JPH11323419A - 溶銑精錬方法 - Google Patents

溶銑精錬方法

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JPH11323419A
JPH11323419A JP7569899A JP7569899A JPH11323419A JP H11323419 A JPH11323419 A JP H11323419A JP 7569899 A JP7569899 A JP 7569899A JP 7569899 A JP7569899 A JP 7569899A JP H11323419 A JPH11323419 A JP H11323419A
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱炭精錬前に行われる溶銑鍋や転炉型容器等
を用いた脱燐精錬において高い脱燐効率を得る。 【解決手段】 高炉溶銑にCaO源と酸素源を添加して
脱燐処理を行うに際し、高炉溶銑を必要に応じて脱珪処
理し、Si量が0.07wt%以下の溶銑に対して脱燐
処理を行う。また好ましくは、脱燐処理開始時の溶銑温
度を1280℃以上、脱燐処理終了時の溶銑温度を12
80〜1360℃に調整して脱燐処理を行う。これによ
り従来に較べて飛躍的に高い脱燐効率が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は溶銑精錬方法、より
詳細には溶銑の脱燐処理を高効率で行うための精錬方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、転炉製鋼法においては同一の転炉
において溶銑の脱燐精錬と脱炭精錬を行ってきた。しか
し、近年、鋼材品質に対する要求が高まる一方で、連続
鋳造の拡大、真空脱ガスや取鍋精錬等のような溶鋼の二
次精錬が普及するに伴い、転炉における出鋼温度が上昇
し、転炉での脱燐能力が低下してきた。これは、溶銑温
度が高いほど脱燐効率が低下するからである。
【0003】このような背景の下、溶銑を予め精錬処理
し、特に燐成分をある程度除去してから転炉に装入する
溶銑予備処理法が発展してきた。この方法では、溶銑鍋
や転炉型容器等を用いて溶銑の脱燐精錬を行ない、この
脱燐された溶銑を他の転炉に移動して脱炭精錬を行なう
のが通常であり、例えば、特公平2−14404号公報
や特公平3−77246号公報では、上下両吹き機能を
備えた2基の転炉型容器のうちの一方を脱燐炉、他方を
脱炭炉として用い、特定の条件で溶銑の精錬を行う方法
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような溶
銑の脱燐精錬では一定のスラグボリュームが必要であ
り、脱炭吹錬に較べて低温操業であることからも造滓材
の滓化効率が悪くなり、結果として本来の脱燐効率が発
揮できないという問題があり、このため脱燐処理時間が
長くなり、精錬コストも高くならざるを得ない場合があ
った。また、鉄鉱石等の原料成分によっては高炉出銑中
にP等の不純物濃度が高くなることなどもあり、このよ
うな製銑側の操業条件の変動にも機動的に対応する必要
がある。
【0005】したがって本発明の目的は、このような従
来技術の課題を解決し、脱炭精錬前に行われる溶銑鍋や
転炉型容器等を用いた脱燐精錬を高効率で行うことがで
きる溶銑精錬方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな脱燐精錬において脱燐効率を高めるための条件につ
いて、主として溶銑成分、溶銑温度、媒溶材の添加条件
等の面から検討を行い、その結果、脱燐処理前の溶銑中
のSi量を十分に低減させること、具体的にはSi量を
0.07wt%以下のレベルまで低減させ、このような
溶銑に対して脱燐処理を実施することにより、脱燐効率
を従来に較べて飛躍的に高めることができることを見い
出した。また、このような脱燐処理の際に脱燐処理開始
時の溶銑温度、脱燐終了時の溶銑温度を適切に制御する
こと、さらには媒溶材であるCaO源と酸素源を所定の
条件で供給すること等により、脱燐効率がさらに向上す
ることが判った。さらに、溶銑の脱珪処理を取鍋を用い
て所定の条件で行うことにより、溶銑の低Si化を安定
して達成できることも判った。
【0007】従来、溶銑中のSi量が低い方が脱燐効率
を高めるのに有利であることは定性的には知られてお
り、このため溶銑予備処理の一環として脱珪処理が行わ
れている。しかし、従来行われている溶銑の脱珪処理で
は、脱珪処理後の溶銑中のSiレベルは0.2wt%前
後が通常であり、また、このような脱燐処理前の溶銑中
のSi量の低減化による効果も、脱燐効率が漸増する程
度と考えられきた。これに対して本発明では、脱燐処理
前の溶銑中Siの含有レベルを従来技術よりも1桁低い
レベル(0.07wt%以下)とすることにより、飛躍
的に高い脱燐効率が得られることを見い出したものであ
る。
【0008】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 溶銑にCaO源と酸素源を添加して脱燐処理を行う
に際し、Si量が0.07wt%以下の溶銑に対して脱
燐処理を行うことを特徴とする溶銑精錬方法。 [2] 上記[1]の溶銑精錬方法において、溶銑を脱珪処理
してSi量を0.07wt%以下とし、しかる後、脱燐
処理を行うことを特徴とする溶銑精錬方法。
【0009】[3] 上記[1]または[2]の溶銑精錬方法にお
いて、脱燐処理開始時の溶銑温度が1280℃以上であ
ることを特徴とする溶銑精錬方法。 [4] 上記[1]〜[3]のいずれかの溶銑精錬方法において、
脱燐処理終了時の溶銑温度が1280〜1360℃であ
ることを特徴とする溶銑精錬方法。 [5] 上記[2]〜[4]のいずれかの溶銑精錬方法において、
溶銑の脱珪処理として、少なくとも取鍋内での脱珪処理
