JP4616790B2 - 製鋼スラグの処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は,製鋼スラグの処理方法に関し,特に,製鋼工程の精錬処理時に発生する製鋼スラグを溶融状態で改質処理および還元処理する方法に関する。
溶銑予備処理および脱炭処理等の製鋼工程の精錬処理により生成される製鋼スラグは,遊離CaOを多く含み,この遊離CaOの水和反応により体積が膨張するため,体積安定性が低い。また,溶融状態の製鋼スラグはCOガスを主とする気泡を多く含んでおり,このような溶融製鋼スラグを冷却すると気泡を含んだ状態で凝固してしまうため,低品質のものとなる。さらに,製鋼スラグには,通常,5〜10質量%程度の酸化鉄が含まれており,このような酸化鉄を多く含む,すなわち,トータル鉄の濃度が高い製鋼スラグは,外観が黒色を呈しているため,コンクリート用骨材などに使用すると外観上違和感がある。
そのため,製鋼スラグは,土木工事用の仮設材,道路の地盤改良材,下層路盤材等の低級用途に専ら使用され,より高級用途である上層路盤材,コンクリート用骨材,石材原料等には用いられにくい。
これに対して,製鋼スラグを,上層路盤材,コンクリート用骨材,石材原料等の高級用途に有効利用すべく,従来から,製鋼スラグの高品質化を図り商品価値を高めるために,製鋼スラグ中の遊離CaOを低減させたり,溶融製鋼スラグ中の気泡を低減させたりすることが行われている。
例えば,非特許文献1には,転炉から排出された脱炭スラグを溶融状態のまま改質する方法が記載されている。この方法は,溶融スラグ中に酸素とSiO含有改質材を浸漬ランスを通じて吹き込み,スラグ中のFeOをFeに酸化させて,その際の反応熱で昇熱し,溶融状態を維持しながら改質材によってスラグの塩基度(CaO/SiO)を低減し,未滓化石灰を体積安定性のある化合物に変化させるものである。
また,例えば,特許文献1には,製鋼スラグにSiO含有改質材,炭素含有還元材および鉄スクラップを混合し,酸素ガス含有気体を供給しつつ,還元性雰囲気に維持しながら加熱溶解する方法が記載されている。製鋼スラグとしては溶融状態のスラグを使用してもよい。
また,例えば,特許文献2には,製鋼スラグにSiOやAl等を含有する改質材を混合し,溶融温度以上の温度,好ましくは,溶融温度より10℃以上高い温度で熱処理することにより,遊離CaOのみならず,スラグの吸水率をも減少させる製鋼スラグの改質方法が記載されている。
M.Kuehn, et al., 2nd European Steelmaking Congress, Taranto(1997年)p445〜453 特開平6−115984号公報 特開2005−306654号公報
しかしながら,非特許文献1に記載の方法では,スラグを還元しないので改質処理後のスラグ中の酸化鉄を低減できず,トータル鉄(以下,「T・Fe」と記載する場合もある。)の濃度は高いままである。そのため,(1)スラグ中の酸化鉄とスラグ中の粒鉄に含まれるCとの反応により発生したCOガスの気泡がスラグ中に残存するため,品質上用途が限定される,(2)処理後のスラグの外観が黒色を呈しており,さらに,スラグ中の粒鉄が錆びて赤褐色になるため,外観上用途が限定される,という問題があった。
なお,この方法では,スラグ中に浸漬したランスからガスを吹き込んでスラグを撹拌するのでスラグ中の粒鉄の沈降が妨げられ,COガスの気泡の発生が長期化すること,スラグ中の粒鉄やスラグに含有されるリンやマンガン等の有価成分の回収ができないこと,などの問題もある。
また,特許文献1に記載の方法ではスラグの還元処理は行われるが,製鋼スラグを加熱するための熱源が炭素含有還元剤の燃焼熱だけでは,改質還元処理中にスラグ温度を溶融温度以上に維持するのは困難である。また,メタル源として使用される鉄スクラップの溶解量が限られているため,還元反応サイトとなるスラグ/メタル界面積が少なく,還元反応速度は遅い。したがって,スラグ中の酸化鉄の還元反応の効率が悪く,T・Feの濃度を十分に低減させることができない可能性があり,その結果,上述のように,品質上および外観上から処理後スラグの用途が限定される,という問題があった。
なお,この方法では,メタルは有価金属の回収サイトともなり得るが,メタル源である鉄スクラップの溶解量は限られているため有価成分の回収量も少ないこと,鉄スクラップの溶解に多量の熱と時間を必要とすること,などの問題もある。
