JP5479775B2 - リチウムイオン二次電池用の負極およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用の負極およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5479775B2
JP5479775B2 JP2009113250A JP2009113250A JP5479775B2 JP 5479775 B2 JP5479775 B2 JP 5479775B2 JP 2009113250 A JP2009113250 A JP 2009113250A JP 2009113250 A JP2009113250 A JP 2009113250A JP 5479775 B2 JP5479775 B2 JP 5479775B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
metal
active material
electrode active
metal foil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009113250A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010262843A (ja
Inventor
健 西村
道宏 島田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Original Assignee
THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD. filed Critical THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Priority to JP2009113250A priority Critical patent/JP5479775B2/ja
Publication of JP2010262843A publication Critical patent/JP2010262843A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5479775B2 publication Critical patent/JP5479775B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用の負極などに関するものであり、特に、高容量かつ長寿命のリチウムイオン二次電池用の負極に関する。
従来、負極活物質としてグラファイトを用いたリチウムイオン二次電池が実用化されている。また、負極活物質と、カーボンブラック等の導電助剤と、樹脂の結着剤とを混練してスラリーを調製し、銅箔上に塗布・乾燥して、負極を形成することが行われている。
一方、高容量化を目指し、負極活物質として金属、特にシリコン系合金を用いるリチウムイオン二次電池用の負極が開発されている。リチウムイオンを吸蔵して合金化したシリコンは、吸蔵前のシリコンに対して約4倍まで体積が膨張するため、シリコン系合金を負極活物質として用いた負極は、充放電サイクル時に膨張と収縮を繰り返す。
そこで、シリコン系活物質の表面にカーボンナノファイバを成長させ、その弾性作用により負極活物質粒子の膨張と収縮による歪みを緩和し、サイクル特性を向上させるという非水電解液二次電池用負極が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、結着剤、導電助剤を不要にするため、CVD法などによりシリコンを集電体上に直接成膜し、リチウム電池用電極を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
また、基材の負極活物質層が形成される面に粒子状の突起部を有している負極集電体上に、負極活物質層を有してなる負極が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2006−244984号公報 特許第3733069号公報 特開2004−207113号公報
しかしながら、負極活物質と導電助剤と結着剤とのスラリーを塗布・乾燥して、負極を形成する従来の負極は、負極活物質と集電体とを樹脂の結着剤で結着しており、樹脂の結合力が弱い。そのため、充放電時に、負極活物質の微粉化と負極活物質の剥離、負極の亀裂の発生、負極活物質間の導電性の低下などが発生して容量が低下する。それゆえ、サイクル特性が悪く、二次電池の寿命が短いという問題点があった。
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、負極活物質と集電体とを樹脂で結着するものであり、サイクル特性の劣化は十分には防げなかった。また、カーボンナノファイバの形成工程があるため、生産性が悪かった。
また、集電体上にシリコン膜を直接形成する場合、十分なサイクル寿命を得るためには、シリコン膜の厚さを2〜3μm以内に収めなくてはならない。単位面積当たりの目標の容量を達成する厚さ8μmのシリコン膜では、充放電を繰り返しているうちに、シリコン膜にシワやクラックが発生し、シリコン膜が集電体から剥離し、容量が低下して、サイクル特性が悪いという問題があった。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、高容量と長寿命を実現するリチウムイオン二次電池用の負極を得ることである。
前述した目的を達成するために第1の発明は、金属箔と、前記金属箔上の導電性物質製の突起と、前記金属箔の表面、前記突起の上面および前記突起の側面に、成膜された負極活物質の薄膜と、を有し、前記負極活物質の薄膜が、樹脂の結着剤を含まず、前記負極活物質の薄膜の厚みが0.5〜2μmであり、前記突起の高さが10μm〜100μmであり、前記突起の幅が10μm〜100μmであり、前記突起の間隔が10μm〜100μmであり、前記突起が、1層以上積層された平均粒径3μm〜30μmの略球形状の金属粉末からなり、前記金属粉末と前記金属箔と、または前記金属粉末同士が、金属ナノ粒子の金属のバルクでの融点(絶対温度)の1/2以下の温度の不活性雰囲気下で前記金属箔を加熱する焼結工程により形成された前記金属ナノ粒子を介した金属結合で接合していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の負極である。
の発明は、金属箔に、一次粒子の平均粒径が3〜30μmである略球形状の金属粉末と、平均粒径が2〜100nmである金属ナノ粒子とを含み、前記金属ナノ粒子の金属の量が、前記金属粉末の金属の量に対して2〜40重量%であるスラリーを塗布する工程と、前記スラリーを塗布した前記金属箔を乾燥する工程と、前記金属ナノ粒子の金属のバルクでの融点(絶対温度)の1/2以下の温度の不活性雰囲気下で前記金属箔を加熱して、高さが10μm〜100μmであり、幅が10μm〜100μmであり、間隔が10μm〜100μmである突起を形成する焼結工程と、前記金属箔の表面、前記突起の上面および突起の側面に、厚みが0.5〜2μmである負極活物質の薄膜を形成する工程と、を具備することを特徴とするリチウムイオン二次電池用の負極の製造方法である。
