JP2000178271A - 環状フェノ―ル硫化物アミノアルキル誘導体の製造方法、金属分離回収剤及び金属分離回収方法 - Google Patents

環状フェノ―ル硫化物アミノアルキル誘導体の製造方法、金属分離回収剤及び金属分離回収方法

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JP2000178271A
JP2000178271A JP10375819A JP37581998A JP2000178271A JP 2000178271 A JP2000178271 A JP 2000178271A JP 10375819 A JP10375819 A JP 10375819A JP 37581998 A JP37581998 A JP 37581998A JP 2000178271 A JP2000178271 A JP 2000178271A
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aminoalkyl
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Fumio Hamada
文男 濱田
Miyuki Narita
美雪 成田
Haruhiko Takeya
晴彦 竹矢
Setsuko Miyanari
節子 宮成
Hitoshi Kumagai
仁志 熊谷
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Cosmo Oil Co Ltd
Cosmo Research Institute
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Cosmo Oil Co Ltd
Cosmo Research Institute
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 p位にアミノアルキル基を置換した環状フェ
ノール硫化物のアミノアルキル誘導体を収率よく、しか
も効率的に製造できる方法、優れた分離回収性能を有
し、安定性が高く、容易に製造できる金属分離回収剤及
びそれを用いた金属の分離回収方法を提供する。 【解決手段】 一般式(1)で表される環状フェノー
ル硫化物をアルデヒド化合物及びアミン化合物と反応さ
せることにより、一般式(2)で表される環状フェノー
ル硫化物アミノアルキル誘導体を製造する。この製造物
またはその分子中の硫黄原子のスルフィニルもしくはス
ルホニル変性体を金属分離回収剤として金属と接触させ
ることにより、金属を分離回収する。 (式中、X1は水素原子またはアルキル基、nは4〜8
の整数、X2は水素原子またはアルキル基、Y2は水素原
子または−RNR12で表されるアミノアルキル基を示
す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状フェノール硫
化物をアルデヒド化合物及びアミン化合物と反応させる
ことにより、環状フェノール硫化物の水酸基のp位にア
ミノアルキル基を置換した、環状フェノール硫化物のア
ミノアルキル誘導体を製造する方法に関する。また、本
発明は、該環状フェノール硫化物のアミノアルキル誘導
体を含有する新規な金属分離回収剤、及び金属と該環状
フェノール硫化物のアミノアルキル誘導体を接触させる
ことにより金属を分離回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、先に、従来存在する非環
状のフェノール硫化物とは全く異なる新規な環状フェノ
ール硫化物群を見い出し、また、これらの環状フェノー
ル硫化物群の製造方法も見いだした(特開平9−227
553)。これらの環状フェノール硫化物群には、水酸
基のp位にアミノアルキル基を有する環状フェノール硫
化物アミノアルキル誘導体も含まれているが、この環状
フェノール硫化物アミノアルキル誘導体の製造には高い
水準の技術を要し、そのためより簡便な製造方法の提案
が求められていた。一方、近年、環境保全や人の健康へ
の影響等の理由から、例えば工業廃水等の水に含まれる
金属や有機化合物等の有害物質の効果的な除去方法が求
められるようになった。このような環境汚染を解決する
ための重要な方法のひとつに、上記のような有害物質を
分離回収する方法が挙げられる。このため、膜分離技術
や抽出技術など様々な分離回収技術に関する研究や開発
が進められている。特に、溶媒抽出法は、基本的に簡便
な操作で迅速に対象物質の分離や濃縮を行うことが可能
であり、また、省エネルギー、資源の有効利用、環境保
全型の高度分離精製操作であるため、有害物質の除去を
はじめとして、分析化学、有機化合物の分離精製、金属
イオンなどの無機物の分離、回収及び除去、あるいはフ
ァインケミカルズやバイオなどの先端分野において、広
範囲に利用されている技術である。特に、金属抽出に関
しては、工業廃水などに含まれる微量金属の処理以外に
も、貴金属や重金属などの資源回収などにおいて工業的
に重要な技術となっている。
【0003】溶媒抽出法における抽出剤としては、従
来、溶液組成に応じて酸性抽出剤、塩基性抽出剤、及び
中性抽出剤などに分類され、例えば、ジ−(2−エチル
ヘキシル)リン酸、E−2−ヒドロキシ−5−ノニルベ
ンゾフェノンオキシム、8−ヒドロキシ−7−(1−ノ
ニル−2−プロペニル)キノリン、トリアルキルメチル
アンモニウム塩、トリブチルフォスフェートなどが用い
られ、D2EHPA(花王、大八化学)、LIX65N
(General Mills)、Kelex120
(Ashland Chemical)、Aliqua
t336(Ashland Chemical)などの
商品名で市販されている。また、アルカリ金属やアルカ
リ土類金属の捕捉については、従来、このようなキレー
