JP2002309310A - 低燐溶銑の製造方法 - Google Patents

低燐溶銑の製造方法

Info

Publication number
JP2002309310A
JP2002309310A JP2002104930A JP2002104930A JP2002309310A JP 2002309310 A JP2002309310 A JP 2002309310A JP 2002104930 A JP2002104930 A JP 2002104930A JP 2002104930 A JP2002104930 A JP 2002104930A JP 2002309310 A JP2002309310 A JP 2002309310A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot metal
source
cao
amount
oxygen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002104930A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiju Matsuno
英寿 松野
Ryo Kawabata
涼 川畑
Hiroshi Shimizu
宏 清水
Atsushi Watanabe
敦 渡辺
Hideshige Tanaka
秀栄 田中
Shinichi Akai
真一 赤井
Yoshiteru Kikuchi
良輝 菊地
Yoshiaki Tabata
芳明 田畑
Satoshi Kodaira
悟史 小平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2002104930A priority Critical patent/JP2002309310A/ja
Publication of JP2002309310A publication Critical patent/JP2002309310A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶銑予備処理として行われる脱燐処理におい
て、CaF等のF源を含まない媒溶剤を用いて効率的
な溶銑予備脱燐を行う。 【解決手段】 CaO源添加前に酸素源を添加してスラ
グ中の酸化鉄濃度を高めておくことにより、F源を添加
しなくても脱燐反応効率が飛躍的に向上することを見い
出しなされたもので、溶銑にCaO源である媒溶剤を添
加する前に酸素源、好ましくは気体酸素を供給すること
でスラグ中の酸化鉄濃度を高めておき、しかる後、Ca
O源である媒溶剤を添加することを特徴とし、好ましく
は、媒溶剤添加前に、0.010≦B/A≦0.50
(但し、A:脱燐処理に要する媒溶剤中の全CaO量
[kg/T]、B:気体酸素換算の酸素供給量[Nm
/T])を満足する量の酸素源を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑の予備処理と
して行われる脱燐処理に関するもので、より詳細には、
F源を含まないCaO系媒溶剤を用いた場合でも効率的
な脱燐を行うことができる低燐溶銑の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、溶銑段階で予備脱燐を行い、溶銑
中のPをある程度除去してから転炉脱炭吹錬を行う溶銑
予備処理法が発展してきた。この予備脱燐処理はトーピ
ード、溶銑鍋、転炉などの設備で実施され、CaO系媒
溶剤と気体酸素や固体酸素源などの酸素源を添加して行
われる。この脱燐処理の際に溶銑からスラグ側にPを効
率的に移行させるためには、スラグ組成やスラグ量など
の制御が重要な因子となる。特に、媒溶剤にCaF
添加することにより、1)スラグの融体性が向上する、2)
SiOのネットワークを分断してCaイオンが増加す
る、3)FeOの活量が増加する、などの作用が得られる
ことが従来から指摘されており、実操業でも脱燐の反応
性を高めるためにCaFが広く使用されている。
【0003】例えば、特公平6−17496号公報で
は、添加するCaOと酸素Oの重量比CaO/O以外
に、[CaF+Al]/CaO及びAl
/CaF の各重量比を規定し、CaF添加により脱
燐効率を向上させる技術が開示されている。ところが、
最近では環境保護の観点からスラグ中Fの溶出量の規制
