JP2008262810A - 電池 - Google Patents

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良和 加藤
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Abstract

【課題】十分な容量を確保しつつ、より高い安全性を有する電池を提供する。
【解決手段】巻回体30の最外周部分では、正極集電体12の露出領域と負極集電体22の露出領域とがセパレータ31を介して互いに対向して配置されている。これらの露出領域は、巻回方向において、巻回体30の1周分に相当する長さを有している。負極集電体22は、銅箔などの基材の上に、同じく銅からなる粒子状の突起部が複数設けられた構造となっている。したがって、負極集電体22のうち、負極活物質層23によって覆われる被覆領域およびそれ以外の露出領域における表面粗さは、Rz値で2.0μm以上10.0μm以下である。これにより、負極集電体22と負極活物質層23との密着性が高まる一方、巻回体30が変形した場合には、セパレータ31が突起部によって裂かれ、正極集電体12の露出領域と負極集電体22の露出領域とが短絡する。
【選択図】図2

Description

本発明は、正極および負極と、それらの間に設けられたセパレータとの積層構造を有する巻回体を備えた電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ),携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。これらの電子機器のポータブル電源として用いられている電池、特に二次電池はキーデバイスとして、エネルギー密度の向上を図る研究開発が活発に進められている。中でも、非水電解質二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるので、その改良に関する検討が各方面で行われている。
リチウムイオン二次電池に使用される負極活物質としては、比較的高容量を示し良好なサイクル特性を有する難黒鉛化性炭素あるいは黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。
さらに、近年の高容量化への要求に応えるべく、炭素化原料と作製条件とを選ぶことにより炭素材料を採用しつつ高容量を達成する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような炭素材料を用いた場合には、負極放電電位が対リチウム(Li)で0.8V〜1.0Vであるので、電池を構成したときの電池放電電圧が低くなることから、電池エネルギー密度の点では大きな向上が見込めない。さらには、充放電曲線形状にヒステリシスが大きく、各充放電サイクルでのエネルギー効率が低いという欠点もある。
一方で、炭素材料を上回る高容量の負極活物質として、ある種の金属がリチウムと電気化学的に合金化し、これが可逆的に生成・分解することを応用した合金材料が開発され、これに関する研究も進められている。さらには、サイクル特性を改善する手法として、スズやケイ素(Si)を合金化してこれらの膨張を抑制することが検討されている。例えば、鉄などの遷移金属とスズとを合金化することが提案されている(特許文献2〜4,非特許文献1〜3参照)。このほかにも、MgSiなども提案されている(非特許文献4参照)。
特開平8−315825号公報 特開2004−22306号公報 特開2004−63400号公報 特開2005−78999号公報 「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p405 「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p414 「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p423 「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p4401
しかしながら、最近では、さらなる高容量化への要求が高まる一方、安全性の向上についても強く要求されるようになっている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、十分な容量を確保しつつ、より高い安全性を有する電池を提供することにある。
本発明の電池は、それぞれ集電体に活物質層が選択的に形成されてなる正極および負極と、正極および負極の間に位置するセパレータとの積層構造を含む巻回体を備えるようにしたものである。この巻回体の外周側端部では、正極および負極における各集電体のうちの、活物質層によって覆われた被覆領域以外の露出領域がセパレータを介して互いに対向している。正極および負極の集電体のうちの少なくとも一方における露出領域は、粒子状の突起部を有し、Rz値で2.0μm以上10.0μm以下の表面粗さとなっている。ここでいうRz値とは、JIS B0601付属書1記載の5点平均の表面粗さを意味する。
本発明の電池では、正極および負極における各々の集電体の露出領域が巻回体の最外周においてセパレータを介して互いに対向しており、それらの露出領域のうちの少なくとも一方には粒子状の突起部が設けられ、Rz値で2.0μm以上10.0μm以下の表面粗さとなっているので、巻回体の変形を伴うような外力が加わった場合、粒子状の突起部がセパレータを貫通することで正極および負極の露出領域同士が速やかに接触することになる。
本発明の電池によれば、巻回体の外周側端部において、正極における集電体の露出領域と、負極における集電体の露出領域とをセパレータを介して対向させ、それらの露出領域のうちの少なくとも一方に粒子状の突起部を設けることで、その露出領域の表面粗さをRz値で2.0μm以上10.0μm以下としたので、過度な外力により巻回体が変形するような場合には、正極および負極の露出領域同士を速やかに接触させ、確実に短絡を発生させることができる。したがって、巻回体に含まれる正極活物質や負極活物質からの発熱を抑制することができ、安全性が向上する。さらに、このような短絡機構を構成するにあたり新たな部材を追加する必要がないので、構造上および製造上の簡素化を妨げることがない。よって、小型化および量産化に適している。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明における一実施の形態としての二次電池を分解して表すものである。この二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型といわれ、正極リード11および負極リード21が取り付けられた巻回体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化に適している。
正極リード11および負極リード21は、それぞれ、外装部材40の内部から外部へ向けてほぼ同一方向に導出されている。正極リード11および負極リード21は、例えば、アルミニウム(Al),銅(Cu),ニッケル(Ni)あるいはステンレス鋼などの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状となっている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード11および負極リード21との間には、外気などの侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード11および負極リード21に対して密着性を有する材料であるポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図2は、図1に示した巻回体30のII−II線に沿った断面構造を表すものである。巻回体30は、正極10と負極20とがセパレータ31および電解質層32を介して積層されて巻回されたものであり、最外周部は保護テープ33により保護されている。さらに、巻回体30の最外周部分では、後出の正極集電体12の露出領域12E1と負極集電体22における露出領域22E2とが互いに対向して配置されている。露出領域12E1,22E2は、巻回方向において、巻回体30の1周分に相当する長さを有している。なお、この二次電池では、負極20の最外周部分が正極10の最外周部分よりも外側となっているが、正極10の最外周部分が負極20の最外周部分よりも外側となっていてもよい。
