JP2011038142A - 大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法 - Google Patents

大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 2基の転炉を用い、一方の転炉では、炭材などを熱源として大量の鉄スクラップを溶解して高炭素溶融鉄を溶製し、他方の転炉では、該高炭素溶融鉄を酸素吹錬して所定成分の溶鋼を溶製する製鋼方法において、大量の鉄スクラップを鉄源として利用する。
【解決手段】 2基の転炉を用い、一方の転炉では、炉内に鉄スクラップ及び予備処理の施されていない溶銑を装入し、更に、フェロシリコン、黒鉛、コークス及び4.0kg/(高炭素溶融鉄トン)以下の造滓剤を炉内に添加し、炉底から攪拌用ガスを供給しながら、上吹きランスから、精錬の進行に伴って供給流量が低下するようにして酸素ガスを供給し、フェロシリコン、黒鉛及びコークスの燃焼熱により鉄スクラップを溶解して炭素濃度が3質量%以上の高炭素溶融鉄を溶製し、次いで、他方の転炉で前記高炭素溶融鉄を原料として酸素吹錬し、所定の成分の溶鋼を溶製する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、2基の転炉を用い、一方の転炉では、鉄スクラップ及び高炉から出銑された溶銑を鉄源として使用し、大量の鉄スクラップをフェロシリコン(Fe−Si合金)や炭材の酸化熱を利用して溶銑中に溶解して高炭素溶融鉄を溶製し、他方の転炉では、この高炭素溶融鉄を酸化精錬して所定成分の溶鋼を溶製する、大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法に関するものである。
鉄鋼製造工程において、一般的な転炉精錬方法は、高炉で製造された溶銑を主たる鉄源とし、これに相対的には少量の鉄スクラップを加え、更に、生石灰などの造滓剤を添加し、酸素ガスを上吹きまたは底吹きして溶銑を酸化精錬し、炭素及び燐の少ない溶鋼を製造するのが通常である。
このような溶銑を用いた一般的な転炉製鋼方法では、熱源による制約から鉄スクラップの配合比率は20質量%程度が上限であり、電気炉での製鋼方法とは異なり、鉄スクラップを大量に使用できる方法とはいえない。溶銑を用いた転炉製鋼方法では、溶銑に含有される炭素及び珪素の酸化熱が熱源となる。尚、予備脱燐処理などの予備処理が施された溶銑を用いた場合は、溶銑中の珪素濃度が低下すること、及び、予備処理と転炉での脱炭精錬との2回の精錬が必須になることなどから、一般的には、予備処理の施されていない、所謂通常溶銑を用いた転炉製鋼方法に比較して更に鉄スクラップの配合比率が低下する。
近年、地球温暖化防止の観点から、鉄鋼業界においても化石燃料の消費量を削減してCO2ガスの発生量を減少させることが進められている。製鉄業においては、鉄鉱石を炭素で還元して溶銑を製造しており、この溶銑を製造するには鉄鉱石の還元などのために溶銑1トンあたり、500kg程度の炭素源を必要とする。一方、鉄スクラップを転炉での原料として溶鋼を製造する場合には、鉄鉱石の還元に必要とされる炭素源が不要となり、鉄スクラップを溶解するために必要なエネルギーを考慮しても、1トンの溶銑を1トンの鉄スクラップに置き換えることで、約1.5トンのCO2ガス削減につながる。つまり、溶銑を用いた転炉製鋼方法において、鉄スクラップの配合比率を20質量%程度よりも更に高くできれば、その分、CO2ガスの発生量は削減されることになる。
また、省資源及び環境問題からも、鉄スクラップをリサイクル使用して、効率的に高品質の溶鋼を製造することが技術課題となっている。
このようなことから、転炉において鉄スクラップなどの冷鉄源を大量に溶解する手段が多数提案されている。例えば、特許文献1には、機能の異なる2種の転炉を用い、一方の転炉では、溶銑または予備処理溶銑の存在下の炉内に、多量の冷鉄源及び炭材を供給して酸素吹錬し、高炭素予備処理溶融鉄を得る精錬を行い、次いで、他方の転炉で、前記高炭素予備処理溶融鉄を酸素吹錬して所定の溶鋼成分に精錬する転炉製鋼方法が開示されている。
また、特許文献2には、転炉型の容器を用いて、上吹き吹酸をしながら炉内の炭材を燃焼させつつ鉄スクラップを溶解するに際し、種湯が存在する容器に鉄スクラップを装入し、炉内のスラグ量を炉内の高炭素溶融鉄1トンあたり100kg以上1000kg以下として、酸素ジェットによるスラグ凹み深さLSと酸素ジェットがあたっていない部分のスラグ厚みLS0との比LS/LS0が0.5〜1となるように、上吹きランス高さ、ランスのノズル形状及び吹酸速度の1種または2種以上を調整した鉄スクラップの溶解方法が開示されている。
