JP5135836B2 - 溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents

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本発明は、溶銑保持容器内に保持された溶銑に、その浴面上方から上吹きランスを介して脱燐剤である気体酸素を吹き付けるとともに、浴面下にCaO系脱燐精錬剤またはCaO系脱燐精錬剤と固体の脱燐剤とを搬送用ガスとともに吹き込んで溶銑を脱燐処理する方法に関するものである。
近年、鋼材に対する要求品質は益々厳格化しており、燐や硫黄に代表される不純物元素の低減が求められている。このような要求に対応するために、製鋼工程では、溶銑段階において脱燐処理を行うことが一般的となっている。この脱燐処理は、気体酸素(酸素ガス)或いは固体の酸化鉄などの酸素源を脱燐剤として溶銑に供給し、脱燐剤中の酸素で溶銑中の燐を酸化して酸化物(P25 )とし、生成された燐酸をスラグ(脱燐精錬用スラグ)に吸収することで行われている。脱燐精錬用スラグを形成するための脱燐精錬剤としては、一般的に石灰系脱燐精錬剤が使用されている。
また、近年、環境保護対策の観点から製鋼工程において発生するスラグを削減することが求められているが、溶銑の脱燐処理は、脱燐反応上に有利な低温処理であるため、比較的少ないスラグ量で処理が可能である。こうした溶銑の脱燐処理には、転炉内の溶銑に脱燐精錬剤を添加するとともに気体酸素を上吹きして行う方法や、混銑車や溶銑鍋内の溶銑に脱燐剤または脱燐剤と脱燐精錬剤とを吹き込む方法など、各製鉄所の設備や環境に応じたプロセスが選択され実施されている。
このうち転炉を用いる方法は、気体酸素を高流量で溶銑に吹き付けることが可能なことから、短時間で低燐溶銑の溶製が可能であるという長所を有するが、既設の転炉能力に余裕がなく新設を要する場合には高い設備費が必要となる。また、脱燐以外にも脱炭の進行が避けられず、後工程での熱余裕の減少が問題となる。一方、混銑車や溶銑鍋を用いる方法は、既存の溶銑搬送容器を活用したプロセスであるために設備費が安く、転炉能力に余裕がなくとも溶銑脱燐のメリットが享受できる。
但し、混銑車や溶銑鍋を用いる方法では、脱燐剤である酸化鉄と脱燐精錬剤とを浴中に吹き込むことによって浴中での酸化鉄と脱燐精錬剤との接触を確保し、脱燐精錬剤の滓化と脱燐反応とを促進させることを狙いとするが、このように単に酸化鉄と脱燐精錬剤とを吹き込むだけでは、酸化鉄と脱燐精錬剤との接触の機会が少なく、その上に、滓化や反応の時間が短いという問題がある。即ち、転炉を用いた場合に較べて脱燐反応が効率的に行われないという問題がある。そこで、これを防止するために、ホタル石などのCaF2 系媒溶剤を脱燐精錬剤の滓化促進剤として使用することにより、脱燐精錬用スラグの融体性を向上させて、脱燐の反応性を向上させる手法が広く行われてきた。
しかしながら、近年、環境保護の観点からスラグからのフッ素溶出量の規制基準が強化される状況にあり、脱燐精錬用スラグにおいても、フッ素濃度を極限まで低下させる必要が生じている。つまり、ホタル石などのCaF2 系媒溶剤を使用しなくても高効率な脱燐処理を行える方法の開発が強く望まれるようになった。
そこで、特許文献1には、CaF2 系媒溶剤を使用せずに効率的に脱燐処理する方法として、溶銑保持容器内に保持された溶銑に、その浴面上方から酸化鉄を添加するとともに、浴面下に石灰系脱燐精錬剤を吹き込んで溶銑を脱燐処理する際に、前記酸化鉄の浴面における投入領域が、面積率で前記石灰系脱燐精錬剤の浴面での吹き出し領域の40%以上とラップするように、前記酸化鉄を添加して脱燐処理する方法が提案されている。
