JP5472722B2 - レアメタル抽出剤 - Google Patents

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Description

本発明は、レアメタルを抽出するための新規なレアメタル抽出剤、及びそれを用いた抽出分離方法に関する。
レアメタル(例えばコバルト(Co)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、カドミニウム(Cd)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、水銀(Hg)、ウラン(U)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)など)は我々の生活に必要不可欠なものであり、自動車用触媒や燃料電池、超強力磁石など現在の精密機器をはじめ多くの製品に使用されている。しかし、日本はこれら金属のほとんどを輸入に頼っており、資源の安定的な供給、環境保護の観点から、レアメタルのリサイクルは重要な技術である。
レアメタルのリサイクルには、一般的にレアメタル含有水溶液からの溶媒抽出法が用いられており、様々な抽出剤が開発され、利用されている。例えば、特許文献1や2には、特定の構造の環状フェノール硫化物がレアメタル抽出剤として有用であり、レアメタルの選択的な抽出に効果的であることが開示されている。
特開2007−239066号公報 特開2007−239088号公報
しかし、レアメタル含有水溶液は、様々な廃棄物を、多種の酸によって水溶液化して得られるものであり、レアメタル含有水溶液に含まれる金属濃度・種類や不純物も多種多様である。そのため、多種のレアメタルを含む水溶液から特定の複数種のレアメタルを選択的に効率よく分離抽出するためには、特許文献1や2に開示されたような様々な抽出剤を複合して使用し、多段階的に抽出分離しなければならず、時間やコストがかかる原因となっている。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明は、新規なレアメタル抽出剤、及びそれを用いたレアメタルの効率的な抽出分離方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、特定の構造の化合物を抽出剤として用いることによって、特定のレアメタルを効率的に分離抽出することができるのみならず、水溶液のpHをわずかに変化させるとレアメタルの種類によって分離抽出効果が顕著に変化することを見出し、以下の本発明を完成した。
第1の本発明は、下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するレアメタル抽出剤である。
Figure 0005472722
(式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
なお、「レアメタル」は希少な金属の総称であり、本明細書でいう「レアメタル」には、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、カドミニウム(Cd)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、水銀(Hg)、ウラン(U)等が含まれるものとする。
第1の本発明において、一般式(1)におけるR、R、Rが、それぞれ独立に水素原子、又は、炭素数1〜10の分岐又は直鎖のアルキル基であり、Rが炭素数0〜10の分岐又は直鎖のアルキレン基であることが好ましい。
第2の本発明は、下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するレアメタル抽出剤を用いて、複数の種類のレアメタルを含有する水溶液からレアメタルを抽出分離する方法であって、目的とするレアメタルに応じて前記水溶液のpHを複数回変化させることにより、複数回に亘って抽出を行い、それぞれ特定のレアメタルを選択的に優位に抽出する工程を備えてなる、複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法である。
Figure 0005472722
(式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
第2の本発明において、複数回に亘って変化させるpHが、0.8超1.2未満および/または1.2超1.8未満の範囲を含むことが好ましい。
第3の本発明は、下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するレアメタル抽出剤を用いて複数の種類のレアメタルを含有する水溶液から抽出を行う工程、および、下記一般式(1)で表される以外のチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤を含むレアメタル抽出剤を用いて、複数の種類のレアメタルを含有する水溶液から抽出を行う工程を含み、それぞれの工程にて特定のレアメタルを選択的に優位に抽出する、複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法である。
