JP2005089839A - 溶鋼の溶製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 転炉や電気炉などで溶鋼を溶製する際に、炭素含有量を所定値まで低減すると同時に、燐含有量の少ない溶鋼を安価に且つ効率良く溶製する。
【解決手段】 温度が1550℃以上、炭素含有量が0.5mass%以下である、反応容器2内の溶鉄21の表面に、酸素ガスを主体としたガスを、上吹きランス3からの噴流として吹き付けると同時に、石灰石又は消石灰を主成分とする石灰源23を、前記噴流の溶鉄表面への衝突面に投射し、溶鉄の脱炭並びに脱燐を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶鋼の溶製方法に関し、詳しくは、転炉、電気炉などで溶鉄を精錬して溶鋼を溶製する際に、炭素含有量を所定値まで低減すると同時に、燐含有量の少ない溶鋼を効率良く溶製することのできる溶鋼の溶製方法に関するものである。
近年、鉄鋼材料の高機能化及び高品質化への要求の高まりから、鋼中の不純物元素を極限まで低減することが望まれており、溶鋼段階での鋼の高純度化及び高清浄度化のための技術が必要とされている。鋼中の不純物元素の1つである燐は、鉄鋼材料の延性や強度を劣化させるため、燐含有量の低い鋼が要求されている。
従来、転炉や電気炉を用いて低燐鋼を溶製するには、溶銑段階で脱燐剤を添加して溶銑の燐含有量を低下(例えば、特許文献1参照)したり、電気炉で使用する溶解原料を厳選したりして、転炉や電気炉へ装入される燐インプット量を極力下げたり、或いは、転炉精錬後に出鋼脱燐したり、出鋼後に取鍋精錬炉で再度酸化精錬を行う(例えば、特許文献2参照)などによっていた。
しかしながら、溶解原料の厳選は、経済的な問題が発生することは明白であり、更に、溶銑に対して脱燐処理を施し、事前に低燐化する場合にも、燐濃度が十分に鋼材製品の燐濃度に近い値まで低下していない場合には、低燐化した効果が表れないという問題があった。これは転炉や電気炉では、最終的に溶鋼とするため、精錬終了時の溶鋼温度が高温にならざるを得ず、高温域においては不利な脱燐反応では、十分なスラグ精錬能が発揮できず、脱燐反応が進行しないことによる。例えば、溶銑の脱燐処理により、鋼材製品の燐濃度レベルの2倍程度の燐濃度まで低下させても、転炉精錬では、鋼材製品の燐濃度レベルまで脱燐するために大量の生石灰などの媒溶剤が必要になっていた。
又、特許文献2のように、転炉で脱炭精錬した溶鋼を取鍋などに出鋼した後、新たに脱燐用スラグを造滓して溶鋼と攪拌し、低燐濃度まで脱燐反応を進行させる方法では、溶鋼の温度補償のために大量のエネルギーが必要なことや、本来、転炉精錬後は成分調整や脱硫・脱酸などの還元精錬を主体とする精錬であり、この還元精錬に対して脱燐処理という酸化精錬が加わることになるので、スラグ排滓の問題や脱酸剤の消費量増大など、プロセスの複雑さは大きな問題であった。
特開平8−311517号公報 特開平5−43923号公報
このように、従来、低燐鋼を溶製するには、厳選された溶解原料が必要であったり、或いは製造プロセスが煩雑であったりして製造コストの上昇を余儀なくされていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転炉や電気炉などで溶鋼を溶製する際に、炭素含有量を所定値まで低減すると同時に、燐含有量の少ない溶鋼を安価に且つ効率良く溶製することのできる溶鋼の溶製方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、脱炭と同時に燐含有量を低下するには、酸化精錬末期の溶鉄が高温条件下においても、脱燐に有効な石灰源を供給することが有効との知見を得た。更に、脱燐反応に有利な低温化、高酸素ポテンシャル化を反応サイトで実現することが重要との知見を得た。
