JP5460436B2 - 脱りん方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、汎用鋼を溶製するための脱りん方法に関する。
従来より、気体酸素や固体酸素源とを供給しながら溶銑の脱りん処理を行う技術として、例えば、特許文献1、特許文献2のものがある。
特許文献1では、底吹きガス流量0.2Nm3 /min・t以上の撹拌条件による鉄浴強撹拌下で、底吹き羽口あるいは炉内に存在している冷鉄源に衝突しない深さまで浸漬した耐火物ランスから、脱Si反応と脱P反応を進行させるために必要十分な量の固体酸素源を鉄浴中に連続的に供給し、脱Si反応完了後の溶銑表面に生成するカバースラグの塩基度が1.5〜2.5になるように調整した脱Pフラックスを脱Si反応が完了するまでに添加し、上吹き酸素は、冷鉄源の溶解と固体酸素源の分解反応による吸熱を保障しつつ、冷鉄源溶解期中の鉄浴温度が1300〜1350℃になるために必要な量だけ供給され、冷鉄源溶解が完了した後、脱P反応が完了するまでの期間中は、上吹き酸素の供給量をカバースラグ中のT.Feが5%以下にならないために必要な量まで低下し、脱P処理中の脱炭量を最少限度に抑えるている。
特許文献2では、転炉製鋼法において溶銑を酸素吹練して脱燐精錬する精錬において、溶銑の酸素吹錬の終了時におけるスラグの塩基度(CaO/SiO2)を2.2〜4.0とし、かつ酸素吹錬終了前後において炭素材を1kg/ton(溶銑)以上を前記転炉に装入している。
特開平07−188722号公報 特許3772918号公報
特許文献1では、脱りん処理を行うに際して、固体酸素源を鉄浴中に連続的に供給することが開示されているものの、この技術は、脱りん処理中における脱炭素量の低減や耐火物損失の低減を図る目的で精錬条件を規定したものである。ゆえに、この技術を用いた場合、脱りん処理中における脱炭素量の低減や耐火物損失の低減は期待できるが、汎用鋼の溶製を行うにあたって溶銑の[P]を確実に低減させることは難しいのが実情である。
また、特許文献2の技術では、吹錬時における気体酸素の供給速度が開示されているものの、フォーミングを抑制する目的で精錬条件を規定したものである。ゆえに、特許文献2の技術を用いたとしても特許文献1と同様に、汎用鋼の溶製を行うにあたって溶銑の[P]を確実に低減させることは難しいのが実情である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、固体酸素源の酸素比率、脱りん処理の各時期おいて固体酸素の総使用量に対する気体酸素比率を適正化することにより汎用鋼を確実に溶製することができる脱りん処理の方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、脱炭工程に先だって上底吹き転炉型精錬容器にて気体酸素及び固体酸素源を供給して溶銑の脱りん処理を行うに際し、全酸素に対する前記固体酸素源の固体酸素源比率を10%以上60%以下とし、脱りん処理に際して使用する全気体酸素のうち0%以上30%未満の気体酸素を供給する間での気体酸素比率を下記に示す(i)〜(iii)の範囲で調整し、全気体酸素のうち30%以上60%未満の気体酸素を供給する間での気体酸素比率を下記に示す(iv)〜(vi)の範囲で調整し、全気体酸素のうち60%以上100%以下の気体酸素を供給する間での気体酸素比率を95%以上100%以下とする点にある。
i)固体酸素源の総使用量が1以上3Nm3/t未満の場合:
気体酸素比率は75%以上95%未満
ii)固体酸素源の総使用量が3以上6Nm3/tの場合:
気体酸素比率は50%以上75%未満
iii)固体酸素源の総使用量が6Nm3/t以上の場合:
気体酸素比率は25%以上45%未満
iv)固体酸素源の総使用量が1以上3Nm3/t未満の場合:
気体酸素比率は55%以上85%未満
v)固体酸素源の総使用量が3以上6Nm3/tの場合:
気体酸素比率は35%以上65%未満
vi)固体酸素源の総使用量が6Nm3/t以上の場合:
気体酸素比率は35%以上60%未満
全気体酸素のうち60%以上100%以下の気体酸素を供給する間での気体酸素比率を100%にすることが好ましい。
