト含有複合酸化物に比べて、低い温度から分解が始まるため、合成の際の焼成温度を上げることができず、結果的にその焼成時間が長くなり、工業的に量産する際の生産性に劣るという問題点を有する。
リチウムニッケル含有複合酸化物の製造方法については、特開平07−114915号公報、特開平11−111290号公報、特開2000−133249号公報、および、特開2007−119266号公報に示されているように、リチウム化合物とニッケル含有複合化合物とを混合して熱処理する方法が採られている。これらの文献では、電池特性の向上などを目的に、合成時間、合成温度、合成雰囲気などを規定することが開示されている。しかしながら、工業的な量産過程において、電池性能を損なうことなく、できるだけ短時間で合成を完了させて、生産性を向上させるための条件については、検討がなされておらず、これらの技術に基づいて、工業的に量産する際の生産性を飛躍的に高めることは困難である。
また、特開2002−170562号公報、特開2000−173599号公報、および、特開2008−117729号公報に記載されているように、リチウム遷移金属含有複合酸化物の焼成による合成について、多数の提案がなされている。しかしながら、これらの文献には、原料組成、焼成温度範囲、焼成時間などを規定することが記載されているが、大量に処理される実際の工業的な生産工程において、電池性能を劣化させない範囲で最大の生産性を得られる焼成条件の詳細についての十分な開示はなされていない。
さらに、特開2010−024085号公報、および、特開2011−146309号公報では、ニッケル含有複合酸化物と水酸化リチウムとからなる原料混合物の焼成において、原料混合物の層厚と特定温度範囲の通過時間を制御して焼成することが提案されている。これらの文献には、工業的規模における生産が可能な合成時間と焼成原料の充填量との関係について記載があるものの、これらの文献により得られた正極活物質には、その電池特性についてのさらなる改善が望まれている。
特開平07−114915号公報 特開平11−111290号公報 特開2000−133249号公報 特開2007−119266号公報 特開2002−170562号公報 特開2000−173599号公報 特開2008−117729号公報 特開2010−024085号公報 特開2011−146309号公報
本発明は、上記事情に鑑み、非水系電解質二次電池用正極活物質の電池特性をさらに向上させつつ、工業的に製造する際の量産性を向上させることができる、リチウムニッケル金属含有複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、非水系電解質二次電池用正極活物質の合成に関する研究を進めた結果、正極活物質であるリチウムニッケル含有複合酸化物を製造する工程のうち、リチウム化合物と、正極活物質の前駆体であるニッケル含有複合化合物との、混合物を焼成する工程において、この混合物の温度を特定の温度領域に保持させることが、得られる正極活物質の電池特性に大きな影響を及ぼしており、この温度領域において、リチウム化合物とニッケル含有複合化合物との混合物の厚さに応じた酸素拡散に必要な時間を確保することにより、ニッケル含有複合酸化物中に効率よくリチウムを拡散および反応させて、得られるリチウムニッケル含有複合酸化物からなる正極活物質の電池特性を向上させることが可能となるとの知見を得た。
また、特定の温度領域での前記混合物の保持時間を制御することで、電池特性を損なうことなく、工業的な量産過程において、正極活物質の生産性を大幅に向上させることができるとの知見を得た。
本発明者は、これらの知見に基づいて本発明を完成したものである。すなわち、本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質、具体的には、リチウムニッケル含有複合酸化物から構成される非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法に関し、特に、リチウム化合物とニッケル含有複合化合物とを混合して得られる混合物を、焼成容器に充填し、酸化性雰囲気中で焼成し、および、水洗する工程において、前記混合物が450℃以上650℃以下の温度範囲である反応促進温度領域に保持される時間を、前記焼成によって得られるリチウムニッケル含有複合酸化物の全金属成分に対するリチウムのモル比であるリチウムメタル比に関して、前記水洗後のリチウムメタル比(A)の前記水洗前のリチウムメタル比(B)に対する比(A/B)が0.95以上[(A/B)≧0.95]となるように制御することを特徴とする。
前記焼成工程において、前記混合物の温度が前記反応促進温度領域に保持される時間をT(分)とし、前記混合物を前記焼成容器に入れたときの厚さをt(mm)とした場合に、前記保持時間Tを、関係式:T2=1.15tで求められる最小保持時間T2(分)以上(T≧T2)となるようにすることが好ましい。なお、前記最小保持時間T2に対する前記保持時間Tの比(T/T2)が1.05以上となるように、前記保持時間Tを設定することが好ましい。
前記焼成工程のうち、少なくとも前記反応促進温度領域における前記酸化性雰囲気の酸素濃度が60容量%以上の雰囲気であることが好ましい。
また、前記焼成工程において、前記混合物の到達する最高温度を650℃以上775℃以下とし、かつ、前記混合物が前記650℃以上前記最高温度以下の温度範囲に保持される時間を2時間以上5時間以下とすることが好ましく、さらに、前記混合物が前記最高温度に保持される時間を2時間以上5時間以下とすることが好ましい。
前記焼成工程における、前記混合物の加熱開始から冷却完了までの時間を24時間以内とすることが好ましい。
前記ニッケル含有複合化合物の平均粒径が、3μm〜20μmの範囲にあることが好ましく、また、前記ニッケル含有複合化合物のかさ密度が、0.5g/ml〜2.2g/mlの範囲にあることが好ましい。
前記ニッケル含有複合化合物として、ニッケル含有複合酸化物またはニッケル含有複合水酸化物を用いることが好ましい。
前記リチウム化合物として、水酸化リチウムの無水和物または水和物を用いることが好ましい。
前記非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式:LixNi1-y-zM1yM2z2(ただし、0.90≦x≦1.10、0.03≦y≦0.35、0.005≦z≦0.15、M1は、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種の添加元素であり、M2は、AlおよびTiの群から選択される少なくとも1種の添加元素である)で表されるリチウムニッケル複合水酸化物からなることが好ましい。
前記一般式において、0.05≦y≦0.10、0.005≦z≦0.10、かつ、y+z≦0.15であり、前記焼成工程のうち、少なくとも前記反応促進温度領域における前記酸化性雰囲気の酸素濃度が70容量%以上であることが好ましく、さらに、前記焼成工程において、前記混合物の到達する最高温度を700℃以上760℃以下とし、かつ、前記混合物が700℃以上760℃以下の温度範囲に保持される時間を2時間以上5時間以下とすることが好ましく、さらに、前記混合物が前記最高温度に保持される時間を2時間以上5時間以下とすることが好ましい。
本発明の非水系電解質二次電池用の正極活物質の製造方法は、リチウムをきわめて効率よくニッケル含有複合酸化物に固溶させることを可能とし、これにより、リチウムニッケル含有複合酸化物からなる正極活物質を、その電池特性を損なうことなく、高い生産性をもって工業的に製造することを可能とするものであるため、本発明の工業的価値はきわめて大きい。
図1は、インピーダンス評価の測定例と解析に使用した等価回路の概略説明図である。 図2は、電池評価に使用したコイン型電池の概略断面図である。 図3は、[水洗後リチウムメタル比(A)/水洗前リチウムメタル比(B)]と、混合物の厚さ(t)に対する混合物が450℃以上650℃以下の温度領域の温度に保持される時間Tの比(T/t)との関係を示すグラフである。 正極活物質の反応抵抗と、混合物の厚さ(t)に対する混合物が450℃以上650℃以下の温度領域の温度に保持される時間Tの比(T/t)との関係を示すグラフである。
1.非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法、具体的には、リチウムニッケル含有複合酸化物から構成される非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法に関する。本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、主として、リチウム化合物とニッケル含有複合化合物とを混合して得られる混合物を、焼成容器に充填する工程、該充填後の前記混合物を酸化性雰囲気中で焼成する工程、および、前記焼成後に得られた焼成物、すなわち、リチウムニッケル含有複合酸化物を水洗する工程を備える。
