JP3800866B2 - 溶銑の脱珪方法 - Google Patents

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶銑予備処理として行われる脱珪方法に関し、特に低Si溶銑を脱珪処理するのに好適な脱珪方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶銑の脱燐及び脱炭を効率良く行わせるために、製鉄プロセスの精錬工程では予備処理として溶銑の脱珪処理を行うことが一般化している。従来行われている溶銑の脱珪処理では、酸化鉄やミルスケール等の固体酸素源や気体酸素を溶銑中に吹き込むことによりSiを除去している。
【0003】
しかし、この脱珪処理では溶銑中のSi濃度の低下とともに脱珪反応効率が低下し、また、供給された酸素が溶銑中の炭素と反応して溶銑が脱炭されてしまう問題がある。すなわち、酸化鉄やミルスケールなどの固体酸素源を溶銑中に添加して行われる脱珪処理においては、溶銑中Si濃度が例えば0.1wt%以下のような低レベルになると、熱力学の平衡計算から求められる優先脱珪条件を逸脱し、主反応が下記(a)式の反応から下記(b)式の脱炭反応へと移行してしまう。
Si+2FeO→SiO+2Fe …(a)
C+FeO→CO+Fe …(b)
【0004】
このような脱珪工程での脱炭は溶銑の融点の上昇により後工程である脱燐処理の実施に支障をきたすおそれがあり、また、熱源として有効な炭素を失うことになるため極力抑制する必要がある。また、脱炭が進行すると発生するCOガスによるスラグのフォーミングが起こり、正常な脱珪操業が阻害されるという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
溶銑の脱珪工程における脱炭を抑制する方法としては、スラグのSiO活量を低下させるために石灰などを添加する方法があるが、スラグのSiO活量を限りなく下げるには大量の石灰が必要であるため、コスト高となるとともに、大量のスラグが発生するという問題がある。
また、特開昭61−15909号には、溶銑の脱炭を回避するために溶銑中Si濃度に応じて溶銑中に吹き込まれるガス中の酸素/不活性ガス比を変更する方法が開示されているが、この方法では酸素/不活性ガス比が大きいため溶銑が低Si濃度になると脱炭が進行してしまい、十分な効果が上げられない。
【0006】
また、特開平7−278636号には、撹拌ガスによる撹拌エネルギーの値を75W/t以上とすることにより脱炭を抑制する方法が開示されているが、この方法でも撹拌ガスが酸素ガスを含んでいるため、溶銑が低Si濃度になると溶銑の脱炭が不可避的に生じてしまう。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、溶銑とりわけ低Si溶銑をその脱炭を抑制しつつ効率的に脱珪処理することができる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の従来技術の問題に鑑み、高い脱珪反応効率の確保と脱炭の抑制がバランス良く達成される脱珪方法を見い出すべく実験と検討を行った。その結果、以下のような事実を見い出した。
(1) 気体酸素を溶銑中に吹き込むことなく、その全量を溶銑に対して上吹きし、且つその際の送酸条件を脱珪酸素効率が60%以上となるように制御することにより溶銑の脱炭を適切に抑制することができる。また、気体酸素上吹きによる溶銑浴面の凹み深さLが所定の範囲になるように送酸条件を制御することにより、脱珪酸素効率60%以上の高い脱珪酸素効率を得ることができる。
【0008】
(2) 気体酸素を溶銑中に吹き込むことなく、その全量を溶銑に対して上吹きするとともに、溶銑中に撹拌ガスである不活性ガスとともに粉体を吹き込み、且つこれら撹拌ガスと粉体吹き込みによって所定のレベル以上の撹拌動力εを得ることにより、溶銑の脱炭量を極めて少なくし、しかも高い脱珪酸素効率を得ることができる。
(3) 溶銑中のSi濃度を0.1wt%以下の低レベルまで脱珪処理する場合、Zn酸化物を金属Zn換算で1.0wt%以上含有する脱珪剤を用いることにより、溶銑の脱炭量を極めて少なくし、しかも高い脱珪酸素効率を得ることができる。
【0009】
本発明の脱珪方法はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
【0011】
1 溶銑予備処理として行われる脱珪処理において、供給する気体酸素の全量を溶銑に上吹きし、溶銑中に吹き込む撹拌ガスとして不活性ガスのみを用いるとともに、粉体を不活性ガスとともに溶銑中に吹き込み、且つ下記(2)式で規定される撹拌動力εを100W/t以上とすることを特徴とする溶銑の脱珪方法。