本発明によれば、固体酸素源の酸素比率、脱りん処理の各時期おいて固体酸素の総使用量に対する気体酸素比率を適正化することにより汎用鋼を確実に溶製することができる。
脱りん方法(脱りん工程)を含む製鋼工程を示した図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の脱りん方法(脱りん工程)を含む製鋼工程を示したものである。なお、以下の説明では、溶銑や溶鋼のことを溶湯として説明する。
図1に示すように、一般的に、製鋼工程においては、まず、高炉1から溶湯2を出湯した後、溶湯2を鍋10等にて脱硫処理(脱硫工程)を行う。その後、溶湯2を転炉型精錬容器3に装入して溶湯2に対して脱りん処理(脱りん工程)を行い、その溶湯2を転炉4に装入して脱炭処理(脱炭工程)行うか、あるいは、脱りん終了後の溶湯2をスラグ排滓後に再び転炉型精錬容器3に装入して脱炭処理を行う。脱炭処理を行った溶湯2に対しては、脱ガスや成分調整を行う。
このように、本発明の脱りん方法は、転炉4にて脱炭処理(脱炭工程)を行う前に、脱炭処理を行う転炉4とは別あるいは同一の転炉型精錬容器3によって、主に、溶湯2に対して[P]を下げる脱りん処理を行うものである。
脱炭処理を行う転炉4は、上吹きランス5から気体酸素を溶湯2等に吹き込む上吹転炉であってもよいし、炉底の羽口6から気体酸素を吹き込む底吹転炉であってもいし、上吹きランス5から気体酸素、羽口6から気体酸素又は不活性ガスを吹き込む上底吹き転炉であってもよい。
脱りん処理を行う転炉型精錬容器3は、気体酸素を溶銑2に吹き込む上吹きランス7と炉底から酸素又は不活性ガスを溶銑2に吹き込むの羽口8を備えた上底吹き型であって、上吹きランス7からの気体酸素により酸素を供給し、羽口6からの酸素又は不活性ガスにより溶湯2を攪拌するものである。また、転炉型精錬容器3は、供給装置9を備えている。この供給装置9は、副原料[生石灰、固体酸素源(例えば、鉄鉱石・焼結鉱・ミルスケール)を供給するものであって、例えば、ホッパーやシュート等である。
なお、溶湯2の脱りん処理を行うにあたって、混銑車や取鍋を使用することも考えられるが、混銑車や取鍋ではフリーボードが小さいために、スロッピングが発生しやすくなる。このような場合は、スロッピング防止のために、気体酸素や固体酸素源(例えば、酸化鉄)の供給速度を転炉型精錬容器3に比べて遅くする必要があり、脱りん処理に時間がかかることがある。そのため、本発明では、混銑車や取鍋を用いずに、転炉型精錬容器3によって脱りん処理を行うものを対象としている。
以下、本発明の脱りん処理について詳しく説明する。
本発明の脱りん処理方法は、吹錬終了後の[P]が0.025質量%以下となる汎用鋼の精錬方法である。汎用鋼の目標値として[P]を0.025質量%にするということは、特開2001−98314号公報等に記載されているように一般的なことである。
[固体酸素源比率について]
脱りん処理を行うに際して、上吹きランス7から気体酸素を供給すると共に、供給装置9から固体酸素源を供給している。
さて、気体酸素の供給は、温度を低下させないために熱源を供給したり、スラグに酸素を供給するために脱りん処理においては、必要不可欠なものであるが、気体酸素を供給したときの状況を考えると、気体酸素を上吹きランス7により炉体の上側から吹き込んだ際に、一部の気体酸素は、炉内のCOガスと反応しCO2ガスとなり、脱りん反応に寄与しない場合がある。ここで、固体酸素源を供給した場合を考えると、気体酸素の供給した場合と比べて、COガスと反応することがなく、脱りん反応に寄与する酸素量も多い。
また、気体酸素を供給した際に、当該気体酸素が溶湯2(溶銑)の浴面に衝突してスラグを吹き飛ばすため、気体酸素と溶銑が直接接触する高温領域(火点)が形成される。このような場合(火点領域が存在する)では、スラグと溶銑が接していないため脱りん反応が起こりにくい。
なお、火点領域を抑制する方法として、特開2004−115910号公報に記載されるような遮断吹錬法があるが、この方法は上吹きランス高さと酸素流量を厳密に制御する必要があり、1ヒート毎に装入量や炉内の付着状況で湯面高さが大きく振動する実操業で実施することは困難である。
