JP3470599B2 - 溶銑脱珪方法 - Google Patents

溶銑脱珪方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は高炉溶銑の脱珪方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高炉溶銑の溶銑予備処理として高
炉鋳床やトーピードカーにおける脱珪処理が行われてい
る。通常の高炉溶銑のSiレベルは0.3〜0.5wt
%程度であり、鋳床やトーピードカーで行われる従来の
脱珪処理では、これを0.2wt%前後のSiレベルま
で低減させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来から溶銑中のSi
量が低い方が精錬工程における脱燐効率を高めるのに有
利であることは定性的には知られているが、従来の認識
では脱燐前の溶銑中Si量の低減化による効果は脱燐効
率が漸増する程度であり、溶銑中のSiレベルが0.2
wt%前後まで低減されていれば必要な脱燐効率が得ら
れると考えられていた。
【0004】これに対して本発明者らは、脱燐前の溶銑
中Siの含有レベルを従来技術よりも1桁低いレベル
(0.07wt%以下)とすることにより、飛躍的に高
い脱燐効率が得られることを見い出した。図5は、本発
明者らが脱燐前の溶銑中のSi量が脱燐効率に及ぼす影
響を調べた結果を示しており、これによれば脱燐前の溶
銑中のSi量が0.07wt%以下になると、スラグの
高塩基度化により脱燐効率の指標となる燐分配Lp(=
(wt%P)/[wt%P],(wt%P):スラグ中
のP濃度,[wt%P]:溶銑中のP濃度)が急激に上
昇し、脱燐効率の顕著な向上が認められる。また、脱燐
効率は溶銑中のSi量が低減するにしたがって高くな
り、溶銑中Si量が略0.03wt%以下で最も高い脱
燐効率が得られている。したがって、脱燐前の溶銑中S
i量を上記の極低Siレベルまで低減させておけば高い
脱燐効率が得られ、効率的且つ経済的な溶銑精錬が可能
となることが判った。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、脱燐前の溶銑を
上記のような極低レベルまで低減させる具体的な方法に
ついて検討した結果、従来行なわれているような鋳床
(鋳床脱珪)やトーピードカーにおける脱珪処理では脱
珪酸素効率が低いため、溶銑中Si量を上記の極低レベ
ルまで低減させることが事実上困難であること、これに
対して高炉溶銑を受銑した取鍋(高炉溶銑鍋や装入鍋)
内で溶銑を撹拌しつつ脱珪処理する方法では高い脱珪酸
素効率が得られ、これにより溶銑中Siを上記のような
極低レベルまで短時間で効率的に且つ安定的に脱珪する
ことができ、しかもこの方法によれば、処理後の溶銑温
度を維持、安定化する上でも極めて有利であることが判
った。
【0006】また、このような取鍋を用いた脱珪処理に
おいては、気体酸素を溶銑に上吹きするとともに、取鍋
内での溶銑の深さHと取鍋の内径Dの比H/Dを特定の
範囲とすることにより、特に優れた脱珪酸素効率が得ら
れることも判った。
【0007】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 高炉溶銑を取鍋に受銑後、該取鍋内の溶銑を撹拌し
つつ脱珪処理する溶銑脱珪方法であって、取鍋内に脱珪
材として少なくとも気体酸素を供給するとともに、該気
体酸素の全量を溶銑に対して上吹きし、溶銑中に撹拌ガ
スである不活性ガスを固体酸素源及び/又は造滓材から
なる粉体とともに吹き込むことを特徴とする溶銑脱珪方
法。 [2] 高炉溶銑を高炉鋳床で脱珪処理し、該脱珪処理され
た溶銑を取鍋に受銑後、該取鍋内で溶銑を撹拌しつつ脱
珪処理する溶銑脱珪方法であって、取鍋内に脱珪材とし