前記金属箔集電体の表面、前記突起の上面および前記突起の側面に、負極活物質の薄膜を形成する工程を、CVD法、スパッタリング法、溶射法、めっき法、または蒸着法により行うことが好ましい。
また、前記金属箔の表面、前記突起の上面および前記突起の側面に、負極活物質の薄膜を形成する工程の後に、前記負極活物質の薄膜上に歪緩和層を形成する工程と、前記歪緩和層上に負極活物質の薄膜を形成する工程とをさらに具備することが好ましい。
本発明により、高容量と長寿命を実現するリチウムイオン二次電池用の負極を得ることができる。
(a)本発明の第1の実施の形態に係るリチウムイオン二次電池用負極1の断面図、(b)負極1の平面図(負極活物質7の図示は省略)、(c)負極1の斜視図、(d)第1の実施形態の他の例に係る負極活物質の薄膜の拡大断面図。 (a)〜(e)本発明の第1の実施の形態に係る突起5を有する集電体13の製造方法を示す図。 (a)〜(c)本発明の第1の実施の形態に係るリチウムイオン二次電池用負極1の製造方法を示す図。 (a)〜(e)本発明の第1の実施の形態に係る負極1の他の製造方法を示す図。 (a)本発明の第2の実施の形態に係るリチウムイオン二次電池用負極19を示す図、(b)本発明の第3の実施の形態に係るリチウムイオン二次電池用負極25を示す図、(c)本発明の第4の実施の形態に係るリチウムイオン二次電池用負極31を示す図。 (a)〜(e)本発明の第2の実施の形態に係る負極19の製造方法を示す図。 (a)〜(d)本発明の第3の実施の形態に係る負極25の製造方法を示す図。 (a),(b)本発明の第3の実施形態に係る集電体の変形例を示す図。 本発明の第3の実施形態に係る負極の変形例を示す図。 本発明の第4の実施形態に係る集電体の変形例を示す図。 (a)〜(c)本発明の第1の実施形態に係る負極の変形例を示す図。
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各図は各構成要素を模式的に示したもので、実際の縮尺を表すものではない。
第1の実施形態に係る負極1について説明する。
図1は、負極1を示す図である。図1(a)は、負極1の断面図である。図1(a)に示すように、負極1は、金属箔3の上に突起5を有し、金属箔3と突起5との上を負極活物質7の薄膜を有する。図1(b)は、図1(a)で示す負極1の平面図である。図1(b)では、負極活物質7を省略して図示している。図1(b)に示すように、突起5の正四角柱形状である。図1(c)は、負極1の斜視図である。図1(d)は、負極活物質7の薄膜の拡大断面図で、歪緩和層8を設けた図である。歪緩和層8は一層でも多層でも良い。
金属箔3は、銅、ニッケル、モリブデン、タングステン、タンタル、ステンレスなどの金属の箔である。これらを単独で用いてもよいし、これらの合金でもよい。突起5などを含まない金属箔3そのものの厚さは4μm〜100μmが好ましく、特に8μm〜50μmがより好ましい。
突起5は、金属箔3の表面に形成された、導電性物質で形成された突起である。突起5を形成する導電性物質としては、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、銀などが挙げられる。突起5の高さは10μm〜100μmであり、突起5の幅が10μm〜100μmであり、突起5の間隔が10μm〜100μmであることが好ましい。なお、突起5の間隔とは、突起5の側面と側面との距離をいうものとする。
突起5の高さが10μm以上であれば、負極活物質7の薄膜の厚さよりも十分に大きいため、負極活物質7の薄膜を成膜できる面積が増大し、単位面積当たりの負極活物質7をより多くできる。また、突起5の高さが100μm以下であれば、幅に対する縦横比が大きくならないため、突起5の強度をより大きくでき、さらに、負極1を積層する際に、二次電池のセルの厚さをより小さくできる。
突起5の幅が10μm以上であれば、突起5の強度をより大きくできる。また、突起5の幅が100μm以下であれば、負極活物質7の薄膜を成膜できる面積が増大し、単位面積当たりの負極活物質7をより多くできる。
突起5の間隔が10μm以上であれば、突起の側面と側面との距離が十分となり、一方の突起5の側面に形成された負極活物質7と、他方の突起5の側面に形成された負極活物質7との間隔が十分に広くなり、電解液がより多くの負極活物質7と接することができ、単位面積当たりの反応に参加する負極活物質7をより多くできる。また、突起5の間隔が100μm以下であれば、単位面積内の突起5の数密度が高くなり、負極活物質7の薄膜を成膜できる面積が増大し、単位面積当たりの負極活物質7をより多くできる。
突起5の高さが、金属箔3の厚さの30%以上であり、金属箔3の主面に対して略垂直に形成されていることが好ましい。略垂直とは、実質的に垂直であればよく、例えば90度プラスマイナス20度の角度である。
また、突起5の大きさと形状と配置は、成膜装置から影にならない箇所にのみ成膜が可能なスパッタリング法などの成膜方法でも、突起5や金属箔3の表面に成膜が可能なように調整される。例えば、金属箔3の上に、マイクロメートル単位の空孔を有し、その空孔に負極活物質を充填するようなスポンジ状の集電体は、本発明では好ましくない。
また、金属箔3上に突起5を形成した後に、粗面化処理をしてもよい。粗面化処理とは、サブミクロンから数ミクロン程度の凹凸を設け、表面を粗くすることで、負極活物質と集電体との間の密着力を高める処理である。粗面化処理後の表面は、表面粗さRaが0.01〜8μm程度であることが好ましい。表面粗さRaは、日本工業規格(JIS B0601−2001)に定められており、例えば表面粗さ計により測定することができる。例えば、粗面化処理は、金属箔上に硫酸銅溶液を用いて微細銅粒をやけめっき条件で形成後、平滑めっき条件で微細銅粒を被せめっきして微細銅粒の脱落を防止するという2段階でめっきを行うことができる。
図1においては、突起5は底面が正方形の正四角柱形状であるが、底面が長方形の四角形形状でもよい。また、三角柱形状や、六角柱形状などの多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状などでもよい。さらには、四角錐や三角錐などの多角錐形状や円錐形状などでもよい。
なお、金属箔3の両面に突起5を設け、両面に負極活物質7の薄膜を形成してもよい。両面に負極活物質7の薄膜を有する負極は、片面に負極活物質7の薄膜を有する負極よりも単位面積当たりの負極活物質の量が多くなり、さらなる高容量化が可能である。
