JP6911644B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法、具体的には、リチウムニッケル含有複合酸化物から構成される非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法に関する。本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、主として、リチウム化合物とニッケル含有複合化合物とを混合して得られる混合物を、焼成容器に充填する工程、該充填後の前記混合物を酸化性雰囲気中で焼成する工程、および、前記焼成後に得られた焼成物、すなわち、リチウムニッケル含有複合酸化物を水洗する工程を備える。
2NiO+2LiOH+1/2O2 → 2LiNiO2+H2O (1)
混合物の原料として用いられるリチウム化合物としては、特に限定されることはなく、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウムなどを用いることができるが、本発明においては、より融点の低い、水酸化リチウムあるいは炭酸リチウムを用いることが好ましく、融点が480℃付近にある水酸化リチウムの無水和物または水酸化リチウムの水和物が、ニッケル含有複合酸化物との反応を考慮するとより好ましい。さらに、生産性を考慮すると、水酸化リチウムの無水和物を使用することが特に好ましい。水酸化リチウムが均等に溶融し、ニッケル含有複合酸化物と固液反応することでより、均一に反応が進むからである。
また、混合物の原料として用いるニッケル含有複合化合物も、特に限定されることはないが、ニッケル含有複合水酸化物またはニッケル含有複合酸化物が、反応中に水以外の副反応物を生成しないという観点から好ましい。
ニッケル(NiCo3)、硫酸ニッケル(NiSO4)、硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)などのニッケル塩を広く用いることはできるが、正極活物質に残留する不純物の低減という観点から、水酸化ニッケルを用いることが好ましい。また、ニッケル含有複合化合物には、これらのニッケル化合物のほか、任意の添加元素Mが添加されたものも含まれる。添加元素Mとしては、これらに限定されないが、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)などを挙げることができる。
上述したように、本発明者は、450℃以上650℃以下の温度範囲である反応促進温度領域において、混合物に酸素を十分に供給することに重要な意義があるとの知見を得ている。すなわち、リチウム化合物の種類にもよるが、焼成工程における、前記反応促進温度領域において、リチウム化合物とニッケル含有複合化合物との間での固相−固相反応、もしくは液相−固相反応が最も顕著に進んでおり、反応促進温度領域において、混合物全体に反応に必要な酸素が十分に行きわたることで、十分反応したリチウムニッケル含有複合酸化物を得ることが可能となる。
8NiO+2LiOH+1/2O2 → Li2Ni8O10+H2O (2)
本発明では、前記混合物の温度が450℃以上650℃以下の温度領域に保持される時間を、前記焼成によって得られるリチウムニッケル含有複合酸化物の全金属成分に対するリチウムのモル比であるリチウムメタル比に関して、前記水洗の前後の比[水洗後リチウムメタル比(A)/水洗前リチウムメタル比(B)]が、0.95以上[(A/B)≧0.95]、好ましくは、0.955以上[(A/B)≧0.955]となるように制御する。
焼成工程は、その全体にわたって酸素を含む雰囲気(大気、酸素ガスなど)で行われる。リチウム化合物とニッケル含有複合化合との反応は、基本的に酸素を必要とする反応であるから、焼成炉内の酸素濃度は高い方が好ましいことはいうまでもない。通常、焼成炉内の酸素濃度は20容量%以上、好ましくは、60容量%以上、より好ましくは70容量%以上となるように調整される。
反応促進温度領域において、上記式:T2=1.15tで導かれる最小保持時間T2以上の時間で反応させれば、基本的な反応は完了して、リチウムニッケル含有複合酸化物が得られる。しかしながら、リチウムニッケル含有複合酸化物の合成において、正極活物質としての十分な結晶性と高い電池特性を達成するためには、焼成工程において到達する最高温度を650℃以上775℃以下とすることが好ましく、650℃以上770℃以下とすることがより好ましい。また、650℃以上最高温度以下の温度範囲である結晶育成温度領域での混合物の保持時間は2時間以上5時間以下であることが好ましく、さらに、前記混合物が前記最高温度に保持される時間を2時間以上5時間以下とすることが好ましい。なお、結晶育成温度領域においては、結晶育成温度領域にある一定の温度、すなわち、最高温度で保持することもできるし、または、650℃から775℃以下の任意の温度まで一定の速度で昇温させる、もしくは、650℃から775℃以下の任意の温度まで段階的に昇温させるなどのように、結晶育成温度領域内で温度を変化させることもできる。あるいは、結晶育成温度領域内で、最高温度まで昇温させた後、該最高温度から(650℃以上の範囲で)前記混合物の温度を低下させることもできる。
ある程度以上長い時間をかけて合成すれば、十分な結晶性を維持し、かつ、電池特性を損なうことなく、リチウムニッケル含有複合酸化物を合成することが可能であるが、工業的な生産性を考慮した場合、無駄に焼成時間を長くすることは好ましくない。したがって、混合物の入った焼成容器が焼成用の炉に入ってから出てくるまで、すなわち、加熱開始から最高温度への到達および結晶育成温度領域での保持を経由して冷却が完了するまでの工程全体の時間は、24時間以下とすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、焼成によって得られたリチウムニッケル含有複合酸化物を水洗することで、リチウムニッケル含有複合酸化物の粒子表面に存在する余剰のリチウムを除去し、高容量で安全性が高い非水系電解質二次電池用正極活物質を得ている。水洗方法としては、公知の技術を用いることができる。
本発明は、さまざまなリチウムニッケル含有複合酸化物から構成される、非水系電解質二次電池用の正極活物質の工業的な製造に適用することが可能であるが、特に、一般式:LixNi1-y-zM1yM2zO2(ただし、0.90≦x≦1.10、0.03≦y≦0.35、0.005≦z≦0.15、M1は、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種の添加元素であり、M2は、AlおよびTiの群から選択される少なくとも1種の添加元素である)の組成で表される、リチウムニッケル含有複合酸化物に、本発明は好適に適用される。また特に、前記一般式において、0.05≦y≦0.10、0.005≦z≦0.10、かつ、y+z≦0.15である、リチウムニッケル含有複合酸化物は、正極活物質として用いた場合、高容量かつ高出力の非水系電解質二次電池を製造することが可能であり、正極活物質として適している。