て少なくとも気体酸素を供給するとともに、該気体酸素
の全量を溶銑に対して上吹きし、溶銑中に撹拌ガスであ
る不活性ガスを固体酸素源及び/又は造滓材からなる粉
体とともに吹き込むことを特徴とする溶銑脱珪方法。
【0008】[3] 上記[1]または[2]の溶銑脱珪方法にお
いて、取鍋内に供給される気体酸素及び/又は固体酸素
源の供給量の調整により溶銑温度の調整を行うことを特
徴とする溶銑脱珪方法。
【0009】
【0010】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの溶銑脱珪方
法において、取鍋内での溶銑の深さHと取鍋の内径Dの
比H/Dを0.8〜1.2にして脱珪処理を行うことを
特徴とする溶銑脱珪方法。[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの溶銑脱珪方法において、
Si濃度が0.4wt%以下の溶銑を、0.2wt%以
下のSi濃度まで脱珪処理することを特徴とする溶銑脱
珪方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を説明する。
本発明は高炉溶銑を取鍋に受銑後、該取鍋内の溶銑を撹
拌しつつ脱珪処理する溶銑の脱珪方法である。ここで、
本発明法が実施される取鍋には、高炉溶銑を高炉鋳床を
経て直接受銑する所謂高炉鍋(溶銑鍋)や、転炉等への
溶銑装入を行うため高炉鍋から溶銑が移される所謂装入
鍋等が含まれる。また、所謂トーピードは本発明では使
用できないが、高炉鍋や装入鍋と類似の溶銑保持形状を
有する鍋であれば、本発明法が対象とする取鍋として使
用可能である。したがって、本発明法による脱珪処理
は、これら高炉鍋、装入鍋等の取鍋の少なくとも何れか
で実施されればよい。
【0012】取鍋内で行う脱珪処理は、その溶銑保持形
状のために溶銑を十分に撹拌でき、このため上述した鋳
床やトーピードによる脱珪工程に較べて高い脱珪効率が
得られる。また、鋳床脱珪等の従来法は脱珪効率が低い
だけでなく、脱珪材としてミルスケール等の固体酸素源
(以下、“固酸”という)を用いるため溶銑温度が低下
するという問題があるが、取鍋内で行う脱珪処理では脱
珪材として気体酸素(以下、“気酸”という)を供給す
ることができるため、溶銑温度の維持、安定化が容易で
あり、且つ固酸の供給も併用できるために溶銑温度の調
整も容易である。
【0013】図1は、取鍋内での脱珪処理(脱珪材:気
酸)と高炉鋳床での脱珪処理(脱珪材:固酸)を実施し
た場合について、それらの脱珪酸素効率を脱珪材である
酸素の供給量(但し、高炉鋳床脱珪の場合は脱珪材が固
酸であるため、気酸に換算した酸素供給量)との関係で
示したもので、高炉鋳床脱珪では脱珪酸素効率が元々低
い上に、酸素供給量が1.5Nm3/tを超えると脱珪
酸素効率がさらに低下しており、このような脱珪酸素効
率では脱珪幅ΔSi(脱珪量):0.2wt%以上の脱
珪処理は困難である。これに対して取鍋内での脱珪処理
では、酸素供給量に拘りなく約70%程度の脱珪酸素効
率が得られており、このため0.2wt%を超えるよう
な脱珪幅ΔSiであっても、短時間且つ効率的な脱珪処
理が可能である。
【0014】図2は、取鍋内での脱珪処理(脱珪材:気
酸)と高炉鋳床での脱珪処理(脱珪材:固酸)を実施し
た各場合について、脱珪幅ΔSi(但し、高炉鋳床脱珪
において脱珪酸素効率40%が得られる脱珪幅ΔSiの
範囲)と脱珪処理後の溶銑温度との関係を示したもの
で、高炉鋳床での脱珪処理の場合には、脱珪材として固
酸を用いるため脱珪幅ΔSiが大きくなるにしたがい溶
銑温度が低下している。
【0015】これに対して、取鍋内での脱珪処理の場合
には、脱珪材として気酸を用いるため脱珪幅ΔSiが大
きくなるにしたがって溶銑温度が上昇している。したが