を行ない、該取鍋内での脱珪処理では脱珪材として少な
くとも気体酸素を供給し、且つ該気体酸素の供給を溶銑
への吹き付け及び/又は溶銑内への吹き込みにより行う
ことを特徴とする溶銑精錬方法。
【0010】[6] 上記[2]〜[4]のいずれかの溶銑精錬方
法において、溶銑の脱珪処理として、少なくとも取鍋内
での脱珪処理を行ない、該取鍋内での脱珪処理では脱珪
材として気体酸素及び/又は固体酸素源を供給し、これ
ら気体酸素及び/又は固体酸素源の供給量の調整により
溶銑温度の調整を行うことを特徴とする溶銑精錬方法。 [7] 上記[1]〜[6]のいずれかの溶銑精錬方法において、
脱燐処理において、CaO源と酸素源を脱燐処理容器内
の浴面または浴中の同一位置に供給することを特徴とす
る溶銑精錬方法。
【0011】[8] 上記[1]〜[7]のいずれかの精錬方法に
おいて、脱燐処理を下記(a)の条件で行い、次いで下
記(b)の条件で脱炭処理を行うことを特徴とする精錬
方法。 (a)精錬容器において溶銑を粗鋼で要求されるP含有
量(鋼の成分規格値)以下に脱燐精錬する。 (b)前記脱燐精錬された溶銑を他の精錬容器である転
炉型容器に装入し、実質的に造滓材を装入することなく
脱炭精錬する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細をその限定理
由とともに説明する。図1は、Si量が0.19wt%
の溶銑と0.05wt%の溶銑をそれぞれ転炉型容器で
脱燐処理した場合(脱燐処理開始時の溶銑温度:128
0℃以上、脱燐処理終了時の溶銑温度:1280〜13
60℃、生石灰上置き添加)について、溶銑脱燐の進行
状況を調べた結果を示しており、Si量:0.05wt
%の溶銑の脱燐処理では、Si量:0.19wt%の溶
銑を脱燐処理した場合に較べて半分以下の時間で溶銑中
P量が最低レベルに達し、しかもそのレベルはSi量:
0.19wt%の溶銑を脱燐処理した場合に較べて低い
ことが判る。
【0013】このような試験結果が得られたことから、
さらに、脱燐処理に供される溶銑中のSi量が脱燐効率
に及ぼす影響を調べた。この試験では、脱燐処理前に脱
珪処理を行って溶銑中のSi量を調整し、転炉型容器に
おいて図1の試験と同様に脱燐処理開始時の溶銑温度:
1280℃以上、脱燐処理終了時の溶銑温度:1280
〜1360℃、生石灰上置き添加の条件で脱燐処理を行
った。
【0014】図2はその結果をCaO源の添加量ととも
に示しており、脱燐処理に供される溶銑中のSi量が
0.07wt%以下になると、スラグの高塩基度化によ
り脱燐効率の指標となる燐分配Lp(=(wt%P)/
[wt%P],(wt%P):スラグ中のP濃度,[w
t%P]:溶銑中のP濃度)が急激に上昇し、脱燐効率
の顕著な向上が認められる。また、脱燐効率は溶銑中の
Si量が低減するにしたがって高くなり、溶銑中Si量
が略0.03wt%以下で最も高い脱燐効率が得られて
いる。
【0015】以上の結果に基づき、本発明法ではSi量
が0.07wt%以下の溶銑に対して脱燐処理を行うこ
ととした。また、図2の結果から、脱燐処理前のより好
ましいSi量は0.05wt%以下、さらに好ましくは
0.03wt%以下である。本発明法を実施するに際
し、脱燐処理前の溶銑中のSi量が上記の上限値(0.
07wt%、好ましくは0.05wt%、特に好ましく
は0.03wt%)を超えている場合には、脱珪処理を
行って溶銑中のSi量を上限値以下にした後、脱燐処理
を行う。一般に高炉等から出銑される溶銑は0.30〜
0.50wt%程度のSiを含有しており、このような
通常のSiレベルの溶銑の場合には脱珪処理を行うこと
が必須となる。
【0016】脱珪処理は、溶銑脱珪工程(例えば、鋳床
脱珪)或いは容器内での脱珪処理のいずれで実施しても
よい。容器内での脱珪処理では、容器として溶銑鍋や装
入鍋等の取鍋、トーピード等が用いられ、この容器内に
脱珪材を添加して撹拌することにより効率的な脱珪処理
を行うことができる。脱珪材としては固酸(通常、ミル
スケール等の酸化鉄)または気酸(気体酸素または酸素
含有ガス)の何れを用いてもよく、また両者を併用して
もよい。
【0017】取鍋内で行う脱珪処理は、その溶銑保持形
状のために溶銑を十分に撹拌でき、このため他の溶銑脱
珪工程(例えば、鋳床やトーピードによる脱珪工程)よ
りも脱珪効率が良い。したがって、出銑された溶銑中の
Si量が比較的高い場合には取鍋内での脱珪処理を実施
し、或いは鋳床脱珪を実施してから取鍋内での脱珪処理
を実施することが好ましい。また、従来から行われてい
る鋳床脱珪等は脱珪効率が低いだけでなく、脱珪材とし
て固酸(ミルスケール等)のみを用いるため溶銑温度が
低下する問題がある。これに対して、取鍋内で行う脱珪
処理では脱珪材として気体酸素を供給することができる
ため、溶銑温度の維持、安定化が容易であり、且つ固体
酸素源の供給も併用できるために溶銑温度の調整も容易
である。
【0018】上記取鍋には、高炉溶銑を高炉鋳床を経て
直接受銑する所謂高炉鍋や、転炉等への溶銑装入を行う
ため高炉鍋から溶銑が移される所謂装入鍋等が含まれ
る。また、高炉鍋や装入鍋と類似の溶銑保持形状を有す
る鍋であれば、これも取鍋として使用可能である。取鍋
による脱珪処理は、これら高炉鍋、装入鍋等の取鍋の少
なくとも何れかで実施されればよい。
【0019】図3は、取鍋内脱珪と鋳床脱珪を実施した
場合について、脱珪処理後の溶銑中Si量と脱珪酸素効
率との関係を示している。同図によれば、鋳床脱珪では
処理後の溶銑中Si量が低くなるにしたがって脱珪酸素
効率が大きく低下している。このため本発明条件である
Si量:0.07wt%以下まで脱珪するには長時間の
処理が必要となり、このような脱珪処理は実操業での実
用性に欠ける。これに対して、取鍋内脱珪では鋳床脱珪
に較べて高い脱珪酸素効率が得られており、本発明条件
であるSi量:0.07wt%以下(好ましくは、0.