ε=(371/W)・{(Fgas・T)/1000}・{ln(Pin/Pt)+0.06(1−298/T)}
+(1/2)・(M/W)・{Fgas/(1000・S)} … (2)
ここで S=n・π・(d/2)
W:溶銑量(t)
Fgas:撹拌ガス吹き込み量(Nl/秒)
T:溶銑温度(K)
Pin:撹拌ガス吹込み圧力(Pa)
Pt:脱珪処理容器内の雰囲気圧力(Pa)
M:粉体吹込み速度(kg/秒)
n:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル数
d:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル径(m)
【0012】
2 上記 1 の脱珪方法において、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.2wt%以下のSi濃度まで脱珪処理することを特徴とする溶銑の脱珪方法。
3 溶銑予備処理として行われる脱珪処理において、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.1wt%以下のSi濃度まで脱珪処理する際に、Zn酸化物を金属Zn換算で1.0wt%以上含有する脱珪剤を用いることを特徴とする溶銑の脱珪方法。
4 上記 3 の脱珪方法において、脱珪剤をインジェクションにより溶銑中に吹き込むことを特徴とする溶銑の脱珪方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本願の第1の溶銑脱珪方法について説明する。
溶銑予備処理における脱珪工程では、脱珪剤として供給された酸素源によって溶銑中のSiが酸化除去されることで脱珪がなされるが、同時にSiの酸化に消費されなかった過剰な酸素源が溶銑中の炭素を酸化し、溶銑が脱炭されてしまう。このような脱珪工程での脱炭は、後工程である脱燐処理の実施に支障をきたし、且つ熱源として有効な炭素を失うことになるため極力抑制する必要がある。
【0014】
本願の第1の溶銑脱珪方法では、供給する気体酸素の全量を脱珪酸素効率が60%以上となるような送酸条件で溶銑に上吹きする。従来法では気体酸素を溶銑中に吹き込むことにより脱珪処理を行うのが一般的であるが、このような方法では送酸条件の如何に拘らず不可避的に溶銑の著しい脱炭を生じてしまう。これに対して、脱珪酸素効率が60%以上となるような送酸条件で気体酸素の全量を上吹きすることにより、溶銑の脱炭を効果的に抑制しつつ効率的な脱珪処理を行うことができる。
【0015】
気体酸素の溶銑への上吹きはランスを通じてなされ、送酸条件の制御は主としてランス高さと気体酸素流量を調整することにより行われる。この脱珪方法において使用される気体酸素は、純酸素ガスまたは酸素含有ガスとして溶銑に上吹きされる。
上記の脱珪処理は、通常、溶銑鍋や装入鍋等の取鍋で行われるが、これ以外の容器(例えば、トーピード)で実施してもよい。前記取鍋には、高炉溶銑を高炉鋳床を経て直接受銑する溶銑鍋や、転炉等への溶銑装入を行うため溶銑鍋から溶銑が移される所謂装入鍋、さらにはこれら溶銑鍋や装入鍋と類似の溶銑保持形状を有する鍋等が含まれる。
【0016】
この第1の溶銑脱珪方法では気体酸素の全量を溶銑に対して上吹きするため、通常、溶銑中には浴撹拌のための撹拌ガスとして不活性ガスがインジェクションランス等を通じて吹き込まれる。また、必要に応じてこの不活性ガスとともに、造滓剤(例えば、石灰粉等のCaO源)、脱珪剤(例えば、鉄鉱石、ミルスケール等の固体酸素源)等の1種以上からなる粉体が溶銑中に吹き込まれ、溶銑の撹拌性を向上させる。また、前記不活性ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス等の1種以上が使用できる。
【0017】
図1は、溶銑鍋を用いた脱珪処理の実施状況を示しており、1は気体酸素を上吹きするための上吹きランス、2は溶銑中に撹拌ガス(さらに、必要に応じて粉体)を吹き込むためのインジェクションランスである。
この脱珪処理において、脱珪酸素効率が60%以上となるように気体酸素を溶銑に対して上吹きするには、下記(1)式により定義される気体酸素の上吹きによる溶銑浴面の凹み深さLを50〜200mmに制御することが好ましい。なお、下記(1)式においてランス高さhxとは静止湯面からランス先端までの高さを指す。
【数1】
Figure 0003800866
【0018】
