JP2008117729A - 非水系電解質二次電池用正極活物質、その製造方法及びそれを用いた非水系電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(イ)、(ロ)の工程を含むことを特徴とする。
(イ)ニッケルコバルト複合水酸化物(A)、又は該複合水酸化物(A)を300〜500℃の温度で焙焼して調製されたニッケルコバルト複合酸化物(B)に、チタン化合物及びリチウム化合物を混合し、次いで得られた混合物を酸素雰囲気下、650〜850℃の温度で焼成に付し、組成式:Li1+zNi1−x−yCoxTiyO2で表されるリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を得る。
(ロ)前記リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を、水洗に付した後、ろ過、乾燥する。
【選択図】なし
Description
この中でも、リチウム金属複合酸化物、特に合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として期待され実用化が進んでいる。このリチウムコバルト複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池については、優れた初期容量特性とサイクル特性を得るための開発がこれまで数多く行われてきており、すでにさまざまな成果が得られている。)
また、リチウムイオン二次電池の自己放電特性やサイクル特性を向上させることを目的として、LizNiaCobMcOz(式中、Mは、Al、V、Mn、Fe、Cu又はZnから選ばれる少なくとも1種の元素であり、x、a、b、cは、0.8≦x≦1.2、0.01≦a≦0.99、0.01≦b≦0.99、0.01≦c≦0.3、0.8≦a+b+c≦1.2である。)で表されるリチウムニッケル系複合酸化物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、これらのリチウムニッケル複合酸化物では、リチウムコバルト複合酸化物に比べて充電容量と放電容量ともに高く、サイクル特性も改善されているが、満充電状態で高温環境下に放置しておくと、リチウムコバルト複合酸化物に比べて低い温度から酸素放出を伴うという熱安定性の問題がある。
(イ)ニッケルコバルト複合水酸化物(A)、又は該複合水酸化物(A)を300〜500℃の温度で焙焼して調製されたニッケルコバルト複合酸化物(B)に、チタン化合物及びリチウム化合物を混合し、次いで得られた混合物を酸素雰囲気下、650〜850℃の温度で焼成に付し、次の組成式(1)で表されるリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を得る。
組成式(1):Li1+zNi1−x−yCoxTiyO2 ……(1)
(式中、x、y、zは、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.05、−0.05≦z≦0.10である。)
(ロ)前記リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を、水洗に付した後、ろ過、乾燥する。
1.非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、下記(イ)、(ロ)の工程を含むことを特徴とするリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物粉末からなる非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
(イ)ニッケルコバルト複合水酸化物(A)、又は該複合水酸化物(A)を300〜500℃の温度で焙焼して調製されたニッケルコバルト複合酸化物(B)に、チタン化合物及びリチウム化合物を混合し、次いで得られた混合物を酸素雰囲気下、650〜850℃の温度で焼成に付し、次の組成式(1)で表されるリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を得る。
組成式(1):Li1+zNi1−x−yCoxTiyO2 ……(1)
(式中、x、y、zは、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.05、−0.05≦z≦0.10である。)
(ロ)前記リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を、水洗に付した後、ろ過、乾燥する。
上記(イ)の工程は、ニッケルコバルト複合水酸化物(A)、又は該複合水酸化物(A)を300〜500℃の温度で焙焼して調製されたニッケルコバルト複合酸化物(B)に、チタン化合物及びリチウム化合物を混合し、次いで得られた混合物を酸素雰囲気下、650〜850℃の温度で焼成に付し、次の組成式(1)で表されるリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を得る工程である。
組成式(1):Li1+zNi1−x−yCoxTiyO2 ……(1)
(式中、x、y、zは、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.05、−0.05≦z≦0.10である。)
以上のように、本発明の製造方法では、所定の組成のニッケルコバルト複合水酸化物を調製した後、チタン化合物をニッケルコバルト複合水酸化物又はそれを所定の条件で焙焼したニッケルコバルト複合酸化物の粉末と混合する方法を採用して、その後の焼成で均一に固溶させることに特徴がある。
(a)ニッケル塩とコバルト塩を含む水溶液に、50〜80℃の温度下、pHが10.0〜12.5になるように錯化剤及びアルカリ水溶液を添加し、ニッケルとコバルトの水酸化物を共沈させる。
(b)ニッケル塩とコバルト塩を含む水溶液に、60〜80℃の温度下、pHが10.0〜11.0になるようにアルカリ水溶液を添加し、ニッケルとコバルトの水酸化物を共沈させる。