Figure 0005472722
(式(1)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
第3の本発明において、一般式(1)で表される以外のチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤が、下記一般式(2)で表されるチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤であることが好ましい。
Figure 0005472722
(式(2)中、R、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
第2および第3の本発明において、抽出工程の一つが、白金を選択的に優位に抽出する工程であることが好ましい。
第1の本発明のレアメタル抽出剤および第2の本発明の複数種類のレアメタルの連続的抽出方法によれば、廃棄物及び廃液からレアメタルの分離抽出を行う際に、単一の抽出剤を用いて溶液のpHを変化させるのみで、複数種類のレアメタルを効率的に分離抽出することができる。これにより分離抽出工程が削減でき、低コストで抽出できることから、レアメタルのリサイクルを促進することができる。
第3の本発明の複数種類のレアメタルの連続的抽出方法によれば、第1の本発明の抽出剤およびその他のチアカリックスアレン含有抽出剤を組み合わせて用いることにより、連続的に複数種類のレアメタルを抽出できる他、第一段階にて不要なメタル成分を抽出除去した上で、第二段階にて所望のレアメタルを高効率にて抽出することもできる。
実施例1のレアメタル抽出分離実験の結果を示すグラフである。 実施例2の抽出率(E%)を示すグラフである。 実施例3の抽出率(E%)を示すグラフである。 実施例4の抽出率(E%)を示すグラフである。 比較例の抽出率(E%)を示すグラフである。
<レアメタル抽出剤>
本発明のレアメタル抽出剤は、下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するものである。
Figure 0005472722
一般式(1)において、−CONRは、置換カルバモイル基であり、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基である。R、R、Rとしては、水素原子、又は、直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、アルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。一般式(1)において、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、Rとしては、直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基等が挙げられる。なお、Rの炭素数が0とは、Rに相当する置換基が存在せず、一般式(1)においてRに隣接している酸素原子とカルボニル基の炭素原子とが直接結合している状態をいう。
より具体的には、Rは水素原子、又は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましく、中でも、炭素数3〜5の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。Rは炭素数0〜5の直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましく、中でも、メチレン基、エチレン基が好ましい。R及びRは、水素原子、又は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましく、中でも、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
Zは、スルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。
一般式(1)の化合物は、Zによりフェノール誘導体骨格が6個環状に繋がった構造であるが、6つのフェノール誘導体骨格が有する置換基R、R、R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、また6つのZも同じでも異なっていてもよい。製造の容易性および得られる化合物のレアメタル抽出特性からは、6つのフェノール誘導体骨格が有するR、R、R、R及び6つのZは、それぞれ同じであることが好ましい。
