JP2003105419A - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents
溶銑の予備処理方法Info
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Abstract
し、蛍石を使用することなしに、またスラグ発生量を増
大させることなしに、良好な脱りん処理を行うことので
きる溶銑予備方法を提供する。 【解決手段】 溶銑に石灰源及び酸化剤を添加すること
によって溶銑の脱珪及び脱りんを行う溶銑予備処理にお
いて、塊状の石灰源を溶銑に上方投入する場合にはその
添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後と
し、塊状石灰源投入と粉体石灰源吹き込みを併用する場
合にはその両方あるいは少なくとも塊状石灰源の添加時
期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とする。
Description
酸化剤を添加することによって溶銑の脱珪及び脱りんを
行う溶銑予備処理方法に関するものである。
の転炉内で同時に行う転炉製鋼法にかわり、脱炭に先立
って溶銑の脱珪、脱りんを脱炭とは別の容器で行う溶銑
予備処理方法が用いられるようになった。溶銑予備処理
においては、溶銑に酸化鉄をはじめとする固体酸化剤と
脱りん用石灰源を添加して脱珪脱りん精錬を行う方法が
一般的であった。脱りん精錬においては、石灰源を添加
して高塩基度の脱りんスラグを形成し、酸化鉄をはじめ
とする固体酸化剤を添加して脱りんを行っていた。ま
た、予備脱りん精錬容器としては、トーピードカーや取
鍋内の溶銑に脱りん用フラックスをインジェクションし
て予備脱りんを行う方法が用いられていた。
が可能な転炉型の精錬容器を用い、脱珪と脱りんを同時
に行う溶銑予備処理が用いられるようになってきた。上
底吹きによる強攪拌を利用するため、塩基度の低いスラ
グを用いても脱りんを促進させることができるので、脱
珪と脱りんを同時に行うことが可能である。酸化剤とし
て気体酸素を用いることができるので、固体酸素のみを
用いる従来に比較して予備処理後の溶銑温度を高く保つ
ことができ、脱炭処理を含めた精錬全体での熱裕度を確
保することができる。予備処理精錬用石灰源及び酸化剤
は、精錬容器内に上方から添加する方法の他、底吹きガ
スをキャリアガスとして溶銑中に吹き込んで添加するイ
ンジェクションを採用することも可能である。フラック
ス吹き込みを採用することにより、予備処理における脱
りん効率を向上することができる。
錬容器内に保持した溶銑に石灰系フラックス及び酸化剤
を吹き込む溶銑の予備脱珪脱りん方法において、脱珪率
が90%になるまでの間に、石灰系フラックスの主たる
量を溶銑に添加する方法が記載されている。操業当初に
石灰系フラックスのほとんどの量を溶銑へ投入するよう
にしたので、操業の終了までにCaOが滓化し、脱りん
効率を従来より落とすことなく脱珪脱りんが実施できる
ようになるとしている。
は、上底吹き転炉形式の炉で脱りん処理を行うに際し、
スラグ条件を塩基度:1.2〜2.0、Al2O3:2〜
16%、T.Fe:7〜30%に制御する方法が開示さ
れている。Al2O3を2%以上含有させることによって
スラグ融点を低下させることにより、滓化促進を図って
いる。
上底吹き転炉を用い、まず脱りん精錬を行い、スラグを
排出し、次いで同一転炉にて脱炭を行う精錬方法が記載
されている。脱りん工程において、スラグ中のCaO/
SiO2が2.5以下の条件では、酸化鉄中鉄分とマン
ガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15〜35
%とすることによって脱りん反応を促進する。底吹き羽
口より生石灰粉をベースとしたフラックスを不活性ガス
