JP2005272883A - 鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶銑に、転炉での脱燐、溶銑鍋での機械攪拌を伴う脱硫、転炉での脱炭をこの順で行って溶鋼を製造する際に、溶銑鍋に存在する脱燐スラグを除滓せずに機械攪拌しながら脱硫しても、充分にS濃度を低下する。
【解決手段】 転炉2に収容された溶銑1にCaO含有粉体を酸素とともに上吹きすることによって極低流動性の脱燐スラグ3を形成する。転炉2を傾転して溶銑6を溶銑鍋4に移しても、脱燐スラグ3の略全部は転炉2内にとどまるため、溶銑鍋4に存在する脱燐スラグ3は極僅かとなり、除滓する必要がなくなるため、直ちに、機械攪拌装置7により機械攪拌しながら脱硫しても、充分に脱硫できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鋼の製造方法に関する。具体的には、本発明は、転炉を用いて溶銑を脱燐してから、転炉を傾転して脱燐された溶銑を溶銑鍋に移して機械攪拌しながら脱硫し、次いで脱硫された溶銑を脱炭炉に移して脱炭することによる鋼の製造方法に関する。
従来、鋼は、例えば特許文献1等に記載されているように、高炉から出銑された溶銑をまず脱硫してから脱燐した後に脱炭するプロセスにより、製造されてきた。このように脱硫してから脱燐することは、脱硫及び脱燐はいずれもC濃度が高い溶銑段階で行うほうが有利であるとともに、脱硫反応は高温であるほど、一方脱燐反応は低温であるほどそれぞれ進行し易いことから、熱力学的に理に適っているからである。
しかしながら、このような従来のプロセスでは、脱硫スラグが多少なりとも脱燐に持ち越されてしまうことや、脱燐剤にも僅かながらSが含まれていること等の理由により、脱燐の際に溶銑のS濃度が上昇してしまい、その後に行われる二次精錬での脱硫負荷を増大させ、製鋼工程全体としての処理コストを上昇させる原因となっていた。
また、このような従来のプロセスでは、S含有量が多いスクラップを原料として有効に活用することも難しい。S含有量が多いスクラップを溶解できるのは、脱硫以降のプロセス、すなわち脱燐又は脱炭の段階であるため、この段階でS含有量が多いスクラップを投入して溶銑のS濃度を上昇させてしまうと、やはり、その後の二次精錬での脱硫負荷を増加させることになるからである。
そこで、特許文献2には、例えば転炉を用いて溶銑にスクラップ溶解とともに脱燐を行った後、転炉を傾転して脱燐された溶銑を脱硫設備に移して脱硫し、次いで脱硫された溶銑を脱炭炉に移して脱炭する発明が開示されている。この特許文献2の段落番号0015には、脱硫を脱燐の後に行うと、溶銑の温度が低下するために脱硫の面では不利になるが、脱硫の際に必要に応じて撹拌を行ってスラグ及びメタルの接触を向上すれば溶銑の温度が多少低下していても実用上問題なく脱硫できる旨、記載されている。
また、特許文献3には、高炉鋳床で脱珪された溶銑を転炉に収容してCaOを添加して脱燐し、転炉を傾転して脱燐された溶銑を溶銑鍋に移して機械攪拌しながら脱硫し、次いで脱硫された溶銑を転炉に移して脱炭する発明が開示されている。そして、特許文献3の段落番号0024には、この発明にしたがって脱燐した後に溶銑鍋に収容された脱燐スラグを除滓せずに脱硫すれば、脱燐スラグに含有される粒鉄のロス防止による歩留り向上や温度降下の防止等の多大なメリットが得られる旨、記載されている。
特開昭62−290815号公報 特開平7−138628号公報 特開2002−327208号公報
しかしながら、特許文献2、3により開示された発明では、転炉を傾転して脱燐された溶銑を転炉から溶銑鍋に移す際に、溶銑に随伴して脱燐スラグの一部(転炉で生成された脱燐スラグ全量の約20%程度(本明細書では特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味する))が溶銑鍋に不可避的に流入することに対する対策を講じなければならないため、製鋼コストの上昇は避けられない。
