JP3684953B2 - 溶銑の予備脱珪・脱燐方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶銑の予備脱珪・脱燐方法に係わり、特に、所謂「溶銑予備処理」において、精錬剤(フラックス)に蛍石をまったく使用せずに、溶銑の脱燐を効率良く行なう技術である。
【0002】
【従来の技術】
近年、溶銑を転炉で酸素吹錬して溶鋼とするに当たり、転炉での吹錬負荷を低減すると共に、溶鋼を所望の組成にし易くするため、転炉に装入する溶銑から予め珪素、燐、硫黄等を除去する所謂「溶銑予備処理」が普及している。つまり、高炉から出銑された溶銑が、まだ出銑樋、傾注樋、あるいは混銑車内に存在する間に、該溶銑に精錬剤として石灰系フラックス、酸化剤、及び/又はソーダ灰系フラックス等を、キャリア・ガスに窒素を用いて吹込み、前記成分元素をスラグへ移行し、除去するものである。
【0003】
かかる予備処理のうち、特に脱燐を行なうに際しては、従来は、形成されるスラグの塩基度が3.0以上となるように石灰系フラックスが吹き込まれることが多かった。ところが、吹込まれたCaOの滓化が不十分で利用効率が低い傾向があった。そのため、脱燐を十分に行なわせようとすると、フラックスを過剰に使用することになり、スラグ量が増えるばかりでなく、フラックス・コスト、スラグ処理・コストの増大を招くという問題があった。また、脱燐処理後の溶銑温度の低下も生じていた。そこで、CaOの滓化を促進してフラックス量を減らすため、蛍石(CaF2)を添加する技術が提案され、多用されている。これによって、CaOの融点が低下し、その滓化が容易になるからである。
【0004】
しかしながら、この蛍石の添加は、形成されるスラグ中の弗素(F)含有量を高める。最近、スラグを原料とする土木、建設用資材等からの環境への弗素の溶出が問題視されるに及び、スラグ中の弗素についても環境庁が規制することを要求している。また、スラグ中の弗素は、予備処理に使用する容器の耐火物にとってもない方が好ましい。さらに、蛍石を使用しないことは、フラックス・コストの面からも望ましい。本出願人は、先に特開昭63−223114号公報にて蛍石を使用せずに溶銑の予備脱燐する技術を開示している。その技術は、操業開始前より予めスラグ中の塩基度(CaO/SiO2の質量%)を2.0〜2.5と比較的高く維持し、溶銑中Siを0.03重量%以下に低減させると共に、その後も該塩基度を常時2.0〜2.5の範囲に維持して操業するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術には、スラグの塩基度を所定範囲内に維持し続けることが難かしいという問題があった。つまり、操業しながら、脱珪反応とバランスさせて吹込む石灰系フラックスの量を迅速に決めることができなかったのである。そのため、フラックス量が不足して脱燐不良になったり、あるいは過剰に加え過ぎて、その滓化不良を起こすことが多く、操業が不安定であった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑み、従来よりスラグの塩基度が低い場合でも、効率良く脱燐でき、且つ安定した操業が可能な溶銑の予備脱珪・脱燐方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため、石灰系フラックスで溶銑の脱燐を行なう際の操業条件について鋭意研究し、その成果を本発明に具現化した。
【0008】
すなわち、本発明は、精錬容器内に保持した溶銑に石灰系フラックス及び酸化剤を吹き込む溶銑の予備脱珪・脱燐方法において、前記石灰系フラックスとしてその成分に蛍石を用いないものを使用し、脱珪率が90%になるまでの間に、該石灰系フラックスの主たる量を溶銑に添加し、生じるスラグの最終塩基度を1.2〜2.5になるよう操業することを特徴とする溶銑の予備脱珪・脱燐方法である。
