JP4848757B2 - 溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、媒溶剤の一部に酸化チタンを使用した溶銑の脱燐処理方法に関するものである。
高炉溶銑を用いる製鋼プロセスにおいては、転炉で脱炭吹錬する前に、溶銑中に含有されるSi及びPの大半を酸素ガスや固体の酸化鉄を用いて酸化除去する溶銑脱燐処理、或いは溶銑中に含有されるSを脱硫剤によって還元雰囲気下で除去する溶銑脱硫処理の、所謂、溶銑予備処理が一般的に行われている。近年、鉄鋼製品に要求される品質要求は以前にも増して厳格になり、今まで以上に低いレベルの燐濃度が求められるようになっている。この品質要求に応えるには、溶銑予備処理のうちで特に脱燐処理を行う溶銑量を従来以上に増加すると同時に、脱燐処理後の燐濃度を安定して下げることが必要である。
ところで、昨今の地球温暖化に代表される環境影響に対応すべく、製鋼工程におけるスラグ排出量の削減が必須となっている。溶銑の脱燐処理においてスラグの排出量を削減するためには、溶融して脱燐用精錬剤となる媒溶剤の投入量を低減することが必要である。溶銑脱燐処理において、媒溶剤の主体は石灰であり、上記の品質要求に応えるとともにスラグ排出量を削減するためには、石灰の使用量を低減しつつ、必要脱燐量を維持する技術、即ち、少ない石灰の使用量で効率良く脱燐処理する技術が必要となる。
脱燐処理において、滓化しない石灰は脱燐反応に寄与しないことから、石灰の使用量を削減するためには、添加した石灰の滓化を促進させることが重要となる。従来、石灰を始めとするスラグの滓化能力に優れた媒溶剤としてホタル石が知られており、脱燐処理においてもホタル石が用いられてきた。しかし近年、環境規制の強化に伴い、ホタル石に代表されるフッ素を含む媒溶剤の使用が制限されるようになり、そのため、ホタル石を使用しなくても石灰による脱燐反応を促進させる手段が検討され、多数の提案がなされている。
そのなかの1つの手段として、ホタル石の代替として他の媒溶剤を用いる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、溶銑の脱炭精錬或いは脱燐処理において、ホタル石の代替として酸化アルミニウムを含有する媒溶剤を使用する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1においてホタル石代替として提案された酸化アルミニウムは、スラグの滓化は促進させるが、スラグの粘度を高める作用を有している。このため、脱燐処理後、スラグを反応容器から排滓する際に、スラグが炉内に付着して残留する場合が発生する。これにより、次チャージの脱燐処理時に残留スラグ中の燐が溶銑に戻る、所謂「復燐」が発生し、次チャージの脱燐処理に悪影響を及ぼすという問題があった。
特開2002−309312号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑を脱燐処理するに当たり、従来に比べて少ない石灰の使用量であっても、しかも、フッ素を含有する媒溶剤を使用しなくても、従来と同等の脱燐効率で脱燐処理することができる、溶銑の脱燐処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、溶銑搬送容器或いは精錬炉を反応容器として用い、CaOを主体とする媒溶剤を添加し、酸素源として気体酸素源及び/または固体酸素源を供給して、添加したCaOを主体とする媒溶剤を滓化させてスラグとなし、溶銑に対して脱燐処理を施す、溶銑の脱燐処理方法において、前記CaOを主体とする媒溶剤は実質的にフッ素を含有せず、該CaOを主体とする媒溶剤に加えて、TiO 2 換算で3質量%以上の酸化チタンを含有する物質を媒溶剤の一部として使用し、かつ、該TiO 2 換算で3質量%以上の酸化チタンを含有する物質は実質的にフッ素を含有しないことを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1の発明において、前記スラグのTiO2 換算の酸化チタンの含有量は、10質量%以下であることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1または第2の発明において、更に、フッ素を実質的に含有しない、酸化アルミニウムを含有する物質を、媒溶剤の一部として併用することを特徴とするものである。
