JP5440733B2 - 溶銑の精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、1つの転炉型精錬容器(転炉型精錬炉)を用いて溶銑の脱珪処理と脱燐処理とを、途中の排滓工程(中間排滓)を挟んで連続して行う精錬方法に関し、詳しくは、鉄スクラップや冷鉄等の冷鉄源の溶解を効率的に行うことのできる溶銑の精錬方法に関する。
温室効果ガスの排出量削減が強く求められる近年、鉄鋼業においては、転炉にて溶銑の脱燐処理及び脱炭精錬を行う際に、溶銑に熱的な余裕が有る場合には、炉内の溶銑に鉄スクラップなどの冷鉄源を配合して鉄鋼製品生産に要するエネルギーを削減する方法が行われている。これは、高炉に装入される鉄鉱石のような酸化鉄と異なり、金属鉄である冷鉄源は還元する必要がなく、高炉から出銑される銑鉄を精錬して溶鋼を製造するよりも少ないエネルギー消費量及び少ない温室効果ガス排出量で溶鋼を製造できるからである。また、高炉で製造された溶銑に冷鉄源を加えて溶鋼を溶製することで、高炉で製造される溶銑量以上の溶鋼を製造でき、溶鋼の生産量増大も可能である。
また近年、コスト面及び品質面で有利であることから、転炉での脱炭精錬の前に溶銑に対して予備処理として脱燐処理(「予備脱燐処理」ともいう)を実施し、予め溶銑中の燐を除去する精錬方法が行われている。これは、脱燐反応は精錬温度が低いほど熱力学的に進行しやすく、つまり、溶鋼段階よりも溶銑段階の方が脱燐反応は進行しやすく、少ない精錬剤で脱燐精錬を行うことができることに基づいている。
一般に溶銑の予備処理では、先ず、酸化鉄などの固体酸素源を溶銑に添加して脱珪処理を行い、この脱珪処理で発生したスラグを除去し、さらに、必要に応じて溶銑を別の精錬容器に移し替えた後に脱燐精錬剤(媒溶剤)を添加して脱燐処理を実施する。
通常、この脱燐処理の脱燐精錬剤としては生石灰などのCaO系媒溶剤を用い、脱燐剤である酸素源としては固体酸素源(酸化鉄など)や気体酸素源(酸素ガスなど)を用いている。また、予備処理を行う精錬容器としては、トーピードカー、取鍋(高炉鍋や装入鍋)、転炉型精錬炉などが用いられている。
上記の方法で脱燐処理を行った溶銑は、熱源である珪素(Si)が酸化されて殆どなくなっており、炭素(C)も酸化されて炭素濃度も出銑時に比べて1.5質量%(以下、質量%を「mass%」と記す)程度低下し、鉄スクラップなどの冷鉄源を溶解するための熱的な余裕がないことから、脱燐処理の施された溶銑の転炉における脱炭精錬工程では冷鉄源を配合できないという問題が生じている。このため、溶鋼の増産が必要な場合には、予備処理としての脱燐処理を放棄して、転炉で脱燐精錬と脱炭精錬とを同時に行うという、従来の転炉吹錬に戻す操業を行う場合もある。
しかしながら、脱燐処理を施すことで、コスト低減及び鋼材の品質向上を達成できることのみならず、スラグ発生量を低減できることから、このような操業形態の変更を行わず、前述のように、溶銑の脱燐処理を行い、その上で、転炉では脱炭精錬のみを行うと同時に鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を増加させ、高炉で製造された単位質量あたりの溶銑からより多くの溶鋼を製造することが望ましい。
転炉における溶銑の脱炭精錬において、フェロシリコン(Fe−Si)、金属Alあるいはコークスや石炭、黒鉛などの炭材を熱源として添加し、供給する酸素ガスでこれらの熱源を酸化させ、酸化熱を利用して脱炭精錬の終点温度を確保することは、従来から行われている。これらの熱源を添加することで、冷鉄源の配合比率を増加させることは可能であるが、フェロシリコン、金属Alは多量の電力を使用して製造されることから高価格であり、これらの添加により、冷鉄源の増配合が可能になるというメリットだけでは工業的には成り立たない。また、フェロシリコンや金属Alを使用すると、SiO2あるいはAl23が生成されて精錬を阻害するので、生成したSiO2あるいはAl23を希釈する必要が生じ、CaO系媒溶剤の使用量が増加し、これも製造コストを高める原因となる。
また、安価な熱源として、転炉内に存在する溶融鉄そのものも考えられる。鉄(Fe)と反応する酸素の1kg当たりに換算した発熱量は、フェロシリコンの発熱量に近く、コークスや黒鉛などの炭材と比較すれば、吹き込む酸素ガスを効率良く利用することが可能である。しかしながら、鉄を酸化する場合、溶銑中の炭素を酸素ガスの供給によって除去している脱炭精錬では、スラグ中のFeO濃度が35mass%以上の高濃度となり、耐火物の溶損が激しくなるという問題がある。また、鉄の酸化が多くなり、工業的には成り立たない。
一方、炭材は安価であることから、熱源として使用されることが多いが、熱源用の炭材として使用されるコークスや無煙炭は、単位質量あたりの発熱量がフェロシリコンや金属Alに比べると少なく、同じ熱量を補償するためには多量の炭材が必要であり、かつ、この炭材を燃焼させるための多量の酸素ガスを追加供給する必要があり、転炉吹錬時間の延長に繋がり、冷鉄源の配合比率は増加したとしても、却って転炉の生産性を低下させてしまうおそれがある。加えて、コークスや無煙炭に含有される硫黄が溶銑や溶鋼に混入することにより、溶銑及び溶鋼の硫黄濃度のピックアップが生じ、特に低硫鋼を溶製する場合には、転炉からの出湯後に脱硫処理が必須となり、これも製造コストを高める原因となる。
また、脱炭精錬時に脱炭反応によって発生したCOガスを転炉内で二次燃焼させ(2CO+O2→2CO2)、この二次燃焼による発熱を溶鋼に着熱させて冷鉄源の溶解量を増加させる方法も行われている(例えば、鉄と鋼、vol.71(1985)No.15.p.1787−1794参照)。しかし、通常の脱炭精錬では、溶湯への着熱効率は低く、転炉の内張り耐火物を加熱するのみで、二次燃焼熱の大半は炉外に放出されてしまい、転炉の内張り耐火物の損傷を拡大させるという問題もあり、この方法で冷鉄源の配合比率を高くすることには限界がある。
二次燃焼熱の着熱効率を高めることにより、少ない炭材の使用量で多量の冷鉄源を溶解することを目的として、特開平8−260022号公報には、炉内の溶融鉄1トンあたり100kg以上1000kg以下の大量のスラグを炉内に形成させ、このスラグ中で二次燃焼させる方法が提案されている。
また、特開平10−265820号公報には、溶融鉄1トンあたり100kg以上400kg以下の大量のスラグを炉内に形成させ、このスラグ中で二次燃焼させると同時に、底吹き羽口から吹き込む攪拌用ガスによってスラグを強攪拌する方法が提案されている。