05wt%以下、さらに好ましくは0.03wt%)ま
で効率的に脱珪するには、取鍋内脱珪を実施するのが好
ましいことが判る。
【0020】また、上述したように取鍋内での脱珪処理
は通常気酸を供給して行われるため、溶銑のハンドリン
グや下工程の精錬に影響するような溶銑温度の低下を生
じる恐れは全くなく、溶銑温度の確保及び温度調整が容
易であり、また、必要に応じて気酸供給を固酸供給に切
り替え、若しくは気酸供給と固酸供給を併用することに
より、溶銑温度を調整して所望のレベルに安定化させる
ことも容易である。
【0021】また、溶銑の脱珪処理では脱珪幅(Δ%S
i)が大きくなるとスラグフォーミングが顕著になり、
事実上操業ができなくなる場合がある。したがって、全
脱珪幅が比較的大きい場合には、鋳床脱珪を実施した
後、取鍋内脱珪を実施し、1つの脱珪工程での脱珪幅を
小さくすることによりスラグフォーミングを抑制するこ
とが好ましい。また、このように脱珪処理を2工程で行
い、1つの工程での脱珪幅を小さくすることにより、特
に取鍋内脱珪後の除滓時間が短くて済むため有利であ
る。
【0022】先に述べたように取鍋内での脱珪処理は、
脱珪材として気酸を供給することにより脱珪効率が高め
られ且つ溶銑温度の低下が防止される点に大きな特徴が
あり、したがって、この脱珪処理では脱珪材の一部また
は全部として気酸を用いることが好ましい。なお、本発
明で使用する気体酸素(気酸)としては、酸素ガス、酸
素含有ガスのいずれでもよい。この気酸の取鍋内への供
給方法としては、(1)上吹ランスで上方から溶銑に吹き
付ける方法、(2) インジェクションランスを通じて溶銑
内に吹き込む方法、(3) 取鍋本体に設けられた底吹ノズ
ル等の吹込みノズルを通じて溶銑内に吹き込む方法等が
採用でき、これらの何れかまたは2つ以上の方法の組み
合わせにより気酸の供給を行うことができる。
【0023】また、取鍋内での脱珪処理の他の特徴は溶
銑の十分な撹拌が得られる点にあり、この溶銑の撹拌は
溶銑内に気酸または他の撹拌ガス(例えば、窒素ガス)
を吹き込むことにより実現できる。その具体的な方法と
しては、上述したインジェクションランスを通じてガス
を溶銑内に吹き込む方法、吹込みノズルを通じてガスを
溶銑内に吹き込む方法等が採用でき、これらの何れかま
たは2つ以上の方法の組み合わせにより実施可能であ
る。
【0024】通常、取鍋内の脱珪処理では造滓材と必要
に応じて固酸が供給されるが、これらの固体添加材の供
給方法としては、(1)上置き添加による方法、(2)上吹き
ランスを通じて上方から溶銑に吹き付ける方法、(3)イ
ンジェクションランスを通じて溶銑内に吹き込む方法等
が採用でき、これらの何れかまたは2つ以上の方法の組
み合わせにより固体添加材の供給を行うことができる。
但し、固体添加材の供給としては、上記(1)、(2)の方法
よりも(3)の方法の方が、固体添加材の運動エネルギー
を利用して溶銑の撹拌力を高めることができるため、脱
珪効率を高める上で有利である。通常、造滓材としては
石灰粉等のCaO源が、また固酸としてはミルスケール
や焼結粉等が供給される。
【0025】図4は取鍋を用いた脱珪処理状況の一例を
示しており、この例では上吹きランスを通じて気酸(酸
素ガス)が吹き込まれ、インジェクションランスを通じ
て石灰粉等の造滓材(気送ガス:N)が吹き込まれ、
さらに必要に応じて焼結粉やミルスケール等の固酸が取
鍋上方から上置き装入できるようになっている。このよ
うな取鍋による脱珪処理の操業条件の一例を挙げると、
150ton高炉鍋で気酸供給を主体とした溶銑脱珪処
理を行う場合、上吹きランスによる気酸供給量:250
0Nm/hr、インジェクションランスによる石灰粉
(造滓材)供給量:200kg/分程度の操業条件とな
る。
【0026】また、後述する脱燐処理開始時の溶銑温度
を確保するために、必要に応じて脱珪処理において溶銑
の温度調整を行うことが好ましい。この温度調整は、脱
珪剤として固酸及び気酸を適宜選択して添加することに
より行うことができるが、上述したように取鍋内脱珪の
方が溶銑温度の調整を有利に実施することができる。
【0027】脱燐処理はSi量が0.07wt%以下の
溶銑に対してCaO源と酸素源を添加して行われる。通
常、この脱燐処理は溶銑鍋や転炉型容器等を用いて行う
が、使用する容器に特別な制約はなく、場合によって
は、同一容器内で脱珪処理と脱燐処理を順次実施しても
よい。この場合は、脱珪処理後に少なくとも一部除滓
し、しかる後脱燐処理を行う。媒溶材であるCaO源と
しては、通常は生石灰が用いられるが、これに限定され
るものではない。これら媒溶材や固酸は上置き添加やイ
ンジェクション等の方法で容器内に添加される。また、
気酸については、一般に酸素ガスをランスや底吹きノズ
ル等を用いて溶銑に吹き込み及び/又は吹き付ける等の
方法で添加される。
【0028】脱燐処理の実施方法や処理条件に特別な制
約はないが、脱燐処理を特に高効率に行うためには、以
下のような条件で脱燐処理を行うことが好ましい。 (1) 脱燐処理開始時の溶銑温度を1280℃以上(より
好ましくは、1320℃以上)とする。 (2) 脱燐処理終了時の溶銑温度を1280〜1360℃
(より好ましくは、1300〜1340℃)とする。 (3) CaO源と酸素源を脱燐処理容器内の浴面または浴
中の同一位置に供給する。 (4) 媒溶材の一部または全部として、FeO−CaO系
媒溶材を添加する。
【0029】ここで、先ず上記(1)の条件について説明
すると、本発明法のように低Siの溶銑を脱燐処理する
方法ではスラグの塩基度(=CaO/SiO)が上昇
するため融点が上がり、媒溶材の初期滓化が不十分にな
って脱燐効率の低下を招き易い。このような脱燐効率の
低下を防止するためには、脱燐処理開始時の溶銑温度を
基準値以上に設定することによって初期滓化を促進し、
早期に溶融FeOを生成させることが有効である。この
ため脱燐処理開始時の溶銑温度を1280℃以上、より
好ましくは1320℃以上とすることが好ましい。
【0030】図5は、脱燐処理を転炉型容器で行った場
合と溶銑鍋で行った場合について、脱燐処理開始時の溶
銑温度と脱燐効率との関係(脱燐処理終了時の溶銑温
度:1280〜1360℃、脱燐処理前の溶銑中Si
量:0.07wt%以下、転炉型容器:生石灰上置き添
加、溶銑鍋:生石灰上置き+一部インジェクション添
加)を示したもので、脱燐処理開始時の溶銑温度を12
80℃以上、より好ましくは1320℃以上とすること
により、特に優れた脱燐効率(燐分配Lp)が得られる
ことが判る。また、同図によれば、溶銑鍋による脱燐処
理に較べて転炉型容器による脱燐処理の方が撹拌効率が
高いため、処理時間が限られているという制約の中で、
より高い脱燐効率が得られていることが判る。
【0031】さらに、脱燐処理開始温度を上記のように
高目に設定することにより、鉄ロス(スラグ中に懸濁す
