JP6361885B2 - 溶銑の精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、1つの転炉型精錬容器を用いて溶銑の脱珪処理と脱燐処理とを、途中の排滓工程(中間排滓)を挟んで連続して行なう精錬方法であって、鉄スクラップや冷鉄等の冷鉄源の溶解を効率的に行なうことのできると同時に低燐鋼の溶製にも有効な溶銑の精錬方法に関する。
温室効果ガスの排出量削減が強く求められている昨今、鉄鋼業においては、転炉にて溶銑の脱燐処理及び脱炭精錬を行なう際、転炉内溶銑に鉄スクラップなどの冷鉄源を投入することにより、鉄鋼製品生産に要するエネルギーの削減を図る努力が払われている。この方法は、高炉内に鉄鉱石を装入するような方法とは異なり、還元する必要のない冷鉄源の場合、高炉から出銑される銑鉄を精錬して溶鋼を製造するよりも少ないエネルギー消費量及び少ない温室効果ガス排出量で溶鋼の製造ができる。この方法はまた、高炉で製造された溶銑に冷鉄源を加えて溶鋼を製造することで、高炉で製造される溶銑量以上の溶鋼を製造することができ、溶鋼生産量の増大を図ることができ有利である。
また近年では、コスト面及び品質面で有利であるという理由から、転炉での脱炭精錬の前に溶銑予備処理として脱燐処理を実施し、溶銑中の燐を予め除去する精錬を行なうのが普通である。これはまた、脱燐反応は熱力学的に精錬温度が低いほど進行しやすく、つまり、溶鋼段階よりも溶銑段階のほうが脱燐反応が進行しやすく、少ない精錬剤で脱燐精錬を行なうことができるからである。
一般に、溶銑の予備処理では、先ず、溶銑中に酸化鉄などの固体酸素源を添加して脱珪処理を行ない、この脱珪処理時に発生したスラグを除去し、次いで、必要に応じて溶銑を別の精錬容器に移し変えた後に脱燐精錬剤(媒溶剤)を添加して脱燐処理を実施している。通常、この脱燐処理時の脱燐精錬剤としては、生石灰などのCaO系媒溶剤が用いられ、酸素源としては固体酸素源(酸化鉄など)や気体酸素源(酸素ガスなど)が用いられている。また、予備処理を行なう精錬容器としては、ト−ピ−ドカ−、取鍋(高炉鍋や装入鍋)、転炉などが用いられている。
上述した方法で脱燐処理を終えた溶銑は、熱源である珪素(Si)が酸化されてほとんどなくなっており、炭素(C)も酸化されて炭素濃度は出銑時に比べて1.5mass%程度低下している。従って、このままだと、鉄スクラップなどの冷鉄源を溶解するための熱的な余裕がなくなり、転炉での脱炭精錬工程では冷鉄源が配合できないという問題が生じていた。このため、溶鋼の増産が必要な場合には、予備処理としての予備脱燐処理を放棄して、転炉で脱燐と脱炭精錬を同時に行なうという、従来の転炉吹錬に戻す操業を行なうことも考えられる。
しかしながら、溶銑段階で脱燐の処理を行なうということは、コストの低減及び鋼材品質の向上をもたらし、スラグ発生量を低減する上で好ましいことである。即ち、溶銑の段階で予備脱燐を行ない、その上で、転炉において脱炭精錬のみを行なうと同時に鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を増加させ、高炉で製造された単位質量あたりの溶銑からより多くの溶鋼を製造することの方が望ましいと言えるからである。
従来、転炉における溶銑の脱炭については、フェロシリコン(Fe−Si)、金属Alあるいはコ−クスや石炭、黒鉛などの炭材を熱源として添加し、これらの熱源を酸化させるときに発生する酸化熱を利用して脱炭精錬する方法がある。確かに、これらの熱源を利用することで、冷鉄源の配合比率を増加させ得ることは可能であるが、フェロシリコン、金属Alは多量の電力を使用して製造されることからコスト高になる。また、熱源としてフェロシリコンや金属Alを使用する方法も考えられるが、SiOあるいはAlが生成すると精錬を阻害するので、SiOやAlを希釈する必要が生じ、CaO系媒溶剤の使用量が増加し、製造コストを上げる原因となる。
その他、安価な熱源としては、転炉内に存在する溶融鉄そのものが考えられる。鉄(Fe)と反応する酸素1kg当たりに換算した溶融鉄の発熱量は、フェロシリコンの発熱量に近く、コ−クスや黒鉛などの炭材と比較すると、吹き込む酸素ガスを効率よく利用できる。しかしながら、溶銑中の炭素を酸素ガスの供給によって除去する脱炭精錬では、鉄が酸化されてスラグ中のFeO濃度が35mass%以上と高くなり、耐火物の溶損が激しくなるという問題がある。また、鉄の酸化が多くなり工業的には成り立たない。
一方、熱源としては、炭材が使用されることが多い。しかし、熱源用炭材として使用されるコ−クスや無煙炭は、単位質量当たりの発熱量がフェロシリコンや金属Alに比べると小さく、同じ熱量を補償するためには多量の炭材が必要である。しかも、この炭材は、燃焼させるために多量の酸素ガスを追加供給する必要があり、転炉吹錬時間の延長に繋がる。しかも、冷鉄源の配合比率を増加させることができたとしても、転炉の生産性を却って低下させてしまうおそれもある。加えて、コ−クスや無煙炭に含有される硫黄が溶銑や溶鋼に混入することにより、溶銑及び溶鋼の硫黄濃度のピックアップを招き、特に低硫鋼を溶製する場合には、転炉からの出湯後に脱硫処理が必須となり、これも製造コストを高める原因となる。
また、脱炭精錬時に脱炭反応によって発生したCOガスを転炉内で二次燃焼させ(2C+O→2CO)、この二次燃焼熱を溶鋼に着熱させて冷鉄源の溶解量を増加させる方法もある(例えば、非特許文献1参照)。しかし、二次燃焼熱は、通常の脱炭精錬では溶湯への着熱効率が低く、転炉の内張り耐火物の加熱には役立つものの、この二次燃焼熱の大半は炉外に放出されてしまうだけでなく、転炉の内張り耐火物の損傷を拡大させるという問題がある。