また、水溶液の温度が50℃未満では、ニッケルの溶解度が小さいため、ニッケルの沈殿量が目的組成からずれ共沈にならない。一方、80℃を超えると、水の蒸発量が多いためにスラリー濃度が高くなり、ニッケルの溶解度が低下する上、ろ液中に硫酸ナトリウム等の結晶が発生し、不純物濃度が上昇するなど、正極材の充放電容量が低下する問題が出てくる。
すなわち、焼成温度が650℃未満では、リチウム化合物との反応が十分に進まず、所望の層状構造をもったリチウムニッケル複合酸化物を合成することが難しくなる。一方、850℃を超えると、Li層にNiが、Ni層にLiが混入して層状構造が乱れ、3aサイトにおけるリチウム以外の金属イオンのサイト占有率が2%より大きくなってしまい、リチウムのサイトである3aサイトに金属イオンの混入率が高くなり、リチウムイオンの拡散パスが阻害され、その正極を用いた電池は初期容量や出力が低下してしまう。
上記(ロ)の工程は、(イ)の工程で得られたリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を、水洗に付した後、ろ過、乾燥する工程である。
上記(ロ)の工程において、(イ)の工程で得られたリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物を水洗に付すことが重要である。従来、水洗はおこなわれていなかったが、水洗により、焼成後のリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の表面に形成されたリチウムチタン複合酸化物(Li2TiO3)が溶解除去されることにより、リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物本来の高い充放電容量が得られる。
この対策として、リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物を水洗に付し、ろ過、乾燥することが有効である。これにより、yの値が0.01≦y≦0.05の範囲において、180mA/g以上の放電容量が達成される。この現象は、一般式:Li(NiCo)1−yMyO2で表されるリチウムニッケルコバルト複合酸化物でMがTiの場合において、特に大きく、放電容量は30mA/g程度上昇する。これは、粒子表面に存在する、一部の余剰なリチウムとチタンにより形成されたリチウムチタン複合酸化物(Li2TiO3)に由来するものである。このリチウムチタン複合酸化物、正極活物質として用いることも、また負極活物質として用いることもできる材料であることが知られている。正極活物質として用いた場合には、リチウムチタン複合酸化物は、還元電位がLi/Li+に対して約1.5Vであるため、リチウムニッケル複合酸化物本来の充放電電位である4.3Vと充放電電位が異なる材料ができて放電容量の低下を招くと考えられる。
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質としては、上記製造方法によって得られる、熱安定性に優れ、かつ高い充放電容量が得られる、次の組成式(2)で表されるリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末からなる正極活物質である。
組成式(2):Li1+zNi1−x−yCoxTiyO2 ……(2)
(式中、x、y、zは、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.05、−0.05≦z≦0.10である。)
ここで、yの値が0.01未満では、熱安定性改善の効果が少なく、一方、0.05を超えると、十分な充放電容量が得られない。また、xの値が0.10未満では、熱安定性が低下し、一方、0.21を超えると、充放電容量が低下する。また、zの値が−0.05未満では、充放電容量が低下し、一方0.10を超えると、熱安定性が低下してしまう。
また、上記非水電解質二次電池用正極活物質を正極に用いた場合の初期放電容量としては、180mAh/g以上が得られる。さらに、充電後に加熱した時の示差走査熱量計(DSC)による発熱量が、11W/g以下である。これにより、電池としての安全性で実用上の問題はない。
本発明の非水電解質二次電池は、上記非水電解質二次電池用正極活物質を用いてなる高容量で安全性の高いものである。
ここで、上記リチウムイオン二次電池の形態について、各構成要素ごとにそれぞれ詳しく説明する。本発明に係るリチウムイオン二次電池は、正極、負極、非水電解液等、一般のリチウムイオン二次電池と同様の構成要素から構成される。なお、以下で説明する形態は例示に過ぎず、本発明の非水系電解質二次電池は、下記形態をはじめとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して溶剤を飛散させる。また、必要に応じて、電極密度を高めるべくロールプレス等により加圧することもある。このようにしてシート状の正極を作製することができる。得られたシート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等し、電池の作製に供することができる。
さらに、必要に応じて、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。この溶剤としては、具体的にはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には電気二重層容量を増加させるために活性炭を添加することができる。
ただし、本発明の非水電解質二次電池は、上記正極活物質を用いる点に特徴を有するものであり、その他の構成要素は特に限定されるものではない。
上記負極としては、例えば、金属リチウム、リチウム合金等、また、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
上記負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これら活物質および結着剤を分散させる溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
(2)正極活物質の結晶構造の分析:X線回折装置(リガク電機社製:RINT−1400)で分析した。