ト系抽出剤では抽出が困難であったが、Pederse
nらが初めてクラウンエーテルを合成し、これらがアル
カリ金属をその空孔内に取り込むことを報告して以来、
各種イオンの分離、分析、濃縮、輸送などにおいて活発
に研究開発がなされるようになった。しかし、工業的な
処理技術としては、処理容量、処理速度、選択性、処理
コスト等に依然として問題が残されており、膜分離はも
とより、抽出技術に関しても、現在なお、より抽出容量
が大きく、抽出速度が速く、より選択性が高く、また、
安定性に優れ、無害でより安価なものが求められてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、環状フェノール硫化物の水酸
基のp位にアミノアルキル基を置換した環状フェノール
硫化物のアミノアルキル誘導体を収率よく、しかも効率
的に製造できる方法を提供することにある。また、本発
明が解決しようとする課題は、従来の金属分離回収剤に
はない全く新しい構造を有し、優れた分離回収性能を有
し、また、安定性が高く、容易に製造できる金属分離回
収剤及びそれを用いた金属の分離回収方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を重ねた結果、環状フェノール
硫化物にアルデヒド化合物及びアミン化合物を反応させ
ることにより、環状フェノール硫化物の水酸基のp位に
アミノアルキル基を置換した環状フェノール硫化物のア
ミノアルキル誘導体を効率的に製造できる方法を見出
し、本発明を完成するに至った。また、環状フェノール
硫化物のアミノアルキル誘導体が、金属に対し優れた包
接機能を有し、また、これらの金属に対して高い分離回
収能を有することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、一般式(1)
【0006】
【化4】
【0007】(式(1)中、X1は水素原子またはアル
キル基であり、nは4〜8の整数である。)で表される
環状フェノール硫化物をアルデヒド化合物及びアミン化
合物と反応させることにより、一般式(2)
【0008】
【化5】
【0009】(式(2)中、X2は水素原子またはアル
キル基であり、Y2は水素原子または−RNR12で表
されるアミノアルキル基であり、複数のY2の少なくと
も1つはアミノアルキル基であり、nは4〜8の整数で
ある。また、Y2のRはアルキレン基またはアルキルカ
ルボニル基であり、R1及びR2は水素原子またはアルキ
ル基であり、R1とR2は直接又はヘテロ原子を介して結
合して複素環を形成してもよい。)で表される環状フェ
ノール硫化物アミノアルキル誘導体を製造することを特
徴とする環状フェノール硫化物アミノアルキル誘導体の
製造方法を提供するものである。また、本発明は、一般
式(3)
【0010】
【化6】
【0011】(式(3)中、X3は水素原子、アルキル
基、アシル基またはアルキルスルホニル基であり、Y3
は水素原子または−R3NR45 で表されるアミノアル
キル基であり、複数のY3の少なくとも1つはアミノア
ルキル基であり、ZはS、スルフィニル基またはスルホ
ニル基であり、複数のZはそれぞれ同一であってもよい
し、異なってもよく、nは4〜8の整数である。また、
3のR3はアルキレン基またはアルキルカルボニル基で
あり、R4及びR5 は水素原子またはアルキル基であり、
4とR5は直接又はヘテロ原子を介して結合して複素環
を形成してもよい。)で表される環状フェノール硫化物
アミノアルキル誘導体を含有することを特徴とする金属
分離回収剤を提供するものである。さらに、本発明は、
上記の金属分離回収剤を金属と接触させることを特徴と
する金属の分離回収法を提供するものである。以下、本
発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】上記一般式(1)のX1は、水素
原子またはアルキル基である。X1のアルキル基の炭素
数は、1以上であれば特に制限されないが、好ましくは
1〜6である。アルキル基の適当な例としては、メチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、n−ペンチル、n−ヘキシル、ビニル、アリル、シ
クロヘキシル、フェニルなどが挙げられる。一般式
(1)において、X1は1分子中に4〜8個存在する
が、それらのX1はそれぞれ同一であってもよいし、異
なってもよい。一般式(1)において、nは4〜8の整
数である。一般式(1)の環状フェノール硫化物の製造
例は、特開平9−227553号に記載されている。適
当な製造例としては、先ず一般式(4)
【0013】
【化7】
【0014】(式(4)中、Yはアルキル基である。)
で表される4位にアルキル基を有するアルキルフェノー
ル類と、適当量の単体硫黄を、適当量のアルカリ金属試
薬及びアルカリ土類金属試薬から選ばれる少なくとも1
種の金属試薬の存在下反応させる方法により環状フェノ
ール硫化物を製造する方法である。アルキルフェノール
類と単体硫黄の原料仕込比は、アルキルフェノール類1
グラム当量に対し、単体硫黄が0.1グラム当量以上で
あり、好ましくは0.35グラム当量以上である。単体
硫黄の原料仕込比の上限は特に限定されないが、アルキ
ルフェノール類1グラム当量に対し、20グラム当量以
下が好ましく、特に10グラム当量以下が好ましい。
【0015】アルカリ金属試薬としては、例えばアルカ
リ金属単体、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金
属、炭酸アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、ハ
ロゲン化アルカリ金属などが挙げられる。また、アルカ
リ土類金属試薬としては、例えばアルカリ土類金属単
体、水素化アルカリ土類金属、水酸化アルカリ土類金