図3は、図2に示した正極10を展開して表すものである。具体的には、図3(A)が平面図であり、図3(B)が図3(A)のIIIB−IIIB線に沿った矢視方向の断面図である。正極10は、図3(A),図3(B)に示したように、帯状の正極集電体12の両面に正極活物質層13が選択的に設けられた構造を有している。
正極集電体12の一方の面は、正極活物質層13に覆われた被覆領域12A1と、この被覆領域12A1を挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、正極活物質層13が存在せずに正極集電体12の表面が露出した状態である露出領域12S1,12E1とを有している。正極集電体12の他方の面は、正極活物質層13に覆われた被覆領域12A2と、この被覆領域12A2を挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、正極集電体12の表面が露出した状態である露出領域12S2,12E2とを有している。ここでは、被覆領域12A1および露出領域12S1,12E1を有する面が巻回体30の内側を向き、被覆領域12A2および露出領域12S2,12E2を有する面が巻回体30の外側を向くこととなる。巻回外周側では、外側の面となる露出領域12E1が内側の面となる露出領域12E2よりも大きな面積を有しており、巻回中心側では、内側の面となる露出領域12S2が外側の面となる露出領域12S1よりも大きな面積を有している。また、正極リード11は、露出領域12S1に設けられている。
正極集電体12は、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。
正極活物質層13は、例えば、正極活物質と、導電材と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着材とを含んで構成されている。導電材としては、例えば、黒鉛,カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、そのうちの1種または2種以上が混合して用いられる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料あるいは導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。結着材としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム,フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンゴムなどの合成ゴム、またはポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられ、そのうちの1種または2種以上が混合して用いられる。
正極活物質は、軽金属であるリチウムを吸蔵および離脱することの可能な正極材料の1種または2種以上を含むものである。そのような正極材料としては、例えば、一般式がLip Mn(1-p-q-r) Niq MIr 2-s t 2で表される層状岩塩型のリチウム複合酸化物が挙げられる。式中のMIは、例えばコバルト(Co),マグネシウム(Mg),アルミニウム,ホウ素(B),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),鉄,銅(Cu),亜鉛(Zn),ジルコニウム(Zr),モリブデン(Mo),スズ(Sn),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)のうちの1種以上の金属元素を表す。p,q,r,s,tは、それぞれ、例えば0<p≦0. 2,0. 1≦q≦0. 8,0≦r≦0. 5,−0. 1≦s≦0. 2,0≦t≦0.1の範囲内の値である。あるいは、一般式がLia Mn(2-b) MIIで表されるスピネル型のリチウム複合酸化物を正極材料として用いるようにしてもよい。式中、MIIは、コバルト,ニッケル,マグネシウム,アルミニウム,ホウ素,チタン,バナジウム,クロム,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,スズ,カルシウム,ストロンチウムおよびタングステンのうちの1種以上の金属元素を表す。a,b,c,dは、それぞれ、例えばa≧0.9,0≦b≦0.6,3.7≦c≦4.1,0≦d≦0.1の範囲内の値である。さらには、一般式がLiX MIIIPO4で表されるオリビン型のリチウム複合酸化物を正極材料として用いることも可能である。xは、例えばx≧0.9を満たす値である。
なお、このような正極材料は、例えば、リチウムの炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは水酸化物と、遷移金属の炭酸塩,硝酸塩,酸化物あるいは水酸化物とを所望の組成になるように混合し、粉砕したのち、酸素雰囲気中において600℃〜1000℃の範囲内の温度で焼成することにより調製される。
図4は、図2に示した負極20を展開して表すものである。具体的には、図4(A)が平面図であり、図4(B)が図4(A)のIVB−IVB線に沿った矢視方向の断面図である。負極20は、図4(A),図4(B)に示したように、帯状の負極集電体22の両面に負極活物質層23が選択的に設けられた構造を有している。
負極集電体22の一方の面は、負極活物質層23に覆われた被覆領域22A1と、この被覆領域22A1を挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、負極活物質層23が存在せずに負極集電体22の表面が露出した状態である露出領域22S1,22E1とを有している。負極集電体22の他方の面は、負極活物質層23に覆われた被覆領域22A2と、この被覆領域22A2を挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、負極集電体22の表面が露出した状態である露出領域22S2,22E2とを有している。ここでは、被覆領域22A1および露出領域22S1,22E1を有する面が巻回体30の外側を向き、被覆領域22A2および露出領域22S2,22E2を有する面が巻回体30の内側を向くこととなる。巻回外周側では、外側の面となる露出領域22E1が内側の面となる露出領域22E2よりも大きな面積を有しており、巻回中心側では、露出領域22S2と露出領域22S1とが同等の面積を有している。また、負極リード21は、露出領域22S2に設けられている。
図5は、図4(B)に示した負極20の要部を拡大した断面図である。図5に示したように、負極集電体22は、基材221の上に粒子状の突起部222が複数設けられた構造となっている。突起部222が設けられた負極集電体22の表面粗さは、JIS B0601付属書1記載の5点平均の表面粗さを表すRz値で2.0μm以上10.0μm以下である。被覆領域22A1,22A2においては、突起部222によるアンカー効果により、負極集電体22と負極活物質層23との密着性が向上することとなる。
さらに、露出領域22E2はセパレータ31を介して正極集電体12の露出領域12E1と対向している。露出領域22E2には突起部222が設けられているので、外部から過度な負荷が加えられて巻回体30が変形するような異常が発生した場合(例えば圧壊した場合)、セパレータ31が突起部222によって裂かれることで負極集電体22の露出領域22E2と正極集電体12の露出領域12E1とが速やかに接触し、短絡が生じることとなる。ここで、突起部222が大きいほど(Rz値が大きいほど)介在するセパレータ31を裂きやすくなるが、あまり大きすぎると突起部222自体が脱落してしまったり、組み立て時にセパレータを裂いて正極集電体12と短絡してしまったりするおそれが生じる。そこで本実施の形態ではRz値を2.0μm以上10.0μm以下とし、異常時の変形によって突起部222の脱落を伴うことなくセパレータ31が容易に裂け、露出領域22E2と露出領域12E1との短絡が確実に生じるようにしている。
但し、露出領域22S2の一部を占める平滑領域22Rにおいては、突起部222が設けられておらず、基材221の平滑な表面が露出した状態となっている。すなわち、平滑領域22Rの表面粗さは、露出領域22S2における他の領域(平滑領域22Rを除いた領域)よりも小さくなっており、具体的にはJIS B0601付属書1記載の5点平均の表面粗さを表すRz値で0.2μm以下であることが望ましい。負極リード21は、このような平滑領域22Rに設けられているので、界面21Kにおいて基材221と十分に密接した接合状態を構成することとなる。