また,特許文献2に記載の方法は,製鋼スラグを溶融改質して,遊離CaOおよびスラグの吸水率を減少させることを目的としており,製鋼スラグを還元して酸化鉄の量を低減させる,すなわち,T・Feの濃度を低減させることについては全く考慮されていない。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,製鋼工程の精錬処理時に発生する製鋼スラグの処理方法において,製鋼スラグを効率的に還元してスラグ中のトータル鉄の濃度を十分に低減させることにより,処理後のスラグの品質および外観を向上させることを目的とする。
本発明者らは,上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果,種湯として溶銑を保持した容器に溶融状態の製鋼スラグを装入し,スラグの溶融状態を維持したまま改質還元処理を行う際に,酸素吹込み用のランスから吹き込まれた酸素による製鋼スラグのへこみ深さLと製鋼スラグの厚みLS0との比L/LS0を所定の範囲に制限することにより,製鋼スラグを効率的に還元してスラグ中のトータル鉄の濃度を十分に低減させることができることを見出し,この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち,本発明の要旨とするところは,以下のとおりである。
(1)溶融製鋼スラグを溶銑が保持された反応容器に装入し,前記反応容器に装入された溶融製鋼スラグに,上吹きランスから酸素を吹き込みながらSiO含有物質および還元用の炭素含有物質を添加し,前記製鋼スラグ中のトータル鉄の濃度が1.5質量%以下となるまで,前記製鋼スラグの溶融状態を維持したまま前記製鋼スラグの改質処理および還元処理を行い,前記改質処理および前記還元処理の際に,前記上吹きランスから吹き込まれた酸素による前記製鋼スラグのへこみ深さLと,前記製鋼スラグの厚みLS0との比をL/LS0≦0.7とすることを特徴とする,製鋼スラグの処理方法。
(2)前記製鋼スラグ中のトータル鉄の濃度が5質量%以上である前記還元処理の初期では0.7≦L/LS0≦1.0とし,前記製鋼スラグ中のトータル鉄の濃度が5質量%未満である前記還元処理の末期ではL/LS0≦0.7とすることを特徴とする,(1)に記載の製鋼スラグの処理方法。
(3)前記改質処理および前記還元処理の際,溶銑中に炭素含有物質を吹き込むことにより溶銑中の炭素濃度を常に飽和状態に維持することを特徴とする,(1)または(2)に記載の製鋼スラグの処理方法。
(4)前記製鋼スラグ中のトータル鉄量に応じた量の炭素含有物質を前記製鋼スラグに添加することを特徴とする,(1)〜(3)のいずれかに記載の製鋼スラグの処理方法。
(5)前記炭素含有物質は,前記改質処理および前記還元処理の開始前に添加され,添加される前記炭素含有物質の量Wは,トータル鉄の濃度をCFe(質量%),前記製鋼スラグの質量をWとすると,下記式(I)で表されることを特徴とする,(4)に記載の製鋼スラグの処理方法。
=CFe/100×W×10 ・・・(I)
(6)前記還元用の炭素含有物質は,炭素質廃棄物を含むことを特徴とする,(1)〜(5)のいずれかに記載の製鋼スラグの処理方法。
本発明によれば,製鋼工程の精錬処理時に発生する製鋼スラグの処理方法において,製鋼スラグを効率的に還元してスラグ中のトータル鉄の濃度を十分に低減させることが可能である。したがって,本発明によれば,処理後のスラグの品質および外観を向上させ,上層路盤材,コンクリート用骨材等の高級用途に適用可能なスラグを生成することができる。
また,本発明によれば,種湯溶銑を使用し,スラグの溶融状態を維持しながら製鋼スラグの改質還元処理を行うことにより,遊離CaOや気泡をほとんど含まない高品質のスラグを得るとともに,製鋼スラグ中の有価成分を十分に回収することが可能である。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(製鋼スラグの処理方法の概要)
まず,図1を参照しながら,本発明の一実施形態に係る製鋼スラグの溶融改質処理の方法を概略的に説明する。なお,図1は,本発明の一実施形態に係る製鋼スラグの処理方法に使用される処理装置を概略的に示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る製鋼スラグの処理方法においては,まず,溶融状態の製鋼スラグ2を,溶銑4が保持された反応容器(本実施形態では,転炉6)に装入する。次いで,転炉6に装入された製鋼スラグ2に,上吹きランス8から酸素を吹き込みながらSiO含有物質および還元用の炭素含有物質を添加し,製鋼スラグ2のT・Feの濃度が1.5質量%以下になるまで,製鋼スラグ2の溶融状態を維持したまま製鋼スラグ2の改質処理および還元処理を行う。このとき,上吹きランスから吹き込まれた酸素による製鋼スラグのへこみ深さLと製鋼スラグの厚みLS0との比L/LS0がL/LS0≦0.7となるように,上吹きランスからの酸素の吹込みを調整する。また,処理中の溶銑4中に,底吹きランス10からキャリアガスとともに炭素含有物質を吹き込んでもよい。