特開昭60―174812号公報 特開平8−260022号公報
転炉における溶銑の酸素吹錬において、溶銑に含有される炭素や珪素及び添加した炭材などの酸化熱により、溶銑自体の温度が上昇すると同時に、この酸化熱によって鉄スクラップは加熱されて溶解する。但し、この場合、生石灰などの造滓剤も前記酸化熱によって加熱され溶融してスラグとなる。
2基の転炉を用いて、一方の転炉で大量の鉄スクラップを溶解する場合、鉄スクラップの溶解を担う転炉と、この転炉で溶製される高炭素溶融鉄に酸素吹錬を施して所定成分の溶鋼を溶製する他の一方の転炉とは、操業時間をマッチングさせる必要がある。溶銑上に添加した炭材といえども炭材と酸素ガスとの反応速度には限度があり、従って、大量の鉄スクラップを溶解する転炉での炭材添加量は自ずと限界がある。この限界以上に炭材を添加しても、その精錬時間内に反応せず、未反応のまま排出される。
つまり、2基の転炉を組み合わせて溶銑から溶鋼を溶製する場合、一方の転炉で大量の鉄スクラップを溶解する場合には、発熱量に限度があることから、鉄スクラップの配合量を高めるためには、鉄スクラップを溶解する転炉では、造滓剤などの副原料の添加量を可能な限り少なくすることが必要となる。
この観点から、上記特許文献1及び特許文献2を検証すれば、特許文献1及び特許文献2には以下の問題点があることが明らかである。
即ち、特許文献1では、大量の冷鉄源を溶解して高炭素溶融鉄を溶製すると同時に、この高炭素溶融鉄に対して予備処理(具体的には脱燐処理)を施しており、予備処理のために造滓剤として生石灰(CaO)を添加しており、この生石灰の加熱・溶融分に相当する熱量分の鉄スクラップの配合量が低下する。尚、溶銑を脱燐するためには、スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)を1.5〜2.0程度にする必要があることが公知である。つまり、塩基度を確保するために、所定量のCaOの添加が必要である。
特許文献2では、スラグ浴中に存在する炭材を完全燃焼に近い状態で燃焼させ、60%以上の高い二次燃焼率を得ることを目的として、炉内のスラグ量を炉内の高炭素溶融鉄1トンあたり100kg以上1000kg以下として、上吹き酸素ジェットとメタル浴とをスラグによって遮断している。つまり、大量のスラグを形成しており、このスラグを形成するに相当する熱量分の鉄スクラップの配合量が低下する。特許文献2の実施例では、スラグは炉内に残留させるとしているが、2基の転炉の一方を鉄スクラップ溶解専用炉にすれば、スラグを炉内に残留させることは可能であるが、2基の転炉のうちの一方は、溶銑の脱燐処理炉としても使用することが一般的であり、一方の転炉を鉄スクラップ溶解専用炉に固定することは実用的ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、2基の転炉を用い、一方の転炉では、炭材などを熱源として大量の鉄スクラップを溶銑中に溶解して高炭素溶融鉄を溶製し、他方の転炉では、一方の転炉で溶製された前記高炭素溶融鉄を酸素吹錬して所定成分の溶鋼を溶製する転炉製鋼方法において、大量の鉄スクラップを鉄源として利用することのできる転炉製鋼方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法は、2基の転炉を用い、一方の転炉では、炉内に鉄スクラップ及び予備処理の施されていない溶銑を装入し、更に、フェロシリコン、黒鉛、コークス及び4.0kg/(高炭素溶融鉄トン)以下の造滓剤を炉内に添加し、炉底から攪拌用ガスを供給しながら、上吹きランスから、精錬の進行に伴って供給流量が低下するようにして酸素ガスを供給し、前記フェロシリコン、黒鉛及びコークスの燃焼熱により鉄スクラップを溶解して炭素濃度が3質量%以上の高炭素溶融鉄を溶製し、次いで、他方の転炉で前記高炭素溶融鉄を原料として酸素吹錬し、所定の成分の溶鋼を溶製することを特徴とするものである。
第2の発明に係る大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法は、第1の発明において、前記高炭素溶融鉄を溶製する転炉では、造滓剤としてMgOを使用し、CaOを含有する造滓剤は使用しないことを特徴とするものである。