る粒鉄ロス)を低減できるため好ましい。図6は脱燐処
理開始時の溶銑温度が脱燐精錬中のスラグへの鉄ロスに
及ぼす影響を示したもので、同溶銑温度が1280℃以
上、より好ましくは1320℃以上において鉄ロスが顕
著に低減していることが判る。したがって、以上の観点
からも脱燐処理開始時の溶銑温度は1280℃以上、好
ましくは1320℃以上とすることが望ましい。
【0032】次に、上記(2)の条件について説明する
と、溶銑の脱燐効率は溶銑温度が比較的低いほうが平衡
論的には良好であるが、溶銑温度が低すぎると媒溶材の
滓化が不十分となるために脱燐効率は却って低下し、し
たがって操業上限られた時間内で脱燐するので脱燐処理
温度には脱燐効率の面から適正な範囲が存在する。この
適正温度範囲は、脱燐処理終了時の溶銑温度で1280
〜1360℃、より好ましくは1300〜1340℃で
あり、この溶銑温度で脱燐処理を終了することにより良
好な脱燐効率を確保することができる。
【0033】図7は、脱燐処理を転炉型容器で行った場
合の脱燐処理終了時の溶銑温度と脱燐効率との関係(脱
燐処理開始時の溶銑温度:1280℃以上、脱燐処理前
の溶銑中Si量:0.07wt%以下、生石灰上置き添
加)を示したもので、脱燐処理終了時の溶銑温度を12
80〜1360℃、より好ましくは1300〜1340
℃とすることにより、特に優れた脱燐効率(燐分配L
p)が得られることが判る。
【0034】さらに、上記(3)の条件については、Ca
O源と酸素源を脱燐処理容器内の浴面または浴中の同一
位置に供給すること、つまり供給された酸素源によるF
eOの生成ポイントにCaO源を同時供給することによ
り、CaO+FeOの反応による滓化が促進され、この
結果、脱燐効率が高められる。
【0035】図8は、転炉型容器を用いた脱燐処理(脱
燐処理終了時の溶銑温度:1280〜1360℃、脱燐
処理前の溶銑中Si量:0.07wt%以下)におい
て、CaO源と酸素源を容器内の浴面または浴中の別々
の位置に供給した場合(生石灰:上置き添加、気体酸
素:上吹き)と、CaO源と酸素源を容器内の浴面また
は浴中の同一位置に供給した場合(生石灰+気体酸素:
上吹き)について、脱燐処理開始時の溶銑温度と脱燐効
率との関係を示している。同図によれば、CaO源と酸
素源を容器内の浴面または浴中の同一位置に供給する方
が、CaO源と酸素源を容器内の浴面または浴中の別々
の位置に供給するよりも、相対的に優れた脱燐効率(燐
分配Lp)が得られることが判る。
【0036】また、上記(4)の条件については、媒溶材
の一部または全部にCaO源と酸素源を含むFeO−C
aO系媒溶材を用いることにより、CaO源と酸素源を
容器内の浴面または浴中の同一位置に供給する上記(3)
の場合と同等の作用効果が得られる。このFeO−Ca
O系媒溶材としては、カルシウムフェライト、カルシア
とフェライトの混合物の焼結物等を用いることができ
る。
【0037】図9は、転炉型容器を用いた脱燐処理(脱
燐処理終了時の溶銑温度:1280〜1360℃、脱燐
処理前の溶銑中Si量:0.07wt%以下)におい
て、CaO源(媒溶材)として生石灰を用い、このCa
O源と酸素源を容器内の浴面または浴中の別々の位置に
供給した場合(生石灰:上置き添加、気体酸素:上吹
き)と、媒溶材としてFeO−CaO系媒溶材(FeO
+CaOの混合焼結物)を用いた場合(媒溶材:上置き
添加、気体酸素:上吹き)について、脱燐処理開始時の
溶銑温度と脱燐効率との関係を示している。同図によれ
ば、媒溶材としてFeO−CaO系媒溶材を使用する方
が、CaO源と酸素源を容器内の浴面または浴中の別々
の位置に供給するよりも、相対的に優れた脱燐効率(燐
分配Lp)が得られることが判る。
【0038】また、図5にも示されるように、本発明法
は脱燐処理を転炉型容器を用いて行う場合に特に大きな
効果が得られる。これは、転炉型容器は取鍋やトーピー
ドに較べてフリーボードが大きいために撹拌動力を大き
くすることができ、これにより迅速な滓化とPの物質移
動が生じるためである。
【0039】上述したように本発明の溶銑精錬方法では
高い脱燐効率が得られるために、P濃度の高い鉄鉱石等
の原料を使用することによって高炉溶銑中のP濃度が高
くなっても、従来に較べて処理時間や媒溶材の増大など
の負荷を軽減することができ、このため、溶銑成分の変
動にも柔軟に対応できる。また、上記のように高い脱燐
効率が得られるため、従来法に較べ同一脱燐量における
スラグ生成量を少なくすることができ、このことによっ
ても従来に較べて溶銑成分の変動に柔軟に対応できる。
【0040】また、脱燐処理を転炉型容器を用いて行う
場合、この転炉型容器に溶銑を装入するに先立ち、当該
転炉型容器に装入すべきスクラップの全量を装入すると
容易にスクラップが溶解し、脱燐精錬された溶銑の生産
量を増加させることができる。本発明の上記精錬法にお
ける脱燐精錬、特に転炉型容器による脱燐精錬では脱燐
精錬時間を従来より短縮できるので、脱燐精錬を行う転
炉に溶銑を装入するに先立ち、装入すべきスクラップの
全量を装入することが時間的に可能となる。また、脱燐
精錬される溶銑は炭素量が高いためにスクラップを容易
に溶解するので、比較的大量のスクラップの装入が可能
である。また、従来の溶銑脱燐銑を用いたレススラグ吹
錬(脱炭)では、熱容量不足からスクラップ溶解がほと
んどできず、生産弾力性に乏しいという問題があった
が、本発明法によれば脱燐処理工程において通常レベル
のスクラップ使用量を確保することができる。
【0041】また、上記のように転炉型容器にスクラッ
プを装入する際に、装入すべきスクラップの一部または
全部として、脱燐処理工程及び/又は脱炭処理工程で生
成したスラグの磁選屑を用いることができ、これにより
溶銑温度が比較的低い場合でもスラグ生成が円滑とな
り、脱燐精錬終点でのP含有量が安定して低くなる。磁
選屑とは、脱燐処理工程、脱炭処理工程において発生し
たスラグを磁選機にかけて選別した粒鉄等を多く含む部
分(通常、Fe:約50wt%程度)である。
【0042】ところで、取鍋や転炉型容器等の精錬容器
で溶銑の脱燐精錬を行ない、この脱燐精錬された溶銑を
他の転炉型容器に移して脱炭精錬を行なう製鋼法では、
発生するスラグ量を従来に較べて減少させることができ
るが、最近の傾向として製鋼スラグ量のさらなる低減化
が望まれている。この点、例えば上述した特公平2−1
4404号公報では、脱炭精錬で発生するスラグを脱燐
精錬で使用することにより、製鋼プロセス全体で発生す
るスラグ量を減少させる技術を開示しているが、これだ
けでは最近の製鋼スラグ発生量の低減化の要求に十分応
えることはできない。
【0043】また、脱炭精錬においては、高価なマンガ
ン合金の使用を節約するためにマンガン鉱石を装入し、
これを還元して溶鋼中のMn含有量を高めることが一部
実施されているが、マンガン鉱石中のMnの溶鋼への還