リチウムニッケル含有複合酸化物を工業的に生産する場合、一般的に、セラミック製の焼成容器に充填した原料混合物を、前記焼成工程において、ローラハースキルンやプッシャー炉などの炉の中に連続的に送り込み、所定の時間、および所定の温度で焼成して、原料混合物に合成反応を起こさせている。
工業的な生産過程における焼成容器としては、一般的に、内寸が100mm(L)×100mm(W)×20mm(H)〜500mm(L)×500mm(W)×120mm(H)の範囲にある容器が使用され、原料であるリチウム化合物とニッケル含有複合化合物との混合物を、その厚さが30mm〜110mmの範囲となるように充填する。
この場合、生産性を向上させるための手段としては、搬送速度を速めることにより、炉の中を通過させる時間を短縮したり、焼成容器の中に入れる混合物の量を多くして、単位時間あたりの合成量を増加させたりすることが考えられる。
このうち、搬送速度を速める方法では、反応に重要な450℃以上650℃以下の温度範囲である反応促進温度領域における搬送速度をあまりに速めてしまうと、合成反応の時間が足りず、正極材料として使用可能な結晶成長が行われなくなり、電池性能を劣化させてしまうという問題が生ずる。
一方、焼成容器に充填する混合物の量をあまりに多くすると、混合物の厚さが大きくなりすぎて、容器の底部にまで反応に必要な酸素の拡散、および反応によって生成するHOの脱離が不十分となり、下記式(1)に示すような反応が進行せず、リチウムニッケル含有複合酸化物の合成不足が発生し、放電容量の低下などの問題が発生する。
(数1)
2NiO+2LiOH+1/2O2 → 2LiNiO2+H2O (1)
したがって、電池特性を良好にするためには、正極活物質として用いるリチウムニッケル含有複合酸化物を合成するにあたって、リチウム化合物とニッケル含有複合化合物との反応に必要とされる酸素を、混合物内に十分拡散させ、同時に反応で生成するHOを速やかに除去することが必要となる。
ここで、本発明者は、リチウム化合物とニッケル含有複合化合物との反応においては、焼成工程におけるすべての温度範囲で酸素を混合物内に十分に拡散させる必要はなく、かかる反応には最も重要な温度領域があって、この最も重要な温度領域において酸素を混合物内に十分に拡散させれば、電池特性が良好なリチウムニッケル含有複合酸化物が得られるとの知見を得た。具体的には、450℃以上650℃以下の温度範囲である反応促進温度領域において、酸素を混合物内に十分に拡散させれば、電池特性が良好なリチウムニッケル含有複合酸化物が得られることが分かった。
すなわち、焼成容器に充填した混合物を焼成してリチウムニッケル含有複合酸化物を得る場合に、前記反応促進温度領域において、混合物の厚さに応じた酸素拡散時間を確保しさえすれば、焼成容器の中に入れる混合物の量を多く、すなわち、混合物の厚さを大きくしても、リチウムニッケル含有複合酸化物の全金属成分に対するリチウムのモル比であるリチウムメタル比に関して水洗前後の差が小さい、良好なリチウムニッケル含有複合酸化物が得られる。
ここで、焼成工程の後工程である水洗工程の前後において、リチウムニッケル含有複合酸化物のリチウムメタル比の差が小さいということは、その粒子の表面に存在する余剰リチウムが少ないことを意味し、リチウムがニッケル含有複合酸化物と十分に反応し、結晶性が高い状態となっている、すなわち、焼成が良好な状態でなされたことを意味する。リチウムをニッケル含有複合酸化物と十分に反応させ、リチウムニッケル含有複合酸化物の結晶性を高い状態とすることで、正極活物質の反応抵抗(以下、「正極抵抗」という)を低減し、電池の正極に用いた際の出力特性を高いものとすることができる。
より具体的には、焼成容器に充填して焼成し、水洗する工程において、前記混合物を前記反応促進温度領域に保持する時間を、ニッケル含有複合酸化物の全金属成分に対するリチウムのモル比(リチウムメタル比)に関して、水洗前後の比[水洗後リチウムメタル比(A)/水洗前リチウムメタル比(B)]が0.95以上[(A/B)≧0.95]となるように制御する。
[リチウム化合物]
混合物の原料として用いられるリチウム化合物としては、特に限定されることはなく、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウムなどを用いることができるが、本発明においては、より融点の低い、水酸化リチウムあるいは炭酸リチウムを用いることが好ましく、融点が480℃付近にある水酸化リチウムの無水和物または水酸化リチウムの水和物が、ニッケル含有複合酸化物との反応を考慮するとより好ましい。さらに、生産性を考慮すると、水酸化リチウムの無水和物を使用することが特に好ましい。水酸化リチウムが均等に溶融し、ニッケル含有複合酸化物と固液反応することでより、均一に反応が進むからである。
なお、本発明においては、リチウム化合物の構造については限定されることなく、一般に入手可能な製品を用いることができる。
[ニッケル含有複合化合物]
また、混合物の原料として用いるニッケル含有複合化合物も、特に限定されることはないが、ニッケル含有複合水酸化物またはニッケル含有複合酸化物が、反応中に水以外の副反応物を生成しないという観点から好ましい。
なお、ニッケル含有複合水酸化物としては、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)、炭酸
ニッケル(NiCo3)、硫酸ニッケル(NiSO4)、硝酸ニッケル(Ni(NO32)などのニッケル塩を広く用いることはできるが、正極活物質に残留する不純物の低減という観点から、水酸化ニッケルを用いることが好ましい。また、ニッケル含有複合化合物には、これらのニッケル化合物のほか、任意の添加元素Mが添加されたものも含まれる。添加元素Mとしては、これらに限定されないが、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)などを挙げることができる。
ニッケル含有複合化合物、特に、ニッケル含有複合水酸化物あるいはニッケル含有複合酸化物の平均粒径は、3μm〜20μmの範囲にあることが好ましく、7μm〜15μmの範囲にあることがより好ましい。ニッケル含有複合酸化物の平均粒径が3μm未満では、得られる正極活物質物の粒径も小さくなり、容積あたりの充填量が少なく、電池容量が低下する。一方、平均粒径が20μmを超えても、正極活物質間の接点が少なく、正極抵抗が上昇して、電池容量が低下する。
また、ニッケル含有複合化合物、特に、ニッケル含有複合水酸化物あるいはニッケル含有複合酸化物のかさ密度は、0.5g/ml〜2.2g/mlの範囲にあることが好ましく、0.8g/ml〜2.0g/mlの範囲にあることがより好ましい。かさ密度が0.5g/ml未満では、焼成容器へ一定量充填する際に必要な焼成容器の必要容量が大きくなりすぎて、生産性を著しく低下させる。一方、かさ密度が2.2g/mlを超えると、混合物が密に詰まることで酸素拡散が遅くなり、焼成に必要な時間が延びて生産性を低下させる。
なお、本発明におけるかさ密度は、粉体を容器に軽く充填し、当該容器の内容積を体積としたときの密度、すなわち、ゆるめかさ密度を意味する。
上記ニッケル含有複合水酸化物またはニッケル含有複合酸化物は、公知の方法に基づいて得ることができる。たとえば、ニッケルとコバルトおよび添加元素Mを共沈させることにより、ニッケル含有複合水酸化物を得ることができる。さらに、ニッケル含有複合水酸化物を酸化焙焼することにより、コバルトおよび添加元素Mが酸化ニッケルに固溶しているニッケル含有複合酸化物が得られる。ただし、ニッケル酸化物とその他の添加元素の酸化物を粉砕混合するなどのその他の手段によっても、ニッケル含有複合酸化物を得ることは可能である。
[反応促進温度領域]
上述したように、本発明者は、450℃以上650℃以下の温度範囲である反応促進温度領域において、混合物に酸素を十分に供給することに重要な意義があるとの知見を得ている。すなわち、リチウム化合物の種類にもよるが、焼成工程における、前記反応促進温度領域において、リチウム化合物とニッケル含有複合化合物との間での固相−固相反応、もしくは液相−固相反応が最も顕著に進んでおり、反応促進温度領域において、混合物全体に反応に必要な酸素が十分に行きわたることで、十分反応したリチウムニッケル含有複合酸化物を得ることが可能となる。
たとえば、原料であるリチウム化合物およびニッケル含有複合化合物として、水酸化リチウムおよびニッケル含有複合酸化物を用いた場合、これらの反応は、450℃付近から開始する。また、水酸化リチウムの融点は、480℃付近にあり、水酸化リチウムが溶融しながら、ニッケル含有複合化合物と反応することとなる。450℃以上の温度において、焼成容器の底部にまで十分な酸素拡散が行われない場合、未反応の溶融した水酸化リチウムがセラミック容器と反応してしまい、実質的にニッケル含有複合酸化物と化合する水酸化リチウムの量が不足し、その結果として、生成したリチウムニッケル含有複合酸化物中に、電池反応を阻害する結晶が混入し、正極活物質の電池特性の低下を招くこととなる。