特開2001−288507号公報
特許文献1の方法により、CaF2 系媒溶剤の使用量を大幅に低減することはできたが、特許文献1の方法には、脱燐速度がCaF2系媒溶剤を使用した場合に比べて低下するという問題がある。つまり、効率的に低燐処理を実施するという点において、特許文献1の方法には改善すべき点がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、混銑車や溶銑鍋などの溶銑保持容器内に保持された溶銑を脱燐処理する当たり、従来に比べて効率良く低燐溶銑を溶製することのできる方法、特に、CaF2 系媒溶剤を使用しなくても効率良く低燐溶銑を溶製することのできる、溶銑の脱燐処理方法を提供することである。
本発明者等は、溶銑を高効率に脱燐処理する方法、とりわけ、ホタル石などのCaF2 系媒溶剤を石灰系脱燐精錬剤の滓化促進剤として使用しなくても、高効率な脱燐処理を行うことのできる方法を見出すべく、取鍋型の溶銑保持容器を用いて種々の実験、検討を行った。
その結果、先に述べたようにCaF2系媒溶剤はスラグの溶融性を確保する上で重要な働きをしており、本発明者等の実験においても、CaF2 系媒溶剤を併用しない場合には、添加された石灰系脱燐精錬剤は見かけ上からも滓化したようには見えず、脱燐反応効率も低下した。ところが、実験を繰り返すうちに、気体酸素及び石灰系脱燐精錬剤の投入条件に応じて、脱燐反応挙動が大きく変化するという事実を見出し、更に検討を加えた結果、以下の条件を満足するような脱燐処理を行うことにより、脱燐効率が顕著に改善されることを見出した。
即ち、溶銑保持容器内に保持された溶銑に、その浴面上方から気体酸素を吹き付け、且つ、浴面下に石灰系脱燐精錬剤または石灰系脱燐精錬剤と固体の脱燐剤(酸化鉄)とを搬送用ガスとともに吹き込んで脱燐処理する場合、前記気体酸素の吹き付け強度を所定のレベルの範囲内とし、且つ前記気体酸素の吹き付け位置と前記搬送用ガスの浴面での吹き出し領域との位置関係を特定することにより、石灰系脱燐精錬剤の滓化並びに脱燐反応が促進されるとの知見を得た。
本発明は上記知見に基づきなされたもので、本発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、溶銑保持容器内に保持された溶銑に、その浴面上方から1孔以上のノズルを有する上吹きランスを介して気体酸素を吹き付けるとともに、浴面下にインジェクションランスを介して石灰系脱燐精錬剤または石灰系脱燐精錬剤と酸化鉄とを搬送用ガスとともに水平方向に吹き込んで溶銑を脱燐処理する際に、処理される溶銑の質量をW(トン)、上吹きランス先端から溶銑の静止浴面までの鉛直方向距離をh(mm)、上吹き酸素流量をQ(Nm3 /hr)、上吹きランスに設けられたノズルの出口径をde(mm)、前記ノズルの鉛直方向に対する傾きをξ(deg.)、前記ノズルの出口における気体酸素の流速をUe (m/秒)としたときに、下記の(1)式で算出される、気体酸素の吹き付けによる溶銑トン当たりの攪拌エネルギー動力(ε)が5W以上50W以下であり、且つ、前記インジェクションランスの吐出孔の浴内深さがH3 (m)のときにインジェクションランスからインジェクションランスの吐出方向に距離L3 (L3 =0.25×H3 )隔てた位置を中心とする溶銑浴面上の半径R3 (R3 =0.281×H3 )の領域を前記搬送用ガスの溶銑浴面での吹き出し領域と定義し、前記上吹きランスのノズルから噴出する気体酸素の噴流のうちで、当該ノズルの中心軸線を延長したときに該中心軸線と溶銑の静止浴面との交差する位置を前記吹き出し領域内とする噴流の比率が、気体酸素の全噴流の30%以上となるように、前記気体酸素を吹き付けることを特徴とするものである。