属、酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、ア
ルカリ土類金属アルコキシド、ハロゲン化アルカリ土類
金属などが挙げられる。アルカリ金属試薬またはアルカ
リ土類金属試薬の使用量は、アルキルフェノール類1グ
ラム当量に対し、0.005グラム当量以上であり、好
ましくは0.01グラム当量以上である。アルカリ金属
試薬またはアルカリ土類金属試薬の使用量の上限は特に
制限はないが、好ましくは10グラム当量以下であり、
特に好ましくは5グラム当量以下である。
【0016】このようにして得られた環状フェノール硫
化物のフェノール性水酸基に対してp位のアルキル基を
水素原子に転換すれば、一般式(1)のX1が水素であ
る環状フェノール硫化物を製造できる。この転換方法例
は、特開平10−77282号明細書に記載されてい
る。適当な製造例としては、環状フェノール硫化物中間
体のフェノール性水酸基に対してp位のアルキル基を、
塩化アルミニウムなどの触媒を用いて脱アルキル化する
方法が挙げられる。なお、一般式(4)のYのアルキル
基としては特に制限はないが、3級のアルキル基が好ま
しく、特に好ましいのはtert−ブチル基である。ま
た、生成した環状フェノール硫化物のフェノール性水酸
基の水素原子は、必要により、一般式(1)の水素原子
以外のX1、すなわちアルキル基に転換できる。この転
換方法例は、特開平9−227553号明細書に記載さ
れている。適当な製造例としては、環状フェノール硫化
物のフェノール性水酸基の水素原子をアルカリ金属に置
換し、これをハロゲン化アルキルと反応させることによ
り、アルキル基に転換する方法が挙げられる。
【0017】一般式(2)のX2は、水素原子またはア
ルキル基である。X2のアルキル基は、上記一般式
(1)のX1において説明したアルキル基と同様なもの
が挙げられ、好ましいものも同様である。一般式(2)
においてX2は1分子中に4〜8個存在するが、それら
のX2はそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよ
い。一般式(2)のY2は、水素原子または−RNR1
2で表されるアミノアルキル基である。Y2のRは、アル
キレン基またはアルキルカルボニル基である。このRの
炭素数は、アルキレン基では1以上、アルキルカルボニ
ル基では2以上であれば特に制限されないが、好ましく
は1〜6である。
【0018】Y2のR1及びR2は水素またはアルキル基
であり、R1とR2は直接又はヘテロ原子を介して結合し
て複素環を形成してもよい。R1及びR2のアルキル基の
炭素数は、1以上であれば特に制限されない。この好適
な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、ビ
ニル、アリル、シクロヘキシル、ベンジルなどが挙げら
れる。また、このNR12は環状になっていてもよい。
環状になっている場合、R1とR2は直接又はヘテロ原子
を介して結合してる。ヘテロ原子としては、例えば酸素
原子、窒素原子などが挙げられる。この好適な具体例と
しては、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、ピロリ
ジニル、チアゾリジニル、及びこれらのアルキル置換
体、カルボキシル基置換体、アザクラウン類などが挙げ
られる。一般式(2)においてY2は1分子中に4〜8
個存在するが、それらのY2はそれぞれ同一であっても
よいし、異なってもよいが、少なくとも1つはアミノア
ルキル基である。一般式(2)のnは4〜8の整数であ
る。一般式(2)で表される環状フェノール硫化物アミ
ノアルキル誘導体は、一般式(1)で表される環状フェ
ノール硫化物に、アルデヒド化合物及びアミン化合物を
反応させることにより得られる。
【0019】なお、一般式(1)で表される環状フェノ
ール硫化物は、必要により、あらかじめフェノール性水
酸基のp位にアシル基を置換してもよい。この転換方法
例としては、環状フェノール硫化物のフェノール性水酸
基を無水酢酸などによりアセチル化した後、これを塩化
アルミニウムなどの触媒を用いてFries転位により
転換する方法が挙げられる。使用するアルデヒド化合物
の適当な具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトア
ルデヒド、プロピオンアルデヒドなどが挙げられる。ア
ルデヒド化合物の一般式(1)で表される環状フェノー
ル硫化物に対する使用量は、該環状フェノール硫化物の
フェノール性水酸基のp位の水素に対して1当量以上あ
ればよい。
【0020】また、使用するアミン化合物はアンモニ
ア、一級アミン、二級アミンである。この適当な具体例
としては、ジメチルアミンやジエチルアミンなどのアル
キルアミンやピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピ
ロリジン、チアゾリジン、これらのアルキル置換体、カ
ルボキシル基置換体、アザクラウン類などの環状アミン
などが挙げられる。アミン化合物の一般式(1)で表さ
れる環状フェノール硫化物に対する使用量は、該環状フ
ェノール硫化物のフェノール性水酸基のp位の水素に対
して1当量以上あればよい。
【0021】本反応には、酸性触媒あるいは塩基触媒の
いずれも用いることができる。酸性触媒としては、酢酸
などの有機酸、塩酸、硫酸などが挙げられる。また、塩
基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げら
れる。反応温度は室温以上であればよいが、通常室温か
ら100℃の範囲で行われる。高温では副生成物の生成
量が増加する傾向がある。反応時間には特に制限はな
く、通常数時間以上数日間以下である。また、必要によ
り、この反応において溶媒を使用することができる。溶