図2は、上記(1)式で規定される溶銑浴面の凹み深さLと脱珪酸素効率との関係を示している。この試験結果は、Si濃度が0.20〜0.25wt%の溶銑を溶銑鍋を用いて脱珪処理した際のもので、上吹きランスを通じて気体酸素を上吹きするとともに、インジェクションランスから撹拌ガス(窒素ガス)と粉体(石灰粉)を溶銑中に吹き込み、約10分間の脱珪処理を行った。
【0019】
図2によれば、溶銑浴面の凹み深さLが50mm未満では脱珪反応が十分に進行しないため脱珪酸素効率が低く、一方、凹み深さLが200mmを超えると溶銑と上吹き気体酸素との反応が過剰になるため著しい脱炭反応が生じ、この場合も脱珪酸素効率が低くなる。これは、気体酸素が供給される溶銑浴面の凹み深さが大き過ぎると、供給されるOに対して溶銑側からのSiの供給が間に合わず、このためSiと反応できないOが溶銑中のCと反応して著しい脱炭が生じるためであると考えられる。これに対して、凹み深さLが50〜200mmの範囲では60%以上の高い脱珪酸素効率が得られている。これは、溶銑浴面の凹み部に供給されるOに対して溶銑側からのSiの供給が適正なものとなるため、脱珪反応が十分に進行するとともに、過剰な脱炭反応も抑制されるためであると考えられる。
【0020】
溶銑の脱珪処理では、処理すべき溶銑中のSi濃度が低いほど脱珪酸素効率が低下しやすく、また溶銑の脱炭も進行しやすい。したがって、高い脱珪酸素効率の確保と脱炭の抑制がバランス良く達成される上記第1の溶銑脱珪方法は、低Si溶銑の脱珪方法として特に好適であり、具体的には、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.2wt%以下、好ましくは0.1wt%以下のSi濃度まで脱珪処理する場合に特に好適である。
【0021】
先に述べたように第1の溶銑脱珪方法では気体酸素の全量を溶銑に対して上吹きするため、溶銑中には撹拌ガスとして不活性ガスをインジェクションランス等を通じて吹き込むことが好ましく、また、溶銑の撹拌性をさらに高めるために、撹拌ガスとともに造滓剤であるCaO源、脱珪剤である固体酸素源等の1種以上からなる粉体を溶銑中に吹き込むことが好ましい。また、その際には、これら撹拌ガス及び粉体吹き込みにより、後述する(2)式で規定される撹拌動力εを100W/t以上とすることが好ましい。これにより溶銑の撹拌性を十分に高め、上吹きにより供給される気体酸素との反応が起こる場所に溶銑を積極的に供給することにより脱珪反応を促進させ、脱炭の抑制を図りつつ効率的な脱珪を行うことできる。
【0022】
次に、本願の第2の溶銑脱珪方法について説明する。
上述したように気体酸素の全量を溶銑に対して上吹きする脱珪処理では、溶銑を効率的に脱珪処理するために溶銑の撹拌性を高めることが好ましく、これには溶銑中に撹拌ガスとともに粉体を吹き込む方法が有効であるが、本発明者らは、このような方法において高い脱珪反応効率(脱珪酸素効率)の確保と脱炭の抑制がバランス良く達成される具体的な条件を見い出すべく実験と検討を行った。その結果、(1)気体酸素を溶銑中に吹き込むことなく、その全量を溶銑に対して上吹きする、(2)溶銑中に吹き込む撹拌ガスとして不活性ガスを用いるとともに、粉体を不活性ガスとともに溶銑中に吹き込み、且つこれら撹拌ガス及び粉体吹き込みによる下記(2)式で規定される溶銑の撹拌動力εを100W/t以上とする、という条件で脱珪処理を実施することにより、気体酸素を含有するガスを溶銑中に吹込む方法に較べて溶銑中の炭素の減少量が極めて少なく、しかも高い脱珪反応効率が得られることを見い出した。
【0023】
Figure 0003800866
ここで S=n・π・(d/2)
W:溶銑量(t)
Fgas:撹拌ガス吹き込み量(Nl/秒)
T:溶銑温度(K)
Pin:撹拌ガス吹込み圧力(Pa)
Pt:脱珪処理容器内の雰囲気圧力(Pa)
M:粉体吹込み速度(kg/秒)
n:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル数
d:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル径(m)
【0024】
この脱珪方法では、気体酸素を溶銑中に吹き込むことはせず、供給すべき気体酸素の全量を溶銑に対して上吹きし、溶銑中に吹き込む撹拌ガスとしては不活性ガスのみを使用することにより、気体酸素を溶銑中に吹き込むことによる脱炭の進行を極力抑制する。一方において、溶銑中に撹拌ガスである不活性ガスとともに粉体を吹き込み、且つ上記(2)式で規定される溶銑の撹拌動力εを100W/t以上とし、これにより溶銑の撹拌性を十分に高め、上吹きにより供給される気体酸素との反応が起こる場所に溶銑を積極的に供給することにより脱珪反応を促進させ、効率的な脱珪を行わせる。なお、この発明において脱珪処理後の溶銑温度を調整するために、酸素源の一部として固体酸素源(例えば、鉄鉱石、ミルスケール等)を使用することは差し支えない。