さらに、二次燃焼熱の着熱効率を高めることにより、少ない炭材の使用量で多量の冷鉄源を溶解することを目的として、炉内の溶融鉄1トンあたり100kg以上1000kg以下の大量のスラグを炉内に形成させ、このスラグ中で二次燃焼させる方法(特許文献1)が提案されている。
また、溶融鉄1トンあたり100〜400kgの大量のスラグを炉内に残し、そのスラグ中で二次燃焼させると同時に底吹き羽口から吹き込む撹拌溶用ガスによってスラグを強撹拌する方法(特許文献2)も提案されている。
しかしながら、これらの既知の方法では、炉内のスラグ量を溶融鉄1トンあたり100kg以上確保した上で、そのスラグ中に炭材を巻き込ませなければならず、これは炉内容積に占めるフォーミングスラグの存在比率を高くすることを意味しており、吹錬中の転炉炉口からのスラグ噴出を回避するためには、炉内に収容する溶融鉄の量を大幅に減らす必要が生じ、冷鉄源の溶解能率は結果的に低下してしまうという問題がある。
特開平8−260022号公報 特開平10−265820号公報
鉄と鋼vol71(1985)No.15.p.1787−1794
前述したように、従来技術の提案は、予備処理(脱珪処理、脱燐処理)後の溶銑を、転炉において脱炭精錬のみを行なう際に、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を増加させ、単位質量あたりの溶銑から、より多くの溶鋼を製造することを主目的としている。しかしながら、これらの従来技術は、十分にその目的を達成していないのが実情である。
そこで本発明は、従来技術が抱えている前述した実情に鑑み、冷鉄源を溶解するための熱補償を効率よく行なうことができると共に、溶銑のもつ熱エネルギーを無駄なく冷鉄源の溶解にも有効に活用することができる他、コスト的にもまた品質的にも有利な精錬を行なうことができる、溶銑の精錬方法を提案することを目的とする。
上記目的に叶う精錬方法を安定的に実施するための方法について鋭意検討した結果、発明者らはまず、脱珪処理中及び排滓工程におけるスラグフォーミング状況を適切に制御することが有効であることを知見した。即ち、転炉において溶銑を精錬する際、いずれの段階であってもスラグフォーミングが過剰になると、脱珪処理中にスラグの噴出が生じて操業効率が低下し、一方で、そのスラグフォーミングが不足すると、排滓工程においてスラグの排出を短時間で終えることができず、その結果、次工程である脱燐処理時への持ち込みスラグ量が増加して、脱燐のためのCaO系媒溶剤の使用量が増加することが分った。
このように、転炉での溶銑の精錬に当たっては、前述したようにスラグフォーミングを適正に管理することが極めて重要であり、この点に関し、発明者らは、溶銑浴面への酸素衝突圧を好適範囲に制御する新規な方法を開発することに成功した。
即ち、本発明は、転炉型精錬容器内の溶銑に対し上吹きランスから気体酸素源を供給して該溶銑を脱珪処理する脱珪処理工程と、該脱珪処理工程で生成したスラグのうちの少なくとも一部を該転炉型精錬容器から排出する排滓工程と、排滓後の該転炉型精錬容器内にCaO系媒溶剤を添加すると共に、該上吹きランスから気体酸素源を供給して脱燐処理する脱燐処理工程とを経て溶銑を精錬する方法において、前記脱珪処理工程において行なう上吹きランスからの溶銑浴面への気体酸素源の供給に際し、下記式(1)により求められる酸素衝突圧Pcが0.005〜0.07kgf/cm2の範囲内である溶銑の精錬方法である
Figure 0006361885
ここで、
c:浴面への酸素衝突圧(kgf/cm2)、
ρ:気体酸素源のガス密度(1.43kg/m3)、
V:気体酸素源の中心流速(m/s)、
g:重力加速度(m/s2)、
本発明では、上記の基本的な構成の採用に併せて、さらに下記(1)〜()の構成を採用することがより好ましい解決手段を提供できるものと考えられる。
(1)前記気体酸素源の中心流速(V)は、下記(2)〜(5)式により求めること。
Figure 0006361885
ここで、
:ノズル出口噴出流速(m/s)、
de:ノズル出口径(m)、
C:定数、
Z:ランス高さ(m)、
:ノズル絶対圧力(kgf/cm2)、
e:雰囲気圧(kgf/cm2)、
:酸素ガスの定数(739)、
Qo:上吹ランスからの送酸速度(m3/s)、
:酸素ガスの定数(0.456)、
n:精錬用酸化性ガス噴射孔の孔数、
dt:スロート径(mm)、
(2)前記脱珪処理工程における気体酸素源の供給は、総送酸量が脱珪処理開始から10〜70%に当たる段階では、前記酸素衝突圧Pcを0.02〜0.07kgf/cmとし、その残りの30〜90%に当たる段階では該酸素衝突圧Pc:を0.005〜0.04kgf/cmの範囲内で行なうこと。
(3)前記脱珪処理中における気体酸素源の供給に当たっては、ランス高さ及び/または上吹きランスからの送酸速度を変更することにより、溶銑浴面への前記気体酸素源による前記酸素衝突圧Pcを変更すること。
(4)前記脱珪処理後に排出するスラグの塩基度をCaO系媒溶剤および珪素源のいずれか1種以上の添加によって0.5〜1.5の範囲内とすること。