即ち、脱炭精錬末期などの高温下において脱燐効率を促進させるには、(1)CaOを主体とした高塩基度のスラグを迅速に滓化させること、(2)十分なFeOを存在させるなどの高酸素ポテンシャルにすること、(3)脱燐反応に有利な低温条件を形成することが、脱燐反応の平衡論から重要であり、更に、これらに加えて、脱炭精錬自体が高速で短時間処理が必要であるため、(4)生成させた高い脱燐能を有するスラグと溶鉄との反応界面積を大きくすることが重要であるとの知見を得た。
(1)のためには、脱炭精錬末期に新たに粉状の石灰源を投入することで解決でき、(2)のためには、酸素ガスを主体とした噴流によって石灰源を溶鉄浴面まで供給することで有利になり、(3)のためには、溶鉄表面に添加した際に吸熱反応を起す石灰源を脱燐用フラックスとして使用したり、上吹きするガスに吸熱反応を生じさせるガスを混合することで解決することができ、そして、これらの(1)〜(3)までの解決法では、反応性の高い脱燐剤を、粉状にして局所的な脱燐サイトに供給するので、自ずと(4)の反応界面積の増加が達成できるとの知見が得られた。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る溶鋼の溶製方法は、温度が1550℃以上、炭素含有量が0.5mass%以下である、反応容器内の溶鉄の表面に、酸素ガスを主体としたガスを、上吹きランスからの噴流として吹き付けると同時に、石灰石又は消石灰を主成分とする石灰源を、前記噴流の溶鉄表面への衝突面に投射し、溶鉄の脱炭並びに脱燐を行うことを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶鋼の溶製方法は、第1の発明において、前記溶鉄は、温度が1550℃以上、炭素含有量が0.5mass%以下に加えて、更に、燐含有量が0.04mass%以下であることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶鋼の溶製方法は、第1又は第2の発明において、前記溶鉄は、脱燐処理が施された溶銑を脱炭精錬したものであることを特徴とするものである。
第4の発明に係る溶鋼の溶製方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記噴流の鉄浴表面への衝突時の速度を、50m/秒以上に調整することを特徴とするものである。
第5の発明に係る溶鋼の溶製方法は、第1ないし第4の発明の何れかにおいて、前記上吹きランスから吹き付ける酸素ガスを主体としたガスに、炭酸ガス又は水蒸気を混合することを特徴とするものである。
第6の発明に係る溶鋼の溶製方法は、第1ないし第5の発明の何れかにおいて、前記石灰源を、前記上吹きランスを介して溶鉄表面へ投射することを特徴とするものである。
第7の発明に係る溶鋼の溶製方法は、第1ないし第6の発明の何れかにおいて、前記石灰源の供給量を、溶鋼トン当たり10kg以下とすることを特徴とするものである。
第8の発明に係る溶鋼の溶製方法は、第1ないし第7の発明の何れかにおいて、前記反応容器が、転炉、AOD炉、VOD炉、アーク電気炉のうちの何れか1つであることを特徴とするものである。
本発明によれば、溶鉄の脱炭精錬末期において、吸熱反応を生じさせる石灰源を、酸素ガスを主体とする上吹きランスからの噴流の溶鉄表面への衝突面に投射するので、脱燐能に優れた高塩基度の脱燐用スラグが迅速に形成され、脱燐効率が大幅に改善し、脱炭反応と同時に脱燐反応が進行し、燐含有量の少ない溶鋼の溶製が可能となる。更に、脱燐効率の向上により、余剰酸素の使用量を抑制できるので、溶鋼の過酸化が抑制され、合金鉄歩留まりの向上及び脱酸材の削減がなされると同時に、操業のばらつきも最小化される。更に、耐火物の損傷も減じられ、溶鋼の品質の向上と溶製コストの低減が可能になるのみならず、省資源、省エネルギーも達成される。
