JP2009249666A - 溶銑の脱りん精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、精錬容器の形状を問わず、製鋼工程でのスクラップ消費量を低下させることなく、また、脱りん剤にCaF2を用いない場合でも、効率良くCaO源の滓化を促進し、安価にかつ高効率に溶銑を脱りん処理する精錬方法を提供する。
【解決手段】Si含有量0.1質量%以上の溶銑にCaO源と酸素源を添加して脱りん精錬を行うに際し、溶鋼を製造する際に発生するスラグを再利用する目的で脱りん精錬容器に予め入れ置きするおよび/または溶銑装入後に添加するスラグ中のCaO分を除き、CaO源の添加量を全精錬期間中に添加するCaO源添加量の30質量%以下(ゼロを含む)とする精練前半と、CaO源の添加量を全精錬期間中に添加するCaO源添加量の70質量%以上とする精練後半に分け、後半の開始時点は、溶銑中のSi含有量が0.1質量%未満とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶銑の脱炭精錬に先立ち、溶銑の脱りん処理を高効率で行うための溶銑予備処理方法に関する。
溶銑の脱珪、脱りん、脱炭をすべて同一の転炉内で行う転炉製鋼法に代わり、脱炭に先立って溶銑の脱珪、脱りんを脱炭とは別の容器で行う溶銑予備処理方法が広く用いられるようになった。これは、脱りん反応が精錬温度が低いほど熱力学的に進行しやすく、より少ない量の精錬剤で脱りん処理を行うことができるためである。
一般に溶銑予備処理においては、第1に溶銑に酸化鉄をはじめとする固体酸素源を添加して脱珪を行い、脱珪スラグを排除した上で溶銑に脱りん用フラックスを添加して脱りん精錬を行う方法が一般的であった。脱りん精錬においては、フラックスとして石灰源を添加して高塩基度の脱りんスラグを形成し、酸化鉄をはじめとする固体酸素源や気体酸素をりんを酸化するための酸素源として脱りんを行っていた。また、予備処理精錬容器としては、トーピードカー内の溶銑に脱りん用フラックスをインジェクションして予備脱りんを行う方法、取鍋内の溶銑に脱りん用フラックスをインジェクションするかもしくは吹き付けて予備脱りんを行う方法、あるいは脱炭に用いるのと同等の転炉を用いて脱りんを行い、次いで別の転炉で脱炭を行う方法が用いられている。
ここに、酸化カルシウム (以下CaOと称する) による脱りん反応は下記(A)式にて進行する。
3(CaO)+5(FeO)+2[P]=3CaO・P25+5Fe・・・(A)
ここで、( ):スラグ内、 [ ]:溶銑内を示す。
このため、溶銑脱燐を効果的に行うためには、(1)CaOが溶解し、スラグ内に充分に存在し、(2)脱りんに必要な(FeO)レベルが維持されることが必要となる。ところが、CaOの融点は約2570℃であり、CaOが早期に溶解するための対策が重要となる。そのため、従来は造滓剤としてCaF2(蛍石)が広く用いられていた。しかし、スラグ中のフッ素が環境に及ぼす影響を考慮し、鋼の精錬においてもCaF2の使用を抑えることが要請されている。
CaF2の使用なく溶銑を脱りんする従来技術としては、例えば特許文献1に、処理後の(スラグ中CaO質量%/スラグ中SiO2質量%)を2.5以下、T.Feを3質量%以上20質量%以下、底吹き攪拌動力1kW/溶銑ton以上という条件が示されている。この技術では、スラグの塩基度を低くして酸化鉄濃度を高めることで、蛍石を添加しなくてもCaOの滓化(溶融スラグ化)が促進されて脱りん能を高めることができる。
また、特許文献2には、転炉型容器内の溶銑に対して上吹きランスを通じてCaO粉と0.7〜2.0Nm3/min/溶銑tonの酸素を吹き付けるとともに、転炉型容器の炉底または側壁から0.05〜0.30Nm3/min/溶銑tonの撹拌用ガスを吹き込む方法が示されており、この方法によれば、上底吹き吹錬における酸素供給量を適正化することにより、スラグの速やかな生成(CaOの滓化)とスラグ中のFeO濃度の適正化が図られ、効率的な脱りん処理が可能となるとしている。