基材221は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない金属元素を含む金属材料により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、構造破壊が起こって、集電性が低下するうえ、負極活物質層23を支える能力が小さくなるからである。なお、ここでいう金属材料とは、金属元素の単体のみならず、2種以上の金属元素あるいは1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなる合金をも含む概念である。リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素としては、例えば、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti),鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)が挙げられる。これらの金属元素を含む金属箔であれば、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を得ることができる。
また、基材221は、負極活物質層23と合金化することが可能な金属元素を含む方がより好ましい場合もある。合金化により負極集電体22と負極活物質層23との密着性をより向上させることができるからである。リチウムと金属間化合物を形成せず、負極活物質層23と合金化する金属元素、すなわちケイ素と合金化する金属元素としては、銅,ニッケルあるいは鉄が挙げられる。中でも、銅は導電性および強度の面からも好ましい。
基材221は、単層構造としてもよいが、複数層からなる多層構造としてもよい。基材221を多層構造とする場合、例えば負極活物質層23と接する層を負極活物質層23と合金化しやすい金属材料により構成し、それ以外の層を他の金属材料により構成するようにすればよい。
突起部222は、負極活物質層23と合金化することが可能な元素を含むことが好ましい。合金化により、被覆領域22A1,22A2において負極集電体22と負極活物質層23との密着性をより向上させることができるからである。硅素と合金化しやすい元素としては、例えば、銅,ニッケル,鉄,アルミニウム,インジウム(In),コバルト(Co),マンガン(Mn),亜鉛(Zn),銀(Ag),スズ(Sn),ゲルマニウム(Ge)あるいは鉛(Pb)が挙げられる。突起部222の構成元素は、基材221と同一でも異なっていてもよい。
突起部222の形状は、球状あるいは角状などどのような形状でもよい。突起部222は、例えば電解析出法によって形成されるものである。
負極活物質層23は、負極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含むものであり、必要に応じて結着材のほか、黒鉛、カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの導電材を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。この負極材料は、金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またはそれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するものでもよい。なお、本発明における合金には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素および1種以上の半金属元素を含むものも含まれる。もちろん、上記した合金は、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素および半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素および半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム、ホウ素(B)、アルミニウム、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)などが挙げられる。中でも、特に好ましいのは、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種である。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を含む負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金、あるいは化合物、またはスズの単体、合金、あるいは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
ケイ素の化合物あるいはスズの化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、ケイ素またはスズに加えて、上記した第2の構成元素を含んでいてもよい。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料も挙げられる。この炭素材料としては、例えば、易黒鉛化炭素、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化炭素あるいは(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などが挙げられる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成し、炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、例えば、その他の負極材料と共に用いることにより、高エネルギー密度を得ることができると共に優れたサイクル特性を得ることができる上、さらに導電剤としても機能するので好ましい。
さらに、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物あるいは高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどが挙げられ、高分子化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
負極活物質層23は、例えば、気相法,液相法,焼成法および溶射法からなる群のうちの1種以上の方法により少なくとも一部が形成されたものであることが好ましく、それらの2種以上を組み合わせて形成されたものでもよい。充放電に伴う負極活物質層23の膨張・収縮による破壊を抑制することができると共に、負極集電体22と負極活物質層23とを一体化することができ、負極活物質層22における電子伝導性を向上させることができるからである。なお、「焼成法」というのは、活物質を含む粉末とバインダーとを混合し成形した層を、非酸化性雰囲気下等で熱処理することにより、熱処理前よりも体積密度が高く、より緻密な層を形成する方法である。
負極活物質層23は、負極集電体22との界面の少なくとも一部において負極集電体22と合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体22の構成元素が負極活物質層23に、または負極活物質層23の構成元素が負極集電体22に、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。密着性を向上させることができ、負極活物質層23が膨張収縮により負極集電体22から脱落してしまうことを抑制することができるからである。なお、上述した元素の拡散も合金化の一形態に含める。
負極活物質層23は、また、導電性粒子と結着材との混合物を有するものとしてもよい。これにより負極活物質層23は、導電性を確保しつつ、自らの膨張収縮による応力を緩和し、負極集電体22との密着性をより高めることができる。
その場合の導電性粒子としては、例えば硅素(Si),金(Au),銀(Ag),銅,スズ(Sn),ビスマス(Bi),亜鉛(Zn),ニッケル,パラジウム(Pd),クロム(Cr),インジウム(In),アンチモン(Sb),アルミニウム,ゲルマニウム(Ge),タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),チタン(Ti)もしくはマグネシウム(Mg)の単体またはそれらの合金からなるものが挙げられる。導電性粒子は、特に、硅素を構成元素として含んでいることが望ましい。硅素はリチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。導電性粒子の平均粒子径は、0.5μm以上5.0μm以下であることが望ましい。平均粒子径があまりにも小さいと凝集してしまい、導電性にばらつきが生じてしまう。また、平均粒子径が大きすぎると導電性粒子同士の接触性が低下し、導電性の低下を招くこととなる。
