JPH10102119A - 硫黄快削鋼の製造方法 - Google Patents

硫黄快削鋼の製造方法

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JPH10102119A
JPH10102119A JP25444796A JP25444796A JPH10102119A JP H10102119 A JPH10102119 A JP H10102119A JP 25444796 A JP25444796 A JP 25444796A JP 25444796 A JP25444796 A JP 25444796A JP H10102119 A JPH10102119 A JP H10102119A
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hot metal
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ore
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English (en)
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Masafumi Hanao
方史 花尾
Toru Matsuo
亨 松尾
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高MnS快削鋼の安価な製造方法を提供する。 【解決手段】下記(1)の第1工程から(3)の第3工程によ
って、溶銑からS快削鋼を製造する。 (1) 容器中の溶銑にマンガン鉱石、生石灰および蛍石を
添加し、スラグ塩基度を0.5〜1.5 の範囲に調整して撹
拌することにより、溶銑の脱珪およびマンガン上昇の同
時処理を実施する第1工程。 (2) 第1工程後の溶銑を精錬炉に装入し、石灰系造滓剤
およびマンガン鉱石を添加し、酸素吹錬して脱炭を行う
第2工程。 (3) 第2工程後の溶鋼に、少なくとも硫黄源を添加し成
分調整を行う第3工程。 【効果】安価なMn鉱石の利用により溶銑中のMn濃度を効
果的に上昇させ、その後の精錬炉吹錬で酸化ロスを抑制
することができるので、高価なMn添加用合金鉄の使用量
を節減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶銑から、鉛入り
の硫黄快削鋼を含む硫黄快削鋼を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】硫黄快削鋼は、一般に硫黄濃度が0.08〜
0.40重量%程度、炭素が0.05から0.45重量%程度、マン
ガンが 0.4〜1.6 重量%程度、りんが 0.04〜0.09 重量
%程度であり、硫黄のほか、炭素、マンガンおよびりん
濃度が比較的高い鋼種である。これらの元素のほかに、
切削性向上元素として、0.10〜0.35重量%程度の鉛を含
むものもある。本発明では、鉛入りの硫黄快削鋼を含め
て硫黄快削鋼と呼ぶことにする。
【0003】上記のような炭素濃度が比較的高い高マン
ガンの硫黄快削鋼の一般的な製造方法は以下のとおりで
ある。まず、高炉から出銑された溶銑を転炉で吹錬し、
脱炭および必要な濃度範囲に至るまでのわずかな脱りん
処理を実施する。転炉からの出鋼時に、マンガン添加用
の合金鉄、硫黄含有鉱石などを添加して主要成分である
マンガンおよび硫黄濃度を調整する。この際、必要に応
じて同時にその他の合金成分の濃度の調整も行う。な
お、鉛の添加は鋳造時に行うことが多い。
【0004】上記の現状の製造方法では、溶銑中の珪素
(以下、Siと記す)濃度が高い場合、転炉吹錬時に酸化
されて生じる二酸化珪素(以下、SiO2と記す)の量が、
Si濃度に応じて多くなる。このSiO2は酸性酸化物であ
る。したがって、転炉吹錬時の耐火物溶損を軽減し、必
要最低限の脱りん処理効果を確保するために、酸化カル
シウム(以下、CaO と記す) 等の塩基性酸化物を添加し
て、スラグの塩基度(スラグ中CaO 重量濃度のスラグ中