以下、本発明に係る溶鋼の溶製方法を、転炉における溶銑の脱炭精錬に適用した場合を例として、添付図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明方法に基づく脱炭精錬を実施する際に用いた転炉設備の1例を示す概略断面図、図2は、図1に示す上吹きランスの概略拡大断面図である。
図1に示すように、転炉設備1は、溶銑21を収容する転炉本体2と、この転炉本体2内に挿入され、上下方向に移動可能な上吹きランス3とを備え、転炉本体2の炉底には、ガス導入管13と接続する、撹拌用ガスを吹き込むための底吹き羽口12が設けられ、上吹きランス3には、酸素ガス配管14及び冷却用ガス配管15が接続されており、酸素ガスを主体とするガスが酸素ガス配管14を介して、又、炭酸ガス、水蒸気のうちの1種以上の冷却用ガスが冷却用ガス配管15を介して、それぞれ任意の流量で上吹きランス3から転炉本体2内に供給されるようになっている。酸素ガスを主体とするガスとしては、酸素ガスそのもの、又は、酸素ガスとArガスや窒素ガスなどの適宜のガスとの混合ガスを使用することができる。又、撹拌用ガスとしては、窒素ガスなどの非酸化性ガス及びArガスなどの不活性ガスを使用することができる。
酸素ガス配管14から分岐した酸素ガス配管14Aは、石灰石又は消石灰を主成分とする石灰源23を収容したディスペンサー16に接続されており、一方、ディスペンサー16には、上吹きランス3と接続する石灰源移送配管20が接続されている。即ち、ディスペンサー16内に供給された、酸素ガスを主体とするガスは、ディスペンサー16内の石灰源23の搬送用ガスとして機能し、石灰源移送配管20を経由して上吹きランス3の先端から石灰源23を転炉本体2内に吹き付けて供給することができるようになっている。
酸素ガス配管14,14Aには、流量調整弁17,18が設けられており、酸素ガスを主体とするガスを、上吹きランス3から直接吹き込むことも、又、ディスペンサー16を経由して吹き込むことも、更には両者から同時に吹き込むことも任意に調整することができるようになっている。冷却用ガス配管15には、冷却用ガスの流量を調整するための流量調整弁19が設けられている。冷却用ガスの供給流路と酸素ガスを主体とするガスの供給流路とは、上吹きランス3への供給前又は上吹きランス3内で合流するようにしてもよいが、上吹きランス3内に別の流路を設け、上吹きランス3の先端から別々に吹き込んでもよい。
但し、本発明に係る溶鋼の溶製方法を実施する場合には、上吹きランス3は石灰源23の供給流路を兼ねる必要はなく、上吹きランス3とは別に石灰源23の供給用ランスを設置してもよい。同様に、上吹きランス3から冷却用ガスを供給する必要はなく、上吹きランス3とは別系統のランスを用いて供給してもよい。但し、転炉本体2の上方部における設備配置が煩雑になるので、これを防止するためには上吹きランス3が冷却用ガス及び石灰源23の供給流路を兼ねることが好ましい。又、図1では、酸素ガスを主体とするガスを石灰源23の搬送用ガスとして使用しているが、ディスペンサー16に供給するガス配管を酸素ガス配管14と独立させ、窒素ガスやArガスなどを搬送用ガスとして使用してもよい。
上吹きランス3は、図2に示すように円筒状のランス本体4と、このランス本体4の下端に溶接などにより接続されたランスノズル5とで構成されており、ランス本体4は、外管6、中管7、内管8、最内管9の同心円状の4種の鋼管、即ち四重管で構成されている。銅製のランスノズル5には、その中心部に鉛直下向き方向のノズル10が設置され、又、ノズル10の周囲には、吐出方向を鉛直斜め下向き方向とする複数個のノズル11が設置されている。これらのノズル10及びノズル11は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成された、所謂ラバールノズルの形状を採っている。