また、特許文献3には、上吹きランスを通じて溶銑浴面に吹き付けるCaO粉の供給速度と気体酸素の供給速度および吹き付けたときの浴面の凹み深さで表される吹き付け強度を適切な範囲内として、さらには溶銑[Si]を0.15質量%以下、望ましくは0.07質量%以下、更に望ましくは0.03質量%以下として生成スラグ量を少なくすることで、効率良く低融点のFeO−CaO系融体を生成させ、少ないスラグ発生量下で脱りん効率を高めることができるとしている。
特開平11−2695246号公報 特開平8−311523号公報 特開2004−83989号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、脱りん速度とCaOの滓化速度を高めるために、底吹き攪拌動力1kW/溶銑ton以上という強攪拌条件が必要となり、フリーボードの大きい転炉型の精錬容器には適用できるものの、鍋やトーピードカーで脱りん処理を行うことは現実的に不可能である。また、塩基度(以下、CaO/SiO2とも記す。スラグ中のCaO質量%/スラグの中SiO2質量%を指す。)が2.5以下であっても、CaO/SiO2が高いほど脱りん能力が向上するが、同時に高塩基度ほどCaOの飽和溶解度に近くなるため滓化速度が低下し、CaOの利用効率が低下するという課題があった。
また、特許文献2や特許文献3の方法では、塊状のCaOが使用できず、CaOを粉体にするための処理コストが増大するという課題も生じていた。
さらに、特許文献3の方法では、スラグ量を少なくするために、事前に溶銑を脱珪する必要があり、酸化時の発熱量が大きいSi潜熱の低下により、転炉でのスクラップ消費量を増加できないという課題があった。
本発明は、精錬容器の形状を問わず、製鋼工程でのスクラップ消費量を低下させることなく、また、脱りん剤にCaF2を用いない場合でも、効率良くCaO源の滓化を促進し、安価にかつ高効率に溶銑を脱りん処理する精錬方法を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するため、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)Si含有量0.1質量%以上の溶銑にCaO源と酸素源を添加して脱りん精錬を行うに際し、溶鋼を製造する際に発生するスラグを再利用する目的で脱りん精錬容器に予め入れ置きするおよび/または溶銑装入後に添加するスラグ中のCaO分を除き、CaO源の添加量を全精錬期間中に添加するCaO源添加量の30質量%以下(ゼロを含む)とする精練前半と、CaO源の添加量を全精錬期間中に添加するCaO源添加量の70質量%以上とする精練後半に分け、後半の開始時点は、溶銑中のSi含有量が0.1質量%未満であることを特徴とする溶銑の脱燐精練方法。
(2)請求項1において、後半の開始時点の溶銑中Si含有量が0.05質量%未満であることを特徴とする溶銑の脱燐精練方法。
(3)請求項1において、後半の開始時点の溶銑中Si含有量が0.02質量%未満であることを特徴とする溶銑の脱燐精練方法。
(4)精錬前半は実質的にCaO源を添加することなく酸素源のみを添加し、精錬後半のCaO源の添加量を全精錬期間中に添加するCaO源添加量の100質量%とすることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の溶銑の脱燐精練方法。
(5)脱りん精練を行なう溶銑のSi含有量が0.15質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の溶銑の脱りん精錬方法。
(6)事前に脱珪処理を施さない溶銑に対して脱りん精錬を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶銑の脱りん精錬方法。
(7)気体酸素換算で酸素源の30体積%以上が気体酸素であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶銑の脱りん精錬方法。