SiO2重量濃度に対する比)を維持する必要が生じる。つ
まり、SiO2生成量の増大とともにCaO 添加量を増加する
必要が生じるので、転炉吹錬時のスラグ量が多い。
【0005】転炉吹錬において、溶鋼中の鉄(以下、Fe
と記す)やマンガン(以下、Mnと記す)が吹錬中に酸化
され、スラグ中へ移行する。この移行量は、スラグ量の
増大とともに増えるので、FeおよびMnの酸化ロス量も増
大する。その場合には、Fe歩留が低下し、転炉吹錬終了
後に添加するMn添加用の合金鉄の量が増加する。Mn添加
用のフェロマンガン等の合金鉄は価格が高いので、製造
コスト的が高くなるという欠点がある。
【0006】このような理由で、転炉吹錬においては、
必要最低限の脱りん効果が確保できる条件下で、スラグ
量をできるだけ少なくすることが望まれている。
【0007】転炉吹錬時のスラグ量を少なくするために
は、事前の予備処理として溶銑脱Siを実施することが考
えられる。しかしこの場合、脱Si剤として用いられるの
は通常、鉄鉱石およびスケールなどの酸化鉄であり、溶
銑中のSiとともにMnも同時に酸化されるので、溶銑中の
Mnの有効利用に対しては不利である。
【0008】いずれにしても、現状の方法では、転炉吹
錬終了時の溶鋼中Mn濃度は十分に高いものではない。し
たがって、転炉吹錬後の成分調整用に添加するMn添加用
合金鉄の量が多いため、高Mnの硫黄(以下、Sと記す)
快削鋼を安価に製造するという課題を解決するには至っ
ていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶銑
の精錬時にMn鉱石を添加し、精錬後の溶鋼中のMn濃度を
高くすることにより、低いコストで製造することができ
る硫黄快削鋼の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の第1工程から(3)の第3工程によって硫黄快
削鋼を製造する方法にある。
【0011】(1)容器中の溶銑にマンガン鉱石、生石
灰および蛍石を添加し、スラグ塩基度を 0.5〜1.5 の範
囲に調整して撹拌することにより、溶銑の脱珪およびマ
ンガン上昇処理を実施する第1工程。
【0012】(2)第1工程後の溶銑を精錬炉に装入
し、石灰系造滓剤およびマンガン鉱石を添加し、酸素吹
錬して脱炭を行う第2工程。
【0013】(3)第2工程後の溶鋼に、少なくとも硫
黄源を添加し成分調整を行う第3工程。
【0014】本発明者らは、特開平6-271920号公報にお
いて、CaO 、CaF2およびMn鉱物を添加することにより、
溶銑の脱Si、Mn上昇および脱S処理を同時に実施する方
法を開示した。この方法は、高Mn低S鋼の溶製におい
て、前提としている溶銑脱りん処理の前工程である脱S
処理時に適正レベルまで脱Siすることにより、次工程の
溶銑脱りん処理時の造滓剤を節減し、より少量のスラグ
での効果的な脱りん処理を可能にするものである。
【0015】図1は、高炉溶銑にCaO 、CaF2およびMn鉱
石を添加して転炉吹錬した場合のMn歩留および脱S率と
スラグ塩基度(CaO/SiO2)との関係を示す図である。十
分な脱S率を得るためにはスラグ塩基度を2.0 程度以上
にする必要があるのに対して、Mn歩留はスラグ塩基度が
0.5 程度でも高いことが分かる。
【0016】一方、S快削鋼の製造においては、精錬後
の溶鋼中のMn濃度は高いことが望ましく、脱S処理は不
要で、脱りんはわずかでよい。本発明者らは、脱S処理
が不要で、脱りんがわずかでよい比較的高炭素で高Mnの
S快削鋼を製造する場合に、溶銑の脱SiおよびMn上昇を
効果的に行う方法について検討し、次の(a)〜(d)の知見
を得た。
【0017】(a) CaO 、CaF2およびMn鉱石を溶銑に添加
して脱SiおよびMn上昇を行う際に、スラグ塩基度を 0.5
〜1.5 、さらに望ましくは 0.5〜1.0 の範囲に設定する
ことにより、脱Sを抑制した状態で効果的に溶銑中のMn
濃度を上昇させることが可能である。
【0018】(b) 脱りん処理は、スラグミニマム状態で
の精錬炉吹錬において脱炭と同時に進行する程度で十分