しかし、上記公報に開示された方法では、炉内のスラグ量を溶融鉄1トンあたり100kg以上確保した上で、そのスラグ中に炭材を巻き込ませなければならず、これは炉内容積に占めるフォーミングスラグの存在比率を高くすることを意味しており、吹錬中の転炉炉口からのスラグ噴出を回避するためには炉内に収容させる溶融鉄の量を大幅に減らす必要があり、結果的に冷鉄源の溶解能率は低下してしまうという問題がある。
一方、特開平9−176717号公報には、高炉出銑溶銑を上底吹き転炉に装入して、脱珪処理し、生成した脱珪スラグを排滓する第一工程と、同転炉内に残した脱珪処理した溶銑を脱燐・脱硫処理する第二工程と、脱燐・脱硫処理した溶銑を転炉から溶銑鍋に出湯して、別に用意した上底吹き転炉に装入した後、同転炉で脱炭処理する第三工程から構成される転炉による高炉溶銑の製鋼方法が提案されている。
上記特開平9−176717号公報に開示の方法によれば、脱珪処理における溶銑中珪素の酸化燃焼熱を利用することで冷鉄源の溶解が可能であるとされているが、溶銑に含有される珪素の燃焼熱だけで溶解可能な冷鉄源の量には限界があり、冷鉄源の配合比率を高める観点からは、未だ改善の余地がある。
さらに、従来、溶銑予備処理の一部として行われてきた脱珪処理では、溶銑容器内でのスラグフォーミングによる操業支障を回避するため、また、短時間で多量の酸素を供給ため、酸化鉄を使用するのが一般的であった。
例えば、溶銑予備処理初期の脱珪反応時期において、脱珪用酸素源として酸化鉄をキャリアガスとともに溶銑中に吹き込んで脱珪処理を行う方法があるが、この方法では、酸化鉄が還元反応の進行時に分解吸熱するため、溶銑中の珪素燃焼熱を効率よくスクラップ溶解のための熱として転換することができず、脱珪反応時期における溶銑温度の上昇が十分に得られない。
上記のように、溶銑の予備処理として脱珪処理、脱燐処理を行い、その上で、転炉では脱炭精錬のみを行うと同時に鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を増加させ、高炉で製造された単位質量あたりの溶銑から、より多くの溶鋼を製造することを目的として種々の提案がなされているが、従来、有効な手段は提案されていないのが実情である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、大掛かりな設備が必要でなく、短時間で効率良く且つ安価に、鉄スクラップなどの冷鉄源の溶解のための熱補償を行うことができ、溶銑の持つエネルギーを無駄なく冷鉄源の溶解に有効活用し且つコスト面、品質面を考慮して十分な溶銑の精錬(脱珪処理、脱燐処理)を行うことを可能とする、溶銑の精錬方法を提供するところにある。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
すなわち、本発明は、転炉型精錬容器に溶銑と冷鉄源を装入し、CaOを主成分として含有する副原料を酸素源とともに供給して、該冷鉄源を溶解するとともに溶銑の脱珪処理を行い、次いで、中間排滓として、脱珪処理によって生成されたスラグの少なくとも一部を排滓し、引き続き前記転炉型精錬容器内の溶銑に造滓剤と酸素源を供給して脱燐処理を行う溶銑の精錬方法において、前記脱珪処理に際して、転炉型精錬容器に装入する冷鉄源と溶銑との合計質量当たりの該冷鉄源の原単位X (kg/t)を、下記(1)式により算出されるYの値が220以上、260以下となる範囲とし、その転炉型精錬容器には、フェロシリコン、金属シリコンまたは炭化珪素を主成分とする副原料である珪素含有物質あるいはその珪素含有物質と炭材を熱源として添加して、脱珪処理終了時のスラグの塩基度(mass%CaO/mass%SiO)を0.5以上、1.5以下、脱珪処理終了時の溶銑温度を1280℃以上、1350℃以下とする条件のもとに脱珪処理を行い、次いで、前記中間排滓にて、前記脱珪処理にて生成したスラグの30mass%以上のスラグを前記転炉型精錬容器から排滓することを特徴とする溶銑の精錬方法。
Y=(3+34.5[%Si]+0.21T )・(1000−X )/1000 …(1)
ここで、 [%Si]:装入溶銑中珪素濃度(mass%)、
:装入溶銑温度(℃)、
:冷鉄源原単位(kg/t)
上記の構成からなる溶銑の精錬方法においては、
1)前記CaOを主成分として含有する副原料、珪素含有物質のうちの少なくとも1種の添加量を調整して脱珪処理終了時のスラグの塩基度(mass%CaO/mass%SiO)を0.5以上、1.0以下の範囲内にすること、
2)前記酸素源の供給量を調整して脱珪処理終了時の溶銑温度を1320℃以上に調整すること、
3)前記転炉型精錬容器内に装入または脱珪処理中に添加する前記珪素含有物質はその合計量、該転炉型精錬容器に装入した溶銑と冷鉄源の合計質量当たり4〜10kg/tの範囲にすること、
)前記中間排滓により転炉型精錬容器から排滓されるスラグの排滓率は、前記脱珪処理にて生成したスラグの60〜90mass%であること、
)前記中間排滓を終えたのちの前記転炉型精錬容器内のスラグのスラグ量を、4kg/t以上、20kg/t以下とすること、
)前記冷鉄源が、鉄スクラップあるいは直接還元鉄及び冷から選ばれる少なくとも1種であること、
)脱珪処理終了時から排滓開始までの時間が4分以内であること、
)前記CaOを主成分として含有する副原料が、転炉滓及び取鍋精錬の実施時において生成されたスラグ(取鍋滓)から選ばれる少なくとも1種であること、
)前記珪素含有物質として、炭化珪素を主成分とする副原料を使用すること、
10)前記炭化珪素を主成分とする副原料が、SiCブリケット及び/またはSiCを主成分とするSiC系廃棄耐火物であること、
11)前記Siブリケット及び/またはSiC系廃棄耐火物の添加量を、下記(2)式で算出させる添加量上限値W以下とすること、

W=(F−600)×0.3÷22.4×28÷XSi÷10 …(2)
ここで、W:SiCブリケット及び/またはSiC系廃棄耐火物の添加量上限値(ton)、
F:脱珪処理中の総送酸素量(Nm)、
Si:SiCブリケットまたはSiC系廃棄耐火物にSiCとして含有されるSi含有量(mass%)、
が、本発明の課題解決のための具体的手段として好ましい。

上記の構成からなる本発明の溶銑の精錬方法によれば、鉄スクラップなどの冷鉄源の溶解のための熱補償として、脱珪処理時に溶銑に添加した珪素含有物質(珪素源)中の珪素の燃焼熱を積極的に利用し、同一転炉型精錬容器にて中間排滓を挟んで、脱珪処理と脱燐処理を連続的に実施するため、短時間で効率よく多量の冷鉄源を溶解することが可能となる。