したがって、水酸化リチウムが溶融して十分な反応速度が得られる温度領域、すなわち、450℃以上の温度において、酸素を十分に供給し顕著に反応を進行させることが重要である。
一方、650℃に到達した時点で、まだ未反応の水酸化リチウムとニッケル含有複合酸化物が存在し、かつ、酸素が不足している場合には、下記式(2)の副反応が発生し、生成するリチウムニッケル含有複合酸化物結晶中に、電池反応時にLiイオンの移動を妨げる異相が生じるため、正極活物質の電池特性の劣化を招くことになる。
(数2)
8NiO+2LiOH+1/2O2 → Li2Ni810+H2O (2)
なお、反応促進温度領域においては、反応促進温度領域の範囲にある一定の温度で保持した場合でも、または、450℃から650℃まで一定の速度で昇温させる、もしくは、450℃から650℃まで段階的に昇温させるといったように、反応促進温度領域内で温度を変化させた場合でも、いずれの場合にも同一の効果を得ることは可能である。
[保持時間]
本発明では、前記混合物の温度が450℃以上650℃以下の温度領域に保持される時間を、前記焼成によって得られるリチウムニッケル含有複合酸化物の全金属成分に対するリチウムのモル比であるリチウムメタル比に関して、前記水洗の前後の比[水洗後リチウムメタル比(A)/水洗前リチウムメタル比(B)]が、0.95以上[(A/B)≧0.95]、好ましくは、0.955以上[(A/B)≧0.955]となるように制御する。
[水洗後リチウムメタル比(A)/水洗前リチウムメタル比(B)]が、0.95未満では、上述したように、リチウムが粒子内に十分に固溶することなく、正極活物質の結晶性が高い状態とはならず、リチウムがリチウム化合物としてリチウムニッケル含有複合酸化物の粒子表面に存在することとなる。工業的な生産過程では、焼成工程後の後工程である水洗工程で、この過剰なリチウム化合物は除去され、最終製品としての正極活物質において、反応に寄与するリチウム量が不足し、その結果、二次電池の正極抵抗が大きくなるため、出力特性を向上させることができない。
本発明では、用いられるリチウム化合物およびニッケル含有複合化合物の種類や、焼成容器の大きさや充填量などに応じて、前記水洗の前後の比[水洗後リチウムメタル比(A)/水洗前リチウムメタル比(B)]が、0.95以上[(A/B)≧0.95]となるように、保持時間を予め実験的かつ任意に決定することが可能である。
なお、リチウムメタル比は、たとえば、水洗前後のリチウムニッケル含有複合酸化物を試料として、ICP発光分光分析装置などを用いて、元素分率を計測し、得られた結果から計算値を得るなど、任意の方法により算出することが可能である。
ニッケル含有複合化合物と、リチウム化合物とを混合して得られる混合物、特に、平均粒径が8〜20μmで、かつ、かさ密度が0.5g/ml〜2.2g/mlであるニッケル含有複合化合物と、リチウム化合物とを混合して得られる混合物を、焼成容器に充填して焼成する工程において、前記混合物の温度が前記反応促進温度領域に保持される時間をT(分)とし、前記混合物を焼成容器に入れたときの厚さ(盛り厚み)をtとした場合に、前記保持時間Tを、関係式:T2=1.15tで求められる最小保持時間T2(分)以上(T≧T2)となるようにすることにより、得られた焼成物であるリチウムニッケル含有複合酸化物を水洗したとき、リチウムニッケル複合酸化物を構成する成分のうちの全金属成分に対するリチウムのモル比であるリチウムメタル比に関して、水洗後のリチウムメタル比の水洗前のリチウムメタル比に対する比を0.95以上とすることが可能となる。
なお、前記最小保持時間T2に対する前記保持時間Tの比(T/T2)を、1.05以上とすることが好ましい。これにより、放電容量を維持しつつ、正極抵抗の低い正極活物質が効率的に得られる。ただし、前記保持時間Tが長すぎると、コスト対効果の観点から問題が生じたり、リチウムニッケル含有複合酸化物の凝集が多くなったりするため、前記比(T/T2)が2.0以下となるように保持時間を設定することが好ましい。
ここで、焼成容器内に前記混合物を充填して焼成を行う場合、該混合物の厚さ(盛り厚み)が大きくなるほど、焼成容器の底部すなわち混合物の底の部分まで酸素が拡散することが困難となり、一定の酸素分圧のもとでは、混合物の厚さに応じた酸素拡散のための時間を確保することが必要である。本発明者は、検討の結果、混合物の厚さt(mm)と、酸素拡散に最低限必要とされる保持時間が所定の関係にあるとの知見を実験的に得ている。すなわち、前記混合物の温度が前記反応促進温度領域に保持される時間をT(分)とし、前記混合物を焼成容器に入れたときの厚さ(盛り厚み)をtとした場合に、前記保持時間Tが、関係式:T2=1.15tで求められる最小保持時間T2以上あれば、混合物の厚さに応じた酸素の十分な拡散が達成される。
前記反応促進温度領域における保持時間が、かかる最小保持時間T2を下回ると、混合物の反応性が不十分となり、水洗前後のリチウムメタル比が低下し、リチウムニッケル含有複合酸化物の表面に余剰リチウムが付着し、水洗時にこの余剰リチウムが流され、リチウムのロスとなるとともに、リチウムニッケル含有複合酸化物により構成される正極活物質の電池特性が低下してしまう。したがって、前記反応促進温度領域における保持時間は、要求されるエネルギコストなどとの関係から、最小保持時間T2以上の任意の時間で選択することができる。
このように、上記式:T=1.15tから導かれる最小保持時間T2を下回らない時間で、前記反応促進温度領域を通過させることで、最も生産性が高く、かつ、電池特性を損なわない正極活物質を効率よく生産することが可能となる。
かかる最小保持時間T2は、具体的には、混合物の厚さtが40mmの場合に約46分、50mmの場合に約58分、60mmの場合に約69分、70mmの場合に約81分、80mmの場合に約92分、90mmの場合に約104分、100mmの場合に約115分、および、110mmの場合に約127分である。
なお、上記式:T=1.15tは、上述の通常用いられる焼成容器および通常の充填量の範囲の全体にわたって適用することが可能である。
[酸化性雰囲気および酸素濃度]
焼成工程は、その全体にわたって酸素を含む雰囲気(大気、酸素ガスなど)で行われる。リチウム化合物とニッケル含有複合化合との反応は、基本的に酸素を必要とする反応であるから、焼成炉内の酸素濃度は高い方が好ましいことはいうまでもない。通常、焼成炉内の酸素濃度は20容量%以上、好ましくは、60容量%以上、より好ましくは70容量%以上となるように調整される。
本発明では、好ましくは、特に反応が最も顕著に進む450℃以上650℃以下の温度範囲である反応促進温度領域において、焼成炉内の酸素濃度を60容量%以上、より好ましくは70容量%以上、さらに好ましくは80容量%以上となるようにする。この際の焼成炉内の酸素濃度が60容量%未満では、上記式:T2=1.15tから導かれる最小保持時間T2を上回って、前記反応促進温度領域での保持時間Tを確保した場合でも、焼成容器の底の部分まで酸素が十分に拡散しない可能性があり、十分に拡散しなかった場合には、焼成物に異相が生じ、正極活物質の電池特性の悪化を招く可能性がある。最小保持時間T2において、焼成容器の底の部分まで酸素を十分かつ確実に拡散させる観点からは、酸素濃度を70容量%以上とすることが好ましい。なお、焼成によって得られるリチウムニッケル含有複合酸化物中の全遷移金属の原子数に対するニッケルの原子数の比が0.85以上となる組成においては、反応促進温度領域において、焼成炉内の酸素濃度を70容量%以上、好ましくは80容量%以上とする。リチウムニッケル含有複合酸化物中の全遷移金属の原子数に対するニッケルの原子数の比(ニッケルの原子数/全遷移金属の原子数)が0.85以上の場合、特に酸素の拡散の影響が大きく、酸素濃度が70容量%未満では、リチウムの十分な拡散を達成できない。
[焼成工程の最高温度および結晶育成温度領域での保持時間]
反応促進温度領域において、上記式:T2=1.15tで導かれる最小保持時間T2以上の時間で反応させれば、基本的な反応は完了して、リチウムニッケル含有複合酸化物が得られる。しかしながら、リチウムニッケル含有複合酸化物の合成において、正極活物質としての十分な結晶性と高い電池特性を達成するためには、焼成工程において到達する最高温度を650℃以上775℃以下とすることが好ましく、650℃以上770℃以下とすることがより好ましい。また、650℃以上最高温度以下の温度範囲である結晶育成温度領域での混合物の保持時間は2時間以上5時間以下であることが好ましく、さらに、前記混合物が前記最高温度に保持される時間を2時間以上5時間以下とすることが好ましい。なお、結晶育成温度領域においては、結晶育成温度領域にある一定の温度、すなわち、最高温度で保持することもできるし、または、650℃から775℃以下の任意の温度まで一定の速度で昇温させる、もしくは、650℃から775℃以下の任意の温度まで段階的に昇温させるなどのように、結晶育成温度領域内で温度を変化させることもできる。あるいは、結晶育成温度領域内で、最高温度まで昇温させた後、該最高温度から(650℃以上の範囲で)前記混合物の温度を低下させることもできる。