(3)正極活物質の粒度分布の測定:レーザー散乱式粒度測定装置(日機装製 マイクロトラックHRA)で測定した粒度分布から、D50(累積分布率50質量%での粒度を求めた。
(4)正極活物質の粉体充填密度(タップ密度)の測定:粉末12gを20mlのガラス製メスシリンダーに入れ、振とう比重測定器(蔵持科学器械製作所製KRS−409)にて500回タップした後の粉体充填密度を求めた。
作製した電池は24時間程度放置し、開路電圧OCV(open circuit voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.5mA/cm2としてカットオフ電圧4.3Vまで充電して初期充電容量とし、1時間の休止後カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を初期放電容量とした。充放電容量の測定には,ADVANTEST社製マルチチャンネル電圧/電流発生器(R6741A)を用いた。
(1)ニッケルコバルト複合水酸化物の調製
ニッケルとコバルトの配合割合がモル比で84:16となるように、硫酸ニッケル(和光純薬工業製、試薬特級)と硫酸コバルト(和光純薬工業製、試薬特級)の混合水溶液を準備した。次いで、反応槽内に、前記混合溶液とともに、水酸化ナトリウム (和光純薬工業製、試薬特級)を用いて調製した濃度25重量%の水酸化ナトリウム水溶液と錯化剤として濃度25重量%アンモニア水(和光純薬工業製、試薬特級)を同時に添加した。このとき、pHを12〜12.5の範囲、及び反応温度を50〜60℃の範囲に保持した。その後、反応槽内が定常状態になった後に、オーバーフローした沈殿物を採取し、ろ過、水洗後に乾燥させ、ニッケルコバルト複合水酸化物の乾燥粉末を得た。
得られた複合水酸化物200gを、12cm×12cm×6cmのマグネシア製の焼成容器に挿入し、密閉式電気炉(KOYO LINDBERG LTD製、51668W−S)を用いて、流量3L/minの空気気流中で、昇温速度5℃/minで400℃まで昇温し、その温度で10時間焙焼した後、室温まで炉内で冷却し、ニッケルコバルト複合酸化物を得た。
得られたニッケルコバルト複合酸化物に、アナターゼ型酸化チタン(和光純薬工業製、試薬特級)と水酸化リチウム(FMC社製)を添加した。ここで、チタンの添加割合は、モル比でニッケル:コバルト:チタン=82:15:3、またリチウムの添加割合はモル比でニッケル、コバルト及びチタンの合計:リチウム=1:1.05であった。続いて、シェーカーミキサー装置(WAB社製TURBULA TypeT2C)を用いて、ニッケルコバルト複合酸化物の球状の二次粒子の形骸が維持される程度の強さで十分に混合し、目開き100μmの篩を通過させて凝集粒子を解砕した後、再度シェーカーミキサーで混合した。
次いで、この混合物100gを12cm×12cm×6cmのマグネシア製の焼成容器に入れ、上記密閉式電気炉を用いて、流量3L/minの酸素気流中で450℃にて2時間仮焼した後、昇温速度5℃/minで760℃まで昇温してその温度で10時間焼成した後、室温まで炉内で冷却し、リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物を得た。
得られたリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物50gを100mLのビーカーに入れ、スラリー濃度が1500g/Lとなるように純水を加え、次いで20分間スターラーで攪拌した後、ろ過した。得られたろ過物を、真空乾燥器により150℃で12時間乾燥して、正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。図1に、X線回折結果を示す。
ルチル型酸化チタン(和光純薬工業製、試薬特級)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
酸化チタンとして、上記アナターゼ型酸化チタンと上記ルチル型酸化チタンを重量比でアナターゼ:ルチル=80:20に混合して使用したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の合成において、モル比でニッケル:コバルト:チタン=84:15:1となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の合成において、モル比でニッケル:コバルト:チタン=80:15:5となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
ニッケルコバルト複合酸化物に代えて、ニッケルコバルト複合水酸化物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
ニッケルコバルト複合酸化物の調製において、ニッケルコバルト複合水酸化物を300℃まで昇温したこと以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の合成において、モル比でニッケル:コバルト:チタン=81:15:4となるように配合したこと、及び凝集粒子の解砕をおこなわず焼成したこと以外は実施例1と同様に行った。次いで、得られたリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物を目開き100μmの篩を通過させたところ、篩上に硬い粗粒が全体の約1%残留した。この残留物をX線回折で分析したところ、リチウムチタン複合酸化物(Li2TiO3)であった。その後、篩を通過した篩下を正極活物質として、その組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、に六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
ニッケルコバルト複合酸化物の調製において、ニッケルコバルト複合水酸化物を550℃まで昇温したこと以外は実施例1と同様に行った。なお、得られたリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物は焼結が進み、粉砕が必要であったため、乳鉢で100μm以下になるように篩にかけながら粉砕した後、水洗して正極活物質を得た。