基準が強化される傾向にあり、このため脱燐スラグ中の
F濃度を極限まで低下させる必要が生じている。
【0004】このためCaFなどのF源を使用しない
脱燐処理技術の開発が強く望まれているが、現状ではス
ラグを低塩基度化してスラグ量を極端に多くした操業を
行うとか、多重処理を実施するなどの方法しか有効な対
策がないのが実情である。しかし、前者のように脱燐ス
ラグ量が極端に増大することは、環境保護の面から強く
望まれているスラグ量削減というニーズに逆行するもの
であり、また、後者のように多重処理を実施することは
溶鋼の製造コストの上昇を招く問題があり、したがっ
て、これらは抜本的な対策にはなり得ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、このような従来技術の課題を解決し、CaF
どのF源を含まない媒溶剤を用いた場合でも溶銑脱燐を
効率的に行うことができる低燐溶銑の製造方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、CaF
(蛍石等)などのF源を使用することなく効率的に脱燐
処理を行うことができる溶銑予備処理法を見い出すべ
く、転炉型容器を用いて種々の実験と検討を行った。先
に述べたようにCaFはスラグの溶融性を確保するた
めに重要な働きをしており、本発明者らの実験において
も、CaFを添加しない場合には添加された媒溶剤
(CaO源)は見掛け上滓化したようには見えず、脱燐
反応効率も低下した。しかし、種々の実験の結果、以下
のような事実が判明した。
【0007】すなわち、CaO源と酸素源の投入条件を
種々変えて行った実験の結果から、初期のスラグを溶融
させることができれば脱燐反応効率が飛躍的に増加する
こと、また、このような初期のスラグの溶融は、初期C
aO源の添加前に溶銑に酸素源を供給して酸化鉄(Fe
O)を積極的に生成させることにより達成できることが
判った。すなわち、従来ではCaO源の滓化をなるべく
早めるためには早期にCaO源を添加して送酸を行うこ
とが必要であると考えられてきたが、このような従来の
常識に反し、初期CaO源を添加するのに先立ち、まず
溶銑に酸素源のみを供給することによりFeOを生成さ
せてスラグ中の酸化鉄濃度を高めておき、しかる後Ca
O源を添加(好ましくは、分割添加)することにより、
CaFなどのF源を含まないCaO−FeO系スラグ
でも十分に溶融する領域が生じ、脱燐反応効率が飛躍的
に向上することが判った。
【0008】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴とする構成は以下の通りである。 [1] 溶銑予備処理として行われる脱燐処理において、溶
銑にCaO源である媒溶剤を添加する前に酸素源を供給
することでスラグ中の酸化鉄濃度を高めておき、しかる
後、CaO源である媒溶剤を添加することを特徴とする
低燐溶銑の製造方法。 [2] 上記[1]の製造方法において、媒溶剤を複数回に分
けて添加することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0009】[3] 上記[1]または[2]の製造方法におい
て、溶銑にCaO源である媒溶剤を添加する前に下記
(1)式を満足する量の酸素源を供給することを特徴とす
る低燐溶銑の製造方法。 0.010≦B/A≦0.50 … (1) 但し A:脱燐処理に要する媒溶剤中の全CaO量[k
g/T] B:気体換算の酸素供給量[Nm/T] [4] 上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、媒溶
剤添加前の酸素源の供給時における排ガスのガス分析値
から溶銑の脱炭量を求め、該脱炭量と酸素源の供給量に
基づいてスラグ中の酸化鉄濃度を算出し、この酸化鉄濃
度値に基づいて酸素源の供給条件を制御することを特徴
とする低燐溶銑の製造方法。
【0010】[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法に
おいて、Si濃度が0.10重量%以下の溶銑を脱燐処
理することを特徴とする低燐溶銑の製造方法。 [6] 上記[5]の製造方法において、Si濃度が0.10
重量%を超える溶銑を0.10重量%以下のSi濃度ま
で脱珪処理した後、脱燐処理することを特徴とする低燐
