JP4513340B2 - 溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、CaO系の脱燐用媒溶剤を溶銑の浴面に吹き付けて行う溶銑の脱燐処理方法に関し、詳しくは、溶銑の脱炭を抑制することが可能な溶銑の脱燐処理方法に関するものである。
近年、溶銑段階で予め脱燐処理(「予備脱燐処理」ともいう)を実施し、溶銑中の燐を或る程度除去した後、この溶銑を転炉に装入して転炉で脱炭精錬を実施する製鋼方法が発展してきた。この場合、溶銑の脱燐処理は、トーピードカーや溶銑鍋などの溶銑保持容器或いは転炉などの精錬炉を精錬容器として用い、CaO系の脱燐用媒溶剤と酸素ガス及び固体の酸化鉄などの酸素源とを溶銑に添加して、溶銑中の燐を酸素源によって酸化し、生成した燐酸化物をCaO系の脱燐用媒溶剤などからなるスラグ中に取り込み、溶銑中の燐を除去するという方法で行われている。
このように、CaO系の脱燐用媒溶剤を用いた溶銑の脱燐処理では溶銑を酸素源によって酸化精錬するので、溶銑中の炭素が酸化されて減少する所謂脱炭反応が、脱燐反応と併行して起こる。溶銑中の炭素の酸化熱は、例えば、後工程の転炉精錬の熱源として鉄スクラップやMn鉱石の溶解に利用されており、従って、溶銑の脱燐処理における脱炭反応の進行は、次工程以降における熱不足をもたらすことになる。
この熱不足を補償する手段として、脱燐処理中に溶銑中にコークスなどの炭素源を添加し、溶銑中の炭素を補う方法或いは炭素源の燃焼熱を溶銑に着熱させる方法が多数提案されている。例えば、特許文献1には、脱燐処理中に溶銑に炭素源を吹き込み、溶銑中の炭素量を飽和濃度以上とすることによって共存するスラグ中に炭素を析出させ、このスラグ中に酸素源を吹き込んで析出した炭素を燃焼させ、熱的余裕度を向上させる脱燐処理方法が提案されている。しかしながら、この方法では、スラグ中に析出する炭素源をスラグ中に吹き込む酸素源によって燃焼しており、そのため、析出した炭素源を十分に燃焼できない場合には、スラグ中に炭素源が残留し、スラグ中のFeOがこの炭素源によって還元され、スラグの酸素ポテンシャルが低下して脱燐反応を阻害する恐れがある。
また、特許文献2には、上底吹きの転炉型の精錬容器に装入した溶銑に脱燐用媒溶剤として生石灰を添加しつつ、酸素ガスを上吹きして脱燐処理する際に、炭素源を転炉型精錬容器の上方から添加すると共に、添加した炭素源と当量分の酸素ガスを吹き込み、炭素源の燃焼熱によって生石灰の滓化を促進させた脱燐処理方法が提案されている。しかしながら、この方法では、炭素源の添加量に比例して酸素ガスの添加量が増加するため、大量の炭素源を有効に活用しようとする場合には、酸素ガスの吹き込み時間が長くなり、脱燐設備の処理能力が低下する。更に、炭素源と脱燐用媒溶剤である生石灰とを、精錬容器の上方から同時に投入して添加するため、脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが同じ場所になるため、添加した炭素源によって脱燐反応が阻害される恐れがある。
特開平9−20912号公報 特開2002−69522号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、CaO系の脱燐用媒溶剤を用いて溶銑を脱燐処理する際に、脱燐反応を阻害することなく且つ脱燐処理能力を低下させることなく、溶銑の脱炭を抑制することの可能な脱燐処理方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、転炉型の精錬容器を用い、上吹きランスから酸素ガスを溶銑湯面に吹き付け、CaO系の脱燐用媒溶剤を使用して、種々の条件下で溶銑の脱燐試験を実施した。以下に、試験結果を説明する。
酸素ガスなどの気体酸素源またはミルスケールや鉄鉱石などの固体酸素源を用いて脱燐処理する際の脱燐反応は、下記の(1)式にしたがって進行する。
Figure 0004513340
