JP4695312B2 - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶銑に石灰源及び酸化剤を添加することによって溶銑の脱珪及び脱りんを行う溶銑予備処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溶銑の脱珪、脱りん、脱炭をすべて同一の転炉内で同時に行う転炉製鋼法にかわり、脱炭に先立って溶銑の脱珪、脱りんを脱炭とは別の容器で行う溶銑予備処理方法が用いられるようになった。溶銑予備処理においては、溶銑に酸化鉄をはじめとする固体酸化剤と脱りん用石灰源を添加して脱珪脱りん精錬を行う方法が一般的であった。脱りん精錬においては、石灰源を添加して高塩基度の脱りんスラグを形成し、酸化鉄をはじめとする固体酸化剤を添加して脱りんを行っていた。また、予備脱りん精錬容器としては、トーピードカーや取鍋内の溶銑に脱りん用フラックスをインジェクションして予備脱りんを行う方法が用いられていた。
【0003】
最近は、溶銑予備処理容器として上底吹きが可能な転炉型の精錬容器を用い、脱珪と脱りんを同時に行う溶銑予備処理が用いられるようになってきた。上底吹きによる強攪拌を利用するため、塩基度の低いスラグを用いても脱りんを促進させることができるので、脱珪と脱りんを同時に行うことが可能である。酸化剤として気体酸素を用いることができるので、固体酸素のみを用いる従来に比較して予備処理後の溶銑温度を高く保つことができ、脱炭処理を含めた精錬全体での熱裕度を確保することができる。予備処理精錬用石灰源及び酸化剤は、精錬容器内に上方から添加する方法の他、底吹きガスをキャリアガスとして溶銑中に吹き込んで添加するインジェクションを採用することも可能である。フラックス吹き込みを採用することにより、予備処理における脱りん効率を向上することができる。
【0004】
特開2001−152226公報には、精錬容器内に保持した溶銑に石灰系フラックス及び酸化剤を吹き込む溶銑の予備脱珪脱りん方法において、脱珪率が90%になるまでの間に、石灰系フラックスの主たる量を溶銑に添加する方法が記載されている。操業当初に石灰系フラックスのほとんどの量を溶銑へ投入するようにしたので、操業の終了までにCaOが滓化し、脱りん効率を従来より落とすことなく脱珪脱りんが実施できるようになるとしている。
【0005】
特開平8−157921号公報においては、上底吹き転炉形式の炉で脱りん処理を行うに際し、スラグ条件を塩基度:1.2〜2.0、Al23:2〜16%、T.Fe:7〜30%に制御する方法が開示されている。Al23を2%以上含有させることによってスラグ融点を低下させることにより、滓化促進を図っている。
【0006】
特許第2958848号公報においては、上底吹き転炉を用い、まず脱りん精錬を行い、スラグを排出し、次いで同一転炉にて脱炭を行う精錬方法が記載されている。脱りん工程において、スラグ中のCaO/SiO2が2.5以下の条件では、酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15〜35%とすることによって脱りん反応を促進する。底吹き羽口より生石灰粉をベースとしたフラックスを不活性ガスを搬送ガスとして吹き込み脱りん処理を行う。このとき、酸化鉄粉を生石灰粉に混入するか、あるいは酸素ガスを同一羽口を通して吹き込むことにより、脱りん反応速度を高めることができる。もしくは、上吹きランスから酸素ガスを吹き付け、上方よりフラックスを投入、吹き込み、吹きつけ等の方法で添加して、生成スラグの酸化鉄濃度をコントロールすることによっても、脱りんを促進することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
溶銑予備処理、特にトーピードカーを用いた脱りん処理では、形成されるスラグの塩基度が3以上になるように石灰系フラックスを吹き込むことが多かった。ところが、吹き込まれたCaOの滓化が不十分で利用効率が低い傾向があった。そのため、脱りんを十分に行わせようとすると、石灰系フラックスを過剰に使用することになり、スラグ量が増すばかりでなく、フラックスコスト、スラグ処理コストの増大を招くという問題があった。そこで、CaOの酸化を促進してフラックス量を低減するため、蛍石を添加することが幅広く行われている。