本発明では、得られる正極活物質の構造については制限されず、複数の一次粒子および/または、複数の一次粒子が凝集して形成された複数の二次粒子から構成されることができる。なお、本発明では、二次粒子の構造についても任意であり、中実構造のみならず、中空構造や多孔質構造などのいずれの構造についても、本発明を適用することが可能である。
上述のように、本発明は、リチウムニッケル含有複合酸化物から構成される非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法に広く適用されるが、特に、一般式:LixNi1-y-zM1yM2zO2(ただし、0.90≦x≦1.10、0.03≦y≦0.35、0.005≦z≦0.15、M1は、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種の添加元素であり、M2は、AlおよびTiの群から選択される少なくとも1種の添加元素である)の組成で表される、リチウムニッケル含有複合酸化物に、本発明は好適に適用される。さらに、本発明は、ニッケル含有量の高い、前記一般式において、0.05≦y≦0.10、0.005≦z≦0.10、かつ、y+z≦0.15であるリチウムニッケル含有複合酸化物に好適に適用される。このようなニッケル含有量の高い組成のリチウムニッケル含有複合酸化物を非水電解質二次電池用正極活物質として用いた場合、より高容量かつ高出力の非水系電解質二次電池を製造することが可能となる。
本発明の製造方法により得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を、非水系電解質二次電池の正極に用いることにより、高容量で安全性の高い非水系電解質二次電池が得られる。
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネート、
ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物、
エチルメチルスルホン、ブタンスルトンなどの硫黄化合物、
リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのリン化合物、
などから選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
SO2)2など、およびそれらの複合塩を用いることができる。
リチウム化合物として、市販の水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)を、真空乾燥で無水化処理を施すことにより得られた水酸化リチウムの無水和物を用い、また、ニッケル含有複合化合物として、ニッケルとコバルトとアルミニウムがモル比で82:15:3の割合で固溶してなるニッケル含有複合酸化物(Ni0.82Co0.15Al0.03O2)を用い、正極活物質を合成するために、水酸化リチウムの無水和物とニッケル含有複合酸化物とを、リチウムとリチウム以外の金属とのモル比が1.030:1.000となるように秤量した後、十分に混合した。なお、ニッケル含有複合酸化物の平均粒径は14μmで、かさ密度は1.1g/mlであった。
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域における保持時間を170分(昇温速度:約1.18℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=170分>T2=104分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.3と十分に低い値であった。
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが85mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域における保持時間Tを162分(昇温速度:約1.23℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の450℃以上650℃以下の温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=162分>T2=98分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.1と十分に低い値であった。
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが75mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを114分(昇温速度:約1.75℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=114分>T2=86分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.4と十分に低い値であった。
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域内の450℃から645℃までを、一定の昇温速度で170分かけて昇温した(約1.14℃/分)こと、焼成工程での最高温度を645度とし、該最高温度で220分保持したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、その評価を行った。この結果を、表1、図3および図4に示す。なお、得られた正極活物質は、高い初期放電容量と低い正極抵抗を示すものの、焼成最高温度が645℃であり、好適範囲の下限値よりも低かったため、実施例1〜4に比べてやや反応が進行しにくく、水洗時のリチウムのロスがやや大きく、リチウムメタル比の水洗前後比が低く、かつ、正極抵抗比も1.5とやや高い値であった。
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを170分(昇温速度:約1.18℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を735℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約2.8℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長く(T=170分>T2=104分)、焼成最高温度が735℃と好適範囲内であったため、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.2と十分に低い値であった。