を搬送ガスとして吹き込み脱りん処理を行う。このと
き、酸化鉄粉を生石灰粉に混入するか、あるいは酸素ガ
スを同一羽口を通して吹き込むことにより、脱りん反応
速度を高めることができる。もしくは、上吹きランスか
ら酸素ガスを吹き付け、上方よりフラックスを投入、吹
き込み、吹きつけ等の方法で添加して、生成スラグの酸
化鉄濃度をコントロールすることによっても、脱りんを
促進することができる。
ーピードカーを用いた脱りん処理では、形成されるスラ
グの塩基度が3以上になるように石灰系フラックスを吹
き込むことが多かった。ところが、吹き込まれたCaO
の滓化が不十分で利用効率が低い傾向があった。そのた
め、脱りんを十分に行わせようとすると、石灰系フラッ
クスを過剰に使用することになり、スラグ量が増すばか
りでなく、フラックスコスト、スラグ処理コストの増大
を招くという問題があった。そこで、CaOの酸化を促
進してフラックス量を低減するため、蛍石を添加するこ
とが幅広く行われている。
いほど有利である。しかし、例えば1350℃以下の低
温で脱りん処理を行う場合、CaO/SiO2≧1.8
になると、滓化不良が生じ、むしろ脱りんを阻害する問
題が存在する。そのため、スラグの滓化促進を目的とし
て蛍石を添加する必要があった。
予備処理や脱炭処理に使用する精錬容器の耐火物の溶損
が激しくなる。例えば、特開平8−157921号公報
の図6に示されているように、スラグ中フッ素濃度が高
くなるほど耐火物溶損指数が高くなり、耐火物溶損が急
激に増大することが知られている。従って、耐火物寿命
延長の観点から蛍石を使用しないことが好ましい。蛍石
を使用しなければ蛍石使用コスト自体を削減することに
もなる。
たスラグ中Al2O3を増大する方法においては、造滓材
を約10kg/tと更に珪砂、ボーキサイトを添加した
とある。これにより脱りん工程から発生するスラグ量は
従来に比較して増大することは明らかである。発生スラ
グを路盤材等に利用することが提案されているが、今
後、路盤材等への使用が制限されることが考えられるの
で、できる限り脱りんスラグを低減することが重要であ
る。
予備処理に際し、蛍石を使用することなしに、またスラ
グ発生量を増大させることなしに、良好な脱りん処理を
行うことのできる溶銑予備方法を提供することを目的と
する。
るところは以下のとおりである。 (1)石灰源として生石灰及び/又は石灰石を溶銑に添
加し、石灰源の添加方法は粉体吹き込み及び塊状材上方
添加の一方又は両方であって少なくとも塊状材上方添加
を含み、酸化剤として酸化鉄及び/又は気体酸素を溶銑
上方添加及び溶銑内吹き込みの一方又は両方によって溶
銑に添加して溶銑の脱珪・脱りんを行う溶銑予備処理に
おいて、塊状の石灰源添加時期を[Si]濃度が0.1
5%まで低下した後とすることを特徴とする溶銑予備処
理方法。 (2)石灰源として生石灰及び/又は石灰石を溶銑に添
加し、石灰源の添加方法は粉体吹き込み及び塊状材上方
添加の両方を含み、酸化剤として酸化鉄及び/又は気体
酸素を溶銑上方添加及び溶銑内吹き込みの一方又は両方
によって溶銑に添加して溶銑の脱珪・脱りんを行う溶銑
予備処理において、石灰源粉体吹き込み時期及び塊状材
上方添加時期をともに[Si]濃度が0.15%まで低
下した後とすることを特徴とする溶銑予備処理方法。 (3)上底吹き可能な精錬容器を用い、少なくとも気体
酸素を溶銑上方から吹き付けることを特徴とする上記
(1)乃至(2)のいずれかに記載の溶銑予備処理方
法。 (4)脱りん処理終了時点のスラグ中のCaO/SiO
2を2.5以下、かつスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガ
ン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15%以上3