一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体は、公知の方法で合成することができる。例えば、4位がRであるアルキルフェノールを出発物質とし、これと単体硫黄とを、アルカリ金属試薬又はアルカリ土類金属試薬の存在下反応させることによって、スルフィド結合によって6つのアルキルフェノールが連結した環状フェノール硫化物を得、次いでフェノール性水酸基の水素原子をR、R、Rを有するカルバモイルアルキル基に変換することによって得ることができる。環状フェノール硫化物を合成する際に用いるアルカリ金属試薬やアルカリ土類金属試薬としては、金属単体、水素化物、ハロゲン化物、酸化物、炭酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。また、カルバモイルアルキル基への変換方法の例としては、R、R、Rを有するハロゲン化カルバモイルアルキル基を塩基性条件下でフェノール性水酸基と直接反応させる方法や、フェノール性水酸基の水素原子をアルカリ金属に置換し、これをアルコキシカルボニルアルキルハロゲンと反応させた後、加水分解してカルボキシアルキル基とし、次いでこれを酸クロリドに変換した後、これにアミンを反応させる方法が挙げられる。環状フェノール硫化物のスルフィド基、すなわち一般式(1)におけるZは、必要に応じて過酸化水素や過ホウ酸ナトリウムなどの酸化剤を用いて酸化することによって、スルフィニル基やスルホニル基に転換することができる。
上記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体は、レアメタル抽出剤として、レアメタル含有溶液からのレアメタル抽出に好適に使用される。通常、一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体は溶液とされ、該溶液(以下レアメタル抽出剤溶液という。)にレアメタルが溶解した溶液(以下レアメタル溶液という。)を接触させることにより、レアメタルがレアメタル抽出剤溶液側に移行し、レアメタルが抽出される。レアメタル抽出剤溶液に使用する溶媒とレアメタル溶液に使用する溶媒は、お互い溶けにくい溶媒が使用される。各溶液に使用される溶媒は、2種類以上の溶媒が混合されたものであってもよい。これらの溶媒の組合わせの中では、レアメタル抽出剤溶液の溶媒が非水溶性の溶媒であり、レアメタル溶液の溶媒が水である組合わせが特に好ましい。
非水溶性の溶媒としては、一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を溶解することができれば特に制限はなく、石油、ケロシン等の鉱油;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化溶媒等が挙げられる。
レアメタル抽出剤溶液における、一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体の濃度は該環状フェノール硫化物誘導体の溶解度によって上限が限定される以外は特に制限はないが、あまりに濃度が低いとレアメタル抽出効果が得られないため、通常1×10−6〜1Mの範囲で使用される。レアメタルのレアメタル水溶液中における濃度は特に制限はなく、通常は1000ppm程度である。
<第2の本発明の複数種類のレアメタルの連続的抽出方法>
本発明のレアメタル抽出剤を用いたレアメタルの抽出では、レアメタル溶液のpHを変化させることで、レアメタルの抽出率が変動し、その抽出率の変動は金属種によって全く異なる挙動を示す。したがって、目的とする金属種に応じてレアメタル溶液のpHを所望の金属種を最も抽出できるpHに調整すれば、特定のレアメタルを選択的に優位に抽出することができ、効率的に抽出することができる。また、あるレアメタル溶液の中から複数種のレアメタルを抽出する場合についても、1つの金属種について最も抽出できるpHに調整してその金属種を抽出した後、他の金属種について最も抽出できるpHに水層を調整し直して抽出することを順次繰り返せば、1つのレアメタル分離抽出剤で効率的に複数種のレアメタルを抽出することが可能である。例えば、pHを0.8超1.2未満に調整してPdおよび/またはPtを選択的に抽出することができる。また、pHを1.2超1.8未満に調整してZrを選択的に抽出することができる。
pHの調節は、選択pHになるように酸又はアルカリを添加すればよく、酸やアルカリとしては、pH調節に使用される一般的なものを使用することができる。例えば、酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸等が、また、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。抽出の際に調節されるpHの範囲は、通常0〜7程度であり、抽出率の点からは、1〜5の範囲であることが好ましい。