結着材としては、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が挙げられ、そのいずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。熱可塑性樹脂としては、水素結合性の官能基を有するものが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。これは、金属との間で水素結合をすることにより濡れ性がよくなるためであると考えられる。水素結合性を有する官能基としては、例えば、水素基、アミド基、ウレア基、イミド基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン基、あるいはケトン基が挙げられる。水素結合性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリビニルエーテル、ポリサルホン、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマーサル、ポリ酢酸ビニル、メタクリル樹脂、あるいはアイオノマー樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、メラミン樹脂、あるいはウレア樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビルフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェノルエタン型エポキシ樹脂、ポリアルコールポリグリコール型エポキシ樹脂、グリセリントリエーテル型エポキシ樹脂、ポイオレフィン型エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、シクロペンタジエンジオキシド、あるいはビニルシクロヘキセンジオキシドが挙げられる。中でも、ビルフェノールA型エポキシ樹脂あるいはノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
セパレータ31は、正極10と負極20とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ31は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多硬質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ31を構成する材料として好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であればポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたり、またはブレンド化したりすることで用いることができる。
セパレータ31は、特に、5μm以上25μm以下の厚みを有し、200グラム重(gf)以上800gf以下の突き刺し強度を有し、30%以上60%以下の空孔率を有し、100秒/cm3 以上1000秒/cm3以下の透気度を有するものが好ましい。
セパレータ31の上に設けられた電解質層32は、電解質塩であるリチウム塩を液状の溶媒(例えば有機溶剤などの非水溶媒)に溶解させた電解液を含有している。
この非水溶媒は、鎖状炭酸エステルおよび環状炭酸エステルからなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、1,3−ジオキソール−2−オン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホランあるいはジメチルスルホキシド燐酸などである。これらを含むことで、より良好なサイクル特性が得られる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。中でも、溶媒は、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)とを混合して含んでいるのが好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
特に、鎖状炭酸エステルおよび環状炭酸エステルは、化1に示したハロゲンを構成元素として有する鎖状炭酸エステルおよび化2に示したハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルからなる群のうちの少なくとも1種を含んでいるのが好ましい。より高い効果が得られるからである。
Figure 2008262810
(R1〜R6は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基を表し、それらは互いに同一でもよいし異なってもよい。但し、R1〜R6のうちの少なくとも1つはハロゲンを構成元素として有する。)
Figure 2008262810
(R7〜R10は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基を表し、それらは互いに同一でもよいし異なってもよい。但し、R7〜R10のうちの少なくとも1つはハロゲンを構成元素として有する。)
化1に示したハロゲンを構成元素として有する鎖状炭酸エステルは、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)あるいは炭酸ジフルオロメチルメチルなどである。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。
化2に示したハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルとしては、R7〜R10がアルキル基あるいはハロゲン化アルキル基である場合、それらの炭素数が1あるいは2程度であるものが好ましい。具体的には、化3および化4に示した一連の化合物が挙げられる。すなわち、化3に示した(1)の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(2)の4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(3)の4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(4)のテトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(5)の4−フルオロ−5−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(6)の4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(7)のテトラクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(8)の4,5−ビストリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(9)の4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(10)の4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(11)の4−メチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(12)の4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。