JPH05195037A - 転炉の上吹き酸素ランス - Google Patents

転炉の上吹き酸素ランス

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JPH05195037A
JPH05195037A JP1056692A JP1056692A JPH05195037A JP H05195037 A JPH05195037 A JP H05195037A JP 1056692 A JP1056692 A JP 1056692A JP 1056692 A JP1056692 A JP 1056692A JP H05195037 A JPH05195037 A JP H05195037A
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water
oxygen
cooling water
blowing
lance
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JP1056692A
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English (en)
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Yukio Takahashi
幸雄 高橋
Yasuo Kishimoto
康夫 岸本
Toshikazu Sakuratani
敏和 桜谷
Nozomi Tamura
望 田村
Sanpei Kondo
三平 近藤
Masanori Nishigori
正規 錦織
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼浴温度を冷却制御して含クロム溶銑からス
テンレス鋼を脱炭精錬を行うに際して、水の分解吸熱を
効果的に鋼浴に伝えることができる転炉の上吹き酸素ラ
ンスを提供する。 【構成】 酸素ガスを供給する内管10の先端部に連通す
る複数の酸素噴出ノズル11の開口直前位置に、中管9と
内管10との間に形成される冷却水通路の先端部に連通す
る水吹き込み用の冷却水ノズル12を開口させる。酸素噴
出ノズル11と冷却水ノズル12の各軸線b、cがなす角度
θを10度以上とすると共に冷却水ノズル12から冷却水を
1.5m/秒以上で吐出することによって転炉内の鋼浴温
度の制御性を高め、しかも耐久性の高い上吹き酸素ラン
スとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼浴温度を冷却制御し
て含クロム溶銑からステンレス鋼の脱炭精錬を行うに際
して、水の分解吸熱を効果的に鋼浴に伝え、しかも耐久
性の高い転炉の上吹き酸素ランスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼浴の温度を冷却制御するために
鉄鉱石、Mn鉱石さらにはCr鉱石等の鉱石原料あるいはス
クラップ等を炉内に投入する方法が一般的にとられてい
る。これらの原料の使用は有価元素の還元回収、または
鉄歩留向上の目的をも達成するべく行われるのであるが
鋼浴温度を精度良く制御する観点からは以下の問題があ
る。
【0003】すなわち、投入系の都合上により少量投入
が困難であることに起因して鋼浴温度の微調整には適さ
ないからである。また、鉱石原料に関して言えば鋼浴の
冷却は鉱石の還元吸熱で行われるのであるが還元率等が
操業条件、鋼浴温度および成分に左右されるため、安定
して鋼浴を冷却制御することが難しいからである。さら
に、鋼浴冷却剤として CaOや CaCO3等の造滓剤の使用も
試みられているが、鉱石原料と比較して単位量当りの冷
却能力が小さく大量投入を要することと、投入によりス
ラグボリュームが増大し脱炭反応に悪影響を及ぼす等の
問題があり経済性と生産性を阻害することになる。
【0004】一方、鋼浴温度を精度良く制御する方法と
して、水や水蒸気を使用する方法が特開昭52-95502号公
報に開示されている。この方法は霧状の水を不活性ガス
もしくは酸化性ガスで搬送して溶融金属浴に吹き込みも
しくは吹き付けて該浴の温度を制御するものである。こ
の方法によればスクラップ等の固形冷却材の使用と比較
して、吹き込み水流量の制御が容易に行えるため浴温の
制御が精度良く行える利点を有するものである。