このように、気体酸素のみを供給では、脱りんにとって不利な点もあるため、本発明によれば、固体酸素源も供給することにより、脱りん処理の効率を向上させている。
本発明では、具体的には、溶銑2に供給する全気体酸素に対する固体酸素源の割合、即ち、全酸素に対する固体酸素源の酸素比率(固体酸素源比率)を、10%以上60%以下にしている。固体酸素源比率が10%未満であると、固体酸素源の供給量が少なく、十分に脱りん効率が良くならないため、固体酸素源比率を10%以上としている。
また、固体酸素源比率が60%を超えてしまうと、固体酸素源の供給量が多く、脱りん処理の温度が低下することがある。また、上吹き酸素による溶湯表面への気体酸素の衝突は一般的には浴の攪拌にあまり寄与しないと言われているが、スラグと溶湯の反応界面積を増大させ、脱りん反応を促進する効果がある。ゆえに、気体酸素の供給量を多くするためにも、固体酸素源比率を60%以下としている。
固体酸素源とは、脱りん処理において供給する酸素のうちFeOxの形で供給するものである。固体酸素源は、例えば、鉄鉱石、焼結鉱、スケール、ダストである。固体酸素源の供給量(固体酸素源量)は、式(1)〜式(3)により求められる。なお、式(2)や式(3)で示される「%」は、「mol%」である。
Figure 0005460436
式(1)〜式(3)の右辺に含まれるに示す副原料とは、固体酸素源となる酸化鉄(FeOx)を含むものである。式(1)は、全ての副原料に含まれる固体酸素源量(V02(S))、即ち、脱りん処理で供給する固体酸素源の総量を求めるものである。式(2)は、各副原料毎の酸素供給量((V02i)を求めるものである。また、式(3)は、各副原料毎のFe23の濃度を求めるものである。
つまり、式(1)〜式(3)では、各副原料に含まれるFeOの量とFe23の量とを求め、これらを合わせたものを固体酸素源量としている。
なお、FeOとFe23との分析方法、即ち、求め方は、まず、ICP発光分析法において、全鉄濃度(%T.Fe)を求め、臭素メタノール法により、金属鉄濃度(%M.Fe)をJISM8713の方法により求める。また、臭素メタノール法の残査より、EDTA2Na溶液により、(%FeO)をJISM8712の方法により求めた。ここで、FeOとFe23の求め方を説明しているが、この方法は、当業者常法通りである。
上述した固体酸素源比率は、式(1)で求めた溶銑2に供給した副原料(酸化鉄)中に含まれる固体酸素源量と、上吹きランス7により供給した気体酸素量とを合わせた合計酸素供給量のうち、固体酸素源量の割合を示したもので、例えば、式(4)により求めることができる。
Figure 0005460436
なお、脱りん処理では、一般的に、気体酸素と固体酸素源とを合計した総酸素量は11〜16Nm3程度の範囲である。これは、総酸素量が多すぎると脱りん処理後の溶銑中の[C]が低下しすぎて脱炭処理における熱余裕が無くなる。その結果、脱炭処理時に所定の溶銑温度を確保できなくなり、高価な昇温材を用いなければならなくなる。一方、総酸素量が少なすぎると、脱りん反応に必要な酸素が確保できず、脱りん処理時において溶銑の[P]を目標値にすることができない。
[固体酸素源の投入のタイミングについて]
脱りん処理を行うにあたっては、固体酸素源などの副原料等を投入して処理を行う。この副原料の投入は、処理前の溶鋼成分を処理後の目標成分(例えば、Pなどを目標成分)にしたり、処理後温度を目標温度にするために必要なCaO量及び酸素量を脱りん効率から計算し、処理後温度が目標通りに調整するために固体酸素と気体酸素の投入比率も調整することにより行われる。
例えば、熱収支計算を行った際に、熱余裕が「小」である場合には固体酸素源の供給量を少なくし、熱余裕が「大」である場合には固体酸素源の供給量を多くし、熱余裕が「小」と「大」の中間である場合(熱余裕 中)は、適度に固体酸素源を供給する。
このように、脱りん処理にあたっては、熱余裕の程度によって、固体酸素源の供給量を調整する必要がある。後述するように、本発明では、熱余裕の度合いによって、固体酸素源の供給量を設定すると共に、気体酸素の供給量を設定することとしている。