最高温度が650℃未満の場合、または、最高温度が650℃以上でも、結晶育成温度領域における保持時間が2時間未満の場合では、得られたリチウムニッケル含有複合酸化物の結晶性が十分とならない場合があり、一方、最高温度が775℃を超えると、生成したリチウムニッケル含有複合酸化物が分解を開始し、層状構造が乱れて、その電池特性を悪化させてしまう場合がある。なお、結晶育成温度領域での混合物の保持時間が、4時間を超えると、層状構造の乱れが生じることがある。また、生産性を考慮すると、結晶育成温度領域での保持時間は、5時間以下とすることが好ましい。
なお、焼成によって得られるリチウムニッケル含有複合酸化物中の全遷移金属の原子数に対するニッケルの原子数の比が0.85以上となる組成においては、最高温度が760℃を超えると、生成したリチウムニッケル含有複合酸化物が分解を開始し、その層状構造が乱れて、焼成工程後の正極活物質を用いて二次電池を構成した場合に、電池特性を悪化させてしまう場合があり、また、結晶構造中のリチウムサイトに遷移金属元素が混入するカチオンミキシングが起こりやすくなり、二次電池の電池特性を悪化させてしまう場合がある。一方、前記組成においては、最高温度が700℃未満の場合、得られたリチウムニッケル含有複合酸化物の結晶性が十分とならない場合がある。よって、特に前記組成においては、焼成工程において到達する最高温度を700℃以上760℃以下とし、かつ、700℃以上760℃以下の温度範囲での混合物の保持時間を2時間以上5時間以下とすることが好ましい。
[焼成時間]
ある程度以上長い時間をかけて合成すれば、十分な結晶性を維持し、かつ、電池特性を損なうことなく、リチウムニッケル含有複合酸化物を合成することが可能であるが、工業的な生産性を考慮した場合、無駄に焼成時間を長くすることは好ましくない。したがって、混合物の入った焼成容器が焼成用の炉に入ってから出てくるまで、すなわち、加熱開始から最高温度への到達および結晶育成温度領域での保持を経由して冷却が完了するまでの工程全体の時間は、24時間以下とすることが好ましい。
なお、リチウム化合物として、水酸化リチウムの水和物を用いた場合、温度を急激に上昇させると、焼成容器内の混合物の温度が不均一となり、反応も均一にならない場合があるため、このような急激な温度の上昇を避ける観点から、加熱開始から結晶育成温度領域での保持を完了するまでの焼成時間として12時間以上とすることが好ましい。一方、リチウム化合物として、水酸化リチウムの無水和物を用いることにより、加熱開始から結晶育成温度領域での保持を完了するまでの焼成時間を、12時間以下とすることができる。
[水洗工程]
本発明の製造方法においては、焼成によって得られたリチウムニッケル含有複合酸化物を水洗することで、リチウムニッケル含有複合酸化物の粒子表面に存在する余剰のリチウムを除去し、高容量で安全性が高い非水系電解質二次電池用正極活物質を得ている。水洗方法としては、公知の技術を用いることができる。
たとえば、水洗する際のスラリー濃度として、好ましくは、質量比で水1に対してリチウムニッケル含有複合酸化物を0.5〜2投入し、リチウムニッケル含有複合酸化物の粒子表面に存在する余剰のリチウムが十分に除去されるまで撹拌した後、固液分離して乾燥すればよい。
スラリー濃度が質量比で2を超えると、粘度も非常に高いため攪拌が困難となるばかりか、液中のアルカリが高いので平衡の関係から付着物の溶解速度が遅くなったり、剥離が起きても粉末からの分離が難しくなったりすることがある。一方、スラリー濃度が質量比で0.5未満では、希薄過ぎるためリチウムの溶出量が多く、正極活物質の結晶格子中からのリチウムの脱離も起きるようになり、結晶構造が崩れやすくなるばかりか、高pHの水溶液が大気中の炭酸ガスを吸収して、炭酸リチウムが再析出してしまう。
また、水洗する際のスラリー温度については、10℃〜40℃の範囲にすることが好ましい。スラリー温度が10℃未満であると、洗浄不十分のために、前記焼成粉末表面に付着している不純物が除去されずに多く残留し、電池の正極に用いた際に十分な出力特性が得られないことがある。一方、スラリー温度が40℃を超えると、焼成粉末からのリチウムが過剰に溶出して、電池容量や出力特性が低下することがある。
上記水洗に使用する水は、特に限定されるものではないが、電気伝導率測定で10μS/cm未満の水が好ましく、1μS/cm以下の水がより好ましい。すなわち、電気伝導率測定で10μS/cm未満の水を使用することにより、正極活物質への不純物の付着による電池性能の低下を防止することが可能となる。
上記スラリーの固液分離時の粒子表面に残存する付着水は少ないことが好ましい。付着水が多いと、液中に溶解したリチウムが再析出し、乾燥後のリチウムニッケル含有複合酸化物の粉末表面に存在するリチウム量が増加する。固液分離には、通常に用いられる遠心機、フィルタープレスなどを用いることができる。
乾燥温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは80℃〜550℃の範囲、さらに好ましくは120℃〜350℃の範囲である。乾燥温度を80℃以上とするのは、水洗後の正極活物質を素早く乾燥し、粒子表面と粒子内部とでリチウム濃度の勾配が起こることを防ぐためである。一方、正極活物質の表面付近では化学量論比にきわめて近いか、もしくは若干リチウムが脱離して充電状態に近い状態になっていることが予想されるので、550℃を超える温度では、充電状態に近い粉末の結晶構造が崩れる契機になり、電気特性の低下を招くおそれがある。さらに、生産性および熱エネルギコストをも考慮すると、乾燥温度は、120℃〜350℃の範囲とすることがより好ましい。
なお、乾燥方法としては、濾過後の粉末を、炭素および硫黄を含む化合物成分を含有しないガス雰囲気下、または真空雰囲気下に制御できる乾燥機を用いて、所定の温度で行なうことが好ましい。
2.リチウムニッケル含有複合酸化物
本発明は、さまざまなリチウムニッケル含有複合酸化物から構成される、非水系電解質二次電池用の正極活物質の工業的な製造に適用することが可能であるが、特に、一般式:LixNi1-y-zM1yM2z2(ただし、0.90≦x≦1.10、0.03≦y≦0.35、0.005≦z≦0.15、M1は、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種の添加元素であり、M2は、AlおよびTiの群から選択される少なくとも1種の添加元素である)の組成で表される、リチウムニッケル含有複合酸化物に、本発明は好適に適用される。また特に、前記一般式において、0.05≦y≦0.10、0.005≦z≦0.10、かつ、y+z≦0.15である、リチウムニッケル含有複合酸化物は、正極活物質として用いた場合、高容量かつ高出力の非水系電解質二次電池を製造することが可能であり、正極活物質として適している。
[粒子構造]
本発明では、得られる正極活物質の構造については制限されず、複数の一次粒子および/または、複数の一次粒子が凝集して形成された複数の二次粒子から構成されることができる。なお、本発明では、二次粒子の構造についても任意であり、中実構造のみならず、中空構造や多孔質構造などのいずれの構造についても、本発明を適用することが可能である。
なお、粒子形状や大きさについても任意であるが、全体が実質的に略球状(球形や楕円形を含む)で、かつ、小粒径で粒度分布が狭い、一次粒子および/または二次粒子により構成されるリチウム遷移金属含有複合酸化物からなることが好ましい。
本発明により得られる正極活物質を構成する一次粒子および/または二次粒子の平均粒径は、好ましくは3μm〜20μm、より好ましくは7μm〜15μmである。正極活物質の平均粒径がこのような範囲にあれば、この正極活物質を用いた二次電池の単位体積あたりの電池容量を増加させることができるばかりでなく、安全性や出力特性も改善することができる。これに対して、平均粒径が3μm未満のときは、正極活物質の充填性が低下し、単位体積あたりの電池容量を増加させることができない。一方、平均粒径が20μmより大きくなると、電解液との接触界面が減少し、正極活物質の反応面積が低下するため、出力特性を向上させることが困難となる。
なお、正極活物質の平均粒径は、上記の複合水酸化物の場合と同様に、体積基準平均粒径(MV)を意味し、レーザ光回折散乱式粒度分析計により求めることができる。
また、本発明により得られる正極活物質の粒度分布の広がりを示す指標である[(d90−d10)/平均粒径]の値は、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下であり、本発明の正極活物質は、きわめて粒度分布が狭い粉体により構成される。このような正極活物質は、微細粒子や粗大粒子の割合が少なく、高い充填性が得られ、これを用いた二次電池は、安全性、サイクル特性、および出力特性がともに優れたものとなる。