以下,このような本発明に係る製鋼スラグの処理方法について,さらに詳細に説明する。
(製鋼スラグの種類)
本発明は,溶融状態の製鋼スラグを改質処理の対象としており,改質対象の製鋼スラグとしては,特に限定されるものではなく,例えば,脱炭スラグ,溶銑予備処理スラグ,電気炉スラグ等を使用することができる。溶融状態のスラグを対象とするのは,スラグの有する顕熱を活用するためである。
本発明では,溶融状態の製鋼スラグを使用して,溶融状態を維持しながら改質処理および還元処理を行う。このように溶融状態で処理を行うのは,遊離CaOの滓化(溶融均一化)およびスラグの還元反応を促進するためには,溶融状態であることが有効だからである。以下,この点についてより詳細に説明する。
(製鋼スラグの改質処理)
溶融状態の製鋼スラグにSiO含有改質材を添加して改質処理を行うことにより,製鋼スラグ中の未反応の遊離CaOを滓化させ,滓化した遊離CaOとSiO等との反応により遊離CaOを低減させることができる。したがって,遊離CaOの水和反応(Ca+2HO→Ca(OH)+H)による体積膨張を防止することができる。ここで,溶融状態で改質処理を行うのは,溶融温度未満で改質処理を行った場合には,処理前に未滓化のスラグが固相として残存し,固相として高融点の析出相が残存する場合があるため,SiOとの反応が十分に進行せず,安定して遊離CaOを減少させることができないためである。
(製鋼スラグの還元処理)
本発明では,溶融状態で製鋼スラグの還元処理を行うことにより,第1に,製鋼スラグ中のトータル鉄を低減し,COガスを主とする気泡の発生を防止することができる。このCOガスの気泡は,転炉などから排出された直後の溶融スラグ中には粒鉄が懸濁しており,この懸濁粒鉄の表面に付着した炭素と溶融スラグ中の酸化鉄とが反応することにより発生する。そこで,溶融スラグ中の酸化鉄を還元して酸素源である酸化鉄の量を低減させることにより,COガスの発生を防止することができる。
本発明ではまた,溶融状態で製鋼スラグの還元処理を行うことにより,第2に,製鋼スラグ中のトータル鉄(T・Fe)を低減させることで,スラグを白色化または透明化して外観を改善し,スラグの高付加価値化を図ることができる。スラグは,T・Feが多い場合は黒色を呈しているが,スラグ中のFeOやFeを還元してT・Feを低減させると,還元処理後のスラグを脱色させて白色または透明に近づけることができる。このようにT・Feが多く黒色を呈している製鋼スラグを白色化または透明化して,コンクリート骨材としてセメントとともに混合すること等ができれば,還元処理後の製鋼スラグの用途を著しく拡げることができる。そのためには,セメントと同等またはセメントよりも白色化することが必要となる。セメントよりも黒色の強いスラグを骨材として混合した場合,コンクリート内に黒色の点として現れ,外観を損ねることになるからである。
具体的には,本発明者らが行った実験の結果によれば,還元処理により製鋼スラグ中のT・Feの濃度を1.5質量%以下とすると,普通ポルトランドセメントに骨材として混合してもセメントの外観を損ねることはないため,好ましい。また,T・Feが0.5質量%以下にまで低減すると,白色セメントの白色度に匹敵し,より高級な用途である白色セメントの骨材として使用することができるので,還元処理により製鋼スラグ中のT・Feを0.5質量%以下とすることが特に好ましい。
本発明ではまた,溶融状態で製鋼スラグの還元処理を行うことにより,第3に,製鋼スラグ中の鉄,リン,マンガン等の有価成分を回収することができる。製鋼スラグ中には,CaO,SiOの他に,鉄,リン,マンガン等の有価金属が酸化物(FeO,MnO,P等)の形で多く含有されている。これらの有価成分の酸化物を,製鋼スラグ中に還元用の炭素源を添加することにより還元し,鉄,リン,マンガン等の有価成分を種湯として用いている溶銑に回収することができる。
特に,リンは,肥料原料等として用いられるため重要である。一般に,リンは鉄のもろさの原因となるため,通常は脱リン処理により溶銑中から取り除かれるが,本発明は,リンを一時的に種湯溶銑中に濃化させておき,その後高濃度のリンを含む溶銑を脱リンし,得られたスラグ中に高濃度の酸化リン(P)として回収し,肥料原料等として資源化する目的で用いられる。
また,例えば,同一の種湯溶銑を用いて本発明の還元処理を繰り返して行い,溶銑中のリン濃度を高めた後に脱リンを行うことにより,高濃度の酸化リンを含む脱リンスラグを生成することが可能である。このような脱リンスラグは,少量のスラグからリンを高効率で回収できる高品位のリン資源となる。