抽出温度は使用する溶媒の沸点以下であれば特に制限はなく、通常室温付近で行われる。抽出操作はレアメタル抽出剤溶液とレアメタル溶液とを振とう、撹拌などにより互いに接触させることにより行われる。振とう、撹拌の条件は特に制限はないが、振とうは通常毎分60〜200回程度行えばよい。
本発明のレアメタル抽出剤は、抽出効率の観点からは、レアメタルの中でも、ジルコニウム(Zr)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)の抽出に有効であり、中でも特に白金(Pt)の抽出に有効である。
<第3の本発明の複数種類のレアメタルの連続的抽出方法>
第1の本発明のレアメタル抽出剤を用いて抽出する工程に、この抽出剤以外のチアカリックスアレンを含有する抽出剤を用いて抽出する工程を組み合わせて、複数の種類のレアメタルを含有する水溶液から、それぞれの工程にて特定のレアメタルを選択的に優位に抽出することができる。
複数種類の抽出剤を組み合わせて用いることにより、連続的に複数種類のレアメタルを抽出できる他、第一段階にて不要なメタル成分を抽出除去した上で、第二段階にて所望のレアメタルを高効率にて抽出することもできる。
第1の本発明の抽出剤以外の抽出剤、つまり、一般式(1)で表される以外のチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤としては、下記一般式(2)で表されるチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤を用いることができる。
Figure 0005472722
(式(2)中、R、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
式(2)中の、R、R、Zについては、上記式(1)における説明と同様である。Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、中でも、Rが水素原子、つまり、式(2)の化合物がカルボン酸基を有していることが好ましい。また、Rは、好ましくは1〜5の炭化水素基、より好ましくは1〜4の炭化水素基、さらに好ましくは1〜3の炭化水素基であり、つまり、式(2)の化合物がエステル基を有していることが好ましい。
第3の本発明の複数種類のレアメタルの連続的抽出方法の好ましい形態としては、第一工程において、一般式(2)で表されるチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤を用いて、PdおよびZrを選択的に抽出し、その後、第二工程において、一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有する本発明のレアメタル抽出剤を用いて、PdおよびZrが除去されたレアメタル含有水溶液から、Ptを選択的に抽出する方法が挙げられる。この方法によると、高価なPtを、高効率かつ容易に単離することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下に示す実施例の形態に限定されるものではない。
<第1実施例>
(製造例1)環状フェノール硫化物中間体オリゴマー(A)の製造
Figure 0005472722
1000mL三口フラスコに、p−tert−ブチルフェノール300g(2.0mol)、ジフェニルエーテル64.0ml、エチレングリコール56.0ml(1.0mol)を入れ、窒素下加熱攪拌し、60℃に達した後、酸化カルシウム28.0g(0.5mol)を投入し、約20分で120℃まで昇温して2時間反応させた。反応後、エチレングリコールと生成した水を減圧溜去した。減圧溜去の際に同時に溜去されてしまったジフェニルエーテルを追加した後、再び窒素下加熱攪拌し、100℃に達した後、硫黄95.9g(3.0mol)を全量加え、230℃まで昇温して3時間反応させた。反応終了後、放冷して110℃になったのを確認し、トルエン250mLを徐々に加えて反応液の粘性を下げて行き、この反応液を4Nの硫酸500mL中に注いでクエンチした。析出した硫酸カルシウムを濾過し、濾液を飽和硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄した後、濾液を濃縮し、80℃に加温した。これを、別途準備しておいた80℃に加温した酢酸1Lに注ぎ、80℃で約1時間攪拌後、室温で一晩放置した。析出した沈殿を蒸留水にて洗浄後、未洗浄の酢酸を除くため、大量のクロロホルムに溶解させ、硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。その後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、一晩減圧乾燥させることによって、収率67.8%で環状フェノール硫化物中間体オリゴマー(A)を得た。
(製造例2)環状フェノール硫化物(B)の製造
Figure 0005472722