【0008】
脱りん反応を促進するには、溶銑温度が低いほど有利である。しかし、例えば1350℃以下の低温で脱りん処理を行う場合、CaO/SiO2≧1.8になると、滓化不良が生じ、むしろ脱りんを阻害する問題が存在する。そのため、スラグの滓化促進を目的として蛍石を添加する必要があった。
【0009】
精錬において、蛍石を使用することにより予備処理や脱炭処理に使用する精錬容器の耐火物の溶損が激しくなる。例えば、特開平8−157921号公報の図6に示されているように、スラグ中フッ素濃度が高くなるほど耐火物溶損指数が高くなり、耐火物溶損が急激に増大することが知られている。従って、耐火物寿命延長の観点から蛍石を使用しないことが好ましい。蛍石を使用しなければ蛍石使用コスト自体を削減することにもなる。
【0010】
特開平8−157921号公報に記載されたスラグ中Al23を増大する方法においては、造滓材を約10kg/tと更に珪砂、ボーキサイトを添加したとある。これにより脱りん工程から発生するスラグ量は従来に比較して増大することは明らかである。発生スラグを路盤材等に利用することが提案されているが、今後、路盤材等への使用が制限されることが考えられるので、できる限り脱りんスラグを低減することが重要である。
【0011】
本発明は、溶銑の脱珪と脱りんを行う溶銑予備処理に際し、蛍石を使用することなしに、またスラグ発生量を増大させることなしに、良好な脱りん処理を行うことのできる溶銑予備方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)石灰源として生石灰及び/又は石灰石を溶銑に添加し、石灰源の添加方法は粉体吹き込み及び塊状材上方添加の一方又は両方であって少なくとも塊状材上方添加を含み、酸化剤として酸化鉄及び/又は気体酸素を溶銑上方添加及び溶銑内吹き込みの一方又は両方によって溶銑に添加して、蛍石を使用せずに、溶銑の脱珪・脱りんを行う溶銑予備処理において、塊状の石灰源添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とし、脱りん処理終了時点のスラグ中のCaO/SiO 2 を2.5以下、かつスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15%以上35%以下にすることを特徴とする溶銑予備処理方法。
(2)石灰源として生石灰及び/又は石灰石を溶銑に添加し、石灰源の添加方法は粉体吹き込み及び塊状材上方添加の両方を含み、酸化剤として酸化鉄及び/又は気体酸素を溶銑上方添加及び溶銑内吹き込みの一方又は両方によって溶銑に添加して、蛍石を使用せずに、溶銑の脱珪・脱りんを行う溶銑予備処理において、石灰源粉体吹き込み時期及び塊状材上方添加時期をともに[Si]濃度が0.15%まで低下した後とし、脱りん処理終了時点のスラグ中のCaO/SiO 2 を2.5以下、かつスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15%以上35%以下にすることを特徴とする溶銑予備処理方法。
(3)上底吹き可能な精錬容器を用い、少なくとも気体酸素を溶銑上方から吹き付けることを特徴とする上記(1)乃至(2)のいずれかに記載の溶銑予備処理方法
【0013】
特開2001−152226公報に記載のものは、その実施の形態に示されているように精錬容器としてトーピードカーを用い、予備処理時間は35〜40分の長時間を要している。このような長時間処理であれば、同公報に記載のように、石灰系フラックス投入を操業当初の脱珪初期としても、操業の終了までにCaOを滓化することが可能であったものと考えられる。
【0014】
これに対し、最近の溶銑予備処理は、精錬容器として上底吹き可能な転炉を用いることにより極めて短時間で予備処理を完了することが可能になっている。このような高速予備処理においては、脱珪と脱りんを合わせて長くても15分程度で完了させる。従って、精錬容器内に添加した石灰源を中心とするフラックスを極めて短時間で滓化させないと、脱りんスラグとして寄与することができない。このため、溶銑予備処理における蛍石の使用は、高速の予備処理において特にスラグ滓化のために必要性が高かった。