Figure 0005135836
本発明によれば、溶銑の予備脱燐処理において少ない脱燐精錬剤で効率的な脱燐処理を行うことができ、また、ホタル石などのCaF2 系媒溶剤を併用しなくても高効率な脱燐処理が可能になる。
以下、本発明の詳細とその限定理由について説明する。本発明に係る脱燐処理方法は、溶銑保持容器内に保持された溶銑に、その浴面上方から気体酸素を吹き付け、浴面下に石灰系脱燐精錬剤または石灰系脱燐精錬剤と酸化鉄とを搬送用ガスとともに吹き込む場合、前記気体酸素の吹き付け強度を所定のレベルの範囲とし、且つ前記気体酸素の吹き付け位置と前記搬送用ガスの浴面での吹き出し領域との位置関係を特定することを特徴とする。
本発明が対象とする脱燐処理に使用する溶銑保持容器としては、例えば、溶銑鍋などの取鍋型容器、或いは、混銑車などを用いることができる。
前記の気体酸素に加えて、脱燐剤としての酸素源として、鉄鉱石、焼結鉱、鋼材スケール(例えば、ミルスケール)などの酸化鉄の中から選ばれる1種以上を用い、浴面上方から添加してもよい。浴面上方から酸化鉄を添加するには、上部シュートなどから自由落下により浴面上に装入する方法(上置き投入)、投入ランスから搬送用ガスとともに浴面上に投射する方法などの何れの方法を用いてもよい。石灰系脱燐精錬剤としては、生石灰や石灰石などのCaOを含む粉体を用いることができる。浴面下に石灰系脱燐精錬剤とともに吹き込む酸化鉄としては、上記酸化鉄の粉体を用いることができる。また、本発明法では高い脱燐効率が得られるため、CaF2 系媒溶剤を石灰系脱燐精錬剤の滓化促進剤として使用しなくてもよいが、CaF2 系媒溶剤を使用することを妨げない。
また、浴面下に石灰系脱燐精錬剤または石灰系脱燐精錬剤と酸化鉄とを吹き込むには、インジェクションランスによる吹込みが一般的であるが、溶銑保持容器に底吹きノズルや横吹きノズルを備えることが可能であれば、これらのノズルからの吹込みも利用することができる。何れの場合にも、石灰系脱燐精錬剤または石灰系脱燐精錬剤と酸化鉄とは、搬送用ガスとともに浴中に吹き込まれる。搬送用ガスとしては、通常、窒素ガスや希ガス、或いは圧縮空気などが用いられ、吹き込まれた搬送用ガスは浴中で攪拌用ガスとしても作用する。
図1は、本発明に係る脱燐処理方法の一実施形態を示しており、図1(A)は溶銑保持容器の縦断面を示す説明図、図1(B)は同じく平面を示す説明図である。この実施形態では、石灰系脱燐精錬剤または石灰系脱燐精錬剤と酸化鉄とは、溶銑保持容器1に浸漬されたインジェクションランス2から搬送用ガスとともに溶銑5の浴中に吹き込まれ、一方、気体酸素は浴面上方に設置された上吹きランス3を介し、上吹きランス3の先端に設けたノズル(図示せず)から浴面上に吹き付けられる。更に、酸化鉄が上部シュート4から自由落下により浴面上に投入されている。浴中に吹き込まれた石灰系脱燐精錬剤は、溶銑5の浴面上で脱燐精錬用スラグ6を形成する。図1(B)において、aは前記気体酸素の浴面における吹き付け領域、bは前記石灰系脱燐精錬剤などの浴面での吹き出し領域を示している。また、図1(B)は、上吹きランス3の先端に4つのノズルが設置されている場合を示している。
本発明の脱燐処理方法では、後述する方法で求められる、気体酸素の吹き付けによる溶銑トン当たりの攪拌エネルギー動力(ε)を5W以上50W以下とし、且つ、前記上吹きランスに設置されたノズルから噴出する気体酸素の噴流のうちで、当該ノズルの中心軸線を延長したときに該中心軸線と溶銑の静止浴面との交差する位置を前記搬送用ガスの溶銑浴面での吹き出し領域(b)の範囲内とする噴流の比率が、気体酸素の全噴流の30%以上となるように行う。