元歩留りは必ずしも十分とは言えない現状にある。例え
ば、上記特公平2−14404号公報が開示する技術で
は、脱炭精錬で発生するスラグに含まれているMnOを
有効に利用することなく系外に排出している。その結
果、脱炭精錬で新たに造滓材を添加することによりスラ
グ中のMnOを希釈しており、このことが装入したマン
ガン鉱石中のMnの溶鋼への還元歩留りを低下させる要
因の1つとなっている。
【0044】このような問題に対して、本発明法に従い
Si量を十分に低減化した溶銑に対して高効率の脱燐処
理を実施することにより、溶銑を通常の粗鋼成分のP含
有量(所謂鋼の成分規格値、通常0.02wt%以下)
まで脱燐精錬し、続く脱炭処理工程においては実質的に
造滓材を装入することなく(したがって、定常的にスラ
グを排出することなく)、且つ実質的に脱炭精錬のみを
行なうことにより、製鋼スラグ発生量のさらなる低減化
と精錬効率の向上を図ることができることが判った。
【0045】以下に、このような製鋼法を適用する場合
における本発明法の好ましい実施態様を示す。 [1] 脱燐処理を下記(a)の条件で行い、次いで下記
(b)の条件で脱炭処理を行なう精錬方法。 (a)本発明法に従い、第1の精錬容器において溶銑を
粗鋼で要求されるP含有量(鋼の成分規格値)以下に脱
燐精錬する。 (b)前記脱燐精錬された溶銑を第2の精錬容器である
転炉型容器に装入し、実質的に造滓材を装入することな
く脱炭精錬する。
【0046】[2] 上記[1]の精錬方法において、脱炭処
理工程では、脱炭精錬後の溶鋼を出鋼するとともに、該
脱炭精錬中に増加したスラグ量に相当するスラグのみを
必要に応じて排出する。 [3] 上記[1]または[2]の精錬方法において、脱炭精錬を
行う転炉型容器内にマンガン鉱石を装入し、脱炭精錬終
点における溶鋼中のMn含有量を、粗鋼で要求されるM
n規格値の上限以内において高める。 [4] 上記[3]の精錬方法において、装入されるマンガン
鉱石に含まれるSiO量に応じ、所定の塩基度(Ca
O/SiO)が確保されるようCaOを含む造滓材を
装入する。
【0047】[5] 上記[1]〜[4]のいずれかの精錬方法に
おいて、脱炭精錬を行う転炉型容器内に脱燐精錬された
溶銑を装入するに先立ち、当該転炉型容器内にスラグ固
化剤を装入する。 [6] 上記[5]の精錬方法において、スラグ固化剤として
軽焼ドロマイト及び/又は生ドロマイトを用いる。 [7] 上記[1]〜[6]のいずれかの精錬方法によるチャージ
を、一連の精錬操業において80%以上の割合で実施す
る。
【0048】また、上記[1]〜[7]の実施態様は、特に脱
燐処理を転炉型容器で行なうこと、つまり異なる転炉型
容器において脱燐精錬と脱炭精錬を順次行うことが最も
効率的であり、この場合の好ましい実施態様は以下の通
りである。 [8] 上記[1]〜[7]のいずれかの精錬方法において、脱燐
処理を行なう第1の精錬容器として転炉型容器を用いる
とともに、該転炉型容器に溶銑を装入するに先立ち、当
該転炉型容器内に装入すべきスクラップの全量を装入す
る。
【0049】[9] 上記[8]の精錬方法において、装入す
べきスクラップの一部または全部として、脱燐処理工程
及び/又は脱炭処理工程で生成したスラグの磁選屑を用
いる。 [10] 上記[8]または[9]の精錬方法において、脱炭精錬
を脱燐精錬時間以内で行う。 以下、上記[1]〜[10]の精錬方法を実施する理由ないし
作用効果について説明する。
【0050】上記[1]の方法: 本発明法に従いSi量を
十分に低減化した溶銑に対して高効率の脱燐処理を実施
することにより、溶銑は粗鋼のP含有量(鋼の成分規格
値)まで容易に脱燐精錬されるので、引き続き行われる
脱炭精錬においてはPを精錬するための焼石灰等の造滓
材を装入する必要がなく、その分スラグ発生量を低減で
きるとともに、脱炭精錬を極めて簡素化でき、精錬時間
も短縮できる。したがって、全体として製鋼能率を向上
させることができる。
【0051】上記[2]の方法: 脱炭精錬においては実質
的に造滓材を装入しないが、溶銑装入に先立ち軽焼ドロ
マイト等を炉体寿命延長のために装入することがあるの
で、スラグ量がある程度増加することがある。このよう
な場合には必要に応じて増加した分の炉内スラグを排出
する。
【0052】上記[3]の方法: 高炉溶銑のMn含有量は
通常0.2〜0.3wt%であり、脱燐精錬された溶銑
のMn含有量は通常0.15〜0.25wt%である。
また、脱炭精錬においても同程度である。一方、粗鋼の
Mn含有量(規格値)は鋼種によって異なるが、低炭素
鋼では例えば0.40〜0.60wt%、高マンガン鋼
では例えば1.0〜1.2wt%である。従来の精錬法
では、脱炭処理工程においても実質的な脱燐精錬が行わ
れるため、スラグ中のFeO濃度を高くする必要があ
る。また、造滓材も添加するためスラグ中のMnO濃度
が稀釈化される。したがって、脱炭処理工程においてマ
ンガン鉱石を装入しても十分なMn歩留まりが得られ
ず、このため脱燐精錬後の出鋼時において高価なマンガ
ン合金を添加して規格値としている。
【0053】これに対して本発明の上記精錬法では、脱
炭処理工程において実質的な脱燐精錬を行う必要がない
ためにスラグ中のFeO濃度を高くする必要がなく、ま
た、実質的に新たな造滓材を添加しないためスラグ中の
MnO濃度を高く維持することができる。このためマン
ガン鉱石を装入しても効率よく還元されて高いMn歩留
まりが得られる。したがって、マンガン鉱石の装入によ
り溶鋼中のMn含有量を粗鋼のMn含有量の上限値(M
n規格値)まで高めておくことができ、より経済的な精
錬操業が可能となる。
【0054】上記[4]の方法: 通常、マンガン鉱石は1
0wt%以下のシリカ(SiO)を含んでいるので、
マンガン鉱石の装入量が多い場合にはスラグの塩基度
(CaO/SiO)が低下する。そこで、CaOを含
む造滓材を装入することにより溶銑への復燐を防止し、
併せて炉体の溶損を抑制する。 上記[5]の方法: 脱炭精錬を行う転炉型容器内に脱燐精
錬された溶銑を装入するに先立ち、転炉型容器内にスラ
グ固化剤を装入しておくと、脱燐溶銑を装入した際の溶
銑の突沸現象を抑える作用があり、安全な操業が担保さ
れる。
【0055】上記[6]の方法: スラグ固化剤としては、
煉瓦屑、焼石灰、軽焼ドロマイト、生ドロマイト等を用
いることができるが、その中でも溶解性、経済性、更に
は炉体寿命を延長できる点から軽焼ドロマイト及び/又
は生ドロマイトが最も望ましい。
【0056】上記[7]の方法: 溶銑中のMn及びマンガ
ン鉱石中のMnの還元歩留は、1日の全チャージに対す
る本発明の上記精錬法の実施チャージ数によって大きく
変化し、本発明による上記精錬法の実施チャージ数を全
チャージ数の80%以上の割合とすれば、Mn歩留まり
(転炉に装入した全Mn量(=スラグ中のMn量とマン