また、脱りん処理を吹錬期間で区分すると次のようになる。
まず、脱りん処理中に溶銑に供給する全気体酸素(気体酸素の総酸素量)を100%としたとき、気体酸素の供給を開始してから気体酸素の量が全酸素量に対して0%以上30%未満となる期間は、脱珪期となる。この脱珪期では、気体酸素や固体酸素源の供給によって溶銑中のSiと酸素とが反応してSiO2が生成される。そして、生成されたSiO2と投入した固体酸素源の溶融によるFeOxとによって当該生石灰の融点が下がり、これにより、スラグが生成することになる。
次に、気体酸素の量が全酸素量に対して30%以上60%未満となる期間は、造滓期となる。この造滓期では、気体酸素の供給によってスラグ中のT・Feが増えることによって生石灰の滓化を促進する。気体酸素の量が全酸素量に対して60%以上100%以下となる期間は、脱りん期となる。脱りん期では、造滓期で充分にスラグを滓化させた後、スラグと溶銑との反応によって脱りん反応を促進し、溶銑中の[P]を低下させる。
このように、脱りん処理は、脱珪期、造滓期、脱りん期は分けられ、これらの状況に応じて気体酸素や固体酸素源を適正に供給する必要がある。例えば、処理開始から脱珪期の終了するまでに多量の固体酸素源を供給してしまうと、溶銑温度が低下し過ぎて、生石灰の溶解反応が停滞して脱りん反応の低下を招いてしまう。一方、固体酸素源の供給量が少なすぎた場合は、SiO2の生成が遅れること及びFeOxの濃度が十分に上昇しないことによりスラグの滓化に時間がかかり、結果的に、脱りん反応の低下を招いてしまうことになる。
このように、各時期(脱珪期、造滓期、脱りん期)に対応して、固体酸素源等の供給量を決定することが必要である。
本発明では、上述したように、脱りん処理を行う際での熱バランス(熱余裕の度合い)を考慮しつつ、各時期に対応した固体酸素源と気体酸素との供給量(供給バランス)を設定し、これにより、効率良く脱りん処理を行うこととしている。
具体的には、脱珪期(脱りん処理に際して使用する全気体酸素のうち0%以上30%未満の気体酸素を供給する間)では、気体酸素比率を(i)〜(iii)の範囲で調整している。
i)固体酸素源の総使用量が1以上3Nm3/t未満の場合:
気体酸素比率は75%以上95%未満
ii)固体酸素源の総使用量が3以上6Nm3/tの場合:
気体酸素比率は50%以上75%未満
iii)固体酸素源の総使用量が6Nm3/t以上の場合:
気体酸素比率は25%以上45%未満
なお、気体酸素比率とは、所定区間における気体酸素の供給量と固体酸素源中の酸素の供給量とを合計した合計供給量に対する気体酸素の供給量の割合のことである。気体酸素比率は、例えば、「気体酸素比率=気体酸素の供給量÷(気体酸素の供給量+固体酸素源中の酸素の供給量)」で求めることができる。
脱珪期において、熱余裕が「小」である場合は、固体酸素源の総使用量を1以上3Nm3/t未満として、その量を少なめとし、気体酸素は固体酸素源よりも非常に多くしている。また、熱余裕が「中」である場合は、固体酸素源の総使用量を3以上6Nm3/t未満とし、熱余裕が「小」である場合と比べその量をやや多くして、気体酸素は熱余裕が「小」である場合と比べ、やや少なめにしている。
さらに、熱余裕が「大」である場合は、固体酸素源の総使用量を6Nm3/t以上とし、その量を多くして、気体酸素比率は最も低くしている。
このように、脱珪期において、固体酸素源の総使用量と気体酸素比率とを適宜設定することにより、供給した生石灰(CaO)が未反応のままフリーCaOとして残る量を低減できる。その結果、脱りん処理に使用する生石灰の量を低減でき、発生スラグ量も低減できる。加えて、発生したスラグ中にはフリーCaOが少ないため、蒸気エージングにかかる時間(CaOを安定化させる時間)を短縮できて、例えば、スラグを路盤材としてリサイクルし易い。
また、造滓期(全気体酸素のうち30%以上60%未満の気体酸素を供給する間)では、気体酸素比率を(iv)〜(vi)の範囲で調整している。
iv)固体酸素源の総使用量が1以上3Nm3/t未満の場合:
気体酸素比率は55%以上85%未満
v)固体酸素源の総使用量が3以上6Nm3/tの場合:
気体酸素比率は35%以上65%未満