5%以下にすることを特徴とする、上記(1)乃至
(3)のいずれかに記載の溶銑予備処理方法。 (5)蛍石を使用しないことを特徴とする上記(1)乃
至(4)のいずれかに記載の溶銑予備処理方法。
ものは、その実施の形態に示されているように精錬容器
としてトーピードカーを用い、予備処理時間は35〜4
0分の長時間を要している。このような長時間処理であ
れば、同公報に記載のように、石灰系フラックス投入を
操業当初の脱珪初期としても、操業の終了までにCaO
を滓化することが可能であったものと考えられる。
容器として上底吹き可能な転炉を用いることにより極め
て短時間で予備処理を完了することが可能になってい
る。このような高速予備処理においては、脱珪と脱りん
を合わせて長くても15分程度で完了させる。従って、
精錬容器内に添加した石灰源を中心とするフラックスを
極めて短時間で滓化させないと、脱りんスラグとして寄
与することができない。このため、溶銑予備処理におけ
る蛍石の使用は、高速の予備処理において特にスラグ滓
化のために必要性が高かった。
珪反応で生じたSiO2が石灰と反応し、石灰の表層に
高融点の2CaO・SiO2が生成する。溶融スラグが
存在しないと、表層に生成した2CaO・SiO2が溶
融することができないため石灰の滓化が阻害される。脱
珪初期に脱りんに必要な塩基度を達成するための塊石灰
を一括添加すると、脱珪反応で生じたSiO2に対して
石灰が過剰に存在するため、生成したSiO2が次から
次にCaOの表層のみで反応し、なかなか液相スラグが
生成しない。このため塊状石灰の内部まで滓化が進行せ
ず、塩基度CaO/SiO2が上昇しないため結果とし
て脱りん反応が阻害される。
低下するまでは酸化剤だけを供給してSiO2−FeO
系の低融点スラグを形成し、[Si]濃度が0.15%
まで低下した以降に石灰源を添加すると、液相スラグが
存在する中に石灰源が投入されるので、石灰は容易にス
ラグ中に溶融することができ、塊石灰内部まで完全に滓
化されるため、所要の塩基度までたやすく上昇し、所定
の脱りんレベルを達成することができる。
0.15%以降とした理由は、脱珪反応途中から同時に
進行する脱りん反応を促進するには、脱珪途中に石灰源
を添加し塩基度を高めることが有利であり、[Si]濃
度が0.15%まで脱珪すると、投入した石灰源を滓化
するのに十分な溶融スラグを確保できるためである。
ては、初期溶銑[Si]値をもとに送酸量と脱珪酸素効
率から脱珪量を推定することによって行うと良い。
む場合においても、脱珪反応後に吹き込むことは、塊石
灰と同様に滓化促進の観点から望ましいことである。
に吹き込まれる量が全体の20%以下(脱りんまで含め
た全体時間が約15分のうち脱珪反応時間は約3分)と
少なくかつ連続的に供給されること、サイズは1.5m
m以下(大部分は0.5mm以下)であり塊状のものに
対してはるかに小さいことから、塊状のものと比較して
滓化の遅れは小さく、ほぼ所定の塩基度が達成でき脱り
んへの影響は小さいため、脱珪反応初期から吹き込んで
も特に問題はない。
[Si]が酸化して時間の経過とともに[Si]濃度が
低下しつつある時期をいう。一般に、溶銑[Si]濃度
が0.03%まで低下すると、[Si]の酸化速度が著
しく減少するので、脱珪反応が終了したと見なすことが
できる。
であり、石灰源添加時期を[Si]濃度が0.15%ま
で低下した後とすることにより、石灰の滓化を迅速に行
うことが可能になり、上底吹き転炉を用いたような高速
の溶銑予備処理においても蛍石を使用せずに滓化性の良
好なスラグを形成して脱りん反応を行わせることを可能
にした。
から添加する場合には、本発明の上記(1)にあるよう
に塊状の石灰源添加時期を[Si]濃度が0.15%ま
で低下した後とする。石灰源として粉体吹き込み及び塊
状材上方添加の両方を用いる場合には、本発明の上記
(2)にあるようにその両方の石灰源添加時期を[S