負極活物質7として、シリコン、スズ、アンチモン、アルミニウム、鉛、ヒ素からなる群より選ばれた少なくとも1種の物質を用いることができる。それぞれを単独で用いてもよいし、それぞれの合金や酸化物でもよい。具体的には一酸化シリコン、チタンシリサイド、リンドープシリコン、ホウ素ドープシリコン、スズ鉄合金、スズコバルト合金、アンチモンスズ合金、スズ銀合金、インジウムアンチモン合金などを用いることができる。
負極活物質7の薄膜は、CVD法、スパッタリング法、溶射法、めっき法、蒸着法などにより形成される薄膜であり、厚さが0.5μm〜3μm程度であることが好ましく、厚さが2μm以下であることがより好ましく、厚さが1μm程度であることがさらに好ましい。
負極活物質7の薄膜は、スラリーの塗布・乾燥により形成される膜ではなく、結着剤を含まない負極活物質のみからなる緻密な膜であるが、厚さが3μm以下であるため、充放電に伴い活物質に体積変化が生じても金属箔3と突起5の粗面化により歪みが緩和される。また、薄膜は銅やカーボンなどの導電性物質と層状に形成すると活物質の体積歪みがさらに緩和され寿命が向上する。
図1(d)は、第1の実施の形態の他の例に係る、歪緩和層8を有する負極活物質の薄膜の拡大断面図である。本例に係る負極活物質の薄膜は負極活物質7に歪緩和層8を設け、さらに負極活物質6を積層してなる。歪緩和層8はリチウムを吸蔵しない導電性物質の層で厚さが2nmから100nmの極めて薄いポーラス膜であり、多数の隙間が存在し、部分的に下層の負極活物質7と上層の負極活物質6は接合しており、連続した状態であり、リチウムが通過可能である。負極活物質7、歪緩和層8、負極活物質6の合計の厚さが8μm以下であることが好ましい。歪緩和層8は一層に限らず負極活物質と交互に形成して多層となっても良い。
歪緩和層8は、銅、炭素、ニッケル、亜鉛、銀等が好適であり、他にもチタン、コバルト、クロム、鉄、マンガン、ニオブ、タンタル、バナジウム、タングステン、モリブデンなど、MSi、SiMのシリサイドを形成する物質が使用可能である。なお、歪緩和層8は、CVD法、スパッタリング法、溶射法、めっき法、蒸着法などを用いることができ、負極活物質と同じ方法で形成することが生産性の面から好ましい。
負極活物質7の薄膜の上に歪緩和層8が形成され、さらに歪緩和層8の上に負極活物質6の薄膜の形成が行われる。さらに多層が必要な場合は、歪緩和層8の形成と負極活物質6の薄膜の形成を繰り返せばよい。
次に、図2を用いて、負極1の製造方法を説明する。まず、図2(a)に示すように、金属箔3を用意する。その後、図2(b)に示すように、金属箔3の上に、レジスト層9を形成するためにレジストを塗布したり、ドライフィルムレジスト(DFR)を貼付したりする。レジスト層9は、露光などによりパターニング可能な一般的なレジストであり、ネガ型でもポジ型でもよい。レジスト層9は、突起5の高さよりも厚くなるように塗布する。
図2(c)に示すように、フォトリソグラフィー法などを用いてレジスト層9をパターニングし、レジスト層11を得る。例えば、レジスト層11にポジ型レジストを用いる場合には、除去する箇所を露光して溶媒に溶解させる。また、レジスト層11にネガ型レジストを用いる場合には、レジスト層11となる箇所を露光し、露光しなかった箇所を溶媒に溶解する。
その後、図2(d)に示すように、金属箔3上のレジスト層11の間をパターンめっきにより導電性物質を充填し、突起5を形成する。または、導電性金属ペーストを塗布・焼結し、突起5を形成する。導電性物質の充填は、例えば、銅のめっき、銅微粒子ペーストの焼結、ニッケルのめっき、ニッケル微粒子ペーストの焼結、銀のめっき、銀微粒子ペーストの焼結を用いることができる。
その後、図2(e)に示すように、レジスト層11を除去し、金属箔3の上に突起5を有する集電体13を得る。なお、その後、集電体13の表面を粗面化処理を施してもよい。
次いで、集電体13に負極活物質7の薄膜を形成することで、負極1を形成する。図3(a)、図3(b)に示すように、集電体13の表面に、成膜装置15を用いて負極活物質7の薄膜を形成する。金属箔3の表面と、突起5の表面と、突起5の側面とに負極活物質7の薄膜を成膜する。成膜は、例えばシリコンCVD法により行われる。
以上の工程により、図3(c)に示すように、負極活物質7の薄膜の成膜後、負極1が得られる。さらに、導電性物質よりなる極めて薄いポーラス膜、あるいは微粒子をスパッタリング法により散布させて負極活物質7の上に歪緩和層8を形成し、部分的に負極活物質7と連続した状態で負極活物質6を設けて、単位面積当たりの活物質量を増やし、高容量化を図ることも可能である。
次に、本発明の負極1を用いた、リチウムイオン二次電池の製造方法を説明する。
まず、正極活物質、導電助剤、結着剤、増粘剤及び溶媒を混合して正極活物質の組成物を準備する。前記正極活物質の組成物をアルミ箔などの金属集電体上に直接塗布・乾燥して、正極を準備する。なお、前記正極活物質の組成物を別途の支持体上にキャスティングした後、その支持体から剥離して得たフィルムを金属集電体上にラミネーションして正極を製造することも可能である。
前記正極活物質としては、リチウム含有の金属酸化物であって、一般的に使われるものであればいずれも使用可能であり、例えばLiCoO,LiMn2x,LiNi1−xMn2x(x=1,2),Ni1−x−yCoMn(0≦x≦0.5,0≦y≦0.5)などを挙げることができ、さらに具体的には、LiMn,LiMnO,LiNiO,LiFeO,LiFePO,LiFePOF,V,TiS及びMoSなどリチウムの酸化還元が可能な化合物である。
導電助剤としては、カーボンブラックを使用し、結着剤としては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びその混合物、スチレンブタジエンゴム系ポリマーを使用し、溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン、水などを使用する。このとき、正極活物質、導電助剤、結着剤、増粘剤及び溶媒の含量は、リチウムイオン二次電池で通常的に使用するレベルである。
セパレータとしては、正極と負極の電子伝導を絶縁する機能を有し、リチウムイオン二次電池で通常的に使われるものであればいずれも使用可能である。特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ、電池の高容量の観点から厚みは20μm程度と薄いものが好ましい。代表的なセパレータは、ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)微多孔膜の3層ラミネート膜となっており、PPとPEは熱可塑性の樹脂でそれぞれ約170℃、約130℃の融点となるように重合度などが材料設計されている。電池内部の温度が130℃を超えるとPE膜が溶融し、微孔が目詰まりしてリチウムイオンが透過できなくなり、電池反応を停止することができる。