この脱燐処理において、酸素ガスなどの気体酸素源または酸化鉄などの固体酸素源を酸素源として供給する理由は、(1)式の左辺第2項のFeOをスラグ中に生成させるためであるが、酸素ガスまたは酸化鉄などの酸素源を供給するので、下記の(2)式に示す脱炭反応も進行し、脱燐処理後の溶銑中の炭素濃度が低下する。
Figure 0004513340
そこで、熱余裕の補償手段として、溶銑へ炭素源を添加することにより、溶銑中の炭素濃度を増加させることを検討した。しかし、炭素源の添加方法が適切でない場合には、下記の(3)式に示す反応により、添加した炭素源が脱燐反応に必要なFeOを還元し、脱燐反応が阻害される恐れがある。つまり、(1)式の脱燐反応を進行させつつ、(3)式の還元反応が進行しないような効率的な加炭方法を採用する必要がある。
Figure 0004513340
本発明者等は、これに対処するために、上吹きランスから供給する酸素ガス及び炭素源をそれぞれ上吹きランスの別のノズル孔から供給し、精錬容器内の脱燐反応の場所と加炭反応の場所とを分離させることを検討した。その結果、以下の事象が判明した。
即ち、上吹きランスから吹き付けて供給する酸素ガスの溶銑湯面での衝突位置(「火点」と呼ぶ)でFeOを潤沢に生成させてP25 を形成させ、この火点に向けて粉体状のCaO系の脱燐用媒溶剤を吹き付けて添加すれば、P25 が潤沢に形成される場所にCaO系の脱燐用媒溶剤が直接供給されるため、(1)式に示す脱燐反応は効率良く進行することになる。つまり、粉体状のCaO系の脱燐用媒溶剤を酸素ガスと共に吹き付けて添加することで、火点を脱燐反応の主たる場所とすることができる。
一方、炭素源を酸素ガス供給用のノズル孔とは別のノズル孔から窒素ガス或いは希ガスを搬送用ガスとして吹き付け添加することで、炭素源は火点以外に供給され、その位置で加炭反応が進行するため、炭素源の添加による火点での脱燐反応への影響を極めて少なくすることができる。
つまり、粉体状のCaO系の脱燐用媒溶剤を酸素ガスと共に吹き付け添加し、且つ、炭素源を別のノズル孔から吹き付け添加することにより、加炭反応の主たる場所は火点以外の場所となり、脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが分離されるため、脱燐反応を効率的に進行させることができる。更に、炭素源は、火点以外に添加されるため酸素ガスによってほとんど燃焼することなく溶銑中に溶解するので、炭素源を燃焼させるための酸素ガスは必要とせず、供給する酸素ガス量を炭素源の添加量に応じて増加する必要がない。そのため、脱燐処理時間を延長させる必要もなく、脱燐処理能力を低下させることがない。尚、脱燐用媒溶剤及び炭素源などの固体をガスと共に吹き付けて浴面に添加することは「投射」とも呼ばれている。
また、試験を繰り返すうちに、炭素源の添加速度が、炭素源の添加歩留まり及び脱燐反応に影響を及ぼすことが分かった。炭素源は投射して添加する必要があることからその粒径が小さく、溶銑への溶解速度が速く、浸炭しやすいものの、炭素源の添加速度が溶銑トン当たり毎分2kg(以下「kg/min・t」と記す)を越えると、溶解速度に追いつかず、炭素源がスラグ中に残留してしまい、その結果、炭素源の歩留まりが低下してしまうことが分かった。また、この場合には、スラグ中に残留した炭素源がFeOを還元してしまうため、脱燐反応が悪化することも確認できた。
尚、本発明におけるCaO系の脱燐用媒溶剤とは、CaOを含有し、溶銑の脱燐処理が実施できるものであれば特にCaOの含有量に制約はないが、通常は、CaO単味またはCaOを50mass%以上含有し、必要に応じてその他の成分として滓化促進剤を含有するものである。また、本発明における酸素ガスとは、工業的に純酸素ガスと呼ばれるもので、体積%で数%程度の窒素ガスなどを含有するガスも本発明における酸素ガスに含まれるものとする。