ノズル10は、酸素ガスを主体とするガスを搬送用ガスとして石灰石又は消石灰を主成分とする石灰源23を吹き込むためのノズルで、一方、ノズル11は、酸素ガスを主体とするガスを吹き込むためのノズルである。この場合、ノズル11の設置孔数や口径などの制約は特にないが、上吹きランス3の送酸圧力などの制約により、必要とする送酸速度から必然的に設置孔数及び口径は決定されるため、これらを満足する範囲内で設定することとする。尚、ラバールノズルでは、縮小部分を絞り部、拡大部分をスカート部、絞り部からスカート部に遷移する部位であり、最も狭くなった部位をスロートと呼んでいる。又、図2におけるθは、ノズル10とノズル11との軸心間の角度(傾角)である。ノズル10及びノズル11は、噴流の広がり角度を考慮し、傾角θを調整することで、干渉することなく、浴面上に適度に広がりを持って供給することができる。
外管6と中管7との間隙、及び、中管7と内管8との間隙は、上吹きランス3を冷却するための冷却水の流路となっており、上吹きランス3の上部に設けられた給水継手(図示せず)から供給された冷却水は中管7と内管8との間隙を通ってランスノズル5の部位まで至り、ランスノズル5の部位で反転して外管6と中管7との間隙を通って上吹きランス3の上部に設けられた排水継手(図示せず)から排出される。給排水の経路を逆としてもよい。
内管8と最内管9との間隙は、ノズル11への酸素ガスを主体とするガスの供給流路となっており、上吹きランス3の上端部から内管8と最内管9との間隙に供給された酸素ガスを主体とするガスは、ノズル11から溶銑21に向かって噴出されるようになっている。又、最内管9の内部は、ノズル10への石灰石又は消石灰を主成分とする石灰源23の供給流路となっており、上吹きランス3の上端部から最内管9内に供給された石灰源23は、最内管9を通り、ノズル10から溶銑21の湯面に向かって噴出されるようになっている。
本発明では、溶鉄浴面への酸素ガスを主体とするガスの吹き付け面近傍に石灰源23を投射すればよく、従って、ノズル10とノズル11の機能が逆であってもよい。この場合には、ノズル11から石灰源23が供給される。又、上吹きランス3は必ずしも四重管とする必要はなく、前述したように通常の三重管のランスを複数個配置し、それぞれの上吹きランスから溶銑21の湯面の同一箇所に向かって酸素ガスを主体とするガスと石灰源23とを別々に供給してもよい。
脱燐用のフラックスである石灰源23としては、鉄浴に到達したと同時に吸熱反応を起こすものであれば、何でも用いることができるが、大量に且つ容易にしかも安価に入手できることから、本発明においては石灰石又は消石灰を主成分とする石灰源を使用することとする。又、酸素ガスを主体とするガスに混合する冷却用ガスも、解離反応などにより吸熱反応を起すガスであれば何でも使えるが、酸素ガスと混合しても不活性であることが好ましく、又、鉄鋼製造工程で容易に入手できることから、炭酸ガス(CO2 ガス)又は水蒸気(H2 Oガス)を用いることが好ましい。
このような構成の転炉設備1を用い、溶銑21を脱炭精錬して溶鋼を溶製するに際し、以下のようにして本発明を実施する。先ず、転炉本体2内に溶銑21を装入する。用いる溶銑21としてはどのような成分であっても処理することができ、転炉本体2での脱炭精錬の前に脱硫処理や脱燐処理が施されていてもよい。この場合、溶製される溶鋼の燐濃度を安定して低減するためには、予め溶銑段階で脱燐処理を施しておくことが好ましい。但し、鋼材製品の燐濃度レベルまで低下する必要はなく、出銑された溶銑の燐濃度レベルの約1/2程度まで下げれば十分である。溶銑の脱燐は、酸素ガス又は鉄鉱石などの酸素源と生石灰とを溶銑に供給して実施する。
転炉本体2には、生石灰、蛍石などの媒溶剤を投入してスラグ22を生成させる。生石灰の装入量は、装入された溶銑21の珪素濃度及び燐濃度に応じて設定する。次いで、底吹き羽口12から窒素ガスなどの非酸化性ガス又はArガスなどの希ガスを撹拌用ガスとして溶銑21中に吹き込みながら、上吹きランス3から、酸素ガスを主体とするガスを吹き付け、溶銑21の酸化精錬を開始する。ノズル11から吐出された酸素ジェットは、溶銑湯面と衝突して溶銑21と反応し、脱炭反応によってCOガスが生成する。発生したCOガスは、浴面上を覆う形で存在するスラグ22中を通過し、転炉本体2の炉口から排出され、排ガス処理設備(図示せず)に吸引される。