(種湯溶銑の役割)
また,本発明では,溶融状態の製鋼スラグを種湯としての溶銑が保持された反応容器に装入することで,第1に,製鋼スラグの改質還元反応の際,溶融状態の製鋼スラグの顕熱だけでなく,種湯溶銑の顕熱を利用でき,吸熱反応である還元反応中もスラグの溶融状態を維持することができる。その結果,上述したように,スラグ中の遊離CaOの滓化を促進し,スラグの還元速度を維持し,かつ,COの脱泡速度を維持することもできる。ここで,溶銑が有する顕熱を利用することにより,還元反応(吸熱反応)中もスラグの溶融状態を維持するという観点からは,種湯溶銑の質量は,製鋼スラグの質量の1/4以上であることが好ましく,製鋼スラグと同質量以上であることがさらに好ましく,製鋼スラグの質量の1.5倍以上であることが最も好ましい。製鋼スラグの質量に対し,溶銑の質量が1/4未満である場合には,還元反応中にスラグの温度低下を招き,スラグの溶融状態を維持することが困難となるため好ましくない。
第2に,還元反応のサイトとして溶銑/スラグ界面を利用することができる。製鋼スラグの還元反応は,スラグ/還元用炭素源界面よりも,主に溶銑/スラグ界面で進行する。言い換えると,還元反応速度はスラグ/還元用炭素源界面よりも,溶銑/スラグ界面で大きいので,溶銑を保持した容器内に製鋼スラグを装入することにより,溶銑/スラグ界面を還元反応サイトとして利用して,製鋼スラグの還元反応速度を大きくする(還元反応を促進する)ことができる。ここで,還元反応サイトとして溶銑/スラグ界面を利用した場合に,還元反応速度を最大化するために,還元反応界面積を最大化する観点からは,種湯として用いる溶銑の量は,少なくとも反応容器の底面全体を覆う量であることが好ましい。
第3に,製鋼スラグ中の有価成分(鉄,リン,マンガン等)を種湯として用いた溶銑中に高効率で回収することができる。製鋼スラグ中のリンやマンガン等の有価金属の酸化物は,還元されて金属単体となり種湯溶銑中に移行する。種湯溶銑は,上述したように,還元反応界面積を最大化する観点から,少なくとも反応容器の底面全体を覆うために,反応容器内に多量に保持されている。したがって,製鋼スラグ中のリンやマンガン等の有価成分は,量の多い種湯溶銑に移行しても,種湯溶銑中の有価成分の濃度は低い状態であるので,製鋼スラグからの有価成分の移行速度,言い換えると,製鋼スラグ中の有価成分の酸化物の還元速度を,有価成分濃度が飽和に達するまで維持することができる。一方,種湯溶銑が少量である場合には,リンやマンガン等の有価成分の濃度がすぐに飽和に達してしまい,有価成分の酸化物の還元速度は低下してしまう。
なお,上述したように,種湯溶銑を再利用して,製鋼スラグの還元反応を同一の種湯が保持された反応容器で繰り返すことによりリン濃度を高めた後に脱リンを行うと,従来よりも高濃度のリンを含む高リン鉱を得ることができ,少量のスラグを用いてリンを高効率で回収することができる。
(還元処理の際の操業方法)
本発明では,製鋼スラグ中のT・Feの濃度が1.5質量%以下となるまで,製鋼スラグの溶融状態を維持したまま製鋼スラグの還元処理を効率的に行うために,上吹きランスから吹き込まれた酸素による製鋼スラグのへこみ深さLと製鋼スラグの厚みLS0との比をL/LS0≦0.7とする。
/LS0は,上吹きランスから吹き付けた酸素が直接溶銑(メタル)に当たるか当たらないかの指標であり,L/LS0=1の場合にちょうど溶銑に直接当たる。L/LS0が1未満の場合には,計算上は上吹きランスから吹き付けた酸素は溶銑に直接当たることはない。このL/LS0は,酸素吹込み用の上吹きランスの垂直方向の位置を変化させたり,上吹きランスからの酸素の吹込み量を変化させたりすることにより制御することができる。また,Lの値は,下記式(II),(III)で表される瀬川の式により算出することができる。
=L・exp(−0.78・h/L)・(ρm/ρs) ・・・(II)
Lh=63.0・(k・FO2/nd)2/3 ・・・(III)
:h=0の場合の湯面(スラグ)のへこみ深さ
h :湯面(スラグの液面)から上吹きランスの吹込み口までの高さ
ρm :メタルの密度
ρs :スラグの密度
k :送酸ノズルの孔の数に応じた補正値
O2 :酸素ガス流量
n :送酸ノズルの孔の数
d :送酸ノズルの直径
ここで,L/LS0を0.7以下としたのは,本発明者らが行った還元処理後のT・Fe(質量%)とL/LS0との関係について調査した実験に基づくものである。以下,この実験について,図2を参照しながら説明する。なお,図2は,還元処理後のT・Fe(質量%)とL/LS0との関係の一例を示すグラフである。