【0025】
先に述べた特開平7−278636号に記載の脱珪方法では、溶銑中に吹き込まれる撹拌ガスが酸素ガスを含有するとともに、粉体吹き込みによる運動エネルギーを考慮することなく、ガス吹き込みだけを考慮した撹拌動力を規定しているが、本発明者らによる実験の結果、本発明のように供給すべき気体酸素の全量を溶銑に対して上吹きし、撹拌ガスとしては不活性ガスのみを使用する方式においては、上記従来例のようなガス吹き込みだけを考慮した撹拌動力は、脱珪反応効率の確保と脱炭の抑制とのバランスを示す指標となるΔSi/ΔC(ΔSi:溶銑の脱珪量、ΔC:溶銑の脱炭量)との相関が悪く、このためガス吹き込みだけを考慮した撹拌動力を規定しても、高い脱珪反応効率の確保と脱炭の抑制がバランス良く達成されるような撹拌状態を得ることはできないことが判った。
【0026】
これに対して、上記(2)式で規定されるような撹拌ガスだけでなく粉体吹き込みをも考慮した撹拌動力εは上記ΔSi/ΔCとの明らかな相関があり、この撹拌動力εを100W/t以上とすることにより、高い脱珪反応効率の確保と脱炭の抑制がバランス良く達成され、高いΔSi/ΔC値が得られることが判った。
【0027】
溶銑の脱珪処理では、処理すべき溶銑中のSi濃度が低いほど脱珪反応効率が低下しやすく、また溶銑の脱炭も進行しやすい。したがって、高い脱珪反応効率と脱炭の抑制がバランス良く達成されるこの発明の脱珪方法は、低Si溶銑の脱珪方法として特に好適であり、具体的には、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.2wt%以下、好ましくは0.1wt%以下の低Si濃度まで脱珪処理する場合に特に好適である。
【0028】
上記の脱珪処理は、通常、溶銑鍋や装入鍋等の取鍋で行われるが、これ以外の容器(例えば、トーピードカー)で実施してもよい。前記取鍋には、高炉溶銑を高炉鋳床を経て直接受銑する溶銑鍋や、転炉等への溶銑装入を行うため溶銑鍋から溶銑が移される所謂装入鍋、さらには、溶銑鍋や装入鍋と類似の溶銑保持形状を有する鍋等が含まれる。溶銑鍋を用いた脱珪処理の実施状況の一例は、先に説明した図1に示す通りである。
【0029】
この発明において使用される気体酸素としては、純酸素ガス、酸素含有ガスのいずれでもよい。また、溶銑中に撹拌ガスとして吹き込まれる不活性ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス等の1種以上が使用できる。
また、溶銑中に撹拌ガスとともに吹き込まれる粉体としては、造滓剤である石灰粉等のCaO源、脱珪剤である鉄鉱石やミルスケール等の固体酸素源等が挙げられ、これらの1種以上が撹拌ガスとともに溶銑中に吹き込まれる。
【0030】
次に、本願の第3の溶銑脱珪方法について説明する。
この発明では、溶銑予備処理として行われる脱珪処理において、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.1wt%以下のSi濃度まで脱珪処理する際に、Zn酸化物を金属Zn換算で1.0wt%以上含有する脱珪剤を用いる。
先に述べたように、溶銑の脱珪処理では処理すべき溶銑中のSi濃度が低いほど脱珪酸素効率が低下しやすく、また溶銑の脱炭も進行しやすい。このような問題に対して、本発明者らは溶銑を特に低Si濃度(0.1wt%以下)まで脱珪処理する場合に高い脱珪酸素効率の確保と脱炭の抑制をバランス良く達成することができる脱珪条件について、主として使用する脱珪剤の面から検討を行った。
【0031】
従来、脱珪剤としては気体酸素や酸化鉄、ミルスケールなどの固体酸素源が一般的に使用されているが、本発明者らはZn酸化物は金属と酸素の親和性が酸化鉄よりもさらに低く、溶銑中のSiと反応しやすいことに着目し、脱珪剤としてZn酸化物を用いた場合の脱珪酸素効率と脱炭抑制作用について検討を行った。その結果、Si濃度が0.4wt%以下の溶銑を0.1wt%以下の低Si濃度まで脱珪処理する際に、Zn酸化物を金属Zn換算で所定量以上含有する脱珪剤を用いることにより、高い脱珪酸素効率と脱炭の抑制をバランス良く達成できることを見い出した。
【0032】