製造例1で得られた環状フェノール硫化物中間体オリゴマー30g、ジフェニルエーテル64.0mL、水酸化ナトリウム3.99g、酢酸1.62gをこの順に500mLの三口フラスコに入れて窒素下加熱撹拌し、100℃で硫黄2.14gを全量加えて約1時間で230℃まで昇温し、4時間反応させた。反応終了後放冷した後、2Nの硫酸(100mL)を反応液に注いでクエンチし、次いでn−へプタン(100mL)を加えて約10分間攪拌した。その後、無水硫酸ナトリウム水溶液で硫酸を洗浄して水層と有機層に分け、有機層内のジフェニルエーテルを減圧溜去し、アセトンを加えて沈殿を析出させた。析出した沈殿を濾取して減圧乾燥することによって、環状フェノール硫化物の粗結晶を得た。この粗結晶をクロロホルムに溶解させて再結晶することによって、環状フェノール硫化物(B)を精製した。精製後の環状フェノール硫化物(B)の収率は11.4%であった。
(製造例3)環状フェノール硫化物誘導体(1−1)の製造
Figure 0005472722
α−クロロ−N,N−ジエチル−アセトアミド1.66g、ヨウ化ナトリウム1.66g、アセトン30mlを300mlの三つ口フラスコに入れ、室温で2時間攪拌を行った。その後、製造例2で得られた環状フェノール硫化物(B)1.0g、炭酸セシウム2.67g、アセトン65ml、水5mlを添加し、窒素雰囲気下、温度64℃で120時間加熱攪拌を行った。反応終了後、アセトンを留去して濃縮し、残渣物をクロロホルムに溶解させ、2Nの塩酸で2回、次いで蒸留水にて2回洗浄を行った。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、クロロホルムを留去した。得られた残渣物にアセトンを加え洗浄後、濾取することによって目的の環状フェノール硫化物誘導体(1−1)を得た。収率は78.1%であった。
(実施例1)環状フェノール硫化物誘導体(1−1)を用いたレアメタルの抽出分離
製造例3で得られた環状フェノール硫化物誘導体(1−1)をレアメタル抽出剤とした、レアメタル抽出実験を行った。まず、上記環状フェノール硫化物誘導体(1−1)をクロロホルムに溶解して濃度を2.92mMとした有機層50mLと、工場より排出されたレアメタルを数種類含む廃棄物を酸処理により水溶液化したPGM(Platinum−Group Metals)溶液(Rh:264.3ppm,Pd:737.8ppm,Pt:434.1ppm,Zr:198.2ppm,Ce:>3840.5ppm,Ba:2118.2ppm,Al:2272.5ppm,La:666.9ppm,Y:36.3ppm)を蒸留水にて50倍に希釈した水層50mL(pH:0.8)とを200mLの分液ロートに入れ、30分間浸透撹拌した。その後、水層中の金属濃度をICP発光分析装置により分析し、その得られた結果をもとに抽出率(E%)を下記の式(I)にて求めた。環状フェノール硫化物誘導体と水溶液中の金属濃度はモル濃度比1:1とした。
(E%)=(C−C)/C×100 式(I)
ただし、C :抽出前の水層中の金属濃度(ppm)、C:抽出後の水層中の金属濃度(ppm)
さらに、別途、PGM溶液を蒸留水にて50倍に希釈したものを、10N水酸化ナトリウム水溶液でpHを4通りに調整したもの(pH1.0、1.2、1.4、1.6)を各50mLずつ準備し、これらについても上記と同様の手法で抽出操作を行い、抽出率(E%)を求めた。抽出結果を図1のグラフに示す(なお、2回の抽出結果の平均を最終結果とした(以下同様。)。)。
図1のグラフからわかるように、各金属種の抽出率はPGM溶液のpHによって大きく異なり、pHと抽出率の関係も金属種によって異なっていた。したがって、PGM溶液のpHを変化させることによって優位に抽出される金属種を変えることができ、その結果、目的のレアメタルの抽出効率を高めることができる。例えば、実施例1で用いたレアメタル抽出剤では、図1のグラフより、PdやPtを主に抽出したい場合はpHを1.0に調節すると最も効率よく抽出でき、一方、Zrを主に抽出したい場合には、pHを1.4や1.6など、比較的高めに調節すると効率よく抽出できることがわかる。
<第2実施例>
(製造例4)
1000mL三口フラスコにp−tert−ブチルフェノール300g(2.0mol)、ジフェニルエーテル64.0ml、エチレングリコール56.0mL(1.0mol)を入れ、窒素下加熱撹拌し、60℃に達したら、酸化カルシウム28.0g(0.5mol)を投入し、約20分で120℃まで昇温させ2時間反応させた。
反応後、エチレングリコール、生成した水を減圧溜去し、その時に同時に溜去してしまったジフェニルエーテルを追加後、窒素下加熱撹拌し、100℃に達したら硫黄95.9g(3.0mol)を全量加え、230℃まで昇温させて3時間反応させた。
反応終了後、放冷し温度が110℃に達したらトルエン250mLを徐々に加えて、反応液の粘性を下げていき、4Nの硫酸500mL中に反応液を注ぎクエンチした。
析出した硫酸カルシウムを濾過し、濾液を飽和硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄後、濃縮し、80℃に加温しておいた。