第4の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第3の発明において、前記スラグの酸化アルミニウムの含有量は、10質量%以下であることを特徴とするものである。
の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1ないし第の発明の何れかにおいて、前記TiO 2 換算で3質量%以上の酸化チタンを含有する物質として、砂鉄を使用することを特徴とするものである。
の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第3ないし第の発明の何れかにおいて、前記フッ素を実質的に含有しない、酸化アルミニウムを含有する物質として、廃レンガまたは造塊滓を使用することを特徴とするものである。
本発明によれば、溶銑の脱燐処理の際に、CaOを主体とする媒溶剤に加えて酸化チタンを含有する物質を媒溶剤の一部として併用するので、CaOを主体とする媒溶剤の滓化が促進されて脱燐反応が促進し、また、スラグの酸素ポテンシャルが上昇してスラグの脱燐能力が向上する。そのため、CaOを主体とする媒溶剤の使用量を削減しても、従来と同様の脱燐速度を維持することができる。また、酸化チタンは生成されるスラグの粘度を低下させる作用があり、これにより、反応容器からのスラグの排出が円滑に行われ、次チャージの脱燐処理においては、残留スラグによる復燐などによって脱燐反応が阻害されることがなく、効率良く脱燐処理することが可能となる。更に、CaOを主体とする媒溶剤と酸化チタンとからなる媒溶剤に、酸化アルミニウムを含有する物質を加えた場合には、酸化チタン及び酸化アルミニウムの両者の複合効果によってスラグの滓化及びスラグ粘度の低下が一層促進され、脱燐処理の効率が一段と向上する。
以下、本発明を具体的に説明する。
溶銑の脱燐処理は、トーピードカーや溶銑鍋などの溶銑搬送容器、或いは転炉などの精錬炉を反応容器として用い、CaOを主体とする媒溶剤と、酸素ガス及び固体の酸化鉄などの酸素源とを溶銑に添加して、溶銑中の燐を酸素源によって酸化し、生成した燐酸化物を、CaOを主体とする媒溶剤などからなるスラグ中に取り込み、溶銑中の燐を除去するという方法で行われている。
本発明では、このような溶銑の脱燐処理において、CaOを主体とする媒溶剤に加えて酸化チタンを含有する物質を、媒溶剤の一部として使用し、好ましくは、酸化チタンとともに更に酸化アルミニウムを含有する物質を媒溶剤として併用する。添加した酸化チタンを含有する物質は、CaOを主体とする媒溶剤とともに溶融し、溶銑上でスラグを形成する。同様に、添加した酸化アルミニウムを含有する物質も、CaOを主体とする媒溶剤及び酸化チタンを含有する物質とともに溶融し、溶銑上でスラグを形成する。ここで、酸化アルミニウムとはアルミナ(Al23 )である。
酸化チタン及び酸化アルミニウムは脱燐処理時のスラグ組成においては酸性酸化物として作用し、脱燐用の媒溶剤の主体であるCaOを滓化する効果に優れている。つまり、酸化チタンを含有する物質を添加することで、CaOを主体とする媒溶剤の滓化が促進されて脱燐反応が促進され、また、酸化チタンを含有する物質と酸化アルミニウムを含有する物質とを添加することで、CaOを主体とする媒溶剤の滓化がより一層促進され、脱燐反応がより一層促進される。
また、酸化チタンは、CaOを主体とする媒溶剤からなるスラグの粘度を低下させる作用がある。これにより、脱燐処理後、反応容器からのスラグの排出が容易になるという効果を奏する。このため、スラグ排出後の反応容器内のスラグ残留量は無視できるほど少なくなり、次チャージの脱燐処理においては、復燐などによって脱燐反応が阻害されることはなく、効率良く脱燐処理することができる。酸化アルミニウムを単独で添加した場合には、CaOを主体とする媒溶剤からなるスラグの粘度を高める効果があるが、酸化チタンと併用することで、スラグの粘度をむしろ低下させる。つまり、酸化チタンに酸化アルミニウムを加えることで、スラグの粘度も低下し、復燐を防止して効率良く脱燐処理することができる。