って、取鍋内での脱珪処理では、溶銑のハンドリングや
下工程の精錬に影響するような溶銑温度の低下を生じる
恐れは全くなく、溶銑温度の確保が極めて容易であり、
また、必要に応じて気酸供給と固酸供給を併用すること
により、溶銑温度を調整して所望のレベルに安定化させ
ることも容易である。
【0016】また、出銑された溶銑中のSi量が比較的
高い場合には高炉鋳床での脱珪処理を実施してから取鍋
内での脱珪処理を実施することもできる。特に、溶銑の
脱珪処理では脱珪幅(Δ%Si)が大きくなるとスラグ
フォーミングが顕著になり、事実上操業が困難になる場
合がある。したがって、全脱珪幅が比較的大きい場合に
は、鋳床脱珪を実施した後、取鍋内脱珪を実施し、1つ
の脱珪工程での脱珪幅を小さくすることによりスラグフ
ォーミングを抑制することが好ましい。また、このよう
に脱珪処理を2工程で行い、1つの工程での脱珪幅を小
さくすることにより、特に取鍋内脱珪後の除滓時間が短
くて済むため有利である。
【0017】先に述べたように取鍋内での脱珪処理は、
脱珪材として気酸を供給することにより脱珪効率が高め
られ且つ溶銑温度の低下が防止される点に大きな特徴が
あり、したがって、この脱珪処理では脱珪材の一部また
は全部として気酸を用いる。なお、本発明で使用する気
体酸素(気酸)としては、酸素ガス、酸素含有ガスのい
ずれでもよい。この気酸の取鍋内への供給方法として
は、上吹ランスで上方から溶銑に吹き付ける方法が採用
される。
【0018】また、取鍋内での脱珪処理の他の特徴は溶
銑の十分な撹拌が得られる点にあり、この溶銑の撹拌は
溶銑内に、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性
ガスを吹き込むことにより実現できる。その具体的な方
法としては、上述したインジェクションランスを通じて
ガスを溶銑内に吹き込む方法、吹込みノズルを通じてガ
スを溶銑内に吹き込む方法等が採用でき、これらの何れ
かまたは2つ以上の方法の組み合わせにより実施可能で
ある。
【0019】通常、取鍋内の脱珪処理では造滓材と必要
に応じて固酸が供給されるが、これらの固体添加材の供
給方法としては、(1)上置き添加による方法、(2)上吹き
ランスを通じて上方から溶銑に吹き付ける方法、(3)イ
ンジェクションランスを通じて溶銑内に吹き込む方法等
が採用でき、これらの何れかまたは2つ以上の方法の組
み合わせにより固体添加材の供給を行うことができる。
【0020】但し、固体添加材の供給としては、上記
(1)、(2)の方法よりも(3)の方法の方が、固体添加材の
運動エネルギーを利用して溶銑の撹拌力を高めることが
できるため、脱珪効率を高める上で有利である。通常、
造滓材としては石灰粉等のCaO源が、また固酸として
はミルスケールや焼結粉等が供給される。
【0021】また、以上述べたような取鍋を用いた脱珪
処理において最も好ましい態様は、供給する気体酸素の
全量を溶銑に対して上吹きし、撹拌用ガスとして不活性
ガスのみを用いてこれを溶銑内に吹き込み、さらに好ま
しくは溶銑の撹拌性をより高めるため、撹拌ガスととも
に造滓材及び/又は固酸からなる粉体を吹き込むことで
ある。
【0022】溶銑予備処理の脱珪工程では、脱珪材とし
て供給された酸素源によって溶銑中のSiが酸化除去さ
れることで脱珪がなされるが、同時にSiの酸化に消費
されなかった過剰な酸素源が溶銑中の炭素を酸化し、溶
銑が脱炭されてしまう問題があるが、上記のような脱珪
処理法によれば、供給すべき気体酸素の全量を溶銑に対
して上吹きし、溶銑中に吹き込む撹拌ガスとして不活性
ガスのみを使用することにより脱炭の進行を極力抑制す
ることができ、一方において、溶銑中に撹拌ガスである
不活性ガスを吹き込み、さらに好ましくは溶銑の撹拌に
有効な大きな運動エネルギーが得られる粉体(造滓材及