この酸化精錬によって溶銑21が脱炭され、溶銑21の炭素濃度が0.5mass%以下になった以降、ディスペンサー16内の石灰源23の供給を開始する。この場合、溶銑21の炭素濃度が0.5mass%になった時点以降では、溶銑の温度が1550℃以上になるように、転炉本体2内への鉄鉱石などの冷却材の供給量を調整する。又、上吹きランス3からの噴流の鉄浴表面への衝突面の温度を下げて、脱燐反応を促進させるために、上吹きランス3から供給するガスに、冷却用ガスとしての炭酸ガス、水蒸気のうちの1種以上を混合させることが好ましい。
ディスペンサー16内の石灰源23の供給開始時期を、鉄浴の炭素濃度が0.5mass%よりも高い時期とすると、石灰源23の使用量が増加するのみならず、この時期はまだ脱炭反応が旺盛でFeOの生成が少なく、即ち酸素ポテンシャルが低く、脱燐反応が促進されない。但し、石灰源23の供給開始時期を、酸化精錬末期の例えば炭素濃度が0.1mass%未満の時期にすると、脱燐反応が十分に行われないうちに脱炭精錬が終了してしまい、所望する燐濃度の溶鋼を得ることができない恐れが生じるので注意する必要がある。又、鉄浴温度が1550℃未満では、添加した石灰源23の滓化が迅速に進まず、即ち脱燐用スラグが迅速に形成されず、脱燐反応が促進されない。
このように、脱燐反応を積極的に行わせる時期としては、石灰源23の滓化が迅速に起きる高温条件で且つ酸素ポテンシャルの高い時期であるが、石灰源23の供給や脱燐の時間を確保することが必要であり、この観点から、鉄浴の温度が1550℃以上、鉄浴の炭素濃度が0.5mass%以下、望ましくは0.5〜0.1mass%の時期であれば、脱燐の進行に問題が生じない。この場合、本発明者等は、石灰源23の使用量は、溶鋼トン当たり10kg(以下「kg/T」と記す)以下で十分であることを確認している。
又、溶製される溶鋼の燐濃度を極力下げるために、溶銑21の炭素濃度が0.5mass%になった時点では、溶銑21の燐濃度が0.04mass%以下になるように、スラグ22を生成するための生石灰の供給量を調整することが好ましい。溶銑21の燐濃度が0.04mass%以下であれば、溶製される溶鋼の燐濃度は0.015mass%以下を確保することができる。
但し、脱炭精錬時のスラグ22の量が多すぎると、上吹きランス3から添加した石灰源23の滓化及び脱燐反応の効率が低下するので、脱炭精錬時に添加する生石灰などの媒溶剤は20kg/T以下、望ましくは10kg/T以下とすることが好ましい。この観点からも、予め溶銑21を脱燐処理することが好ましい。スラグ22が多すぎると、新たに添加した石灰源23が、生成したFeOと直接反応して脱燐能の高い高塩基度の脱燐用スラグを形成する同時に、大量のスラグ22にも溶解してしまうため、高塩基度の脱燐用スラグの生成量が少なくなってしまう。
上吹きランス3から吹き込まれる噴流の鉄浴への衝突時の最大速度(計算値)を50m/秒以上とすることが好ましい。酸素ガスを主体とするガスの供給量及びノズル11の形状を調整することで、この範囲内に調整することができる。噴流の到達速度は高い方が好ましいが、流速を高め過ぎると、酸素ガスと溶鉄との反応が激しくなり、生成したFeOの石灰源23への溶解が減じられたり、スピッティングが激しくなり過ぎる場合がある。
通常、溶銑段階で事前に脱燐を行い、転炉脱炭精錬時にはスラグ22の量を少なくして、マンガン鉱石を添加し、マンガン還元効率を高めることが行われているが、本発明においては、スラグ22の全体の酸素ポテンシャルを上げたり、温度を下げたりせずに、効率良く迅速に脱燐できるので、マンガンの再酸化はほとんどなく、高歩留まりでマンガン鉱石を還元することができる。