反応容器内で生成するスラグ中の酸化チタンの量は、TiO2 換算で10質量%以下が好適である。10質量%を超えると、脱燐反応に必要なCaOを薄めてしまうことになり、脱燐能力を低下させてしまう。一方、スラグの粘度低下などの上記の効果を確実に享受するためには、酸化チタンの量はTiO2換算で1質量%以上が好ましい。ここで、TiO2 換算の意味は、酸化チタンにはTiO、TiO2 、Ti23 、Ti35 の形態があり、これらのTi分をTiO2 に換算して表示するという意味である。
反応容器内で生成するスラグ中の酸化アルミニウム量は、10質量%以下が好適である。10質量%を超えると、脱燐反応に必要なCaOを薄めてしまうことになり、脱燐能力を低下させてしまう。一方、スラグの滓化促進などの上記の効果を確実に享受するためには、酸化アルミニウム量は3質量%以上が好ましい。
酸化チタンを含有する物質としては、一般に入手可能な、砂鉄、イルメナイト鉱石(チタン鉄鉱)、ルチル鉱石(金紅石)などを使用することができる。酸化チタンを高濃度に含有する鉄鉱石も使用することができる。これらの中でも、砂鉄は発生形態として1mm以下の微粒であり、反応容器内で迅速に溶融することから、特に好適である。更に、砂鉄を添加することで、スラグ中の酸化鉄濃度が上昇することを知見した。これにより、スラグの酸素ポテンシャルが上昇し、スラグの脱燐能力が向上する。そのため、CaO量を低減しても、スラグの脱燐能力は維持される。つまり、CaOを主体とする媒溶剤の使用量を少なくしても、従来と同様の脱燐速度を維持することができる。因みに、砂鉄は、産地によって品位が異なるが、TiO2 を5質量%〜8質量%程度含有し、高いものでは13質量%程度含有するものもある。イルメナイト鉱石及びルチル鉱石は、通常TiO2を30質量%以上含有している。
本発明において、酸化チタンを含有する物質とは、TiO2 換算で3質量%以上の酸化チタンを含有する物質であり、含有量がそれ以下の物質は酸化チタンを含有する物質とは定義しない。酸化チタンの含有量がTiO2換算で3質量%未満の物質を添加しても、前述した酸化チタンの効果が得られにくく、効果を得ようとすると添加量が増えてスラグ量が増大し、脱燐反応に必要なCaOを薄めてしまい、却って脱燐能力を低下させてしまうからである。従って、不純物として酸化チタンが不可避的に混入した物質は、本発明における酸化チタンを含有する物質には含まれない。
酸化アルミニウムを含有する物質としては、市販のカルシウムアルミネート系媒溶剤、アルミ灰、ボーキサイトなどの酸化アルミニウム含有鉱石、などを使用することができる。また、造塊滓、使用済みの廃レンガなどの酸化アルミニウムを高濃度に含有する製鋼工程の副産物も使用することができる。特に、酸化アルミニウムを50質量%以上含有する廃レンガは、脱燐処理時の添加量が少なくて済むことから、好適である。酸化アルミニウム濃度の高い廃レンガは、廃棄時の処理が困難であることを勘案すると、脱燐処理に再利用することは、環境対策の観点からも有利である。尚、造塊滓とは、溶鋼を収容し搬送する取鍋から発生するスラグ及び連続鋳造設備のタンディッシュから発生するスラグの総称である。
CaOを主体とする媒溶剤とは、CaOを含有し、本件の意図する脱燐処理ができるものであれば特にCaOの含有量に制約はないが、通常は、CaO単味またはCaOを50質量%以上含有し、必要に応じてその他の成分としてAl23 、CaF2 などの滓化促進剤を含有するものである。但し、スラグを廃棄処分などにする際に、スラグからのフッ素の溶出量を抑えて環境を保護する観点から、ホタル石などのフッ素含有物質は媒溶剤として使用しないことが好ましい。フッ素が不純物成分として不可避的に混入した物質については使用しても構わない。当然、酸化チタンを含有する物質及び酸化アルミニウムを含有する物質も、この観点からフッ素を含まないものであることが好ましい。