【0005】また、水の添加に関しては水を搬送ガスを
用いてミスト状にして炉底羽口より吹き込む方法が水の
分解による冷却の効率向上、金属浴の攪拌力向上の面か
ら水を浴面上から吹き付ける方法と比較して好適である
としている。さらに、羽口に水をミスト状にして導入す
る方法として底吹きガス配管内に水を圧入する技術を開
示している。これは水の流量と搬送ガスの流量比を4000
以上にするとしている。
【0006】しかしながらこの方法では以下の問題があ
った。すなわち、底吹き羽口にミスト状の水が到達する
以前に配管内で水が凝集し、配管内に残留する可能性が
あり所望の水吹き込み流量を得られない恐れがある。さ
らに、配管内へ水を導入する位置から羽口までの距離が
長い場合には、配管へ水を供給するタイミングと比較し
て羽口からミスト状の水が流出するタイミングが大幅に
遅れる可能性もある。この結果として精度良く浴温度を
制御することは困難となる。
【0007】加えて、溶融金属浴に浸漬された羽口、す
なわち底吹き羽口より水を供給するこの方法では羽口内
に溶融金属の侵入を防止するために所定流量以下に底吹
きガス流量を絞ることができない。従って、上吹きラン
ス等のように浴に浸漬しない状態で水を浴内に供給する
方法と比較して高圧で水をガス配管内に圧入することが
要求されるため設備を高圧化する必要が生じ、結果とし
て設備費が高額となる。
【0008】以上に示した水の供給上の問題点を解決で
きる方法として、上吹きランスからの水の炉内への導入
方法が特開昭58−193309号、特開昭62−146209号や特開
昭63−103018号公報において開示されている。これらの
技術は上吹きされる酸化性ガスと溶融金属浴との衝突面
に形成される高温の火点に水等の冷却剤を供給し火点温
度を低下させることにより蒸発によるダスト発生を抑制
しようとするものである。
【0009】すなわち、上吹きランス内あるいは上吹き
ランスの酸素吹き込みノズル出口近傍で水あるいは水蒸
気と酸化性ガスまたは酸化性ガスと不活性ガスの混合ガ
スとを混合させて、炉内に導入するこれらの方法では、
上記のような問題点を有利に解決できる。さらにこれら
の方法では上吹きランスを溶鉄に浸漬しない位置に配置
できるので、溶鉄の漏洩の恐れがなく、加えて上吹きガ
スと水あるいは水蒸気と酸化性ガスとの混合を鉛直配管
であるランス内あるいはランスノズル出口近傍で行うた
め、酸化性ガスとの混合により冷却凝集されても配管内
に水が残存する恐れがなく、供給した水あるいは水蒸気
は全て炉内に供給可能となる。
【0010】さらに、底吹きガス配管と比較して上吹き
ランス内あるいは上吹きランスの酸素吹き込みノズル出
口近傍では上吹きガス圧力を低圧にできるため、高圧で
水を配管内に導入する必要がない。この結果、設備を高
圧化する必要がないので設備費が低額で済む。以上のよ
うに炉内への水の供給上の問題点は上吹きランスを用い
て実施することにより解決できる。
【0011】しかしながら、前述のように上吹きランス
から冷却材を炉内に導入する方法において本発明者らの
検討結果によれば以下の様な問題が明らかとなった。す
なわち、図6および図7に示す特開昭58−193309号公報
の方法によると多孔ランス本体21の中心に冷却剤供給経
路22を設け、該ノズル孔の周囲に酸素供給経路23を設け
ると共に冷却剤供給経路22の下部に各酸素ノズル孔24の
出口部に連通する通孔25を設けた4重管ランスを使用す
るわけである。このようなランス構造に起因して、酸素
ノズル孔24のランス中心線に対する傾角を拡大させた場
合通孔25の経路をランス先端部のランス冷却水流路26内
に設けなければならず、この結果ランス冷却水流路26の
断面積の減少によりランスチップが溶損するといったト
ラブルが発生しランスチップの耐久性が低下する。
【0012】次に図8に示す特開昭62−146209号公報の
方法においては転炉31の浴面下より攪拌用ガス32を溶鉄
33内に導入し、これにより転炉31の溶鉄を攪拌しながら
ランス34から酸素を上吹きするに際し、水と酸素ガスと
をランス34内で混合させ酸素ノズルより炉内に導入する
ものであるが水と酸素との混合条件を 0.1〜1.0l/Nm 3
酸素としているだけでランス34内に吹き込む水の流速が
開示されておらず、この従来方法の条件下では水を確実
にミスト状にして炉内に導入できるかは明らかでなく水
