JP2011162816A - 金属抽出剤及びそれを用いたイットリウムの抽出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】イットリウムなどを選択的に抽出可能な金属抽出剤及びこの金属抽出剤を用いたイットリウムの抽出方法の提供する。
【解決手段】金属抽出剤は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、カルボニル基などの1〜10の炭化水素基、さらにスルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基から選択される少なくとも一つから構成される2種類の特定の環状硫化物誘導体の少なくともいずれかを含有する。また、イットリウムの抽出方法は、抽出すべきイットリウムを含む水溶液の25℃におけるpHを7未満に調節するpH調節工程と、前記pHを調節したイットリウムを含む水溶液及び前記金属抽出剤を少なくとも含有する有機層を接触させ、前記有機層に前記イットリウムを抽出する抽出工程とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、イットリウムなどの金属を抽出する金属抽出剤及びそれを用いたイットリウムの抽出方法に関する。
コバルト(Co)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、カドミニウム(Cd)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、水銀(Hg)、ウラン(U)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)などの金属(以下、「レアメタル」と称することがある。)は、我々の生活に必要不可欠なものであり、自動車用触媒や燃料電池、超強力磁石など現在の精密機器をはじめ多くの製品に使用されている。
しかしながら、日本は、これら金属のほとんどを輸入に頼っているのが現状である。これら金属の中でも、イットリウムは、超伝導特性を示す金属であることから様々な用途で使用される金属であり、地殻内存在量が最も少ない金属の一つであることから、近年の各国による資源獲得競争の中、価格が高騰しつつある。このため、資源の安定的な供給、環境保護の観点から、イットリウムをリサイクルする方法が提案されている。
前記金属のリサイクル方法としては、例えば、金属を含有する水溶液に金属を抽出する抽出剤を入れて金属を抽出する方法が用いられており、この用途に使用する様々な抽出剤が開発され利用されている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、金属を含有する水溶液は、様々な廃棄物を多種の酸によって水溶液化して得られるものであり、イットリウム以外の金属も多く含有している。このような水溶液から前記抽出剤を用いて抽出すると、イットリウム以外に、例えば、パラジウム、ジルコニウム、白金、ロジウム、アルミニウムなどの金属も抽出される。このため、イットリウムなどの個々の金属を分離抽出するためには、多段階的に抽出分離しなければならず、時間やコストがかかるという問題があった。
したがって、イットリウムなどの金属を選択的に抽出可能な金属抽出剤の速やかな開発が強く求められているのが現状である。
特開2007−239066号公報 特開2007−239088号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、イットリウムなどの金属を選択的に高効率で抽出可能な金属抽出剤及びこの金属抽出剤を用いたイットリウムの抽出方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(1)及び下記一般式(2)で表される少なくともいずれかの環状硫化物誘導体を少なくとも含有することを特徴とする金属抽出剤である。
但し、一般式(1)及び下記一般式(2)共に、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Zは、スルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基から選択される少なくとも一つである。nは、2以上の整数を表す。
<2> イットリウムを抽出する前記<1>に記載の金属抽出剤である。
<3> nは、3である前記<2>に記載の金属抽出剤である。
<4> Rは、エチル基である前記<2>から<3>のいずれかに記載の金属抽出剤である。
<5> 抽出すべきイットリウムを含む水溶液の25℃におけるpHを7未満に調節するpH調節工程と、前記pHを調節したイットリウムを含む水溶液及び前記<2>から<4>のいずれかに記載の金属抽出剤を少なくとも含有する有機層を接触させ、前記有機層にイットリウムを抽出する抽出工程と、を含むことを特徴とするイットリウムの抽出方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、本発明は、例えばイットリウムを選択的に高効率で抽出可能な金属抽出剤及びこの金属抽出剤を用いたイットリウムの抽出方法を提供することができる。
図1は、実施例1の抽出結果の一例を示したグラフである。
(金属抽出剤)
本発明の金属抽出剤は、環状硫化物誘導体を少なくとも含有し、さらに、必要に応じてその他の成分を含有する。
<環状硫化物誘導体>
前記環状硫化物誘導体としては、下記一般式(1)及び下記一般式(2)の少なくともいずれかで表される化合物である。