CaOを主体とする媒溶剤としては、安価でしかも脱燐能に優れることから生石灰粉を使用することが好ましい。また、脱燐処理後の溶銑を次工程の転炉で脱炭精錬した際に発生するスラグ(「脱炭滓」ともいう)を、CaOを主体とする媒溶剤として使用することもできる。脱炭滓は、CaOを主成分としており、しかも燐含有量が少ないことから、CaOを主体とする媒溶剤として十分に利用することができる。
CaOを主体とする媒溶剤の添加方法は、上置き装入しても、また溶銑中にインジェクションしても、或いはこれらを併用しても構わない。更に、溶銑浴面に向けて吹き付けて添加しても構わない。酸化チタンを含有する物質及び酸化アルミニウムを含有する物質の添加方法も、どの方法であっても構わないが、前述した酸化チタンの効果及び酸化アルミニウムの効果を迅速に発揮させるためには、CaOを主体とする媒溶剤と同一箇所から混合して添加することが好ましい。
脱燐処理に使用する反応容器は特別な制約はなく、溶銑鍋や装入鍋などの取鍋型容器、トーピードカー、転炉型容器などを用いることができる。脱燐処理では、脱燐反応を推進するために、溶銑に酸素源として気体酸素源または固体酸素源を供給する。この気体酸素源としては、酸素ガスまたは酸素含有ガスを使用し、固体酸素源としては、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄を使用する。このうち気体酸素源については、ランスによる上吹きや溶銑中へのインジェクション或いは底吹きなどの任意の方法により、また、固体酸素源については、上置き装入やインジェクションなどの任意の方法により、それぞれ溶銑中に供給する。気体酸素源を使用した場合には、酸化反応熱によって溶銑温度は上昇し、固体酸素源を使用した場合には、固体酸素源自体の顕熱及び潜熱が酸化反応熱よりも大きいために溶銑温度は降下する。従って、気体酸素源と固体酸素源との使用比率は、溶銑の処理前後の温度に応じて設定する。また、脱燐反応を効率的に行うためには溶銑を撹拌することが好ましく、この撹拌としては、一般に浸漬ランスや炉底に埋め込まれたノズルなどを利用したガス撹拌を行えばよい。
このようにして溶銑の脱燐処理を行うことにより、CaOを主体とする媒溶剤の使用量を削減しても、従来と同様の脱燐速度を維持して脱燐処理することができる。その結果、発生するスラグを削減することが可能となり、省資源及び廃棄スラグの減少など、工業上有益な効果がもたらされる。また、酸化チタンは、生成されるスラグの粘度を低下させる作用があり、これにより、反応容器からのスラグの排出が円滑に行われ、次チャージの脱燐処理においては、残留スラグによる復燐などによって脱燐反応が阻害されることはなく、効率良く脱燐処理することが可能となる。更に、フッ素含有物質を媒溶剤として使用しなくても、従来と同等の脱燐量を維持することが可能であり、この場合には、環境へのフッ素漏洩の対策を採らないままでスラグを廃棄処分することができる。
高炉から出銑した溶銑を高炉鋳床で脱珪処理した後、300トン容量の転炉に搬送し、この転炉で合計9回の脱燐処理を実施(本発明例1〜9)した。脱燐処理前の溶銑の燐濃度は0.12質量%に統一し、脱燐処理後の溶銑の目標燐濃度は0.020質量%以下とした。
脱燐処理条件としては、脱燐処理前後の溶銑温度を1270℃〜1350℃の範囲になるように気体酸素源と固体酸素源との供給比を調整した。脱燐用の媒溶剤としては、ホタル石などのフッ素源を含まないCaO主体の生石灰を使用し、これに、砂鉄(TiO2 含有量:7.5質量%)、イルメナイト鉱石(TiO2含有量:45質量%)または高Ti鉄鉱石(TiO2 含有量:18質量%)の何れか1種を、媒溶剤として加えて上置き装入した。そして、酸素ガスを上吹きランスで供給するとともに、鉄鉱石を主体とした固体酸素源を上置き装入した。酸素ガスの送酸条件は15000〜25000Nm3/hrとした。酸素原単位は、脱珪に必要な酸素を除いて12Nm3 /tとした。
また、比較例として、媒溶剤としてTiO2 源を使用せず、生石灰だけを添加した場合(比較例1〜3)、生石灰とホタル石とを併用した場合(比較例4)についても脱燐処理を行った。比較例1〜4のその他の脱燐処理条件は本発明例に準じて行った。