従来技術としては、溶銑中にZn含有ダストを添加し、このZn含有ダスト中に含まれるZn酸化物を溶銑中のC、Siにより還元してZnを蒸気として分離回収する方法が特公平2−8002号公報に開示されており、この方法ではZn酸化物が溶銑の脱珪剤として機能する。しかし、この従来技術はZn含有ダストを脱珪剤として用いてはいるものの、元々Zn含有ダストからZnを分離回収することを目的としたものであるため、溶銑を特に低Si濃度まで脱珪する際のZn酸化物の作用効果(高い脱珪酸素効率の確保と脱炭の抑制作用)については何ら開示がなく、実際、同公報には具体的な脱珪条件として、Zn濃度が3wt%のZn含有ダスト(高炉ダスト)をSi濃度が0.5wt%の溶銑に脱珪剤として添加することにより溶銑のSi濃度が0.2wt%まで低減したこと、また、この際の脱Si効率が一般の焼結ダストを脱珪剤として用いた場合と同等であったことが示されているに過ぎない。
【0033】
このような従来技術に対して本発明は、脱珪酸素効率が低下しやすく且つ溶銑の脱炭も進行しやすい低Si濃度レベルでの脱珪処理、すなわち、Si濃度が0.4wt%以下の溶銑を0.1wt%以下の低Si濃度レベルまで低減させるような脱珪処理において、Zn酸化物を所定含有量以上含む脱珪剤を用いることにより高い脱珪酸素効率の確保と脱炭の抑制をバランス良く達成できることを見い出し、なされたものである。
【0034】
図3は、Zn酸化物を含んでいる高炉ダスト(Zn濃度:2wt%)と酸化鉄(ミルスケール)をそれぞれ脱珪剤として使用し、Si濃度が0.30〜0.40wt%の溶銑を脱珪処理した場合の脱珪処理後の溶銑中Si濃度[Si]fと脱珪酸素効率との関係を示している。この脱珪処理では、上記(2)式で規定される撹拌動力εが100w/t以上となるような撹拌条件を満足すべく、脱珪剤を不活性ガスにより0.60〜0.70kg/min・tの吹込み速度で浴中にインジェクションし、また、温度低下を補償すべく上吹き送酸ランスから気体酸素を上記(1)式で定義される溶銑浴面の凹み深さLが50〜200mmとなるような条件で吹き付け、脱珪を行った。
【0035】
図3によれば、脱珪処理後のSi濃度が0.1wt%を超える領域では上述した(b)式による脱炭反応が抑えられるため、脱珪剤の種類に拘りなく脱珪酸素効率は良好であるが、酸化鉄を脱珪剤として用いた従来法の場合は、脱珪処理後のSi濃度が0.1wt%以下になると脱炭反応に酸化鉄が使われてしまうため脱珪酸素効率が著しく悪化する。これに対してZn酸化物を金属Zn換算で2wt%含有する脱珪剤を用いた本発明法の場合には、脱珪処理後のSi濃度が0.01wt%程度までは良好な脱珪酸素効率が得られており、高い脱珪酸素効率の確保と脱炭の抑制がバランス良く達成されていることが判る。
【0036】
次に、Si濃度が約0.2wt%の溶銑をSi濃度0.05wt%まで脱珪処理する場合について、脱珪剤中のZn酸化物の金属Zn換算での含有量を変化させて行った実験の結果を図4に示す。この脱珪処理ではZn酸化物を含有する脱珪剤として高炉ダスト、キュポラダスト、電気炉ダストを用い、脱珪剤中のZn酸化物の金属Zn換算での含有量は、Znを含有する酸化物とミルスケールの混合比を変えることにより調整した。また、この脱珪処理では、上記(2)式で規定される撹拌動力εが100w/t以上となるような撹拌条件を満足すべく、脱珪剤を不活性ガスにより0.60〜0.70kg/min・tの吹込み速度で浴中にインジェクションし、また、溶銑温度補償を行うべく上吹き送酸ランスから気体酸素を上記(1)式で定義される溶銑浴面の凹み深さLが50〜200mmとなるような条件で吹き付け、脱珪を行った。
【0037】
図4によれば、脱珪剤中の金属Zn換算でのZn酸化物の含有量が1.0wt%未満、特に0.5wt%以下と低い場合には溶銑の脱珪酸素効率は低いレベルにあるが、Zn酸化物の含有量が1.0wt%に近づくに従い脱珪酸素効率は著しく上昇し、含有量が1.0wt%以上では80%以上という高い脱珪酸素効率が得られている。また、この場合にはフォーミングの発生がない安定した脱珪を行うことができた。
なお、本発明のように溶銑中にZn酸化物を含む脱珪剤を添加した場合でも、亜鉛は沸点が900℃程度と低いため、脱珪反応で生成した金属Zn分のほとんどは蒸発し、溶銑中に留ることはない。
【0038】
この発明において使用される脱珪剤は、Zn酸化物を金属Zn換算で1.0wt%以上含有する固体酸素源であり、このような条件を満たす固体酸素源としては、高炉ダスト、キュポラダスト、電気炉ダスト、亜鉛スラッジなどがある。また、Zn酸化物を上記の条件で含有するものであれば、上記Zn酸化物含有物質と酸化鉄やミルスケール等の通常の固体酸素源を混合したものであってもよい。
【0039】