別に準備しておいた酢酸1Lを80℃に加温しておき、そこに濃縮した反応液を注ぎ、約1時間80℃で撹拌後、室温で一晩放置した。
析出した沈殿を蒸留水にて洗浄後、未洗浄の酢酸を除くため、大量のクロロホルムに溶解させ、硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。
その後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、一晩減圧乾燥させ、下記式で示される環状フェノール硫化物中間体オリゴマーを得た。
Figure 0005472722
(製造例5)
製造例4で得られた環状フェノール硫化物中間体オリゴマー30g、ジフェニルエーテル64.0mL、水酸化ナトリウム3.99g、酢酸1.62gをこの順に500mLの三口フラスコに入れ窒素下加熱撹拌し、100℃で硫黄2.14gを全量加え約1時間で230℃まで昇温させ、4時間反応させた。
反応終了後、放冷し2Nの硫酸(100mL)を反応液に注ぎクエンチし、n−へプタン(100mL)を加え約10分間撹拌した。
その後、無水硫酸ナトリウム水溶液で硫酸を洗浄し水層と有機層に分け、有機層内のジフェニルエーテルを減圧溜去し、アセトンを加えて沈殿を析出させた。
析出した沈殿を濾取し減圧乾燥後、下記式で示される環状フェノール硫化物の粗結晶を得た。粗結晶をクロロホルムに溶解させて再結晶化により精製を行った。
Figure 0005472722
(製造例6)
製造例5得られた化合物1077.13mg(1mmol)、炭酸セシウム2935.71mg(9mmol)を500mLの2口フラスコに入れ、窒素雰囲気にし、アセトン(100mL)を加え撹拌した。
その後、ブロモ酢酸エチル1335μL(12mmol)を加え加熱撹拌し、リフラックスで3時間反応させた。
反応終了後、濃縮しアセトンを留去した。
その後、未反応のブロモ酢酸エチルを除くために、60℃で数時間減圧乾燥させた。
その後、クロロホルム(約100mL)に溶解させ、副生成物の塩を除くために、硫酸ナトリウム水溶液にて3回洗浄した。
得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し、減圧下で十分乾燥させ粗生成物を得た。得られた粗生成物をエタノールからの再結晶により精製を行い、下記式で示される目的物を得た。
Figure 0005472722
(製造例7)
製造例5で得られた化合物1081.93mg(1mmol)、炭酸カリウム1246.38mg(9mmol)を500mLの2口フラスコに入れ、窒素雰囲気下で撹拌し、アセトン(100mL)を加えた。
その後、ブロモ酢酸メチル1245μL(12mmol)を加え加熱撹拌し、還流状態で24時間反応させた。
反応終了後、濃縮しアセトンを留去した。その後、未反応のブロモ酢酸メチルを除くために、60℃で数時間減圧乾燥させた。
その後、クロロホルム(約100mL)に溶解させ、副生成物の塩を除くために、硫酸ナトリウム水溶液にて3回洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ濃縮し、減圧下で十分乾燥させ粗生成物を得た。
得られた組成生物をエタノールからの再結晶により精製を行い、下記式で示される目的物を得た。
Figure 0005472722
(製造例8)
製造例6で得られた化合物(1.00g,0.63mmol)、水酸化ナトリウム(1.10g,27.5mmol)、エタノールと水の混合溶媒(250mL,3:2)を2口フラスコに入れ、24時間加熱還流した。
反応終了後、放熱し氷浴下で反応溶液がpH=1となるように4N−HSO(100mL)を注ぎ入れ、クエンチした。
その後、析出した沈殿物を吸引ろ過により濾取した。続いて同時に析出した硫酸ナトリウムを除くために、アセトンに溶解させ再びろ過し精製を行い、下記式で示される目的物を得た。
Figure 0005472722
(実施例2)
製造例6〜8で得られた環状フェノール硫化物誘導体によるレアメタル、白金族系金属抽出実験を行った。
抽出実験は上記環状フェノール硫化物をそれぞれクロロホルムに溶解させ2.92mMとした有機相50mLとレアメタル、白金族系金属として自動車触媒製造時により回収された白金族金属を塩酸、過酸化水素水の混合溶液に浸出させたPGM(Platinum−Group Metals)溶液(Rh 264.3ppm,Pd 737.8ppm,Pt 434.1ppm,Zr 198.2ppm,Ce >3840.5ppm,Ba 2118.2ppm,Al 2272.5ppm,La 666.9ppm,Y 36.3ppm)を準備し、それを蒸留水にて50倍に希釈したPGM溶液(pH:0.8)50mLを準備した。
準備した有機相と金属水溶液を200mLの分液ロートに入れ、30分間浸透撹拌した。