但し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基である。これらの中でも、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)がより好ましく、炭素数1〜2のアルキル基(メチル基、エチル基)が合成が容易であるという点で好ましい。
Zは、スルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基から選択される少なくとも一つである。これらの中でも、Zは、合成が容易であるという点でスルフィド基が好ましい。
nは、2以上の整数である。これらの中でも、nは、3が好ましい。
但し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基である。これらの中でも、合成が容易であるという点でメチル基とエチル基が好ましい。
Zは、スルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基から選択される少なくとも一つである。これらの中でも、Zは、合成が容易であるという点でスルフィド基が好ましい。
nは、2以上の整数である。これらの中でも、nは、3が好ましい。
前記炭素数1〜10の炭化水素基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、カルボニル基などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。
前記環状硫化物誘導体の具体例としては、下記構造式で表される化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
前記環状硫化物誘導体としては、例えば、アルキルフェノールを出発物質とし、前記アルキルフェノールと単体硫黄とを、アルカリ金属試薬又はアルカリ土類金属試薬の存在下で反応させることによって、スルフィド結合によって4つ又は6つのアルキルフェノールが連結した環状フェノール硫化物を得、次いでフェノール基をエステル基に変換することによって得ることができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化防止剤などが挙げられる。
<使用方法>
本発明の金属抽出剤の使用方法としては、詳細は後述するが、本発明の金属抽出剤を溶媒に溶解させ、イットリウム等を含む水溶液と接触させる方法が好適である。
(イットリウムの抽出方法)
本発明のイットリウムの抽出方法は、pH調節工程と、抽出工程と、を含み、さらに、必要に応じて、その他の工程を含む。
<pH調節工程>
前記pH調節工程は、抽出すべきイットリウムを含む水溶液の25℃におけるpHを調節する工程である。
前記25℃におけるpHとしては、7未満が好ましく、5未満がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
前記pHが、7以上であると、イットリウムを選択的に抽出できないことがある。
前記pHは、pH METER D−51(HORIBA社製)を用いて測定することができる。なお、イットリウムを含む水溶液の25℃におけるpHがすでに7未満である場合は、前記pH調節工程を省略することができる。
前記pHの調節方法としては、所望のpHになるように酸又はアルカリを前記抽出すべき金属を含む水溶液に添加すればよく、前記酸又はアルカリとしては、pHの調節に一般的に使用するものを挙げることができる。
前記酸としては、無機酸、有機酸などが挙げられる。
前記無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などが挙げられる。
前記有機酸としては、例えば、酢酸などが挙げられる。
前記アルカリとしては、金属の水酸化物塩、アミン類、アンモニア類などが挙げられる。
前記金属の水酸化物塩としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
前記アミン類としては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピリジンなどが挙げられる。
前記アンモニア類としては、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<抽出工程>
前記抽出工程は、pHを調節したイットリウムを含む水溶液(水層)と、前記金属抽出剤を含有する有機層とを接触させ、イットリウムを有機層に抽出する工程である。
−有機層−
前記有機層は、前記金属抽出剤と、溶媒と、を含有し、さらに、必要に応じてその他の成分を含有する。
−−溶媒−−
前記溶媒としては、前記金属抽出剤を溶解させることができれば特に制限はないが、イットリウムの抽出を容易にするために、前記イットリウムを含む水溶液と相溶しない非水溶性溶媒が好ましい。
前記非水溶性溶媒としては、特に制限はなく、例えば、鉱油、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン化溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記鉱油としては、例えば、石油、ケロシンなどが挙げられる。
前記脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが挙げられる。
前記芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