この発明において脱珪剤を溶銑に添加する方法は特に限定しないが、溶銑中のSiとの反応性や浴の撹拌性を高めて高い脱珪酸素効率を確保するには、脱珪剤をインジェクションにより溶銑中に吹き込むことが好ましい。この脱珪剤の溶銑中への吹き込みは、通常、不活性ガス(アルゴンガス、窒素ガス等)をキャリアガスとしインジェクションランス等を通じて行われる。この場合、キャリアガスは浴撹拌のための撹拌ガスとしても機能する。但し、浴撹拌用の撹拌ガス(アルゴンガス、窒素ガス等)は、脱珪剤のインジェクションとは別の手段で溶銑中に吹き込んでもよい。
【0040】
また、酸素源として上吹きランスなどを通じて気体酸素(純酸素ガスまたは酸素含有ガス)を供給してもよく、この場合には上述した本発明法に従い気体酸素の全量を溶銑に対して上吹きしてもよい。また、必要に応じて、造滓剤(例えば、石灰粉等のCaO源)を添加することもでき、この造滓剤は上記脱珪剤とともに溶銑中にインジェクションしてもよい。
【0041】
上記の脱珪処理は、通常、溶銑鍋や装入鍋等の取鍋で行われるが、これ以外の容器(例えば、トーピード)で実施してもよい。前記取鍋には、高炉溶銑を高炉鋳床を経て直接受銑する溶銑鍋や、転炉等への溶銑装入を行うため溶銑鍋から溶銑が移される所謂装入鍋、さらにはこれら溶銑鍋や装入鍋と類似の溶銑保持形状を有する鍋等が含まれる。溶銑鍋を用いた脱珪処理の実施状況の一例は、先に説明した図1に示す通りである。
【0042】
以上述べたように本願に係る各溶銑脱珪方法によれば、高い脱珪酸素効率の確保と脱炭の抑制をバランス良く達成することができ、特に低Si溶銑をさらに低Si濃度レベルまで脱珪処理する場合、具体的にはSi濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.2wt%以下、さらには0.1wt%以下の低Si濃度まで脱珪処理する場合に特に好適である。
したがって、上述した各脱珪方法の2つ以上を組み合わせることにより、高い脱珪酸素効率の確保と脱炭抑制をより効果的に達成することができる。すなわち、この場合の態様は以下のようになる。
【0043】
[イ]溶銑予備処理として行われる脱珪処理において、供給する気体酸素の全量を溶銑に上吹きするとともに、下記(1)式により定義される、気体酸素の上吹きによる溶銑浴面の凹み深さLを50〜200mmに制御し、さらに、溶銑中に吹き込む撹拌ガスとして不活性ガスのみを用いるとともに、粉体を不活性ガスとともに溶銑中に吹き込み、且つ下記(2)式で規定される撹拌動力εを100W/t以上とすることを特徴とする溶銑の脱珪方法。
【数2】
Figure 0003800866
ε=(371/W)・{(Fgas・T)/1000}・{ln(Pin/Pt)+0.06(1−298/T)}
+(1/2)・(M/W)・{Fgas/(1000・S)} … (2)
ここで S=n・π・(d/2)
W:溶銑量(t)
Fgas:撹拌ガス吹き込み量(Nl/秒)
T:溶銑温度(K)
Pin:撹拌ガス吹込み圧力(Pa)
Pt:脱珪処理容器内の雰囲気圧力(Pa)
M:粉体吹込み速度(kg/秒)
n:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル数
d:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル径(m)
【0044】
[ロ]上記[イ]の方法において、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.2wt%以下、好ましくは0.1wt%以下のSi濃度まで脱珪処理することを特徴とする溶銑の脱珪方法。
[ハ]溶銑予備処理として行われる脱珪処理において、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.1wt%以下のSi濃度まで脱珪処理する際に、供給する気体酸素の全量を溶銑に上吹きするとともに、下記(1)式により定義される、気体酸素の上吹きによる溶銑浴面の凹み深さLを50〜200mmに制御し、さらに、Zn酸化物を金属Zn換算で1.0wt%以上含有する脱珪剤を用いることを特徴とする溶銑の脱珪方法。
【数3】
Figure 0003800866
【0045】
[ニ] 溶銑予備処理として行われる脱珪処理において、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.1wt%以下のSi濃度まで脱珪処理する際に、供給する気体酸素の全量を溶銑に上吹きし、溶銑中に吹き込む撹拌ガスとして不活性ガスのみを用いるとともに、粉体を不活性ガスとともに溶銑中に吹き込み、且つ下記(2)式で規定される撹拌動力εを100W/t以上とし、さらにZn酸化物を金属Zn換算で1.0wt%以上含有する脱珪剤を用いることを特徴とする溶銑の脱珪方法。