電解液としては、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、炭酸ブチレン、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、ジオキソラン、4−メチルオキソラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸メチルイソプロピル、炭酸エチルプロピル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル、ジエチレングリコールまたはジメチルエーテルなどの溶媒またはそれらの混合溶媒にLiPF,LiBF,LiSbF,LiAsF,LiClO,LiCFSO,Li(CFSON,LiCSO,LiAlO,LiAlCl,LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ただし、x,yは自然数),LiCl,LiIなどのリチウム塩からなる電解質のうち一つまたはそれらを二つ以上混合したものを溶解して使用できる。
前述したような正極と負極との間にセパレータを配置して、電池構造体を形成する。このような電池構造体を巻くか、または折って円筒形の電池ケースや角形の電池ケースに入れた後、電解液を注入すれば、リチウムイオン二次電池が完成する。
また、前記電池構造体をバイセル構造で積層した後、それを有機電解液に含浸させ、得られた結果物をポーチに入れて密封すれば、リチウムイオンポリマー電池が完成する。
次に、図4を用いて、第1の実施形態に係る負極1の他の製造方法を説明する。まず、図4(a)に示すように、金属箔3を用意する。その後、図4(b)に示すように、パターンされたレジスト層17を塗布する。この塗布は、例えば、スクリーン印刷法でレジスト層17を形成することで行われる。
その後は、図4(c)〜図4(e)において、図2(d)〜図2(e)、図3(a)〜図3(c)で説明した方法と同様の方法で突起5と負極活物質7とを形成し、負極1を得る。さらに、図1(d)で説明した方法と同様の方法で歪緩和層8を設け、その上に負極活物質6を設けて、負極活物質を多層とすることも可能である。
第1の実施形態によれば、負極活物質にシリコン系合金を用いているため、グラファイトを負極活物質として用いる場合に比べて、高容量化が可能である。
また、第1の実施形態によれば、負極活物質の薄膜を薄くしているため、充放電時に負極活物質が膨張と収縮を繰り返しても、しわやクラックが生じにくい。さらに、負極活物質の層と歪緩和層を交互に設けることで負極活物質を多層とし、一層の負極活物質層を例えば0.5μm〜1μm程度に薄くすることで、さらにしわやクラックを生じにくくすることが可能である。そのため、負極活物質は、集電体から剥離しにくく、長寿命のリチウムイオン二次電池用の負極が得られる。
また、第1の実施形態によれば、負極活物質の薄膜を形成可能な集電体上の面積が、突起を設けない場合よりも大きいため、負極の高容量化が可能である。さらに、突起は金属箔の両面に形成することも可能であり、さらなる高容量化が可能である。
また、第1の実施形態によれば、負極活物質7の薄膜に、ポリフッ化ビニリデンやスチレン−ブタジエンゴムなどの樹脂結着剤(有機バインダーとも呼ばれる)を用いていないため、活物質の密度が高く、実効表面積が小さくなり、不可逆容量が小さく、高容量化に有利である。
次に、第2の実施形態について説明する。
図5は、(a)第2の実施形態に係る負極19と、(b)第3の実施形態に係る負極25と、(c)第4の実施形態に係る負極31とを示す図である。以下の実施形態で第1の実施形態と同一の様態を果たす要素には同一の番号を付し、重複した説明は避ける。
図5(a)に示すように、負極19は、金属箔21に突起23を有し、金属箔21の表面と突起23の側面と表面に負極活物質7の薄膜が形成されている。
金属箔21は、金属箔3と同様の材料を用いることができ、18μm〜140μm程度の厚さである。金属箔21は、エッチングされた箇所も、金属箔3と同等の厚さを備えることが好ましいため、エッチング前の金属箔21の厚さは、金属箔3よりも厚いことが好ましい。
突起23は、金属箔21の中で後述する図6(b)に示すレジスト層39によりエッチングされずに残った箇所であり、当然に金属箔21と同じ材料である。突起23の高さ、幅、間隔は、突起5と同様の範囲であることが好ましい。
次に、図6を用いて、負極19の製造方法を説明する。図6(a)に示すように、金属箔21を用意する。その後、図6(b)に示すように、金属箔21の上に、レジストを塗布、あるいはドライフィルムレジスト(DFR)を貼付する。レジストは、レジスト層9やレジスト層17と同じ材料を用いることができる。パターニングされたレジスト層39の形成方法は、図2(b)〜図2(c)に示した、フォトリソグラフィー法を用いてもよいし、図4(b)に示した、スクリーン印刷法を用いてもよい。レジスト層39は、四角形や六角形、円形などにパターニングされる。
レジスト層39は、突起23が形成される箇所に形成される。その後、図6(c)に示すように、金属箔21をエッチングする。また、エッチングされずに残った箇所が突起23となる。エッチングは一般的なウェットエッチングやドライエッチングにより行われる。金属箔が銅の場合には、エッチング液として塩化第二鉄溶液や塩化第二銅溶液、アルカリエッチャントなどを用いることができる。
その後、図6(d)に示すように、レジスト層39を除去し、金属箔21に突起23を有する集電体20を得る。
その後、図6(e)に示すように、集電体20の表面に、負極活物質7を成膜し、負極19を得る。負極活物質7の成膜は、第1の実施形態と同様に行うことができる。さらに、第1の実施形態と同様に歪緩和層を設けて負極活物質を多層とすることが可能である。また、両面に突起を形成してさらなる高容量化が可能である。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態が奏する効果に加えて、導電性物質をレジスト間に充填するという工程が無いため、さらに量産性に優れる。
次に、第3の実施形態について説明する。
図5(b)に示すように、第3の実施形態に係る負極25は、金属箔27に突起29を有し、金属箔27の表面と突起29の側面と表面に負極活物質7の薄膜が形成されている。
金属箔27は、後述する図7に示すように、金属箔3を金型41によりプレス加工することで得られる。
突起29は、金属箔3を金型41によりプレス加工した際に形成される。突起29の高さや幅、間隔は、突起5と同様の範囲であることが好ましい。
次に、図7を用いて、負極25の製造方法を説明する。図7(a)に示すように、金属箔3を用意し、金型41の間にはさむ。その後、図7(b)に示すように、金型41により金属箔3をプレス加工し、突起29を形成する。