(8)実質的にCaF2を添加しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶銑の脱りん精錬方法。
(9)溶鋼を製造する際に発生するスラグを再利用する目的で脱りん精錬容器に予め入れ置きするおよび/または溶銑装入後に添加するスラグ中のCaO分を含めた全精錬期間中に添加する溶銑1トン当たりのCaOの添加量が脱りん精錬前の溶銑のSi含有量に応じて下記(1)式の範囲内であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶銑の脱りん精錬方法。
1.5×([Si]×60/28×10+WSiO2)≦WCaO≦3.0×([Si]×60/28×10+WSiO2) (1)
CaO:全精錬期間中に添加する溶銑1トン当たりのCaO分の添加量(kg/t)
SiO2:再利用するスラグ中のSiO2分の質量(kg/t)
[Si]:脱りん精錬前の溶銑のSi含有量(質量%)
本発明により、精錬容器の形状を問わず、製鋼工程でのスクラップ消費量を低下させることなく、また、脱りん剤にCaF2を用いない場合でも、効率良くCaO源の滓化を促進し、安価にかつ高効率に溶銑を脱りん処理することができ、低P鋼を短時間に安定して製造することが可能となった。
通常の溶銑脱りんにおいては、CaO源を初期一括もしくは粉体の形で連続的に供給し、酸素源を酸化鉄のような固体酸素源や気体酸素として、一部は初期一括で大部分は連続的に供給してPを酸化させ、(A)式の反応で3CaO・P25としてスラグ中に固定させる。この際、添加したCaO源は、溶銑中のSiが酸化されSiO2が生成してCaO/SiO2が低下するとともにFeOも生成し、スラグの融点が低下して溶解すると考えられているが、高塩基度(高CaO/SiO2)ほど脱りん能が高いため、CaO源の添加時期は早い方が脱りん効率や脱りん速度も高いと考えられていた。
これに対し、本発明者らは、CaO源の添加パターンを変更した種々の溶銑脱りん実験を行い、先に酸素源を主体に添加した後にCaO源を主体に添加することで、CaOの滓化速度が大幅に向上し、全体の脱りん速度もむしろ増加し、到達Pレベルも大幅に改善されるという、従来技術とは全く異なる機構によって極めて高効率な脱りん精錬を行い得ることを見出したものである。
以下、本発明の詳細と好ましい実施形態について説明する。
本発明では、溶銑を事前に脱珪処理することなく、または、ある程度事前に脱珪処理を行った後に精錬容器に装入する。精錬容器は、トーピードカーでも鍋でも転炉でも良いが、フリーボードが小さいトーピードカーや鍋での脱りん処理にも適用できることが特徴である。その後、まず酸素源を主体に添加する。酸素源としては、鉄鉱石や焼結鉱、ミルスケール、ダストなど酸化鉄主体の固体酸素源を初期一括および/または分割添加するか、気体酸素をランスから吹き付け、または、浸漬ランスより吹き込む等のいずれの手段を用いても良い。
一般に、精錬初期は、熱力学的にPよりもSiの方が優先酸化されるため、Pはあまり酸化されず、Siが低下した後に初めて脱りんが進行していく。そのため、精錬初期にはPをスラグ中に固定するためのCaOは殆ど機能しないことが種々の実験から判明した。逆に、この段階で未滓化のCaOが多量に存在すると酸化して生成したSiO2がCaOの表面で極めて高融点のダイカルシウムシリケート(2CaO・SiO2)の膜を形成し、CaOの滓化進行が阻害されるということも知見した。本発明は、この問題を解決し、CaOの滓化を促進するとともに、CaOが脱りんに有効に利用する方法を見出したものである。
本発明においては、精錬初期に酸素源を主体に添加するため、主に溶銑中のSiが酸化してSiO2が生成される。気体酸素の場合は、Feも酸化されFeOも生成される。このため、この段階ではFeO−SiO2系の極めて低融点の融体が溶銑上部に形成される。本発明者らは、実験から、このFeO−SiO2系融体はCaOの溶解能力が極めて高く、この融体が形成された後にCaO源を添加すると迅速に溶解して高塩基度のスラグが生成されることを新たに知見した。