第3の発明に係る大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法は、第1または第2の発明において、前記高炭素溶融鉄を溶製する転炉では、鉄スクラップ配合比率を15質量%以上とし、且つ、当該高炭素溶融鉄を原料として溶鋼を溶製する転炉では、鉄スクラップ配合比率を10質量%以上とすることを特徴とするものである。
第4の発明に係る大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記高炭素溶融鉄を保持容器に出湯した後、該高炭素溶融鉄に脱硫処理を施し、その後、他方の転炉に装入し、酸素吹錬して溶鋼を溶製することを特徴とするものである。
本発明によれば、黒鉛及びコークスの燃焼熱のみならず、フェロシリコンの燃焼熱を利用し、しかも、造滓剤の添加量が少なく、造滓剤を滓化するための熱量が不要或いは極めて少ないことから、大量の鉄スクラップを短時間で溶解することが実現される。また、上吹きランスからの酸素ガス供給流量を精錬の末期ほど少なくするので、溶銑中の炭素の酸化ロスが抑制され、炭素含有量が高い高炭素溶融鉄を安定して溶製することが可能となる。その結果、2基の転炉ともに高い鉄スクラップ配合比率での操業が可能となり、大幅なCO2ガス削減が達成される。
炭材中におけるコークスの比率と炭材反応率との関係を示す図である。 実施例における上吹きランスからの酸素ガスの供給パターン及びランス高さを示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、2基の転炉を一組として使用し、一方の転炉(以下、「第1の転炉」とも記す)では、鉄スクラップと高炉から出銑された溶銑とを鉄源として用い、炉底から攪拌用ガスを供給しながら、上吹きランスから酸素ガスを供給し、鉄スクラップを、炉内に添加したフェロシリコン(Fe−Si合金)、並びに、炭材である黒鉛及びコークスの酸化熱を利用して溶銑中に溶解して高炭素溶融鉄を溶製し、一方、他方の転炉(以下、「第2の転炉」とも記す)では、前記高炭素溶融鉄を原料として酸素吹錬して所定成分の溶鋼を溶製する。第2の転炉における溶銑の脱炭精錬(詳しくは、脱炭・脱燐精錬)では、一般的に、吹錬時間が20分程度であり、準備時間や出鋼時間などを含めて全体の処理時間は40〜50分程度であるので、炭材などの熱源によって鉄スクラップを溶解する第1の転炉も、40〜50分程度で溶解精錬を終了することが必要である。つまり、効率的な生産体制とするべく、2基の転炉の操業時間は基本的にマッチングしている。
このように、本発明においては、短時間でしかも多量の鉄スクラップを溶解する必要があり、従って、鉄スクラップの溶解精錬に供する溶銑の熱量は高いほど望ましく、この観点から、鉄スクラップの溶解精錬では、脱珪処理、脱燐処理及び脱硫処理の何れの予備処理も施されていない溶銑を使用する。溶銑の熱源は、溶銑自体の温度、及び、溶銑に含有される炭素及び珪素が主体であり、脱珪処理及び脱燐処理を施すと、熱源である溶銑中の炭素及び珪素が減少し、また、脱硫処理では、処理時間の経過に伴って溶銑温度が低下するとともに、脱硫処理後に脱硫剤(脱硫スラグ)を排出する必要があり、この排滓に伴って溶銑温度が低下する。尚、コークスや黒鉛には硫黄が含有されており、コークスや黒鉛を熱源として鉄スクラップを溶解すると、生成される高炭素溶融鉄の硫黄濃度が上昇するので、鉄スクラップの溶解後に脱硫処理が必要となる。脱硫処理はその時点で実施すればよい。
鉄スクラップの溶解温度(=液相線温度)は、炭素などの化学成分の含有量にもよるが一般的には1500℃以上であり、溶銑の温度(通常、1250〜1350℃程度)に比較してはるかに高い。このように温度差があるにも拘らず鉄スクラップが溶銑中に溶解するのは、溶銑と接触することで鉄スクラップが浸炭し、鉄スクラップの炭素濃度が高くなり、凝固温度が低下することに基づくものであり、添加した黒鉛及びコークスは溶銑への炭素の供給源となる。
また、添加した黒鉛及びコークスは、溶銑への炭素の供給源となるのみならず、上吹きランスから供給される酸素ガスと直接反応して燃焼する。この燃焼熱により、鉄スクラップは加熱されて溶解する。この場合、図1に示すように、黒鉛に比較してコークスの方が、炭材反応率が高いので、炭材中のコークスの割合を20質量%以上、望ましくは40質量%以上することが好ましい。尚、図1は、炭材中におけるコークスの比率((コークス原単位)×100/(コークス原単位+黒鉛原単位))と炭材反応率との関係を示す図である。