また、化4に示した(1)の4−トリフルオロメチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(2)の4−トリフルオロメチル−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(3)の4−フルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(4)の4,4−ジフルオロ−5−(1,1−ジフルオロエチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、(5)の4,5−ジクロロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、(6)の4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(7)の4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(8)の4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、(9)の4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。中でも、ハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルは、化3(1)の4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましく、化3(3)の4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンがより好ましい。容易に入手可能であると共に、より高い効果が得られるからである。特に、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとしては、より高い効果を得るために、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。
Figure 2008262810
Figure 2008262810
リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF),四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF),六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF),六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF),過塩素酸リチウム(LiClO),四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl)などの無機リチウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(CFSOLi),リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド((CFSONLi),リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホン)イミド((CSONLi),リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド((CFSOCLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウムリチウム塩が挙げられる。リチウム塩は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上混合して用いる場合、LiPF6 を主成分とすることが望ましい。LiPF6 は、導電率が高く、酸化安定性にも優れているからである。
これらリチウム塩の含有量(濃度)は溶媒に対して0.5mol/kg以上3.0mol/kg以下の範囲内であることが好ましい。この範囲外ではイオン伝導度の極端な低下により十分な電池特性が得られなくなる恐れがあるからである。
また、電解質層32としては、高分子化合物に電解液を保持させたゲル状の電解質によって構成するようにしてもよい。高分子化合物は、例えば、フッ化ビニリデンを成分として含む重合体である。具体的には、ポリフッ化ビニリデンあるいはフッ化ビニリデンを成分とする共重合体が挙げられる。共重合体の具体例としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体,フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、あるいはこれらにさらに他のエチレン性不飽和モノマーを共重合したものなどが挙げられる。フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いる場合、この共重合体に対する電解液の存在比(重量比)は、5以上12以下とすることが望ましい。このほか、高分子化合物としては、ポリアクリロニトリル,ポリエチレンオキシド,ポリメチルメタクリレート,ポリ塩化ビニルあるいはこれらの誘導体も用いることができる。高分子化合物には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極活物質と結着材と導電材とを混合して正極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させることにより正極合剤スラリーを作製する。次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体12の両面または片面に塗布し乾燥させ、ロールプレス機などで圧縮成型して正極活物質層13を形成する。続いて、正極集電体12に正極リード11を、超音波溶接やスポット溶接などにより接合することで正極10を作製する。
負極20については、以下のように作製する。
まず、基材221としての金属箔を用意し、これに電解析出法などにより突起部222を全面に亘って形成して負極集電体22を作製する。その際、基材221に電解銅箔を用いるようにすれば、容易に負極集電体22を製造することができるので好ましい。
次いで、負極集電体22の被覆領域22A1,22A2に、例えば、気相法,液相法,焼成法,溶射法あるいはそれらの2以上の方法を用いて負極活物質層23を成膜する。気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法が挙げられ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,あるいはCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法などが挙げられる。液相法としては例えば鍍金が挙げられる。負極活物質層23を成膜したのち、ロールプレス機などで圧縮成型するようにしてもよい。
負極活物質層23を成膜したのち、露出領域22S2における一部の突起部222をロールプレス機などにより圧縮して(塑性変形させて)平坦化し、平滑領域22Rを形成する。次いで、負極リード21を、平滑領域22Rに超音波溶接やスポット溶接などにより接合することで負極20を作製する。なお、この際、露出領域22S2の全てを平滑領域としてもよいが、露出領域22S2のうち、少なくとも負極リード21と接合することとなる領域を平滑領域22Rとすればよい。
なお、負極活物質層23の成膜時に、負極活物質層23と負極集電体22との合金化が同時に起こる場合もあるが、負極活物質層22を成膜したのちに、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行い、合金化するようにしてもよい。これにより図4などに示した負極20が得られる。
続いて、正極10と負極20とをセパレータ31を介して積層して巻回したのち、最外周部に保護テープ33を接着することで巻回体30を形成する。次いで、巻回体30を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。さらに電解液を外装部材40の内部に注入したのち、外装部材40の開口部を熱融着して密封する。その際、正極リード11および負極リード21と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図1および図2に示した二次電池が完成する。
また、電解液を高分子化合物に保持させる場合には、以下のように製造するとよい。まず、上述した方法により形成した巻回体30を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、必要に応じて重合開始剤と、重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入したのち、外装部材40の開口部を熱融着して密封する。そののち、必要に応じて熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層32を形成し、図1および図2に示した二次電池を組み立てるようにすればよい。