溶銑の製造方法。 [7] 上記[1]〜[6]のいずれかの製造方法において、F源
を含まないCaOを主体とした媒溶剤を用いることを特
徴とする低燐溶銑の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明の低燐溶銑の製造方法
(脱燐方法)では、溶銑にCaO源である媒溶剤を添加
する前に酸素源を供給することでスラグ中の酸化鉄(F
eO)濃度を高めておき、しかる後CaO源である媒溶
剤を添加するものであり、これによりCaFなどのF
源を添加しなくても脱燐反応効率を飛躍的に高めること
が可能になる。これは、媒溶剤添加前の溶銑への酸素源
の添加によってFeOを十分に生成させ、酸化鉄濃度が
高い初期スラグを溶融させておき、このような高酸化鉄
濃度の初期スラグ中にCaO源を直接投入することによ
り、高濃度に生成しているFeO中に高融点のCaOが
取り込まれる形で滓化が進行するため、CaO+FeO
の反応による滓化が飛躍的に促進されるためであると考
えられる。
【0012】これに対して、従来技術のように早い時期
にCaO源を投入して酸素源の供給を行った場合には、
上述した本発明の作用とは逆に、酸素源の供給により生
成したFeOが未滓化のCaO中に取り込まれる形で滓
化が進行するため、CaO+FeOの反応による滓化が
迅速に進行しないものと考えられる。
【0013】この発明において媒溶剤の添加前に溶銑に
供給される酸素源としては、FeOを生成させるもので
あれば気体酸素、固体酸素源の何れでもよいが、スラグ
−メタル界面の温度を上昇させることができるという点
で気体酸素の方がより好ましい。また、気体酸素と固体
酸素源を併用してもよい。使用する気体酸素は純酸素ガ
ス、酸素含有ガスのいずれでもよく、また、固体酸素源
としては酸化鉄やミルスケールなどを用いることができ
る。なお、この発明の脱燐処理は、CaO源である媒溶
剤の添加前に溶銑に酸素源の供給を行うことを特徴とす
るものであるが、当然のことながら媒溶剤を添加した以
降も酸素源(気体酸素及び/又は固体酸素源)の供給が
行われる。
【0014】この発明に係る低燐溶銑の製造方法では、
媒溶剤の添加前の酸素源の供給により初期FeOの生成
量を確保しておくことが重要であるが、一方において酸
素源の供給により溶銑の脱炭も進行し、また、過剰な量
の酸素源を供給すると媒溶剤添加後の酸素源の供給にお
いて酸素量が不足する事態を招くため、媒溶剤添加前の
酸素供給量を適正化することが必要である。すなわち、
CaO源である媒溶剤を添加する前に供給する酸素量
は、必要且つ十分なFeO生成量を確保するという観点
から、下記(1)式を満足することが好ましい。 0.010≦B/A≦0.50 … (1) 但し A:脱燐処理に要する媒溶剤中の全CaO量[k
g/T](T:溶銑ton、以下同様) B:気体換算の酸素供給量[Nm/T]
【0015】ここで、B/A<0.010では媒溶剤添
加前のFeO生成量を十分に確保することができず、一
方、B/A>0.50では、媒溶剤添加後の酸素源の供
給における酸素量が不足し、所望の脱燐率が確保できな
くなるおそれがあり、また、溶銑の脱炭量も多くなるた
め好ましくない。また、このような観点から特に好まし
いB/Aの範囲は0.05〜0.20である。上記のよ
うに酸素源を供給して所定の濃度のFeOを生成させた
後、CaO源である媒溶剤を添加するが、媒溶剤添加時
にその滓化に必要な量のFeOを生成させておくため、
媒溶剤の添加は複数回に分けて行うことが好ましい。ま
た、同様の理由から、媒溶剤を少量ずつ連続的又は間欠
的に添加してもよい。
【0016】また、この発明を実施する際に媒溶剤添加
前の酸素源の供給量を適切に制御する方法として、以下
のような方法を採ることができる。すなわち、媒溶剤添
加前の酸素源の供給時に、脱燐容器から排出される排ガ
スのガス分析(排ガス中のC濃度分析)をオンラインで
実施することにより溶銑の脱炭量を求めることができ、
この脱炭量と酸素源の供給量に基づき、さらには溶銑の
脱珪推定量、排ガス分析から求められる二次燃焼量など
を必要に応じて勘案することにより、脱燐容器内に蓄積
された酸素量を求めることができ、さらにこれからスラ
グ中のFeO量が算出できる。したがって、排ガスのガ
ス分析値から溶銑の脱炭量を求め、この脱炭量と酸素源
の供給量に基づいてスラグ中の酸化鉄濃度を算出し、こ
の酸化鉄濃度の算出値に基づいて酸素源の供給条件(例