び/又は固酸)の吹き込みを実施することにより、溶銑
の撹拌性を十分に高め、上吹きにより供給される気体酸
素との反応が起こる場所に溶銑を積極的に供給すること
により脱珪反応を促進させ、効率的な脱珪を行わせるこ
とができる。すなわち、この脱珪処理法によれば、高い
脱珪反応効率の確保と脱炭の抑制が特にバランス良く達
成される。
【0023】また、溶銑の脱珪処理では、処理すべき溶
銑中のSi濃度が低いほど脱珪反応効率が低下しやす
く、また溶銑の脱炭も進行しやすい。したがって、高い
脱珪反応効率と脱炭の抑制が特にバランス良く達成され
る上記の脱珪処理法は、低Si溶銑の脱珪方法として特
に好適であり、具体的には、Si濃度が0.4wt%以
下の溶銑を0.2wt%以下の低Si濃度まで脱珪処理
する場合に特に好適である。
【0024】溶銑中に撹拌ガスとして吹き込まれる不活
性ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス等の1種以上
が使用できる。また、溶銑中に撹拌ガスとともに吹き込
まれる粉体としては、造滓材である石灰粉等のCaO
源、脱珪材である鉄鉱石やミルスケール等の固酸等が挙
げられ、これらのうちの1種以上の粉体を撹拌ガスとと
もに溶銑中に吹き込む。
【0025】図3は上記方式による取鍋を用いた脱珪処
理状況の一例を示しており、この例では上吹きランスを
通じて上方から気酸(酸素ガス)が溶銑に吹き付けら
れ、インジェクションランスを通じて溶銑内に造滓材
(石灰粉等)が撹拌ガス(N2等)とともに吹き込ま
れ、さらに必要に応じて固酸(焼結粉、ミルスケール
等)が取鍋上方から上置き装入できるようになってい
る。このような取鍋による脱珪処理の操業条件の一例を
挙げると、150ton取鍋で気酸供給を主体とした溶
銑脱珪処理を行う場合、上吹きランスによる気酸供給
量:2500Nm3/hr、インジェクションランスに
よる石灰粉(造滓材)供給量:200kg/分程度の操
業条件となる。
【0026】また、取鍋を用いた脱珪処理では、必要に
応じて溶銑の温度調整を行うことができ、この温度調整
は脱珪材である固酸及び/又は気酸をその添加量を含め
て適宜調整して供給することにより行うことができる。
また、本発明法のような取鍋を用いた脱珪処理では、取
鍋内での溶銑の深さHと取鍋の内径Dの比H/Dを特定
の範囲とした場合に、特に高い脱珪酸素効率が得られ
る。
【0028】図4は、取鍋タイプの溶銑保持容器を用
い、取鍋内での溶銑の深さHと取鍋の内径Dの比H/D
が脱珪酸素効率に及ぼす影響を調べた結果を示してい
る。この試験では、高周波炉で溶解したSi量:0.2
wt%の溶銑500kgを予め加熱してある取鍋タイプ
の溶銑保持容器に移し替え、この容器内の溶銑に100
L/min(1.6Nm3/T)の送酸量で気体酸素を
上吹きしつつ、溶銑中に撹拌ガス(N2ガス)を20L
/minの供給量で底吹きして溶銑の脱珪処理を行った
もので、このような脱珪処理を容器内での溶銑深さHと
容器の内径Dとの比H/Dの値を0.5〜1.5の範囲
で種々変えて実施した。
【0029】図4によれば、比H/D:0.8〜1.2
の範囲において特に優れた脱珪酸素効率が得られてい
る。これは比H/Dを上記の範囲とすることにより取鍋
内での物質の移動性が良好となり、酸素供給位置(例え
ば、気体酸素が上吹きされている場所)への溶銑中Si
の供給が適切になされるためであると考えられる。これ
に対して比H/Dが0.8未満や1.2超の場合には取
鍋内での物質の移動性が悪く、酸素供給位置(例えば、
気体酸素が上吹きされている場所)に溶銑中Siが十分
に供給されないため脱珪酸素効率が低くなるものと考え
られる。
【0030】以上の理由から、本発明法では取鍋内での
溶銑の深さHと取鍋の内径Dの比H/Dを0.8〜1.