前記のような構成からなる本発明によれば、1つの転炉型精錬容器を用いて、溶銑の脱珪処理と脱燐処理とを、途中の排滓工程を挟んで連続して行なう際の溶銑の予備処理において、脱珪処理において溶銑浴面の酸素衝突圧Pcを0.005〜0.07kgf/cmの範囲内に制御することにより、適正なスラグフォーミングを維持し続けること、即ち、脱珪スラグの突沸的な噴出を抑えたうえで、生成するスラグのFeO濃度及び溶銑の脱炭量を適切な範囲内とすることができるようになり、ひいては脱燐処理後の溶銑中の燐(P)濃度を確実に下げて低濃度にすることができるようになる。
そして、その結果として本発明によれば、脱珪処理時に溶銑中に含有あるいは添加した珪素含有物質(珪素源)中の珪素の燃焼熱、即ち溶銑のもつ熱エネルギーを積極的かつ効率的に活用することができるので、大掛りな設備を必要とすることなく短時間で効率よくかつ安価に多量の冷鉄源を溶解することが可能となるとともに、次工程での脱燐処理では少ないCaO系媒溶剤の使用量で溶銑の燐濃度を低濃度にすることが可能となる。
本発明に係る溶銑の精錬方法の実施に用いる転炉型精錬容器の断面を模式的に示したものである。 (a)〜(e)は、本発明に係る精錬方法を工程順に示した説明図である。 酸素衝突圧と排出スラグ量との関係を示すグラフである。 酸素衝突圧と処理後溶銑中P濃度との関係を示すグラフである。 衝突圧切替タイミングと排出スラグ量との関係を示すグラフである。 衝突圧切替タイミングと処理後溶銑中P濃度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の構成について具体的に説明する。
図1は、本発明に係る溶銑の精錬方法の実施に際して好適に用いられる転炉型精錬容器の例を模式的に示した断面図であり、図2(a)〜(e)は、本発明に従う溶銑の精錬方法を工程順に示した説明図である。なお、図1及び図2(b)は脱珪処理工程の図である。
本発明に係る溶銑の精錬方法では、図1に示すような上底吹き可能な転炉型精錬容器(以下、「転炉」の例で説明する)1を用いることが好ましい。この精錬容器、例えば転炉1による上吹きは、昇降可能な上吹きランス2の先端から気体酸素源の1つである酸素ガス3を、転炉1内の溶銑4に向けて供給(吹き付け)することにより行なう。ここで、酸素ガス3としては工業用純酸素などを用いる。また、底吹きは、転炉1の底部に設けられた底吹き羽口(底吹きノズル)5を介して行なう。
転炉1内の溶銑は、底吹き羽口5から底吹きガス6を吹き込むことで、撹拌が強化され、冷鉄源の溶解に寄与する。その底吹きガス6としては、酸素ガスの他にこれを含むガス、その他、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスでもよい。また、この底吹きガス6は、キャリアガス(搬送ガス)とともにフラックス(造滓剤)を溶銑中に吹き込むために用いてもよい。
なお、図1における符号7は、珪素含有物質(以下、「珪素源」と言う)8が収容されるホッパー、9は、CaOを主成分として含有する副原料(以下、「CaO系媒溶剤」と言う)10が収容されるホッパー、11はホッパー7に収容された珪素源8を転炉1に投入するためのシュ−ト、12はホッパー9に収容されたCaO系媒溶剤10を転炉1に投入するためのシュ−ト、そして13は精錬後の溶銑4を転炉1から出湯するための出湯口である。
本発明に係る溶銑の精錬方法では、上底吹き可能な2基以上の転炉1を使用し、そのうちの少なくとも1基の転炉1で溶銑4の脱珪処理、脱燐処理(予備処理)を実施し、残りの少なくとも1基で予備処理された溶銑4の脱炭処理を実施してもよい。この場合、溶銑予備処理用の転炉1では、溶銑4の脱珪、脱燐処理を行ない、次に、溶銑予備処理後の溶銑4は、脱炭処理用の転炉1に移し替えて脱炭処理を行なうことが好ましい。
例えば、溶銑4の精錬を行なうには、図2(a)に示すように、先ず転炉1に鉄スクラップなどの冷鉄源14を装入し、次いで、装入鍋15を使って溶銑4を装入する。その後、転炉1内の溶銑4中に、ホッパー7に収容されている珪素源8及びホッパー9に収容されているCaO系媒溶剤10をそれぞれ、シュ−ト11及びシュ−ト12を介して添加し、さらにその後、酸素源として酸素ガスあるいは酸化鉄を供給して、図2(b)に示すような脱珪処理を実施する。
溶銑4の脱珪処理においては、珪素源8に含まれる珪素及び溶銑4中に含まれる珪素と、酸素源中の酸素とが反応(Si+O→SiO)して酸化熱を発生し、この酸化熱で溶銑温度を上昇させ、溶銑中の冷鉄源14の溶解を促進するのが普通である。
ここに、転炉1内に予め装入しておく冷鉄源としては、日本鉄源協会の「鉄スクラップ検収統一規格」に規定されている鉄スクラップの他、直接還元鉄、冷銑などの鉄を主成分とするものでもよい。また、脱珪処理のための酸素源としては、上吹きランス2から供給する酸素ガス3のみでもよく、また、酸素ガス3に酸化鉄を添加してもよい。
前記脱珪処理では、目標とする塩基度(CaO/SiO)(以下、単に「塩基度」とも表示する)のスラグ16を形成させるために、CaO系媒溶剤10の滓化を促進させる酸化鉄を使用することが効果的であると考えられる。しかし、本発明の目的である多量の冷鉄源14を溶解させるという観点からは、昇熱時及び分解時に吸熱する酸化鉄を用いることは好ましいとは言えず、従って、酸素源として酸化鉄を用いずに酸素ガス3のみを用いることが望ましい。