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを170分(昇温速度:約1.18℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を785℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約4.5℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、650℃以上(785℃以下)の温度範囲での保持時間は280分であった。得られた正極活物質は、高い初期放電容量と低い正極抵抗を示すものの、焼成最高温度が785℃であり、好適範囲の上限値よりも高かったため、反応が十分に進行しているが結晶構造の分解が進み、正極抵抗比が1.6とやや高い値であった。
水酸化リチウムの無水和物と、ニッケルとコバルトとアルミニウムがモル比で88:9:3の割合で固溶してなるニッケル含有複合酸化物(Ni0.88Co0.09Al0.03O2)とを用いたこと、混合物の厚さが90mmとなるように焼成容器に装入したこと、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.82℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(765℃以下)の温度範囲での保持時間は250分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長かったため(T=110分>T2=104分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.0と十分に低い値であった。
実施例8と同組成の混合物を、該混合物の厚さが80mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを126分(昇温速度:約1.59℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=126分>T2=92分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.4と十分に低い値であった。
水酸化リチウムの無水和物と、ニッケルとコバルトとアルミニウムがモル比で91:6:3の割合で固溶してなるニッケル含有複合酸化物(Ni0.91Co0.06Al0.03O2)とを用いたこと、混合物の厚さが90mmとなるように焼成容器に装入したこと、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.82℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=110分>T2=104分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.3と十分に低い値であった。
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが80mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを126分(昇温速度:約1.59℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して十分に長かったため(T=126分>T2=92分)、反応が十分に進行し、水洗時のリチウムのロスが小さく、リチウムメタル比の水洗前後比が高く、かつ、正極抵抗比も1.4と十分に低い値であった。
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を750℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約3.3℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(750℃以下)の温度範囲での保持時間は250分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長く(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が750℃であり、前記組成における好適範囲内であったため、前記組成での反応が十分に進行し、かつ、結晶構造の分解が抑えられたため、初期放電容量が高く、正極抵抗比が1.0と低い値であった。
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を720℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約2.3℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(720℃以下)の温度範囲での保持時間は240分であった。混合物の450℃以上650℃以下の温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長く(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が720℃であり、前記組成における好適範囲内であったため、前記組成での反応が十分に進行し、かつ、結晶構造の分解が抑えられたため、初期放電容量が高く、正極抵抗比が1.1と低い値であった。
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程で保持する最高温度を695℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約1.5℃/分)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長かったが(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が695℃であり、前記組成における好適範囲の下限値よりも低かったため、前記組成での反応が十分に進行せず、初期放電容量が実施例12および13に比べて低くなった。
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程での最高温度を750℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約3.3℃/分)こと、焼成工程における雰囲気ガスの酸素濃度を75容量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(750℃以下)の温度範囲での保持時間は250分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長かったが(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が750℃であり、前記組成における好適範囲内であり、かつ、酸素濃度も高かったため、前記組成での反応が十分に進行し、かつ結晶構造の分解が抑えられたため、初期放電容量が214mAh/gと全実施例中最も高く、正極抵抗比が1.0と低い値であった。