図2に示すように,L/LS0が0.7までは,処理後のT・Feは低い状態を保っているが,L/LS0が0.7を超えると,処理後のT・Feは上昇し始め,L/LS0が1以上,すなわち,上吹きランスから吹き付けた酸素が直接溶銑(メタル)に当たるようになると,処理後のT・Feは急激に上昇する。これは,酸素が直接溶銑に当たることにより,溶銑中の鉄が燃焼して酸化され,FeOが生成されるためと考えられる。また,上述したように,処理後のT・Feが1.5質量%以下であれば,普通ポルトランドセメントに骨材として混合してもセメントの外観を損ねることはないことから,処理後のT・Feが1.5質量%以下となるL/LS0の値を見ると,L/LS0が0.7以下の場合には,処理後のT・Feが1.5質量%以下となっていることがわかる。したがって,本発明においては,処理後のT・Feを1.5質量%以下として処理後のスラグの外観を向上させ,セメントの骨材等の高級用途に適用できるように,L/LS0を0.7以下に制御している。
ただし,溶融還元処理を行う際には,還元反応(FeO+C→Fe+CO↑)は吸熱反応であり,温度の低下が大きくなる。また,溶銑の保持された容器に装入する溶融製鋼スラグは,その前に一旦別の鉄製の鍋に移されているので,溶銑(約1400〜1500℃)に比べてやや低い温度(約1300℃)となっている。したがって,還元処理の初期においては,L/LS0の値を大きくして,上吹きランスから吹き付けた酸素が溶銑中のカーボンを燃焼させるようにして,この燃焼熱によりスラグの処理温度を上昇させることが好ましい。
一方,L/LS0の値が大きいと,上吹きランスから吹き付けた酸素が溶銑中のカーボンを燃焼させ,スラグの処理温度を上昇させることから,熱的には有利となるが,上吹きランスから吹き付けた酸素は溶銑中の鉄も酸化して酸化鉄を生成するため,製鋼スラグの還元速度は遅くなってしまう。
そこで,L/LS0の値を還元反応初期と還元反応末期とで変化させることが好ましい。すなわち,還元反応初期においては,酸素を溶銑に当てて燃焼熱を発生させ,還元反応末期においては,還元を有利にするために酸素を溶銑に当たらないようにすることが好ましい。具体的には,還元反応初期(T・Fe≧5質量%)においては0.7≦L/LS0≦1.0とし,還元反応末期(T・Fe<5質量%)においてはL/LS0≦0.7とすることが好ましい。
ここで,還元反応初期において,0.7≦L/LS0≦1.0としたのは,酸素を溶銑に当たるようにするためには,L/LS0を0.7以上とすることが好ましい一方で,L/LS0が大きすぎると,酸化鉄の生成量が多すぎて,還元反応速度が遅くなりすぎるため好ましくないからである。また,還元反応末期において,L/LS0≦0.7としたのは,上述したように,図2に示した実験の結果およびT・Feの濃度をコンクリート骨材として利用可能な1.5質量%以下にするためである。
/LS0の値を0.7以上1.0以下の状態で保持すると,T・Fe>5質量%となり,還元反応を進めることができなくなる(図2参照)ため,スラグ中のT・Feに応じて上吹きランスの位置を変化させることが必要である。一方,上述したように,還元反応初期からL/LS0の値を0.7以下としてもよいが,上吹きランスから吹き込まれる酸素と溶銑の湯面との距離が大きくなり,還元反応に時間を要するようになるので望ましくない。なお,オンラインでスラグの組成を測定することができれば,スラグ中のT・Feの濃度に応じて,上吹きランスの位置を随時変化させて最適な状態に保持できる。
また,本発明では,改質処理および還元処理の際,溶銑中に炭素含有物質を吹き込むことにより,溶銑中の炭素濃度を常に飽和状態に維持することが好ましい。これは,以下の理由による。すなわち,上吹きランスで酸素を製鋼スラグに吹き付けると,製鋼スラグ/溶銑界面において,FeO+C→Fe+CO↑の反応および2Fe+O→2FeOの反応が起こり,溶銑中の炭素濃度が低下する。すると,還元剤としての役割を有する炭素が少なくなるので,製鋼スラグ中の酸化鉄の還元速度が低下し,逆に,酸化鉄の生成速度が増大するという問題が生ずる。すると,T・Feの濃度も低減できないだけでなく,スラグ中の酸化鉄の濃度が高くなることによりスラグの溶融温度が上昇するなどの問題も発生する。そこで,底吹きランスなどから,溶融還元処理中の溶銑に炭素含有物質を吹き込むことにより,溶銑中の炭素濃度を常に飽和状態とし,製鋼スラグの還元速度の低下を防止することが好ましい。