【0015】
脱珪初期に塊状の石灰源を添加すると、脱珪反応で生じたSiO2が石灰と反応し、石灰の表層に高融点の2CaO・SiO2が生成する。溶融スラグが存在しないと、表層に生成した2CaO・SiO2が溶融することができないため石灰の滓化が阻害される。脱珪初期に脱りんに必要な塩基度を達成するための塊石灰を一括添加すると、脱珪反応で生じたSiO2に対して石灰が過剰に存在するため、生成したSiO2が次から次にCaOの表層のみで反応し、なかなか液相スラグが生成しない。このため塊状石灰の内部まで滓化が進行せず、塩基度CaO/SiO2が上昇しないため結果として脱りん反応が阻害される。
【0016】
これに対し、[Si]濃度が0.15%に低下するまでは酸化剤だけを供給してSiO2−FeO系の低融点スラグを形成し、[Si]濃度が0.15%まで低下した以降に石灰源を添加すると、液相スラグが存在する中に石灰源が投入されるので、石灰は容易にスラグ中に溶融することができ、塊石灰内部まで完全に滓化されるため、所要の塩基度までたやすく上昇し、所定の脱りんレベルを達成することができる。
【0017】
ここで、石灰源を入れる[Si]濃度を0.15%以降とした理由は、脱珪反応途中から同時に進行する脱りん反応を促進するには、脱珪途中に石灰源を添加し塩基度を高めることが有利であり、[Si]濃度が0.15%まで脱珪すると、投入した石灰源を滓化するのに十分な溶融スラグを確保できるためである。
【0018】
なお、脱珪中の[Si]濃度判定手段としては、初期溶銑[Si]値をもとに送酸量と脱珪酸素効率から脱珪量を推定することによって行うと良い。
【0019】
石灰源として粉状の石灰を溶銑中に吹き込む場合においても、脱珪反応後に吹き込むことは、塊石灰と同様に滓化促進の観点から望ましいことである。
【0020】
但し、紛状の石灰については、脱珪反応中に吹き込まれる量が全体の20%以下(脱りんまで含めた全体時間が約15分のうち脱珪反応時間は約3分)と少なくかつ連続的に供給されること、サイズは1.5mm以下(大部分は0.5mm以下)であり塊状のものに対してはるかに小さいことから、塊状のものと比較して滓化の遅れは小さく、ほぼ所定の塩基度が達成でき脱りんへの影響は小さいため、脱珪反応初期から吹き込んでも特に問題はない。
【0021】
ここにおいて、脱珪反応中とは、溶銑中の[Si]が酸化して時間の経過とともに[Si]濃度が低下しつつある時期をいう。一般に、溶銑[Si]濃度が0.03%まで低下すると、[Si]の酸化速度が著しく減少するので、脱珪反応が終了したと見なすことができる。
【0022】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、石灰源添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とすることにより、石灰の滓化を迅速に行うことが可能になり、上底吹き転炉を用いたような高速の溶銑予備処理においても蛍石を使用せずに滓化性の良好なスラグを形成して脱りん反応を行わせることを可能にした。
【0023】
【発明の実施の形態】
石灰源として塊状の石灰源を上方から添加する場合には、本発明の上記(1)にあるように塊状の石灰源添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とする。石灰源として粉体吹き込み及び塊状材上方添加の両方を用いる場合には、本発明の上記(2)にあるようにその両方の石灰源添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とするとすると最も好ましいが、塊状材上方添加の時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とすれば、粉体石灰源の吹き込み開始時期を[Si]濃度が0.15%まで低下する前にしても本発明の効果を発揮することができる。
【0024】
本発明はこれにより、溶銑予備処理において蛍石を添加することなく、たとえ高速の溶銑予備処理であっても迅速にスラグを滓化することができ、高効率で脱りんを行うことが可能になると同時に、耐火物溶損量を削減し、耐火物コストを低減することができる。