なお、巻回体30を作製してから電解質用組成物を注入するのではなく、例えば、正極10および負極20の上に電解質用組成物を塗布したのちに巻回したものを外装部材40の内部に封入し、さらに必要に応じて加熱して電解質層32を形成するようにしてもよい。また、正極10および負極20の上に電解質用組成物を塗布し、必要に応じて加熱して電解質層32を形成したのちに巻回し、外装部材40の内部に封入するようにしてもよい。但し、外装部材40の内部に封入したのちに電解質層32を形成するようにした方が好ましい。電解質層32とセパレータ31との界面接合を十分に向上させることができ、内部抵抗の上昇を抑制することができるからである。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層13からリチウムイオンが放出され、電解質層32を介して負極活物質層23に吸蔵される。一方、放電を行うと、負極20からリチウムイオンが放出され、電解質層32を介して正極10に吸蔵される。本実施の形態では、被覆領域22A1,22A2に突起部222を備えた負極集電体22を用いているので、負極集電体22と負極活物質層23との密着性が向上しており、充放電により負極活物質層23が膨張収縮しても、負極集電体22からの負極活物質層23の剥離や脱落が抑制される。その一方で、突起部222の存在しない平滑な表面を有する平滑領域22Rに負極リード21が設けられているので、負極リード21と基材221とが界面21Kにおいて十分に密接した接合状態となる。
このように本実施の形態によれば、基材221の表面に突起部222を設けるようにしたので、負極集電体22と負極活物質層23との密着性を向上させ、負極活物質層23の剥離を抑制することができる一方、負極リード21を、より小さな表面粗さを有する平滑領域22Rに設けるようにしたので、負極集電体22と負極リード21との接合抵抗(インピーダンス)を低く抑えることができる。よって、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、露出領域22E2の突起部222がセパレータ31を介して露出領域12E1と対向しているので、巻回体30が変形するような過度な外力が加えられる異常時には、セパレータ31が突起部222によって裂かれることで負極集電体22と正極集電体12との短絡が速やかに生じることとなる。したがって、異常時における巻回体30に含まれる正極活物質や負極活物質からの発熱を抑制することができ、極めて高い安全性を実現することができる。さらに、このような短絡機構を構成するにあたり新たな部材を追加する必要がないので、構造上および製造上の簡素化を妨げることがない。よって、本実施の形態の二次電池は、小型化および量産化に適している。
さらに、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1)
本実施例では、上記実施の形態に対応した二次電池を以下の要領で作製した。
まず、基材221として厚み15μmの電解銅箔を用意し、電解析出法により突起部222を形成することにより負極集電体22を作製した。一方で、負極活物質として平均粒子径が2μmの硅素粉末と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)を溶媒とするポリアミック酸溶液とを80:20の質量比で混合したのち、さらにNMPで希釈することにより負極合剤スラリーを得た。次いで、得られた負極合剤スラリーを、上記の負極集電体22の被覆領域22A1,22A2に均一に塗布し乾燥させた。こののち、真空雰囲気中で3時間に亘る400℃の加熱処理を行うことで、焼結した硅素を負極活物質として含み、かつ、ポリイミドを結着材として含む負極活物質層23を形成し、所定の寸法を有するように短冊状に切断した。ここでは、負極活物質層23の厚み(片面)を30μmとした。さらに、負極集電体22の露出領域22S2の一部をロールプレス機で圧縮成型することで、平滑領域22Rを形成し、その平滑領域22Rに、ニッケルからなる負極リード21を超音波溶接により接合することで負極20を得た。
このようにして得た負極20について負極集電体22の表面粗さを測定したところ、Rz値で2.0μmであることが確認された。表面粗さについては、アルバック社製の触針式表面形状測定器「Dektak3」で測定を行い、負極集電体22の巻回方向と直交する幅方向に針を走査し、任意に抽出した5点の平均値を求めた。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察によっても、被覆領域および露出領域(平滑領域を除く)の全てに亘って表面粗さがRz値で2.0μmであることが確認された。
続いて、正極活物質としての平均粒径10μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )粉末95質量部と、導電材としてのカーボンブラック1質量部と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン4質量部とを混合し、これを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに投入して混練することで正極合剤スラリーとした。次いで、これを厚み15μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体12に均一に塗布して乾燥させたのちロールプレス機で圧縮成型することで、正極活物質層13を形成した。さらに、アルミニウムからなる正極リード11を超音波溶接により接合することで正極10を得た。
正極10および負極20を作製したのち、厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータ31を介して正極10と負極20とを積層し、巻回して巻回体30を作製した。この際、巻回体30の最外周となる全ての部分(1周分)において、正極集電体12の露出領域12E1および負極集電体22の露出領域22E2がセパレータ31を介して互いに対向するようにした。
続いて、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを炭酸エチレン:炭酸ジエチル=3:7の質量比で混合した溶媒にLiPF6を1mol/dm3 の濃度で溶解させることで電解液を調整した。
次いで、巻回体30をアルミラミネートフィルムよりなる外装部材40の間に挟み込んだのち、外装部材40の外縁部同士を、一辺を残して貼り合わせ袋状とした。その際、正極リード11および負極リード21を外装部材40の外部に導出させるようにした。
最後に、外装部材40の内部に開放辺から電解液を注入し、外装部材40の開放辺を熱融着により貼り合わせることにより実施例1−1の二次電池を得た。
(実施例1−2)
次に、負極20を以下のようにして作製したことを除き、他は実施例1−1と同様にして実施例1−2の二次電池を作製した。
負極20については、以下のように作製した。まず、基材221として厚み15μmの電解銅箔を用意し、電解析出法により突起部222を形成することにより負極集電体22を作製したのち、負極集電体22の両面に、電子ビーム蒸着法を用いて硅素の薄膜を蒸着させると共に抵抗加熱蒸着法により二酸化硅素を蒸着させた。この結果、8μmの厚みを有する酸素含有硅素膜からなる負極活物質層23を得た。なお、蒸着時には、走査方向の両端領域に遮蔽板を設置し、蒸着されない領域(負極集電体22の露出領域)を確保するようにした。得られた負極活物質層23についてエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)によって元素分析を行ったところ、硅素(Si)と酸素(O)との存在比が85:15であった。また、X線光電子分光法により硅素(Si)の結合状態を調査した結果、単体のSi、SiOおよびSiO2 のほか、準安定状態のSiOx が含まれていることが確認された。さらに、上記の触針式表面形状測定器による測定およびSEMによる断面観察により、負極集電体22における被覆領域および露出領域(平滑領域を除く)の全てに亘って表面粗さがRz値で2.0μmであることを確認した。
(実施例1−3)
次に、負極20を以下のようにして作製したことを除き、他は実施例1−1と同様にして実施例1−3の二次電池を作製した。