であり、必要最低限の脱りんが実施可能な程度まで吹錬
時のスラグ量を低減しても、差し支えない。
【0019】(c) スラグミニマム状態での精錬炉吹錬に
おいては、スラグ中へのMnの酸化ロスも低減される。さ
らに、Mn鉱石を添加して吹錬することにより、吹錬終了
時の溶鋼中のMn濃度(以下、終点Mn濃度と記す)の低下
を抑制するのが可能である。
【0020】(d) S快削鋼の製造においては、製品の炭
素濃度が0.05〜0.45%程度と比較的高い範囲にあるた
め、比較的高い炭素濃度、すなわち比較的高いMn濃度で
精錬炉吹錬を終了することが可能である。この理由は下
記のとおりである。
【0021】精錬炉吹錬においては、終点近くでは脱炭
速度が遅くなるとともに、FeやMnの酸化量が増大してく
る。この傾向は炭素濃度が低くなるほど顕著になる。そ
のため、予めMn濃度を上昇させた溶銑を吹錬しても、Mn
濃度上昇分に応じてスラグ中へのMnロスが増大する。し
かし、S快削鋼の製造時には、高い炭素濃度で吹錬を終
了できるため、吹錬末期におけるMnの酸化ロスが抑制さ
れ、Mn歩留の低下を抑えることができる。これを図2に
より説明する。
【0022】図2は、精錬炉吹錬(第2工程)における
Mn歩留と吹錬終了時の溶鋼中の炭素濃度(以下、終点炭
素濃度と記す)との関係を示す図である。図示のとお
り、終点炭素濃度が高いほど、Mn歩留も高い。このこと
は、上記(d) で述べたように、高Mn溶銑を吹錬すること
によって終点Mn濃度を高くすることができることを意味
している。すなわち、Mn添加用の合金鉄の使用量を節減
できることを示している。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、高炉などか
ら出銑された溶銑に対して、脱SiおよびMn上昇処理を行
う第1工程、次いでこの溶銑に対して、精錬炉吹錬によ
り、Mn鉱石を添加するとともに脱炭を行う第2工程、さ
らに精錬炉吹錬後の溶鋼に、硫黄源をはじめとする合金
鉄を添加することにより成分調整を行う第3工程の3つ
の工程で構成されている。なお、以下、化学組成の%表
示は重量%を意味する。
【0024】第1工程において、取鍋またはトーピード
などの容器中の溶銑に対してMn鉱石、生石灰および蛍石
を添加し、スラグ塩基度を 0.5〜1.5 の範囲に調整して
撹拌を行い、溶銑の脱SiおよびMn上昇処理を行う。Mn鉱
石はMn源および脱Si剤、生石灰はスラグ塩基度の調整剤
および蛍石はスラグ滓化促進剤となるものである。
【0025】第1工程において最も留意すべきは、Mn鉱
石の還元による脱Si反応をいかに効率よく進行させる
か、という点である。
【0026】Mn鉱石中の酸化Mnが、溶銑中のSiと次式
の反応を起こすことにより、溶銑の脱SiおよびMn上昇が
進行する。
【0027】 2(MnO) + 〔Si〕= 2〔Mn〕+ (SiO2) ・・・・・ スラグを構成する酸化物は、Mn鉱石から溶解してくるMn
O および式により生成するSiO2が主要なものである。
MnO-SiO2の二元系スラグにおいては、MnO がスラグ中に
安定して存在するので、MnO の還元反応はある程度以上
は進まなくなる。
【0028】そこで、スラグ中のMnO の還元反応の促進
を目的として生石灰を添加する。生石灰はスラグへのCa
O 源である。スラグ中にCaO が存在することにより、ス
ラグ中のMnO の活量が増大するため、MnO の還元反応が
さらに進行する。したがって、スラグ中のMnO の還元反
応に対して、スラグ塩基度の設定が重要となる。
【0029】スラグ塩基度が増加するとスラグ−溶銑間
のMn分配比((Mn)/[Mn]) が減少するので、スラグ中の
MnO の還元反応を促進してMn歩留を向上させるために
は、図1に示したようにスラグ塩基度を高くするのが望
ましい。生石灰を添加し、スラグ塩基度を 0.5以上とす
れば90%以上のMn歩留が得られる。一方、1.5 を超える
と、S快削鋼の製造にとっては好ましくない程度まで過
度に脱Sが進行する。図示のとおり、スラグ塩基度が1.