これに対して、[(d90−d10)/平均粒径]の値が1.2を超えると、正極活物質中の微細粒子や粗大粒子の割合が増加する。たとえば、微細粒子の割合が多い正極活物質を用いた二次電池では、微細粒子の局所的な反応に起因して、二次電池が発熱しやすくなり、安全性が低下するばかりでなく、微細粒子の選択的な劣化により、サイクル特性が劣ったものとなる。また、粗大粒子の割合が多い正極活物質を用いた二次電池では、電解液と正極活物質の反応面積を十分に確保することができず、出力特性が劣ったものとなる。
一方、工業規模の生産を考慮した場合には、前駆体として、[(d90−d10)/平均粒径]の値が過度に小さい粉体状態の複合水酸化物を作製することは、収率、生産性、または生産コストの観点から現実的ではない。また、正極活物質の充填性が低下する問題が生じることがある。したがって、正極活物質の[(d90−d10)/平均粒径]の下限値を、0.7程度とすることが好ましい。
なお、正極活物質における、粒度分布の広がりを示す指標[(d90−d10)/平均粒径]におけるd10およびd90の意味、ならびに、これらの求め方は、上記の複合水酸化物と同様である。
ここで、d10とは、粉体試料の、各粒径における粒子数を粒径の小さな側から累積し、その累積体積が全粒子の合計体積の10%となる粒径を意味し、d90は、同様の手法で粒子数を累積したときに、その累積体積が全粒子の合計体積の90%となる粒径を意味する。d10およびd90は、複合水酸化物の平均粒径と同様に、レーザ光回折散乱式粒度分析計で測定した体積積算値から求めることができる。
[組成]
上述のように、本発明は、リチウムニッケル含有複合酸化物から構成される非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法に広く適用されるが、特に、一般式:LixNi1-y-zM1yM2z2(ただし、0.90≦x≦1.10、0.03≦y≦0.35、0.005≦z≦0.15、M1は、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種の添加元素であり、M2は、AlおよびTiの群から選択される少なくとも1種の添加元素である)の組成で表される、リチウムニッケル含有複合酸化物に、本発明は好適に適用される。さらに、本発明は、ニッケル含有量の高い、前記一般式において、0.05≦y≦0.10、0.005≦z≦0.10、かつ、y+z≦0.15であるリチウムニッケル含有複合酸化物に好適に適用される。このようなニッケル含有量の高い組成のリチウムニッケル含有複合酸化物を非水電解質二次電池用正極活物質として用いた場合、より高容量かつ高出力の非水系電解質二次電池を製造することが可能となる。
この正極活物質において、リチウム(Li)の過剰量を示すxの値は、好ましくは0.90以上1.10以下、より好ましくは0.95以上1.07以下である。xの値を上記範囲内に設定することにより、この正極活物質を正極材料として用いた二次電池の出力特性および電池容量を向上させることができる。これに対して、xの値が0.90未満のときは、二次電池の正極抵抗が大きくなるため、出力特性を向上させることができない。一方、1.10より大きなときは、初期放電容量が低下するばかりでなく、正極抵抗も大きくなってしまう。
ニッケル(Ni)は、二次電池の高電位化および高容量化に寄与する元素であり、その含有量を示す(1−y−z)の値は、好ましくは0.5以上0.965以下、より好ましくは0.85以上0.945以下である。ニッケルの含有量を示す(1−y−z)の値が0.5未満では、この正極活物質を用いた二次電の電池容量を向上させることができない。一方、xの値が0.965を超えると、他の金属元素の含有量が減少し、その効果を得ることができない。さらに、ニッケルの含有量を示す(1−y−z)の値が0.85以上0.945以下とすれば、この正極活物質を用いた二次電の電池容量の向上と他の金属元素の添加効果とを高レベルで両立することができる。
コバルト(Co)は、充放電サイクル特性の向上に寄与する元素であり、マンガン(Mn)は、熱安定性の向上に寄与する添加元素である。これらの含有量を示すyの値は、好ましくは0.03以上0.35以下、より好ましくは0.04以上0.20以下、さらに好ましくは0.05以上0.10以下である。yの値が0.35を超えると、正極活物質を用いた二次電池の初期放電容量が大幅に低下してたり、サイクル特性が低下したりしてしまう。
本発明で得られる正極活物質は、二次電池の熱安定性、耐久性や出力特性をさらに向上させるため、ニッケル、並びに、コバルトおよび/またはマンガンに加えて、添加元素M2を含有してもよい。添加元素M2としては、アルミニウム(Al)、およびチタン(Ti)から選択される1種以上を用いることができる。
添加元素M2の含有量を示すzの値は、好ましくは0.005以上0.15以下、より好ましくは0.01以上0.05以下、さらに好ましくは0.005以上0.05以下とする。zの値が0.15を超えると、Redox反応に寄与する金属元素が減少するため、電池容量が低下する。
このような添加元素M2は、正極活物質の粒子内部に均一に分散させてもよく、正極活物質の粒子表面を被覆させてもよい。さらには、粒子内部に均一に分散させた上で、その表面を被覆させてもよい。いずれにしても、添加元素M2の含有量が上記範囲となるように制御することが必要となる。
3.非水系電解質二次電池
本発明の製造方法により得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を、非水系電解質二次電池の正極に用いることにより、高容量で安全性の高い非水系電解質二次電池が得られる。
より具体的には、本発明の製造方法により得られた正極活物質に、導電材および結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭や、粘度調整などの溶剤を添加し、これらを混練して正極合材ペーストを作製する 得られた正極合材ペーストを、たとえば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じて、電極密度を高めるべく、ロールプレスなどにより加圧することもできる。このようにして、シート状の正極を作製する。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断などを施され、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極の作製にあたって、導電剤としては、たとえば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など)や、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料などを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
なお、必要に応じて、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
負極には、金属リチウムやリチウム合金など、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂などの有機化合物焼成体、コークスなどの炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様に、PVDFなどの含フッ素樹脂などを用いることができ、これらの負極活物質および結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を用いることができる。
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネート、
ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物、
エチルメチルスルホン、ブタンスルトンなどの硫黄化合物、
リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのリン化合物、
などから選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3
SO22など、およびそれらの複合塩を用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤、難燃剤などを含んでいてもよい。
以上のように説明してきた、本発明を適用することにより得られた、正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される非水系電解質二次電池の形状は、円筒型、積層型など、種々のものを採用することができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リードなどを用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