媒としては、一般式(1)の環状フェノール硫化物を溶
解させるものであれば特に制限はないが、さらに水との
溶解性を有するものであれば好ましい。この適当な具体
例としては、THF、ジオキサン、及びエタノールなど
のアルコールなどが挙げられる。
【0022】一般式(2)で表される環状フェノール硫
化物アミノアルキル誘導体の水酸基は、必要により、一
般式(3)の水素原子、アルキル基以外のX3、すなわ
ちアシル基またはアルキルスルホニル基に変換できる。
アシル基への転換方法例は、特開平9−227553号
明細書に記載されている。適当な製造例としては、環状
フェノール硫化物のフェノール性水酸基の水素原子をア
セチルクロリドや無水酢酸などのアシル化剤により、ア
シル基に転換する方法が挙げられる。また、アルキルス
ルホニル基への転換方法例としては、環状フェノール硫
化物のフェノール性水酸基とクロロスルホニル化合物と
を反応させる方法が挙げられる。また、一般式(2)で
表される環状フェノール硫化物アミノアルキル誘導体の
Sは、必要により、一般式(3)のS以外のZ、すなわ
ちスルフィニル基またはスルホニル基に変換できる。こ
の転換方法例は、特願平8−255368号明細書に記
載されている。適当な製造例としては、過酸化水素や過
酸等の適当な酸化剤を用いてSを酸化する方法が挙げら
れる。
【0023】本発明における金属分離回収剤は、上記一
般式(3)の環状フェノール硫化物アミノアルキル誘導
体を含有する。一般式(3)中のX3は水素原子、アル
キル基、アシル基またはアルキルスルホニル基である。
3のアルキル基は、上記一般式(2)のX2において説
明したアルキル基と同様なものが挙げられ、好ましいも
のも同様である。X3のアルキル基の炭素数は、1以上
であれば特に制限されないが、好ましくは1〜6であ
る。X3のアシル基の炭素数は、1以上であれば特に制
限されないが、好ましくは1〜7である。アシル基の適
当な例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、
ブチリル、バレリル、オキサリル、マロニル、サクシニ
ル、ベンゾイル、アクリロイル、メタクリロイル、クロ
トニルなどが挙げられる。また、X3のアルキルスルホ
ニル基の炭素数は、1以上であれば特に制限されない
が、好ましくは1〜7である。なお、X3のアルキル
基、アシル基またはアルキルスルホニル基の炭素数が増
加すると一般に金属包接能が低下する。
【0024】一般式(3)においてX3は1分子中に4
〜8個存在するが、それらのX3はそれぞれ同一であっ
てもよいし、異なってもよい。一般式(3)のY3は、
水素原子または−R3NR45 で表されるアミノアルキ
ル基である。Y3のアミノアルキル基は、上記一般式
(2)のY2において説明したアミノアルキル基と同様
なものが挙げられ、好ましいものも同様である。一般式
(3)においてY3は1分子中に4〜8個存在するが、
それらのY3はそれぞれ同一であってもよいし、異なっ
てもよいが、少なくとも1つはアミノアルキル基であ
る。アミノアルキル基は多い方が金属の分離回収に有利
である。一般式(3)のZは、S、スルフィニル基また
はスルホニル基であり、複数のZはそれぞれ同一であっ
てもよいし、異なってもよい。また、一般式(3)のn
は4〜8の整数である。
【0025】一般式(3)で表される環状フェノール硫
化物アミノアルキル誘導体をを含む金属分離回収剤を金
属と接触させることにより、金属を効率的に分離回収す
ることができる。本発明の金属分離回収剤は、一般式
(3)で表される化合物のみを含有するものであっても
よいし、他の成分を併せて含有するものであってもよ
い。本発明により分離回収できる金属には特に制限はな
いが、好ましい金属としてアルカリ金属、アルカリ土類
金属、遷移金属、3B族、4B族の金属などが挙げられ
る。アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリ
ウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、
セシウム(Cs)などが、また、アルカリ土類金属とし
ては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ス
トロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)などが挙げら
れる。遷移金属としては、第VIII属の鉄(Fe)、コ
バルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(R
u)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミ
ウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)をは
じめとして、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロ
ム(Cr)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Z
n)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニ
オブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、カド
ミウム(Cd)、ランタン(La)、セリウム(C
e)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロ
ピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム
(Tb)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、
ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウ
ム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、
タングステン(W)、金(Au)、水銀(Hg)、ウラ
ン(U)、プルトニウム(Pu)などが挙げられる。3
B族、4B族の金属としては、アルミニウム(Al)、
ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(T
l)、スズ(Sn)、鉛(Pb)などが挙げられる。抽
出されるこれらの金属は、1種のみでもよいし、又は2
種以上の組み合わせであってもよい。
【0026】接触させる好適な方法例としては、抽出に
よる方法が挙げられる。一般式(3)で表される環状フ
ェノール硫化物アミノアルキル誘導体を溶解させた溶液
に、金属が溶解した溶液を接触させることにより、金属
が環状フェノール硫化物アミノアルキル誘導体溶液に移
行し、金属が抽出される。環状フェノール硫化物アミノ
アルキル誘導体溶液に使用する溶媒と抽出対象である金
属溶液に使用する溶媒は、お互い混和しにくい溶媒が使
用される。これらの溶媒の好適な組合せとしては、環状
フェノール硫化物アミノアルキル誘導体溶液の溶媒が非
水溶性の溶媒であり、金属溶液の溶媒が水である組合せ
である。この組合せによると、環状フェノール硫化物ア
ミノアルキル誘導体を非水溶性の溶媒に溶解させた溶液
を、金属が溶解した水溶液に接触させ、水溶液中の金属
を抽出することができる。
【0027】非水溶性の溶媒の適当な具体例としては、
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、
クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロ
ゲン化炭化水素、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化
水素、及び灯油、軽油などの鉱油が挙げられる。溶媒
は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用
いてもよい。溶媒に対する一般式(3)で表される環状
フェノール硫化物アミノアルキル誘導体の濃度は、該環
状フェノール硫化物アミノアルキル誘導体のそれぞれの
溶媒への溶解度によって上限が限定される以外は、特に
制限はなく、通常、1×10-6〜1Mである。被抽出溶
液中に溶解している金属の濃度は、特に制限なく、1.
0×10-5M程度でも十分に抽出できる。
【0028】金属水溶液のpHは、特に制限はないが、
好ましくはpHが3以上である。pHが3未満に下がっ
てゆくと、抽出率は低下する傾向にあり、抽出時間を長
時間必要とするようになる。抽出温度は、使用する溶媒
の沸点以下であれば、特に制限はない。通常、室温付近
で行えばよい。抽出操作は、該環状フェノール硫化物ア
ミノアルキル誘導体を溶解させた溶液と金属が溶解した
溶液を、振とう、撹拌などにより、互いに接触させるこ
とにより行われる。振とう、撹拌の条件は特に制限ない
が、激しく振とう、撹拌を行った方が効率的である。振
とうは、通常毎分100〜400回程度行えばよい。
【0029】本発明の環状フェノール硫化物アミノアル
キル誘導体と金属とを接触させる方法の好適な他の具体
例としては、該環状フェノール硫化物アミノアルキル誘
導体を含む分離回収剤を担体に混合または担持させ、こ
れと金属を含む水溶液とを接触させることにより、金属
を分離回収する方法が挙げられる。この方法としては、
例えば、本発明の分離回収剤を担体に混合または担持さ
せた分離膜やカラムクロマトグラフィー等の分離手段を
用いることにより金属を分離回収する方法が挙げられ
る。担体としては、例えば、シリカゲル、イオン交換樹
脂、ガラス、カーボン、ケイソウ土、セルロースなどの
固体の担体が挙げられ、特に制限はない。金属を含む水
溶液と接触させる温度は、水の沸点以下であれば特に制
限はなく、通常室温付近から60℃程度で行えばよい。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。ただし、本発明はこれらの例によって何ら限
定されるものではない。
【0031】製造例 25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,
14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,13
15,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(2
8),9,11,13(27),15,17,19(2
6),21,23−ドデカエン(I)の合成 4−tert−ブチルフェノール45.2gに、単体硫
黄14.4gおよび水酸化ナトリウム3.0gを加え、
窒素気流中、撹拌しながら、4時間かけて徐々に230
℃に加熱し、さらに2時間撹拌を続けた。この間、反応
で生成する水および硫化水素を除去した。反応中に留出
した水は約0.8gであり、反応により生成した硫化水
素は約6gであった。この反応混合物を室温まで冷却
し、エーテル500mlを加え溶解させた後、1規定の
硫酸水溶液で加水分解した。分液したエーテル層からエ
ーテルを留去して得られた反応混合物を、さらにシリカ
ゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)に
より分割し、粗生成物を得、これをクロロホルム/アセ
トンから再結晶させたところ、無色透明の結晶である環
状フェノール硫化物の5,11,17,23−テトラ−
tert−ブチル−25,26,27,28−テトラヒ
ドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.