得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の合成において、モル比でニッケル:コバルト:チタン=80:14:6となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の合成において、モル比でニッケル:コバルト:チタン=84.5:15:0.5となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の水洗を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、粒度分布のD50、粉体充填密度(タップ密度)、充放電容量、及び正極の安全性を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。なお、結晶構造は、六方晶系の層状構造を有する複合酸化物単相であった。
また、電気自動車用の電源においては、電池の大型化による安全性の確保が課題となっていることに加え、より高度な安全性を確保するための高価な保護回路の装着が必要不可欠であるが、本発明の非水系電解質二次電池は優れた安全性を有しているため、安全性の確保が容易になるばかりでなく、高価な保護回路を簡略化し、より低コストにでき、電気自動車用電源として好適である。なお、電気自動車用電源とは、純粋に電気エネルギーで駆動する電気自動車のみならず、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の燃焼機関と併用する、いわゆるハイブリッド車用の電源も含むものである。
2 セパレータ(電解液含浸)
3 正極(評価用電極)
4 ガスケット
5 負極缶
6 正極缶
7 集電体
Claims (13)
- 下記(イ)、(ロ)の工程を含むことを特徴とするリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物粉末からなる非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
(イ)ニッケルコバルト複合水酸化物(A)、又は該複合水酸化物(A)を300〜500℃の温度で焙焼して調製されたニッケルコバルト複合酸化物(B)に、チタン化合物及びリチウム化合物を混合し、次いで得られた混合物を酸素雰囲気下、650〜850℃の温度で焼成に付し、次の組成式(1)で表されるリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を得る。
組成式(1):Li1+zNi1−x−yCoxTiyO2 ……(1)
(式中、x、y、zは、0.10≦x≦0.21、0.01≦y≦0.05、−0.05≦z≦0.10である。)
(ロ)前記リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末を、水洗に付した後、ろ過、乾燥する。 - 前記ニッケルコバルト複合水酸化物(A)は、ニッケル塩とコバルト塩を含む水溶液に、50〜80℃の温度下、pHが10.0〜12.5になるように錯化剤及びアルカリ水溶液を添加し、ニッケルとコバルトの水酸化物を共沈させて調製されることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記錯化剤は、アンモニウムイオン供給体であることを特徴とする請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニッケルコバルト複合水酸化物(A)は、ニッケル塩とコバルト塩を含む水溶液に、60〜80℃の温度下、pHが10.0〜11.0になるようにアルカリ水溶液を添加し、ニッケルとコバルトの水酸化物を共沈させて調製されることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記チタン化合物は、ルチル型及び/又はアナターゼ型の二酸化チタンであり、その粒子径が1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記リチウム化合物は、炭酸リチウム若しくは水酸化リチウム、またはこれらの水和物であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 上記(イ)の工程において、焼成に先立って、混合物中に含まれる凝集粒子を50〜100μmの粒度に解砕することを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 上記(ロ)の工程において、水洗は、常温下、スラリー濃度を500〜2000g/Lに調整して攪拌することを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 上記(ロ)の工程において、水洗により、リチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物粒子の表面に形成されたリチウムチタン複合酸化物(Li2TiO3)を溶解除去することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法によって得られるリチウムニッケルコバルトチタン複合酸化物の粉末からなることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 粒度分布のD50が10〜15μmであり、かつタップ密度が2.0〜2.8g/mLであることを特徴とする請求項10に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 非水系電解質二次電池の正極に用いた場合の初期放電容量は、180mAh/g以上であることを特徴とする請求項10に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 請求項10〜12のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を正極に用いてなる非水系電解質二次電池。
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