一般に、上底吹き転炉1は強撹拌が可能であり、酸素ガスのみを用いて脱珪処理を行っても、十分に目的とする塩基度のスラグ16を形成させることができる。さらに、CaO系媒溶剤10の投入は、脱珪処理を開始してからでもよいが、脱珪処理中にスラグ16を短時間で滓化させるためには、可能な限り早い時期が好ましい。この場合、CaO系媒溶剤10を冷鉄源14とともに転炉1に予め装入しておくことが好ましい。
かかる脱珪処理においてCaO系媒溶剤10を使用する目的は、生成するスラグ16の塩基度を調整するためであり、CaO系媒溶剤10としては、生石灰(CaO)や石灰石(CaCO)、消石灰(Ca(OH))、軽焼ドロマイト、生ドロマイトなどの使用が可能である。CaO分としては30mass%以上含有することが好ましく、より好ましくは60mass%以上である。なお、このCaO系媒溶剤10としては、転炉での溶銑の脱炭精錬時に生成するスラグ(転炉滓)、取鍋精錬の実施時において生成されたスラグ(取鍋滓)などを使用することもできる。転炉滓、取鍋滓は塩基度が3〜5であり、生成するスラグ16の塩基度調整用として十分に機能する。
ところで、本発明では、多量の冷鉄源14を短時間で溶解させるための熱源として、発熱量の大きい珪素源8を用いてもよい。この珪素源8としては、フェロシリコン(Fe−Si)や金属シリコンを使用することができる他、粒化珪素を主成分とする副原料も使用できる。具体的には、SiCを主成分とするSiCブリケットやSiCを主成分とするSiC系廃棄耐火物などが安価で好ましい。上記SiC系廃棄耐火物とは、使用済みのSiC系耐火物やSiC系耐火物施工時に残材として発生したもの等、これまで有効活用されてこなかったSiC系耐火物が考えられる。なお、熱源として、珪素源8のみを使用する必要はなく、炭材や金属Alなどの他の熱源と併用してもよい。特に炭材は安価であることから、珪素源8の他に炭材を併用することが好ましい。
前述した脱珪処理の後は、図2(c)に示すような中間排滓を行なう。この中間排滓の工程は、脱珪処理で発生したSiOを大量に含む低塩基度のスラグ16を転炉1から排出する処理である。このとき、排出するスラグ16の塩基度は0.5〜1.5の範囲内となるように、脱珪処理時に、CaO系媒溶剤10及び珪素源8のうちの少なくとも1種の添加量を調整することが好ましい。例えば、CaO系媒溶剤10の使用量を高めれば塩基度が上昇し、逆に、珪素源8の使用量を高めれば塩基度が低下する。
本発明の精錬方法においては、スラグ16の塩基度及び溶銑4の温度を1280℃以上とすることが好ましい。それは、スラグ16の流動性を確保して、良好な排滓性及び排滓率(排滓率(mass%)=(排出スラグ重量)/(脱珪処理工程で生成したスラグ重量)×100)を得るためである。
一方、中間排滓時の溶銑4の温度は1350℃程度以下とする。この温度が1350℃を超えると、脱燐処理後の溶銑温度が高くなり、脱炭精錬時に要するCaO源が増加する原因になる。その理由は、脱燐処理の際に副原料(造滓剤)の投入時間が最短であったとしても該副原料を溶解するために酸素を供給することが必要となるから、脱燐処理後の溶銑4の温度が不可避に上昇するからである。その結果、内張り用マグカ−ボンレンガの損耗を防止するために、スラグ中のマグネシア濃度や塩基度を上昇させることが必要となり、コストの増加を招く。従って、本発明では、脱珪処理終了時の溶銑温度は1350℃以下とする。
脱珪処理工程において、転炉1内に装入(または添加)される珪素源8は、非酸化物系珪素(酸化物でない珪素のことであり、以下、単に「珪素」と言う)の合計量で、転炉1内に装入される溶銑4と冷鉄源14の合計質量当たり2〜10kg/tの範囲とする。その理由は、添加する珪素の量が10kg/tを超えると、脱珪処理での珪素の生成量が過大となって、前チャ−ジの脱燐スラグを転炉1内に全量残したまま脱珪処理を行なったとしも、塩基度調節のために使う酸化カルシウム源(CaO系媒溶剤)を大量に添加する必要が生じるためである。その結果、転炉1内に生成するスラグ量が過大となり、後述するスラグフォーミングが不適となるだけでなく、精錬コストの上昇を招いて好ましくない。一方、珪素源8の合計量が2kg/t未満では、珪素の酸化反応による発熱量が小さく、冷鉄源14を溶解するのに不十分となる。
従って、脱珪処理時に添加される珪素源の合計量は2〜10kg/tとする。この範囲内であれば、脱珪処理後の塩基度を調整するうえでも、また冷鉄源14を溶解するための熱源を確保するうえでも、好ましいからである。なお、冷鉄源14を溶解するために必要な熱量は、珪素源8のみでなく、その一部として、炭材やフェロシリコン、金属Alなどを熱源として利用してもよい。
次に、脱珪処理後の脱燐処理工程において、この脱燐処理を効率よく行なうために、溶銑4を適当な温度範囲に制御する必要がある。即ち、脱珪処理終了時の溶銑温度を1320℃以下とする。このことにより、脱燐処理において温度調節のために添加する鉄鉱石などの冷却材の使用を大幅に削減することが可能になる。
本発明のように一つの転炉1を用いて脱珪処理と脱燐処理を続けて行なう場合、一般には、脱燐処理前に鉄スクラップのような冷鉄源14を装入することは時間的に困難である。しかも、炉上から投入できる冷鉄源14は、整粒された高価なものが用いられ、製鉄所内で発生する地金など量的にも限られていることから、常に十分な量を確保することは難しい。その上、使用できる副原料の制約から、炉上から冷鉄源14を投入装置を使って投入しないことが多い。