0 程度以上になると、溶銑からの脱S反応が進行し始め
るので、望ましいスラグ塩基度の範囲は 0.5〜1.0 であ
る。
【0030】このとき、CaF2がスラグ中に存在すると、
スラグの融点が低下し流動性が向上するため、Mn鉱石の
スラグへの溶融およびスラグ中のMnO の還元反応が促進
される。
【0031】Mn鉱石としては、通常のマンガン鉱石のほ
かに鉄マンガン鉱石などを用いることが可能で、その添
加量は必要な脱Si量に応じて、式の化学量論的なバラ
ンスにより決めるのがよい。通常の添加量の範囲は5〜
30kg/t(kg/t:溶銑1ton あたりの添加量)である。
【0032】生石灰の添加量は、式の反応により生成
するSiO2量に対して、目標のスラグ塩基度を指標に決定
するのがよい。通常の添加量の範囲は5〜30kg/tであ
る。
【0033】蛍石の添加量は、生石灰の添加量に対して
設定するのが適切であり、生石灰の添加量の1/10〜1/2
程度がよい。通常の添加量の範囲は、1〜15kg/tであ
る。
【0034】Mn鉱石、生石灰および蛍石の添加方法は、
インジェクションまたはホッパーからの切出しのいずれ
でもよい。ホッパーからの切出し添加の場合、一括添加
でもよいが、より反応を効率よく進行させるためには、
分割添加または連続添加が望ましい。
【0035】Mn鉱石、生石灰および蛍石の添加順序は、
Mn鉱石を添加してまず還元反応を起こさせ、SiO2の生成
および液相スラグの形成を待って、SiO2の生成量に見合
った量の生石灰および蛍石を徐々に添加するのがよい。
【0036】脱SiおよびMn上昇処理では、Mn鉱石、生石
灰および蛍石の添加後、反応速度が大きくなるように、
溶銑の撹拌を行うのがよい。撹拌方法にはガスバブリン
グ、インペラー回転などがあるが、いずれでも構わな
い。
【0037】第1工程を終了した後の溶銑中のSi濃度の
望ましい範囲は、0.10〜0.30重量%程度である。この理
由は後述のとおりである。
【0038】次いで、上記のように脱SiおよびMn上昇処
理を実施した後の溶銑を、脱りん処理することなく第2
工程に送り、精錬炉に装入する。精錬炉は、転炉を用い
るのが望ましい。この工程では、石灰系造滓剤とともに
Mn鉱石を添加し、酸素吹錬して脱炭を行いながらMn鉱石
を添加し、スラグ中の(MnO) を高めて溶鋼中のMnの酸化
ロスを抑制することにより、溶鋼中の終点Mn濃度の低下
を抑える。脱炭は所定の終点炭素濃度になるまで行う
が、この工程でわずかな脱りん処理も随伴して起こる。
この程度の脱りんによって、硫黄快削鋼のりん濃度規格
を満足する程度にまで、溶鋼中のりん濃度を低下させる
ことができる。
【0039】第2工程において最も留意すべきは、溶鋼
中Mnの酸化ロスをいかに少なく抑制し、溶鋼中の終点Mn
濃度を高めるか、という点である。このためには、Mn鉱
石を添加し、酸素吹錬して脱炭を行いながらスラグ中の
(MnO) を高め、溶鋼中のMnの酸化ロスを抑える際のスラ
グ量を低減し、スラグミニマム状態となるように石灰系
造滓剤を添加してスラグ塩基度を調整するのが有効であ
る。
【0040】このために、第1工程を終了した後の溶銑
中のSi濃度は、0.10〜0.30%程度とするのが望ましい。
【0041】第2工程におけるスラグ塩基度は高い方が
好ましいが、望ましい範囲は 3.0〜5.0 程度である。
【0042】第1工程を終了した後の溶銑中のSi濃度が
0.30重量%を超えると、石灰系造滓剤の添加量も増加
し、スラグ量の増大に起因するMnロスが顕著となる。一
方、0.10%未満では、精錬炉吹錬でのスラグの滓化性が
劣ること、熱源が不足することなどの問題が生じる。し
たがって、第1工程終了後の溶銑のSi濃度は、0.10〜0.