の流速不足により噴霧化が不十分になると推定される。
【0013】さらに、図9に示す特開昭63−103018号公
報の方法によれば転炉31内に挿入したランス34aからの
上吹き酸素ガスジェット40と溶鋼33aとの衝突面、すな
わち火点41内に液体あるいは固体の冷却剤42を添加する
に当り酸素吹錬用ランス34aに同伴した冷却剤吹き込み
ランス35を用いるものであるが、上吹き火点41内に冷却
剤42を効率良く到達させるためには高速で冷却剤42を吹
き込む必要があり一般的にはキャリアガスの使用が必要
となる。
【0014】したがって、この従来方法ではキャリアガ
スを使用しないと冷却剤42を効率良く火点41内に到達さ
せることが困難となり鋼浴の冷却効果が低下する。ま
た、冷却剤42を火点41内に効率良く添加するために上吹
き吹錬用酸素とは別にキャリアガスの使用が必要となり
配管系の設備費が増加する。さらに、この従来法の設備
上の問題として吹錬用上吹きランス34aとは別に冷却剤
吹き込み用ランス35が必要なことによりランス本体及び
ランス昇降装置等の設備費が増加することになる。加え
て冷却剤吹き込み用ランス35のノズル部においては地金
付着等によるノズルの閉塞等の問題も生じ安定して冷却
剤42を吹き込むことは事実上不可能である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述の問題を
有利に解決すべく、鋼浴の温度を制御して含クロム溶銑
からステンレス鋼の脱炭精錬を行うに際して、水の冷却
効果を効率的に鋼浴に伝えると共に耐久性の高い水吹き
込み用製鋼用上吹き酸素ランスを提供することを目的と
するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】この点本発明者が行った
研究によれば上吹きランスから冷却剤を炉内に供給して
含クロム溶銑の脱炭を行う場合、浴温度の制御性を高め
るためには冷却水の添加方法に関して以下の技術が必要
不可欠であることを知見した。すなわち、水の持つ冷却
効果を効率良く溶銑に与えるためには上吹きランスから
供給される酸素ガスと溶銑との衝突部に形成される火点
に水を添加することが重要となる。この点は先に示した
図7に示す従来技術と同一の考え方であるが、さらに冷
却効果を高めるためには吹錬用上吹きガスをキャリアガ
スとして利用し、しかも高流速となる酸素吹き込みノズ
ル内に水を導入して吹き込み酸素吹き込みノズル内で水
と酸素とを混合、噴霧状にして鋼浴に供給する方法が有
効であることを見い出した。
【0017】加えて、上吹きガスと水の混合、噴霧化を
促進するためには酸素吹き込みノズルと水吹き込みノズ
ルとのなす角度を10度以上とし水吹き込みノズルからの
水の吐出流速を 1.5m/秒以上にすることが安定して鋼
浴を冷却するのに重要である。また上吹きランス構造と
して上吹きランスの耐久性の観点からランス本体の中心
に酸素供給経路を設け、酸素吹き込み経路の周囲に冷却
剤供給経路を設けると共にランス中心に対して酸素吹き
込みノズルの外側に冷却剤供給経路から連通する通孔す
なわち冷却剤吹き込みノズルを配置することが必要不可
欠であることを見い出し本発明を開発するに至ったもの
であり、その要旨とするところは下記の通りである。
【0018】本発明は、上底吹き機能を有する転炉内に
装入された含クロム溶銑の浴面上に酸素ガスと冷却水と
の混合気体を吹き付ける転炉の上吹き酸素ランスであっ
て、外管の内側に水冷ジャケットを構成する仕切管を介
在させて中管を同心に設け、さらにこの中管の内側に酸
素ガスまたはアルゴンガスを混合した酸素ガスを供給す
る内管を同心に設け、前記の中管と内管との間に形成さ
れる間隙を炉内への水吹き込み用の冷却水通路とすると
共に、前記内管の先端部に連通する複数個の酸素噴出ノ
ズルをランス軸線に対して下向き外拡がりに傾斜して配
設開口させ、各酸素噴出ノズルの開口直前位置に前記中
管と内管との間に形成される冷却水通路の先端部に連通
する水吹き込み用の冷却水ノズルを交叉して開口させ、
前記酸素噴出ノズルの軸線と冷却水ノズルの軸線が交叉
する角度を10度以上に設定すると共に、前記冷却水ノズ
ルから冷却水を 1.5m/秒以上の流速で吐出するように
構成したことを特徴とする転炉の上吹き酸素ランスであ
る。
【0019】
【作 用】含クロム溶銑を脱炭精錬するにあたって上底