従って、一般には、脱燐処理においては、使用可能な冷鉄源14としては鉄鉱石などの酸化鉄に限られてしまい、鉄スクラップなどの安価な冷鉄源14は十分に活用できていないのが実情である。これに対し、脱珪処理工程では安価な鉄スクラップを冷鉄源14として大量に使用することが比較的容易であり、これによって脱珪処理後の溶銑温度を1320℃以下とすることができる。従って、脱燐処理工程における酸化鉄の使用量は大幅に削減することができ、ひいては酸化鉄の分解吸熱による反応熱の分を、間接的に脱珪処理での冷鉄源14の溶解に活用することができるようになる。
脱珪処理工程で、溶銑温度が低いと、冷鉄源14の溶け残りが生じる。しかし、たとえ冷鉄源14が溶け残ったとしても溶銑4とともに転炉1内に保持されて、次の脱燐処理中には確実に溶解する。従って、冷鉄源14の溶解は脱燐処理終了時までに完了していれば操業上の問題は生じない。
この点に関し、冷鉄源14の使用量の増大を図る一方で精錬コストの抑制を図りつつ、脱珪処理後の溶銑温度を1280〜1320℃の範囲とするためには、冷鉄源(鉄スクラップ等)14と溶銑4との合計質量当たりの冷鉄源の原単位Xs(kg/t)は、下記(6)式により算出されるYの値で220以上、260以下となる範囲にすることが好適である。
Figure 0006361885
ここで、[%Si]:装入溶銑中珪素濃度(mass%)、Ti:装入溶銑温度(℃)、Xs:冷鉄源原単位(kg/t)、Y:溶銑の熱余裕を表す指標である。
もし、前記Yの値が220未満のとき、土状黒鉛などの炭材を熱源として添加して精錬時間を延長したり、フェロシリコンなどの高価な熱源を大量に使用する必要があるうえ、スラグ塩基度を調節するためにCaO系媒溶剤10を添加したりすることとなるため、精錬コストの上昇や生産性の低下を招くことになり望ましくない。一方、前記Yの値が260を超えると、温度を制御するために鉄鉱石などの冷却材を使用することになり、冷鉄源14の使用量を最大化する観点からは好ましくない
前述した脱珪処理後の溶銑温度は、前記(6)式を考慮して適切な範囲に制御することが好ましい。この場合、熱源として珪素を利用するので、溶銑4と冷鉄源14の合計重量当たり100〜250kg/tという多量の冷鉄源14を使用しても生産性の低下や精錬コストの上昇を招くようなことはない。しかも、冷鉄源14の溶解と溶銑4の精錬を効率よく行なうことができるようになる。ただし、冷鉄源の原単位が250kg/t以上では、さらなる熱源が必要となってコストの上昇を招いたり、精錬時間が長くなって生産性が低下する問題が生じる。また、冷鉄源の装入設備上の制約からも使用量をさらに増やすことは効率的でない。
脱珪処理の後は、コスト高を回避しつつ、脱燐処理工程で最低限必要なスラグ量を確保することを目的として、スラグの排滓率は60〜90mass%とする中間排滓を行なう。つまり、溶銑4の脱珪処理、脱燐処理から脱炭精錬までに消費するCaO系媒溶剤10の総使用量を抑制するためには、この中間排滓での排滓率を60mass%以上に高めることが有効である。ただし、脱珪処理時に生成した溶融スラグ16の排滓率が90mass%を超えてしまうと、次工程の脱燐処理において新たに添加するCaO系媒溶剤10の滓化が損なわれ、脱燐反応が阻害されるおそれがある。このため中間排滓でのスラグの排滓率は、90mass%以下とする。
また、本発明においては、中間排滓を終えた後の転炉1につき、該転炉1内に残留させるスラグ16の量は、4kg/t以上かつ20kg/t以下に規制するのが好ましい。その理由は、転炉1内に残留するスラグのスラグ量が4kg/t未満では次の脱燐処理において石灰系媒溶剤の滓化促進のために酸化鉄を使用することが必要となる一方、20kg/tを越えると石灰系媒溶剤の使用量が増大したり、脱燐操業が阻害されたりする問題がある。
次に、脱燐処理工程においては、蛍石や酸化鉄を使用しないで石灰系媒溶剤の滓化を促進させるために、転炉1内に適度な量のスラグを残留させて溶融スラグ中の二酸化珪素や酸化鉄を利用して滓化を促進し刺激することが効果的である。そのために、中間排滓により転炉1からスラグを排出する際には、4〜20kg/tのスラグを該転炉1内に残留させるように、炉体の傾転角度を調節して排出する。これにより、脱燐処理において酸化鉄を使用しなくても効率よく脱燐反応を促進させることが可能となり、酸化鉄の分解吸収による反応熱分を間接的に脱珪処理での冷鉄源溶解のための熱として活用することができる。
本発明において、中間排滓されるスラグは、排滓性を高めるために、炉内で生成するスラグの転炉1内におけるフォーミングを適切に管理することが有効となる。そのためには、溶銑4に含まれる炭素と酸素の反応により発生するCOガスの発生速度を管理することが必要である。
また、排滓に当たっては、溶銑4を流出させないように、転炉1の傾動角度を調節してスラグ16を流出させることと、所定量のスラグ16を転炉1内に残留させることができるようでなければならない。このような要請に応えられるフォーミングスラグ16としては、実績率で1/10程度のもの(嵩比重が真比重に比べ著しく低下している状態)である。この場合、転炉1内に残留するスラグ16のスラグ量は低位に制御できる。ここで、前記実績率とは、フォーミングしていない時のスラグ比重を真比重とし、フォーミング時のスラグ比重を嵩比重としたときに、実績率=(嵩比重/真比重)と定義される値である。