ガン鉱石中のMn量の合計)に対する出鋼された溶鋼中
のMn量の比(%))が、約60%以上となるため好ま
しい。なお、他のチャージ(全チャージ数の20%未満
のチャージ)については、通常の精錬法(脱燐精錬と脱
炭精錬を同一吹錬において行う精錬操業)で行ってよ
い。
【0057】上記[8]の方法: 脱燐精錬を行う転炉型容
器に溶銑を装入するに先立ち、その転炉型容器内に装入
すべきスクラップの全量を装入すると容易にスクラップ
が溶解し、脱燐精錬された溶銑の生産量を増加させるこ
とができる。本発明の上記精錬法における脱燐精錬、特
に転炉型容器による脱燐精錬では脱燐精錬時間を従来よ
り短縮できるので、脱燐精錬を行う転炉に溶銑を装入す
るに先立ち、装入すべきスクラップの全量を装入するこ
とが時間的に可能となる。また、脱燐精錬される溶銑は
炭素量が高いためにスクラップを容易に溶解するので、
比較的大量のスクラップの装入が可能である。また、従
来の溶銑脱燐銑を用いたレススラグ吹錬(脱炭)では、
熱容量不足からスクラップ溶解がほとんどできず、生産
弾力性に乏しいという問題があったが、本発明法によれ
ば脱燐処理工程において通常レベルのスクラップ使用量
を確保することができる。
【0058】上記[9]の方法: 脱燐精錬において装入す
べきスクラップの一部または全部として、脱燐精錬及び
/又は脱炭精錬で生成したスラグを磁選して得られた磁
選屑を用いることにより、溶銑温度が比較的低い場合で
もスラグ生成が円滑となり、脱燐精錬終点でのP含有量
が安定して低くなる。 上記[10]の方法: 脱炭精錬を脱燐精錬時間内において
行うことにより、脱燐精錬された溶銑を待ち時間なしに
脱炭精錬することができ、製鋼能率を向上させることが
できる。
【0059】以下に、上述した[1]〜[10]の精錬法の詳
細を、好ましい実施形態に基づいて説明する。なお、以
下は脱燐精錬を転炉型容器を用いて行う場合を例に説明
するが、脱燐精錬は取鍋、トピードまたは特別に設計し
た精錬容器で行ってもよい。通常、転炉型容器で行われ
る脱燐精錬では、溶銑装入後、ランス等から酸素を吹錬
するとともに、造滓材として所定量の焼石灰等を装入し
てCaO、SiO、FeO等を主成分とするスラグを
生成させ、溶銑からPを除去する。そして、溶銑の脱燐
精錬終了後、倒炉して出鋼口を介して取鍋に出湯を行
う。
【0060】従来の溶銑の脱燐精錬の概要(一例)を図
10に示す。この例では、転炉型容器内へのスクラップ
装入に続いて、例えば溶銑340tonを装入した後、
さらに、造滓材としての焼石灰(6ton/ch),ホ
タル石(0.6ton/ch)、必要に応じて生ドロマ
イト等を装入しながら、酸素吹錬を約13分間行う。そ
の後、溶銑とスラグの分離を行うためにリンスを3分間
程度行う。さらにその後、スラグフォーミングの鎮静化
のために約4分間待ち、しかる後出湯する。図に示す例
では脱燐精錬時間は約36分である。
【0061】本発明の上記精錬法により340ton転
炉型容器を用いて行われる脱燐精錬の概要(一例)を図
11に示す。また、この本発明による精錬と上記従来例
について、脱燐精錬前後および脱炭精錬前後での溶銑の
成分組成を表1に、精錬時間配分を表2にそれぞれ示
す。表1に示すように従来例では脱燐処理前の溶銑のS
i含有量は0.3〜0.5wt%程度であるのに対し
て、本発明による精錬では脱燐処理前の溶銑のSi含有
量は0.07wt%以下である。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】本発明による精錬では、Si含有量が0.
07wt%以下の溶銑を脱燐精錬するため、表1に示す
ようにスラグ量は従来例(40〜50kg/ton)よ
りも少なく、10kg/ton以下である。また、本発
明による精錬では、従来例より塩基度が高く且つより少
ないスラグ量で脱燐精錬を行っているにもかかわらず、
Pが通常粗鋼で要求されている成分規格値:0.02w
t%以下に精錬されている。このため続く脱炭精錬にお
いては実質的な脱燐精錬が行われる必要がない。
【0065】また、表2に示されるように本発明による
精錬では、スラグ量が少ないために脱燐精錬中における
スラグフォーミングも少なく、このため鎮静時間(従来
例では4分)を必要とせず、また、出鋼後の排滓時間を
従来の3.1分から1.0分に短縮できた。このため脱
燐精錬時間は従来の36分から29分に短縮でき、脱炭
精錬時間(29分)と同程度となった。これに対して従
来例の脱燐精錬時間は36分であり、仮に脱炭精錬時間
が上記と同じ29分であるとすると、脱炭精錬を行う転
炉型容器は約7分間の非稼働時間を生じることになる。
【0066】なお、通常の脱燐精錬においては溶銑中の
Pがスラグ中のFeOと反応してスラグに吸収され、溶
銑中のPが除去される。したがって、このような脱燐反
応を促進するためにはスラグ中のFeO濃度を高くする
必要があり、このため図11に示すように脱燐吹錬中期
に鉄鉱石やミルスケールを装入することが好ましい。ま
た、スラグフォーミングを抑制するために、図11に示
すように必要に応じて適量(例えば、0.5ton/c
h程度)のコークスが装入される。また、脱燐処理にお
いては、脱燐精錬を効率化し且つ精錬時間の短縮化を図
るため、スラグの塩基度を1.5〜5程度とすることが
好ましい。
【0067】上記脱燐精錬された溶銑は他の転炉型容器
に移され、引き続き脱炭精錬される。本発明による精錬
法において300ton転炉型容器を用いて行った脱燐
精錬の概要(一例)を図12に示す。本発明の上記精錬
法では、脱炭処理工程は基本的に脱炭精錬のみを目的と
するため、吹錬する酸素量を多くすることが好ましい。
また、溶銑のP含有量は既に規格値(0.02wt%)
以下となっているため、従来多く使用している焼石灰等
の造滓材は、一連の操業における最初のチャージ以外は
原則として装入しない。
【0068】したがって、上記脱炭精錬においてはスラ
グの増加は少ない。但し、この脱炭精錬では溶銑装入に
先立って軽焼ドロマイト等を炉体寿命延長のために装入
することがあるので、スラグ量がある程度増加すること
がある。このような場合には必要に応じて炉内スラグを
排出する。その結果、表1に示すように炉内に生成する
スラグ量は10〜30kg/ton程度であり、従来例
(25〜35kg/ton)に較べてかなり少ない。し
かも、スラグは出鋼後においても原則として炉内に残留
させるため、排出するスラグ量は従来例(20〜30k
g/ton)と較べて大きく減少する。
【0069】本発明の上記精錬法における脱炭精錬で
は、マンガン鉱石を可能な範囲で装入することが好まし
い。先に述べたように従来の精錬法では、脱炭処理工程
においても実質的な脱燐精錬が行われるため、スラグ中
のFeO濃度を高くする必要がある。また、造滓材も添
加するためスラグ中のMnO濃度が稀釈化される。した