えば、送酸量、送酸速度など)を制御すれば、媒溶剤添
加前の酸素源供給による酸化鉄濃度の制御を容易に行う
ことができる。
【0017】さらに、この発明の効果は脱燐処理前の溶
銑のSi濃度によって差があり、脱燐処理前のSi濃度
が0.10wt%以下の溶銑に対して本発明法を実施し
た場合に特に顕著な脱燐反応効率が得られることが判っ
た。一般に、脱燐処理前の溶銑のSi濃度が高いと生成
するSiOが多くなり、この結果、スラグ量が増加す
るだけでなく、塩基度調整のためのCaO量も多くな
る。したがって、このような観点からは脱燐処理前の溶
銑のSi濃度は低い方が好ましいが、一方において、脱
燐処理前の溶銑のSi濃度が低いとスラグ中のSiO
濃度が低下するためCaOの溶融性がさらに悪化し、脱
燐反応効率が低下してしまう。
【0018】ところが、本発明者らが種々のSi濃度を
有する溶銑について本発明法を実施したところ、上記の
ような予想に反して、脱燐処理前Si濃度が0.10w
t%以下の溶銑に対して本発明法を実施した場合に、特
に顕著な脱燐反応効率が得られることが判った。この理
由は次のように考えられる。まず、第一の理由として
は、溶銑中のSi濃度が低いと、媒溶剤添加前に供給さ
れた酸素源のうち、溶銑中のSiと反応してSiO
生成に消費される割合が少ないため、それだけFeOの
生成量が多くなり、このためにCaOの滓化がより効果
的に促進されることが考えられる。
【0019】また、第二のより大きな理由として、以下
の点が挙げられる。すなわち、脱燐反応ではPは3Ca
O・Pまたは4CaO・Pの形でスラグ中
に固定される。したがって、スラグ中のSiOは脱燐
には直接必要がないスラグ成分であり、また、このSi
の一部は滓化したCaOの一部と反応し、このSi
と反応したCaOは脱燐反応には寄与しないことに
なる。したがって、溶銑のSi濃度が低くSiO生成
量が少ないと、SiOと反応して脱燐反応に寄与しな
くなるCaO量が減少し、脱燐反応に寄与できるCaO
量が相対的に増加することになるが、特に本発明法の場
合にはCaOの滓化能が極めて高いため、溶銑の低Si
濃度に起因した上記スラグ組成(脱燐反応に寄与できる
CaO量の増加)の影響が顕著に現われ、この結果、脱
燐反応効率が向上するものと考えられ、また、このよう
な効果が脱燐処理前の溶銑中Si濃度:0.10wt%
以下の低Si濃度領域において顕在化するものと考えら
れる。これに対して従来法では、溶銑のSi濃度が低く
SiO生成量が少ないことにより脱燐反応に寄与でき
るCaO量が相対的に増加しても、元来CaOの滓化能
が低いため、上述したような溶銑の低Si濃度化による
効果が現われないものと考えられる。
【0020】このように本発明の低燐溶銑の製造方法は
Si濃度が0.10wt%以下の溶銑に対して実施した
場合に特に効果が大きく、したがって、出銑された溶銑
のSi濃度が0.10wt%を超える場合には、高炉鋳
床や溶銑鍋などで脱珪処理(通常、固体酸素源や気体酸
素などの酸素を溶銑に添加して行う)を実施し、脱燐処
理前の溶銑のSi濃度を0.10wt%以下とした上で
脱燐処理を行うことが好ましい。
【0021】この発明の脱燐処理が実施される容器とし
ては、フリーボードが十分に確保できるという点から転
炉型容器が最も好ましいが、これ以外にも溶銑鍋、トー
ピードなどの任意の容器を用いることができる。また、
酸素源の供給方法(媒溶剤添加前及び添加後の供給方
法)に特別な制約はなく、気体酸素の場合にはランスに
よる上吹きや溶銑中へのインジェクション、或いは底吹
きなどの任意の方法で送酸を行うことができ、また、固
体酸素源の場合にはインジェクションや上置き装入など
の任意の方法で溶銑中への供給を行うことができる。な
お、気体酸素を供給する場合、脱燐処理を転炉型容器や
溶銑鍋などを用いて実施する場合にはランスによる上吹
きが、また、トーピードを用いて実施する場合にはラン
スによる溶銑中へのインジェクションが一般的である。
【0022】また、脱燐効率をさらに向上させるために
は溶銑をガス撹拌させることが好ましい。このガス撹拌
は、例えばインジェクションランスや底吹きノズルなど
を通じて窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを溶
銑中に吹き込むことにより行われる。このような撹拌ガ
スの供給量としては、十分な浴撹拌性を得るために0.