すなわち、特許文献2の段落番号15に、脱硫の際の攪拌を強化すれば脱燐後に脱硫を行っても実用上問題ない旨記載されている。これは、換言すると、特許文献2に記載された発明を実施するには、脱硫の際の攪拌の強化(例えば、脱硫剤の使用量の増加や脱硫処理の時間延長等)を行う必要があることを示している。このため、この発明では、脱硫剤原単位の上昇や処理能率の低下は避けられず、製鋼コストが上昇してしまう。
一方、特許文献3の段落番号0035、0036及び図5には、実施例として、溶銑鍋内に存在する脱燐スラグを除滓せずに脱硫を行った場合と、除滓して脱硫を行った場合とを比較した結果が記載されている。これによると、脱燐スラグを除滓してから脱硫を行う場合の脱硫剤の使用量を、脱燐スラグを除滓せずに脱硫を行う場合の脱硫剤の使用量の半分程度に低減しても高い脱硫率を維持できたこと、換言すれば、脱燐スラグの除滓を省略すると脱硫剤の量を倍増して脱硫を強化して行う必要があることが、わかる。このため、この発明でも、脱硫剤の使用量の増加による製鋼コストの上昇は避けられない。なお、これとは異なり、脱燐スラグを除滓してから脱硫を行うこととしてみても、脱燐スラグに含有される粒鉄ロスによる鉄歩留まりの低下、溶銑の温度の低下さらには脱燐スラグの除去に伴う時間ロス等を不可避的に伴うため、やはり、製鋼コストの上昇は避けられない。
本発明の目的は、転炉を用いて溶銑を脱燐してから、転炉を傾転して脱燐された溶銑を溶銑鍋に移して機械攪拌しながら脱硫し、次いで脱硫された溶銑を脱炭炉に移して脱炭することにより鋼を製造する際に、脱硫を強化して行わざるを得ないことに起因した製鋼コストの上昇を解消することができる鋼の製造方法を提供することである。
このような課題を解決するためには、転炉を傾転することにより溶銑鍋に流入する溶銑に随伴して溶銑鍋へ流入する脱燐スラグの量を、例えば、転炉で生成された脱燐スラグ全量の約10%以下程度に低減することが最も確実であると考えられる。しかしながら、特許文献2、3により開示された発明では、溶銑鍋へ流入する脱燐スラグの量をこのように低減することはできない。
すなわち、特許文献2の段落番号0008には脱りん炉により冷材を溶解させる旨記載されていることからも理解されるように、特許文献2に記載された発明は転炉を用いて溶銑脱りんを行うことを前提とする。また、特許文献2では特許文献1に記載された発明をその従来技術としているが、この特許文献1に記載された発明が用いる脱燐剤は、特許文献1の5頁左下欄に「・・・従来の溶銑脱燐法の場合のように脱燐剤を粉状近くにまで細かく粉砕しておく必要がなく・・・」と記載されているとともに、その2頁左上欄に従来の脱燐法として「インジェクション」又は「ブラスティング(吹き付け)」が記載されていることからみて、特許文献1に記載された発明で用いる脱燐材はインジェクションやブラスティングに適さない大粒径であることは明らかである。さらに、特許文献2の段落番号0013では脱硫後に脱燐する特許文献1に記載された発明の問題として脱燐能の低下を挙げ、段落番号0014ではその対策として塩基度を上げる旨記載されているが、その具体的な手段については言及していないことから、特許文献2に記載された発明も、特許文献1に記載された発明と同様に、粉状の脱燐剤を用いていないことが理解できる。これらの理由により、特許文献2には明記こそされていないが、当業者の技術常識にしたがえば、特許文献2に記載された発明において溶銑脱りんのために転炉に投入する脱りん材は粒径が5〜30mm程度のCaO塊体である。
一方、特許文献3にも明記されていないものの、特許文献3の段落番号0017には「・・・溶銑予備処理工程での転炉を使用した脱燐・・・」と記載されているとともに、段落番号0022及び図2には実験に使用した上底吹き転炉2とともに塊状の副原料と解される炉内投入物が記載されていることからみて、この特許文献3に記載された発明もまた、脱燐材として粒径が5〜30mm程度のCaO塊体を用いるものである。