3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(2
5),3,5,7(28),9,11,13(27),
15,17,19(26),21,23−ドデカエン
4.32gが得られた。
【0032】次に、この環状フェノール硫化物2gをト
ルエン100mlを加え溶解させた後、フェノール1.
26g及び塩化アルミニウム4.0gを加え、室温で5
時間攪拌した。反応終了後、氷水に反応液を徐々に加
え、残存の塩化アルミニウムを分解した。トルエン層を
分離した後、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、ろ液か
ら溶媒を留去した。その後、シリカゲルクロマトグラフ
ィー(ヘキサン/クロロホルム)により分離精製する
と、白色結晶の25,26,27,28−テトラヒドロ
キシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.
1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),
3,5,7(28),9,11,13(27),15,
17,19(26),21,23−ドデカエン(I)
1.1gが得られた。この生成物は、一般式(1)にお
いて、X1=H、n=4である環状フェノール硫化物で
ある。以下に、その物性を示す。 MS m/z:496(M+)、 1H−NMR:(δ,
ppm,CDCl3)9.45(s,4H,OH),
7.61(d,J=8Hz,8H,ArH),6.75
(t,J=8Hz,4H,ArH)、 13C−NMR:
(δ,ppm,CDCl3)157.9,139.3,
121.7,120.9(Ar)、元素分析値 % 理
論値 for C241644:C,58.04;H,
3.25;S,25.83、測定値:C,58.60;
H,3.40;S,24.97.
【0033】実施例1 製造例により得られた環状フェノール硫化物(I)(一
般式(1)において、X1=H、n=4である)400
mgを1,4−ジオキサン45ml中に懸濁させ、酢酸
5.0mlとジメチルアミン(40質量%水溶液)2.
74g、ホルムアルデヒド液(37質量%水溶液)2.
88gを加え、80℃で48時間攪拌した。反応液から
1,4−ジオキサンを留去し、約20mlの水を加え、
クロロホルムで2回洗浄した後、水相に炭酸カリウムを
加えて、環状フェノール硫化物ジメチルアミノ誘導体
(II)の結晶を析出させた。得られた生成物(II)
は、一般式(2)において、X2=H、Y2は全てR=−
CH2−、R1=R2=CH3のジメチルアミノメチル基で
あり、n=4である環状フェノール硫化物ジメチルアミ
ノメチル誘導体である。以下に、その物性を示す。1 H−NMR:(δ,ppm,CDCl3)7.47
(s,8H,ArH),3.31(s,8H,ArC
2 N−),2.36(s,24H,−CH3)、元素分析
値 %:理論値 for C3644444:C,5
9.64;H,6.12;N,7.73;S,17.6
9、測定値:C,59.3;H,6.0;N,7.5;
S,17.8
【0034】実施例2 製造例により得られた環状フェノール硫化物(I)(一
般式(1)において、X1=H、n=4である)500
mgを1,4−ジオキサン45ml中に懸濁させ、酢酸
3.0mlとジエチルアミン3.42g、ホルムアルデ
ヒド液(37質量%水溶液)3.60gを加え、80℃
で3時間攪拌した。実施例1と同様にして生成物の結晶
を析出させ、環状フェノール硫化物ジエチルアミノ誘導
体(III)を得た。得られた生成物(III)は、一
般式(2)において、X2=H、Y2は全てR=−CH2
−、R1=R2=CH2CH3のジエチルアミノメチル基で
あり、n=4である環状フェノール硫化物ジエチルアミ
ノメチル誘導体である。以下に、その物性を示す。1 H−NMR:(δ,ppm,CDCl3)7.43
(s,8H,ArH),3.44(s,8H,ArC
2 N−),2.49(br,16H,−C2 CH3),
1.03(t,24H,−CH23 )、元素分析値
%:理論値 forC4460444:C,63.1
2;H,7.22;N,6.69;S,15.32、測
定値:C,62.9;H,7.1;N,6.5;S,1
5.4
【0035】実施例3 ジエチルアミンの代わりにピペリジン3.77gを用
い、反応時間を2時間とした以外は、実施例2と同様に
して、環状フェノール硫化物ピペリジン誘導体(IV)
を得た。得られた生成物(IV)は、一般式(2)にお
いて、X2=H、Y2は全てR=−CH2−、NR12
ピペリジンのピペリジノメチル基であり、n=4である
環状フェノール硫化物ピペリジン誘導体である。以下
に、その物性を示す。1 H−NMR:(δ,ppm,CDCl3)7.41
(s,8H,ArH),3.12(s,8H,ArC
2 N−),2.49(br,16H,N(CH2
2−),1.03(br,24H,−(CH23−)、
元素分析値 %:理論値for C4860444
C,65.12;H,6.83;N,6.33;S,1