負極20については、以下のように作製した。まず、基材221として厚み15μmの電解銅箔を用意し、電解析出法により突起部222を形成することにより負極集電体22を作製した。こののち、平均粒子径が20μmの球状人造黒鉛の粒子と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電材としての炭素繊維とを90:7:3の質量比で混合して負極合剤を調整し、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとした。この負極合剤スラリーを負極集電体22の被覆領域22A1,22A2に均一に塗布し乾燥させることで、100μmの厚みを有する負極活物質層23を得た。上記の触針式表面形状測定器による測定およびSEMによる断面観察により、負極集電体22における被覆領域および露出領域(平滑領域を除く)の全てに亘って表面粗さがRz値で2.0μmであることを確認した。
(比較例1−1〜1−3)
実施例1−1〜1−3に対する比較例1−1〜1−3として、巻回体30の最外周において、正極集電体12の露出領域と負極集電体22の露出領域とがセパレータ31を介して互いに対向するようにしなかったことを除き、他は実施例1−1〜1−3と同様にして二次電池を作製した。
(比較例1−4〜1−6)
実施例1−1〜1−3に対する比較例1−4〜1−6として、負極集電体22における表面粗さを全面に亘って小さく(Rz値で0.2μm)としたことを除き、他は実施例1−1〜1−3と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例1−1〜1−3および比較例1−1〜1−6の各二次電池について、圧壊試験を行って発火や破裂の有無を調べた。得られた結果を表1に示す。この圧壊試験は、常温(23℃)下で以下のように実施した。まず、設計定格容量の1Cに相当する電流で4.4Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.4Vの定電圧で定電圧充電を行い満充電状態とした。この状態で、熱電対温度計によって外装部材40の表面温度を計測すると共に外観を観察しながら、外装部材40のほぼ中央部に直径10mmの丸棒を押し付けることで各二次電池をほぼ完全に潰すようにした。ここでは、表面温度および外観の変化に基づいて、試験後の二次電池の状態を3段階(レベル0〜レベル2)に分類評価した。レベル0は表面温度が70℃以下であり、かつ発煙および発火なしの状態を表し、レベル1は表面温度が70℃以上130℃以下であり、かつ発煙および発火なしの状態を表し、レベル2は表面温度が130℃以上であり、または、発煙もしくは発火ありの状態を表す。このうち、発煙・発火が生じなかったレベル0,1が電池破損時の安全性として許容可能なレベルである。
Figure 2008262810
表1に示したように、本実施例では、全てレベル0であり、いずれも極めて高い安全性を有することがわかった。一方、負極活物質に硅素を用いた比較例1−1,1−2,1−4,1−5ではレベル2となり、安全性が不十分であった。また、負極活物質に黒鉛を用いた比較例1−3,1−6では、許容可能なレベル1となったが、実施例1−3の構成とすることで、より高い安全性が得られることがわかった。比較例1−1〜1−3では正極集電体12および負極集電体22の露出領域同士が対向していないため、また、比較例1−4〜1−6では露出領域の突起部が小さく、セパレータを速やかに裂くことができなかったため、いずれも正極集電体12と負極集電体22との短絡がスムーズに行われなかったものと考えられる。
(実施例2−1〜2−3)
次に、負極20を作製する際に、負極活物質を成膜したのちにロールプレス機で圧縮成型することで厚みが15μmの負極活物質層23を得るようにしたことを除き、他は実施例1−1〜1−3と同様にして実施例2−1〜2−3の二次電池を作製した。なお、この場合においても、触針式表面形状測定器による測定およびSEMによる断面観察により、負極集電体22における被覆領域および露出領域(平滑領域を除く)の全てに亘って表面粗さがRz値で2.0μmであることを確認した。
(比較例2−1〜2−6)
比較例2−1〜2−3として、負極集電体22における露出領域(平滑領域を除く)の表面粗さをRz値で0.5μmとしたことを除き、他は実施例1−1〜1−3と同様にして二次電池を作製した。さらに、比較例2−4〜2−6として、負極集電体22における露出領域(平滑領域を除く)の表面粗さをRz値で0.5μmとしたことを除き、他は実施例2−1〜2−3と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例2−1〜2−3および比較例2−1〜2−6の各二次電池についても、同様の圧壊試験を行って発火や破裂の有無を調べた。得られた結果を実施例1−1〜1−3の結果と併せて表2に示す。
Figure 2008262810
表2に示したように、実施例2−1〜2−3では全てレベル0であり、実施例1−1〜1−3と同様、いずれも極めて高い安全性を有することがわかった。一方、負極活物質に硅素を用いた比較例2−1,2−2,2−4,2−5ではレベル2となり、安全性が不十分であった。また、負極活物質に黒鉛を用いた比較例2−3,2−6では、許容可能なレベル1となったが、実施例1−3,2−3の構成とすることで、より高い安全性が得られることがわかった。比較例2−1〜2−6では露出領域の突起部が小さく、セパレータを速やかに裂くことができなかったため、正極集電体12と負極集電体22との短絡がスムーズに行われなかったものと考えられる。
(実施例3−1,3−2)
次に、突起部222の大きさを調整することにより、負極集電体22における被覆領域および露出領域(平滑領域を除く)の表面粗さRz値を変化させるようにしたことを除き、他は実施例1−1と同様にして実施例3−1,3−2の二次電池を作製した。
(比較例3−1〜3−3)
比較例3−1〜3−3として、負極集電体22における被覆領域および露出領域(平滑領域を除く)の表面粗さをRz値で0.2μm,1.0μmまたは12.0μmとしたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例3−1,3−2および比較例3−1〜3−3の各二次電池についても、同様の圧壊試験を行って発火や破裂の有無を調べた。得られた結果を実施例1−1の結果と併せて表3に示す。
Figure 2008262810
表3に示したように、実施例3−1,3−2ではいずれもレベル0であり、実施例1−1と同様、極めて高い安全性を有することがわかった。一方、露出領域(平滑領域を除く)の表面粗さをRz値で1.0μm以下とした比較例3−1,3−2ではレベル2となり、安全性が不十分であった。比較例3−1,3−2では露出領域の突起部が小さく、セパレータを速やかに裂くことができなかったため、正極集電体12と負極集電体22との短絡がスムーズに行われなかったものと考えられる。また、比較例3−3では、電池の充電を行う際に電圧低下が生じたため、圧壊試験を実施することができなかった。これは、露出領域の突起部が大きいため、組立時または充電時にセパレータの一部が裂けてしまい、微小な短絡が生じたためと考えられる。
(実施例4−1,4−2)
次に、負極20における負極活物質層23が結着材としてポリアミドイミドまたはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含むようにしたことを除き、他は実施例1−1と同様にして実施例4−1,4−2の二次電池を作製した。なお、この場合においても、触針式表面形状測定器による測定およびSEMによる断面観察により、負極集電体22における被覆領域および露出領域(平滑領域を除く)の全てに亘って表面粗さRz値が2.0μmであることを確認した。
実施例4−1では、以下のようにして負極活物質層23を形成した。具体的には、まず、平均粒子径が2μmの硅素粉末と、NMPを溶媒とするポリアミドイミド溶液とを80:20の質量比で混合したのち、さらにNMPで希釈することにより負極合剤スラリーを得た。次いで、得られた負極合剤スラリーを、負極集電体22の被覆領域22A1,22A2に均一に塗布し乾燥させた。こののち、真空雰囲気中で3時間に亘る400℃での加熱処理を行うことで、焼結した硅素を負極活物質として含み、かつ、ポリアミドイミドを結着材として含む負極活物質層23を得た。この場合においても、負極活物質層23の厚み(片面)を30μmとした。
実施例4−2では、以下のようにして負極活物質層23を形成した。具体的には、まず、平均粒子径が2μmの硅素粉末と、PVdF粉末とを80:20の質量比で混合したのち、さらにNMPで希釈することにより負極合剤スラリーを得た。次いで、得られた負極合剤スラリーを、負極集電体22の被覆領域22A1,22A2に均一に塗布し乾燥させた。こののち、真空雰囲気中で3時間に亘る300℃での加熱処理を行うことで、焼結した硅素を負極活物質として含み、かつ、PVdFを結着材として含む負極活物質層23を得た。この場合においても、負極活物質層23の厚み(片面)を30μmとした。