30%が望ましい。
【0043】石灰系造滓剤としては、生石灰、石灰石、
ドロマイトなどを用いる。Mn鉱石の添加量は、熱量的に
許されるだけ添加することができるが、通常の添加量の
範囲は5〜25kg/tである。
【0044】スラグミニマム状態としての望ましいスラ
グ量は50kg/t以下である。50kg/tを超えると、スラグ中
へのMnロスが大きく、溶鋼中のMn濃度の低下が大きくな
る。
【0045】第2工程では、スラグ塩基度が高い場合の
スラグの滓化性を確保することを目的に、必要に応じて
蛍石を添加してもよい。
【0046】第3工程では、第2工程で得られた精錬炉
吹錬後の溶鋼に、合金鉄を添加することにより成分調整
を行う。特に、硫黄については、通常、精錬炉吹錬後の
溶鋼中の硫黄濃度は製品の硫黄濃度より低いので、成分
調整が必要である。硫黄添加用の硫黄源としては、硫黄
鉱石(例えば黄鉄鉱)、硫化鉄などがある。
【0047】Mn濃度についても、前記の第1工程および
第2工程で溶鋼中の濃度が高められているが、製品の濃
度に合わせるために、一般に微調整を必要とする。Mn添
加用の合金鉄としては、フェロマンガンおよび窒化マン
ガンが適している。本発明の方法の場合には、Mn添加用
の合金鉄の使用量が少ないので、この合金鉄に含まれる
炭素による溶鋼の炭素濃度上昇が少ない。したがって、
安価な高炭素フェロマンガンを使用することができると
いう利点がある。いずれにしても、本発明の製造方法で
は、Mn調整用の合金鉄の使用量が少ないために、製造コ
ストを大幅に下げることができる。
【0048】その他の成分についても、この第3工程で
必要に応じて調整すればよい。
【0049】成分調整用の合金鉄等の添加は、通常工業
的に採用されている方法でよい。精錬炉が転炉の場合に
は、出鋼中の取鍋に投入するのがもっとも適している。
【0050】なお、さらに鉛を添加する必要がある場合
には、鉛は気化しやすいので、鋳造時に鋳型で添加する
のがよい。
【0051】
【実施例】
(本発明例)第1工程として、温度が1350℃の溶銑65to
n を取鍋へ装入し、インペラーを用いて次のように脱Si
およびMn上昇処理を行った。
【0052】インペラーの回転速度100rpmで撹拌を開始
し、この状態で、回転開始後1〜2分にかけてMn鉱石15
00kgをホッパーから添加した。さらに、回転開始後3〜
4分にかけて生石灰600kg および蛍石200kg を添加し
た。その後、撹拌を継続し、回転開始から20分後に処理
を終了した。表1に、第1工程の処理前後の溶銑の化学
組成および処理後のスラグ組成を示す。
【0053】
【表1】
【0054】次に第2工程として、第1工程で処理され
た溶銑を転炉へ装入し、スラグ塩基度を4.0、最終的な
スラグ量を45kg/t として酸素吹錬を行った。石灰系造
滓剤には生石灰を用いた。Mn鉱石の添加量は20kg/tとし
た。表1に第2工程後の溶鋼の化学組成を示した。
【0055】さらに、第3工程として、精錬後の溶鋼の
出鋼時に成分調整を行った。Mn濃度調整用に高炭素フェ
ロマンガンを0.3 kg/t、硫黄濃度調整用に黄鉄鉱を9.6
kg/t投入した。成分調整後の溶鋼の化学組成(レードル
分析値)を表1に併せて示した。
【0056】表1から明らかなように、第1工程では脱
Siが進み、Mn濃度は0.75%から1.53%まで上昇してい
る。また、第2工程では、4.5%から0.10% まで脱炭が
進んでいるにもかかわらず、Mn濃度の変化は1.53%から
1.33%とわずかな減少に抑えられている。S濃度の低下