脱燐処理後にスラグを採取して分析し、スラグ組成を調査した。その結果、代表的なスラグ構成成分であるMgO、MnOの濃度は、本発明例1〜9及び比較例1〜4ともに、それぞれ1〜5質量%、1〜10質量%の範囲であった。また、スラグ中の酸化鉄濃度は、全ての比較例で10質量%以下であったのに対し、砂鉄を使用した本発明例1,2,3,5,6,8,9では15〜20質量%であった。表1に、本発明例1〜9及び比較例1〜4における脱燐処理前後の溶銑成分並びに操業条件を示す。
Figure 0004848757
表1に示すように、TiO2 源を併用した本発明例1〜9において、比較例4のホタル石を併用した場合と同様に、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は、0.020質量%以下になった。これに対して、比較例1〜3では、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は、0.020質量%より高く、十分に脱燐されていないことが確認できた。
尚、比較例1〜4でもスラグ中にTiO2 及びAl23 が存在するが、これは、媒溶剤から持ち来されたものではなく、溶銑搬送容器に付着していたスラグからの持ち越し、並びに、高炉溶銑に含まれていたTiが脱燐処理によって酸化して生成したものである。
脱燐用の媒溶剤として、ホタル石などのフッ素源を含まないCaO主体の生石灰に、砂鉄(TiO2 含有量:7.5質量%)を上置き装入して加え、更に、酸化アルミニウム含有物質として造塊滓(Al23 含有量:30質量%)または廃レンガ(Al23 含有量:40質量%)のどちらか1種を上置き装入して加えた以外は、実施例1の本発明例と同様の操業条件で、合計7回の脱燐処理を実施(本発明例10〜16)した。また、比較例として、媒溶剤としてTiO2源を使用せず、生石灰と造塊滓とを併用した場合(比較例5)についても脱燐処理を行った。比較例5のその他の脱燐処理条件は本発明例10〜16に準じて行った。
脱燐処理後にスラグを採取して分析し、スラグ組成を調査した。その結果、代表的なスラグ構成成分であるMgO、MnOの濃度は、本発明例10〜16及び比較例5ともに、それぞれ1〜5質量%、1〜10質量%の範囲であった。表2に本発明例10〜16及び比較例5における脱燐処理前後の溶銑成分並びに操業条件を示す。
Figure 0004848757
表2に示すように、酸化アルミニウム源を併用した本発明例10〜16においては、上記の「実施例1」で説明した比較例4のホタル石を併用した場合と同様に、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は、0.020質量%以下になった。これに対して、TiO2 源を使用せず酸化アルミニウム源のみを使用した比較例5では、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は、0.020質量%より高く、十分に脱燐されていないことが確認できた。
尚、比較例5でもスラグ中にTiO2 が存在するが、これは、媒溶剤から持ち来されたものではなく、溶銑搬送容器に付着していたスラグからの持ち越し、並びに、高炉溶銑に含まれていたTiが脱燐処理によって酸化して生成したものである。
高炉から出銑した溶銑を高炉鋳床で脱珪処理した後、300トン容量のトーピードカーに収容し、このトーピードカーで合計6回の脱燐処理を実施(本発明例17〜22)した。脱燐処理前の溶銑の燐濃度は0.12質量%に統一し、脱燐処理後の溶銑の目標燐濃度は0.030質量%以下とした。