i]濃度が0.15%まで低下した後とするとすると最
も好ましいが、塊状材上方添加の時期を[Si]濃度が
0.15%まで低下した後とすれば、粉体石灰源の吹き
込み開始時期を[Si]濃度が0.15%まで低下する
前にしても本発明の効果を発揮することができる。
て蛍石を添加することなく、たとえ高速の溶銑予備処理
であっても迅速にスラグを滓化することができ、高効率
で脱りんを行うことが可能になると同時に、耐火物溶損
量を削減し、耐火物コストを低減することができる。
め、滓化スラグ中の実塩基度を確保するために過剰な石
灰源を投入する必要がなくなるので、石灰源原単位を削
減することができ、スラグの発生量を低減することがで
きる。また、予備処理終了後に回収したスラグ中に含ま
れる未滓化生石灰の含有量が低減するので、スラグを路
盤材等として利用する上での利用価値の増大が図られ
る。
理において顕著な効果を発揮するので、本発明の上記
(3)にあるように、上底吹き可能な精錬容器を用い、
少なくとも気体酸素を溶銑上方から吹き付けることを特
徴とする溶銑予備処理において顕著な効果を発揮する。
(3)の発明に加え、脱りん処理終了時点のスラグ中の
CaO/SiO2を2.5以下、かつスラグ中の酸化鉄
中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)
を15%以上35%以下にする。CaO/SiO2を
2.5以下とするのは、CaO/SiO2>2.5では
蛍石を添加しないと滓化不良となるからである。また、
スラグ中のCaO/SiO2が2.5以下の条件におい
て、スラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和
(T.Fe+MnO)を15%以上35%以下にする理
由は、酸化鉄およびマンガン酸化物はともに溶銑中のり
んを酸化し、溶銑からスラグ中に除去する作用があるた
め、脱りん反応を促進するにはスラグ中の酸化鉄中鉄分
とマンガン酸化物濃度の和を少なくとも15%以上にす
る必要があり、またスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン
酸化物濃度の和が35%を超えると、スラグ中に移行し
たりんを安定化するのに必要なCaO濃度が減少し、脱
りん反応が阻害されるためである。
良好な脱りん能力を有している。そのため、本発明の上
記(5)にあるように、溶銑予備処理に蛍石を使用する
ことなく必要な脱りん処理を行うことが可能である。
上方添加する、粉状のものを溶銑中に吹き込む、および
その両者を併用することがある。使用する石灰量は、溶
銑の[Si]をもとに、所定の塩基度になるように決定
する。従って、石灰源として塊状のものと粉体との両者
を使用する場合は、一方の使用量を決定すればもう一方
の量は一義的に決定される。
転炉を用いて本発明の脱りん処理を実施した。処理後目
標[P]濃度は0.014%以下、処理後目標溶銑温度
は1330℃である。
剤として鉄鉱石をいずれも転炉上方から投入した。塊生
石灰の大きさは20〜50mmである。塊生石灰の投入
タイミングは各実施例毎に下記に示す条件で投入し、鉄
鉱石の投入タイミングは脱珪開始とともに初期一括投入
とした。鉄鉱石投入量は、処理後溶銑温度が目標温度と
なるように投入量を決定した。上吹きランス3から吹き
付ける酸素ガス8の酸素供給速度およびランス高さを調
整することにより、スラグ中の酸化鉄濃度を制御し、処
理後の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.F
e+MnO)が15%以上35%以下になるように調整
した。
1〜3)で精錬を実施した。表1及び後述する表3中
で、設定塩基度(設定CaO/SiO2)とは、石灰源
投入量から計算したCaOインプットと溶銑[Si]濃