Figure 0003800866
ここで S=n・π・(d/2)
W:溶銑量(t)
Fgas:撹拌ガス吹き込み量(Nl/秒)
T:溶銑温度(K)
Pin:撹拌ガス吹込み圧力(Pa)
Pt:脱珪処理容器内の雰囲気圧力(Pa)
M:粉体吹込み速度(kg/秒)
n:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル数
d:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル径(m)
【0046】
[ホ]溶銑予備処理として行われる脱珪処理において、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.1wt%以下のSi濃度まで脱珪処理する際に、供給する気体酸素の全量を溶銑に上吹きするとともに、下記(1)式により定義される、気体酸素の上吹きによる溶銑浴面の凹み深さLを50〜200mmに制御し、さらに、溶銑中に吹き込む撹拌ガスとして不活性ガスのみを用いるとともに、粉体を不活性ガスとともに溶銑中に吹き込み、且つ下記(2)式で規定される撹拌動力εを100W/t以上とし、さらに、Zn酸化物を金属Zn換算で1.0wt%以上含有する脱珪剤を用いることを特徴とする溶銑の脱珪方法。
【数4】
Figure 0003800866
ε=(371/W)・{(Fgas・T)/1000}・{ln(Pin/Pt)+0.06(1−298/T)}
+(1/2)・(M/W)・{Fgas/(1000・S)} … (2)
ここで S=n・π・(d/2)
W:溶銑量(t)
Fgas:撹拌ガス吹き込み量(Nl/秒)
T:溶銑温度(K)
Pin:撹拌ガス吹込み圧力(Pa)
Pt:脱珪処理容器内の雰囲気圧力(Pa)
M:粉体吹込み速度(kg/秒)
n:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル数
d:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル径(m)
【0047】
【実施例】
[実施例1]
溶銑鍋を用いて180tの溶銑を脱珪処理した。参考例、比較例ともに、図1に示すような溶銑鍋においてインジェクションランス2から撹拌ガス(窒素ガス)と粉体(石灰粉)を溶銑中に吹き込み、上吹きランス1から気体酸素を2000Nm/hrの送酸量(1.8Nm/t)で上吹きし、約10分間の脱珪処理を行った。なお、送酸中の溶銑浴面の凹み深さLはランス高さを変えることにより調整した。
【0048】
各実施例における脱珪酸素効率、上記(1)式で定義される溶銑浴面の凹み深さL、脱珪処理に測定した脱珪量ΔSi、脱炭量ΔC、ΔSi/ΔCを表1に示す。これによれば、上述した第1の脱珪方法にしたがい脱珪酸素効率が60%以上となるような送酸条件で脱珪処理することにより溶銑の脱炭が効果的に抑制され、また、送酸による溶銑浴面の凹み深さLを50〜200mmに制御することにより60%以上の脱珪酸素効率が安定的に得られ、且つΔSi/ΔCについても高い値が得られることが判る。
【0049】
【表1】
Figure 0003800866
【0050】
[実施例2]
溶銑鍋(150t)を用いてSi濃度が0.3〜0.5wt%の溶銑を0.2wt%以下のSi濃度まで脱珪処理した。
本発明例、比較例ともに、図1に示すような溶銑鍋においてインジェクションランス2から撹拌ガス(窒素ガス)と粉体(石灰粉)を溶銑中に吹き込み、上吹きランス1から気体酸素を上吹きして約10分間の脱珪処理を行った。
脱珪処理した溶銑量、撹拌ガス及び粉体の吹き込み条件等を表2に、また、撹拌動力εと粉体吹き込みを考慮しない撹拌動力ε′、脱珪処理後に測定した脱珪量ΔSi、脱炭量ΔC、ΔSi/ΔCの値を表3に示す。
【0051】
表2及び表3によれば、本発明例は比較例に較べてΔSi/ΔCの値が極めて高く、高い脱珪反応効率の確保と脱炭の抑制がバランス良く達成されていることが判る。
また、本発明例及び比較例について、撹拌動力εとΔSi/ΔCとの関係を図5に、撹拌動力ε′とΔSi/ΔCとの関係を図6に示す。これによれば、撹拌動力εとΔSi/ΔCとの間には明確な相関が認められ、ε≧100W/tにおいてΔSi/ΔCの値が顕著に高まるのに対し、撹拌動力ε′とΔSi/ΔCとの間にはそのような相関は認められない。
【0052】
【表2】
Figure 0003800866
【0053】
【表3】
Figure 0003800866
【0054】
[実施例3]