【0009】
また、本発明は、前記最終塩基度を1.3〜2.0未満とすることを特徴とする溶銑の予備脱珪・脱燐方法である。
【0010】
さらに、本発明は、前記精錬容器を混銑車とすることを特徴とする溶銑の予備脱珪・脱燐方法でもある。
【0011】
本発明によれば、操業当初に、操業で使用する石灰系フラックスのほとんどの量を溶銑へ投入するようにしたので、蛍石を使用しなくても、操業の終了までにCaOが滓化し、脱燐効率を従来より落とすことなく、脱珪、脱燐が実施できるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
まず、本発明に係る溶銑の予備脱珪・脱燐方法は、高炉から出銑され、予め傾注樋等でミルスケール、焼結鉱等の酸化鉄含有物質を吹込み、ある程度脱珪された溶銑を対象とする。そして、その実施は、該溶銑を主として搬送するために使用していた溶銑鍋、混銑車等の容器を、精錬容器として使用することで行なわれる。例えば、混銑車の場合には、図3に示すように、混銑車1の開口部2を介してランス3を溶銑4中に浸漬し、石灰系フラックス5及び/又は酸化剤6をキャリア・ガス7を用いて、ある時間にわたり吹き込むものである。その結果、溶銑4中のSi及びPは、酸化されてスラグ8に移行し、脱珪、脱燐される。
【0014】
本発明は、かかる溶銑の予備脱珪・脱燐を実施するに際して、石灰系フラックス5を、操業の開始当初に、精錬終了までに使用するほぼ全量、つまり主たる量を溶銑4へ投入してしまうものである。この場合、石灰系フラックス5は、CaOが単独であっても良いし、該CaOを主成分にして、炭酸カルシウム(CaCO3),転炉滓等を混合しても良い。また、酸化剤6には、ミルスケール、焼結鉱、鉄鉱石、焼結ダスト等が用いられる。ここで、操業の開始当初とは、図2に示すように、酸化剤6の吹込みが開始されてから溶銑4の脱珪率が90%に至る期間を意味する。具体的には、通常の操業では、約15〜10分程度の期間である。但し、図2から明らかなように、酸化剤6は、脱燐処理の終了まで、吹き込みを継続する。
【0015】
このようにすると、操業の初期に、溶銑中のPは大部分除去され、その後操業終了までの全期間を通じてスラグ塩基度を一定の範囲に維持しなくても、最終的な塩基度を1.2〜2.5の範囲になるように、CaOを補充吹込みする程度で、目標とする溶銑中燐濃度が達成できるのである。つまり、特開昭63−223114号公報記載のような厳しいスラグの塩基度管理が不要となる。理由は、定かでないが、最終塩基度の値は低くても、操業当初の値が従来より高く、スラグの流動性が良いためと推定される。なお、本発明でCaOを補充吹込みする理由は、酸化剤として焼結ダストや鉄鉱石を使用した場合、それらはCaOよりSiO2に富み、スラグとしてCaOが不足する恐れがあるからである。
【0016】
また、このスラグの最終塩基度を2.0未満1.2以上で操業したところ、図1に示すように、それでも良好な脱燐効率が確保できたので、本発明は、この範囲の塩基度で操業するのが一層好ましい。なぜならば、スラグの発生量が、従来よりかなり少なくできるからである。
【0017】
さらに、本発明では、操業の初期にほとんどの石灰系フラックスを投入してしまうので、操業末期までに未滓化で残留するCaOはなく、結果的ではあるが、蛍石を添加する必要性もなくなった。なお、本発明では、スラグが低塩基度であるために、造滓剤としての蛍石を特に使用せずとも速やかな滓化が達成できるが、特に滓化の促進が必要である場合には、Al2O3含有物質やAl2O3を生成するような物質をスラグやフラックスに添加すると良く、むしろ好ましい。
【0018】
【実施例】