vi)固体酸素源の総使用量が6Nm3/t以上の場合:
気体酸素比率は35%以上60%未満
造滓期において、熱余裕が「小」である場合は、固体酸素源の総使用量を1以上3Nm3/t未満として、その量を少なめとするものの、気体酸素は固体酸素源よりも多くしている。また、熱余裕が「中」である場合は、固体酸素源の総使用量を3以上6Nm3/t未満とし、熱余裕が「小」である場合と比べその量をやや多くして、気体酸素と固体酸素源との比率(気体酸素比率)は比較的幅のある値としている。さらに、熱余裕が「大」である場合は、固体酸素源の総使用量を6Nm3/t以上とし、その量を多くして、気体酸素比率は熱余裕が「中」である場合と略同じにしている。なお、造滓期では、固体酸素源の供給によりスロッピングが発生し易いため、スロッピングの発生防止のためには、固体酸素源の供給速度を1.5Nm3/min/t以下にすることが好ましい。
このように、脱珪期において、固体酸素源の総使用量と気体酸素比率とを適宜設定することにより、スロッピングが発生を抑えつつ脱りん処理の効率を向上させている。
脱りん期(全気体酸素のうち60%以上100%以下の気体酸素を供給する間)では、気体酸素比率を95%以上100%以下としている。このように、脱りん期において、出来る限り固体酸素源を供給しないようにする、即ち、気体酸素比率を95%以上にすることによって、固体酸素源を供給したことによる急激なスロッピングの発生を抑えることができる。なお、脱りん期において、固体酸素源を全く供給しない、即ち、気体酸素比率を100%にすることが好ましい。
本発明の脱りん処理方法では、脱りん期を終了した後、即ち、脱P処理後の温度は1300〜1400℃程度にしている。これは、溶銑温度が低すぎると、処理後溶銑が凝固してしまう可能性があり、さらには、脱炭処理での熱余裕がなくなり昇温材を使用しなくてはならなくなる可能性があるためで、一方、溶銑温度が高すぎると、脱りん反応効率が低下する。なお、本発明の脱りん方法における底吹きガスの攪拌動力密度は、例えば、特開2009−52070号公報に開示されているように、汎用鋼を溶製する際の脱りん方法において、当業者常法通りの0.1〜1.0kw/t範囲としている。
表1は、実施条件を示したものである。
Figure 0005460436
表1に示すように、脱りん処理は、250tonクラスの上底吹き型の転炉型精錬容器にて行った。上吹きにおいては、孔数が6個、孔直径55mm、孔角度15°の上吹きランスを用いた。底吹きガスはN2ガスとした。N2ガスを吹き込む羽口8は、一層環状管(ガスが吹き出す箇所が環型となっているもの)とし、その個数は4個とした。
転炉型精錬炉に装入した溶湯(溶銑)において、[C]=4.2〜4.6質量%、[Si]=0.2〜0.4質量%、[Mn]=0.2〜0.4質量%、[P]=0.100〜0.130質量%とした。HMR(溶銑比)は、当業者常法の配合計算により決定した。
副原料は、転炉型精錬容器内に溶銑、スクラップを投入した後に、供給装置9により全量投入した。脱りん処理に必要なCaO量は、当業者常法の副原料制御により決定し、塩基度は1.5〜2.5に設定した。脱りん処理において、吹錬後の[P]の規格上限値を0.025質量%とした。固体酸素源としては、鉄鉱石(0.191Nm3−O2/kg)、焼結鉱(0.177Nm3−O2/kg)、ミルスケール(0.145Nm3−O2/kg)があるが、本実施形態では、
鉄鉱石のみを使用し、当業者常法通りに投入した。
表2、表3は、表1の実施条件に基づいて脱りん処理を行った実施例及び比較例とをまとめたものである。
Figure 0005460436
Figure 0005460436
実施例及び比較例では、汎用鋼として溶銑中の[P]における上限値が0.025質量%以下のものを良好「○」とし、範囲外のものを「不良」とした。
実施例1〜実施例3では、固体酸素源の総使用量(総使用量の固酸量)が6Nm3/t以上の場合、脱珪期では気体酸素比率を25%以上45%未満とし、造滓期では気体酸素比率を35%以上60%未満とし、脱りん期では気体酸素比率を95%以上100%以下としている。