ここで、気体酸素の吹き付けによる溶銑トン当たり攪拌エネルギー動力(ε)は、処理される溶銑の質量をW(トン)、上吹きランス先端から溶銑の静止浴面までの鉛直方向距離をh(mm)、上吹き酸素流量をQ(Nm3 /hr)、上吹きランス先端部に設けられたノズルの出口径をde(mm)、前記ノズルの鉛直方向に対する傾きをξ(deg.)、前記ノズルの出口における気体酸素の流速をUe (m/秒)とすると、下記の(1)式で求められる。尚、上吹きランス先端から溶銑の静止浴面までの鉛直方向距離(h)は、「ランス高さ」とも呼ばれる。
Figure 0005135836
尚、(1)式中のノズル出口における気体酸素の流速Ue (m/秒)は、以下のようにして求めることができる。例えば、設置されているノズルがラバルノズルの場合には、ノズル出口における気体酸素の流速Ue(m/秒)は下記の(2)式で表わされる。
Figure 0005135836
(2)式において、T0 はノズル入側の気体酸素の温度(K)、Pe は雰囲気圧力(kgf/cm2-Abs.)、P0はノズル入側の気体酸素の圧力(kgf/cm2-Abs.)、Ulossはラバルノズルの使用条件が適正膨張条件から外れた場合の流速の補正項(m/秒)である。ここで、気体酸素の圧力P0は、気体酸素の流量Q(Nm3 /hr)、ノズル孔数n、及びノズルスロート直径dt (mm)から、下記の(3)式で表わされる。
Figure 0005135836
またUlossは、不足膨張条件で使用する場合には下記の(4)式により、一方、過膨張条件で使用する場合には下記の(5)式で求められる。
Figure 0005135836
(4)式及び(5)式におけるP0,p は適正膨張条件におけるノズル入側の気体酸素の圧力(kgf/cm2-Abs.)であり、ノズル出口直径de(mm)、ノズルスロート直径dt (mm)、雰囲気圧力Pe (kgf/cm2-Abs.)から、下記の(6)式により表わされる。
Figure 0005135836
上記(1)式〜(6)式により求められる、気体酸素の吹き付けによる溶銑トン当たりの攪拌エネルギー動力(ε)が5W以上50W以下となるように、ランス高さ(h)または気体酸素の流量(Q)を調整する。また、ノズルの形状を変更して上記の条件を満たすようにしてもよい。
気体酸素の吹き付けによる溶銑トン当たりの攪拌エネルギー動力(ε)が5W未満の場合には、気体酸素噴流が溶銑表面へ到達しにくくなり、効果的に酸化鉄を生成することができない。一方、気体酸素の吹き付けによる溶銑トン当たりの攪拌エネルギー動力(ε)が50Wを超える場合には、気体酸素噴流が溶銑内に深く侵入し、脱炭反応が促進されるようになるため、やはり効果的に酸化鉄を生成することができない。
次に、気体酸素の吹き付け領域(a)と前記搬送用ガスの浴面での吹き出し領域(b)との位置関係について説明する。
インジェクションランスから石灰系脱燐精錬剤などを搬送用ガスとともに浴面下に吹き込む場合、吐出孔が浴内深さH3 (m)の位置に配置され、水平方向に吹き出されるとすると、平面上における吐出孔のガス吹き出し部位置から浴面上でのガス吹き出し領域の中心までの距離L3 (m)はL3 =0.25H3 で求められ、また、浴面上でのガスの吹き出し領域の半径R3’(m)はR3’=0.187H3 で求めることができる。更に、搬送用ガスが石灰系脱燐精錬剤などの固体の粉体を随伴する場合には、この吹き出し領域が1.5倍になるものとして、石灰系脱燐精錬剤の浴面上での吹き出し領域の半径R3 はR3 =0.281H3 (0.187×1.5)で求めることができる。従って、上記の距離L3 と半径R3 とから、石灰系脱燐精錬剤などの固体の粉体の浴面での吹き出し領域(b)の位置及び範囲を決定することができる。