したがって、本発明においては、脱珪が進行してFeO−SiO2系融体が生成した後に全精錬期間中に添加するCaO源添加量の大半を添加する。全精錬期間中に添加するCaO源添加量とは、溶銑を脱りん精錬容器に装入してから脱りん処理が終了するまでに添加するCaO源の添加量を指し、所定のスラグ塩基度にするために必要なCaO量で決定される。再利用の目的で精錬容器に転炉スラグや二次精錬スラグなどの鉄鋼スラグを予め入れ置きしたり添加したりする場合は、これらのスラグは大部分が一度溶解したプリメルト固体であるため、精錬初期から滓化が進行するため、これらのスラグ中に含まれるCaO分はCaO源添加量に含めない。なお、再利用するスラグはPやSを含み、多量に使用すると脱りん阻害やSの汚染があるため、再利用スラグ中CaO分が新たに添加するCaO源中のCaO分と合わせた全CaO分の50質量%以下が望ましい。
溶銑のSi含有量が0.1質量%以上の期間は脱りんが殆ど進行しないため、Si含有量が0.1質量%未満まで脱珪が進行した以降にCaO源の大半を添加する必要があり、Si含有量が0.05質量%未満の方がCaOの溶解速度が増加するため脱りん効率、脱りん速度の観点から望ましく、Si含有量が0.02質量%未満の方がCaOの溶解速度がさらに増加するため、より望ましい。但し、Si含有量が0.1質量%未満の領域では脱炭も進行し始めるため、この切替時期が遅くなり過ぎると脱りん精錬後の溶銑中C含有量が低下し、以降の脱炭精錬での熱源が少なくなるため、製品の要求Pレベルと脱炭精錬での必要熱量の兼ね合いから、切替時期は適宜選択可能である。
また、脱りん効率や脱りん速度の観点からは、精錬前半は実質的にCaO源を添加せず、CaO源は脱珪進行後である精錬後半に全て添加するのが最良の実施の形態である。ここで、実質的にCaO源を添加しないとは、耐火物から不可避的に混入するCaO源や精錬剤中に不可避的不純物として含まれるCaO源以外には人為的にCaO源を添加しないことを指す。一方でFeO−SiO2系融体は精錬炉の耐火物を溶損しやすくする性質があるため、精錬初期にもある程度のCaO源を添加して耐火物溶損量を低減することも可能である。本発明者らの実験から、精錬初期に添加するCaO源を全精錬期間に添加するCaO源の添加量の30%以下とすれば、脱珪進行後に添加するCaOの滓化速度は大きく低下しないことを知見した。したがって、残り70%以上は脱珪進行後に添加することが望ましい実施の形態である。
また、本発明ではFeO−SiO2系融体をCaOの滓化促進に利用するため、一定量のSiO2の生成が必要である。溶銑中Siは含有量0.1質量%までは優先的に酸化されるため処理前のSi含有量は0.1質量%以上あれば良いが、0.15質量%以上であれば生成されるFeO−SiO2系融体の量が増加して望ましい。また、脱りん精錬前の事前処理コスト削減の点とSi潜熱利用によるスクラップ消費量拡大の点から、溶銑の事前脱珪処理を行わないことがさらに望ましい実施の形態である。ただし、脱りん精錬容器として鍋やトーピードカーを使用する場合には、フリーボードが小さいためにスラグ量が過多にならない方が望ましく、脱りん精錬前のSi含有量の調整は適宜選択可能である。
上記のように、FeO−SiO2系融体を生成させた後にCaO源を添加すると、CaOが極めて迅速に溶解してスラグの塩基度が増加する。それに伴い(A)式に従って脱りんも迅速に進行するが、本発明者らは、その時にスラグ中にダイカルシウムシリケートが晶出すると2CaO・SiO2−3CaO・P25の安定した固溶体が形成され、条件によってはP25を20質量%以上含有する極めて高P濃度のスラグが生成されることを知見した。このようなスラグは農業用の肥料としても有効に利用でき、鋼を低P化するだけでなくスラグの再資源化も可能となる。本発明者らの実験によると、スラグ中のCaO/SiO2が1.5以上3.0以下の場合にダイカルシウムシリケートが生成することが確認され、これは溶銑Si含有量に応じたCaO源の添加量が下記(1)式になる場合に相当する。