03Nm/min/T以上とし、また、浴の撹拌が強
すぎると生成したFeOを溶銑中のCが還元する速度が
大きくなり過ぎるためのため0.3Nm/min/T
以下とすることが好ましい。
【0023】この発明の脱燐処理は、CaFなどのF
源を含まないCaOを主体とした媒溶剤を使用するだけ
で高い脱燐反応効率が得られることが最大の特徴である
が、CaFなどのF源の添加を排除するものでなく、
例えば、CaO源の滓化をより促進するために、許容さ
れる限度でCaFなどのF源を添加することを妨げな
い。なお、この発明の脱燐処理においてCaFなどの
F源を含まないCaOを主体とした媒溶剤のみを使用す
る場合、媒溶剤がF源を含まないとはF源を実質的に含
まないことを意味し、したがって、媒溶剤中に例えば不
可避的不純物などとして少量のF源が含まれることは妨
げない。
【0024】
【実施例】[実施例1]高炉から出銑された溶銑を高炉
鋳床と溶銑鍋において脱珪処理し、次いで機械撹拌を用
いた溶銑鍋内で脱硫処理した後、300ton転炉内で
脱燐処理を行った。この実施例では、脱燐処理前後での
溶銑温度を1280〜1320℃とし、脱燐用の媒溶剤
としてはCaFを含まないCaO主体の焼石灰のみを
用いた。CaOの原単位は8〜12kg/Tとした。
【0025】また、気体酸素の供給は上吹きランスで行
うとともに、鉄鉱石を主体とした固体酸素源の添加も行
い、全酸素原単位を気体O換算で8〜10Nm/T
とした。送酸速度は15000〜25000Nm/h
r、ランス高さは1.5〜2.5mとし、所定の気体酸
素量を供給するため、吹錬時間(全吹錬時間)は9〜1
1分とした。本実施例では、P濃度が0.1wt%でほ
ぼ一定で、Si濃度が種々異なる溶銑について、本発明
例及び比較例の脱燐処理を実施した。
【0026】本発明例では、媒溶剤の添加に先立ち溶銑
に対する気体酸素の供給を行った後、媒溶剤を約30秒
おきに2〜6回に分けで分割添加した。また、媒溶剤添
加前の吹錬時間は15秒〜4分間とし、脱燐処理に要す
る媒溶剤中の全CaO量A[kg/T]と気体換算の酸
素供給量B[Nm/T]の比B/Aが0.010〜
0.50の範囲内になるようにした。一方、比較例で
は、本発明例のような媒溶剤添加前の送酸を行うことな
く、初期媒溶剤の添加と同時に送酸を開始した。
【0027】図1に脱燐処理後の溶銑中のP濃度を脱燐
処理前の溶銑中のSi濃度との関係を示す。これによれ
ば、本発明例では脱燐処理前の溶銑中のSi濃度に拘り
なく、比較例に較べて極めて高い脱燐反応効率が得ら
れ、目標とする0.020wt%以下のP濃度が達成さ
れている。また、脱燐処理前の溶銑中のSi濃度が0.