また、本発明の溶銑の精錬方法によれば、転炉型精錬容器にて脱珪処理を行うため、該容器の容積に余裕があり、スラグフォーミングによる操業支障をきたすことがないうえ、酸化鉄を使用しなくても多量の気体酸素を短時間で溶銑に供給することが可能であり、珪素の燃焼熱を酸化鉄の分解熱として費やされることなく、冷鉄源の溶解に活用することが可能となる。
さらに、本発明の溶銑の精錬方法によれば、脱珪処理後に引き続いて脱燐処理を行うため、容器を移し替える際に発生する大気、耐火物への放熱分の熱量を冷鉄源溶解のための熱として活用することができる。
また、脱珪処理と脱燐処理の間に行う、中間排滓により、脱珪処理にて発生した低塩基度(mass%CaO/mass%SiO=0.5〜1.5)のスラグを転炉型精錬容器外に排出することにより、該容器内に残留する塩基度の低いスラグの量を低減し、高い塩基度(=1.5〜3.0)で行う必要がある後半の脱燐処理で十分な脱燐を行うために追加、装入すべきCaO量(CaO系造滓剤)の使用量を低減することができる。
図1は本発明の溶銑の精錬に用いて好適な転炉型精錬容器の断面を模式的に示した図である。 図2(a)〜(e)は、本発明による要請の精錬要領を工程順に示した概略図である。 図3は、スラグ塩基度と排滓率及びスラグ粘性の関係を示した図である。 図4は、中間排滓時の溶銑温度と排滓率の関係を示した図である。 図5は、脱珪処理終了時点における未溶解の冷鉄源の有無と脱珪処理終了時の溶銑温度と排滓率との関係の調査結果を示した図である。 図6は、中間排滓時の溶銑温度と脱燐処理後の燐濃度の関係を示した図である。 図7は、脱珪処理、脱燐処理、脱炭精錬の3つの工程における生石灰の原単位と排滓率との関係を示した図である。 図8は、中間排滓時の容器内スラグ量と脱燐処理後の燐濃度の関係を示した図である。 図9は、脱珪処理時における脱珪外酸素量と排滓率との関係を示した図である。 図10は、脱珪処理終了から排滓開始時間と排滓率との関係を示した図である。 図11は、脱珪処理から出湯に至るまでの溶銑中の珪素濃度、炭素濃度、燐濃度及びマンガン濃度の推移の一例を示した図である。 図12は、脱珪処理における総送酸量とSiC燃焼量及びSiC歩留りとの関係を示した図である。
以下、図面を参照して本発明を具体的に説明する。
図1は、本発明の溶銑の精錬に用いて好適な転炉型精錬容器の断面を模式的に示した図であり、図2(a)〜(e)は、本発明による溶銑の精錬要領を工程順に示した概略図である。なお、図1は、図2(b)の脱珪処理工程を示した図である。
本発明の溶銑の精錬方法では、上掲図1に示すような上底吹き可能な転炉型精錬容器(転炉)1を用いることができる。
上吹きは、転炉型精錬容器1の内部を昇降可能な上吹きランス2を介して、該上吹きランス2の先端から酸素ガス3を溶銑4に向けて供給することにより行う。ここで、酸素ガス3とは工業用純酸素である。
また、底吹きは、転炉型精錬容器1の底部に設けられた底吹き羽口(底吹きノズル)5を介して行う。
底吹き用のガス6は、溶銑4中に吹き込むことにより該溶銑4の攪拌を強化して冷鉄源の溶解を促進する機能を有するものであり、酸素ガスを含むガスでも、あるいはアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスのみでもよい。
また、底吹き用のガス6としては、キャリアガス(搬送ガス)とともにフラックス(造滓剤)を溶銑中に吹き込む機能を有するものでもよい。
なお、図1における符号7は、珪素含有物質(以下、「珪素源」と記す)8が収容されたホッパー、9は、CaOを主成分として含有する副原料(以下、「CaO系媒溶剤」と記す)10が収容されたホッパー、11は、ホッパー7に収容された珪素源8を転炉型容器1に投入するためのシュート、12は、ホッパー9に収容されたCaO系媒溶剤10を転炉型容器1に投入するためのシュート、そして、13は、精錬後の溶銑4を転炉型精錬容器1から出湯するための出湯口である。
本発明における溶銑4の精錬方法では、上底吹き可能な上記の構成からなる2基以上の転炉型精錬容器1を使用し、そのうちの少なくとも1基の転炉型精錬容器1で溶銑4の脱珪処理、脱燐処理(予備処理)を実施し、残りの少なくとも1基で予備処理された溶銑4の脱炭処理を実施することができる。すなわち、溶銑予備処理用の転炉型精錬容器1では、溶銑4の脱珪、脱燐処理を行い、次いで、溶銑予備処理の施された溶銑4を脱炭処理用の転炉型容器1に移し替えて脱炭処理を行う。
溶銑4の精錬を行うには、図2(a)に示すように、まず転炉型精錬容器1に鉄スクラップなどの冷鉄源14を装入し、次いで装入鍋15を介して溶銑4を装入する。
そして、次に、転炉型精錬容器1内の溶銑4に、ホッパー7に収容される珪素源8及びホッパー9に収容されるCaO系媒溶剤10を、それぞれシュート11及びシュート12を介して添加した後、酸素源として酸素ガスあるいは酸化鉄を供給して、図2(b)に示すように脱珪処理を実施する。
溶銑4の脱珪処理においては、珪素源8に含有される珪素及び溶銑4に含有される珪素と、酸素源中の酸素とが反応(Si+2O→SiO)して酸化熱が発生し、この酸化熱で溶銑温度が上昇し、溶銑中の冷鉄源14の溶解が促進される。
ここに、転炉型精錬容器1に予め装入する冷鉄源としては、日本鉄源協会の「鉄スクラップ検収統一規格」に規定されている鉄スクラップの他、直接還元鉄、冷銑などの鉄を主成分とするものでもよい。
脱珪処理のための酸素源としては、上吹きランス2から供給する酸素ガス3のみでもよく、また、酸素ガス3に酸化鉄(図示せず)を併用してもよい。
短時間で行われる脱珪処理中に目的とする塩基度(mass%CaO/mass%SiO2)(以下、単に「塩基度」とのみ表示することもある)のスラグ16を形成させるためには、CaO系媒溶剤10の滓化を促進させる機能を有する酸化鉄を一部使用することが効果的であると考えられるが、本発明の目的である多量の冷鉄源14を溶解させる観点からは、昇熱時及び分解時に吸熱する酸化鉄を用いることは好ましいとはいえず、従って、酸素源として酸化鉄を用いずに酸素ガス3のみを用いるのが望ましい。
また、精錬容器として転炉型精錬容器1を使用するので、強攪拌が可能であり、酸素ガスのみを用いて脱珪処理を行っても、十分に目的とする塩基度のスラグ16を形成させることができることを確認している。