金型41は、金属箔のプレス加工に用いられる一般的な金型であり、型抜けしやすいような断面台形状の突起29を成型可能である。突起29は、平面から見た際に、四角形や六角形などの多角形または円形であることが好ましく、つまり突起29は、角錐台や円錐台である。また、金型41の凸部の角には、突起29の高さや金属箔3の厚みや材質に応じた角部42が形成され、金属箔3の破損やクラックが入らないように考慮されている。角部42は、Rがつけられて、つまり、丸みがつけられている。
その後、図7(c)に示すように、金属箔27を金型41から取り外し、集電体26を得る。
その後、図7(d)に示すように、集電体26の表面に、負極活物質7を成膜し、負極25を得る。負極活物質7の成膜は、第1の実施形態と同様に行うことができる。また、第1の実施形態と同様に歪緩和層を設けて負極活物質を多層としたり、両面に負極活物質7を成膜したりして、さらなる高容量化を図ることが可能である。
また、図8は、第3の実施形態に係る集電体26の変形例である集電体43、集電体49を示す図である。図8(a)に示すように、集電体43は、突起45を有する金属箔47であり、突起45は、断面台形状ではなく、断面が三角形状である。つまり、突起45は円錐形状である。また、図8(b)に示すように、集電体49は、突起51を有する金属箔53であり、突起51は、頂点がなだらかである。つまり、金属箔53は、波型にプレスされた金属箔である。なお、これらの変形例においては、突起45や突起51の間隔とは、各突起の中心間の距離のことをいうものとする。
また、図9は、第3の実施形態に係る負極25の変形例を示す図である。負極55は、金属箔27の両面に負極活物質7の薄膜を有し、片面のみ負極活物質7の薄膜を有する負極25よりも、単位面積当たりの負極活物質7の量が高密度となる。
第3の実施形態によれば、第1の実施形態が奏する効果に加えて、金属箔をプレス加工するという簡便な方法で突起を同時に形成可能であり、第1および第2の実施形態に比べて工程数が大幅に削減でき、さらに量産性に優れるという効果を有する。
次に、第4の実施形態について説明する。
図5(c)に示すように、第4の実施形態に係る負極31は、金属箔3に突起37を有し、金属箔3の表面と突起37の側面と表面に負極活物質7の薄膜が形成されている。突起37は、金属粉末33と金属ナノ粒子35からなり、金属粉末33は、金属ナノ粒子35を介して、金属箔3や金属粉末33と金属結合をしている。
金属粉末33は、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる粉末である。銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀の単体の粉末でもよいし、それぞれの合金の粉末でもよい。負極31に、十分な大きさの突起を形成するために、金属粉末33の一次粒子の平均粒径は3〜30μmであることが好ましい。
金属ナノ粒子35は、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属のナノ粒子であり、平均粒径は2〜100nmであることが好ましい。焼結により、金属ナノ粒子35は、金属箔3と金属粉末33と金属結合を形成し、金属粉末33を金属箔3に接合する。また、金属ナノ粒子35の焼結により、負極31には突起37が形成される。
金属ナノ粒子35と金属粉末33の平均粒径に関して、微粒子は通常は凝集して存在しているので、ここでは一次粒子の平均粒径を指す。粒子の計測は、電子顕微鏡(SEM)の画像情報と動的光散乱光度計(DLS)の体積基準メディアン径を併用する。なお、一次粒子とは、粒子の最小単位であって、それ以上分割されない粒子のことであり、凝集していない状態での粒子のことである。
金属ナノ粒子35の平均粒径は、SEM画像によりあらかじめ粒子形状を確認し、画像解析(例えば、旭化成エンジニアリング製A像くん)で粒径を求めたり、粒子を溶媒に分散してDLS(例えば、大塚電子製DLS−8000)により測定したりすることが可能である。微粒子が十分に分散しており、凝集していなければ、SEMとDLSでほぼ同じ測定結果が得られる。
金属ナノ粒子35は、重量に比べて、表面積が非常に大きいため、表面に存在する原子の比率が多くなり、融点が低下する。例えば、金の融点は1337Kであるが、直径5nmの金ナノ粒子の融点は1100K程度と、約200K低いという報告がある。そのため、金属ナノ粒子35を用いることで、金属ナノ粒子35と金属箔3、または金属粉末33は、融点の1/2以下の温度でも金属ナノ粒子の表面が活性となるため焼結可能となる。
金属粉末33どうしは、金属ナノ粒子35を介して金属結合で結ばれており、金属箔3の上に空隙の多いポーラス構造の膜を形成している。
金属ナノ粒子35の金属の量は、焼結前において金属粉末33の金属の粉末の量に対して2〜40重量%であることが好ましい。
次に、負極31の製造方法を説明する。ミキサーに、スラリー原料を加えて、スラリーを形成する。スラリー原料は、金属粉末33、金属ナノ粒子35、増粘剤や、溶媒などである。
ミキサーとしては、スラリーの調製に用いられる一般的な混練機を用いることができ、ニーダー、撹拌機、分散機、混合機などと呼ばれるスラリーを調製可能な装置を用いてもよい。また、増粘剤としてはカルボキシメチルセルロースなどを用いることができる。また、溶媒としては水を用いることができる。
金属ナノ粒子35は液体に分散した、分散媒体が液体で、分散相が固体であるサスペンションの状態でスラリーに加えられる。金属ナノ粒子35は激しい凝集がないように加工されている。
次に、コーターを用いて、金属箔3の片面に、スラリーを塗布し、乾燥する。乾燥後のスラリーの厚さは、約20μm〜100μmであることが好ましい。
コーターは、スラリーを金属箔3に塗布可能な一般的な塗工装置を用いることができ、例えばロールコーターやドクターブレードによるコーターである。
その後、不活性雰囲気下で、焼結する。雰囲気は、窒素やアルゴンなどの、スラリーの成分と化学反応を起こさない雰囲気を用いる。また、焼結温度は、金属ナノ粒子35に用いる金属の融点(絶対温度)の半分以下である。仮に、金属ナノ粒子35に銅ナノ粒子を用いる場合には、バルクでの銅の融点が1357Kであるので、焼結温度は、678K(=405℃)以下である。焼結温度はさらに、350℃以下であることが好ましく、実用的に200℃〜300℃であることがより好ましい。
仮に、金属ナノ粒子35を加えないで金属粉末33のみを焼結した場合、高温にしなければ焼結しない。一方、金属粉末33を加えずに金属ナノ粒子35のみを焼結した場合、空隙の少ない緻密な膜が得られることとなる。
その後、金属箔3の表面と突起37の表面と側面に、負極活物質7を成膜し、負極31を得る。負極活物質7の成膜は、第1の実施形態と同様に行うことができる。