【0025】
本発明はまた、石灰の滓化が促進されるため、滓化スラグ中の実塩基度を確保するために過剰な石灰源を投入する必要がなくなるので、石灰源原単位を削減することができ、スラグの発生量を低減することができる。また、予備処理終了後に回収したスラグ中に含まれる未滓化生石灰の含有量が低減するので、スラグを路盤材等として利用する上での利用価値の増大が図られる。
【0026】
本発明は、以上述べたように高速の予備処理において顕著な効果を発揮するので、本発明の上記(3)にあるように、上底吹き可能な精錬容器を用い、少なくとも気体酸素を溶銑上方から吹き付けることを特徴とする溶銑予備処理において顕著な効果を発揮する。
【0027】
本発明の上記(1)〜(3)はさらに、脱りん処理終了時点のスラグ中のCaO/SiO2を2.5以下、かつスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15%以上35%以下にする。CaO/SiO2を2.5以下とするのは、CaO/SiO2>2.5では蛍石を添加しないと滓化不良となるからである。また、スラグ中のCaO/SiO2が2.5以下の条件において、スラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15%以上35%以下にする理由は、酸化鉄およびマンガン酸化物はともに溶銑中のりんを酸化し、溶銑からスラグ中に除去する作用があるため、脱りん反応を促進するにはスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和を少なくとも15%以上にする必要があり、またスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和が35%を超えると、スラグ中に移行したりんを安定化するのに必要なCaO濃度が減少し、脱りん反応が阻害されるためである。
【0028】
本発明、いずれも良好な脱りん能力を有している。そのため、溶銑予備処理に蛍石を使用することなく必要な脱りん処理を行うことが可能である。
【0029】
石灰源の添加方法としては、塊状のものを上方添加する、粉状のものを溶銑中に吹き込む、およびその両者を併用することがある。使用する石灰量は、溶銑の[Si]をもとに、所定の塩基度になるように決定する。従って、石灰源として塊状のものと粉体との両者を使用する場合は、一方の使用量を決定すればもう一方の量は一義的に決定される。
【0030】
【実施例】
図1に示すような300トン規模の上底吹き転炉を用いて本発明の脱りん処理を実施した。処理後目標[P]濃度は0.014%以下、処理後目標溶銑温度は1330℃である。
【0031】
(実施例1)
石灰源として塊生石灰、酸化剤として鉄鉱石をいずれも転炉上方から投入した。塊生石灰の大きさは20〜50mmである。塊生石灰の投入タイミングは各実施例毎に下記に示す条件で投入し、鉄鉱石の投入タイミングは脱珪開始とともに初期一括投入とした。鉄鉱石投入量は、処理後溶銑温度が目標温度となるように投入量を決定した。上吹きランス3から吹き付ける酸素ガス8の酸素供給速度およびランス高さを調整することにより、スラグ中の酸化鉄濃度を制御し、処理後の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)が15%以上35%以下になるように調整した。
【0032】
【表1】
Figure 0004695312
【0033】
上記表1に示す条件(本発明例1、比較例1〜3)で精錬を実施した。
表1及び後述する表3中で、設定塩基度(設定CaO/SiO2)とは、石灰源投入量から計算したCaOインプットと溶銑[Si]濃度等から計算したSiO2インプットとから導かれる塩基度であり、実績塩基度(実績CaO/SiO2)とは、予備処理終了後に採取したスラグ成分値から計算した塩基度である。設定塩基度に対して実績塩基度が低い場合には、その差分は、投入した石灰源のうち未滓化で精錬に寄与しなかった石灰分の程度を表すものと考えられる。従って、設定塩基度と実績塩基度との差が少ないほど、投入した石灰源が良好に滓化して有効に精錬に用いられたこととなる。