がって、脱炭処理工程においてマンガン鉱石を装入して
も十分なMn歩留まりが得られず、このため脱燐精錬後
の出鋼時において高価なマンガン合金を添加して規格値
としている。
【0070】これに対して本発明の上記精錬法では、脱
炭処理工程において実質的な脱燐精錬を行う必要がない
ため、スラグのFeO濃度を高くする必要がなく、加え
て、実質的に新たな造滓材を添加しないためスラグ中の
MnO濃度を高く維持することができる。このため脱炭
処理工程でマンガン鉱石(例えば、Mn:約50wt
%、Fe:約10wt%以下、SiO:約10wt%
以下)を装入しても効率よく還元されて高いMn歩留ま
りが得られる。したがって、マンガン鉱石の装入により
溶鋼のMn含有量を、粗鋼のMn含有量の上限値(Mn
規格値)まで高めておくことができ、より経済的に精錬
操業が可能となる。
【0071】マンガン鉱石は高価なマンガン合金の添加
量を最小限にするために、必要な限度でなるべく多量に
装入することが好ましい。上述したように本発明の精錬
法では、脱炭精錬におけるスラグのFeO濃度が低く、
且つスラグのMnO濃度は吹錬前から高く維持されてい
るので、装入したマンガン鉱石の大部分が還元され、高
いMn歩留まりが得られる。
【0072】しかし、通常マンガン鉱石は10wt%以
下のシリカ(SiO)を含んでいるため、マンガン鉱
石の装入量が多いとスラグの塩基度(CaO/Si
)が低下するおそれがあり、この場合には焼石灰等
のようなCaOを含む造滓材を装入し、溶鋼への復燐を
防止するとともに、炉体の溶損を抑制することが好まし
い。
【0073】さらに、本発明の上記精錬法における脱炭
精錬では、脱炭精錬を行う転炉型容器内に脱燐精錬され
た溶銑を装入するに先立ち、当該転炉型容器内にスラグ
固化剤を装入することが好ましい。スラグ固化剤は脱燐
溶銑を装入した際に溶銑の突沸現象を抑える作用があ
り、これにより操業の安全性が確保される。スラグ固化
剤としては、煉瓦屑、焼石灰、軽焼ドロマイト、生ドロ
マイト等の1種または2種以上を用いることができる。
【0074】また、上記のスラグ固化剤の中でも、溶解
性、経済性、さらには炉体寿命を延長できるという点か
ら、軽焼ドロマイトと生ドロマイトが特に好ましい。す
なわち、スラグ固化剤として軽焼ドロマイト及び/又は
生ドロマイトを添加すると、これらが脱炭精錬中におい
て十分にスラグに溶解し、MgO濃度を高める作用があ
る。また、このようなスラグはスラグ自体がMgOを溶
解度限まで含有しているため、マグネシヤ(MgO)煉
瓦からなる炉体煉瓦の損耗を抑制し、炉体寿命を延長さ
せる効果がある。
【0075】さらに、脱炭精錬においては、溶鋼の出鋼
後において炉体を傾動し、炉内に残留させたスラグを炉
体内張り煉瓦に付着させる、所謂スラグコーティングを
行うことが好ましい。このスラグコーティングは炉体寿
命の延長に大きく貢献し、この結果、脱炭精錬用の転炉
型容器は脱燐精錬用の転炉型容器と同等の炉体寿命を維
持できる。
【0076】また、このスラグコーティングにより脱炭
精錬用の転炉型容器から排出されるスラグは最大でも約
10kg/tonであり、少ない場合には全く排出しな
い。既に述べた通り、脱燐精錬で発生するスラグ量も1
0kg/ton以下であり、その一部はリサイクルでき
るので、粗鋼1ton当たり外部に排出するスラグ量は
約20kg/ton以下にできる。なお、先に述べたよ
うに脱燐精錬を行うため精錬容器としては、取鍋やトピ
ード、或いは特別に設計した精錬容器であってもよい
が、反応速度が最も速く、高効率の脱燐精錬を行うこと
ができるという点で転炉型容器が最も好ましい。
【0077】また、本発明の精錬法によるチャージを、
一連の精錬操業において80%以上の割合で実施するこ
とにより、Mn歩留まりが約60%以上となるので特に
望ましい。すなわち、マンガン鉱石中のMnの還元歩留
は、1日の全チャージに対する本発明の精錬法の実施チ
ャージ数によって大きく変化し、本発明の上記精錬法の
実施チャージ数が全チャージ数の80%以上の割合にな
ると、約60%以上のMn歩留まりを得ることができる
ので好ましい。
【0078】図13は、最終の鋼成分がC:0.03〜
0.06wt%、Mn:0.30〜0.50wt%の低
炭素鋼を溶製するに際して、C:約4wt%、Mn:
0.15〜0.25wt%の脱燐溶銑を使用して脱炭精
錬を実施した一連の操業において、全チャージ数(1日
の全チャージ数:約40チャージ)に対する本発明の精
錬法の実施チャージ数の割合とMn歩留まりとの関係を
示している。なお、この脱炭精錬においてはマンガン鉱
石を2.6〜4.9kg/ton(溶銑)装入した。図
13によれば、1日の全チャージ数に対する本発明の精
錬法の実施チャージ数の割合が増加するにしたがってM
n歩留まりが向上し、特にその割合が80%以上となる
とMn歩留まりが最大(約60〜80%)となることが
判る。
【0079】本発明の精錬法の実施チャージは、全チャ
ージ数に対してどうのような態様で実施してもよい。例
えば、本発明による精錬を5チャージ連続して実施し、
次に通常の精錬操業(脱燐精錬と脱炭精錬を同一転炉型
容器で行う精錬操業であって、マンガン鉱石を装入しな
いチャージ)を5チャージ連続実施する操業を1日4回
繰り返す等の態様を採り得る。
【0080】本発明の上記精錬法では、転炉型容器によ
る脱燐精錬での精錬時間を従来より短縮できるので、脱
燐精錬を行う転炉型容器に溶銑を装入するに先立ち、装
入すべきスクラップの全量を装入することが時間的に可
能となる。また、脱燐精錬される溶銑は炭素量が高いた
めにスクラップを容易に溶解するので、比較的大量のス
クラップの装入が可能である。但し、スクラップの装入
量は熱バランスの点から溶銑量の約10wt%以内とす
ることが好ましい。スクラップの装入は脱燐精錬溶銑の
生産量を増加させる。
【0081】また、上記スクラップの一部または全部と
して、脱燐処理工程及び/または脱炭処理工程において
発生したスラグの磁選屑を用いることができる。磁選屑
とは、脱燐処理工程、脱炭処理工程において発生したス
ラグを磁選機にかけて選別した粒鉄等を多く含む部分
(通常、Fe:約50wt%程度)である。この磁選屑
は溶解したスラグを約50wt%程度含むので、溶銑温
度が低い場合でもスラグ生成が円滑となり、脱燐精錬終
点のP含有量を安定的に低減させることができる。
【0082】また、本発明の精錬法においては、脱炭精
錬は脱燐精錬時間以内において行うことができるので、
脱炭精錬溶銑は待ち時間なしに脱炭精錬を行うことがで
き、製鋼能率を向上させることができる。なお、以上述
べた本発明法において用いられる転炉型容器(脱燐処理
用の転炉型容器、脱炭処理用の転炉型容器)とは、上吹
き型転炉、底吹き型転炉、上底吹き型転炉等が含まれ、
また、これ以外に横吹き型転炉も使用可能である。
【0083】
【実施例】[実施例1]300t転炉を用いて高炉溶銑