また、さらにCaO系媒溶剤10の投入は、脱珪処理を開始してからでもよいが、短時間の脱珪処理中にスラグ16を十分に滓化させるためには、可能な限り早い時期が好ましく、従って、CaO系媒溶剤10を冷鉄源14とともに転炉型精錬容器1に予め装入しておくことが好ましい。
脱珪処理においてCaO系媒溶剤10を使用する目的は、生成するスラグ16の塩基度を調整するためであり、CaO系媒溶剤10としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO3)、消石灰(Ca(OH)2)、軽焼ドロマイト、生ドロマイトなどが使用可能であり、CaO分としては30mass%以上含有するのが好ましく、また、60mass%以上含有するのがより好ましい。さらに、転炉での溶銑の脱炭精錬時に生成されたスラグ(転炉滓)、転炉型精錬容器1を用いた溶銑の精錬実施時(脱炭)において生成されたスラグ(転炉滓)、取鍋精錬の実施時において生成されたスラグ(取鍋滓)を使用することもできる。転炉滓、取鍋滓は塩基度が3〜5であり、生成するスラグ16の塩基度調整用として十分に機能する。
また、本発明では、短時間で多量の冷鉄源14を溶解させるために、発熱量の大きい珪素源8を熱源として転炉型精錬容器1に装入するが、この珪素源8としては、フェロシリコン(Fe−Si)や金属シリコンを使用することができる。
珪素源8としては、炭化珪素を主成分とする副原料を使用する。具体的には、より安価な、SiCを主成分とするSiCブリケットやSiCを主成分とするSiC系廃棄耐火物などを使用することが好ましい。
ここに、上記SiC系廃棄耐火物とは、使用済みのSiC系耐火物や、SiC系耐火物施工時に残材として発生したもの等々、これまで有効活用されていなかったSiC系耐火物をいう。なお、熱源として珪素源8のみを使用する必要はなく、炭材や金属Alなどの他の熱源を併用してもよい。特に炭材は安価であることから、珪素源8の他に炭材を併用することが好ましい。
本発明における溶銑4の精錬方法では、脱珪処理のあとに図2(c)に示すように、中間排滓を行い、脱珪処理で発生した、SiO2を大量に含む低塩基度のスラグ16を転炉型精錬容器1から排出する。このとき、排出するスラグ16の塩基度が0.5〜1.5の範囲内となるように、脱珪処理では、CaO系媒溶剤10及び珪素源8のうちの少なくとも1種の添加量を調整する。
CaO系媒溶剤10の使用量を高めれば塩基度が上昇し、逆に、珪素源8の使用量を高めれば塩基度が低下する。
また、排出するスラグ16の温度を1280℃以上とすべく、脱珪処理では、脱珪処理終了時の溶銑温度が1280℃以上となるように酸素源8の供給量を調整する。珪素源8の供給量を高めれば溶銑温度が上昇する。なお、スラグ16の温度は溶銑4の温度と同等かそれ以上(珪素源8はスラグ中で燃焼することが多く、珪素源8の燃焼熱はスラグ16に着熱される)であり、スラグ16の温度が1280℃以上となれば溶銑4の温度は1280℃以上となることを確認している。
本発明において、スラグ16の塩基度及び溶銑4の温度を上記の範囲に調整する理由は、スラグ16の流動性を確保して、良好な排滓性及び排滓率(排滓率(mass%)=(排出スラグ質量)/(脱珪処理工程で生成したスラグ質量)×100)を得るためである。
図3は、スラグ塩基度と排滓率及びスラグ粘性の関係を示した図である。図3に示すように、スラグ16の塩基度が0.5未満になるとスラグ16の粘性が高くなり、良好な排滓率を得ることができない。一方、スラグ16の塩基度が1.5を超えると、固相スラグが生じてスラグ16の流動性が低くなり、排滓率が低下する。このため本発明においては、スラグの塩基度を0.5以上、1.5以下にすることとした。ただし、このように、スラグ16の排滓性及び排滓率を確保する観点からは、スラグ16の塩基度は0.5〜1.5の範囲で十分であるが、脱珪処理においてCaO系媒溶剤10の使用量を削減する観点からは、スラグ16の塩基度を0.5〜1.0の範囲に調整することが好ましい。
また、スラグ16の温度が1280℃を下回ると、同様に固相スラグによるスラグ粘性上昇、液相スラグの粘性上昇が生じるため、スラグ16の流動性が低くなり、図4に示すようにスラグ16の排滓率が低くなってしまう。従って、使用する溶銑4の初期条件によっては、例えば、脱珪処理が進んで溶銑中珪素濃度が0.05mass%を下回るような段階でも、スラグ16の温度が1280℃を下回る場合が発生するが、この場合には、さらに脱珪反応を進めて1280℃以上の溶銑温度を確保する必要がある。
図5は、脱珪処理終了時点における未溶解の冷鉄源14の有無と脱珪処理終了時の溶銑温度と排滓率との関係の調査結果を示す図である。図5に示すように、冷鉄源14の溶解を促進させる観点からは、脱珪処理終了時の溶銑温度を、好ましくは1320℃以上とするのがよい。
一方、中間排滓時の溶銑4の温度が1350℃を超える場合、脱燐処理後の溶銑温度が高くなり、溶銑4の燐濃度が0.030mass%以上となって脱炭精錬時に要するCaO源が増加する原因になる。
これは脱燐処理の際に副原料(造滓剤)の投入時間が最短であったとしても該副原料を溶解するために酸素を供給することから、脱燐処理後の溶銑4の温度が不可避的に上昇することに起因する。
中間排滓時の溶銑温度と脱燐処理後の溶銑4の燐濃度の相関を図6に示す。図6より、脱燐反応を進行させるために中間排滓時の溶銑温度を1350℃以下とすることが望ましいことがわかる。
中間排滓時の溶銑温度が1350℃を超えると、内張りのマグカーボンレンガの損耗を防止するためにスラグ中のマグネシア濃度や塩基度を上昇させることも必要となってコストの増大を招く問題もある。このため、本発明では、脱珪処理終了時の溶銑温度を1350℃以下とした。
脱珪処理に際して転炉型容器1内に装入または脱珪処理中に添加される珪素源8の非酸化物珪素(酸化物でない珪素であり、以下、単に珪素という)の合計量は、転炉型精錬容器1に装入する溶銑4と冷鉄源14の合計質量当たり4〜10kg/tの範囲とするのが好適である。
その理由は、珪素の合計量が10kg/tを超えて添加されると、脱珪処理での珪酸の生成量が過大となって、前チャージの脱燐スラグを全量転炉型精錬容器1内に残したまま脱珪処理を行っても、さらに塩基度調節のための酸化カルシウム源(CaO系媒溶剤)を大量に添加する必要があり、転炉型精錬容器1のスラグ量も過大となるため、精錬コストなどの観点から好ましくないからである。
一方、珪素の合計量が4kg/t未満では、珪素の酸化反応による発熱量が小さくて冷鉄源14を溶解するのに効果的でない。珪素の合計量が4〜10kg/tであれば、脱珪処理後の塩基度を調整するうえでも、また冷鉄源14を溶解のための熱源を確保するうえでも、好ましい範囲といえる。
