JP2001172708A - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents
溶銑の予備処理方法Info
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Abstract
が良く、且つ、溶銑の予備処理時間を延長させず、迅速
に溶銑の炭素濃度を上昇させて溶銑の熱源を確保する。 【解決手段】 気体酸素源若しくは固体酸素源6を溶銑
2に供給して溶銑の脱珪精錬又は脱燐精錬を行う際に、
溶銑中の炭素濃度が低下して4.4wt%以下となった
時点から、炭素純分で溶銑1トン当り3〜6kgの炭材
3を溶銑に添加して溶銑の炭素濃度を高める。その際
に、炭材を直径が1mm以下の微粉状とすること、及び
炭材と同時に石灰源4を添加することが好ましい。
Description
を十分に含有する予備処理溶銑を製造する溶銑の予備処
理方法に関するものである。
量の削減を目的に、高炉から出銑された溶銑に対して脱
珪精錬、脱燐精錬、及び脱硫精錬を行う予備処理が、転
炉精錬の事前処理として実施されている。これらの予備
処理の中で脱珪精錬及び脱燐精錬は、溶銑に酸素ガス等
の気体酸素源や鉄鉱石、スケール等の固体酸素源を供給
して、溶銑中の珪素及び燐と酸素とを反応させ、珪素及
び燐を除去するものである。
脱炭反応が進行してしまう。この結果、次工程の転炉精
錬では、炭素の燃焼による発熱量が減少して熱源不足と
なり、熱源を確保するために溶銑配合比を高めたり、又
は、Fe−Si合金や硫黄濃度の少ない黒鉛を発熱剤と
して添加したりする必要が発生し、転炉精錬に支障を招
いていた。この問題点を解決するため、溶銑の予備処理
中に微粉炭やコークス等の炭材を添加して炭素を補う方
法が多数提案されている。
には、CaOを主成分とするフラックスを溶銑表面に上
置きした後、脱珪フラックスを搬送ガスによって溶銑中
に吹き込みつつ、溶銑表面に気体酸素源若しくは固体酸
素源を供給して、溶銑の脱珪精錬・脱燐精錬を行う際
に、脱珪フラックスと共に又は脱珪反応完了後に、炭材
を搬送ガスにより溶銑中に吹き込んで溶銑の炭素濃度を
高める予備処理方法が開示されている。
吹き機能を有する転炉型精錬炉に溶銑を注入した後、転
炉滓を主体とする精錬剤と炭材とを添加し、次いで、底
吹きガス攪拌を行いつつ酸素ガスを上吹きして、溶銑の
脱燐精錬を行うと共に溶銑の炭素濃度を高める溶銑の予
備処理方法が開示されている。
溶銑表面に酸素ガスを吹き込むか又は固体酸素源を添加
しつつ、溶銑中に予備精錬用フラックスを吹き込んで精
錬反応を行う際に、予備精錬用フラックスの吹き込み完
了後、又は完了の直前のフラックス吹き込みが80%完
了した時点で炭材を吹き込み、溶銑の炭素濃度を高める
予備処理方法が開示されている。
材が溶銑中に溶解して溶銑の炭素濃度が上昇する速度
(以下、「加炭速度」と記す)は、炭材の形状や添加方
法を同一条件としても、溶銑中の炭素濃度及び溶銑温度
によって変化する。具体的には、加炭速度は溶銑の炭素
濃度とその時の溶銑の飽和炭素濃度との差に比例する。
即ち、炭素濃度が飽和炭素濃度よりも低い時期には加炭
速度は速いが、飽和炭素濃度に近づけば加炭速度は遅く
なる。又、飽和炭素濃度に近い時期に炭材を添加して
も、溶銑の炭素濃度の上昇には寄与することはなく、炭
材は酸素源と反応して却って予備処理の精錬反応を阻害
するのみで、炭材の歩留り低下を招く。尚、飽和炭素濃
度は溶銑温度により決まる値であり、溶銑温度をT
(℃)とした時、例えば(1)式で与えられる(第3版
鉄鋼便覧「I基礎」丸善、p82)。 飽和炭素濃度=1.34+2.54×10-3×T …(1)
の炭素濃度を迅速に上昇させるには、炭材の添加時期と
その添加量が重要であるが、上記従来技術には予備処理
後半の添加が好ましいことが定性的には記載されている
が、溶銑の炭素濃度との関係に基づいた定量的な記載は
なく、従って、必ずしも歩留り良く且つ迅速な加炭速度
で処理しているとは言い難い。
その目的とするところは、炭材の歩留りが良く、且つ、
溶銑の予備処理時間を延長させず、迅速に溶銑の炭素濃
度を上昇させることができる予備処理方法を提供するこ
とである。
予備処理方法は、気体酸素源若しくは固体酸素源を溶銑
に供給して溶銑の脱珪精錬又は脱燐精錬を行う際に、溶
銑中の炭素濃度が4.4wt%以下となった時点から、
炭素純分で溶銑1トン当り3〜6kgの炭材を溶銑に添
加して溶銑の炭素濃度を高めることを特徴とするもので