本発明は、上記試験結果に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、中心孔と中心孔周囲の周孔とをその先端に有し、中心孔と周孔との噴射角度θが5°〜25°である上吹きランスを用い、前記中心孔及び前記周孔の何れか一方からCaO系の脱燐用媒溶剤を、精錬容器に収容された溶銑の浴面に向けて酸素ガスを搬送用ガスとして吹き付けると共に、前記中心孔及び前記周孔のうちの前記脱燐用媒溶剤が吹き付けられていない他方から炭素源を、窒素ガス或いは希ガスを搬送用ガスとして前記溶銑の浴面に向けて吹き付け、炭素源を酸素ガスの溶銑湯面での衝突位置とは別の場所に供給して脱燐処理することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1の発明において、前記炭素源の添加速度を2kg/min・t以下とすることを特徴とするものである。
本発明によれば、CaO系の脱燐用媒溶剤を酸素ガスと共に上吹きランスを介して吹き付けつつ、炭素源をCaO系の脱燐用媒溶剤とは異なる経路を介して上吹きランスから吹き付けて添加するので、精錬容器内の脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが分離され、脱燐反応を阻害することなく且つ脱燐処理能力を低下させることなく、溶銑を効率良く加炭すること、換言すれば、溶銑の脱炭を抑制することができる。その結果、従来に比較して格段に溶銑の熱余裕を高めることができ、次工程の転炉脱炭精錬では、溶銑の配合比率を低くしたり、マンガン鉱石の添加量を多くすることが可能となり、省資源、省エネルギーが達成されるのみならず、転炉脱炭操業の安定化が達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明に係る溶銑の脱燐処理方法を実施する際に用いた転炉型精錬設備の概略断面図、図2は、図1に示す上吹きランスの概略拡大断面図である。
図1に示すように、本発明に係る溶銑の脱燐処理方法を実施する上で最適な転炉型精錬設備1は、その外殻を鉄皮4で構成され、鉄皮4の内側に耐火物5が施行された炉本体2と、この炉本体2内に挿入され、上下方向に移動可能な上吹きランス3とを備えている。炉本体2の上部には、収容した溶銑15を精錬後に出湯するための出湯口6が設けられ、また、炉本体2の炉底には、撹拌用ガス19を吹き込むための底吹き羽口7が設けられている。この底吹き羽口7はガス導入管8と接続されている。
上吹きランス3には、酸素ガス配管9が接続されており、酸素ガス配管9には流量調節弁13が備えられており、酸素ガス配管9を介して任意の流量で上吹きランス3から炉本体2内に酸素ガスが供給されるようになっている。また、酸素ガス配管9は酸素ガス配管9Aに分岐しており、分岐した酸素ガス配管9Aは、CaO系の脱燐用媒溶剤17を収容するディスペンサー11に連結し、ディスペンサー11は酸素ガス配管9Bを介して酸素ガス配管9に連結している。即ち、ディスペンサー11内に供給された酸素ガスは、ディスペンサー11内に収容されたCaO系の脱燐用媒溶剤17の搬送用ガスとして機能し、酸素ガス配管9Bを経由して上吹きランス3の先端から、炉本体2内の溶銑浴面に向けて、CaO系の脱燐用媒溶剤17を吹き付けて添加することができるようになっている。酸素ガス配管9Aには流量調節弁13Aが配置されており、搬送用ガスとしての酸素ガスの流量は流量調節弁13Aによって調整されている。酸素ガス配管9から供給される酸素ガス流量、及び、酸素ガス配管9Aから供給される酸素ガス流量は、それぞれ独立して任意の流量で調整することができるようになっている。
また、上吹きランス3は、窒素ガス配管10Aを介して、炭素源18を収容するディスペンサー12と接続されており、ディスペンサー12は窒素ガス配管10と接続されている。即ち、ディスペンサー12内に供給された窒素ガスは、ディスペンサー12内の炭素源18の搬送用ガスとして機能し、窒素ガス配管10Aを経由して上吹きランス3の先端から、炉本体2内の溶銑浴面に向けて、炭素源18を吹き付けて添加することができるようになっている。窒素ガス配管10には、流量調節弁14が設けられており、搬送用ガスとしての窒素ガスの流量は流量調節弁14によって調整されている。この場合、窒素ガスに代えて、Arガスなどの希ガスを搬送用ガスとして利用することができる。炭素源18としては、コークス、石炭、黒鉛、木炭、チャーなどを用いることができる