冷鉄源14を溶解するために必要な熱量は、珪素源8のみでなく、その一部として、炭材やフェロシリコン、金属Alなどを熱源として利用してもよい。
また、脱珪処理後の脱燐処理において、脱燐を効率よく行うためには溶銑4の温度を適当な範囲に制御する必要があるが、脱珪処理終了時の溶銑温度を1320℃以下とすることにより、脱燐処理において温度調節のために添加する鉄鉱石などの冷却材を大幅に削減することができる。
同一の転炉型精錬容器1を用いて脱珪処理と脱燐処理を続けて行う場合、脱燐処理前にもシュートを用いて鉄スクラップの如き冷鉄源14を装入することは作業時間上困難である。また、処理中に炉上から投入できる冷鉄源14は、整粒された高価なものであったり、製鉄所内で発生する地金など量的に限られたものであったりするため、定常的に大量に使用することは難しく、実際には、使用できる副原料の種類数の制約から、冷鉄源14を炉上から炉状投入装置で投入しないことも一般的である。
従って、脱燐処理において工業的に大量に利用できる冷鉄源14は鉄鉱石などの酸化鉄に限られて、鉄スクラップなどの安価な冷鉄源14を十分に活用できないのが一般的である。
一方、脱珪処理において安価な鉄スクラップを冷鉄源14として大量に使用することは比較的容易であり、これによって脱珪処理後の溶銑温度を1320℃以下とすることにより、脱燐処理における酸化鉄の使用量を大幅に削減でき、酸化鉄の分解吸熱による反応熱分を間接的に脱珪処理での冷鉄源14の溶解に活用することができるようになる。
脱珪処理後の溶銑温度が低下すると冷鉄源14が溶け残ることが懸念されるが、溶け残った冷鉄源14は溶銑4とともに転炉型精錬容器1内に保持されて、次の脱燐処理中に溶解が進行することから、脱燐処理終了時に冷鉄源14の溶解が完了していれば操業上の問題はない。
冷鉄源14の使用量の増大と精錬コストの抑制を図りつつ、脱珪処理後の溶銑温度を1280〜1320℃の範囲とするためには、冷鉄源(鉄スクラップ)14と溶銑4との合計質量当たりの冷鉄源原単位X(kg/t)を、下記(1)式により算出されるYの値で220以上、260以下となる範囲にすることが好適である。
Y=(3+34.5[%Si]+0.21T)・(1000−X)/1000 …(1)
ここで、 [%Si]:装入溶銑中珪素濃度(mass%)、
:装入溶銑温度(℃)、
:冷鉄源原単位(kg/t)
Yの値が220未満では、土状黒鉛などの炭材を熱源として添加して精錬時間を延長したり、フェロシリコンなどの高価な熱源を大量に使用する必要があるうえ、スラグ塩基度を調節するためにCaO系媒溶剤10を追加したりすることとなるため、精錬コストの上昇や生産性の低下を招くことになり望ましくない。
また、Yの値が260を超えると、温度を制御するために鉄鉱石などの冷却材を使用することになり、冷鉄源14の使用量を最大化する観点からは好ましくない。
本発明に好適な脱珪処理にあっては、脱珪処理後の溶銑温度を適切な範囲に制御すると共に、珪素を熱源として利用するので、溶銑4と冷鉄源14の合計重量当たり100〜250kg/tという多量の冷鉄源14を使用しても生産性の低下や精錬コストの上昇を招くことなく、冷鉄源14の溶解と溶銑4の精錬を効率よく行なうことができる。ただし、冷鉄源原単位が250kg/t以上では、さらなる熱源が必要となってコストの上昇を招いたり、精錬時間が長くなって生産性が低下する問題がある。また、冷鉄源の装入設備の制約からも使用量をさらに増やすことは効率的でない。
また、本発明においては、中間排滓に際して転炉型精錬容器1から排滓されるスラグの排滓率は、脱珪処理で生成したスラグの30mass%以上とする。
その理由は、図7示すように、スラグの排滓率が30mass%を下回ると、その後の脱燐処理において脱燐不良を防止する目的で、スラグ(脱燐処理におけるスラグ)の塩基度を1.5〜3.0の範囲に確保すべく、CaO系媒溶剤10の使用量が増大してスラグ量が多くなり、脱燐処理中のスラグフォーミングを抑制することができなくなって、転炉型精錬容器1の炉口からのスラグ噴出が発生し、スラグ噴出による操業支障が生じるからである。
上掲図7は、脱珪処理、脱燐処理、脱炭精錬の3つの工程における生石灰(CaO)の原単位と排滓率との関係を示したものであり、スラグ噴出の有無を併せて表示している。
図7中の横向きの破線(生石灰原単位≒26.7kg/t)は、従来の溶銑の脱珪処理、脱燐処理(予備処理)から転炉脱炭精錬までの平均的な生石灰の原単位であり、本発明においてスラグの排滓率を60mass%以上とすることで、生石灰の原単位は従来よりも少なくなることが分かる。
コスト高を回避しつつ、脱燐処理工程での最低限必要なスラグ量を確保するためにはスラグの排滓率を60〜90mass%とすることが好ましい。つまり、溶銑4の脱珪処理、脱燐処理から脱炭精錬までに消費するCaO系媒溶剤10の総使用量を抑制するためには、排滓率を60mass%以上に高めることが有効である一方、生成したスラグ16の排滓率が90mass%を超えてしまうと、次工程の脱燐処理において新たに添加するCaO系媒溶剤10の滓化が損なわれ、脱燐反応が阻害されるおそれがある。このため中間排滓でのスラグの排滓率は好ましくは90mass%以下とする。
また、本発明においては、中間排滓を終えたのちの転炉型精錬容器1につき、該転炉型精錬容器1内に残留するスラグ16のスラグ量は、4kg/t以上かつ20kg/t以下に規制するのが好ましい。その理由は、転炉型精錬容器1内に残留するスラグのスラグ量が4kg/t未満では次の脱燐処理において石灰系媒溶剤の滓化促進のために酸化鉄を使用することが必要となる一方、20kg/tを超えると石灰系媒溶剤の使用量が増大したり、脱燐操業が阻害されたりする問題があるからである。
図8は、中間排滓後に転炉型精錬容器1内に残ったスラグ16のスラグ量と脱燐処理後の溶銑燐濃度の相関を示した図である。図8から明らかなように、転炉型精錬容器1内に残るスラグ16が少量である場合、脱燐処理時に副原料の溶解に不利となる。一方、スラグ16が多く残る場合には、脱燐処理時に使用する副原料の量が増加するうえに、脱燐処理後の溶銑の燐濃度も増加傾向となる。
脱燐処理において蛍石や酸化鉄を使用しないで石灰系媒溶剤の滓化を促進するためには、転炉型容器1内に適度な量のスラグを残留させて溶融スラグ中の二酸化珪素や酸化鉄を利用して滓化を促進することが有効である。そのために、中間排滓により転炉型容器1からスラグを排出する際には、4〜20kg/tのスラグを転炉型精錬容器1内に残留させるように、炉体の傾転角度を調節して排出する。