度等から計算したSiO2インプットとから導かれる塩
基度であり、実績塩基度(実績CaO/SiO2)と
は、予備処理終了後に採取したスラグ成分値から計算し
た塩基度である。設定塩基度に対して実績塩基度が低い
場合には、その差分は、投入した石灰源のうち未滓化で
精錬に寄与しなかった石灰分の程度を表すものと考えら
れる。従って、設定塩基度と実績塩基度との差が少ない
ほど、投入した石灰源が良好に滓化して有効に精錬に用
いられたこととなる。
酸素供給速度の条件から、本実施例では精錬開始後2分
で[Si]濃度が0.15%になることがわかってい
る。生石灰の投入タイミングとしては、本発明例1では
[Si]濃度が0.15%に到達する2分時点で添加
し、比較例1〜3では精錬開始とともに添加した。
が[Si]濃度が0.15%まで低下した後であったた
め、蛍石を添加していないにも関わらず塊生石灰の滓化
が急速に進行し、設定塩基度と実績塩基度がほぼ等しい
値となった。その結果、処理後[P]濃度は0.013
%と目標を達成することができた。
灰を投入し、なおかつ蛍石を添加していないので、予備
処理中における塊生石灰の滓化が十分に進行せず、設定
塩基度に比較して実績塩基度が低い値となった。そのた
め、処理後[P]濃度は0.020%と目標に対して大
幅に未達であった。
始とともに塊生石灰を投入した。滓化不良を見越し、塊
生石灰投入原単位を増加して設定塩基度を高めた操業を
行った。その結果、処理後の実績塩基度を高くすること
ができ、所定の処理後[P]濃度を確保することができ
たが、設定塩基度を高めた分、生石灰原単位が高くなり
コストが増加するとともに、発生スラグ量も増加した。
理開始とともに塊生石灰を投入した。滓化不良を見越
し、蛍石を添加した。処理後の実績塩基度は設定塩基度
とほぼ等しく、所定の脱りんレベルを確保できたが、蛍
石を使用したために精錬容器の耐火物溶損が激しく、耐
火物寿命が短縮する結果を生じた。本発明例1の条件と
比較例3の条件で各々20chづつ連続した操業を実施
し、耐火物溶損量を比較した。その結果、蛍石を使用し
ない本発明例1に比べ、蛍石を使用した比較例3の方が
20%溶損量が多かった。
2からの生石灰粉吹き込みと塊生石灰の転炉上方からの
投入を併用した。酸化剤として、底吹きノズル2からの
焼結ダスト吹き込みと鉄鉱石の転炉上方からの投入を併
用した。底吹きによる粉体吹き込みは、窒素ガスをキャ
リアガス7として溶銑中に吹き込み、フラックスホッパ
ー4から粉体を供給することによって行った。各材料の
投入及び吹き込みタイミングは、各実施例毎に下記に示
す条件とした。石灰源に関しては、すべて滓化した場合
の塩基度(CaO/SiO2)が1.85になるように
溶銑量と初期溶銑[Si]濃度から添加量を決定した。
底吹きノズルからの生石灰粉吹き込みで添加量に足りな
い分は、塊生石灰を上方投入した。塊生石灰の大きさは
20〜50mm、生石灰粉の粒度は1.5mm以下であ
った。鉄鉱石の投入タイミングは脱珪開始とともに初期
一括投入とした。鉄鉱石投入量は、処理後溶銑温度が目
標温度となるように投入量を決定した。上吹きランスか
らの酸素供給速度およびランス高さを調整することによ
り、スラグ中の酸化鉄濃度を制御し、処理後の酸化鉄中
鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)が
15%以上35%以下になるように調整した。
較例1、2)で精錬を実施した。フラックス添加タイミ
ングを表2に示し、精錬条件及び結果を表3に示す。本
実施例においても、処理前[Si]濃度、上吹きランス
からの酸素供給速度の条件から、本実施例では精錬開始
後2分で[Si]濃度が0.15%になることがわかっ
ている。
灰投入のいずれも[Si]濃度が0.15%に到達して
からおこなっているので、蛍石を添加していないにも関