底吹きランス等から吹き込む炭素含有物質の量は,溶銑トン当たり6トン(6t/t・s)以上であることが好ましい。底吹きの炭素含有物質の量を6t/t・s以上としたのは,本発明者らが行った実験に基づいている。この実験は,溶銑トン当たりの炭素含有物質の吹込量(t/t・s)とFeOの還元速度との関係を調べたものである。本実験では,FeOの還元速度として,溶銑トン当たりの炭素含有物質の吹込量が6t/t・sのときのFeOの還元速度を1とした場合の比で表したFeO還元速度指数を用いた。その結果を図3に示す。なお,図3は,溶銑トン当たりの炭素含有物質の吹込量(t/t・s)とFeO還元速度指数との関係の一例を示すグラフである。
図3に示すように,溶銑トン当たりの炭素含有物質の吹込量が6t/t・s以上の場合には,FeOの還元速度が安定して速い速度を維持できることがわかる。したがって,本発明においては,底吹きランス等から吹き込む炭素含有物質の量が6t/t・s以上である場合を好ましいとした。
なお,炭素含有物質を過剰に供給した場合には,炭素のままでスラグ相に供給されるが,スラグの還元に使用されるので,無駄にはならない。ただし,還元反応末期は還元されるスラグ中のFeOの濃度が低下しているので,過剰に供給された炭素はそのままスラグと反応しない状態で残るので無駄になる。したがって,還元反応末期では底吹きの炭素含有物質の供給速度を小さくすることが好ましい。
また,本発明では,製鋼スラグ中のT・Feに応じた量の炭素含有物質を製鋼スラグに添加することが好ましい。これにより,還元反応末期においてもスラグと反応しない状態で炭素含有物質が残ることを防止し,炭素含有物質の無駄を防ぐことができる。
一方,改質還元処理前のT・Feが高い製鋼スラグは,溶銑が保持された転炉等の反応用器に装入する際に,溶銑と反応してCOガスを発生し(フォーミング現象が発生し),スラグの見かけのかさ比重が低下する(膨張し体積が増大する)。これにより,処理したいスラグの装入量が制限される(COの発生反応が激しい場合には,反応容器からスラグが流出する事故となる)という問題がある。そこで,製鋼スラグ中のT・Feに応じた量の炭素含有物質を,製鋼スラグの改質還元処理を行う前(上吹きランスから酸素を吹き込む前)に一括装入することにより,装入された炭素がスラグの粘性を低下させ,COガスの気泡の表面張力が低下し,気泡が割れやすくなるため,フォーミング現象が発生したスラグを沈静化させた状態で改質還元処理を行うことができる。
ここで,製鋼スラグ中のT・Feに応じた量の炭素含有物質量Wは,トータル鉄の濃度をCFe(質量%),前記製鋼スラグの質量をWとすると,下記式(I)で表される。
=CFe/100×W×10 ・・・(I)
上記式(I)において,最後の係数の「10」は,フォーミング現象を抑制し,かつ,吸熱反応である還元反応が起こることによるスラグ温度の低下を抑制するという観点から定められる。
(加熱手段)
本発明では,改質処理および還元処理を行う際に同一の処理温度を維持するために,加熱用バーナー等による加熱,または,燃焼用炭材を供給しながらランス等により酸素を吹き込むことによる加熱を行うことが好ましい。加熱用バーナーの燃料としては,例えば,重油,LPGなどを使用することができる。また,加熱用バーナーの代わりに,燃焼用炭材を供給しながら,酸素を吹き込むことにより炭材を燃焼させた燃焼熱により加熱してもよい。燃焼用炭材は,上述した還元用炭素源と同一の形態でも異なる形態でもよい。またく,燃焼用炭材と還元用炭素源とは,その双方を同一の加熱手段,例えば,粉体溶射バーナーから供給してもよく,異なる加熱手段から,例えば,燃焼用炭材は粉体溶射バーナーから供給し,還元用炭素源は粉体溶射バーナーとは別のスラグ上面側に設置したパイプから供給してもよい。
(ガス撹拌によるスラグの均熱化)
また,改質還元処理の際,上述したような加熱はスラグ上面側から行われるため,スラグ上面側では改質反応や還元反応が十分に進む一方で,スラグ下面側(溶銑側)ではスラグ上面側からの加熱の効果が及びにくいため,改質反応や還元反応が十分に進まないことがある。そこで,改質還元処理中の製鋼スラグを均熱化するため,製鋼スラグ中に上吹きランス等からガスの吹込みを行って,処理中のスラグを撹拌するようにしてもよい。このような撹拌に使用するガス種としては,例えば,アルゴンなどの不活性ガスを使用することができるが,スラグに燃焼用炭材が供給される場合には,撹拌用ガスとしてOを含むガスを使用することにより,撹拌用のO含有ガスが燃焼用炭材を燃焼させることができるため,スラグ撹拌と同時にスラグ温度の維持を効率的に行うことができる。
(還元用炭素源および燃焼用炭材)