【0034】
処理前[Si]濃度、上吹きランスからの酸素供給速度の条件から、本実施例では精錬開始後2分で[Si]濃度が0.15%になることがわかっている。生石灰の投入タイミングとしては、本発明例1では[Si]濃度が0.15%に到達する2分時点で添加し、比較例1〜3では精錬開始とともに添加した。
【0035】
本発明例1では、塊生石灰投入タイミングが[Si]濃度が0.15%まで低下した後であったため、蛍石を添加していないにも関わらず塊生石灰の滓化が急速に進行し、設定塩基度と実績塩基度がほぼ等しい値となった。その結果、処理後[P]濃度は0.013%と目標を達成することができた。
【0036】
比較例1は、予備処理開始とともに塊生石灰を投入し、なおかつ蛍石を添加していないので、予備処理中における塊生石灰の滓化が十分に進行せず、設定塩基度に比較して実績塩基度が低い値となった。そのため、処理後[P]濃度は0.020%と目標に対して大幅に未達であった。
【0037】
比較例2は、比較例1と同様に予備処理開始とともに塊生石灰を投入した。滓化不良を見越し、塊生石灰投入原単位を増加して設定塩基度を高めた操業を行った。その結果、処理後の実績塩基度を高くすることができ、所定の処理後[P]濃度を確保することができたが、設定塩基度を高めた分、生石灰原単位が高くなりコストが増加するとともに、発生スラグ量も増加した。
【0038】
比較例3は、比較例1、2と同様に予備処理開始とともに塊生石灰を投入した。滓化不良を見越し、蛍石を添加した。処理後の実績塩基度は設定塩基度とほぼ等しく、所定の脱りんレベルを確保できたが、蛍石を使用したために精錬容器の耐火物溶損が激しく、耐火物寿命が短縮する結果を生じた。本発明例1の条件と比較例3の条件で各々20chづつ連続した操業を実施し、耐火物溶損量を比較した。その結果、蛍石を使用しない本発明例1に比べ、蛍石を使用した比較例3の方が20%溶損量が多かった。
【0039】
(実施例2)
石灰源として、底吹きノズル2からの生石灰粉吹き込みと塊生石灰の転炉上方からの投入を併用した。酸化剤として、底吹きノズル2からの焼結ダスト吹き込みと鉄鉱石の転炉上方からの投入を併用した。底吹きによる粉体吹き込みは、窒素ガスをキャリアガス7として溶銑中に吹き込み、フラックスホッパー4から粉体を供給することによって行った。各材料の投入及び吹き込みタイミングは、各実施例毎に下記に示す条件とした。石灰源に関しては、すべて滓化した場合の塩基度(CaO/SiO2)が1.85になるように溶銑量と初期溶銑[Si]濃度から添加量を決定した。底吹きノズルからの生石灰粉吹き込みで添加量に足りない分は、塊生石灰を上方投入した。塊生石灰の大きさは20〜50mm、生石灰粉の粒度は1.5mm以下であった。鉄鉱石の投入タイミングは脱珪開始とともに初期一括投入とした。鉄鉱石投入量は、処理後溶銑温度が目標温度となるように投入量を決定した。上吹きランスからの酸素供給速度およびランス高さを調整することにより、スラグ中の酸化鉄濃度を制御し、処理後の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)が15%以上35%以下になるように調整した。
【0040】
【表2】
Figure 0004695312
【0041】
【表3】
Figure 0004695312
【0042】
表2、3に示す条件(本発明例1、2、比較例1、2)で精錬を実施した。フラックス添加タイミングを表2に示し、精錬条件及び結果を表3に示す。本実施例においても、処理前[Si]濃度、上吹きランスからの酸素供給速度の条件から、本実施例では精錬開始後2分で[Si]濃度が0.15%になることがわかっている。
【0043】
本発明例1は、生石灰粉吹き込み、塊生石灰投入のいずれも[Si]濃度が0.15%に到達してからおこなっているので、蛍石を添加していないにも関わらず添加生石灰の滓化が急速に進行し、設定塩基度と実績塩基度がほぼ等しい値となった。その結果、処理後[P]濃度は0.008%と非常に低い値を実現することができた。
【0044】