実施例4〜実施例8及び実施例13〜実施例15では、固体酸素源の総使用量が3Nm3/t以上〜6Nm3/t未満の場合、脱珪期では気体酸素比率を50%以上75%未満とし、造滓期では気体酸素比率を35%以上65%未満とし、脱りん期では気体酸素比率を95%以上100%以下としている。
実施例9〜実施例12及び実施例16〜実施例18では、固体酸素源の総使用量が1以上3Nm3/t未満の場合、脱珪期では気体酸素比率を75%以上95%未満とし、造滓期では気体酸素比率を55%以上85%未満とし、脱りん期では気体酸素比率を95%以上100%以下としている。
以上のように、実施例では、各時期において固体酸素の総使用量に応じて気体酸素比率を適宜設定しているため、実施例では、脱りん処理後に汎用鋼で必要とされる[P]([P]の規格上限値)を、0.025質量%以下に確実にすることができた(実験結果の欄、評価「◎、○」)。特に、脱りん期において、固体酸素源を供給しなかった場合は、[P]の規格上限値を、0.020質量%以下に確実にすることができた(実験結果の欄、評価「◎」)。
一方、比較例19〜比較例21では、固体酸素源比率が60%よりも超え、比較例22〜比較例24では、固体酸素源比率が10%未満である。その結果、脱りん処理後の[P]を規格値以下することができなかった。
比較例25〜比較例30では、脱珪期における固体酸素の総使用量に対する気体酸素比率が、i)〜iii)の条件を満たしていないため、脱りん処理後の[P]を規格値以下することができなかった。
比較例31〜比較例36では、脱りん期における固体酸素の総使用量に対する気体酸素比率が、iv)〜vi)の条件を満たしていないため、脱りん処理後の[P]を規格値以下することができなかった。
比較例37〜比較例42では、脱りん期において固体酸素源を多く投入してしまい気体酸素比率が95%を下回ったため、脱りん処理後の[P]を規格値以下することができなかった。
以上のように、本発明では、固体酸素源の酸素比率、脱珪期、造滓期、脱りん期の各時期における固体酸素の総使用量に対する気体酸素比率を、i)〜vi)に示した条件にすることによって、汎用鋼を溶製するために溶銑の[P]を確実に規定範囲内にすることができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 高炉
2 溶湯(溶銑、溶鋼)
3 転炉型精錬容器
4 転炉
5 上吹きランス
6 羽口
7 上吹きランス
8 羽口
9 供給装置

Claims (2)

  1. 脱炭工程に先だって上底吹き転炉型精錬容器にて気体酸素及び固体酸素源を供給して溶銑の脱りん処理を行うに際し、
    全酸素に対する前記固体酸素源の固体酸素源比率を10%以上60%以下とし、
    脱りん処理に際して使用する全気体酸素のうち0%以上30%未満の気体酸素を供給する間での気体酸素比率を下記に示す(i)〜(iii)の範囲で調整し、
    全気体酸素のうち30%以上60%未満の気体酸素を供給する間での気体酸素比率を下記に示す(iv)〜(vi)の範囲で調整し、
    全気体酸素のうち60%以上100%以下の気体酸素を供給する間での気体酸素比率を95%以上100%以下とすることを特徴とする脱りん方法。
    i)固体酸素源の総使用量が1以上3Nm3/t未満の場合:
    気体酸素比率は75%以上95%未満
    ii)固体酸素源の総使用量が3以上6Nm3/tの場合:
    気体酸素比率は50%以上75%未満
    iii)固体酸素源の総使用量が6Nm3/t以上の場合:
    気体酸素比率は25%以上45%未満
    iv)固体酸素源の総使用量が1以上3Nm3/t未満の場合:
    気体酸素比率は55%以上85%未満
    v)固体酸素源の総使用量が3以上6Nm3/tの場合:
    気体酸素比率は35%以上65%未満
    vi)固体酸素源の総使用量が6Nm3/t以上の場合:
    気体酸素比率は35%以上60%未満
  2. 全気体酸素のうち60%以上100%以下の気体酸素を供給する間での気体酸素比率を100%にすることを特徴とする請求項1に記載の脱りん方法。
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