本発明において,上述した還元用炭素源や燃焼用炭素源としては,例えば,廃プラスチック,バイオマス,パルプ屑等の炭素質廃棄物を使用することができる。かかる炭素質廃棄物は,還元用炭素源または燃焼用炭素源のいずれか一方として使用してもよく,還元用炭素源および燃焼用炭素源の双方に使用してもよい。ただし,還元用炭素源や燃焼用炭素源としては,上記炭素質廃棄物に限られず,例えば,コークス等などを使用してもよい。
(SiO含有改質材)
また,本発明の改質処理で使用するSiO含有改質材として,Alをさらに含有する改質材を使用してもよい。このような改質材としては,例えば,石炭灰などがある。
以下に,実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし,本発明は,下記実施例にのみ限定されるものではない。なお,下記の実施例は,上記実施形態に基づいて,溶融製鋼スラグを処理して,処理後のスラグおよび溶銑の成分を評価したものである。
(実施例1)
溶銑予備処理スラグ20tを溶融状態のまま,種湯溶銑280tを保持する転炉に装入した。転炉に挿入する前のスラグを採取し,蛍光X線分析装置にて組成を分析し,目標とするCaO/SiOの比1.2とするに必要なSiO量を算出することにより,改質材として使用する石炭灰の量を決定し,5〜10mm径の石炭灰4tを転炉に事前一括投入した。併せてスラグ中のT・Fe量に応じた還元用炭素含有物質として,コークスを6.6トンを事前一括投入した。その後,上吹きランスより酸素を送酸し,溶融改質還元処理を20分行った。処理温度は1400℃〜1460℃で行い,処理中のスラグは常に溶融状態を維持した。なお,還元処理中に転炉底部より,コークス製造時に篩下として回収した,粉コークスを底吹きし,溶銑中の炭素濃度が処理中に常に飽和になるように維持した。溶融改質還元処理初期(T・Fe≧5質量%)では送酸用ランスの位置を0.7≦L/Lso≦1.0の状態に維持した。ここで,スラグの高さはマイクロ波を用いたスラグ高さ計で測定し,溶銑の湯面高さは装入した溶銑の質量から計算で算出した。スラグ厚みLS0は,上で測定した(スラグ高さ)−(溶銑の湯面高さ)で求めた。また,スラグのへこみ深さLは,上述した瀬川の式を使用して求めた。溶融還元処理末期(T・Fe<5質量%)ではL/Lso≦0.7の範囲で操業し,処理後のT・Feを低減させた。改質還元処理後のスラグは,処理後スラグ用鍋に排出し,転炉には溶銑を残した。
改質還元処理前および処理後のスラグ,使用した石炭灰およびコークスの成分を下記表1〜3にそれぞれ示す。なお,本実施例におけるスラグ成分(組成)の分析方法としては,蛍光X線分析(JIS K 0119)を,遊離CaOの分析にはエチレングリコール抽出法ICP発光分光分析を用いた。ただし,遊離CaOの分析において同時に遊離CaOを抽出する方法としてTBP(トリブロムフェノール)法等があり,抽出が正しく出来ればいずれの方法を用いても良い。
Figure 0004616790
Figure 0004616790
Figure 0004616790
上記表1に示すように,溶融改質処理後のスラグは,体積膨張の原因となる遊離CaO(f−CaO)が1質量%未満に低減できており,上層路盤材等の高級用途に利材化しても問題ない水準にまで改質された。
また,還元処理後のスラグ中のトータル鉄(T・Fe)は0.5質量%未満まで低減された結果,冷却後のスラグは白色化された外観が改善され,普通ポルトランドセメントおよび白色セメントに混合しても外観上の違和感は見られなかった。
また,処理後のスラグにおいては,MnOやPのような有価金属の酸化物も還元されてスラグ中の濃度が低減し,種湯溶銑に有価成分(Mn,P)として回収された。この結果,下記表4に示すように,種湯溶銑中のMnやPの濃度は上昇した。
Figure 0004616790
さらに,同一の種湯溶銑を用いて,溶融改質還元処理を10回繰り返して行い,有価成分(Mn,P)を回収した結果,種湯溶銑中のMnおよびPの濃度を下記表5に示す濃度にまで高めることができた。この後,脱リンを行い,脱リンスラグ中にPとして高濃度のリン成分を効率的に回収できた。
Figure 0004616790
(実施例2)