本発明の正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、高容量で高出力となる。特により好ましい形態で得られた、本発明による正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、たとえば、2032型コイン電池の正極に用いた場合、200mAh/g以上の高い初期放電容量と低い正極抵抗が得られ、さらに高容量で高出力である。また、熱安定性が高く、安全性においても優れているといえる。
なお、本発明における正極抵抗の測定方法を例示すれば、次のようになる。電気化学的評価手法として一般的な交流インピーダンス法にて電池反応の周波数依存性について測定を行うと、溶液抵抗、負極抵抗と負極容量、および正極抵抗と正極容量に基づくナイキスト線図が図1のように得られる。
電極における電池反応は、電荷移動に伴う抵抗成分と電気二重層による容量成分とからなり、これらを電気回路で表すと抵抗と容量の並列回路となり、電池全体としては溶液抵抗と負極、正極の並列回路を直列に接続した等価回路で表される。この等価回路を用いて測定したナイキスト線図に対してフィッティング計算を行い、各抵抗成分、容量成分を見積もることができる。正極抵抗は、得られるナイキスト線図の低周波数側の半円の直径と等しい。
以上のことから、作製される正極について、交流インピーダンス測定を行い、得られたナイキスト線図に対し等価回路でフィッティング計算することで、正極抵抗を見積もることができる。
以下、本発明の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
リチウム化合物として、市販の水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)を、真空乾燥で無水化処理を施すことにより得られた水酸化リチウムの無水和物を用い、また、ニッケル含有複合化合物として、ニッケルとコバルトとアルミニウムがモル比で82:15:3の割合で固溶してなるニッケル含有複合酸化物(Ni0.82Co0.15Al0.032)を用い、正極活物質を合成するために、水酸化リチウムの無水和物とニッケル含有複合酸化物とを、リチウムとリチウム以外の金属とのモル比が1.030:1.000となるように秤量した後、十分に混合した。なお、ニッケル含有複合酸化物の平均粒径は14μmで、かさ密度は1.1g/mlであった。
得られた混合物を、内寸が280mm(L)×280mm(W)×90mm(H)のセラミック製の焼成容器に、該混合物の厚さ(盛り厚み)が45mmとなるように装入し、これを連続式の焼成炉であるローラハースキルンを用いて、酸素濃度60容量%の雰囲気中で、450℃から650℃までを、一定の昇温速度で79分かけて昇温し(約2.5℃/分)、その後、焼成工程での最高温度である765℃まで、約3.8℃/分の昇温速度で30分かけて昇温し、該最高温度(765℃)で220分保持し、650℃まで30分かけて冷却する、温度パターンにより、焼成を行った。すなわち、本例では、焼成工程において、混合物が650℃以上(765℃以下)の温度範囲に保持される時間は、280分であった。また、混合物が焼成炉に入ってから出るまでに要した時間は、11.2時間であった。
混合物を焼成容器に入れたときの厚さt(mm)から、関係式:T2=1.15tにより求められる最小保持時間T2は約50分であるので、本例では、450℃以上650℃以下の温度範囲である反応促進温度領域に保持される時間Tは、前記最小保持時間T2以上(T≧T2)になっている。
得られた焼成物を、質量比で水1に対し1.5となるように、20℃の純水に投入してスラリーとし、30分間の撹拌後、濾過、乾燥して正極活物質を得た。
水洗前後のリチウムニッケル複合酸化物を試料として、ICP発光分光分析装置(株式会社島津製作所製、ICPE−9000)を用いて元素分率を計測し、水洗前後のリチウムメタル比を求めた。得られた焼成物のリチウムメタル比は1.029であり、水洗後の正極活物質のリチウムメタル比は0.989であった。水洗前後の比は0.961であり、0.95を上回るため、焼成の状態は良好で、リチウムのロスも少ないリチウムニッケル含有複合酸化物により構成される正極活物質が得られたと評価することができる。
本発明により得られた正極活物質を用いた正極を有する二次電池について、その性能(初期放電容量、正極抵抗)を測定した。正極活物質の評価には、図2に示す2032型コイン電池1を使用した。
具体的には、上記で得た正極活物質:52.5mgと、アセチレンブラック:15mgと、PTEE:7.5mgを混合し、100MPaの圧力で、直径11mm、厚さ100μmにプレス成形した後、真空乾燥機中、120℃で12時間乾燥することにより、正極(3a)を作製した。
次に、この正極(3a)を用いて、図2に示す構造の2032型コイン電池を、露点が−80℃に管理されたアルゴン(Ar)雰囲気のグローブボックス内で作製した。この2032型コイン電池の負極(3b)には、直径17mm、厚さ1mmのリチウム金属を用い、電解液には、1MのLiClOを支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。また、セパレータ(3c)には、膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。なお、2032型コイン電池は、ガスケット(2c)を有し、正極缶(2a)と負極缶(2b)とでコイン状の電池に組み立てられたものであった。
2032型コイン電池を作製してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cmとして、カットオフ電圧が4.3Vとなるまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧が3.0Vになるまで放電したときの放電容量を測定する充放電試験を行ない、初期放電容量を求めた。この結果、初期放電容量は、201mAh/gであった。なお、初期放電容量の測定には、マルチチャンネル電圧/電流発生器(株式会社アドバンテスト製、R6741A)を用いた。
また、充電電位4.1Vで充電した2032型コイン電池を用いて、交流インピーダンス法により抵抗値を測定した。測定には、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製)を使用し、図1に示すナイキストプロットを得た。プロットは、溶液抵抗、負極抵抗と容量、および、正極抵抗と容量を示す特性曲線の和として表れているため、等価回路を用いてフィッティング計算し、正極抵抗の値を算出した。その結果、実施例1では、正極抵抗の値が十分に低い従来品と同様の低い正極抵抗値が得られた。なお、実施例1〜6、および、比較例1および2において、正極抵抗の値は、実施例1の測定値を1として相対値(正極抵抗比)で評価した。
本例では、反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=79分>T2=52分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗も十分に低くなっていたと評価できる。
混合物の反応促進温度領域での保持時間T、最小保持時間T2、および水洗前後のリチウムメタル比の比、電池特性(放電容量および実施例1を基準とする正極抵抗比)の評価について、表1に示す。また、混合物の盛り厚みに対する反応促進温度領域での保持時間の比と、水洗前後のリチウムメタル比、および、正極活物質の反応抵抗比(正極抵抗比)との関係をそれぞれ、図3および図4に示す。この点は、以下の実施例2〜16、および、比較例1〜3についても同様である。
(実施例2)
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域における保持時間を170分(昇温速度:約1.18℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=170分>T2=104分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.3と十分に低い値であった。
(実施例3)
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが85mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域における保持時間Tを162分(昇温速度:約1.23℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の450℃以上650℃以下の温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=162分>T2=98分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.1と十分に低い値であった。