上吹きランス3は、図2に示すように、円筒状のランス本体20と、このランス本体20の下端に溶接などにより接続された銅製のランスノズル21とで構成されており、ランス本体20は、外管22、中管23、内管24、最内管25の同心円状の4種の鋼管、即ち四重管で構成されている。窒素ガス配管10Aは最内管25に連結し、酸素ガス配管9は内管24に連結しており、従って、炭素源18が搬送用ガスと共に最内管25の内部を通って供給され、また、酸素ガス或いは酸素ガスを搬送用ガスとするCaO系の脱燐用媒溶剤17が最内管25と内管24との間隙を通って供給されるようになっている。内管24と中管23との間隙及び中管23と外管22との間隙は、冷却水の給排水流路となっている。
最内管25はランスノズル21のほぼ中心位置に配置された中心孔26と連結し、内管24は、中心孔26の周囲に複数個設置された周孔27に連通している。中心孔26は炭素源18を吹き込むためのノズルであり、周孔27は酸素ガスまたは酸素ガスを搬送用としてCaO系の脱燐用媒溶剤17を吹き込むためのノズルである。尚、窒素ガス配管10Aを内管24に連結し、酸素ガス配管9を最内管25に連結することで、中心孔26からは酸素ガスまたは酸素ガスを搬送用としてCaO系の脱燐用媒溶剤17を吹き込み、周孔27からは炭素源18を吹き込むこともできる。本発明を実施する上ではどちらでも構わない。また、図2に示すように、中心孔26及び周孔27は、その断面が縮小する部分と拡大する部分の2つの円錐体で構成された、所謂ラバールノズルの形状を採っているが、ストレート形状であってもよい。
但し、炉本体2内において脱燐反応の場所と加炭反応の場所とを分離するために、中心孔26と周孔27との噴射角度θ(「傾角」という)は、5°〜25°とすることが好ましい。傾角θが5°よりも小さくなると、中心孔26からの投射位置と周孔27からの投射位置とが干渉し合うため、脱燐反応の場所と加炭反応の場所とを分離することが困難になり、一方、傾角θが25°よりも大きくなると、周孔27からの投射の軌跡が炉本体2の側壁に当たることが生じ、円滑な脱燐処理が損なわれる恐れがあるからである。
このような構成の転炉型精錬設備1を用い、溶銑15に対して以下に示すようにして本発明に係る脱燐処理を実施する。
先ず、炉本体2内に溶銑15を装入する。用いる溶銑15としてはどのような組成であっても処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。脱珪処理とは、溶銑15に酸素ガス或いはミルスケールなどの酸化鉄を添加し、主として溶銑15中の珪素を除去する処理である。因みに、脱燐処理前の溶銑15の主な化学成分は、炭素:3.8〜5.0mass%、珪素:0.4mass%以下、硫黄:0.05mass%以下、燐:0.08〜0.3mass%程度である。但し、脱燐処理時に炉本体2内で生成されるスラグ16の量が多くなると脱燐効率が低下するので、炉本体2内のスラグ量を少なくして脱燐効率を高めるために、予め脱珪処理により、溶銑15中の珪素濃度を0.1mass%以下まで低減しておくことが好ましい。また、溶銑温度は1250〜1350℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
次いで、底吹き羽口7から窒素ガスなどの非酸化性ガスまたはArガスなどの希ガスを撹拌用ガス19として溶銑15中に吹き込みながら、上吹きランス3から溶銑15の浴面に向けてCaO系の脱燐用媒溶剤17を、酸素ガスを搬送用ガスとして吹き付けて供給し、溶銑15の脱燐処理を開始する。
この場合、CaO系の脱燐用媒溶剤17としては、生石灰粉を単体で使用することができる。生石灰粉にアルミナ粉や蛍石などを滓化促進剤として加えてもよいが、本発明においては、脱燐用媒溶剤17を酸素ガスと共に浴面に吹き付けて添加するので、生石灰粉単体であっても十分に滓化するので、アルミナ粉や蛍石などの滓化促進剤は用いなくても十分に脱燐処理することができる。特に、スラグ16からの弗素の溶出量を抑えて環境を保護する観点から、蛍石などの弗素含有物質は脱燐用媒溶剤17として使用しないことが好ましい。但し、弗素が不純物成分として不可避的に混入した物質については使用しても構わない。