本発明例2は、塊生石灰の投入は[Si]濃度が0.15%まで到達してから行い、生石灰粉の吹き込みは脱珪反応中及び脱珪反応終了後いずれにおいても行った。蛍石を添加していないにも関わらず処理後[P]濃度は目標を達成したが、脱珪反応中にも生石灰粉吹き込みを行っており、この分の滓化が不十分で本発明例1に比較すると若干滓化が劣る結果となった。
【0045】
比較例1は、塊生石灰の投入は予備処理開始とともに行い、生石灰粉の吹き込みは脱珪反応中及び脱珪反応終了後いずれにおいても行った。塊生石灰の投入を予備処理開始とともに行っており、脱珪反応中にも生石灰粉吹き込みを行っているので、添加した石灰源の滓化が不十分であり、処理後の実績塩基度は設定塩基度に比較して低く、処理後[P]濃度も目標を達成することができなかった。
【0046】
比較例2は、底吹きノズルからの生石灰粉・焼結ダストの吹き込みは行わず、予備処理開始とともに塊生石灰を投入し、なおかつ蛍石を添加していないので、予備処理中における塊生石灰の滓化が十分に進行せず、設定塩基度に比較して実績塩基度が低い値となった。そのため、処理後[P]濃度は0.020%と目標に対して大幅に未達であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、溶銑予備処理において、塊状の石灰源を溶銑に上方投入する場合にはその添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とし、塊状石灰源投入と粉体石灰源吹き込みを併用する場合にはその両方あるいは少なくとも塊状石灰源の添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とすることにより、添加した石灰源の滓化を促進し、蛍石を添加することなく良好な脱りん処理を行うことができる。これにより、耐火物溶損量を削減し、耐火物コストを低減することができる。
【0048】
本発明は、脱りん処理終了時点のスラグ中のCaO/SiO2を2.5以下、かつスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15%以上35%以下にすることにより、安定した脱りん処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶銑脱りんに用いる上底吹き転炉を示す図である。
【符号の説明】
1 精錬容器
2 底吹きノズル
3 上吹きランス
4 フラックスホッパー
5 溶銑
6 スラグ
7 キャリアガス
8 酸素ガス

Claims (3)

  1. 石灰源として生石灰及び/又は石灰石を溶銑に添加し、石灰源の添加方法は粉体吹き込み及び塊状材上方添加の一方又は両方であって少なくとも塊状材上方添加を含み、酸化剤として酸化鉄及び/又は気体酸素を溶銑上方添加及び溶銑内吹き込みの一方又は両方によって溶銑に添加して、蛍石を使用せずに、溶銑の脱珪・脱りんを行う溶銑予備処理において、塊状の石灰源添加時期を[Si]濃度が0.15%まで低下した後とし、脱りん処理終了時点のスラグ中のCaO/SiO 2 を2.5以下、かつスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15%以上35%以下にすることを特徴とする溶銑予備処理方法。
  2. 石灰源として生石灰及び/又は石灰石を溶銑に添加し、石灰源の添加方法は粉体吹き込み及び塊状材上方添加の両方を含み、酸化剤として酸化鉄及び/又は気体酸素を溶銑上方添加及び溶銑内吹き込みの一方又は両方によって溶銑に添加して、蛍石を使用せずに、溶銑の脱珪・脱りんを行う溶銑予備処理において、石灰源粉体吹き込み時期及び塊状材上方添加時期をともに[Si]濃度が0.15%まで低下した後とし、脱りん処理終了時点のスラグ中のCaO/SiO 2 を2.5以下、かつスラグ中の酸化鉄中鉄分とマンガン酸化物濃度の和(T.Fe+MnO)を15%以上35%以下にすることを特徴とする溶銑予備処理方法。
  3. 上底吹き可能な精錬容器を用い、少なくとも気体酸素を溶銑上方から吹き付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶銑予備処理方法。
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