JP2776188B2 - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents

溶銑の予備処理方法

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JP2776188B2 JP5062080A JP6208093A JP2776188B2 JP 2776188 B2 JP2776188 B2 JP 2776188B2 JP 5062080 A JP5062080 A JP 5062080A JP 6208093 A JP6208093 A JP 6208093A JP 2776188 B2 JP2776188 B2 JP 2776188B2
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、溶銑、特に高Si溶銑
を脱硫すると同時に脱硅および高Mn化を行うことができ
る溶銑の予備処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、Siを0.3 %以上含む高Si溶銑か
ら高Mn低S鋼を製造する場合、溶銑予備処理として、ま
ず脱硫してから、転炉あるいはトーピード、鍋などに
て、酸素上吹きにより溶銑中のSiを酸化させながら、生
成するSiO2に対応した石灰、螢石などの溶媒剤を添加し
て溶銑予備脱燐 (場合によりさらなる脱硫) を行い、次
いで転炉にて脱炭吹錬した後、高価なフェロマンガンを
添加して溶鋼中のMn分を調整する方法が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の方
法によると、高[Si]の溶銑ほど溶銑予備脱りん時に高濃
度のSiに見合った多量の媒溶剤を必要とし、多量の媒溶
剤を添加することになり、また転炉吹錬後のMn成分の調
整には高価なフェロマンガンまたは金属マンガンを使用
しなければならず、コストを下げることは難しかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そのため、溶銑の予備脱
硫処理工程において、脱硫を行うと同時にできる限りSi
成分を下げておくならば、以降の溶銑予備脱りん工程に
おける負担を軽減 (フラックス原単位の低減) でき、ま
たこの溶銑予備処理工程において安価なMn鉱石、Mn酸化
物、Fe−Mn鉱石など (以下、これらをMn鉱物という) を
添加して溶銑のMn含有量を高めておくことができるなら
ば、高価なフェロマンガンまたは金属マンガンの使用を
減らすことができ、製鋼コストを大幅に削減できるとい
う予測のもとに研究を行った結果、次の点を見い出し
た。
【0005】すなわち、溶銑に、CaO 、CaF2およびMn鉱
物からなるフラックスを添加して攪拌しまたは攪拌しな
がら添加すると、溶銑の脱硫と同時に脱硅および高Mn化
を行うことができ、次いでCaO を添加して攪拌または攪
拌しながら添加すると脱硫および高Mn化は一層促進され
るという研究結果が得られたのである。
【0006】この発明は、かかる研究結果にもとづいて
なされたものであって、溶銑に、CaO、CaFおよ
びMn鉱物からなるフラックスまたはCaO、Ca
、Mn鉱物およびCからなるフラックスを添加と同
時に攪拌または攪拌しながら添加してスラグ組成を1≦
CaO/SiO ≦3および5%≦CaF ≦30%と
、次いでCaOまたはCaOとNaCOおよび/
またはCとを主成分とするフラックスを添加して攪拌ま
たは攪拌しながら添加してスラグ組成を2≦CaO/S
iO 2≦ 4および5%≦CaF ≦25%とする溶銑の
予備処理方法に特徴を有するものである。
【0007】上記CaO またはCaO とNa2CO3および/また
はCとを主成分とするフラックスは、さらにアルカリ金
属またはアルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属また
はアルカリ土類金属の炭酸塩を添加したものも含まれ
る。
【0008】
【作用】この発明の溶銑の予備処理方法を脱硅期および
脱硫期の二期に分けて詳細に説明する。 (1) 脱硅期 脱硅期では、CaO 、CaF2およびMn鉱物からなるフラック
スを添加すると、Si +MnO2 → SiO2Mn Si +2MnO → SiO2+2Mn なる反応式により脱硅と同時にMn含有量が上昇する。
【0009】すなわち、CaO による脱硫を行いながら、
低減すべき溶銑中のSiを有効的にスラグ中にMn鉱物の還
元を利用して溶銑中のMnを上昇させることで、脱硅と高
Mn化を同時に可能とする。
【0010】したがって、フラックスの組成割合は、ス
ラグの流動性 (融点) を保持し、同時に脱硅、脱硫およ
び高Mn化を可能とするものであればよく、具体的には、