底吹き羽口7から吹き込まれた撹拌用ガス19によって溶銑15は攪拌され、浴面に吹き付けられた脱燐用媒溶剤17は溶融し、スラグ16を形成し、溶銑15の脱燐反応が進行する。
この脱燐処理中、上吹きランス3から炭素源18を吹き付け添加する。炭素源18の添加速度は、高い添加歩留まりを確保するために2kg/min・t以下とすることが好ましい。また、炭素源18の添加開始時期は、炭素源18が溶銑15中に溶解するための時間が必要であることから、脱燐処理の末期は好ましくないものの、所定量の炭素源18を2kg/min・t以下の添加速度で添加できるならば、何時であっても構わない。炭素源18の添加量は、脱燐処理前の溶銑中の炭素濃度に応じて調整するが、最大でも溶銑トン当たり10kg程度で十分である。溶銑15における炭素の飽和濃度以上には加炭しないので、過剰に添加しても歩留まりの悪化を招くだけである。
脱燐処理時の酸素源が気体の酸素ガスのみでは溶銑温度が上昇し過ぎて脱燐反応が阻害される場合もあるので、必要に応じて固体酸素源としてミルスケールや鉄鉱石などの酸化鉄を添加してもよい。酸素ガスの添加量と固体酸素源の添加量との比は、溶銑15中の珪素濃度、燐濃度、炭素濃度などに応じて適宜変更することができる。また、脱燐用媒溶剤17の添加量は、溶銑15中の珪素濃度及び燐濃度に応じて変更することとするが、スラグ16の塩基度(CaO/SiO2 )が2以上の範囲であるならば、最大でも溶銑トン当たり40kg程度であれば十分である。また、ランス高さは特に限定する必要はなく、スラグ16の生成量や上吹き酸素ガスの流量などを勘案して設定すればよい。
以上説明したように、本発明に係る溶銑の脱燐処理方法では、CaO系の脱燐用媒溶剤17を酸素ガスと共に上吹きランス3を介して溶銑15の浴面に吹き付けつつ、炭素源18をCaO系の脱燐用媒溶剤17とは異なる経路を介して上吹きランス3から吹き付けて添加するので、脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが分離され、脱燐反応を阻害することなく且つ脱燐処理能力を低下させることなく、溶銑15を効率良く加炭することができる。その結果、溶銑15の熱余裕を高めることができ、次工程の転炉脱炭精錬では、溶銑15の配合比率を低くしたり、マンガン鉱石の添加量を多くすることが可能となり、省資源、省エネルギーが達成されるのみならず、転炉脱炭操業の安定化が達成される。また、蛍石などの弗素含有物質を脱燐用媒溶剤17として使用しない場合には、脱燐処理で生成したスラグ16を再利用する際に、スラグ16からの弗素の溶出を考慮する必要がなく、スラグ16の再利用を促進させることができる。
尚、上記説明では、脱燐処理を行う精錬容器として転炉型精錬設備1を例として説明したが、精錬容器は転炉型精錬設備1に限るものではなく、トーピードカーや溶銑鍋などの溶銑保持容器であっても上記に沿って本発明を実施することができる。
高炉から出銑された溶銑を、溶銑鍋内で脱珪処理し、次いで、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理した後、図1に示す容量が300トンの転炉型精錬設備に装入して本発明の脱燐処理を実施(本発明例)した。
脱燐処理は、脱燐用媒溶剤として生石灰粉のみを用い、上吹きランスの周孔から酸素ガスを搬送用ガスとして生石灰粉を溶銑浴面に吹き付けると共に、上吹きランスの中心孔から窒素ガスを搬送用ガスとしてコークス粉を溶銑浴面に吹き付けて実施した。また、酸素ガス配管及び窒素ガス配管の上吹きランスへの連結箇所を変更し、上吹きランスの中心孔から酸素ガスを搬送用ガスとして生石灰粉を溶銑浴面に吹き付けると共に、上吹きランスの周孔から窒素ガスを搬送用ガスとしてコークス粉を溶銑浴面に吹き付けた脱燐処理も実施した。上吹きランスの傾角は5°〜25°の範囲で行った。また、脱燐処理中、底吹き羽口から窒素ガスを0.07〜0.12Nm3 /min・tの供給量で吹き込み、溶銑を攪拌した。処理前後の溶銑温度は1280〜1350℃の範囲に調整した。