このCaO塊体を脱燐材として用いて、例えばP:0.020%程度まで充分に脱燐するために配合塩基度CaO/SiO2を高めて脱燐スラグの脱燐能を高めようとしても、CaO塊体の滓化が伴わないために実塩基度CaO/SiO2は1.4程度にしか達しない。このため、このように低い実塩基度CaO/SiO2の脱燐スラグにより所望の脱燐能を確保するためには(%T.Fe)を15%以上と高くしなければならなくなり、これにより、脱燐スラグの融点が低下して脱燐スラグの流動性が極めて高まってしまう。
このため、特許文献2、3により開示された発明では、脱燐スラグの流動性が極めて高まってしまうために、転炉を傾転することにより溶銑鍋に流入する溶銑に随伴して溶銑鍋へ流入する脱燐スラグの量を、例えば、転炉で生成された脱燐スラグ全量の約10%以下に低減することは不可能であり、溶銑鍋へ脱燐スラグが溶銑とともに流入することに起因した製鋼コストの上昇は避けられない。
そこで、本発明者らはさらに検討を重ねた結果、転炉を用いて溶銑を脱燐してから、転炉を傾転して脱燐された溶銑を溶銑鍋に移して機械攪拌しながら脱硫する際に、脱燐剤としてCaO塊体を用いるのではなく、粒径が3mm未満のCaO粉体を脱燐剤として酸素とともに上吹きすれば、脱燐により生成される脱燐スラグの流動性を、溶銑鍋への出銑のために傾転された転炉からの流出量を、CaO塊体を用いた従来の発明における流出量の半分以下となる程度に著しく低下させることができるため、この後に転炉を傾転させても、この脱燐スラグの大部分(例えば、転炉で生成された脱燐スラグ全量の約90%超)を転炉内に残存させて脱燐された溶銑を溶銑鍋へ出銑できるため、この溶銑に随伴して転炉から溶銑鍋へ流入する脱燐スラグの量を顕著に低減できることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
本発明は、転炉に装入された溶銑に粒径が3mm未満のCaO含有粉体を酸素とともに上吹きすることによって、溶銑鍋への出銑のために傾転された転炉からの流出量が、この溶銑にCaO塊体を添加して該転炉を傾転した場合の転炉からの流出量の半分以下となる程度の流動性を有する脱燐スラグを形成しながらこの溶銑を脱燐し、転炉を傾転することによって、脱燐された溶銑の溶銑鍋への移載と脱燐スラグの90%以上をこの転炉内に残存させることによる除滓とを同時に行い、この溶銑鍋へ移載された溶銑に対する除滓を行うことなくこの溶銑を機械攪拌しながら脱硫した後、脱硫された溶銑を転炉へ移して脱炭することを特徴とする鋼の製造方法である。
この本発明に係る鋼の製造方法では、脱燐の際に、脱燐スラグ中のフリーCaO量を全CaO量から減じた量を全SiO2量で除することにより得られる実塩基度(CaO/SiO2)を1.4以上とすることが望ましい。
また、本発明に係る鋼の製造方法では、脱燐の際に、脱燐スラグの組成を、燐スラグ中のフリーCaO量を全CaO量から減じた量を全SiO2量で除することにより得られる実塩基度(CaO/SiO2):1.8以上、(%Al23):4〜10%、及び(%T.Fe):5〜15%とすることが望ましい。
この本発明に係る鋼の製造方法における「CaO含有粉体」とは、CaO単体又はCaO化合物さらにはこれらの混合物を有し、CaO含有量が50%以上であって、粒径が3mm未満の粉体を意味しており、上吹酸素をキャリアーガスとしてCaO単体又はCaO化合物さらにはこれらの混合物を転炉に収容された溶銑へ吹き付けることが可能である点においても「CaO含有塊体」とは区別される。「CaO含有粉体」は、具体的には、焼成生石灰の篩下や粉砕品が例示されが、これら以外に、ドロマイトやアルミナや鉄鉱石の混合物や、カルシウム・アルミネートのような化合物も例示される。