1.5×([Si]×60/28×10+WSiO2)≦WCaO≦3.0×([Si]×60/28×10+WSiO2) (1)
ここで、WCaOは全精錬期間中に添加する溶銑1トン当たりのCaO源中CaO分の添加量(kg/t)であり、この場合は生成するスラグの塩基度を規定するため、再利用するスラグ中のCaO分も含めた量となる。また、[Si]は脱りん精錬前の溶銑のSi含有量(質量%)を、WSiO2は再利用するスラグ中SiO2分の溶銑1トン当たりの質量を意味する。したがって、上記(1)式を満たす範囲内になるようにCaO源の添加量を調整することがさらに望ましい実施の形態である。
本発明における酸素源としては、酸化鉄主体の固体酸素源でも気体酸素でも良いが、個体酸素源のみを使用すると溶銑の温度が低下するために、脱炭精錬での熱量が不足する場合があるため、気体酸素を併用するほうが望ましい。気体酸素換算で酸素源の30体積%以上を気体酸素とすることで溶銑の温度は維持されることが実験から判明しており、この範囲で気体酸素を併用することが望ましい実施の形態である。転炉のようにフリーボードが大きい場合には、スロッピング等のスラグの泡立ちに起因する操業障害が無く、全てを気体酸素とすることも可能である。
本発明ではまた、CaF2を実質的に添加しなくても十分に高い脱りん能が得られることを特徴としている。実質的に添加しないこととは、脱りん精錬後のスラグからフッ素(F)の溶出が顕著には認められないことを指すもので、本発明者らの知見では精錬後のスラグ組成においてFが1質量%以下となる場合を指す。Fが0.5質量%以下であれば更に好ましい。
高炉で出銑した溶銑を必要に応じてトーピードカー内で脱珪処理し、溶銑鍋(350ton)内で脱りん精錬処理を行った。脱りん精錬前の溶銑成分はC:4.3〜4.7質量%、Si:0.07〜0.43質量%、P:0.10〜0.12質量%であった。高炉溶銑中Si含有量は0.39〜0.43質量%であり、脱りん精錬前のSi含有量をそれより低下させる場合には事前に脱珪処理を行った。
脱りん用精錬剤としてのCaO源は粒径50mm以下の塊状生石灰もしくは粒径1mm以下の生石灰粉を用い、塊状生石灰の場合は上部ホッパーより上方添加し、生石灰粉を使用する場合は浸漬ランスから窒素ガスをキャリアガスとして吹き込んだ。生石灰中のCaO分はいずれも98質量%である。なお、精錬剤中にはCaF2は添加しなかった。
脱りん用精錬剤としてリサイクルスラグを用いる場合、リサイクルスラグとして転炉脱炭スラグを用いた。スラグ塩基度は4.0、スラグ中CaO含有量は56質量%、P25含有量は2.4質量%であった。リサイクルスラグを用いる場合、その全量を精錬前半に添加した。
酸化鉄源としては固体酸素源であるミルスケールを用いて浸漬ランスより吹き込み、一部の水準では浸漬ランスの上部に開口した吹き付け孔より気体酸素も吹き付けた。ミルスケールと気体酸素の酸素分の合計は、脱珪分(SiO2を生成するとした化学当量分)を除いて全ての処理水準で同一とし、各水準の全精錬期間内での供給速度は一定とした。
処理時間は15分間で一定とした。脱珪が進行した段階で精錬剤の添加量を変更する場合には、過去の処理実績から添加酸素量と精錬開始からの時間によりSi含有量の変化を予測して変更し、変更したタイミングで溶銑試料を採取して後で分析値を確認した。塊状生石灰を使用する場合は、精錬前半は酸素源の添加開始と同時に添加し、脱珪が進行した以降の精錬後半は、後半開始時の溶銑試料の採取と同時に添加した。
各実施例の結果を、脱りん処理条件とともに表1に示す。なお、表1に示す各平均値は各条件での10〜20chの脱りん処理での値を平均したものである。No.1〜16が本発明例である実施例、No.17〜23が比較例である。いずれも実施例では安定して処理後のP濃度0.020質量%未満となっており、スラグ中のP25濃度も増加していることが確認された。WCaOが(1)式を満足するNo.1〜9、12、13、16については、処理後P濃度が特に低い値となった。