一方、気体酸素の浴面への吹き付け位置を代表する点としては、上吹きランス先端部に設置されたノズルの中心軸線を延長し、この中心軸線が溶銑の静止浴面と交差する位置を代表点として設定する。この位置は、上吹きランスとインジェクションランスとの平面的な位置関係、上吹きランス先端部に配置されるノズルの鉛直方向に対する傾き(ξ)、ランス高さ(h)の各値から、前記ノズルの中心軸線を溶銑浴面位置まで延長することにより幾何学的に求めることができる。
このようにして求めた気体酸素の浴面への吹き付け位置が、前記搬送用ガスの浴面での吹き出し領域(b)の範囲内に入るように、ノズルの鉛直方向に対する傾き(ξ)やランス高さ(h)を調整する。設備の改造が可能であれば、上吹きランスやインジェクションランスの位置を変更し、これらの平面的な位置関係を修正してもよい。尚、上吹きランスが複数のノズル(多孔ノズル)で構成される場合には、前記気体酸素の浴面への吹き付け位置を代表する点はノズル孔数分だけ求められるが、この場合は、前記搬送用ガスの浴面での吹き出し領域(b)の範囲内に入る噴流の比率が、気体酸素の全噴流の30%以上となるように調整する。つまり、例えば3孔ノズルの場合には、少なくとも1つの噴流が吹き出し領域(b)の範囲内に入るように調整し、4孔ノズルの場合には、少なくとも2つの噴流が吹き出し領域(b)の範囲内に入るように調整する。
このような上吹き酸素、及び、石灰系脱燐精錬剤または石灰系脱燐精錬剤と酸化鉄の投入形態を採ることにより、石灰系脱燐精錬剤のCaOの滓化と脱燐反応とが促進され、脱燐効率が顕著に向上する。
溶銑の脱燐反応では、溶銑中の燐と酸素源とによって燐酸(P25 )が生成し、この燐酸が塩基性の石灰系脱燐精錬剤によって固定されることで燐がスラグ側に除去される。従って、浴面における石灰系脱燐精錬剤の吹き出し領域(b)と上吹き酸素の吹き付け領域(a)とがラップした領域では、気体酸素の吹き付けにより生成した酸化鉄と石灰系脱燐精錬剤中のCaOとが極く近接した状態で且つ搬送用ガスで攪拌されながら上記脱燐反応に関与し、その結果、脱燐反応が効率的に進行するものと考えられる。
更に、処理前の溶銑中の珪素濃度が高い場合には、珪素の酸化により生成するSiO2 の量が多くなるために、生成するスラグの量が多くなる。生成するスラグの量が多い場合には、気体酸素を上吹きしても気体酸素の噴流が溶銑表面へ到達しにくくなるが、本発明においては、石灰系脱燐精錬剤の吹き出し領域(b)に少なくとも気体酸素の噴流の30%以上を吹き付けるので、この石灰系脱燐精錬剤の吹き出し領域(b)では浴面の盛り上がりが生じ、この部分のスラグ厚みは薄くなり、生成するスラグの量にさほど影響されずに気体酸素を溶銑浴面に吹き付けることができる。
尚、このような作用は、溶銑保持容器に備えられた底吹きノズルや横吹きノズルなどにより石灰系脱燐精錬剤または石灰系脱燐精錬剤と酸化鉄を浴面下に吹き込む場合においても同様に得ることができる。
高炉から出銑された溶銑を溶銑鍋内で脱珪処理し、引き続き機械攪拌を用いて溶銑鍋内で脱硫処理した後、150トンの溶銑を溶銑鍋内で脱燐処理した。脱燐処理前後の溶銑温度は1270〜1330℃とし、インジェクションランスを通して石灰系脱燐精錬剤を搬送用ガス(窒素ガス)とともに溶銑中に吹き込んだ。