前記ハロゲン化溶媒としては、例えば、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレンなどが挙げられる。
前記溶媒に溶解させる際の前記金属抽出剤の濃度としては、1×10−6mol/L〜1×10mol/Lが好ましく、1×10−5mol/L〜1×10−2mol/Lがより好ましく、1×10−3mol/L〜1×10−2mol/Lが特に好ましい。
前記濃度が、1×10−6mol/L未満であると、イットリウムを抽出することが困難となることがあり、1×10mol/Lを超えると、エマルジョンが生じ、水相と有機相の分離が困難になることがある。
前記接触の方法としては、前記イットリウムを含む水溶液及び有機層とを含む溶液を振とうさせる方法、攪拌する方法などが挙げられる。
前記攪拌の速度としては、10回転/分〜1,000回転/分が好ましく、300回転/分〜1,000回転/分がより好ましく、800回転/分〜1,000回転/分が特に好ましい。
前記速度が、10回転/分未満であると、十分に攪拌されておらず、有機相と水相の接触が不十分なことがあり、1,000回転/分を超えると、エマルジョンが発生することがある。
また、前記振とうの速度としては、100ストローク/分〜800ストローク/分が好ましく、300ストローク/分〜800ストローク/分がより好ましく、500ストローク/分〜800ストローク/分が特に好ましい。
前記速度が、100ストローク/分未満であると、有機相と水相が十分に接触できず、金属イオンを抽出できないことがあり、800ストローク/分を超えるとエマルジョンが発生することがある。
前記攪拌の時間としては、1時間〜24時間が好ましく、12時間〜24時間がより好ましく、20時間〜24時間が特に好ましい。
前記時間が、1時間未満であると、金属を抽出できないことがあり、24時間を超えても、抽出率が向上することはない。
前記振とうの時間としては、5分〜30分が好ましく、10分〜30分がより好ましく、20分〜30分が特に好ましい。
前記時間が、5分未満であると、有機相と水相が接触する時間が少ないために、金属を抽出できないことがあり、30分を超えても抽出率が向上することはない。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
<環状フェノール硫化物中間体オリゴマー(A)の製造>
1,000mL三口フラスコに、p−tert−ブチルフェノール300g(2.0mol)、ジフェニルエーテル64.0ml、エチレングリコール56.0ml(1.0mol)を入れ、窒素雰囲気下で加熱撹拌し、60℃に達した後、酸化カルシウム28.0g(0.5mol)を投入し、約20分間で120℃まで昇温して2時間反応させた。反応後、エチレングリコールと生成した水を減圧溜去した。減圧溜去の際に同時に溜去したジフェニルエーテルを追加した後、再び窒素雰囲気下で加熱撹拌し、100℃に達した後、硫黄95.9g(3.0mol)を全量加え、230℃まで昇温して3時間反応させた。反応終了後、放冷して110℃になったのを確認し、トルエン250mLを徐々に加えて反応液の粘性を下げて行き、この反応液を4Nの硫酸500mL中に注いで反応を停止させた。析出した硫酸カルシウムを濾過し、濾液を飽和硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄した後、濾液を濃縮し、80℃に加温した。これを、別途準備しておいた80℃に加温した酢酸1Lに注ぎ、80℃で約1時間撹拌後、室温で一晩放置した。析出した沈殿を蒸留水にて洗浄後、未洗浄の酢酸を除くため、大量のクロロホルムに溶解させ、硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。その後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、一晩減圧乾燥させることによって、収率67.8%で環状フェノール硫化物中間体オリゴマー(A)を得た。
(製造例2)
<環状フェノール硫化物(B)の製造>
製造例1で得られた環状フェノール硫化物中間体オリゴマー30g、ジフェニルエーテル64.0mL、水酸化ナトリウム3.99g、酢酸1.62gをこの順に500Lの三口フラスコに入れて窒素下加熱撹拌し、100℃で硫黄2.14gを全量加えて約1時間で230℃まで昇温し、4時間反応させた。反応終了後、放冷し、2Nの硫酸(100mL)を反応液に注いで反応を停止させ、次いでn−へプタン(100mL)を加えて約10分間撹拌した。その後、無水硫酸ナトリウム水溶液で硫酸を洗浄して水層と有機層に分け、有機層内のジフェニルエーテルを減圧溜去し、アセトンを加えて沈殿を析出させた。析出した沈殿を濾取して減圧乾燥することによって、環状フェノール硫化物の粗結晶を得た。この粗結晶をクロロホルムに溶解させて再結晶することによって、環状フェノール硫化物(B)を精製した。精製後の環状フェノール硫化物(B)の収率は11.4%であった。
(製造例3)
<環状硫化物誘導体の合成>