脱燐処理条件としては、粉鉄鉱石の焼結鉱を主体とする固体酸素源を浸漬ランスから溶銑中にインジェクションして行い、脱燐用の媒溶剤としては、ホタル石などのフッ素源を含まないCaO主体の生石灰を使用し、これに、酸化チタン源として砂鉄(TiO2 含有量:7.5質量%)、または高Ti鉄鉱石(TiO2含有量:18質量%)の何れか1種を加えてインジェクションした。更に、酸化アルミニウム含有物質として造塊滓(Al23含有量:30質量%)を加えてインジェクションした脱燐処理も実施した。固体酸素源の送酸条件は300〜400kg/minとし、酸素原単位は、脱珪に必要な酸素を除いて6〜7Nm3/tとした。脱燐処理前後の溶銑温度を1250〜1350℃に調整するために上吹きランスから酸素ガスを供給した。
また、比較例として、媒溶剤としてTiO2 源を使用せず、生石灰だけを添加した場合(比較例6〜8)、生石灰とホタル石とを併用した場合(比較例9)、生石灰と造塊滓とを併用した場合(比較例10)についても脱燐処理を行った。比較例6〜10のその他の脱燐処理条件は本発明例17〜22に準じて行った。
脱燐処理後にスラグを採取して分析し、スラグ組成を調査した。その結果、代表的なスラグ構成成分であるMgO、MnOの濃度は、本発明例17〜22及び比較例6〜10ともに、それぞれ1〜5質量%、1〜10質量%の範囲であった。表3に、本発明例17〜22及び比較例6〜10における脱燐処理前後の溶銑成分並びに操業条件を示す。
Figure 0004848757
表3に示すように、TiO2 源を併用した本発明例17〜21において、比較例9のホタル石を併用した場合と同様に、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は、0.030質量%以下になった。また、TiO2源に加えて更に酸化アルミニウム源を併用した本発明例22においても、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は、0.030質量%以下になった。
これに対して、比較例6〜8及び比較例10では、脱燐処理後の溶銑中燐濃度は、0.030質量%より高く、十分に脱燐されていないことが確認できた。尚、脱燐不良となった比較例6〜8及び比較例10では、脱燐処理後のスラグが十分に溶融せず、粘度の高い様子が認められた。
尚、比較例6〜10でもスラグ中にTiO2 が存在し、比較例6〜9でもスラグ中にAl23 が存在するが、これは、媒溶剤から持ち来されたものではなく、溶銑搬送容器に付着していたスラグからの持ち越し、並びに、高炉溶銑に含まれていたTiが脱燐処理によって酸化して生成したものである。

Claims (6)

  1. 溶銑搬送容器或いは精錬炉を反応容器として用い、CaOを主体とする媒溶剤を添加し、酸素源として気体酸素源及び/または固体酸素源を供給して、添加したCaOを主体とする媒溶剤を滓化させてスラグとなし、溶銑に対して脱燐処理を施す、溶銑の脱燐処理方法において、前記CaOを主体とする媒溶剤は実質的にフッ素を含有せず、該CaOを主体とする媒溶剤に加えて、TiO 2 換算で3質量%以上の酸化チタンを含有する物質を媒溶剤の一部として使用し、かつ、該TiO 2 換算で3質量%以上の酸化チタンを含有する物質は実質的にフッ素を含有しないことを特徴とする、溶銑の脱燐処理方法。
  2. 前記スラグのTiO2 換算の酸化チタンの含有量は、10質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱燐処理方法。
  3. 更に、フッ素を実質的に含有しない、酸化アルミニウムを含有する物質を、媒溶剤の一部として併用することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶銑の脱燐処理方法。
  4. 前記スラグの酸化アルミニウムの含有量は、10質量%以下であることを特徴とする、請求項3に記載の溶銑の脱燐処理方法。
  5. 前記TiO 2 換算で3質量%以上の酸化チタンを含有する物質として、砂鉄を使用することを特徴とする、請求項1ないし請求項の何れか1つに記載の溶銑の脱燐処理方法。
  6. 前記フッ素を実質的に含有しない、酸化アルミニウムを含有する物質として、廃レンガまたは造塊滓を使用することを特徴とする、請求項3ないし請求項の何れか1つに記載の溶銑の脱燐処理方法。
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