4.49、測定値:C,65.0;H,6.8;N,
6.2;S,14.3
【0036】実施例4 ピペリジンに代えてメチルピペラジン4.44gを用い
た以外は、実施例3と同様にして、環状フェノール硫化
物メチルピペラジン誘導体(V)を得た。得られた生成
物(V)は、一般式(2)において、X2=H、Y2は全
てR=−CH2−、NR12がメチルピペラジンのメチ
ルピペラジノメチル基であり、n=4である環状フェノ
ール硫化物メチルピペラジン誘導体である。以下に、そ
の物性を示す。1 H−NMR:(δ,ppm,CDCl3)7.50
(s,8H,ArH),3.31(s,8H,ArC
2 N−),2.48(br,32H,N(CH2
2−),2.36(s,12H,−N(CH3))、元素
分析値 %:理論値 for C4864844
C,60.99;H,6.82;N,11.85;S,
13.57、測定値:C,60.8;H,6.7;N,
11.6;S,13.4
【0037】実施例5 ピペリジンに代えてモルホリン3.86gを用いた以外
は、実施例3と同様にして、環状フェノール硫化物モル
ホリン誘導体(VI)を得た。得られた生成物(VI)
は、一般式(2)において、X2=H、Y2は全てR=−
CH2−、NR12がモルホリンのモルホリノメチル基
であり、n=4である環状フェノール硫化物モルホリン
誘導体である。以下に、その物性を示す。1 H−NMR:(δ,ppm,CDCl3)7.58
(s,8H,ArH),3.69(s,16H,−(C
22O),3.28(s,8H,ArC2 N−),
2.38(s,16H,N(CH22−)、元素分析値
%:理論値 for C4452484:C,5
9.17;H,5.87;N,6.27;S,14.3
6、測定値:C,59.0;H,5.9;N,6.2;
S,14.4
【0038】実施例6 実施例2により得られた環状フェノール硫化物ジエチル
アミノメチル誘導体(III)(一般式(3)におい
て、X3=H、Y2は全てR3=−CH2−、R4=R5 =C
2CH3のジエチルアミノメチル基であり、n=4であ
る)を用いて、Naイオンとの親和性をNMR及び紫外
線吸収スペクトルにより評価した。NMRによる評価
は、環状フェノール硫化物ジエチルアミノメチル誘導体
(III)の1×10-3M濃度のCDCl3溶液に、2
5℃において、NaSCNの重水素メタノール(MeO
D)溶液を添加していき、その際のNMR変化をみた。
結果を図1に示した。図1(a)は、NaSCNを添加
していない時のパターンを示しており、(b)〜(d)
は順次NaSCNの添加濃度を上げた時のパターンを示
している。NaSCNの濃度が高くなるにしたがい、1
ppm付近のC3 CH2−を示す3重線が2重線に収束
し、2.6ppm付近のCH32 −を示すシグナルが
低磁場にシフトし、また、3.5ppm付近の−C2
N=を示す1重線が分裂し多重線に変化した。さらに、
芳香環の水素の1重線も分裂し多重線に変化した。これ
により、環状フェノール硫化物ジエチルアミノメチル誘
導体(III)とNaイオンとが包接体を添加後すみや
かに形成していることを確認した。
【0039】なお、環状フェノール硫化物ジエチルアミ
ノメチル誘導体(III)とNaイオンの濃度比が1:
6以上では、NaSCNの添加によるNMRパターンの
変化は認められなかった。紫外線吸収スペクトルによる
評価は、環状フェノール硫化物ジエチルアミノメチル誘
導体(III)の1×10-4M濃度のクロロホルム溶液
に、室温で、NaSCNのMeOH溶液を添加してい
き、その際の紫外線吸収スペクトルの変化をみた。結果
を図2に示した。NaSCNの添加にしたがい、紫外線
吸収スペクトルの変化が認められ、環状フェノール硫化
物ジエチルアミノメチル誘導体(III)とNaイオン
の濃度比が1:6以上において、等吸収点が観察され
た。
【0040】実施例7 同様に環状フェノール硫化物ジエチルアミノメチル誘導
体(III)を用いて、Zn(SCN)2との親和性
を、紫外線吸収スペクトルにより評価した。結果を図3
に示した。Znイオンの添加量の増加に伴い紫外線吸収
スペクトルの変化が認められ、環状フェノール硫化物ジ
エチルアミノメチル誘導体(III)とZnイオンとが
包接体を添加後すみやかに形成していることを確認し
た。なお、環状フェノール硫化物ジエチルアミノメチル
誘導体(III)とZnイオンの濃度比が1:4以上
で、等吸収点が観察された。
【0041】実施例8 実施例1により得られた環状フェノール硫化物ジメチル
アミノメチル誘導体(II)(一般式(3)において、
3=H、Y3は全てR3=−CH2−、R4=R5=CH3
のジメチルアミノメチル基であり、n=4である)を用
いて、各金属の抽出を行った。抽出実験は、上記の環状
フェノール硫化物ジメチルアミノメチル誘導体(II)
をクロロホルムに溶解させ5.0×10-4Mとした有機
相10mlと、各金属の塩化物1.0×10-4Mを含む
水相10mlとを30mlのスクリュウバイアルに入
れ、室温で10分間振とうさせることにより行った。な