も0.003% に過ぎず、低く抑えられている。第3工程で
のMn調整幅は、わずかに0.2 %であるため、上記のよう
に高炭素フェロマンガンの添加量は0.3 kg/tと極めて少
ない量であった。
【0057】(比較例)温度1350℃の溶銑65tonを転炉
に装入し、吹錬終了時のスラグ塩基度4.0、スラグ量70k
g/tの条件で、酸素吹錬を行った。生石灰系造滓剤とし
ては生石灰を使用し、吹錬中にMn鉱石を20kg/t投入し
た。転炉吹錬前の溶銑および吹錬後の溶鋼の化学組成を
表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】精錬後(転炉吹錬後)の溶鋼の出鋼時に、
本発明例の場合と同様に成分調整を行った。Mn濃度調整
用に低炭素フェロマンガンを8.9 kg/t、硫黄濃度調整用
に黄鉄鉱を11.2kg/t投入した。低炭素フェロマンガンを
用いたのは、フェロマンガン中の炭素による溶鋼中の炭
素濃度の上昇を防止するためである。成分調整後の溶鋼
の化学組成(レードル分析値)を表2に併せて示した。
【0060】比較例の場合には、精錬後の溶鋼中のMn濃
度が0.74%と低かったために、上記のように本発明例に
比べて、著しく多くの低炭素フェロマンガンを必要とし
た。また、低炭素フェロマンガンは、本発明例で用いた
高炭素フェロマンガンに比べて価格が高いので、比較例
の場合のMn調整コストは本発明例に比べて著しく高い。
【0061】以上述べたように、本発明の製造方法で
は、第1工程において溶銑中のSiを適切な濃度に低減
し、第2工程においてスラグミニマム状態でMn鉱石を添
加して酸素吹錬することにより、脱炭処理中の溶鋼中Mn
濃度の低下を低く抑えている。したがって、精錬終了時
の溶鋼中Mn濃度が高い。そのために、第3工程で添加す
るMn添加用の合金鉄の使用量が少なくなるとともに、安
価な合金鉄を用いることができるので、Mn調整コストを
大幅に下げることができる。
【0062】
【発明の効果】本発明のS快削鋼の製造方法によれば、
安価なMn鉱石の利用により溶銑中のMn濃度を効果的に上
昇させ、その後の精錬炉吹錬でMnの酸化ロスを抑制する
ことができる。したがって、精錬炉出鋼時に添加する高
価なMn添加用の合金鉄の使用量を節減することが可能で
あり、硫黄快削鋼の製造コストを大幅に下げることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶銑にCaO 、CaF2およびMn鉱石を添加し、撹拌
処理した場合のMn歩留および脱S率とスラグ塩基度との
関係を示す図である。
【図2】精錬炉吹錬(第2工程)におけるMn歩留と吹錬
終了時の溶鋼中炭素濃度との関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(1)の第1工程から(3)の第3工
    程によって製造することを特徴とする硫黄快削鋼の製造
    方法。 (1)容器中の溶銑にマンガン鉱石、生石灰および蛍石
    を添加し、スラグ塩基度を 0.5〜1.5 の範囲に調整して
    撹拌することにより、溶銑の脱珪およびマンガン上昇処
    理を実施する第1工程。 (2)第1工程後の溶銑を精錬炉に装入し、石灰系造滓
    剤およびマンガン鉱石を添加し、酸素吹錬して脱炭を行
    う第2工程。 (3)第2工程後の溶鋼に、少なくとも硫黄源を添加し
    成分調整を行う第3工程。
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