15wt%以下において[P]≦0.015wt%以下
が達成され、とりわけ脱燐処理前の溶銑中のSi濃度が
0.10wt%以下において低P規格の[P]≦0.0
10wt%が安定して達成されている。また、本発明例
のなかでもB/A≦0.20(但し、B/A≧0.0
5)の場合により高い脱燐反応効率が得られている。
【0028】[実施例2]実施例1と同様に、高炉から
出銑された溶銑を高炉鋳床と溶銑鍋において脱珪処理
し、次いで機械撹拌を用いた溶銑鍋内で脱硫処理した
後、300ton転炉内で脱燐処理を行った。脱燐処理
前後での溶銑温度を1280〜1320℃とし、脱燐用
の媒溶剤としてはCaFを含まないCaO主体の焼石
灰のみを用いた。
【0029】この実施例では、媒溶剤の添加に先立ち酸
素源として気体酸素、固体酸素源(ミルスケール)の1
種以上を溶銑に対して供給した。このうち気体酸素の供
給は上吹きランスにより行い、吹錬時間は15秒〜4分
間とした。また、固体酸素源であるミルスケールの供給
は連続上置き投入により行った。媒溶剤の添加は、約3
0秒おきに2〜6回に分けて分割添加する方法または媒
溶剤全量を一括添加する方法で行った。媒溶剤添加後
は、上吹きランスにより気体酸素の供給を行うととも
に、鉄鉱石を主体とした固体酸素源の添加も行い、媒溶
剤添加前に供給する酸素源を含めた全酸素原単位を気体
換算で8〜10Nm/Tとした。
【0030】上吹きランスを用いた送酸では、送酸速度
は15000〜25000Nm/hr、ランス高さは
1.5〜2.5mとし、所定の気体酸素量を供給するた
めの吹錬時間(全吹錬時間)は9〜11分とした。本実
施例では、P濃度が0.1wt%でほぼ一定で、Si濃
度が種々異なる溶銑について、脱燐処理に要する媒溶剤
中の全CaO量A[kg/T]と媒溶剤添加前に供給さ
れた酸素源の気体換算の酸素供給量B[Nm/T]と
の比B/Aを種々変えて脱燐処理を実施した。
【0031】本実施例における脱燐処理前後の溶銑成分
と比B/Aを表1及び表2に示す。これによれば比B/
Aを0.010〜0.50の範囲にすることにより高い
脱燐反応効率が得られることが判る。また、比B/A:
0.010〜0.50のなかでもB/Aが0.05〜
0.20の範囲において特に良好な脱燐反応効率が得ら
れている。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】以上述べたように本発明法によれば、C
aFなどのF源を含む媒溶剤を用いることなく極めて
優れた脱燐効率で溶銑の脱燐処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、脱燐処理後の溶銑中P濃度
を脱燐処理前の溶銑中のSi濃度との関係で示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 宏 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡辺 敦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田中 秀栄 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 赤井 真一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 菊地 良輝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田畑 芳明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 小平 悟史 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K013 BA03 CA04 CA12 CB09 EA02 EA03 4K014 AA03 AB03 AB04 AC03 AC12 4K070 AB06 AC02 AC13 AC14 BA05 EA27 EA30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑予備処理として行われる脱燐処理に
    おいて、溶銑にCaO源である媒溶剤を添加する前に酸
    素源を供給することでスラグ中の酸化鉄濃度を高めてお
    き、しかる後、CaO源である媒溶剤を添加することを
    特徴とする低燐溶銑の製造方法。
  2. 【請求項2】 媒溶剤を複数回に分けて添加することを
    特徴とする請求項1に記載の低燐溶銑の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶銑にCaO源である媒溶剤を添加する
    前に下記(1)式を満足する量の酸素源を供給することを
    特徴とする請求項1または2に記載の低燐溶銑の製造方
    法。 0.010≦B/A≦0.50 … (1) 但し A:脱燐処理に要する媒溶剤中の全CaO量[k
    g/T] B:気体換算の酸素供給量[Nm/T]
  4. 【請求項4】 媒溶剤添加前の酸素源の供給時における
    排ガスのガス分析値から溶銑の脱炭量を求め、該脱炭量
    と酸素源の供給量に基づいてスラグ中の酸化鉄濃度を算
    出し、この酸化鉄濃度値に基づいて酸素源の供給条件を
    制御することを特徴とする請求項1、2または3に記載
    の低燐溶銑の製造方法。
  5. 【請求項5】 Si濃度が0.10wt%以下の溶銑を
    脱燐処理することを特徴とする請求項1、2、3または
    4に記載の低燐溶銑の製造方法。
  6. 【請求項6】 Si濃度が0.10wt%を超える溶銑
    を0.10wt%以下のSi濃度まで脱珪処理した後、
    脱燐処理することを特徴とする請求項5に記載の低燐溶
    銑の製造方法。
  7. 【請求項7】 F源を含まないCaOを主体とした媒溶