中間排滓後は、転炉1内に残留させた溶銑4にCaO系媒溶剤10及び酸素源を供給して、図2(d)に示すように、溶銑4を脱燐処理する。この脱燐処理において使用する酸素源は、上吹きランス2からの酸素ガスを使用することが好ましい。本発明は多量の冷鉄源14の溶解を目的とすることから、昇熱時及び分解時に吸熱する酸化鉄を酸素源として使用することは好ましくない。なお、脱珪処理中に生成するスラグ16の塩基度が1.5以上であれば、脱燐反応がよく進行するので、この場合には脱燐処理工程で新たにCaO系媒溶剤10を添加する必要はない。
溶銑中の燐は供給される酸素源中の酸素によって酸化されて燐酸化物(P)となる。この燐酸化物は、CaO系媒溶剤10の滓化によって形成され、脱燐精錬剤として機能するスラグ中に3CaO・Pなる安定形態の化合物として取り込まれ、溶銑4の脱燐反応に寄与する。脱燐反応が進行し溶銑中の燐濃度が所定の値に低下したら、脱燐処理を終了し、図2(e)に示すように、転炉1を出湯口13が設置された側に傾転させて転炉1内の溶銑4を溶銑保持器(図示せず)に出湯する(出湯工程)。
なお、従来は、溶銑予備処理の一環としての脱珪処理が行なわれていたが、溶銑容器内でのスラグフォーミングによる操業障害を回避することを目的として、また同時に、短時間で多量の酸素を供給することを目的として、酸素源としては酸化鉄が使用されてきた。しかし、このような脱珪処理では、酸化鉄は分解吸熱することから、溶銑中の珪素の燃焼熱を効率よく冷鉄源溶解のための熱として転換することができていなかった。この点、本発明では、転炉1にて脱珪−脱燐の処理を連続的に行なうので、炉容積に余裕があることから、酸化鉄を使用しなくても多量の気体酸素を短時間で溶銑4に供給することが可能であり、珪素の燃焼熱を酸化鉄の分解熱に使用することなく、冷鉄源14の溶解に活用することが可能になる。さらに、本発明では、脱珪処理後に引き続きその転炉にて連続して脱燐処理をも行なうので、精錬容器の移し替えによる放熱分を冷鉄源溶解のための熱として活用することができる。
また、脱珪処理工程と脱燐処理工程との間で、脱珪処理工程で生成した塩基度の低いスラグを転炉1外に排出するので、高い塩基度(=1.5〜3.0)で行なう必要のある脱燐処理におけるCaO系造滓剤10の使用量を低減することができる。
また、本発明においては、通常、高塩基度のために路盤材などとして利材化することが困難な転炉滓、取鍋滓を、脱珪処理におけるスラグの塩基度調整用のCaO系媒溶剤10として利用することができる。この転炉滓、取鍋滓は、脱珪処理後には低塩基度のスラグとして再生されることから、転炉滓、取鍋滓の利材化が可能となる。また、転炉滓、取鍋滓を利用することによって、短時間の脱珪処理であっても十分に滓化を促進させることが可能となり、排滓率を高めることができる。
さらに、本発明では、脱珪処理で炉内に装入する珪素含有物質(珪素源)として、炭化珪素を主成分とする副原料を使用する場合、具体的には、SiCを主成分とするSiCブリケット及び/またはSiCを主成分とするSiC系廃棄耐火物を使用する場合には、多大な熱量を安価に、かつ、効率よく補償することができる。珪素含有物質の炭化珪素分としては30mass%以上含有するのが望ましい。
このとき、SiCブリケット及びSiC系廃棄耐火物の添加量を、下記の(7)式で算出される添加量上限W以下とすることが好ましい。
Figure 0006361885
ここで、W:SiCブリケット及び/またはSiC系廃棄耐火物の添加量の上限値(t)、F:脱珪処理中の総送酸素量(Nm)、Xsi:SiCブリケットまたはSiC系廃棄耐火物にSiCとして含有されるSi含有量(mass%)。なお、添加量上限値Wは、SiCブリケット及びSiC系廃棄耐火物の各々について計算した合計値である。
ところで、上吹きランスから酸素ガスの如き気体酸素源を送酸して溶銑の脱珪処理を行なうとき、特に溶銑浴面への気体酸素源の浴面への衝突圧(以下、「酸素衝突圧」という)が精錬に大きく影響することが知られている。それは、この酸素衝突圧が大きい(ハ−ドブロ−)条件の下では溶銑の撹拌が強化されるために、スラグ中のFeO生成量が減少し、溶銑中の脱炭反応が促進される一方、この酸素衝突圧が小さい(ソフトブロ−)と溶銑の撹拌が抑制されるため、溶銑浴面でのFeO生成量が増加し、溶銑中の脱炭反応が抑制されるということである。そして、この酸素衝突圧は、ランスのノズル形状やランス高さ、送酸速度などにより変わり、例えば、ランス高さが低く送酸速度が大きいほど、酸素衝突圧は大きくなる。
なお、スラグ中のFeO濃度が高くなるとスラグの粘度が下がり、フォーミングを起こしやすくなることが知られている。即ち、下記式(1)〜(5)に示す前記酸素衝突圧(下記(1)〜(5)式に示すPc)を大きくすると脱炭反応がより進行し、スラグ中のFeOが減少してスラグフォーミングは起こりづらくなる。一方、その酸素衝突圧Pcを小さくすると、FeOの生成が促進されてFeO濃度は高くなり、スラグフォーミングが増大し、操業障害を招く。
そこで、本発明に係る溶銑の精錬方法において肝要なことは、溶銑の脱珪処理の工程において、前記スラグフォーミングを適切に管理することである。このことについて発明者らの知見では、かかるスラグフォーミングを適切に管理するためには、溶銑浴面での下記式(1)〜(5)で説明される酸素衝突圧(Pc)を0.005〜0.07kgf/cmの範囲内にコントロールすることが必要であることが分った。
Figure 0006361885
ここで、
c:浴面への酸素衝突圧(kgf/cm2)、
ρ:ガス密度(kg/m3)、
V:気体酸素源の中心流速(m/s)、
g:重力加速度(m/s2)、