お、金属塩化物の水溶液のpHは特に調整しなかった
が、いずれも中性付近であった。振とう後の水相中の残
存金属イオン濃度を原子吸光光度計により測定し、抽出
率は次式により算出した。
【0042】
【数1】
【0043】ただし、[M+]totalは金属イオン
の初期濃度を示し、[M+]wは振とう後の水相中の金
属イオンの測定値を示す。結果を表1に示す。この結果
から、環状フェノール硫化物ジメチルアミノメチル誘導
体を用いることにより、わずか10分の振とう時間にも
かかわらず、アルカリ金属、遷移金属あるいは3B族の
金属のいずれについても高い抽出率を得られることが分
かる。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明の環状フェノール硫化物アミノア
ルキル誘導体の製造方法によると、環状フェノール硫化
物の水酸基のp位にアミノアルキル基を置換した環状フ
ェノール硫化物のアミノアルキル誘導体を収率よく、し
かも効率的に製造できる。また、本発明の金属分離回収
剤は、優れた分離回収性能を有し、また、安定性が高
く、本発明の金属分離回収によると、金属を効率よく回
収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である環状フェノール硫化
物ジエチルアミノメチル誘導体からなる金属分離回収剤
含有CDCl3溶液にNaSCNの重水素メタノール
(MeOD)溶液を添加し、その添加濃度を順次増加さ
せたときのNMRスペクトルを示したものである。
【図2】 本発明の一実施例である環状フェノール硫化
物ジエチルアミノメチル誘導体からなる金属分離回収剤
含有クロロホルム溶液にNaSCNのメタノール溶液を
添加し、その添加濃度を順次増加させたときの紫外線吸
収スペクトルを示したものである。
【図3】 本発明の一実施例である環状フェノール硫化
物ジエチルアミノメチル誘導体からなる金属分離回収剤
含有クロロホルム溶液にZn(SCN)2のメタノール
溶液を添加し、その添加濃度を順次増加させたときの紫
外線吸収スペクトルを示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹矢 晴彦 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 宮成 節子 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 熊谷 仁志 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式(1)中、X1は水素原子またはアルキル基であ
    り、nは4〜8の整数である。)で表される環状フェノ
    ール硫化物をアルデヒド化合物及びアミン化合物と反応
    させることにより、一般式(2) 【化2】 (式(2)中、X2は水素原子またはアルキル基であ
    り、Y2は水素原子または−RNR12で表されるアミ
    ノアルキル基であり、複数のY2の少なくとも1つはア
    ミノアルキル基であり、nは4〜8の整数である。ま
    た、Y2のRはアルキレン基またはアルキルカルボニル
    基であり、R1及びR2は水素原子またはアルキル基であ
    り、R1とR2は直接又はヘテロ原子を介して結合して複
    素環を形成してもよい。)で表される環状フェノール硫
    化物アミノアルキル誘導体を製造することを特徴とする
    環状フェノール硫化物アミノアルキル誘導体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】一般式(3) 【化3】 (式(3)中、X3は水素原子、アルキル基、アシル基
    またはアルキルスルホニル基であり、Y3は水素原子ま
    たは−R3NR45 で表されるアミノアルキル基であ
    り、複数のY3の少なくとも1つはアミノアルキル基で
    あり、ZはS、スルフィニル基またはスルホニル基であ
    り、複数のZはそれぞれ同一であってもよいし、異なっ
    てもよく、nは4〜8の整数である。また、Y3のR3
    アルキレン基またはアルキルカルボニル基であり、R4
    及びR5 は水素原子またはアルキル基であり、R4とR5
    は直接又はヘテロ原子を介して結合して複素環を形成し
    てもよい。)で表される環状フェノール硫化物アミノア
    ルキル誘導体を含有することを特徴とする金属分離回収
    剤。
  3. 【請求項3】請求項2に記載された金属分離回収剤と金
    属とを接触させることにより、金属を分離回収すること
    を特徴とする金属の分離回収方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016151026A (ja) * 2015-02-16 2016-08-22 国立大学法人秋田大学 パラジウム抽出剤、及び、パラジウムの抽出分離方法

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