2にして脱珪処理を行うことが好ましい。したがって、
上述したような供給する気体酸素の全量を溶銑に対して
上吹きし、溶銑中に撹拌ガスである不活性ガスを固体酸
素源及び/又は造滓材からなる粉体とともに吹き込む処
理方式において、取鍋内での溶銑の深さHと取鍋の内径
Dの比H/Dを0.8〜1.2にして脱珪処理を行うこ
とが、本発明の最も好ましい実施形態であると言える。
【0031】
【実施例】鍋容量150tonの取鍋であって、酸素上
吹ランスとインジェクションランスとを備えた脱珪設備
において、本発明法による溶銑脱珪を実施した。高炉か
ら出銑された溶銑(Si量:0.2〜0.3wt%、溶
銑温度:1200〜1350℃)を上記取鍋に受銑し、
酸素上吹ランスを通じて溶銑に気体酸素(供給量:25
00Nm3/hr)を吹き付け、インジェクションラン
スを通じて溶銑内にN2ガスとともに造滓材である石灰
粉(供給量:200kg/min)を吹き込み、さら
に、固体酸素源である焼結粉を上置装入して、処理時間
21分の脱珪処理を実施した。その結果、溶銑中Si量
は0.07wt%以下まで低減し、また、処理後の溶銑
温度は1280℃以上であった。
【0032】次に、先に述べた比H/Dが脱珪酸素効率
に及ぼす影響を調べるため、以下のような試験を実施し
た。高周波炉で溶解したSi量:0.2wt%の溶銑5
00kgを予め加熱してある取鍋タイプの溶銑保持容器
に移し替え、この容器内の溶銑に気体酸素を上吹きしつ
つ、溶銑中に撹拌ガス(N2ガス)を底吹きして溶銑の
脱珪処理試験を実施した。この試験では、容器内での溶
銑深さHと容器の内径Dとの比H/Dの値を0.6〜
1.4の範囲で種々変え、送酸量を100L/min
(1.6Nm3/T)として気体酸素の上吹きを行い、
一方、底吹き撹拌ガス(N2ガス)は、容器の底部に設
けた直径2mmの1本のSUS管から溶銑中に20L/
minの供給量で吹き込んだ。
【0033】各試験例における脱珪酸素効率を、容器内
での溶銑の深さHと容器の内径Dとの比H/Dとともに
表1に示す。これによれば、H/D:0.8〜1.2の
範囲において70〜80%という高い脱珪酸素効率が達
成されていることが判る。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】以上述べたように本発明法によれば、高
炉溶銑を短時間で且つ高効率に極低Siレベルまで脱珪
処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】取鍋内での脱珪処理と高炉鋳床での脱珪処理に
おける脱珪酸素効率を酸素供給量との関係で示すグラフ
【図2】取鍋内での脱珪処理と高炉鋳床での脱珪処理に
おける脱珪幅ΔSiと溶銑温度との関係を示すグラフ
【図3】取鍋内脱珪の実施状況の一例を示す説明図
【図4】溶銑に気体酸素を上吹きして行う脱珪処理にお
いて、取鍋内での溶銑の深さHと取鍋の内径Dの比H/
Dが脱珪酸素効率に及ぼす影響を示すグラフ
【図5】脱燐前の溶銑中のSi量が脱燐効率に及ぼす影
響を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小平 悟史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 川嶋 一斗士 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 赤井 真一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 井上 茂 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−85915(JP,A) 特開 平5−9534(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 1/00 - 3/00 C21C 5/02 - 5/06 C21C 5/52 - 5/56

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉溶銑を取鍋に受銑後、該取鍋内の溶
    銑を撹拌しつつ脱珪処理する溶銑脱珪方法であって、取
    鍋内に脱珪材として少なくとも気体酸素を供給するとと
    もに、該気体酸素の全量を溶銑に対して上吹きし、溶銑
    中に撹拌ガスである不活性ガスを固体酸素源及び/又は
    造滓材からなる粉体とともに吹き込むことを特徴とする
    溶銑脱珪方法。
  2. 【請求項2】 高炉溶銑を高炉鋳床で脱珪処理し、該脱
    珪処理された溶銑を取鍋に受銑後、該取鍋内で溶銑を撹
    拌しつつ脱珪処理する溶銑脱珪方法であって、取鍋内に
    脱珪材として少なくとも気体酸素を供給するとともに、
    該気体酸素の全量を溶銑に対して上吹きし、溶銑中に撹
    拌ガスである不活性ガスを固体酸素源及び/又は造滓材
    からなる粉体とともに吹き込むことを特徴とする溶銑脱
    珪方法。
  3. 【請求項3】 取鍋内に供給される気体酸素及び/又は
    固体酸素源の供給量の調整により溶銑温度の調整を行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑脱珪方
    法。
  4. 【請求項4】 取鍋内での溶銑の深さHと取鍋の内径D
    の比H/Dを0.8〜1.2にして脱珪処理を行うこと
    を特徴とする請求項1、2または3に記載の溶銑脱珪方
    法。
  5. 【請求項5】 Si濃度が0.4wt%以下の溶銑を、
    0.2wt%以下のSi濃度まで脱珪処理することを特
    徴とする請求項1、2、3または4に記載の溶銑脱珪方
    法。
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