その後、水層中の金属濃度をICP発光分析装置により分析し、その得られた結果をもとに抽出率(E%)を上記式(I)にて求めた。
環状フェノール硫化物誘導体と水溶液中の金属濃度はモル濃度比1:1とした。抽出結果を図2に示す。
この結果から、蒸留水にて50倍に希釈した場合では、製造例8で得られたカルボン酸付加化合物は製造例6、7のエステル体付加化合物と比較してPd(74%)、Zr(90%)に対して選択的に高い抽出能力を示した。カルボン酸付加化合物ではPd、Zr以外の金属種についてはほとんど抽出されなかった。
製造例6で示したエチルエステル付加化合物は特にPd(24%)、Zr(44%)に対して選択的に高い抽出能力を示した。
製造例7で示したメチルエステル付加化合物は特にPd(31%)、Zr(55%)に対して選択的に高い抽出能力を示した。
(実施例3)
製造例8で得られた環状フェノール硫化物誘導体によるレアメタル、白金族系金属抽出実験を行った。
抽出実験は前記環状フェノール硫化物をそれぞれクロロホルムに溶解させ2.92mMとした有機相50mLとレアメタル、白金族系金属として自動車触媒製造時により回収された白金族金属を塩酸、過酸化水素水の混合溶液に浸出させたPGM(Platinum−Group Metals)溶液(Rh 264.3ppm,Pd 737.8ppm,Pt 434.1ppm,Zr 198.2ppm,Ce >3840.5ppm,Ba 2118.2ppm,Al 2272.5ppm,La 666.9ppm,Y 36.3ppm)を準備し、それを塩酸にて50倍に希釈したPGM溶液50mLを準備した。
準備した有機相と金属水溶液を200mLの分液ロートに入れ、30分間浸透撹拌した。
その後、水層中の金属濃度をICP発光分析装置により分析し、その得られた結果をもとに抽出率(E%)を上記式(I)にて求めた。
環状フェノール硫化物誘導体と水溶液中の金属濃度はモル濃度比1:1とした。抽出結果を図3に示す。
この結果より、塩酸にて50倍に希釈した場合(pH:−1.0)では、製造例8で得られたカルボン酸付加化合物は全ての金属種においてほとんど抽出されなかった。
(実施例4)
製造例8で得られた環状フェノール硫化物誘導体によるレアメタル、白金族系金属抽出実験を行った。
抽出実験は上記環状フェノール硫化物をそれぞれクロロホルムに溶解させ2.92mMとした有機相50mLとレアメタル、白金族系金属として各種金属(Rh,Pd,Pt,Zr,Ce,Ba,Al,La,Y)標準溶液(100ppm)を塩酸にて10倍に希釈した溶液50mLを準備した。
準備した有機相と金属水溶液を200 mLの分液ロートに入れ、30分間浸透撹拌した。
その後、水層中の金属濃度をICP発光分析装置により分析し、その得られた結果をもとに抽出率(E%)を上記式(I)にて求めた。
環状フェノール硫化物誘導体と水溶液中の金属濃度はモル濃度比1:1とした。抽出結果を図4に示す。
この結果より、塩酸にて10倍に希釈した場合(pH:−1.0)では、製造例8で得られたカルボン酸付加化合物はBaに対して50%の抽出能力を示した。その他の金属種に関してはほとんど抽出能力は認められなかった。
(pHを変化させた連続的抽出)
本発明では、上記した本発明の抽出剤を用いて、レアメタルの連続的抽出を行うことができる。例えば、実施例1において、まず、pH1.2〜1.6で抽出を行い、これにより、Rh、Pd、Zrを選択的に優位に抽出する。その後、これらレアメタルの濃度が減少した溶液から、pH1.0において抽出を行い、これにより、Ptを選択的に優位に抽出することができる。
(抽出剤を変化させた連続的抽出)
抽出剤を変化させた連続的抽出としては、まずは、実施例2の抽出剤を用いて実施例2の条件にて抽出を行い(カルボン酸付加物、エチルエステル、メチルエステルのいずれでもよい。)、これにより、Pd、Zrを選択的に優位に抽出する。その後、これらレアメタルの濃度が減少した溶液から、実施例1の抽出剤を用いて抽出を行うことにより、Ptを選択的に優位に抽出することができる。なお、抽出剤の変更と共に、溶液のpHを変更してもよい。
(比較例)
ウランの溶媒抽出用抽出剤であるリン酸トリブチル(TBP)と、レアアース、Ni、Zr等の抽出剤であるジ(2−エチルヘキシル)リン酸(D2EHPA)とを用いてPGM水溶液からのレアメタル抽出を行った。
抽出実験は、TBPまたはD2EHPAをケロシンを用いて、各濃度が30質量%となるように希釈して有機相50mLとした以外は、実施例2と同様にして行った。
抽出結果を図5に示す。図5より、一般的な抽出剤(TBP、D2EHPA)はPdに関して約55%、その他Ce、Baに関して抽出が認められるが、明らかな選択性や高効率は認められない結果であった。なお、図5中では、D2EHPAをDPAと表示している。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うレアメタル抽出剤及びレアメタルの連続的抽出分離方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明のレアメタル抽出剤を用いることにより、様々な廃棄物を水溶液化して得られるレアメタル含有水溶液から、特定のレアメタルを分離抽出でき、該レアメタルは、自動車用触媒、燃料電池、超強力磁石等の材料として有用である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有する、ジルコニウム、パラジウムおよび白金抽出用のレアメタル抽出剤。