なお、突起37の形成においては、金属粉末33と金属ナノ粒子35とを接着剤とともに金属箔3に吹き付け塗装して、乾燥させ、その後、不活性雰囲気下で金属ナノ粒子35に用いる金属の融点(絶対温度)の半分以下の温度で焼結させる方法で、突起37を形成しても良い。
また、図10は、第4の実施形態の負極31に係る集電体の変形例を示す図である。これらの集電体に、負極活物質7を成膜し、負極を作製してもよい。図10(a)に示すように、集電体57は、金属粉末33が金属箔3上に、1層で形成され、隙間58が空いていてもよい。また、図10(b)に示す集電体59のように、1層の金属粉末33の層を、両面に形成しても良い。図10(c)に示す集電体61のように、金属箔3上に、金属粉末33を部分的に2層で形成しても良いし、図10(d)に示す集電体63のように、金属箔の両面に金属粉末33を部分的に2層で形成しても良い。さらに、金属粉末33を、2層以上形成しても良いが、6層以下にすることで、金属粉末33と金属ナノ粒子35で形成する構造が強度を保つことができるとともに、負極活物質7を形成時に影となる部分を最小限に抑えることができる。また、一つの集電体中に、金属粉末33が1層の箇所と2層の箇所が混ざっていても良いし、さらに多層の箇所が含まれていても良い。
また、図10(e)に示す集電体65のように、プレスされた金属箔47の表面に金属粉末33の層を形成しても良い。なお、図10(e)においては、金属ナノ粒子35の図示は省略したが、金属粉末33と金属箔47や金属粉末同士は、焼結した金属ナノ粒子35により接合されている。また、金属粉末33は、多層で形成しても良いし、突起37が形成されるように形成しても良い。
第1の実施形態に係る負極は、図1に示すように、導電助剤を添加しなくても良いが、図11(a)に示すように、導電助剤67を負極活物質7の表面に添加しても良い。さらに、図11(b)に示すように、負極活物質7の全面を導電助剤67で被覆、あるいは図11(c)に示すように、負極活物質7を導電助剤67で埋設しても良い。導電助剤67を使用すると、これらの負極の内部抵抗を低減する作用が有り、高率での充放電特性に効果がある。また、導電助剤67を使用すると、容量の増加、負極活物質の利用率の向上、電解液分解の低減などの効果がある。第2の実施形態と第3の実施形態においても、第1の実施形態のように、導電助剤67を添加や、被覆、埋設しても良い。
導電助剤67は、導電剤とも呼ばれ、電極に添加されて導電性を高める物質である。導電助剤67は、炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀からなる群より選ばれた少なくとも1種の導電性物質からなる。導電助剤67は、炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀の単体の粉末でもよいし、これらの合金の粉末でもよい。例えば、ファーネスブラックやアセチレンブラックなどの一般的なカーボンブラックを使用できる。また、導電助剤67はこれらの導電性物質のナノワイヤーでもよく、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、銅ナノワイヤー、ニッケルナノワイヤーなどを用いることができる。
例えば、負極活物質7に導電助剤67を添加する場合には、導電助剤67をポリビニルアルコールなどの増粘剤とともに水などの溶媒に分散してスラリーとして塗布し、乾燥し、増粘剤等の有機物は焼成して炭化すればよい。
また、負極活物質7を、導電性材料で被覆してもよい。導電性材料としては、炭素、銅、スズ、亜鉛、ニッケル、銀または、これらの合金などが挙げられる。
例えば、負極活物質7を炭素系の導電性材料で被覆する場合には、金属箔3の負極活物質7に高分子材料を塗布し、焼成する方法が考えられる。例えば、3〜15wt%のポリビニルアルコール水溶液を塗布した後、不活性雰囲気下で700℃、3時間程度焼成してもよい。アルコール系樹脂のほかに、前記高分子材料としては、ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、ピッチ系樹脂およびタール系樹脂などの、熱処理により炭素系物質に焼成される高分子材料を用いることができる。特に、炭素源としてショ糖や水あめなどの糖類を用いると図11(c)のように負極活物質7を埋設することができる。
また、負極活物質7を金属系の導電性物質で被覆する場合には、金属箔3を真空チャンバー内にてスパッタリングや蒸着を用いて行う方法が考えられる。例えば、銅の被覆する場合には、銅ターゲットを設置し、金属箔3を置いた基板間に直流高電圧を印加し、Arガスを導入して負極活物質7が形成された金属箔3に銅を被覆することができる。
負極活物質7に導電助剤67を添加あるいは、導電助剤67で被覆または埋設すると、これらの負極の内部抵抗を低く抑えることができ、さらにはこれらの負極を用いたリチウムイオン二次電池は、不可逆容量の低減が可能である。不可逆容量とは、初回の充放電時の、充電容量と放電容量の容量差である。不可逆容量の原因の一つは、活物質となるシリコンが電解液に直接接することで電解液の電気化学的還元分解が生じてシリコン表面に不導体皮膜(SEI)が形成されるときに生じるものであり、負極活物質7に導電助剤67を添加あるいは導電助剤67で被覆または埋設することで、緩和することができる。このように、不可逆容量を低減することは、電解液の消耗を抑えることになり、リチウムイオン電池全体としての高容量化が可能となる。また、導電助剤67で負極活物質7を被覆あるいは埋設することで負極の内部抵抗をさらに低減することが可能となり高率での容量(ハイレート特性)に優れる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るリチウムイオン二次電池用の負極などの好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………負極
3………金属箔
5………突起
6、7………負極活物質
8………歪緩和層
9、11………レジスト層
13………集電体
15………成膜装置
17………レジスト層
19………負極
21………金属箔
23………突起
25………負極
27………金属箔
29………突起
31………負極
33………金属粉末
35………金属ナノ粒子
37………突起
39………レジスト層
41………金型
42………角部
43………集電体
45………突起
47………金属箔
49………集電体
51………突起
53………金属箔
55………負極
57………集電体
58………隙間
59………集電体
61………集電体
63………集電体
65………集電体
67………導電助剤

Claims (4)

  1. 金属箔と、
    前記金属箔上の導電性物質製の突起と、
    前記金属箔の表面、前記突起の上面および前記突起の側面に、成膜された負極活物質の薄膜と、を有し、
    前記負極活物質の薄膜が、樹脂の結着剤を含まず、前記負極活物質の薄膜の厚みが0.5〜2μmであり、