石灰系脱燐精錬剤としては、CaF2 を含有しない生石灰粉を用い、生石灰の原単位は4〜8kg/tonとした。脱燐剤である酸素源としては、上吹きランスを通じて気体酸素を供給するとともに、鉄鉱石を中心とした酸化鉄を上部シュートから上置き装入し、全酸素源の原単位は7〜11Nm3/tonとした。尚、酸化鉄の添加量は気体酸素の換算で4〜7Nm3 /tonとした。気体酸素の送酸条件としては、送酸速度を1200〜4000Nm3/hr、ランス高さを1.0〜1.5m、所定の酸素量を供給するための処理時間つまり脱燐処理時間は15〜25分とした。また上吹きランスは、ノズル孔数、傾角及びノズルレイアウトを調整して、ノズルから噴出する気体酸素の噴流のうち、前記搬送用ガスの浴面での吹き出し領域内に入るものが、気体酸素の全噴流の40%(ラップ率=40%)となるように調整した。気体酸素の吹き付けによる溶銑トン当たりの攪拌エネルギー動力(ε)は10〜38Wで実施した。尚、酸化鉄を気体酸素に換算するに当たり、酸化鉄1kg当たり0.15Nm3の気体酸素に相当するとして換算した。
また、比較例として、ノズルから噴出する気体酸素の噴流のうち、前記搬送用ガスの浴面での吹き出し領域内に入るものが、気体酸素の全噴流の25%(ラップ率=25%)の条件でも脱燐処理した。表1に、本発明例及び比較例での脱燐処理条件と脱燐処理結果とを比較して示す。尚、表1では平均値で表示している。
Figure 0005135836
表1からも明らかなように、本発明方法により酸化鉄や生石灰原単位が少ない条件においても、低燐溶銑を効率的に製造できることが確認できた。
本発明に係る脱燐処理方法の一実施形態を示しており、図1(A)は溶銑保持容器の縦断面を示す説明図、図1(B)は平面を示す説明図である。
符号の説明
1 溶銑保持容器
2 インジェクションランス
3 上吹きランス
4 上部シュート
5 溶銑
6 脱燐精錬用スラグ

Claims (1)

  1. 溶銑保持容器内に保持された溶銑に、その浴面上方から1孔以上のノズルを有する上吹きランスを介して気体酸素を吹き付けるとともに、浴面下にインジェクションランスを介して石灰系脱燐精錬剤または石灰系脱燐精錬剤と酸化鉄とを搬送用ガスとともに水平方向に吹き込んで溶銑を脱燐処理する際に、
    処理される溶銑の質量をW(トン)、上吹きランス先端から溶銑の静止浴面までの鉛直方向距離をh(mm)、上吹き酸素流量をQ(Nm3 /hr)、上吹きランスに設けられたノズルの出口径をde(mm)、前記ノズルの鉛直方向に対する傾きをξ(deg.)、前記ノズルの出口における気体酸素の流速をUe (m/秒)としたときに、下記の(1)式で算出される、気体酸素の吹き付けによる溶銑トン当たりの攪拌エネルギー動力(ε)が5W以上50W以下であり、
    且つ、前記インジェクションランスの吐出孔の浴内深さがH3 (m)のときにインジェクションランスからインジェクションランスの吐出方向に距離L3 (L3 =0.25×H3 )隔てた位置を中心とする溶銑浴面上の半径R3 (R3 =0.281×H3 )の領域を前記搬送用ガスの溶銑浴面での吹き出し領域と定義し、前記上吹きランスのノズルから噴出する気体酸素の噴流のうちで、当該ノズルの中心軸線を延長したときに該中心軸線と溶銑の静止浴面との交差する位置を前記吹き出し領域内とする噴流の比率が、気体酸素の全噴流の30%以上となるように、前記気体酸素を吹き付けることを特徴とする、溶銑の脱燐処理方法。
    Figure 0005135836
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