このように、本発明においては、溶銑21や溶鋼などの溶鉄の脱炭精錬末期において、吸熱反応を生じさせる石灰源23を、酸素ガスを主体とする上吹きランス3からの噴流の溶鉄表面への衝突面に投射するので、脱燐能に優れた高塩基度の脱燐用スラグが迅速に形成され、脱燐効率が大幅に改善し、脱炭反応と同時に脱燐反応が進行し、燐含有量の少ない溶鋼の溶製が可能となる。更に、脱燐効率の向上により、余剰酸素の使用量を抑制できるので、溶鋼の過酸化が抑制され、合金鉄歩留まりの向上及び脱酸材の削減がなされると同時に、操業のばらつきも最小化される。更に、耐火物の損傷も減じられ、溶鋼の品質の向上と溶製コストの低減が可能になるのみならず、省資源、省エネルギーも達成される。
尚、上記説明では、転炉における溶銑の脱炭精錬に本発明を適用した場合について説明したが、本発明の適用は転炉に限るものではなく、AOD炉、VOD炉、アーク電気炉などの他の精錬設備を用い、酸素ガスを主体とするガスを鉄浴に供給して脱炭精錬する場合にも、上記に沿って本発明を適用することができる。
又、上記説明では、撹拌用ガスとして非酸化性ガス及び不活性ガスを使用しているが、底吹き羽口12の形状を変えることで種々のガス種との組み合わせが可能である。例えば、酸素ガス用の内管と冷却ガス用の外管からなる二重管方式の底吹き羽口があり、この場合には、攪拌用ガスとして酸素ガスを用いることができる。攪拌用ガスとして酸素ガスを用いることにより、低コストで大量のガスを底吹きできる場合もあるが、低流量域においては、非酸化性ガス及び不活性ガスの場合と比べて浴内の反応や熱的挙動に大差はない。底吹き羽口12の溶損並びに底吹きガスの吹き抜けを防止するためには、底吹き羽口12からの吐出流速を所定値以上にすること及び底吹き羽口12の1本当たりの流量を浴深さに応じて低下することが重要であることが知られており、従って、処理容器の容量や浴深さに応じて底吹き羽口12の個数や口径を設定することが重要である。
容量が1トンの小型試験転炉における溶銑の脱炭精錬に本発明方法を適用した。用いた上吹きランスは、前述した図2に示すような、中心位置に1つ、その周囲に3つの合計4つのノズルを有する上吹きランスで、各ノズルのスロート径は3.2mm、出口径は3.8mmである。このノズルは、酸素ガス圧力が5kg/cm2 (4904 hPa)で、且つ周囲の3つのノズルからの全酸素流量が75Nm3 /hrの条件下で最適化されたラバールノズルである。周囲の3つのノズルと中心のノズルとは、ガス供給経路が別系統であり、中心のノズルからは、酸素ガス以外にArガスを流せるようになっている。
珪素をほとんど含有せず、炭素濃度が約4.2mass%である約1トンの溶銑を転炉に装入して脱炭精錬を行った。脱炭精錬は、周囲の3つのノズルから酸素ガスを160Nm3 /hrの送酸速度で13分間精錬した後、末期精錬として、周囲の3つのノズルからの送酸速度を70Nm3 /hrに減少させ、これに冷却用ガスとして炭酸ガスを混合すると共に、中心孔ノズルから酸素ガス又はArガスを搬送用ガスとして粒径が0.5mm以下の石灰石又は消石灰を供給した。
又、比較のために、石灰源を供給しない場合、石灰源として生石灰を供給した場合、及び、石灰源添加開始時の溶鉄温度及び溶銑の炭素濃度が本発明の範囲を外れる場合について、脱炭精錬を行った。表1に操業結果を示す。
Figure 2005089839
表1に示すように、本発明例では、比較例に比べて脱燐特性が向上し、燐濃度が0.005〜0.006mass%の極低燐鋼の溶製も可能であった。因みに、石灰源添加開始時の炭素濃度の高い比較例3及び溶鉄温度の低い比較例5では、脱燐効率が悪く、その他の条件をほぼ同一とする本発明例に比べて処理後の溶鋼の燐濃度は極めて高くなっていた。
これらの結果から、脱炭精錬の末期に吸熱性の石灰源を供給することで、低燐化を効率的に達成でき、プロセスを複雑にしたりせずに低燐鋼を溶製可能であることが分かった。