(実施例4)
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが75mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを114分(昇温速度:約1.75℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=114分>T2=86分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.4と十分に低い値であった。
(実施例5)
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域内の450℃から645℃までを、一定の昇温速度で170分かけて昇温した(約1.14℃/分)こと、焼成工程での最高温度を645度とし、該最高温度で220分保持したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、その評価を行った。この結果を、表1、図3および図4に示す。なお、得られた正極活物質は、高い初期放電容量と低い正極抵抗を示すものの、焼成最高温度が645℃であり、好適範囲の下限値よりも低かったため、実施例1〜4に比べてやや反応が進行しにくく、水洗時のリチウムのロスがやや大きく、リチウムメタル比の水洗前後比が低く、かつ、正極抵抗比も1.5とやや高い値であった。
(実施例6)
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを170分(昇温速度:約1.18℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を735℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約2.8℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長く(T=170分>T2=104分)、焼成最高温度が735℃と好適範囲内であったため、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.2と十分に低い値であった。
(実施例7)
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを170分(昇温速度:約1.18℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を785℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約4.5℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、650℃以上(785℃以下)の温度範囲での保持時間は280分であった。得られた正極活物質は、高い初期放電容量と低い正極抵抗を示すものの、焼成最高温度が785℃であり、好適範囲の上限値よりも高かったため、反応が十分に進行しているが結晶構造の分解が進み、正極抵抗比が1.6とやや高い値であった。
(実施例8)
水酸化リチウムの無水和物と、ニッケルとコバルトとアルミニウムがモル比で88:9:3の割合で固溶してなるニッケル含有複合酸化物(Ni0.88Co0.09Al0.032)とを用いたこと、混合物の厚さが90mmとなるように焼成容器に装入したこと、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.82℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(765℃以下)の温度範囲での保持時間は250分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長かったため(T=110分>T2=104分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.0と十分に低い値であった。
(実施例9)
実施例8と同組成の混合物を、該混合物の厚さが80mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを126分(昇温速度:約1.59℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=126分>T2=92分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.4と十分に低い値であった。
(実施例10)
水酸化リチウムの無水和物と、ニッケルとコバルトとアルミニウムがモル比で91:6:3の割合で固溶してなるニッケル含有複合酸化物(Ni0.91Co0.06Al0.032)とを用いたこと、混合物の厚さが90mmとなるように焼成容器に装入したこと、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.82℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=110分>T2=104分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.3と十分に低い値であった。
(実施例11)
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが80mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを126分(昇温速度:約1.59℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=126分>T2=92分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.4と十分に低い値であった。
(実施例12)
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を750℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約3.3℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(750℃以下)の温度範囲での保持時間は250分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長く(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が750℃であり、前記組成における好適範囲内であったため、前記組成での反応が十分に進行し、かつ、結晶構造の分解が抑えられたため、初期放電容量が高く、正極抵抗比が1.0と低い値であった。
(実施例13)
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を720℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約2.3℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(720℃以下)の温度範囲での保持時間は240分であった。混合物の450℃以上650℃以下の温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長く(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が720℃であり、前記組成における好適範囲内であったため、前記組成での反応が十分に進行し、かつ、結晶構造の分解が抑えられたため、初期放電容量が高く、正極抵抗比が1.1と低い値であった。
(実施例14)
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程で保持する最高温度を695℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約1.5℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長かったが(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が695℃であり、前記組成における好適範囲の下限値よりも低かったため、前記組成での反応が十分に進行せず、初期放電容量が実施例12および13に比べて低くなった。
(実施例15)