    剤を用いることを特徴とする請求項1、2、3、4、5
    または6に記載の低燐溶銑の製造方法。
JP2002104930A 1998-06-18 2002-04-08 低燐溶銑の製造方法 Pending JP2002309310A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002104930A JP2002309310A (ja) 1998-06-18 2002-04-08 低燐溶銑の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18825698 1998-06-18
JP10-188256 1998-06-18
JP2002104930A JP2002309310A (ja) 1998-06-18 2002-04-08 低燐溶銑の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17324499A Division JP3332010B2 (ja) 1998-06-18 1999-06-18 低燐溶銑の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002309310A true JP2002309310A (ja) 2002-10-23

Family

ID=26504814

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002104930A Pending JP2002309310A (ja) 1998-06-18 2002-04-08 低燐溶銑の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002309310A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002317218A (ja) * 2001-04-20 2002-10-31 Kawasaki Steel Corp 溶銑の脱燐方法
JP2009249666A (ja) * 2008-04-03 2009-10-29 Nippon Steel Corp 溶銑の脱りん精錬方法
JP2011137197A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Nippon Steel Corp 溶銑の脱Si脱P処理方法
CN104531948A (zh) * 2006-02-28 2015-04-22 杰富意钢铁株式会社 铁水脱磷方法
WO2019172195A1 (ja) * 2018-03-07 2019-09-12 日本製鉄株式会社 溶銑の脱りん方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002317218A (ja) * 2001-04-20 2002-10-31 Kawasaki Steel Corp 溶銑の脱燐方法
CN104531948A (zh) * 2006-02-28 2015-04-22 杰富意钢铁株式会社 铁水脱磷方法
JP2009249666A (ja) * 2008-04-03 2009-10-29 Nippon Steel Corp 溶銑の脱りん精錬方法
JP2011137197A (ja) * 2009-12-28 2011-07-14 Nippon Steel Corp 溶銑の脱Si脱P処理方法
WO2019172195A1 (ja) * 2018-03-07 2019-09-12 日本製鉄株式会社 溶銑の脱りん方法
KR20200097797A (ko) 2018-03-07 2020-08-19 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 용선의 탈인 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0159180B1 (ko) 전로제강법
JP3332010B2 (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP2002309310A (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP3345677B2 (ja) 溶銑の脱りん方法
JP2007092181A (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP2002249814A (ja) 低燐溶銑の製造方法
JPH09165615A (ja) 溶融金属の脱窒方法
JPH10102119A (ja) 硫黄快削鋼の製造方法
JPH11323420A (ja) 溶銑予備処理方法
KR100681292B1 (ko) 저인용선의 제조방법
JP2001049320A (ja) 高燐鉱石を原料とする鉄鋼製造方法
JP2000109924A (ja) 極低硫鋼の溶製方法
JPH11323419A (ja) 溶銑精錬方法
JP3832386B2 (ja) 低燐溶銑の製造方法
US4065297A (en) Process for dephosphorizing molten pig iron
JP3531480B2 (ja) 溶銑の脱燐方法
JP3823623B2 (ja) 溶銑精錬方法
JP2000087125A (ja) 溶銑の脱燐精錬方法
JP3823898B2 (ja) 低燐溶銑の製造方法
JPH0813016A (ja) 溶銑の脱燐・脱硫法
JPS6121285B2 (ja)
JP4356275B2 (ja) 溶銑精錬方法
JP2002161304A (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP2000290716A (ja) 溶銑精錬方法
JP4026447B2 (ja) 低燐溶銑の製造方法