また、比較のために、炭素源を添加せず、脱燐用媒溶剤としての生石灰のみを酸素ガスを搬送用ガスとして上吹きランスの中心孔から吹き込んだ脱燐処理も実施(比較例)した。比較例におけるその他の操業条件は、本発明例に準じた。本発明例1〜9及び比較例1〜5における操業条件及び操業結果を表1に示す。
Figure 0004513340
図3に、本発明例及び比較例における脱炭量と脱燐量との相関を示す。図3に示すように、本発明例1〜9は、比較例1〜5と比較して、脱燐量はほぼ同等であり、且つ脱炭量が大幅に少なくなることが分かった。また、吹錬時間(脱燐処理時間に相当)及び酸素原単位は、表1に示すように、炭素源を添加していない比較例と比べて同等であり、炭素源の添加による酸素ガス供給量の増加及び処理時間延長の必要が全くないことが分かった。
このように、本発明例では、脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが分離されるので、脱燐反応を阻害することなく、効率良く溶銑の加炭を行うことができることが確認できた。
図4は、本発明例において炭素源の添加速度と炭素源の歩留まりとの関係を示す図である。図4からも明らかなように、炭素源の添加速度を2kg/min・t以下とした場合には、炭素源の歩留まりが高くなることが分かった。また、表1に示すように、炭素源の添加速度を2kg/min・t以下とした場合には、処理後の溶銑の燐濃度が低くなることも確認できた。これは、炭素源の添加速度が大きすぎると、炭素源の溶解速度に追いつかず、炭素源がスラグ中に残留してしまい、炭素源の歩留まりが低下してしまうためである。また、炭素源がスラグ中に残留することにより、スラグ中に残留した炭素源がFeOを還元してしまうため、脱燐反応が悪化するためである。
また、表1からも明らかなように、本発明例において上吹きランスの周孔から炭素源を投射した場合と、中心孔から炭素源を投射した場合とで、操業結果に特に差異はなく、従って、脱燐用媒溶剤を吹き込むノズル孔と炭素源を吹き込むノズル孔とが中心孔と周孔とに区分されていれば、どちらのノズル孔から吹き込んでも構わないことが確認できた。
本発明に係る溶銑の脱燐処理方法を実施する際に用いた転炉型精錬設備の概略断面図である。 図1に示す上吹きランスの概略拡大断面図である。 本発明例及び比較例における脱炭量と脱燐量との相関を示す図である。 本発明例において、炭素源の添加速度と炭素源の歩留まりとの関係を示す図である。
符号の説明
1 転炉型精錬設備
2 炉本体
3 上吹きランス
4 鉄皮
5 耐火物
6 出湯口
7 底吹き羽口
8 ガス導入管
9 酸素ガス配管
10 窒素ガス配管
11 ディスペンサー
12 ディスペンサー
13 流量調節弁
14 流量調節弁
15 溶銑
16 スラグ
17 脱燐用媒溶剤
18 炭素源
19 撹拌用ガス
20 ランス本体
21 ランスノズル
22 外管
23 中管
24 内管
25 最内管
26 中心孔
27 周孔

Claims (2)

  1. 中心孔と中心孔周囲の周孔とをその先端に有し、中心孔と周孔との噴射角度θが5°〜25°である上吹きランスを用い、前記中心孔及び前記周孔の何れか一方からCaO系の脱燐用媒溶剤を、精錬容器に収容された溶銑の浴面に向けて酸素ガスを搬送用ガスとして吹き付けると共に、前記中心孔及び前記周孔のうちの前記脱燐用媒溶剤が吹き付けられていない他方から炭素源を、窒素ガス或いは希ガスを搬送用ガスとして前記溶銑の浴面に向けて吹き付け、炭素源を酸素ガスの溶銑湯面での衝突位置とは別の場所に供給して脱燐処理することを特徴とする、溶銑の脱燐処理方法。
  2. 前記炭素源の添加速度を2kg/min・t以下とすることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱燐処理方法。
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