JP5506515B2 - 脱りん方法 - Google Patents
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特許文献1では、底吹きガス流量0.2Nm3 /min・t以上の撹拌条件による鉄浴強撹拌下で、底吹き羽口あるいは炉内に存在している冷鉄源に衝突しない深さまで浸漬した耐火物ランスから、脱Si反応と脱P反応を進行させるために必要十分な量の固体酸素源を鉄浴中に連続的に供給し、脱Si反応完了後の溶銑表面に生成するカバースラグの塩基度が1.5〜2.5になるように調整した脱Pフラックスを脱Si反応が完了するまでに添加し、上吹き酸素は、冷鉄源の溶解と固体酸素源の分解反応による吸熱を保障しつつ、冷鉄源溶解期中の鉄浴温度が1300〜1350℃になるために必要な量だけ供給され、冷鉄源溶解が完了した後、脱P反応が完了するまでの期間中は、上吹き酸素の供給量をカバースラグ中のT.Feが5%以下にならないために必要な量まで低下し、脱P処理中の脱炭量を最少限度に抑えるている。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、固体酸素源の酸素比率、固体酸素源の供給のタイミングを適正化することにより汎用鋼を確実に溶製することができる脱りん処理の方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、脱炭工程に先だって上底吹き転炉型精錬容器にて、5.7Nm 3 /t以上の気体酸素及び固体酸素源からなる11.1Nm 3 /t以上の全酸素を供給して溶銑の脱りん処理を行うに際し、全酸素に対する前記固体酸素源の固体酸素比率を10%以上60%以下とし、脱りん処理に際して使用する全気体酸素のうち0%以上10%未満の気体酸素を供給する間に、全固体酸素源の30%以上80%以下を投入し、残りの固体酸素源は全気体酸素のうち10%以上60%未満の気体酸素を供給する間に投入し、残りの固体酸素源を投入するときの供給速度は0.3〜1.5Nm3/min/tとし、全気体酸素のうち60%以上の気体酸素を供給するときは固体酸素源を供給しない点にある。
図1は、本発明の脱りん方法(脱りん工程)を含む製鋼工程を示したものである。なお、以下の説明では、溶銑や溶鋼のことを溶湯として説明する。
図1に示すように、一般的に、製鋼工程においては、まず、高炉1から溶湯2を出湯した後、溶湯2を鍋10等にて脱硫処理(脱硫工程)を行う。その後、溶湯2を転炉型精錬容器3に装入して溶湯2に対して脱りん処理(脱りん工程)を行い、その溶湯2を転炉4に装入して脱炭処理(脱炭工程)行うか、あるいは、脱りん終了後の溶湯2をスラグ排滓後に再び転炉型精錬容器3に装入して脱炭処理を行う。脱炭処理を行った溶湯2に対しては、脱ガスや成分調整を行う。
脱炭処理を行う転炉4は、上吹きランス5から気体酸素を溶湯2等に吹き込む上吹転炉であってもよいし、炉底の羽口6から気体酸素を吹き込む底吹転炉であってもいし、上吹きランス5から気体酸素、羽口6から気体酸素又は不活性ガスを吹き込む上底吹き転炉であってもよい。
本発明の脱りん処理方法は、吹錬終了後の[P]が0.025質量%以下となる汎用鋼の精錬方法である。汎用鋼の目標値として[P]を0.025質量%にするということは、特開2001−98314号公報等に記載されているように一般的なことである。
[固体酸素比率について]
脱りん処理を行うに際して、上吹きランス7から気体酸素を供給すると共に、供給装置9から固体酸素源を供給している。
なお、火点領域を抑制する方法として、特開2004−115910号公報に記載されるような遮断吹錬法があるが、この方法は上吹きランス高さと酸素流量を厳密に制御する必要があり、1ヒート毎に装入量や炉内の付着状況で湯面高さが大きく振動する実操業で実施することは困難である。