これにより、脱燐処理において酸化鉄を使用しなくても効率よく脱燐反応を促進させることが可能となり、酸化鉄の分解吸熱による反応熱分を間接的に脱珪処理での冷鉄源溶解のための熱として活用することができる。
中間排滓においてスラグの排滓性を高めるには、該スラグを転炉型精錬容器1内にてフォーミングさせることが有効である。そのためには、溶銑4に含まれる炭素と酸素の反応により発生するCOガスの発生速度を高める必要がある。
溶銑4を流出させないように転炉型精錬容器1の傾動角度を調節してスラグ16を流出させると、ある程度のスラグ16は転炉型精錬容器1内に残留せざるを得ないが、フォーミングしているスラグ16の実績率は1/10程度であり嵩比重が真比重に比べ著しく低下しているため、転炉型精錬容器1内に残留するスラグ16のスラグ量を低位に制御できる。ここに、フォーミングしていない時のスラグ比重を真比重とし、フォーミング時のスラグ比重を嵩比重とした場合に、実績率=(嵩比重/真比重)と定義する。
図9は、溶銑4の中に含まれる珪素を酸化するのに必要な酸素以外の酸素の酸素量とスラグの排滓率の関係を示した図である。なお、図9において横軸に表示した、脱珪処理時における「脱珪外酸素量」とは、溶銑Si、昇熱材のSiCブリケット及び非酸化性珪素量の酸化に使用された酸素以外の酸素量をいうものとする。図9に示すように、脱珪処理時に溶銑中の珪素を酸化するのに必要な酸素以外に溶銑4に酸素を供給すると、酸素量に応じて排滓率が変動することが分かる。目的とする排滓率を確保するには、脱珪処理時に溶銑中の珪素を酸化するのに必要な酸素以外に溶銑4に供給する酸素の酸素量を、転炉型精錬容器1に装入した溶銑4と冷鉄源14の合計質量当たりの原単位で2Nm/t以上、より望ましくは4Nm/t以上とするのが好適である。なお、過剰な脱炭を防止して、後工程の脱炭処理での熱源となる溶銑中炭素の濃度低下を抑制する観点から上記酸素量の上限は、10Nm/t程度とするのが望ましい。
また、スラグのフォーミングが沈静化してしまった場合、スラグの排滓率は著しく低下するため、図10に示すように、脱珪処理終了から排滓に至るまでの時間を4分以内とすることが好適である。
中間排滓後は、転炉型精錬炉内に残留させた溶銑4にCaO系媒溶剤10及び酸素源を供給して、図2(d)に示すように、溶銑4を脱燐処理する。この脱燐処理において使用する酸素源は、上吹きランス2からの酸素ガスを使用することが好ましい。本発明は多量の冷鉄源14の溶解を目的とするものであり、昇熱時及び分解時に吸熱する酸化鉄を酸素源として使用することは好ましくない。なお、脱珪処理で生成されるスラグ16の塩基度が1.5以上であれば、脱燐反応は進行するので、その場合には脱燐処理工程で新たにCaO系媒溶剤10を添加する必要はない。
溶銑中の燐は供給される酸素源中の酸素に酸化されて燐酸化物(P)となり、この燐酸化物が、CaO系媒溶剤10の滓化によって形成され、脱燐精錬剤として機能するスラグ中に3CaO・P25なる安定形態の化合物として取り込まれ、溶銑4の脱燐反応が進行する。
脱燐反応が進行し溶銑中燐濃度が所定の値に低下したなら、脱燐処理を終了し、図2(e)に示すように、転炉型精錬容器1を出湯口13が設置された側に傾転させて転炉型精錬容器1内の溶銑4を溶銑保持容器(図示せず)に出湯する(出湯工程)。
このようにして本発明に係る溶銑の精錬が行われる。
図11は、本発明を適用したときの、脱珪処理工程から出湯工程に至るまでの溶銑中の珪素濃度、炭素濃度、燐濃度及びマンガン濃度の推移の一例を示した図である。図11に示すように、本発明によれば、鉄スクラップなどの冷鉄源の溶解のための熱補償方法として、脱珪処理時に溶銑に添加した珪素含有物質(珪素源)に含有される珪素の燃焼熱を積極的に利用し、転炉型精錬容器を用いて途中の排滓工程(中間排滓)を挟んで、溶銑に対して脱珪処理と脱燐処理とを連続的に実施するので、短時間で効率良く多量の冷鉄源を溶解することが実現される。
従来、連続的でない溶銑予備処理として脱珪処理が行われてきたが、溶銑容器内でのスラグフォーミングによる操業支障を回避することを目的として、また同時に、短時間で多量の酸素を供給することを目的として、従来の脱珪処理では酸素源として酸化鉄が供給されていた。つまり、例えば特許文献3に記載される、溶銑予備処理初期の脱珪反応時期において、脱珪用酸素源として主に酸化鉄を溶銑中に吹き込む方法では、脱珪反応時期における溶銑温度の上昇は十分に得られない。
このように、従来の脱珪処理では、酸化鉄は分解吸熱することから、溶銑中の珪素の燃焼熱を効率良く冷鉄源溶解のための熱として転換することができていなかったが、本発明では、転炉型精錬容器1で脱珪処理を行うので、容器容積に余裕があり、酸化鉄を使用しなくても多量の気体酸素を短時間で溶銑4に供給することが可能であり、珪素の燃焼熱を酸化鉄の分解熱に使用することなく、冷鉄源14の溶解に活用することが可能となる。さらに、本発明では脱珪処理後に連続的に脱燐処理を行うので、精錬容器の移し替えによる放熱分を冷鉄源溶解のための熱として活用することができる。
また、脱珪処理工程と脱燐処理工程との間で、脱珪処理工程で生成した塩基度の低いスラグを転炉型精錬容器1外に排出するので、高い塩基度(=1.5〜3.0)で行う必要のある脱燐処理におけるCaO系造滓剤10の使用量を低減することができる。
また、本発明においては、通常、高塩基度のために路盤材などとして利材化することが困難な転炉滓、取鍋滓を、脱珪処理におけるスラグの塩基度調整用のCaO系媒溶剤10として利用することができ、この転炉滓、取鍋滓は、脱珪処理後には低塩基度のスラグとして再生されることから、転炉滓、取鍋滓の利材化が可能となる。また、転炉滓、取鍋滓を利用することによって、短時間の脱珪処理であっても十分に滓化を促進させることが可能となり、排滓率を高めることが達成される。
またさらに、本発明では、脱珪処理で炉内に装入する珪素含有物質(珪素源)として、炭化珪素を主成分とする副原料を使用する場合、具体的には、SiCを主成分とするSiCブリケット及び/またはSiCを主成分とするSiC系廃棄耐火物を使用する場合には、多大な熱量を安価に、かつ、効率良く補償することができる。珪素含有物質の炭化珪素分としては30mass%以上含有するのが好ましい。
このとき、SiCブリケット及びSiC系廃棄耐火物の添加量を、下記の(2)式で算出される添加量上限値W以下とすることが好ましい。