吹き機能を有する精錬用の転炉の使用は、上底吹き両方
から大量の酸素を供給して高速脱炭を可能とするのみな
らず、その強力な底吹き攪拌によりクロムの酸化損失を
抑制し効率的に脱炭を行うことができるという意味で有
効である。
【0020】本発明の骨子となる技術は、上吹きランス
の酸素吹き込みノズル内で水と酸素とを混合噴霧状にし
て上吹きされる酸化性ガスによって溶鉄表面に形成され
る火点中にその混合気体を吹き付け、溶銑温度を冷却制
御しつつ含クロム溶銑の脱炭精錬を行うものであって、
水の持つ冷却効果を効率的に溶鉄に伝え、しかも耐久性
の高い水吹き込み用上吹き酸素ランスを提供するもので
ある。
【0021】水の冷却効果は水の顕熱、蒸発潜熱さらに
は分解熱によるものであり、これらの熱を溶銑に効率良
く伝えるためには高温の火点内に水を供給することとそ
の供給方法が重要となる。すなわち、火点内に水を供給
することは通常火点温度は鋼浴バルク温度に較べ数百℃
程度温度が高いため水の分解反応を促進できることと、
水の供給により温度が低下してもクロムの酸化を助長し
ないという意味で重要である。
【0022】また、火点内への水の供給方法としては高
流速でしかも水を分散、噴霧状にすることが必要不可欠
である。水を高流速で溶鉄に吹き付けるためにはキャリ
アガスの使用が必要であるが、本発明では酸素吹き込み
ノズル内で水と酸素ガスとを混合させるため、別途キャ
リアガスを準備する必要がなく経済的である。加えて酸
素吹き込みノズル出口部での水と酸素の混合は音速もし
くは音速を越える高流速の酸素ガス流れが使用できるた
め水を高速で炉内に吹き込むことが可能となる。このた
め水が火点に達する以前に蒸発、さらには炉外へ逸散す
る割合を減少させることができるので、水の冷却効率を
向上させることが可能となる。
【0023】また、水の冷却効果を高めるには上記の高
流速化以外に水の酸素ガスジェット内への分散及び噴霧
化も重要である。本発明者らの研究によれば水と酸素ガ
スの混合に関して酸素吹き込みノズルと水吹き込みノズ
ルの相対角度および水の吹き込み流速をある一定範囲内
とすることで良好な噴霧が得られ、なおかつ水の冷却効
果が向上することを見い出した。含クロム溶鉄に図1に
示す上吹き酸素ランスを用いて上吹き酸素と水を酸素吹
き込みノズル内で混合させ噴霧状にして吹き付けた場合
の溶鉄温度の変化速度と酸素吹き込みノズルと水吹き込
みノズルの相対角度との関係を図4に示す。
【0024】図4より、酸素吹き込みノズル内での酸素
ガスと水の混合に関して、酸素吹き込みノズルと水吹き
込みノズルとの相対角度θを10度以上とすることで同一
水吹き込み流量において鋼浴の冷却速度を高値にするこ
とが可能となる。したがって、上吹きランスから水を吹
き込んで鋼浴を効果的に冷却する観点から酸素吹き込み
ノズルと水吹き込みノズルとの相対角度θを10度以上と
することが必要であることが分かる。
【0025】図5には図4に示すように上吹きランスに
おいて酸素吹き込みノズルと水吹き込みノズルとの相対
角度θを15度として水吹き込みノズル径を変化させて水
の吐出流速を調整した場合の鋼浴の冷却速度と水の吐出
速度の関係を示す。図5より、水の吐出流速を 1.5m/
秒以上とすることで鋼浴の冷却速度を高値に保つことが
可能となることが分る。これらの知見は水と酸素ガスと
の混合条件を適当にすることで水の冷却効果を高め、か
つ安定して鋼浴を冷却制御できることを示すものであり
本発明において必要不可欠の要件である。
【0026】
【実施例】実施例 以下、本発明の実施例について説明する。図3に示した
炉容5トンの上底吹き転炉を用いて行った本発明の実施
例を以下に示す。
【0027】図3において、1は転炉、2は二重管構造
の底吹羽口、3は含クロム溶鉄、4は上吹ランスであ
る。操業は予め同じ5トンの上底吹き転炉1で脱リン溶
銑にクロム鉱石、コークス等を投入し溶融還元して含ク
ロム粗溶鉄を得た。次にこの溶鉄をスラグと分離出銑
後、再度転炉1に装入した。底吹羽口2としては、内管
内径10mmφの二重管からなる底吹羽口2を4本使用し、
内管からは酸素O2あるいはアルゴンガスArとの混合気を
供給し、内管と外管の隙間からはプロパンPrあるいはア
ルゴンガスとの混合気を羽口冷却用に吹き込んだ。ま
た、上吹ランス4は3孔で各ノズルのスロート径が 9.5
mmφのものを使用し、ノズルからは酸素あるいはアルゴ