ある。
第1の発明において、炭材を直径が1mm以下の微粉状
とすることを特徴とするものである。
第1又は第2の発明において、炭材と同時に石灰源を添
加することを特徴とするものである。
処理設備を用いて脱珪精錬を行い、その脱珪精錬中に、
炭材として直径が1mm以下の微粉炭を使用して、炭材
添加時の溶銑の炭素濃度及び炭材添加量を変更した試験
操業を実施し、炭材の歩留りを調査した。調査結果を図
1に示す。図1は、炭材添加時の溶銑中炭素濃度と炭材
歩留りとの関係を示す図であり、図1に示す結果は、処
理前の溶銑温度を1320〜1360℃とし、炭材添加
量を炭素純分で溶銑1トン当り3〜6kg(以下、「k
g/t」と記す)とした試験操業の結果である。図1に
示すように、炭材の歩留りは、溶銑中炭素濃度の減少と
共に増加し、溶銑の炭素濃度が4.4wt%以下になる
と飽和して65〜90%程度になることが分かった。
尚、炭材添加量が炭素純分で6kg/tを越えた試験操
業では、飽和炭素濃度に対して炭材添加量が過剰とな
り、炭材の歩留りは65%以上を安定して達成すること
はできなかった。逆に、炭材添加量が炭素純分で3kg
/t未満の試験操業では、飽和炭素濃度に対して炭材添
加量が少なすぎて、炭素濃度を十分に高めることはでき
なかった。
%以下となった時点で炭材の添加を開始し、且つ、炭材
添加量を炭素純分で3〜6kg/tとするので、65%
以上の高い炭材歩留りで溶銑の炭素濃度を上昇させるこ
とができる。
に溶銑の炭素濃度を上昇させることができ、更には迅速
に溶解することで歩留り向上にも寄与するので、直径が
1mm以下の微粉状の炭材を使用することが好ましい。
又、石炭やコークス等の安価な炭材には硫黄が1wt%
前後含まれているので、安価な炭材の添加により溶銑の
硫黄濃度が上昇する。これを防止するために、炭材と同
時に生石灰等の石灰源を添加することが好ましい。生石
灰は溶銑の脱硫剤として作用して、炭材による硫黄濃度
の上昇を抑えることができるからである。
する。図2は、本発明の実施の形態の1例を示す図であ
って、本発明を実施した溶銑の予備処理設備の概略図で
ある。
された溶銑2を収納した取鍋型の溶銑保持容器8は、台
車9に搭載されて予備処理設備1に搬入されている。予
備処理設備1には、上吹き酸素ランス10と炭材吹き込
みランス11とインジェクションランス12とが設置さ
れており、上吹き酸素ランス10、炭材吹き込みランス
11、及びインジェクションランス12は、溶銑保持容
器8内を上下移動可能となっている。上吹き酸素ランス
10からは酸素ガス等の気体酸素源を溶銑2に吹き付け
ることができる。
4とリフトタンク17とディスペンサー20、及び、貯
蔵タンク15とリフトタンク18とディスペンサー20
とから構成される2系統の原料供給設備と接続されてお
り、窒素ガスを搬送ガスとして、貯蔵タンク14に収納
された炭材3及び貯蔵タンク15に収納された生石灰4
を溶銑2中に吹き込み添加することができる。又、炭材
吹き込みランス11の先端を溶銑2の直上に配置するこ
とで、炭材3及び生石灰4を窒素ガスと共に溶銑2の表
面に投射して添加することもできる。炭材3は、石炭や
コークス等を用いれば良く、その直径が1mm以下の微
粉状のものとすることが好ましい。尚、貯蔵タンク14
内の炭材3及び貯蔵タンク15内の生石灰4は、リフト
タンク17、18にて、それぞれ独立に添加量及び添加
時間を制御して吹き込むことができる。
ク13とリフトタンク16とディスペンサー19とから
構成される原料供給設備と接続されており、窒素ガスを
搬送ガスとして、貯蔵タンク13に収納された精錬用フ
ラックス7を溶銑2中に吹き込み添加することができ
る。尚、インジェクションランス12から窒素ガスのみ
吹き込み、溶銑2を攪拌することもできる。
1、22、23と、切り出し装置24、25、26と、
原料搬送装置27と、シュート28とからなる原料供給
設備が設置されており、この原料供給設備を用いて、ホ
ッパー21内の生石灰4、ホッパー22内の蛍石5、及
びホッパー23内の鉄鉱石やミルスケール等の固体酸素
源6を、溶銑保持容器8内に上置き添加することができ
る。
用いた本発明による溶銑の処理方法を説明する。先ず、
予備処理が脱珪精錬の場合について説明する。
き添加するか、又は上吹き酸素ランス10から酸素ガス
等の気体酸素源を吹き付けるか、若しくは固体酸素源6
を上置き添加し且つ上吹き酸素ランス10から気体酸素
源を吹き付けると共に、インジェクションランス12か