ここで、炭材反応率とは、下記の(1)式で定義する値である。
炭材反応率(−)=炭材の燃焼に費やされた酸素ガス量(Nm3)/投入した全炭材の燃焼に必要な酸素ガス量(Nm3)…(1)
つまり、炭材反応率が高いほど、迅速に燃焼し、鉄スクラップの溶解が促進される。
但し、コークスの炭材反応率が高いとはいえ、固体と気体との反応であり、フェロシリコンから持ち来たされる溶融鉄中の珪素の燃焼速度には及ばず、熱源として炭材のみを使用すると、精錬初期の溶湯温度の上昇が少なく、結果的に鉄スクラップの配合比率が低下する。ここで、鉄スクラップの配合比率とは、下記の(2)式で定義される値である。尚、溶銑の配合比率は、(2)式の分子を溶銑配合量に置き換えた式で算出される。
鉄スクラップ配合比率(質量%)=(鉄スクラップ配合量)×100/(鉄スクラップ配合量+溶銑配合量)…(2)
そこで、本発明では、熱源としてフェロシリコンを併用する。フェロシリコンの添加量は、鉄スクラップの配合比率が高くなるほど高くするが、3〜10kg/(高炭素溶融鉄トン)程度であれば十分である。勿論、これ以上であっても構わない。フェロシリコンは、溶解精錬の初期に炉内に投入する。尚、第1の転炉における鉄スクラップ配合比率は、本発明が鉄スクラップの大量使用を目的としていることもあり、少なくとも10質量%以上とし、15質量%以上とすることが好ましい。
また、生石灰、ドロマイトなどの造滓剤は、熱を奪い、その分に相当する熱量の鉄スクラップの溶解を妨げるので、生石灰、ドロマイトなどの造滓剤の添加量は、4.0kg/(高炭素溶融鉄トン)以下とし、好ましくは2.0kg/(高炭素溶融鉄トン)以下とする。つまり、造滓剤は少ないほど好ましい。但し、造滓剤を使用する場合には、生石灰やドロマイトなどのCaOを含有する造滓剤は使用せず、炉体の内張り耐火物の保護のために、MgO(マグネシアクリンカーや、MgOブリケットなど)を使用することが好ましい。酸素吹錬用転炉の内張り耐火物はMgO−C煉瓦などの塩基性耐火物で施工されており、造滓剤としてMgOを使用することで、少ない造滓剤の使用量で内張り耐火物の溶損が抑制される。
精錬が進行し、炉内の炭材が少なくなってくると、上吹きランスからの酸素ガスと溶銑中の炭素との反応が激しくなるので、これを防止するために、上吹きランスからの酸素ガスの供給流量を、精錬の進行に伴って供給流量が低下するように調整し、精錬終了時の溶融鉄中の炭素濃度を3質量%以上に確保する。この場合、酸素ガス供給流量を連続的に減少するように調整してもよく、また、数回にわたって段階的に減少させるようにしてもよい。精錬の末期は、精錬開始時の酸素ガス流量の少なくとも70%以下、望ましくは60%以下に調整することが好ましい。
このようにして、第1の転炉で精錬することにより、大量の鉄スクラップを使用しつつ、炭素濃度が3質量%以上の高炭素溶融鉄の溶製が達成される。但し、この第1の転炉での精錬では脱燐反応も脱硫反応も起こらず、しかも、溶製される高炭素溶融鉄の硫黄含有量は使用した溶銑の硫黄含有量よりも高くなることも発生する。
溶製した高炭素溶融鉄を第1の転炉から取鍋などの保持容器に出湯したなら、第1の転炉に、別の溶銑及び鉄スクラップを装入し、上記に沿って鉄スクラップの溶解精錬を実施する。この場合、鉄スクラップの溶解精錬に代わって、第1の転炉で、溶銑の脱燐処理を実施することも可能である。つまり、2基の転炉を有する製鋼工程において、工程運用上、最適な操業形態を実施することができる。
第2の転炉では、溶製された高炭素溶融鉄を原料として、上吹きまたは底吹き酸素吹錬して高炭素溶融鉄に酸化精錬、つまり、脱炭・脱燐精錬を実施する。この脱炭・脱燐精錬では脱硫反応は余り期待できないので、溶製する溶鋼の目標硫黄含有量に応じて、第2の転炉に装入する前、保持容器内の高炭素溶融鉄に対して脱硫処理を実施することが好ましい。この脱硫処理はどのような形態であっても構わず、例えば、高炭素溶融鉄に浸漬させたインペラーを回転させ、高炭素溶融鉄を攪拌しながらCaO系脱硫剤を添加し、高炭素溶融鉄とCaO系脱硫剤とを攪拌混合する方法などによって行うことができる。