ンガスとの混合気、さらには水を上吹き酸素ガスと混合
させて吹きつけた。
【0028】使用した上吹きランスの模式図を図1、図
2に示す。図1および図2に示すように本発明の上吹き
酸素ランス4は外管7の内側に水冷ジャケットを構成す
る仕切管8を介在させ中管9を同心に設け、この中管9
の内側に酸素ガスまたはアルゴンガスを混合した酸素ガ
スを供給する内管10を同心に設けてある。そして中管9
と内管10との間に形成される間隙を炉内吹き込み用の冷
却水通路とする。
【0029】そして、内管10の先端部に連通する3個の
酸素噴出ノズル11をランス軸線aに対して下向き外拡が
りに傾斜して配設開口させる。各酸素噴出ノズル11の開
口直前位置に、中管9と内管10との間に形成される冷却
通路の先端部に連通する水吹込み用の冷却水ノズル12を
交叉して開口させる。酸素噴出ノズル11の軸線bと冷却
水ノズル12の軸線cとが交叉する角度θを10度以上に設
定すると共に、冷却水ノズル12から冷却水を 1.5m/秒
以上の流速で吐出するように構成する。
【0030】ランス冷却給水管13から供給されるランス
冷却水は外管7と中管9との間に介在する仕切管8によ
って構成される水冷ジャケットを通過してランス4を冷
却し、ランス冷却排水管14から排水される。また酸素供
給管15から供給されるアルゴンガスを混合した酸素ガス
は内管10を経由して酸素噴出ノズル11から転炉1内に噴
出される。さらに吹き込み冷却水供給管16から供給され
る吹き込み冷却水は中管9と内管10との間に形成される
冷却水通路を経由して冷却水ノズル12から酸素噴出ノズ
ル11の開口近傍に供給される。
【0031】図1において吹き込み冷却水と上吹き酸素
ガスの混合吹きつけは各酸素噴出ノズル11の出口部に水
吹き込み用の冷却水ノズル12を配置し、酸素噴出ノズル
11の出口部で上吹き酸素ガスと冷却水を混合、噴霧状に
する方法で行う。この場合に、水吹き込み用の冷却水ノ
ズル12の軸線cと酸素噴出ノズル11の軸線bとのなす角
度θは15度とし、水吹き込み用の冷却水ノズル12の内径
はφ 1.5mmのものを使用した。
【0032】上底吹き酸素ガス及び水の吹き込み条件と
しては、水の分解、反応生成物であるH2(g)の発生
と、水中の酸素を考慮して酸素と希釈ガスの比が酸化精
錬工程の第0期では1/0、第1期では4/1、第2期
では2/1、第3期、第4期では1/2になるように上
吹きランスから供給される酸素、アルゴンガスの流量を
調節した。酸化精錬及び還元精錬時の操業条件を表1に
示す。
【0033】
【表1】
【0034】操業中、副原料の添加は酸化精錬初期にフ
ラックスタンク6内の生石灰粉5を底吹羽口2から還元
精錬終了時のスラグ塩基度が 1.9になるようにインジェ
クションした。また、還元精錬初期には炉上から15kg/
tのFeSi合金を投入した。酸化精錬中、適時サブランス
を用いて鋼浴温度、メタルを測定サンプリングしたとこ
ろ鋼浴温度は酸化工程の第2期、第3期及び第4期では
1680±5℃の範囲で精度良くコントロールできた。ま
た、スラグ中に移行した酸化クロムのメタル中への回収
も十分に行うことができた。操業結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】吹錬終了後、耐火物の溶損量を測定したと
ころ、炉底及び炉腹の平均値で3mmであった。比較例 実施例と同様の設備と操業方法に従うが、水吹き込み用
上吹き酸素ランスは水吹き込みノズルと酸素吹き込みノ
ズルの相対角度を8度とし、水吹き込みノズルの内径は
φ 5.0mmのものを使用した。この場合の操業条件は表1
に示す実施例と同じである。操業結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】脱炭吹錬中の鋼浴温度は、酸化工程2期及
び3期においては最高1710℃にまで達し本発明のように
精度良く制御できなかった。さらに、粗溶鉄のクロム濃
度に対する吹き止め時のクロム濃度の減少量は表2と表
3を比較すればわかるように比較例においては本発明に
対し 1.0%増加した。この結果、比較例において還元精
錬時の成分組成を本発明と同等とするのにFeSi原単位は
本発明の15kg/tに対し20kg/tと5kg/t余分に投入
せざるを得なかった。さらに付け加えると比較例におい
て、酸化期における溶鉄温度の上昇により耐火物の溶損