    前記突起の高さが10μm〜100μmであり、前記突起の幅が10μm〜100μmであり、前記突起の間隔が10μm〜100μmであり、
    前記突起が、1層以上積層された平均粒径3μm〜30μmの略球形状の金属粉末からなり、
    前記金属粉末と前記金属箔と、または前記金属粉末同士が、金属ナノ粒子の金属のバルクでの融点(絶対温度)の1/2以下の温度の不活性雰囲気下で前記金属箔を加熱する焼結工程により形成された前記金属ナノ粒子を介した金属結合で接合していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の負極。
  2. 金属箔に、一次粒子の平均粒径が3〜30μmである略球形状の金属粉末と、平均粒径が2〜100nmである金属ナノ粒子とを含み、前記金属ナノ粒子の金属の量が、前記金属粉末の金属の量に対して2〜40重量%であるスラリーを塗布する工程と、
    前記スラリーを塗布した前記金属箔を乾燥する工程と、
    前記金属ナノ粒子の金属のバルクでの融点(絶対温度)の1/2以下の温度の不活性雰囲気下で前記金属箔を加熱して、高さが10μm〜100μmであり、幅が10μm〜100μmであり、間隔が10μm〜100μmである突起を形成する焼結工程と、
    前記金属箔の表面、前記突起の上面および突起の側面に、厚みが0.5〜2μmである負極活物質の薄膜を形成する工程と、
    を具備することを特徴とするリチウムイオン二次電池用の負極の製造方法。
  3. 前記金属箔の表面、前記突起の上面および前記突起の側面に、負極活物質の薄膜を形成する工程を、
    CVD法、スパッタリング法、溶射法、めっき法、または蒸着法により行うことを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン二次電池用の負極の製造方法。
  4. 前記金属箔の表面、前記突起の上面および前記突起の側面に、負極活物質の薄膜を形成する工程の後に、
    前記負極活物質の薄膜上に歪緩和層を形成する工程と、
    前記歪緩和層上に負極活物質の薄膜を形成する工程と、
    をさらに具備することを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン二次電池用の負極の製造方法。
JP2009113250A 2009-05-08 2009-05-08 リチウムイオン二次電池用の負極およびその製造方法 Active JP5479775B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009113250A JP5479775B2 (ja) 2009-05-08 2009-05-08 リチウムイオン二次電池用の負極およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009113250A JP5479775B2 (ja) 2009-05-08 2009-05-08 リチウムイオン二次電池用の負極およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010262843A JP2010262843A (ja) 2010-11-18
JP5479775B2 true JP5479775B2 (ja) 2014-04-23

Family

ID=43360760

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009113250A Active JP5479775B2 (ja) 2009-05-08 2009-05-08 リチウムイオン二次電池用の負極およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5479775B2 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5387904B2 (ja) * 2009-12-17 2014-01-15 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池
DE102011003722A1 (de) * 2011-02-07 2012-08-09 Robert Bosch Gmbh Strukturierter Ableiter für Batteriezellen
JP5734790B2 (ja) * 2011-08-23 2015-06-17 株式会社Screenホールディングス 電池用電極の製造方法
JP6218349B2 (ja) 2011-09-30 2017-10-25 株式会社半導体エネルギー研究所 蓄電装置
JP6059941B2 (ja) * 2011-12-07 2017-01-11 株式会社半導体エネルギー研究所 リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
US20130236781A1 (en) * 2012-03-06 2013-09-12 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Negative electrode for secondary battery and secondary battery
KR101542055B1 (ko) 2012-04-16 2015-08-05 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 전극의 제조 방법 및 이를 사용하여 제조되는 전극
KR101618428B1 (ko) 2014-02-07 2016-05-09 고려대학교 산학협력단 리튬-황 이차전지용 전극 구조물의 제조 방법
JP6256855B2 (ja) 2014-07-15 2018-01-10 川上 総一郎 二次電池用負極材料、電極構造体、二次電池、及びこれらの製造方法
JP6621637B2 (ja) * 2015-09-30 2019-12-18 マクセル株式会社 酸素センサ
JP6998550B2 (ja) * 2017-05-18 2022-02-10 パナソニックIpマネジメント株式会社 リチウム二次電池
KR20220017484A (ko) * 2019-07-09 2022-02-11 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 비수 전해질 2차 전지의 집전체용의 크롬 함유 강판 및 그의 제조 방법
JP7148489B2 (ja) * 2019-12-25 2022-10-05 三洋化成工業株式会社 リチウムイオン電池用集電体、リチウムイオン電池用集電体の製造方法及びリチウムイオン電池用電極
JP7097399B2 (ja) * 2020-03-10 2022-07-07 三洋化成工業株式会社 リチウムイオン電池用集電体及びリチウムイオン電池用電極