の脱燐処理を実施した。この脱燐処理では転炉への溶銑
装入後、所定量の造滓材を添加し、上吹きランスから酸
素吹錬を行った。なお、脱燐処理は本発明例、比較例と
も同一処理時間で実施した。比較例では出銑された溶銑
(Si量:0.19wt%)を脱珪処理することなく脱
燐処理を実施し、一方、本発明例では出銑された溶銑を
脱珪処理してSi量を0.07wt%以下とした後、脱
燐処理を実施した。本発明例で行った脱珪処理では、鋳
床脱珪の場合は脱珪材として酸化鉄(ミルスケール)を
添加し、また、鍋脱珪(溶銑鍋)の場合は、処理前後の
温度調整を考慮し、脱珪材として気体酸素と固体酸素
(酸化鉄)を併用した。
【0084】表3はその結果を示しており、溶銑中のS
i量を0.07wt%以下に低減させた上で脱燐処理を
行った本発明例は、比較例に較べて脱燐効率が飛躍的に
改善されていることが判る。また、鋳床脱珪と鍋脱珪を
行うことで脱燐処理前の溶銑中Si量が十分に低減させ
た本発明例2では、特に優れた脱燐効率が得られてい
る。
【0085】
【表3】
【0086】[実施例2]低炭素鋼(C:0.1wt%
未満)、中炭素鋼(C:0.1〜0.2wt%)、高炭
素鋼(C:0.2wt%超)をそれぞれ50チャージ製
造した。溶銑は脱燐処理前に取鍋脱珪または鋳床脱珪−
取鍋脱珪によりSi:0.07wt%以下に脱珪処理し
た。製造過程における溶銑の成分組成を表4および表5
に示す。表4及び表5によれば、脱燐処理前の溶銑のS
i含有量を0.07wt%以下とすることにより、粗鋼
のP含有量は脱燐処理終了時でいずれも0.02wt%
以下に精錬されている。また、粗鋼のMn含有量はマン
ガン鉱石の装入量に応じて高めることができた。
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【発明の効果】以上述べたように本発明法によれば、脱
炭精錬前に行われる脱燐精錬の効率を従来に較べて飛躍
的に高めることができ、このため脱燐精錬の処理時間の
短縮化と精錬コストの低減化を図ることができる。ま
た、請求項8に記載の本発明法によれば、従来法に較べ
製鋼スラグ発生量のさらなる低減化が可能であり、しか
も精錬処理をより高効率に行うことができる。また、精
錬工程においてマンガン源としてマンガン鉱石を使用で
きるため、極めて経済的な製鋼が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si量が0.19wt%と0.05wt%の溶
銑をそれぞれ脱燐処理した場合の脱燐の推移を示すグラ
【図2】脱燐処理前の溶銑中のSi量が脱燐効率に及ぼ
す影響を示すグラフ
【図3】取鍋内脱珪と鋳床脱珪において、脱珪処理後の
溶銑中のSi量と脱珪酸素効率との関係を示すグラフ
【図4】取鍋内脱珪の実施状況の一例を示す説明図
【図5】本発明法における脱燐処理開始時の溶銑温度と
脱燐効率との関係を示すグラフ
【図6】本発明法における脱燐処理開始時の溶銑温度と
脱燐精錬スラグ中への鉄ロスとの関係を示すグラフ
【図7】本発明法における脱燐処理終了時の溶銑温度と
脱燐効率との関係を示すグラフ
【図8】本発明法において、CaO源と酸素源を容器内
の浴面または浴中の別々の位置に供給した場合と同一位
置に供給した場合について、脱燐処理開始時の溶銑温度
と脱燐効率との関係を示すグラフ
【図9】本発明法において、媒溶材として生石灰を用
い、且つこのCaO源と酸素源を容器内の浴面または浴
中の別々の位置に供給した場合と、CaO源+酸素源と
してFeO−CaO系媒溶材を用いた場合について、脱
燐処理開始時の溶銑温度と脱燐効率との関係を示すグラ
【図10】従来の精錬法における脱燐精錬工程の一例を
示す説明図
【図11】本発明の精錬法における脱燐精錬工程の一例
を示す説明図
【図12】本発明の精錬法における脱炭精錬工程の一例
を示す説明図
【図13】一連の操業の全チャージ数に対する本発明の
精錬法による実施チャージ数の割合とMn歩留まりとの
関係を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 敦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 井上 茂 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑にCaO源と酸素源を添加して脱燐
    処理を行うに際し、Si量が0.07wt%以下の溶銑
    に対して脱燐処理を行うことを特徴とする溶銑精錬方
    法。
  2. 【請求項2】 溶銑を脱珪処理してSi量を0.07w
    t%以下とし、しかる後、脱燐処理を行うことを特徴と
    する請求項1に記載の溶銑精錬方法。
  3. 【請求項3】 脱燐処理開始時の溶銑温度が1280℃
    以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    溶銑精錬方法。
  4. 【請求項4】 脱燐処理終了時の溶銑温度が1280〜
    1360℃であることを特徴とする請求項1、2または
    3に記載の溶銑精錬方法。
  5. 【請求項5】 溶銑の脱珪処理として、少なくとも取鍋
    内での脱珪処理を行ない、該取鍋内での脱珪処理では脱
    珪材として少なくとも気体酸素を供給し、且つ該気体酸
    素の供給を溶銑への吹き付け及び/又は溶銑内への吹き
    込みにより行うことを特徴とする請求項2、3または4
    に記載の溶銑精錬方法。
  6. 【請求項6】 溶銑の脱珪処理として、少なくとも取鍋
    内での脱珪処理を行ない、該取鍋内での脱珪処理では脱
    珪材として気体酸素及び/又は固体酸素源を供給し、こ
    れら気体酸素及び/又は固体酸素源の供給量の調整によ
    り溶銑温度の調整を行うことを特徴とする請求項2、3
    または4に記載の溶銑精錬方法。
  7. 【請求項7】 脱燐処理において、CaO源と酸素源を
    脱燐処理容器内の浴面または浴中の同一位置に供給する
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に
    記載の溶銑精錬方法。
  8. 【請求項8】 脱燐処理を下記(a)の条件で行い、次
    いで下記(b)の条件で脱炭処理を行うことを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の精錬
    方法。 (a)精錬容器において溶銑を粗鋼で要求されるP含有
    量(鋼の成分規格値)以下に脱燐精錬する。 (b)前記脱燐精錬された溶銑を他の精錬容器である転
    炉型容器に装入し、実質的に造滓材を装入することなく
    脱炭精錬する。
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