わらず添加生石灰の滓化が急速に進行し、設定塩基度と
実績塩基度がほぼ等しい値となった。その結果、処理後
[P]濃度は0.008%と非常に低い値を実現するこ
とができた。
濃度が0.15%まで到達してから行い、生石灰粉の吹
き込みは脱珪反応中及び脱珪反応終了後いずれにおいて
も行った。蛍石を添加していないにも関わらず処理後
[P]濃度は目標を達成したが、脱珪反応中にも生石灰
粉吹き込みを行っており、この分の滓化が不十分で本発
明例1に比較すると若干滓化が劣る結果となった。
始とともに行い、生石灰粉の吹き込みは脱珪反応中及び
脱珪反応終了後いずれにおいても行った。塊生石灰の投
入を予備処理開始とともに行っており、脱珪反応中にも
生石灰粉吹き込みを行っているので、添加した石灰源の
滓化が不十分であり、処理後の実績塩基度は設定塩基度
に比較して低く、処理後[P]濃度も目標を達成するこ
とができなかった。
・焼結ダストの吹き込みは行わず、予備処理開始ととも
に塊生石灰を投入し、なおかつ蛍石を添加していないの
で、予備処理中における塊生石灰の滓化が十分に進行せ
ず、設定塩基度に比較して実績塩基度が低い値となっ
た。そのため、処理後[P]濃度は0.020%と目標
に対して大幅に未達であった。
の石灰源を溶銑に上方投入する場合にはその添加時期を
[Si]濃度が0.15%まで低下した後とし、塊状石
灰源投入と粉体石灰源吹き込みを併用する場合にはその
両方あるいは少なくとも塊状石灰源の添加時期を[S
i]濃度が0.15%まで低下した後とすることによ
り、添加した石灰源の滓化を促進し、蛍石を添加するこ
となく良好な脱りん処理を行うことができる。これによ
り、耐火物溶損量を削減し、耐火物コストを低減するこ
とができる。
のCaO/SiO2を2.5以下、かつスラグ中の酸化
鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+Mn
O)を15%以上35%以下にすることにより、安定し
た脱りん処理を行うことができる。
す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 石灰源として生石灰及び/又は石灰石を
溶銑に添加し、石灰源の添加方法は粉体吹き込み及び塊
状材上方添加の一方又は両方であって少なくとも塊状材
上方添加を含み、酸化剤として酸化鉄及び/又は気体酸
素を溶銑上方添加及び溶銑内吹き込みの一方又は両方に
よって溶銑に添加して溶銑の脱珪・脱りんを行う溶銑予
備処理において、塊状の石灰源添加時期を[Si]濃度
が0.15%まで低下した後とすることを特徴とする溶
銑予備処理方法。 - 【請求項2】 石灰源として生石灰及び/又は石灰石を
溶銑に添加し、石灰源の添加方法は粉体吹き込み及び塊
状材上方添加の両方を含み、酸化剤として酸化鉄及び/
又は気体酸素を溶銑上方添加及び溶銑内吹き込みの一方
又は両方によって溶銑に添加して溶銑の脱珪・脱りんを
行う溶銑予備処理において、石灰源粉体吹き込み時期及
び塊状材上方添加時期をともに[Si]濃度が0.15
%まで低下した後とすることを特徴とする溶銑予備処理
方法。 - 【請求項3】 上底吹き可能な精錬容器を用い、少なく
とも気体酸素を溶銑上方から吹き付けることを特徴とす
る請求項1又は2に記載の溶銑予備処理方法。 - 【請求項4】 脱りん処理終了時点のスラグ中のCaO
/SiO2を2.5以下、かつスラグ中の酸化鉄中鉄分
とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15
%以上35%以下にすることを特徴とする、請求項1乃
至3のいずれかに記載の溶銑予備処理方法。 - 【請求項5】 蛍石を使用しないことを特徴とする請求
項1乃至4のいずれかに記載の溶銑予備処理方法。
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