本発明では、具体的には、溶銑2に供給する全気体酸素に対する固体酸素源の割合、即ち、全酸素に対する固体酸素源の酸素比率(固体酸素比率)を、10%以上60%以下にしている。固体酸素比率が10%未満であると、固体酸素源の供給量が少なく、十分に脱りん効率が良くならないため、固体酸素比率を10%以上としている。
なお、FeOとFe2O3との分析方法、即ち、求め方は、まず、ICP発光分析法において、全鉄濃度(%T.Fe)を求め、臭素メタノール法により、金属鉄濃度(%M.Fe)をJISM8713の方法により求める。また、臭素メタノール法の残査より、EDTA2Na溶液により、(%FeO)をJISM8712の方法により求めた。ここで、FeOとFe2O3の求め方を説明しているが、この方法は、当業者常法通りである。
さて、脱りん処理を行うにあたっては、上述したように、気体酸素と固体酸素源とを溶銑に供給して吹錬を行っているが、脱りん処理を吹錬期間で区分すると次のようになる。
まず、脱りん処理中に溶銑に供給する全気体酸素(気体酸素の総酸素量)を100%としたとき、気体酸素の供給を開始してから気体酸素の量が全酸素量に対して0%以上30%未満となる期間は、脱珪期となる。この脱珪期では、気体酸素や固体酸素源の供給によって溶銑中のSiと酸素とが反応してSiO2が生成される。そして、生成されたSiO2と投入した固体酸素源の溶融によるFeOxとによって当該生石灰の融点が下がり、これにより、スラグが生成することになる。
しかしながら、脱珪期のような初期段階で多量の固体酸素源を溶銑温度が低下し過ぎて、生石灰の溶解反応が停滞して脱りん反応の低下を招いてしまう。 一方、固体酸素源の供給量が少なすぎると、SiO2の生成が遅れること及びFeOxの濃度が十分に上昇しないことによりスラグの滓化に時間がかかり、結果的に、脱りん反応の低下を招いてしまう。
転炉型精錬炉に装入した溶湯(溶銑)において、[C]=4.2〜4.6質量%、[Si]=0.2〜0.4質量%、[Mn]=0.2〜0.4質量%、[P]=0.100〜0.130質量%とした。HMR(溶銑比)は、当業者常法の配合計算により決定した。
一方、比較例19〜比較例20では、固体酸素比率が10%未満となり、比較例21〜比較例23では、固体酸素比率が60%よりも超えている。その結果、脱りん処理後の[P]を規格値以下することができないと共にスラグ中の(T.Fe)が20%を超えてしまった。(実験結果の欄、評価「×」)。
以上のように、本発明では、固体酸素源の酸素比率、第1投入時期における固体酸素源の投入量、第2投入時期における固体酸素源の投入量及び供給速度、脱りん期における固体酸素源を供給しないことにより、脱りん処理後のスラグ中の(T.Fe)を8〜20%にしつつ、汎用鋼を溶製するために溶銑の[P]を確実に規定範囲内にすることができる。
2 溶湯(溶銑、溶鋼)
3 転炉型精錬容器
4 転炉
5 上吹きランス
6 羽口
7 上吹きランス
8 羽口
9 供給装置
Claims (1)
- 脱炭工程に先だって上底吹き転炉型精錬容器にて、5.7Nm 3 /t以上の気体酸素及び固体酸素源からなる11.1Nm 3 /t以上の全酸素を供給して溶銑の脱りん処理を行うに際し、
全酸素に対する前記固体酸素源の固体酸素比率を10%以上60%以下とし、
脱りん処理に際して使用する全気体酸素のうち0%以上10%未満の気体酸素を供給する間に、全固体酸素源の30%以上80%以下を投入し、
残りの固体酸素源は全気体酸素のうち10%以上60%未満の気体酸素を供給する間に投入し、残りの固体酸素源を投入するときの供給速度は0.3〜1.5Nm3/min/tとし、
全気体酸素のうち60%以上の気体酸素を供給するときは固体酸素源を供給しない
ことを特徴とする脱りん方法。
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