EP4059999A1 (en) * 2019-11-14 2022-09-21 APB Corporation Lithium ion battery collector, production method for lithium ion battery collector, and lithium ion battery electrode
JP7148479B2 (ja) * 2019-11-14 2022-10-05 三洋化成工業株式会社 リチウムイオン電池用集電体及びリチウムイオン電池用電極
CN117276467A (zh) * 2022-06-14 2023-12-22 广东小天才科技有限公司 锂二次电池负极及其制备工艺

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100382767B1 (ko) * 2001-08-25 2003-05-09 삼성에스디아이 주식회사 리튬 2차 전지용 음극 박막 및 그의 제조방법
JP2004039407A (ja) * 2002-07-02 2004-02-05 Nec Corp 二次電池用負極およびその製造方法並びに該負極を用いた二次電池
JP2005116509A (ja) * 2003-09-18 2005-04-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解質二次電池用負極とこれを用いた非水電解質二次電池
KR20090045365A (ko) * 2006-08-29 2009-05-07 파나소닉 주식회사 집전체, 전극 및 비수 전해질 이차 전지
JP4957167B2 (ja) * 2006-10-13 2012-06-20 パナソニック株式会社 集電体、非水電解質二次電池用極板、およびそれを用いた非水電解質二次電池の製造方法
JP4322312B2 (ja) * 2006-11-16 2009-08-26 パナソニック株式会社 蓄電デバイス
KR101148610B1 (ko) * 2006-12-27 2012-05-21 파나소닉 주식회사 전지, 전극 및 이들에 이용하는 집전체
JP2008262810A (ja) * 2007-04-12 2008-10-30 Sony Corp 電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010262843A (ja) 2010-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5479775B2 (ja) リチウムイオン二次電池用の負極およびその製造方法
JP5156406B2 (ja) リチウム二次電池用正極及びその製造方法、並びにリチウム二次電池
JP6782461B2 (ja) 非水電解質二次電池用負極活物質
JP5910164B2 (ja) 非水電解質二次電池
WO2015045385A1 (ja) 非水電解液二次電池用負極、非水電解液二次電池、及び非水電解液二次電池用負極の製造方法
JP4502311B2 (ja) リチウム二次電池の製造方法
WO2012099264A1 (ja) 電気化学素子用電極の製造方法および電気化学素子
JP5448555B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極、それを用いたリチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用の負極作製用のスラリー、リチウムイオン二次電池用負極の製造方法
KR20150132463A (ko) 보다 두꺼운 전극 제조를 가능하게 하기 위한 다층 배터리 전극 설계
JP2010218849A (ja) リチウムイオン二次電池用の負極、それを用いたリチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用の負極に用いられる集電体、リチウムイオン二次電池用の負極の製造方法
JP7211119B2 (ja) 二次電池及び二次電池の製造方法
JP4988169B2 (ja) リチウム二次電池
KR100842930B1 (ko) 리튬 이차 전지용 음극, 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지
JP2011159421A (ja) 正極活物質および非水電解質二次電池
JP5775444B2 (ja) 非水電解質電池用電極および非水電解質電池
JP4502332B2 (ja) シート状の正極の製造方法
WO2019156172A1 (ja) リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用負極構造体、及びリチウムイオン二次電池の製造方法
WO2015132845A1 (ja) 全固体電池
JP2016170945A (ja) 非水二次電池
JP2019169346A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2014175155A (ja) 非水電解液二次電池用電極、その製造方法、及び非水電解液二次電池
JP2017103202A (ja) リチウムイオン二次電池
JP5919929B2 (ja) リチウムイオン二次電池用電極の製造方法
JP7149160B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池
JP2019220357A (ja) リチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130828

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130903

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131029

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131203

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140106

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20140120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140213

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5479775

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350