(比較例4−1,4−2)
比較例4−1,4−2として、負極集電体22における露出領域(平滑領域を除く)の表面粗さRz値を0.5μmとしたことを除き、他は実施例4−1,4−2と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例4−1,4−2および比較例4−1,4−2の各二次電池についても、同様の圧壊試験を行って発火や破裂の有無を調べた。得られた結果を実施例1−1および比較例2−1の結果と併せて表4に示す。
Figure 2008262810
表4に示したように、実施例4−1ではレベル0、実施例4−2ではレベル1であり、いずれも許容可能なレベルとなった。一方、比較例4−1,4−2ではレベル2となり、安全性が不十分であった。比較例4−1,4−2では露出領域の突起部が小さく、セパレータを速やかに裂くことができなかったため、正極集電体12と負極集電体22との短絡がスムーズに行われなかったものと考えられる。また、実施例1−1および実施例4−1と実施例4−2との比較により、焼結した硅素を含む負極活物質層23を形成するにあたり、結着材としてポリイミドやポリアミドイミドのような高耐熱性を用いた場合のほうが電池としての安全性に優れることが確認できた。
さらに、実施例1−1および比較例1−4,2−4の各二次電池について、サイクル試験を行い、放電容量維持率(%)を調べた。ここでは、常温下で充放電を行い、1サイクル目を基準とする100サイクル目の放電容量維持率を求めた。その際、充電については、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で充電の総時間が3時間に達するまで行い、放電については、1Cの定電流密度で電池電圧が2.7Vに低下するまで行った。この充電と放電との組み合わせを1サイクルとして100サイクルの充放電を繰り返して行い、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比率、すなわち(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100として放電容量維持率を算出した。得られた結果を表5に示す。
Figure 2008262810
表5に示したように、実施例1−1では、比較例1−4よりも高い放電容量維持率が得られた。比較例1−4では、被覆領域の表面粗さRz値が0.2μmと小さく、充放電に伴う負極活物質層23の剥離や脱落が生じたが、実施例1−1では負極集電体22と負極活物質層23との接合が強固であるため、放電容量維持率に差が生じたものと考えられる。また、実施例1−1と比較例2−4との比較により、負極活物質層23を作製する際に圧縮成型を行わないほうが高い放電容量維持率を得るうえでは好ましいものと推測される。
このように、本実施例によれば、基材の表面に突起部を設けることで所定の表面粗さとなった負極集電体の露出領域を、巻回体の最外周で正極集電体の露出領域と対向させたので、高い安全性を有することが確認できた。さらに、負極活物質層によって覆われる被覆領域においても負極集電体の表面粗さを所定の大きさとすることで、負極活物質層と負極集電体との密着性を高め、高い放電容量維持率の確保に有利であることがわかった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば上記実施の形態および実施例では、ラミネートフィルムを外装部材として用いた二次電池について説明したが、本発明は、外装部材として金属缶を用いた円筒型や角型などの他の形状を有する二次電池についても同様に適用することができる。さらに、本発明は、二次電池に限らず一次電池についても同様に適用可能である。
また、上記実施の形態および実施例では、電解銅箔などの基材の表面に電解析出法などにより突起部を設けることで表面粗さを変化させるようにしたが、これに限定されず、例えばエッチングによって表面粗さを変化させるようにしてもよい。また、負極集電体のみに突起部を設けるようにしたが、正極集電体に突起部を設けることで、負極集電体における露出領域と対向する面を所定の表面粗さとするようにしてもよい。
また、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる電池について説明したが、ナトリウムあるいはカリウムなどの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本発明を適用することができる。その際、負極活物質としては、例えば上記実施の形態と同様のものなどを用いることができる。
さらにまた、上記実施の形態および実施例では、集電体の表面粗さや、活物質層における導電性粒子の平均粒子径などのパラメータに関し、実施例の結果から導き出された適正範囲を説明したが、その説明は、各パラメータが上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲であり、本発明の効果が得られるのであれば、各パラメータが上記した範囲から多少外れてもよい。
本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図1に示した巻回電極体のII−II線に沿った構成を表す断面図である。 図2に示した正極10の展開図である。 図2に示した負極20の展開図である。 図4に示した負極20の要部を拡大して示した断面図である。
符号の説明
10…正極、11…正極リード、12…正極集電体、12A1,12A2…被覆領域、12S1,12S2,12E1,12E2…露出領域、13…正極活物質層、20…負極、21…負極リード、22…負極集電体,22A1,22A2…被覆領域、22S1,22S2,22E1,22E2…露出領域、221…基材、222…突起部、23…負極活物質層、30…巻回体、31…セパレータ、32…電解質層、33…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム。

Claims (8)

  1. それぞれ集電体に活物質層が選択的に形成されてなる正極および負極と、前記正極および負極の間に位置するセパレータとの積層構造を含む巻回体を備え、
    前記巻回体の外周側端部では、前記正極および負極における各集電体のうちの、前記活物質層によって覆われた被覆領域以外の露出領域が前記セパレータを介して互いに対向しており、
    前記正極および負極の集電体のうちの少なくとも一方における露出領域は、粒子状の突起部を有し、Rz値で2.0μm以上10.0μm以下の表面粗さとなっている
    ことを特徴とする電池。
  2. 前記巻回体の最外周の全てが前記正極および負極における各集電体の露出領域となっている
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  3. 前記負極における活物質層は、硅素(Si)の単体、合金および化合物、ならびにスズ(Sn)の単体、合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  4. 前記集電体は、前記露出領域の一部に、前記電極リードと接続される平滑領域を有しており、
    前記平滑領域は、前記露出領域における平滑領域以外の領域よりも小さな表面粗さを有している
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  5. 前記活物質層は、ポリアミド、ポリイミドおよびポリアミドイミドからなる群のうちの少なくとも1種の構造を有する高分子化合物を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  6. 前記粒子状の突起部は、電解析出法によって形成されたものである
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  7. 前記活物質層は前記集電体の両面に形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  8. 前記集電体と前記活物質とは、界面の少なくとも一部において合金化している
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
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