:ノズル出口噴出流速(m/s)、
de:ノズル出口径(m)、
C:定数、
Z:ランス高さ(m)、
:ノズル絶対圧力(kgf/cm2)、
e:雰囲気圧(kgf/cm2)、
:酸素ガスの定数(739)、
Qo:上吹ランスからの送酸速度(m3/s)、
:酸素ガスの定数(0.456)、
n:精錬用酸化性ガス噴射孔の孔数、
dt:スロート径(mm)、
即ち、本発明の好適な実施形態としての前述したスラグフォーミングを適切に管理する一環として、例えば、送酸速度を抑えて前記浴面への酸素衝突圧Pcを低くした場合は処理時間の延長に繋がる。これを防ぐためには、スラグ噴出の危険が少ない脱珪処理の初期段階(総送酸量が脱珪開始から10〜70%に当たる段階)においては該酸素衝突圧Pcを高く(Pc=0.02〜0.07kgf/cm)し、一方、スラグ噴出の危険が増す脱珪処理の後半(総送酸量が脱珪開始から30〜90%に当たる段階)においては該酸素衝突圧を低く(Pc=0.005〜0.04kgf/cm)するなど、処理の途中で適宜に変更することは有効な手段である。
即ち、前記酸素衝突圧Pcが0.005kgf/cmよりも低いと、FeOの生成が促進されてスラグ量が増大しスラグの噴出が生じやすくなり、脱珪処理の中断やスラグ排出時の沈静待ちを招くようになる。つまり、同じ排滓時間だとスラグ排出量が少なくなり、脱燐処理段階へ持ち込むスラグ量が増加することになる。しかも、脱珪処理後のスラグ塩基度が、脱燐処理時のスラグ塩基度よりも低くなるため、脱珪処理後の持ち込みスラグ量が増加し、一定の石灰源の添加量では脱燐処理後のP濃度が高くなる。また、この場合、溶銑中の鉄分を燃焼させてスラグを生成するため、鉄歩留が低下するという問題が生じる。
一方、前記酸素衝突圧Pcが0.07kgf/cmを超えて高くなると、脱炭が促進されて溶銑のC濃度の低下が生じる。その結果、溶銑中のC濃度が溶銑中のP活量に及ぼす影響である相互作用助係数は0.126と正の値であるため、溶銑中のC濃度が低くなるほど溶銑中のP活量が低位、つまり脱燐反応が進行しづらくなる。しかも、次工程へ持ち込む潜熱が減少することとなり、昇熱材の添加などのコスト増加の原因となる。
このように、前記酸素衝突圧Pcは上記式(1)〜(5)に従い、0.005〜0.07kgf/cmの範囲内に管理することが求められるが、例えば、前述したように、ノズル形状やランス高さ、送酸速度によっても変わるので、同じ酸素衝突圧Pでも上記式(1)〜(5)に従って、異なる条件を採用することが可能である。例えば、同じ酸素衝突圧Pでもランス高さが高いほど、溶銑浴面と酸素噴流の接触する面積(火点面積ともいう)が大きくなり、FeO生成が多くなることが知られている。即ち、同じ酸素衝突圧Pcでもランス高さが高いほどスラグフォーミングが生じやすく、スラグ噴出が生じやすく、脱珪処理の中断やスラグ排出時の沈静待ち時間が発生しやすくなる。つまり、同じ排滓時間においては、スラグ排出量が低位となり、脱燐処理へ持ち込むスラグ量が増加する。この場合、脱珪処理後のスラグ塩基度は脱燐処理のスラグ塩基度よりも低くなるため、脱珪処理後の持ち込みスラグ量が増加し、一定の石灰源の添加量では脱燐処理後の溶銑中P濃度は高位となるのである。
(実施例1)
この実施例は、図1に示すような容量250tの転炉型精錬容器である転炉を用いて、図2(a)〜(e)に示した要領で溶銑の予備処理を行ない、その際の処理状況についての調査を行った。調査に用いた溶銑成分の値、各工程における処理の諸元値及びその結果を表1に示す。ここで、ランス先端の形状として、ノズルの孔数は8個、ノズルのスロ−ト径、ノズルの出口径が共に40mmのものを用いた。
そして、この実施例では、上吹きについては、上吹きランス2を用いて酸素ガス3を溶銑4に吹き付けることにより行ない、底吹きは、転炉1の底部に設けた5本の底吹き羽口5を用い、窒素ガスを溶銑中に吹き込むことにより行なった。また、溶銑4の精錬を行なうに当たっては、転炉1に先ず冷鉄源14を装入し、次いで溶銑4を装入し、その後、珪素源及びCaO系媒溶剤を装入した後に脱珪処理を開始した。
脱珪処理においては、ランス高さ及び送酸速度を変更することにより、溶銑浴面の酸素衝突圧を変更して処理を行った。総送酸量は2000Nmとし、スラグ塩基度が1.0程度となるように転炉滓を8kg/t添加した。脱珪処理後は速やかに排滓作業を行ない、続いて脱燐処理を行った。
ここで、排滓作業においては、図2(c)のように転炉をある角度まで傾け、下部に設置したノロ鍋内へとスラグを排出した。今回、比較のために排滓時間(傾動開始〜排出〜炉直立)を7分間と一定にし、ノロ鍋内に排出されたスラグ量をノロ鍋の看貫値の差より求めた。スラグ排出において、ノロ鍋中でスラグフォ−ミングが生じ、スラグ溢れが懸念される場合は転炉の傾動角度を小さくし、ノロ鍋内のスラグが沈静するのを待ち、再度傾動してスラグを排出した。また、脱燐処理においてはランス高さ、送酸速度、生石灰添加量を同じ条件とした。
図3に脱珪処理中の酸素衝突圧と中間排滓工程での排出スラグ量の関係を、図4に脱珪処理中の酸素衝突圧と脱燐処理終了後のP濃度の関係をそれぞれ示す。その結果、発明例1〜8のように、上記式(1)〜(5)によって求められる脱珪処理中の酸素衝突圧Pcを0.005〜0.07kgf/cmの範囲内に調整した場合には、中間排滓工程におけるスラグ排出量は大きくなっており、比較例1〜3に比べて脱燐処理後の溶銑P濃度が0.005mass%以上低位となっている。これは、比較例1においては酸素衝突圧が低く、FeO生成に伴いスラグフォ−ミングが過剰となり、スラグ噴出が生じるなど沈静待ちのために十分に排滓ができず、脱燐処理へ持ち込むスラグ量が増加したためだと考えられる。比較例2、3においては酸素衝突圧が高く、十分なFeOが生成されず、スラグフォーミングが不適切な状態となってスラグ排出も不十分になったからと考えられる。また、過剰に脱炭反応が進行し、Pの活量が低下したという原因も考えられる。