製造例2で得られた環状フェノール硫化物(B)(0.3g、0.277mmol)、4−ブロモ−n−酪酸エチル(0.648g、3.324mmol)、炭酸セシウム(0.815g、2.493mmol)、アセトン(30mL)を100mLの二口フラスコに入れ、窒素雰囲気下で加熱攪拌した。反応追跡は、TLC(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で行った。72時間で反応の進行が見られなくなったため放冷した。その後、溶媒を留去し、白色の沈殿物をクロロホルムに溶解し、2Nの塩酸、飽和硫酸ナトリウム水溶液、水の順に洗浄を行った。洗浄した有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、ろ過し濃縮した。その後、得られた白色の固体をエタノールで再結晶し、この結晶をろ過し回収した。この固体をTLCで再度確認したところ、4成分(Rf:0.37、0.55、0.63、0.71)が見られた。これをオープンカラム(直径2cm、高さ100cm、シリカゲル(150〜425μm)、展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて分離し、Rf0.63と0.71の成分を回収した。Rf0.63の成分及びRf0.71の成分はH−NMR、IR、FAB−MS、及び元素分析の結果から、それぞれ6置換環状硫化物誘導体[1]、4置換環状硫化物誘導体[2]と同定した。H−NMR、IR、FAB MS、及び元素分析の結果は下記に示す。

6置換環状硫化物誘導体[1](Rf 0.63)
収量:0.010g
収率:2.0%
IR(KBr):2962.8(CH) 1735.9(C=O)
FAB MS:C9613218 m/z:1765.6[M]、calcd 1764.8
Anal. Calcd for C9613218: C,65.28、H,7.54.Found:C 65.07、H 7.46

4置換環状硫化物誘導体[2](Rf 0.71)
収量:0.025g
収率:5.7%
IR(KBr)cm−1:3410.7(OH)、2957.5(CH)、2872.5(CH)、1734.4(C=O)
FAB MS:C8411214 m/z:1538.0[M] calcd 1536.6
Anal. Calcd for C8411214:C,65.60,H,7.35.Found:C 65.52、H 7.16
(実施例1)
<イットリウムの抽出方法>
工場より排出されたレアメタルを数種類含む廃棄物を酸として塩酸と過酸化水素を添加することで25℃におけるpHが1.0の水溶液とし、この水溶液を蒸留水にて50倍に希釈した(以下、水層という。)。
この水層をICP発光分析装置により金属濃度を分析したところ、Rh:264.3ppm,Pd:737.8ppm,Pt:434.1ppm,Zr:198.2ppm,Ce:>3840.5ppm,Ba:2118.2ppm,Al:2272.5ppm,La:666.9ppm,Y:36.3ppmであった。
溶媒としてクロロホルムに製造例3で合成した6置換環状硫化物誘導体[1]を濃度が2.92mMとなるように溶解させた有機層10mLと、前記水層10mLとをサンプル管口径24.0mmのサンプル管に入れ、撹拌子14.0mmを用い、温度は室温、撹拌時間24時間、撹拌速度500回転/分で攪拌を行った。
その後、水層中の金属濃度をICP発光分析装置により分析し、得られた結果をもとに抽出率(E%)を下記の式(I)にて求めた。環状硫化物誘導体と水溶液中の金属濃度とのモル濃度比をICP発光分析装置により測定したところ1:1であった。図1に結果を示す。

(E%)=(C−C)/C×100 (I)
但し、Cは、抽出前の水層中の金属濃度(ppm)を表し、Cは、抽出後の水層中の金属濃度(ppm)を表す。
(実施例2)
<金属の抽出方法>
実施例1において、6置換環状硫化物誘導体[1]を4置換環状硫化物誘導体[2]に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の金属の抽出を行った。抽出結果を図1に示す。
図1より、6置換環状硫化物誘導体[1]を用いると、イットリウムのみ約35%の高効率で抽出されていることがわかる。また、4置換環状硫化物誘導体[2]を用いると、イットリウムのみ約25%の高効率で抽出されていることがわかる。本発明の金属抽出剤及びイットリウムの抽出方法は、イットリウムに対し高い選択性と高効率があることがわかる。つまり、公知の溶媒抽出装置を用いて、本発明の抽出剤により、イットリウムの抽出および分離、回収が可能であることが分かる。
本発明の金属抽出剤及びイットリウムの抽出方法は、イットリウムを選択的に高効率で抽出することができるので、例えば、資源の安定的な供給、環境保護の観点から、イットリウムをリサイクルする方法などに好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)及び下記一般式(2)で表される少なくともいずれかの環状硫化物誘導体を少なくとも含有することを特徴とする金属抽出剤。

    但し、一般式(1)及び下記一般式(2)共に、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Zは、スルフィド基、スルフィニル基、及びスルホニル基から選択される少なくとも一つである。nは、2以上の整数を表す。
  2. イットリウムを抽出する請求項1に記載の金属抽出剤。
  3. nは、3である請求項2に記載の金属抽出剤。
  4. は、エチル基である請求項2から3のいずれかに記載の金属抽出剤。
  5. 抽出すべきイットリウムを含む水溶液の25℃におけるpHを7未満に調節するpH調節工程と、
    前記pHを調節したイットリウムを含む水溶液及び請求項2から4のいずれかに記載の金属抽出剤を少なくとも含有する有機層を接触させ、前記有機層に前記イットリウムを抽出する抽出工程と、を含むことを特徴とするイットリウムの抽出方法。
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