容量が50トンの電気炉において、鉄スクラップを溶解して得た溶鉄を脱炭精錬する際に、本発明方法を適用した。用いた上吹きランスは、前述した図2に示すような、中心位置に1つ、その周囲に3つの合計4つのノズルを有する上吹きランスである。
通常の鉄スクラップに加えて冷銑を12mass%配合すると共に、コークスを8kg/T配合した溶解原料をアークにて溶解し、鉄スクラップの溶け落ち後、直ちに上吹きランスによる送酸脱炭を行った。溶け落ち時の溶鉄温度は1560℃、炭素濃度は0.25mass%であり、送酸脱炭は、周囲の3つのノズルから酸素ガスを3000Nm3 /hrの送酸速度で供給すると同時に、中心のノズルから1000Nm3 /hrのArガスを搬送用ガスとじて石灰石を供給して行った。終点の溶鋼温度の目標値を1580℃とし、この目標値になるようにアーク加熱で調整した。上吹きランスの先端と湯面との距離(ランス高さと呼ぶ)は1mとした。
又、比較のために、石灰源として生石灰を供給した場合、及び、石灰源添加開始時の溶鉄温度及び溶鉄の炭素濃度が本発明の範囲を外れる場合についても送酸脱炭を実施した。このような条件で、炭素濃度が0.1mass%となるまで送酸脱炭を行い、送酸時間、酸素使用量及び処理前と処理後の燐濃度から脱燐率を評価した。表2に操業結果を示す。
Figure 2005089839
表2からも明らかなように、本発明例では脱燐効率が増加され、且つ短時間で低燐化可能であることが分かった。
本発明方法に基づく脱炭精錬を実施する際に用いた転炉設備の1例を示す概略断面図である。 図1に示す上吹きランスの概略拡大断面図である。
符号の説明
1 転炉設備
2 転炉本体
3 上吹きランス
4 ランス本体
5 ランスノズル
6 外管
7 中管
8 内管
9 最内管
10 ノズル
11 ノズル
12 底吹き羽口
13 ガス導入管
14 酸素ガス配管
15 冷却用ガス配管
16 ディスペンサー
17 流量調整弁
18 流量調整弁
19 流量調整弁
20 石灰源移送配管
21 溶銑
22 スラグ
23 石灰源

Claims (8)

  1. 温度が1550℃以上、炭素含有量が0.5mass%以下である、反応容器内の溶鉄の表面に、酸素ガスを主体としたガスを、上吹きランスからの噴流として吹き付けると同時に、石灰石又は消石灰を主成分とする石灰源を、前記噴流の溶鉄表面への衝突面に投射し、溶鉄の脱炭並びに脱燐を行うことを特徴とする、溶鋼の溶製方法。
  2. 前記溶鉄は、温度が1550℃以上、炭素含有量が0.5mass%以下に加えて、更に、燐含有量が0.04mass%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の溶鋼の溶製方法。
  3. 前記溶鉄は、脱燐処理が施された溶銑を脱炭精錬したものであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の溶鋼の溶製方法。
  4. 前記噴流の鉄浴表面への衝突時の速度を、50m/秒以上に調整することを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の溶鋼の溶製方法。
  5. 前記上吹きランスから吹き付ける酸素ガスを主体としたガスに、炭酸ガス又は水蒸気を混合することを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の溶鋼の溶製方法。
  6. 前記石灰源を、前記上吹きランスを介して溶鉄表面へ投射することを特徴とする、請求項1ないし請求項5の何れか1つに記載の溶鋼の溶製方法。
  7. 前記石灰源の供給量を、溶鋼トン当たり10kg以下とすることを特徴とする、請求項1ないし請求項6の何れか1つに記載の溶鋼の溶製方法。
  8. 前記反応容器が、転炉、AOD炉、VOD炉、アーク電気炉のうちの何れか1つであることを特徴とする、請求項1ないし請求項7の何れか1つに記載の溶鋼の溶製方法。
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