ら窒素ガスを吹き込んで溶銑2を攪拌させ、溶銑中の珪
素と固体酸素源6又は気体酸素源とを反応させて脱珪精
錬を行う。脱珪精錬の進行に伴い、溶銑中の炭素も固体
酸素源6又は気体酸素源と反応して脱炭され、溶銑2の
炭素濃度が徐々に低下する。
を採取して溶銑中の炭素濃度を随時測定し、溶銑2の炭
素濃度が4.4wt%以下であることが確認された時点
から、炭材吹き込みランス11を介して炭材3を溶銑2
に添加する。炭材3は、溶銑2の内部に吹き込んで添加
しても、又、溶銑2の表面に投射して添加してもどちら
でも良い。炭材3の添加量は炭素純分で3〜6kg/t
とする。尚、溶銑2中の炭素濃度は排ガス中のCO、C
O2 のバランスから推定することもできる。
内の生石灰4を炭材3と共に炭材吹き込みランス11を
介して溶銑2に添加することが好ましい。そして、所定
量の炭材3の添加が完了したならば、脱珪精錬を終了す
る。但し、所定量の炭材3を添加完了した後も溶銑2の
珪素濃度が所定値まで低下していない場合には、珪素濃
度が所定値となるまで脱珪精錬を継続する。
錬用フラックス7としてインジェクションランス12を
介して溶銑2中に吹き込んでも良く、又、生石灰4をシ
ュート28を介して予め上置き添加しても良い。
説明する。脱燐精錬の場合も本質的には脱珪精錬と同一
であるが、脱燐反応を促進させるために、固体酸素源6
に加えて生石灰4及び蛍石5等を上置き添加し、更に、
インジェクションランス12から窒素ガスを搬送ガスと
して精錬用フラックス7を吹き込むことが好ましい。精
錬用フラックス7としては、それぞれ粉状の生石灰4、
蛍石5、固体酸素源6、及びこれらの混合物を用いるも
のとする。そして、上吹き酸素ランス10から気体酸素
源を吹き付けて脱燐精錬を実施する。溶銑2は窒素ガス
により攪拌し、溶銑中の燐と固体酸素源6又は気体酸素
源とが反応して脱燐反応が進行する。又、生石灰4は脱
燐剤として有効であり、生石灰4の添加により脱燐反応
が促進される。蛍石5は生石灰4の粘性調整剤として必
要に応じて添加する。
素源と反応して脱炭され、溶銑2の炭素濃度が徐々に低
下するので、上述した脱珪精錬の場合に準じて、炭材3
を溶銑2に添加する。但し、脱硫に十分な量の生石灰4
が予め添加されている場合には、炭材3と共に生石灰4
を添加する必要はない。そして、所定量の炭材3の添加
が完了したならば、脱燐精錬を終了する。但し、所定量
の炭材3を添加完了した後も溶銑2の燐濃度が所定値ま
で低下していない場合には、燐濃度が所定値となるまで
脱燐精錬を継続する。
中の珪素及び燐を酸化させて除去する点において共通す
るので、脱燐精錬においても脱珪が進行するし、又、脱
珪精錬においてもその精錬末期には一部脱燐が進行す
る。従って、上記説明では脱珪精錬と脱燐精錬とに分け
ているが、この区分は精錬の主たる目的を表示するもの
であり、脱珪が伴う脱燐精錬も、又、脱燐が伴う脱珪精
錬も、当然本発明に含まれるものとする。又、脱珪精錬
と脱燐精錬とを連続して行う場合にも、上記に準じて溶
銑2の炭素濃度が4.4wt%以下になった時点から炭
材3を溶銑2に添加すれば良い。
ことで、溶銑2の脱珪精錬又は脱燐精錬を行いつつ、6
5%以上の高い炭材3の歩留りを確保して、溶銑2の炭
素濃度を迅速に上昇させることが可能となる。その結
果、その後の転炉脱炭精錬では熱源が確保され、状況に
応じた柔軟な精錬を行うことが可能となる。
用いた予備処理設備1について説明したが、溶銑保持容
器8は上記の取鍋型に限るものではなくトーピードカー
であっても、本発明は上記に準じて何ら支障なく実施で
きる。又、図2に示す予備処理設備1の各装置も上記に
限るものではなく、例えばインジェクションランス12
が炭材吹き込みランス11を兼ねても良く、その機能が
上記の説明を満足するものであれば、どのような型式と
しても良い。更に、予備処理設備1は上記の設備に限る
ものではなく、上下吹き機能を有する転炉型精錬炉とし
ても良い。転炉型精錬炉の場合には、インジェクション
ランス12の代りに底吹きガスを用い、炭材3、生石灰
4、固体酸素源6等の原料は、全てを上置き添加として
も、一部を底吹きインジェクションとしても、どちらで
も良い。
出銑された200トンの溶銑を脱燐精錬した実施例を説
明する。脱燐精錬は固体酸素源として鉄鉱石を5200
kg上置きし、気体酸素源として酸素ガスを吹き付け、
インジェクションランスから窒素ガスを吹き込んで行っ
た。精錬前の溶銑温度は1335℃で、炭素濃度は4.