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を750℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約3.3℃/分)こと、焼成工程における雰囲気ガスの酸素濃度を75容量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(750℃以下)の温度範囲での保持時間は250分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長かったが(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が750℃であり、前記組成における好適範囲内であり、かつ、酸素濃度も高かったため、前記組成での反応が十分に進行し、かつ結晶構造の分解が抑えられたため、初期放電容量が214mAh/gと全実施例中最も高く、正極抵抗比が1.0と低い値であった。
(実施例16)
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程で保持する最高温度を720℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約2.3℃/分)こと、焼成工程における雰囲気ガスの酸素濃度を75容量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(720℃以下)の温度範囲での保持時間は240分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長かったが(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が720℃であり、前記組成における好適範囲内であり、かつ、酸素濃度も高かったため、前記組成での反応が十分に進行し、かつ結晶構造の分解が抑えられたため、初期放電容量が212mAh/gと高く、正極抵抗比が1.1と低い値であった。
(比較例1)
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを79分(昇温速度:約2.53℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2よりも短かったため(T=79分>T2=104分)、反応が十分に進行せず、水洗時のリチウムのロスが大きく、リチウムメタル比の水洗前後比が小さく、かつ、正極抵抗比も1.6と高い値であった。
(比較例2)
実施例8と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを100分(昇温速度:約2.00℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(765℃以下)の温度範囲での保持時間は250分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2よりも短かったため(T=100分>T2=104分)、反応が十分に進行せず、水洗時のリチウムのロスが大きく、リチウムメタル比の水洗前後比が小さく、かつ、正極抵抗比も2.3と高い値であった。
(比較例3)
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを79分(昇温速度:約2.53℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(765℃以下)の温度範囲での保持時間は240分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2よりも短かったため(T=79分>T2=104分)、反応が十分に進行せず、水洗時のリチウムのロスが大きく、リチウムメタル比の水洗前後比が小さく、かつ、正極抵抗比も2.4と高い値であった。
Figure 0006911644
本発明により、量産性に優れていながら、常に水洗前後のリチウムメタル比が高く、よってリチウムロスが少ない非水系電解質二次電池用正極活物質が得られる。この正極活物質を正極に用いることにより、リチウムイオン二次電池からなる非水系電解質二次電池の低コスト化が図られ、エコカーの車載用電源としてのリチウムイオン二次電池の普及に、本発明は大いに寄与するものである。なお、エコカーの車載用電源には、純粋に電気エネルギで駆動する電気自動車用の電源のみならず、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどの燃焼機関と併用する、いわゆるハイブリッド車用の電源なども含まれる。
1 コイン型電池
2 ケース
2a 正極缶
2b 負極缶
2c ガスケット
3 電極
3a 正極
3b 負極
3c セパレータ

Claims (11)

  1. リチウムニッケル含有複合酸化物から構成される非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    リチウム化合物とニッケル含有複合化合物とを混合して得られる混合物を、焼成容器に充填し、酸化性雰囲気中で焼成し、および、水洗する工程を備え、
    前記焼成工程において、前記混合物の温度が、450℃以上650℃以下の温度範囲である反応促進温度領域に保持される時間T(分)を、前記混合物を前記焼成容器に入れたときの厚さt(mm)とした場合に、関係式:T2=1.15tで求められる最小保持時間T2(分)以上であって、かつ、前記最小保持時間T2に対する前記保持時間Tの比が1.05以上2.00以下となるように設定して、
    前記焼成によって得られるリチウムニッケル含有複合酸化物の全金属成分に対するリチウムのモル比であるリチウムメタル比に関して、前記水洗後のリチウムメタル比の前記水洗前のリチウムメタル比に対する比が0.95以上となるように制御する、
    非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. 前記焼成工程のうち、少なくとも前記反応促進温度領域における前記酸化性雰囲気の酸素濃度が60容量%以上である、請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. 前記焼成工程において、前記混合物の到達する最高温度を650℃以上775℃以下とし、かつ、前記混合物が650℃以上前記最高温度以下の温度範囲に保持される時間を2時間以上5時間以下とする、請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 前記焼成工程における、前記混合物の加熱開始から冷却完了までの時間を24時間以内とする、請求項1〜のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 前記ニッケル含有複合化合物の平均粒径が、3μm〜20μmの範囲にある、請求項1〜のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 前記ニッケル含有複合化合物のかさ密度が、0.5g/ml〜2.2g/mlの範囲にある、請求項1〜のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記ニッケル含有複合化合物として、ニッケル含有複合酸化物またはニッケル含有複合水酸化物を用いる、請求項1〜のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 前記リチウム化合物として、水酸化リチウムの無水和物または水和物を用いる、請求項1〜のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式:LixNi1-y-zM1yM2z2(ただし、0.90≦x≦1.10、0.03≦y≦0.35、0.005≦z≦0.15、M1は、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種の添加元素であり、M2は、AlおよびTiの群から選択される少なくとも1種の添加元素である)で表されるリチウムニッケル複合水酸化物からなる、請求項1〜のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 前記一般式において、0.05≦y≦0.10、0.005≦z≦0.10、かつ、y+z≦0.15であり、前記焼成工程のうち、少なくとも前記反応促進温度領域における前記酸化性雰囲気の酸素濃度が70容量%以上である、請求項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  11. 前記焼成工程において、前記混合物の到達する最高温度を700℃以上760℃以下とし、かつ、前記混合物が700℃以上760℃以下の温度範囲に保持される時間を2時間以上5時間以下とする、請求項10に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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