得られるスラグ組成を 1≦塩基度 (CaO/SiO2) ≦3 5%≦CaF2≦30% 望ましくは、 1.2 ≦塩基度 (CaO/SiO2) ≦1.8 10%≦CaF2≦20% (重量%、以下、%は重量%を示す)
とするものである。
【0011】なお、上記スラグの成分組成範囲は、脱
硅、脱硫、高Mn化とも、スラグ塩基度が大きい方が有利
であるが、種々様々なスラグを調査した結果、スラグの
流動性を考慮に入れて上限、下限を決定した。
【0012】(2) 脱硫期 上記脱硅期において、脱硅、脱硫、高Mn化を同時に行う
が、このときの脱硅期における脱硫は十分ではないの
で、以降の脱硫期において強脱硫を行う。その場合、Ca
O を主成分とするフラックスを添加することでスラグの
塩基度 (CaO/SiO2) を上昇させ、強脱硫条件とすること
で仕上げ脱硫を行うが、スラグの流動性 (融点) および
徹底脱硫を考慮に入れて、そのときのフラックスの具体
的組成割合はスラグ組成を、 2≦塩基度 (CaO/SiO2) ≦4 5%≦CaF2≦25% 望ましくは、 2.5 ≦塩基度 (CaO/SiO2) ≦3.5 10%≦CaF2≦15%とするものである。
【0013】なお、上記スラグの組成範囲は、脱硫には
スラグ塩基度が大きい方が有利であるが、種々様々なス
ラグを調査した結果、スラグの流動性を考慮に入れて上
限、下限を決定した。
【0014】スラグのMnO 含有量を下げ、さらなる還元
条件とし、脱硫を促進するためにCaO とCを主成分とす
るフラックスを使用するのが一層効果的である。また、
CaOより強塩基性酸化物であるNa2CO3、その他アルカリ
金属またはアルカリ土類金属の酸化物または炭酸塩を添
加するのも有効である。
【0015】以上、この発明の溶銑の予備処理方法を脱
硅期および脱硫期の二期に分けて詳述したが、この発明
の溶銑の予備処理方法において、溶銑攪拌が重要である
ことが判明した。
【0016】すなわち、この発明の溶銑の予備処理方法
において、スラグ−メタル反応促進のためには、溶銑攪
拌が可能な容器、例えば、インペラー使用のような機械
的攪拌、ガス吹込み (キャリアガスを使用する粉体イン
ジェクションを含む) のような攪拌を装備した容器を使
用することが必要である。この発明において、フラック
スを分割添加、または連続添加することが優利なことが
研究の結果判明した。
【0017】すなわち、この発明の溶銑の予備処理方法
におけるスラグ−メタル反応の促進のためには、Mn鉱物
による溶銑中Siの酸化に伴うスラグ塩基度 (CaO/SiO2)
の変化に伴って、上記した有効な塩基度となるようにCa
O を徐々に添加すべきであり、かつMn鉱物のような高融
点化合物を添加する場合には、スラグの流動性確保の観
点から、スラグの融点が高くならないように徐々に添加
することが重要である。
【0018】
【実施例】
(実施例1)表1の処理前の成分組成を有する溶銑170 to
n を取鍋に装入し、1350℃に温度調整し、Arガスバブリ
ングランス (2Nm3/min) にて攪拌した。次いで、表1に
示すように、脱硅期に表1に示される量のフラックスを
ランスにてインジェクション添加し、添加後15分経過し
た時点での溶銑の成分組成、並びにスラグの塩基度およ
びスラグ中に含まれるCaF2、MnO の含有量を測定し、そ
の結果を同じく表1に示した。
【0019】その後、脱硫期に、表1に示される生石灰
のみを脱硫のためにフラックスとして添加し、10分後の
溶銑の成分組成、並びにスラグの塩基度およびスラグ中
に含まれるCaF2、MnO 含有量を測定し、その結果を表1
に示した。
【0020】
【表1】
【0021】(実施例2)表2の処理前の成分組成を有す
る溶銑170 ton を取鍋に装入し、1350℃に温度調整し、
Arガスバブリングランス (2Nm3/min) にて攪拌した。次
いで、表2に示すように、脱硅期に表2に示される量の
フラックスを上方より分割添加し(3分割、10分間で) 、
添加後15分経過した時点での溶銑の成分組成、並びにス
ラグの塩基度およびスラグに含まれるCaF2、MnO 量を測
定し、その結果を表2に示した。
【0022】その後、脱硫期に、表2に示される生石灰
およびC粒をフラックスとして上方より分割添加し(3分
割、10分間で) 、10分後の溶銑の成分組成、並びにスラ
グの塩基度およびスラグ中に含まれるCaF2、MnO 量を測
定し、その結果を表2に示した。
【0023】
【表2】
【0024】(実施例3)表3の処理前の成分組成を有す
る溶銑170 ton を取鍋に装入し、1350℃に温度調整し、
インペラーにて攪拌した。次いで、表3に示すように、
脱硅期にC粒を配合したフラックスをランスにてインジ
ェクション添加し、添加後15分経過した時点での溶銑の
成分組成、並びにスラグの塩基度およびスラグ中のCa
F2、MnO 量を測定し、その結果を表3に示した。
【0025】その後、脱硫期に、表3に示される生石灰
およびC粒をフラックスとして添加し、10分後の溶銑の