W=(F−600)×0.3÷22.4×28÷XSi÷10 …(2)
ここで、W:SiCブリケット及び/またはSiC系廃棄耐火物の添加量上限値(ton)、
F:脱珪処理中の総送酸素量(Nm)、
Si:SiCブリケットまたはSiC系廃棄耐火物にSiCとして含有されるSi含有量(mass%)、
なお添加量上限値Wは、SiCブリケット及びSiC系廃棄耐火物の各々について計算した合計値である。
図12は、脱珪処理における総送酸量とSiC燃焼量及びSiC歩留りとの関係を示した図である。図12より明らかなように、脱珪処理における総送酸量(脱珪処理における酸素の使用量)に応じて熱源として作用するSiC量には上限があり、未反応SiCの多量発生による熱不足やコスト増を回避することで、さらに効率良く安定した熱量補償が可能となる。
実施例1
上掲図1に示すような構造からなる容量250tの転炉型精錬容器を用いて、上掲図2(a)〜(e)に示した要領で溶銑の予備処理を行い、その際の処理状況についての調査を行なった。その結果を表1に示す。
なお、この実施例1では、上吹きについては、上吹きランス2を用いて酸素ガス3を溶銑4に吹き付けることにより行ない、底吹きは、転炉型精錬用1の底部に設けた5本の底吹き羽口5を用い、窒素ガスを溶銑中に吹き込むことにより行なった。また、溶銑4の精錬を行うに当たっては、転炉型精錬容器1に先ず冷鉄源14を装入し、次いで溶銑4を装入し、その後、珪素源及びCaO系媒溶剤を装入した後に脱珪処理を開始した。
脱珪処理における熱源である珪素源としては、SiCとしてのSiを52.5mass%含有するSiCブリケットを使用し、一部の操業(本発明例2)では、SiCブリケットの他に炭材を併用した。そして、脱珪処理終了後、速やかに排滓作業を行い、続いて脱燐処理を行った。脱珪処理の開始から脱燐処理終了後の出湯完了までの時間は、上掲図11と同様に30分間程度である。冷鉄源としては、日本鉄源協会の「鉄スクラップ検収統一規格」に規定されている鉄スクラップを使用した。
Figure 0005440733
表1の脱燐処理の項目において記載した送酸量は、脱珪処理及び脱燐処理での合計量を示したものである。また、本発明例1〜4は、脱珪処理前にSiCブリケットのみ、あるいはSiCブリケットを炭材とともに投入し、脱珪処理終了後、速やかに排滓作業を行い、引き続いて脱燐処理を行なったものである。
本発明例1は、中間排滓時の溶銑温度が1327℃の場合であり、本発明例2は、中間排滓時の溶銑温度が1320℃の場合である。いずれの例も排滓率は70%程度と高い排滓率を得ており、鉄スクラップの未溶解も発生していない。
本発明例3、4は溶銑温度(スラグ温度)が1295℃、1280℃の場合であり、本発明例1、2と比較して溶銑温度が低く、温度が低下するにつれ排滓率が低下しているものの、本発明例4のように塩基度が0.5のスラグであっても溶銑の温度が1280℃以上であれば、排滓率30%程度を確保できることが明らかである。
比較例1は、発明例1〜4と同様に珪素源を添加し、中間排滓を行わないまま脱燐処理を実施したものであるが、比較例1は、中間排滓を行う本発明例1〜4とは異なり、焼石灰使用量が増加傾向にあることが分かる。
比較例2は、スクラップ使用量を調節して脱珪処理終了時の溶銑の温度を1396℃程度にした場合の例である。比較例2においては、脱燐処理において温度調節のために大量の鉄鉱石(20kg/t)を使用せざるを得ないのが明らかである。
以上の結果から、本発明に従う溶銑の精錬方法によれば、精錬にかかるコストを抑制しつつ珪素の燃焼発熱をスクラップの溶解のために有効利用できることが確認できた。
実施例2
実施例1と同様の転炉型精錬容器を用いて本発明による溶銑予備処理を実施した。上吹きランス2から酸素ガスを溶銑に吹き付けるとともに、炉体底部に設けた7個の底吹き羽口5を介して攪拌用の窒素ガスを溶銑中に吹き込んで予備処理を実施した。全ての操業で、転炉型精錬容器1に先ず冷鉄源を装入し、次いで溶銑を装入し、その後、珪素源及びCaO系媒溶剤を装入した後に脱珪処理を開始した。脱珪処理における熱源である珪素源としては、SiCとしてのSiを52.5mass%含有するSiCブリケットを使用し、一部の操業では、SiCブリケットの他に炭材を併用した。脱珪処理終了後、速やかに排滓作業を行い、続いて脱燐処理を行った。脱珪処理の開始から脱燐処理終了後の出湯完了までの時間は、図11と同様に30分間程度である。冷鉄源としては、日本鉄源協会の「鉄スクラップ検収統一規格」に規定されている鉄スクラップを使用した。
表2に本発明を適用した本発明例及び比較のために行った比較例の操業条件及び操業結果を示す。何れの操業も、脱珪処理において酸化鉄を使用していないが、脱珪処理後の排滓工程において転炉型精錬炉から排出されるスラグの塩基度は目的とする値となっており、スラグは十分に滓化されていた。
Figure 0005440733
本発明例5及び本発明例6では、脱珪処理終了時の溶銑温度が1320℃以上であり、換言すれば、中間排滓時のスラグ温度が1320℃以上であり、かつ、スラグ塩基度が1.0〜1.1でスラグの粘性が低く、70mass%と高い排滓率が得られた。また、本発明例5、本発明例6、本発明例9及び本発明例10では、鉄スクラップの未溶解は発生しなかった。
本発明例7及び本発明例8では、中間排滓時のスラグ温度の低下に伴って排滓率が低下したが、本発明例8のように塩基度が0.5のスラグでも、脱珪処理終了時の溶銑温度として1280℃以上が確保できたなら、30mass%の排滓率が確保でき、後工程の脱燐処理においては、脱燐処理中の炉内スラグのSiO2量は最大で2.5kg/tに達するものの、炉口からのスラグ噴出は発生しないことが確認できた。
ただし、本発明例7及び本発明例8では、脱珪処理、脱燐処理を通して溶銑の温度推移が低いことから、鉄スクラップの未溶解が発生した。すなわち、脱珪処理終了時の溶銑温度が1280℃以上であれば30mass%以上の排滓率を確保できるが、脱珪処理終了時の溶銑温度が1320℃未満の場合には、鉄スクラップの未溶解の可能性が高くなることが分った。
本発明例9では、脱珪処理終了時の溶銑温度が1330℃と高いにも拘わらず、スラグの塩基度が1.5と高く、スラグ粘性が高いので、排滓作業が難しくなったが、30mass%の排滓率を確保することができた。