本発明に係る鋼の製造方法によれば、転炉を用いて溶銑を脱燐してから転炉を傾転して脱燐された溶銑を溶銑鍋に移して機械攪拌しながら脱硫する際に、CaO含有粉体を酸素とともに上吹きするために、溶銑鍋への出銑のために傾転された転炉からの流出量が、CaO塊体を用いた従来の発明における流出量の半分以下となる程度の流動性を有する脱燐スラグを形成することができる。このため、脱燐された溶銑を溶銑鍋へ排出する際に脱燐スラグの90%以上をこの転炉内に残存させたままで、脱燐された溶銑を溶銑鍋へ出銑できる。すなわち、転炉を傾転することによって、脱燐された溶銑の溶銑鍋への移載と脱燐スラグの大部分を転炉内に残存させることによる除滓とを同時に行うことができる。したがって、本発明によれば、溶銑に随伴して転炉から溶銑鍋へ流入する脱燐スラグの量を顕著に低減できる。
したがって、溶銑鍋から脱燐スラグを除滓する必要は全くなくなるため、溶銑鍋内の脱燐スラグを除滓することなく、機械攪拌(KR脱硫処理)しながら脱硫することによって、充分にS濃度を低下することができる。
このため、脱燐スラグを溶銑鍋から除滓することに起因した、脱燐スラグに含有される粒鉄ロスが生じることによる鉄歩留まりの低下、溶銑の温度の低下、操業時間のロスさらには熱エネルギーのロスをいずれも抑制できる。
また、本発明によれば、脱燐後脱硫前にS含有量が多い安価なスクラップ(鉄源)を添加すれば、この添加後に脱硫が行われることとなるために、溶銑のS濃度の上昇に起因した二次精錬での脱硫負荷の増大を防止できる。このため、本発明によれば、安価なスクラップ(鉄源)を用いて低燐低硫鋼を安価に製造することができる。
以下、本発明に係る鋼の製造方法を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の製造方法を模式的に示す説明図である。
図1に示すように、本実施の形態では、溶銑1に対して、脱燐、脱硫及び脱炭をこの順に行うことによって、鋼を製造する。そこで、本実施の形態におけるこれらの処理を以下に説明する。
[脱燐]
溶銑1を転炉2に収容し、収容された溶銑1にCaO含有粉体を酸素とともに上吹きすることによって、脱燐スラグ3を生成しながら、溶銑1を脱燐する。
転炉2で上吹酸素とともにCaO含有粉体を溶銑1へ吹き付けて脱燐すると、生成した脱燐スラグ3の流動性は著しく低下するにも関わらず、処理後の溶銑1のPを0.020%以下に低減することができる。
ここで、脱燐スラグ3中のフリーCaO量を全CaO量から減じた量を全SiO2量で除することにより得られる脱燐スラグ3の実塩基度(CaO/SiO2)を1.4以上とすること、より具体的には、上述した実塩基度(CaO/SiO2):1.8以上、(%Al23):4〜10%、及び(%T.Fe):5〜15%とすることにより、P:0.020%以下となる程度まで十分に脱燐することができるとともに、脱燐スラグ3の溶銑鍋4への流出量を著しく低減することができるため、望ましい。
脱燐材としてCaO塊を用いて脱燐すると、このCaO塊と溶銑1とが直接反応して脱燐が進行するのではなく、この溶銑1の浴面を浮遊する脱燐スラグ3と溶銑との反応のみにより脱燐が進行する。このため、例えばP:0.020%以下まで脱燐を進行するには、脱燐スラグ3が高い流動性を維持することが不可欠となる。このため、脱燐後に転炉2を傾転して溶銑1を溶銑鍋4へ移す際に、生成された脱燐スラグ3全量のうちの約10%程度に達する大量の脱燐スラグ3が、溶銑1に随伴して溶銑鍋4へ流入してしまう。
これに対し、本実施の形態では、溶銑1にCaO含有粉体を酸素とともに上吹きするため、上吹き酸素と溶銑1との衝突部である火点5(2300℃程度)にCaO含有粉体が直接供給される。そして、供給されたCaO含有粉体は、この火点5で生成したFeO、MnO、SiO2等と反応して、CaO−FeO−MnO−SiO2系溶融スラグを形成する。ただし、このCaO−FeO−MnO−SiO2 系溶融スラグの実塩基度CaO/SiO2は極めて高い。
そして、このCaO−FeO−MnO−SiO2系溶融スラグが火点5から離れる間に溶銑1に含まれるPと反応して脱燐しながら(トランジトリー反応)、溶銑1の浴面上に浮遊している脱燐スラグ3に順次取り込まれていく。なお、CaO−FeO−MnO−SiO2系溶融スラグは、溶銑1の浴面上に浮遊している脱燐スラグ3に取り込まれた後も、流動性を有している間は、溶銑1に含まれるPと反応して脱燐する(パーマネント反応)。