量は5mmと本発明に対し2mmの増加を招いた。
【0039】以上の結果から、比較例において使用した
水吹き込み用上吹き酸素ランスでは水と上吹きガスとの
混合が十分でなく火点への水の供給効率が低下してしま
い鋼浴の冷却効果の低下をもたらすことになる。結果と
して鋼浴温度の上昇、耐火物溶損量の増加、さらには希
釈効果の減少に起因してクロムの酸化損失が増加し還元
精錬期のFeSi原単位の増加を招き経済的な操業を行うこ
とが難しくなる。
【0040】これに対し本発明では、水吹き込み用の上
吹き酸素ランスにおいて水吹き込みノズルと酸素吹き込
みノズルとの相対角度と水吹き込みノズル出口での水の
吐出流速の適正化により酸素吹き込みノズル出口部での
水と酸素ガスとの混合、水の噴霧化が効果的に行える。
このため、上吹きされる酸化性ガスと溶鉄との衝突によ
って形成される火点中に効率良く水を供給することが可
能となり、鋼浴温度を安定かつ精度良く制御できる。こ
の結果、所望の温度での吹錬が実現できるのみならず、
耐火物溶損量、FeSi原単位の低減が可能となった。
【0041】
【発明の効果】本発明の水吹き込み用の上吹き酸素ラン
スによれば水と酸素ガスとの混合、水の噴霧化を効果的
にできるため、火点への水の添加効率が向上し含クロム
粗溶鉄の脱炭によるステンレス鋼の経済的な溶製が実現
した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素噴出ノズルを示す縦断面図であ
る。
【図2】図1のA−A矢視を示す平面図である。
【図3】本発明で用いた5トン規模転炉の模式図であ
る。
【図4】酸素噴出ノズルと冷却水ノズルとのなす角度
(θ)と鋼浴の昇温速度(℃/min )との関係を示すグ
ラフである。
【図5】水吹き込み冷却水ノズルからの水の吐出速度と
鋼浴の昇温速度(℃/min )との関係を示すグラフであ
る。
【図6】従来例を示す断面図である。
【図7】図6のA−A矢視を示す断面図である。
【図8】他の従来例を示す断面図である。
【図9】もう1つの他の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 転炉 2 底吹羽口 3 含クロム溶鉄 4 上吹き酸素ランス 5 フラックス(生石灰) 6 タンク 7 外管 8 仕切管 9 中管 10 内管 11 酸素噴出ノズル 12 冷却水ノズル 13 ランス冷却給水管 14 ランス冷却排水管 15 酸素供給管 16 吹き込み冷却水供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 望 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (72)発明者 近藤 三平 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (72)発明者 錦織 正規 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上底吹き機能を有する転炉内に装入され
    た含クロム溶銑の浴面上に酸素ガスと冷却水との混合気
    体を吹き付ける転炉の上吹き酸素ランスであって、外管
    の内側に水冷ジャケットを構成する仕切管を介在させて
    中管を同心に設け、さらにこの中管の内側に酸素ガスま
    たはアルゴンガスを混合した酸素ガスを供給する内管を
    同心に設け、前記の中管と内管との間に形成される間隙
    を炉内への水吹き込み用の冷却水通路とすると共に、前
    記内管の先端部に連通する複数個の酸素噴出ノズルをラ
    ンス軸線に対して下向き外拡がりに傾斜して配設開口さ
    せ、各酸素噴出ノズルの開口直前位置に前記中管と内管
    との間に形成される冷却水通路の先端部に連通する水吹
    き込み用の冷却水ノズルを交叉して開口させ、前記酸素
    噴出ノズルの軸線と冷却水ノズルの軸線が交叉する角度
    を10度以上に設定すると共に、前記冷却水ノズルから冷
    却水を 1.5m/秒以上の流速で吐出するように構成した
    ことを特徴とする転炉の上吹き酸素ランス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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