Figure 0006361885
(実施例2)
実施例1に記載の転炉及びランスノズルを用いて、脱珪処理の途中で酸素衝突圧を変更する処理を行った。脱珪処理の途中で酸素衝突圧を変更した以外は実施例1に記載した方法と同じ方法とした。
脱珪処理中の総送酸量を2000Nmとし、この総送酸量に対して10%、40%、70%のタイミングで送酸速度を変更して酸素衝突圧を変更させた。処理前半の酸素衝突圧を0.05kgf/cm、処理後半の酸素衝突圧を0.02kgf/cmとし、比較例として処理全体の酸素衝突圧を0.02kgf/cm(切替タイミング0%に相当)、0.05kgf/cm(切替タイミング100%に相当)とした処理も行った。
これらの処理の結果を表2に示す。また、図5に脱珪処理中の酸素衝突圧と中間排滓工程での排出スラグ量の関係を、図6に脱珪処理中の酸素衝突圧と脱燐処理終了後のP濃度の関係をそれぞれ示す。これらの結果より、同等の処理方法において、酸素衝突圧の切替タイミングを10〜70%の範囲とすることで、その他の条件よりも中間排滓工程におけるスラグ排出量は大きくなっており、処理終了時のP濃度を低位にできることが分かった。これは、酸素衝突圧の高い時期の処理と低い時期の処理とを組み合わせることにより、FeO生成量が適切な値となり、中間排滓工程で十分な量のスラグを排出することができたためだと考えられる。
上記実施例の結果から、本発明に従う溶銑の予備処理方法によれば、精錬にかかるコストを抑制しつつ珪素の燃焼発熱をスクラップの溶解のために有効利用できることが確認できた。
Figure 0006361885
本発明に係る溶銑の精錬方法に関する技術は、エネルギーコストの低減や低燐鋼の溶製方法として、とりわけ効果的な方法であるが、酸素衝突圧を他の目的で制御する転炉の精錬などに際してもまた有効な方法を提案するものである。
1 転炉
2 上吹きランス
3 酸素ガス
4 溶銑
5 底吹き羽口
6 底吹き羽口用ガス
7 ホッパー
8 珪素含有物質(珪素源)
9 ホッパー
10 CaOを主成分として含有する副原料(CaO系媒溶剤)
11 シュ−ト
12 シュ−ト
13 出湯口
14 冷鉄源
15 装入鍋
16 スラグ

Claims (4)

  1. 転炉型精錬容器内の溶銑に対し上吹きランスから気体酸素源を供給して該溶銑を脱珪処理する脱珪処理工程と、該脱珪処理工程で生成したスラグのうちの少なくとも一部を該転炉型精錬容器から排出する排滓工程と、排滓後の該転炉型精錬容器内にCaO系媒溶剤を添加すると共に、該上吹きランスから気体酸素源を供給して脱燐処理する脱燐処理工程とを経て溶銑を精錬する方法において、
    前記脱珪処理工程において行なう上吹きランスからの溶銑浴面への気体酸素源の供給に際し、下記式(1)により求められる酸素衝突圧Pcを0.005〜0.07kgf/cmの範囲内とするとともに、この脱珪処理後に排出するスラグの塩基度をCaO系媒溶剤および珪素源のいずれか1種以上の添加によって0.5〜1.5の範囲内とすることを特徴とする溶銑の精錬方法。
    Figure 0006361885
    ここで、
    c:浴面への酸素衝突圧(kgf/cm2)、
    ρ:気体酸素源のガス密度(1.43kg/m3)、
    V:気体酸素源の中心流速(m/s)、
    g:重力加速度(m/s2)、
  2. 前記気体酸素源の中心流速(V)は、下記(2)〜(5)式により求めることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の精錬方法。
    Figure 0006361885
    ここで、
    :ノズル出口噴出流速(m/s)、
    de:ノズル出口径(m)、
    C:定数、
    Z:ランス高さ(m)、
    :ノズル絶対圧力(kgf/cm2)、
    e:雰囲気圧(kgf/cm2)、
    :酸素ガスの定数(739)、
    Qo:上吹ランスからの送酸速度(m3/s)、
    :酸素ガスの定数(0.456)、
    n:精錬用酸化性ガス噴射孔の孔数、
    dt:スロート径(mm)、
  3. 前記脱珪処理工程における気体酸素源の供給は、総送酸量が脱珪処理開始から10〜70%に当たる段階では、前記酸素衝突圧Pcを0.02〜0.07kgf/cmとし、その残りの30〜90%に当たる段階では該酸素衝突圧Pcを0.005〜0.04kgf/cmの範囲内で行なうことを特徴とする、請求項1または2に記載の溶銑の精錬方法。
  4. 前記脱珪処理中における気体酸素源の供給に当たっては、ランス高さ及び/または上吹きランスからの送酸速度を変更することにより、溶銑浴面への前記気体酸素源による前記酸素衝突圧Pcを変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の溶銑の精錬方法。
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