68wt%、燐濃度は0.105wt%、硫黄濃度は
0.024wt%であった。
素濃度は0.28wt%低下して4.4wt%となった
ので、炭材吹き込みランスから溶銑中に4.5kg/t
の微粉炭を炭材として溶銑中に吹き込み添加した。その
際、微粉炭の吹き込みと同時に19.0kg/tの生石
灰を溶銑中に吹き込み添加した。使用した微粉炭は、炭
素純分が89wt%で、直径が1mm以下のものであ
り、微粉炭の炭素純分当りの添加量は4kg/tとな
る。
時点で微粉炭及び生石灰の吹き込みを完了すると共に、
酸素ガスの吹き付けも停止して脱燐精錬を終了した。酸
素ガスの使用量は1040Nm3 となった。脱燐精錬終
了時の溶銑の炭素濃度は脱燐精錬前よりも0.22wt
%低下して、4.46wt%となり、燐濃度は0.01
5wt%、硫黄濃度は0.015wt%、溶銑温度は1
315℃であった。
す。図3には、微粉炭を添加せずに、その他の条件を実
施例と同一とした従来例における炭素濃度の推移を合せ
て示す。但し、従来例における脱燐精錬前の溶銑の炭素
濃度は4.65wt%で、溶銑温度は1337℃であっ
た。図3に示すように、微粉炭を添加しない従来例で
は、脱燐精錬後の炭素濃度は、脱燐精錬前に比べて0.
53wt%減少して、4.12wt%となった。微粉炭
を添加しない場合には、同様に炭素濃度が減少するもの
として実施例における微粉炭の歩留りを(2)式により
算出すると、歩留りは77%となった。尚、(2)式に
おいてαは微粉炭の歩留りである。 α=(0.53−0.22)×1000/(4.5×0.89)…(2) 又、微粉炭を4.5kg/t吹き込んだにもかかわら
ず、生石灰を吹き込んだことにより、溶銑の硫黄濃度は
脱燐精錬前よりも低下していた。
燐精錬において、65%以上の高い炭材の歩留りで、溶
銑の炭素濃度を迅速に上昇させることが可能となる。そ
の結果、溶銑の熱源が確保され、脱炭吹錬では状況に応
じた柔軟な精錬を行うことが可能となり、多大な工業的
効果がもたらさせる。
関係を調査した結果を示す図である。
である。
例と比較して示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 気体酸素源若しくは固体酸素源を溶銑に
供給して溶銑の脱珪精錬又は脱燐精錬を行う際に、溶銑
中の炭素濃度が4.4wt%以下となった時点から、炭
素純分で溶銑1トン当り3〜6kgの炭材を溶銑に添加
して溶銑の炭素濃度を高めることを特徴とする溶銑の予
備処理方法。 - 【請求項2】 前記炭材を直径が1mm以下の微粉状と
することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の予備処理
方法。 - 【請求項3】 前記炭材と同時に石灰源を添加すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶銑の予備
処理方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP35388099A JP4863334B2 (ja) | 1999-12-14 | 1999-12-14 | 溶銑の予備処理方法 |
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KR101053970B1 (ko) * | 2004-09-22 | 2011-08-04 | 주식회사 포스코 | 탄소 함량이 제어되는 용강 제조 방법. |
KR101253918B1 (ko) | 2011-06-10 | 2013-04-16 | 주식회사 포스코 | 질소저감 전로 취련방법 |
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