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを110分(昇温速度:約1.92℃/分)としたこと、焼成工程で保持する最高温度を720℃とし、かつ、該最高温度まで30分かけて昇温した(昇温速度:約2.3℃/分)こと、焼成工程における雰囲気ガスの酸素濃度を75容量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(720℃以下)の温度範囲での保持時間は240分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2に対して長かったが(T=110分>T2=104分)、焼成最高温度が720℃であり、前記組成における好適範囲内であり、かつ、酸素濃度も高かったため、前記組成での反応が十分に進行し、かつ結晶構造の分解が抑えられたため、初期放電容量が212mAh/gと高く、正極抵抗比が1.1と低い値であった。
実施例1と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを79分(昇温速度:約2.53℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2よりも短かったため(T=79分>T2=104分)、反応が十分に進行せず、水洗時のリチウムのロスが大きく、リチウムメタル比の水洗前後比が小さく、かつ、正極抵抗比も1.6と高い値であった。
実施例8と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを100分(昇温速度:約2.00℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(765℃以下)の温度範囲での保持時間は250分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2よりも短かったため(T=100分>T2=104分)、反応が十分に進行せず、水洗時のリチウムのロスが大きく、リチウムメタル比の水洗前後比が小さく、かつ、正極抵抗比も2.3と高い値であった。
実施例10と同組成の混合物を、該混合物の厚さが90mmとなるように、焼成容器に装入したこと、および、反応促進温度領域での保持時間Tを79分(昇温速度:約2.53℃/分)としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得た。なお、本例では、焼成工程において、700℃以上(765℃以下)の温度範囲での保持時間は240分であった。混合物の反応促進温度領域での保持時間Tが、最小保持時間T2よりも短かったため(T=79分>T2=104分)、反応が十分に進行せず、水洗時のリチウムのロスが大きく、リチウムメタル比の水洗前後比が小さく、かつ、正極抵抗比も2.4と高い値であった。
2 ケース
2a 正極缶
2b 負極缶
2c ガスケット
3 電極
3a 正極
3b 負極
3c セパレータ
Claims (11)
- リチウムニッケル含有複合酸化物から構成される非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
リチウム化合物とニッケル含有複合化合物とを混合して得られる混合物を、焼成容器に充填し、酸化性雰囲気中で焼成し、および、水洗する工程を備え、
前記焼成工程において、前記混合物の温度が、450℃以上650℃以下の温度範囲である反応促進温度領域に保持される時間T(分)を、前記混合物を前記焼成容器に入れたときの厚さt(mm)とした場合に、関係式:T2=1.15tで求められる最小保持時間T2(分)以上であって、かつ、前記最小保持時間T2に対する前記保持時間Tの比が1.05以上2.00以下となるように設定して、
前記焼成によって得られるリチウムニッケル含有複合酸化物の全金属成分に対するリチウムのモル比であるリチウムメタル比に関して、前記水洗後のリチウムメタル比の前記水洗前のリチウムメタル比に対する比が0.95以上となるように制御する、
非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記焼成工程のうち、少なくとも前記反応促進温度領域における前記酸化性雰囲気の酸素濃度が60容量%以上である、請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成工程において、前記混合物の到達する最高温度を650℃以上775℃以下とし、かつ、前記混合物が650℃以上前記最高温度以下の温度範囲に保持される時間を2時間以上5時間以下とする、請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成工程における、前記混合物の加熱開始から冷却完了までの時間を24時間以内とする、請求項1〜3のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニッケル含有複合化合物の平均粒径が、3μm〜20μmの範囲にある、請求項1〜4のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニッケル含有複合化合物のかさ密度が、0.5g/ml〜2.2g/mlの範囲にある、請求項1〜5のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニッケル含有複合化合物として、ニッケル含有複合酸化物またはニッケル含有複合水酸化物を用いる、請求項1〜6のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記リチウム化合物として、水酸化リチウムの無水和物または水和物を用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式:LixNi1-y-zM1yM2zO2(ただし、0.90≦x≦1.10、0.03≦y≦0.35、0.005≦z≦0.15、M1は、CoおよびMnの群から選択される少なくとも1種の添加元素であり、M2は、AlおよびTiの群から選択される少なくとも1種の添加元素である)で表されるリチウムニッケル複合水酸化物からなる、請求項1〜8のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記一般式において、0.05≦y≦0.10、0.005≦z≦0.10、かつ、y+z≦0.15であり、前記焼成工程のうち、少なくとも前記反応促進温度領域における前記酸化性雰囲気の酸素濃度が70容量%以上である、請求項9に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成工程において、前記混合物の到達する最高温度を700℃以上760℃以下とし、かつ、前記混合物が700℃以上760℃以下の温度範囲に保持される時間を2時間以上5時間以下とする、請求項10に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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