本発明例10では、脱珪処理における総送酸量に対して(2)式で算出されるSiCブリケット及び/またはSiC系廃棄耐火物の添加量上限値(W)よりも多くのSiCブリケットを添加しており、過剰の添加分は熱源として機能しておらず、脱珪処理の終点温度が若干低位になったり、中間排滓時の溶銑温度の制御が困難になったりするうえに、無駄なコスト増を招く結果になった。
比較例3では、スラグの塩基度は1.0であるが、脱珪処理終了時の溶銑温度が1280℃を下回っており、排滓率は20mass%に留まっていた。また、比較例3では、脱燐処理への持ち越しスラグ量が多くなり、脱燐処理中に炉口からのスラグ噴出が発生した。このことから、脱珪処理終了時の溶銑温度はとくに1280℃を確保することが有効であることが確認できた。
なお、表2では、脱珪処理中に炉内に添加したSiCブリケット量と脱珪処理後のスラグ中に未反応で残留していたSiCブリケット量との差分をSiC燃焼量とし、炉内に添加したSiCブリケット量に対するSiC燃焼量の比をSiC歩留りとしている。
また、表3に、本発明例6で脱珪処理時に使用した転炉滓の組成と、本発明例6の中間排滓で採取したスラグの組成とを比較して示す。表3に示すように、転炉滓を脱珪処理におけるスラグ塩基度の調整材として使用することで、塩基度が4程度の転炉滓を塩基度が1.0の低塩基度のスラグに改質できており、本発明によれば、利材化が難しい高塩基度の転炉滓を利材化が容易な低塩基度のスラグに改質できることが確認できた。
Figure 0005440733
1 転炉型精錬容器
2 上吹きランス
3 酸素ガス
4 溶銑
5 底吹き羽口
6 底吹き羽口用ガス
7 ホッパー
8 珪素含有物質(珪素源)
9 ホッパー
10 CaOを主成分として含有する副原料(CaO系媒溶剤)
11 シュート
12 シュート
13 出湯口
14 冷鉄源
15 装入鍋
16 スラグ
本発明によれば、鉄スクラップ等の冷鉄源の配合率を高位に保ち、かつ効率的に溶銑を精錬し得る精錬方法を提供することができる。

Claims (12)

  1. 転炉型精錬容器に溶銑と冷鉄源を装入し、CaOを主成分として含有する副原料を酸素源とともに供給して、該冷鉄源を溶解するとともに溶銑の脱珪処理を行い、次いで、中間排滓として、脱珪処理によって生成されたスラグの少なくとも一部を排滓し、引き続き前記転炉型精錬容器内の溶銑に造滓剤と酸素源を供給して脱燐処理を行う溶銑の精錬方法において、
    前記脱珪処理に際して、転炉型精錬容器に装入する冷鉄源と溶銑との合計質量当たりの該冷鉄源の原単位X (kg/t)を、下記(1)式により算出されるYの値が220以上、260以下となる範囲とし、その転炉型精錬容器には、フェロシリコン、金属シリコンまたは炭化珪素を主成分とする副原料である珪素含有物質あるいはその珪素含有物質と炭材を熱源として添加して、脱珪処理終了時のスラグの塩基度(mass%CaO/mass%SiO)を0.5以上、1.5以下、脱珪処理終了時の溶銑温度を1280℃以上、1350℃以下とする条件のもとに脱珪処理を行い、次いで、前記中間排滓にて、前記脱珪処理にて生成したスラグの30mass%以上のスラグを前記転炉型精錬容器から排滓することを特徴とする溶銑の精錬方法。
    Y=(3+34.5[%Si]+0.21T )・(1000−X )/1000 …(1)
    ここで、 [%Si]:装入溶銑中珪素濃度(mass%)、
    :装入溶銑温度(℃)、
    :冷鉄源原単位(kg/t)
  2. 前記CaOを主成分として含有する副原料、珪素含有物質のうちの少なくとも1種の添加量を調整して脱珪処理終了時のスラグの塩基度(mass%CaO/mass%SiO)を0.5以上、1.0以下の範囲内にすることを特徴とする請求項1に記載した溶銑の精錬方法。
  3. 前記酸素源の供給量を調整して脱珪処理終了時の溶銑温度を1320℃以上とすることを特徴とする請求項1または2に記載した溶銑の精錬方法。
  4. 前記転炉型精錬容器内に装入または脱珪処理中に添加する前記珪素含有物質はその合計量、該転炉型精錬容器に装入した溶銑と冷鉄源の合計質量当たり4〜10kg/tの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載した溶銑の精錬方法。
  5. 前記中間排滓により転炉型精錬容器から排滓されるスラグの排滓率は、前記脱珪処理にて生成したスラグの60〜90mass%であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1に記載した溶銑の精錬方法。
  6. 中間排滓を終えたのちの前記転炉型容器内に残留するスラグのスラグ量を、4kg/t以上、20kg/t以下とすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1に記載した溶銑の精錬方法。
  7. 前記冷鉄源が、鉄スクラップ、直接還元鉄及び冷銑から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1に記載した溶銑の精錬方法。
  8. 脱珪処理終了時から排滓開始までの時間が4分以内であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1に記載した溶銑の精錬方法。
  9. 前記脱珪処理において供給する前記CaOを主成分として含有する副原料が、転炉滓及び取鍋滓のうちから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載した溶銑の精錬方法。
  10. 前記珪素含有物質として、炭化珪素を主成分とする副原料を使用することを特徴とする請求項1〜のいずれか1に記載した溶銑の精錬方法。
  11. 前記炭化珪素を主成分とする副原料が、SiCブリケット及び/またはSiCを主成分とするSiC系廃棄耐火物であることを特徴とする請求項10に記載した溶銑の精錬方法。
  12. 前記Siブリケット及び/またはSiC系廃棄耐火物の添加量を、下記(2)式で算出させる添加量上限値W以下とすることを特徴とする請求項11に記載した溶銑の精錬方法。

    W=(F−600)×0.3÷22.4×28÷XSi÷10 …(2)
    ここで、W:SiCブリケット及び/またはSiC系廃棄耐火物の添加量上限値(ton)、
    F:脱珪処理中の総送酸素量(Nm)、
    Si:SiCブリケットまたはSiC系廃棄耐火物にSiCとして含有されるSi含有量(mass%)、
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