第2の転炉における精錬方法は、40〜50kg/(高炭素溶融鉄トン)の生石灰、更には6〜12kg/(高炭素溶融鉄トン)のドロマイトやMgOブリケットを造滓剤として添加して行う、一般的な所謂溶銑の脱炭精錬である。従って、高炭素溶融鉄の温度に応じて、黒鉛やフェロシリコンを添加したり、鉄鉱石を添加したりすることもできる。但し、本発明は、製鋼工程における鉄スクラップの配合比率を高めることを目的としており、第2の転炉における鉄スクラップ配合比率は、少なくとも5質量%を確保し、望ましくは10質量%以上とすることが好ましい。
第1の転炉での鉄スクラップ配合比率を15質量%とし、第2の転炉での鉄スクラップ配合比率を10質量%とした場合には、第2の転炉で溶製された溶鋼の溶銑配合率は総合的には76.5質量%(=85%×90%)となり、大幅に鉄スクラップ配合比率を高めることが実現される。
尚、溶銑に含有される珪素は熱源として作用するので、鉄スクラップの溶解のためには、高炉から出銑される溶銑の珪素濃度は高いほど好ましく、現状の0.2質量%程度の珪素濃度が0.4質量%以上になれば、鉄スクラップの溶解がより一層促進される。
容量が210トン規模の転炉2基を用いて本発明を適用した。その際に、第1の転炉では、使用する鉄スクラップは、溶解を促進させるために厚みの少ない中軽量屑及び市中屑を使用し、造滓剤は、MgOブリケットのみを使用し、鉄スクラップ配合比率を10〜22質量%の範囲として、試験操業を実施した。また、そのときの上吹きランスからの酸素ガスの供給パターン及びランス高さを図2に示す。図2の横軸の吹錬到達度とは、精錬時間を百分率の比率で表示したものである。表1に、これら試験操業の第1の転炉における操業条件並びに精錬前後の溶銑の成分及び温度を、平均的な数値で示す。
Figure 2011038142
表1に示すように、第1の転炉では、鉄スクラップの平均配合比率が18.8質量%の条件で、炭素含有量が3.05質量%の高炭素溶融鉄を安定して溶製することができた。
また、第2の転炉では、この高炭素溶融鉄を原料として使用して、媒溶剤として47kg/(高炭素溶融鉄トン)の生石灰を使用して、攪拌用ガスを底吹きしつつ上吹き酸素吹錬を実施した。この第2の転炉では、鉄スクラップの配合比率は平均値で12質量%であった。即ち、製鋼工程における溶銑配合比率を71.5質量%(81.2×88)とすることができた。
これらの結果から、本発明を適用することで、製鋼工程において、安定して鉄スクラップの配合比率を高められることが確認できた。尚、上記試験操業のうちで最も鉄スクラップの配合比率が高くなった試験では、40.6質量%の鉄スクラップ配合比率が達成された。

Claims (4)

  1. 2基の転炉を用い、一方の転炉では、炉内に鉄スクラップ及び予備処理の施されていない溶銑を装入し、更に、フェロシリコン、黒鉛、コークス及び4.0kg/(高炭素溶融鉄トン)以下の造滓剤を炉内に添加し、炉底から攪拌用ガスを供給しながら、上吹きランスから、精錬の進行に伴って供給流量が低下するようにして酸素ガスを供給し、前記フェロシリコン、黒鉛及びコークスの燃焼熱により鉄スクラップを溶解して炭素濃度が3質量%以上の高炭素溶融鉄を溶製し、次いで、他方の転炉で前記高炭素溶融鉄を原料として酸素吹錬し、所定の成分の溶鋼を溶製することを特徴とする、大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法。
  2. 前記高炭素溶融鉄を溶製する転炉では、造滓剤としてMgOを使用し、CaOを含有する造滓剤は使用しないことを特徴とする、請求項1に記載の大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法。
  3. 前記高炭素溶融鉄を溶製する転炉では、鉄スクラップ配合比率を15質量%以上とし、且つ、当該高炭素溶融鉄を原料として溶鋼を溶製する転炉では、鉄スクラップ配合比率を10質量%以上とすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法。
  4. 前記高炭素溶融鉄を保持容器に出湯した後、該高炭素溶融鉄に脱硫処理を施し、その後、他方の転炉に装入し、酸素吹錬して溶鋼を溶製することを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の大量の鉄スクラップを用いた転炉製鋼方法。
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