成分組成、並びにスラグの塩基度およびスラグに含まれ
るCaF2、MnO 量を測定し、その結果を表3に示した。
【0026】
【表3】
【0027】(実施例4)表4の処理前の成分組成を有す
る溶銑170 ton を取鍋に装入し、1350℃に温度調整し、
Arガスバブリングランス (2Nm3/min) にて攪拌した。次
いで、表4に示すように、脱硅期に表4に示される量の
フラックスをランスにてインジェクション添加し、添加
後15分経過した時点での溶銑の成分組成、並びにスラグ
の塩基度およびスラグ中に含まれるCaF2、MnO の含有量
を測定し、その結果を表4に示した。
【0028】その後、脱硫期に、表4に示される生石灰
とNa2CO3を脱硫のためにフラックスとして添加し、10分
後の溶銑の成分組成、並びにスラグの塩基度およびスラ
グに含まれるCaF2、MnO 含有量を測定し、その結果を表
4に示した。
【0029】
【表4】
【0030】(比較例1)実施例1において、フラックス
をインジェクション添加せずに上部より一括添加したと
ころ、スラグが硬化したが予備処理を続け、溶銑の成分
組成並びにフラックスの塩基度およびフラックスに含ま
れるCaF2、MnO 量を測定し、その結果を表5に示した。
【0031】
【表5】
【0032】(実施例5)2ton の取鍋に、以下の如く成
分調整した溶銑2ton を装入し、1400℃にてArガスバブ
リング (0.1 Nm3/min.ton)にて攪拌した。 C=4.0 %、Si=0.75%、Mn=0.22%、S=0.028 %、
残部=Feおよび不可避不純物。
【0033】次いで、石灰石: 42kg、Mn鉱石: 25kg、螢
石: 14kgをフラックスとして2分割して添加し攪拌を続
けたところ、20分後に、溶銑の成分組成は以下の如くに
なった。 C=4.0 %、Si=0.30%、Mn=0.82%、S=0.010 %、
残部=Feおよび不可避不純物。
【0034】さらに続いてCaO を11kg添加しながら攪拌
を続けたところ、10分後に溶銑の成分組成は以下の如く
になった。 C=4.0 %、Si=0.27%、Mn=0.86%、S=0.006 %、
残部=Feおよび不可避不純物。
【0035】この実施例4の溶銑予備処理工程における
溶銑中のSi、MnおよびSの含有量、並びにスラグ中のMn
O の含有量の経時変化を図1のグラフに示した。実施例
1〜4に示されるように、本発明の溶銑の予備処理方法
によると、高Si溶銑のSi量を減らすことができると同時
に高Mn化および脱硫を達成することができるが、比較例
1に見られるように攪拌を伴わないフラックスの添加は
十分な効果が得られないことがわかる。また、本発明の
溶銑の予備処理方法は、脱硅期において脱硅、脱硫およ
び高Mn化を同時に行い、次の脱硫期においてさらなる脱
硫および高Mn化がなされていることがわかる。
【0036】
【発明の効果】この発明の方法によると、溶銑の予備処
理工程において、脱硫、脱硅および高Mn化を達成するこ
とができるので、次の工程の転炉吹錬を効率よく行うこ
とができ、さらに上記高Mn化も安価なMn鉱物を使用する
ことができるので、従来よりも安価な高Mn低S鋼を提供
することができ、産業上すぐれた効果をもたらすもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の溶銑の予備処理方法による溶銑中の
Si、MnおよびSの含有量、並びにスラグ中のMnO 量の推
移の一例を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−240327(JP,A) 特開 昭62−284006(JP,A) 特開 昭58−73709(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21C 1/02 101 C21C 1/04 101

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑に、CaO、CaFおよびMn鉱
    物からなるフラックスまたはCaO、CaF、Mn鉱
    物およびCからなるフラックスを添加と同時に攪拌また
    は攪拌しながら添加してスラグ組成を1≦CaO/Si
    ≦3および5%≦CaF ≦30%とし、次いでC
    aOまたはCaOとNaCOおよび/またはCとを
    主成分とするフラックスを添加と同時に攪拌または攪拌
    しながら添加してスラグ組成を2≦CaO/SiO
    4および5%≦CaF ≦25%とすることを特徴とす
    る溶銑の予備処理方法。
  2. 【請求項2】 フラックスの添加方法としてフラックス
    を分割添加、または連続添加することを特徴とする請求
    項1記載の溶銑の予備処理方法。
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