    Figure 0005472722
    (式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
  2. 前記一般式(1)におけるRが水素原子又は炭素数1〜10の分岐又は直鎖のアルキル基であり、Rが炭素数0〜10の分岐又は直鎖のアルキレン基である請求項1に記載のレアメタル抽出剤。
  3. 下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するレアメタル抽出剤を用いて、複数の種類のレアメタルを含有する水溶液からレアメタルを抽出分離する方法であって、目的とするレアメタルに応じて前記水溶液のpHを複数回変化させることにより、複数回に亘って抽出を行い、それぞれ特定のレアメタルを選択的に優位に抽出する工程を備えてなり、該特定のレアメタルがジルコニウム、パラジウムおよび白金から選ばれる1種以上である、複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法。
    Figure 0005472722
    (式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
  4. 前記複数回に亘って変化させるpHが、0.8超1.2未満および/または1.2超1.8未満の範囲を含む、請求項3に記載の複数種類のレアメタルの連続的抽出方法。
  5. 下記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するレアメタル抽出剤を用いて複数の種類のレアメタルを含有する水溶液から抽出を行う工程、および、下記一般式(1)で表される以外のチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤を含むレアメタル抽出剤を用いて、複数の種類のレアメタルを含有する水溶液から抽出を行う工程を含み、それぞれの工程にて特定のレアメタルを選択的に優位に抽出し、該特定のレアメタルがジルコニウム、パラジウムおよび白金から選ばれる1種以上である、複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法。
    Figure 0005472722
    (式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、R、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
  6. 前記一般式(1)で表される以外のチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤が、下記一般式(2)で表されるチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤である、請求項5に記載の複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法。
    Figure 0005472722
    (式(2)中、R、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Rは炭素数0〜10の炭化水素基であり、Zはスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基のうちのいずれかである。)
  7. 前記抽出工程の一つが、白金を選択的に優位に抽出する工程である、請求項3〜6のいずれかに記載の複数種類のレアメタルの連続的抽出分離方法。
  8. pHが0.8超1.2未満においてPdおよびPtを抽出する工程、および、pHが1.2超1.8未満においてZrを抽出する工程を、含む、請求項3または4に記載のレアメタルの連続的抽出分離方法。
  9. 前記一般式(2)中、Rが、炭素数1〜5の炭化水素基である、請求項6に記載のレアメタルの連続的抽出方法。
  10. 第一工程において、前記一般式(2)で表されるチアカリックスアレンを含有するレアメタル抽出剤を用いて、PdおよびZrを選択的に抽出し、その後、第二工程において、前記一般式(1)で表される環状フェノール硫化物誘導体を含有するレアメタル抽出剤を用いてPtを選択的に抽出する、請求項6に記載のレアメタルの連続的抽出方法。
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