No.16は、CaO源としてリサイクルスラグを併用している。リサイクルスラグ中のCaO源は2.0kg/tonであり、その全量を精錬前半である精錬初期に添加した。CaO源全体としては、精錬前半の添加量が30質量%を超えているが、リサイクルスラグ中のCaO分を除くと、CaO源の全量を精錬後半に添加している。結果として、良好な脱りん実績を得ることができた。
比較例であるNo.17、18、21〜23は、精錬前半のCaO源添加量が30質量%を超え、No.19は精錬後半の開始時Si含有量が0.1質量%以上であり、No.20は溶銑のSi含有量が0.1質量%未満であり、いずれも処理後P濃度が0.020質量%を超えていた。
Figure 2009249666

Claims (9)

  1. Si含有量0.1質量%以上の溶銑にCaO源と酸素源を添加して脱りん精錬を行うに際し、溶鋼を製造する際に発生するスラグを再利用する目的で脱りん精錬容器に予め入れ置きするおよび/または溶銑装入後に添加するスラグ中のCaO分を除き、CaO源の添加量を全精錬期間中に添加するCaO源添加量の30質量%以下(ゼロを含む)とする精練前半と、CaO源の添加量を全精錬期間中に添加するCaO源添加量の70質量%以上とする精練後半に分け、後半の開始時点は、溶銑中のSi含有量が0.1質量%未満であることを特徴とする溶銑の脱燐精練方法。
  2. 請求項1において、後半の開始時点の溶銑中Si含有量が0.05質量%未満であることを特徴とする溶銑の脱燐精練方法。
  3. 請求項1において、後半の開始時点の溶銑中Si含有量が0.02質量%未満であることを特徴とする溶銑の脱燐精練方法。
  4. 精錬前半は実質的にCaO源を添加することなく酸素源のみを添加し、精錬後半のCaO源の添加量を全精錬期間中に添加するCaO源添加量の100質量%とすることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の溶銑の脱燐精練方法。
  5. 脱りん精練を行なう溶銑のSi含有量が0.15質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の溶銑の脱りん精錬方法。
  6. 事前に脱珪処理を施さない溶銑に対して脱りん精錬を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶銑の脱りん精錬方法。
  7. 気体酸素換算で酸素源の30体積%以上が気体酸素であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶銑の脱りん精錬方法。
  8. 実質的にCaF2を添加しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶銑の脱りん精錬方法。
  9. 溶鋼を製造する際に発生するスラグを再利用する目的で脱りん精錬容器に予め入れ置きするおよび/または溶銑装入後に添加するスラグ中のCaO分を含めた全精錬期間中に添加する溶銑1トン当たりのCaOの添加量が脱りん精錬前の溶銑のSi含有量に応じて下記(1)式の範囲内であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項にに記載の溶銑の脱りん精錬方法。
    1.5×([Si]×60/28×10+WSiO2)≦WCaO≦3.0×([Si]×60/28×10+WSiO2) (1)
    CaO:全精錬期間中に添加する溶銑1トン当たりのCaO分の添加量(kg/t)
    SiO2:再利用するスラグ中のSiO2分の質量(kg/t)
    [Si]:脱りん精錬前の溶銑のSi含有量(質量%)
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