溶銑予備処理スラグ21トンを溶融状態のまま,種湯溶銑280トンを保持する転炉に装入した。転炉に挿入する前のスラグを採取し,蛍光X線分析装置にて組成を分析し,目標とするCaO/SiOの比1.2とするに必要なSiO量を算出することにより,改質材として使用する石炭灰の量を決定し,5〜10mm径の石炭灰3.7tを転炉に事前一括投入した。併せてスラグ中のT・Fe量に応じた還元用炭素含有物質として,コークスを7.1tを事前一括投入した。その後,上吹きランスより酸素を送酸し,溶融改質還元処理を行った。本例では溶融改質還元処理初期(T・Fe≧5質量%)から処理終了まで,送酸用ランスの位置を≦Ls/Lso≦0.7の状態に維持した。このため,処理前に添加した石炭灰の滓化に時間を要したので,35分の処理時間を要した。処理温度は1350℃〜1450℃で行い,処理中のスラグは常に溶融状態を維持した。なお,還元処理中に転炉底部より,コークス製造時に篩下として回収した,粉コークスを底吹きし,溶銑中の炭素濃度が処理中に常に飽和になるように維持した。なお,スラグの高さはマイクロ波を用いたスラグ高さ計で測定し,溶銑の湯面高さは装入した溶銑の質量から計算で算出した。スラグ厚みLS0は,上で測定した(スラグ高さ)−(溶銑の湯面高さ)で求めた。また,スラグのへこみ深さLは,上述した瀬川の式を使用して求めた。改質還元処理後のスラグは,処理後スラグ用鍋に排出し,転炉には溶銑を残した。
改質還元処理前および処理後のスラグ組成を表6に,使用した石炭灰およびコークスの成分は表7〜8にそれぞれ示す。なお,本実施例におけるスラグ成分(組成)の分析方法としては,蛍光X線分析(JIS K 0119)を,遊離CaOの分析にはエチレングリコール抽出法ICP発光分光分析を用いた。ただし,遊離CaOの分析において同時に遊離CaOを抽出する方法としてTBP(トリブロムフェノール)法等があり,抽出が正しく出来ればいずれの方法を用いても良い
Figure 0004616790
Figure 0004616790
Figure 0004616790
上記表6に示すように,溶融改質処理後のスラグは,体積膨張の原因となる遊離CaO(f−CaO)が1質量%未満に低減できており,上層路盤材等の高級用途に利材化しても問題ない水準にまで改質された。
また,還元処理後のスラグ中のトータル鉄(T・Fe)は0.5質量%未満まで低減された結果,冷却後のスラグは白色化された外観が改善され,普通ポルトランドセメントおよび白色セメントに混合しても外観上の違和感は見られなかった。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の一実施形態に係る製鋼スラグの処理方法に使用される処理装置を概略的に示す断面図である。 還元処理後のT・Fe(質量%)とL/LS0との関係の一例を示すグラフである。 溶銑トン当たりの炭素含有物質の吹込量(t/t・s)とFeO還元速度指数との関係の一例を示すグラフである。
符号の説明
2 転炉
4 溶銑
6 溶融製鋼スラグ
8 上吹きランス
10 底吹きランス
上吹きランスから吹き込まれた酸素による製鋼スラグのへこみ深さ
S0 製鋼スラグの厚み

Claims (6)

  1. 溶融製鋼スラグを溶銑が保持された反応容器に装入し,前記反応容器に装入された溶融製鋼スラグに,上吹きランスから酸素を吹き込みながらSiO含有物質および還元用の炭素含有物質を添加し,前記製鋼スラグ中のトータル鉄の濃度が1.5質量%以下となるまで,前記製鋼スラグの溶融状態を維持したまま前記製鋼スラグの改質処理および還元処理を行い,
    前記改質処理および前記還元処理の際に,前記上吹きランスから吹き込まれた酸素による前記製鋼スラグのへこみ深さLと,前記製鋼スラグの厚みLS0との比をL/LS0≦0.7とすることを特徴とする,製鋼スラグの処理方法。
  2. 前記製鋼スラグ中のトータル鉄の濃度が5質量%以上である前記還元処理の初期では0.7≦L/LS0≦1.0とし,前記製鋼スラグ中のトータル鉄の濃度が5質量%未満である前記還元処理の末期ではL/LS0≦0.7とすることを特徴とする,請求項1に記載の製鋼スラグの処理方法。
  3. 前記改質処理および前記還元処理の際,溶銑中に炭素含有物質を吹き込むことにより溶銑中の炭素濃度を常に飽和状態に維持することを特徴とする,請求項1または2に記載の製鋼スラグの処理方法。
  4. 前記製鋼スラグ中のトータル鉄量に応じた量の炭素含有物質を前記製鋼スラグに添加することを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の製鋼スラグの処理方法。
  5. 前記炭素含有物質は,前記改質処理および前記還元処理の開始前に添加され,添加される前記炭素含有物質の量Wは,トータル鉄の濃度をCFe(質量%),前記製鋼スラグの質量をWとすると,下記式(I)で表されることを特徴とする,請求項4に記載の製鋼スラグの処理方法。
    =CFe/100×W×10 ・・・(I)
  6. 前記還元用の炭素含有物質は,炭素質廃棄物を含むことを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の製鋼スラグの処理方法。


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