溶銑鍋(220t)を用いて、Si濃度が約0.3wt%の溶銑を脱珪処理した。本発明例及び比較例(従来例)ともに、図1に示すようなインジェクションランス2を通じて脱珪剤をキャリアガス(窒素ガス)とともに溶銑中に吹き込み、上吹きランス1から気体酸素を上吹きして約15分間の脱珪処理を行った。なお、この脱珪処理では上記(2)式で規定される撹拌動力εが100w/t以上、上記(1)式で定義される溶銑浴面の凹み深さLが50〜200mmとなるような条件で脱珪剤のインジェクションと上吹きランスからの送酸を行った。本発明例及び比較例の脱珪処理前後の溶銑中Si濃度と脱珪酸素効率を、使用した脱珪剤の種類および添加量とともに表4に示す。
【0055】
表4において、本発明例1は脱珪剤としてZn酸化物の含有量が金属Zn換算で2wt%の高炉ダスト2200kgをインジェクションした場合であり、溶銑はSi濃度0.31wt%から0.05wt%まで脱珪され、このときの脱珪酸素効率は88%であった。本発明例2は脱珪剤としてZn酸化物の含有量が金属Zn換算で20wt%のキュポラダスト1950kgをインジェクションした場合であり、溶銑はSi濃度0.28wt%から0.04wt%まで脱珪され、このときの脱珪酸素効率は90%であった。これに対して、従来法である比較例は脱珪剤として鉄鉱石2800kgをインジェクションした場合であり、溶銑はSi濃度0.30wt%から0.07wt%まで脱珪され、このときの脱珪酸素効率は59%に過ぎなかった。
【0056】
【表4】
Figure 0003800866
【0057】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の脱珪方法によれば、溶銑をその脱炭を抑制しつつ効率的に脱珪処理することができる。特に本発明の脱珪方法によれば、低Si溶銑の脱珪処理において高い脱珪酸素効率の確保と脱炭の抑制をバランス良く達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶銑鍋を用いた本発明の脱珪方法の実施状況を示す説明図
【図2】気体酸素を溶銑に対して上吹きした際の溶銑浴面の凹み深さと脱珪酸素効率との関係を示すグラフ
【図3】脱珪剤としてZn酸化物を含む高炉ダストを用いた場合と酸化鉄を用いた場合について、脱珪処理後の溶銑中Si濃度と脱珪酸素効率との関係を示すグラフ
【図4】脱珪剤中の金属Zn換算でのZn酸化物含有量と脱珪酸素効率との関係を示すグラフ
【図5】実施例2において、撹拌動力εとΔSi/ΔCとの関係を示すグラフ
【図6】実施例2において、撹拌動力ε′とΔSi/ΔCとの関係を示すグラフ
【符号の説明】
1…上吹きランス、2…インジェクションランス

Claims (4)

  1. 溶銑予備処理として行われる脱珪処理において、供給する気体酸素の全量を溶銑に上吹きし、溶銑中に吹き込む撹拌ガスとして不活性ガスのみを用いるとともに、粉体を不活性ガスとともに溶銑中に吹き込み、且つ下記(2)式で規定される撹拌動力εを100W/t以上とすることを特徴とする溶銑の脱珪方法。
    ε=(371/W)・{(Fgas・T)/1000}・{ln(Pin/Pt)+0.06(1−298/T)}
    +(1/2)・(M/W)・{Fgas/(1000・S)} … (2)
    ここで S=n・π・(d/2)
    W:溶銑量(t)
    Fgas:撹拌ガス吹き込み量(Nl/秒)
    T:溶銑温度(K)
    Pin:撹拌ガス吹込み圧力(Pa)
    Pt:脱珪処理容器内の雰囲気圧力(Pa)
    M:粉体吹込み速度(kg/秒)
    n:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル数
    d:撹拌ガス・粉体吹き込み用ランスの吹込みノズル径(m)
  2. Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.2wt%以下のSi濃度まで脱珪処理することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の脱珪方法。
  3. 溶銑予備処理として行われる脱珪処理において、Si濃度が0.4wt%以下の低Si溶銑を0.1wt%以下のSi濃度まで脱珪処理する際に、Zn酸化物を金属Zn換算で1.0wt%以上含有する脱珪剤を用いることを特徴とする溶銑の脱珪方法。
  4. 脱珪剤をインジェクションにより溶銑中に吹き込むことを特徴とする請求項3に記載の溶銑の脱珪方法。
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