高炉の鋳床で脱珪した溶銑(Si含有量0.15〜0.2質量%)を混銑車に装入し、石灰系フラックスの吹込み装置を備えた予備処理場へ搬送した。そして、本発明に係る溶銑の予備脱珪・脱燐、従来の高スラグ塩基度(3以上)及び特開昭63−223114号公報記載の3通りの予備処理操業を実施した。実施したチャージは、それぞれの方法で16チャージであり、1チャージに装入した溶銑は280〜320トンである。
【0019】
各予備脱珪・脱燐方法の操業上での手順を下記に整理して示す。
(1)本発明に係る方法
まず、溶銑中へランスを介して酸化剤を吹き込む。キャリア・ガスは、窒素で、その流量は、2Nm3/minである。酸化剤の吹込みと同時に、溶銑上に石灰系フラックスを投入し始め、5分間で操業に使用する予定量のすべての投入を終了する。その後は、前記酸化剤の吹込みのみを継続して、溶銑を撹拌し、35〜35分後に操業を終了する。なお、石灰系フラックスの使用量は、CaO換算で溶銑トン当たり5〜8kg,酸化剤は酸素量をFeO換算で溶銑トン当たり18〜20kgであった。
(2)従来法1(高塩基度スラグの方法)
溶銑中へランスを介して酸化剤を吹き込むと共に、溶銑上に石灰系フラックスと蛍石を投入し続け、40〜45分で処理を終了した。石灰系フラックスの使用量は、CaO換算で溶銑トン当たり10〜15kg,蛍石はCaF2換算で溶銑トン当たり2〜3kg,酸化剤は酸素量をFeO換算で溶銑トン当たり20〜22kgであった。
(3)従来法2(特開昭63−223114号公報記載の方法)
予め混銑車内の溶銑に石灰系フラックスを投入し、スラグの塩基度を2.3に調整する。その後、スラグの塩基度が常に2.3±0.1の範囲に入るよう、生成するSiO2の量を基にして、吹込む該フラックス量を演算しつつ、その吹込みを操業の終了まで行なった。同時に、酸化剤の吹込みも行なった。処理時間は35〜40分、石灰系フラックス使用量は溶銑トン当たり7〜10kg、酸化剤は酸素量をFeO換算で溶銑トン当たり18〜20kgであった。
【0020】
表1に予備処理前の溶銑の化学組成、表2に操業条件と脱珪・脱燐の結果を示す。これら表1及び2より、本発明では、蛍石を用いず、且つスラグの最終塩基度が低いにもかかわらず、脱燐率は従来方法と同程度であることが明らかである。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、石灰系フラックスに螢石を加えなくても、溶銑の脱珪及び脱燐処理が安定して実施できるようになった。また、スラグの発生量も従来に比べて、かなり低減できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施におけるスラグの最終塩基度と溶銑の脱燐効率との関係を示す図である。
【図2】本発明方法と特開昭63−223114号公報記載の方法の実施におけるスラグ中塩基度(a)及び溶銑中燐、珪素濃度の経時変化を示す図である。
【図3】混銑車を用いた一般的な溶銑の脱珪・脱燐状況を示す図である。
【符号の説明】
1 混銑車(精錬容器)
2 開口部
3 ランス
4 溶銑
5 石灰系フラックス
6 酸化剤
7 キャリア・ガス
8 スラグ
Claims (3)
- 精錬容器内に保持した溶銑に石灰系フラックス及び酸化剤を吹き込む溶銑の予備脱珪・脱燐方法において、
前記石灰系フラックスとしてその成分に蛍石を用いないものを使用し、脱珪率が90%になるまでの間に、該石灰系フラックスの主たる量を溶銑に添加し、生じるスラグの最終塩基度を1.2〜2.5になるよう操業することを特徴とする溶銑の予備脱珪・脱燐方法。 - 前記最終塩基度を1.3〜2.0未満とすることを特徴とする請求項1記載の溶銑の予備脱珪・脱燐方法。
- 前記精錬容器を混銑車とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶銑の予備脱珪・脱燐方法。
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