また、火点5で生成した高温かつ溶融状態のCaO−FeO−MnO−SiO2系溶融スラグは、火点5から十分離れた溶銑1の浴面上へ移動する間に溶銑1と同程度の温度にまで冷却されて流動性が急激に低下するとともに、溶銑1の浴面上に浮遊した脱燐スラグ3に取り込まれた後も脱燐スラグ3に含まれるFeOと、溶銑1に含まれるCやSiとが反応するため、FeO濃度が徐々に低下する。
その結果、脱燐後の浴面上に存在する脱燐スラグ3は、実塩基度CaO/SiO2が高くなるとともにFeO濃度が低下するために融点が上昇し、これにより、流動性が著しく低下する。
このように、本実施の形態では、トランジトリー反応によっても脱燐を十分に進行することができるため、脱燐スラグ3の流動性が極めて低下するにもかかわらず、P:0.020%以下の低燐鋼レベルまで十分に脱燐することができる。
なお、脱燐スラグ3に含まれるFeOやAlは,脱燐スラグの融点を低下してパーマネント反応を促進するため、脱燐をより進行する作用を奏する。しかし、脱燐スラグ3中の(%T.Fe)が15%を超えたり、(%Al)が10%を超えると、脱燐スラグ3の流動性が必要以上に高まり、脱燐後に転炉2を傾転して溶銑1を溶銑鍋4へ移す際に溶銑1に随伴して溶銑鍋4中へ流入する脱燐スラグ3の量が増加し、その後に機械攪拌を行いながら脱硫する際の脱硫率が低下する。
また、火点5の近傍におけるCaO粉体の滓化を促進するために、CaO粉体にAl粉体や酸化鉄粉体を混合した混合粉体を溶銑に吹き付けることも有効である。AlやFeOがCaOと反応して脱燐スラグ3の融点を低下するため、トランジトリー反応やパーマネント反応も含む全ての脱燐反応を促進でき、脱燐を効率的に行うことができるからである。
さらに、 Al含有プリメルトフラックスを脱燐処理を開始する前の溶銑1の浴面上に予め添加しておくことも有効である。これにより、火点5で生成したCaO−FeO−MnO−SiO2 系溶融スラグが浴面上へ浮上する間に流動性を失っても、Al含有プリメルトフラックスへ取り込まれることにより流動性をある程度取り戻すことができ、これにより、パーマネント反応を促進することができるとともに、CaO粉体を酸素とともに上吹きする際のスピッティングの発生を抑制することもできるからである。
ただし、脱燐の温度(1250〜1400℃)で溶融、軟化するフラックスのほうが効果は大きい。このようなフラックスとして、例えば二次精錬で生成する取鍋スラグ等が例示される。なお、表1には、取鍋スラグの代表的な組成例を示す。
Figure 2005272883
[脱硫]
脱燐を終了した後、転炉1を傾転することにより、脱燐された溶銑6を溶銑鍋4へ移す。この際、上述したように本実施の形態では脱燐スラグ3の流動性が極めて低下しているため、脱燐スラグ3の大部分(例えば、転炉で生成された脱燐スラグ全量の約90%以上)は転炉1の内部に残存し、溶銑鍋4には流入しない。脱燐スラグ3の残り(例えば、転炉で生成された脱燐スラグ全量の約10%未満)が脱燐された溶銑6に随伴して溶銑鍋6内へ流入する。このように、本実施の形態によれば、脱燐後に溶銑鍋4へ脱燐された溶銑6に随伴して流入する脱燐スラグ3の量は、特許文献2、3に記載された発明に比較して、著しく低減される。
このように、本実施の形態によれば、脱硫前に脱燐された溶銑6の表面に存在する脱燐スラグ3の量を著しく低減でき、しかも僅かに存在する脱燐スラグ3は殆ど流動性が無いため、脱燐スラグ3を被覆する脱硫スラグ(図示しない)を生成するための脱硫剤の量も少なくて済む。このため、脱硫に際し、溶銑鍋4における脱燐スラグ3の除滓作業を行う必要がない。
このため、本実施の形態では、溶銑鍋4内に流入した脱燐スラグ3を除滓することなく、この溶銑6に機械攪拌装置7を用いて機械攪拌を行いながら脱硫を行う。機械攪拌及び脱硫は、いずれも慣用される手法及び条件にしたがって行えばよい。例えば、脱硫剤としてCaO粒、ソーダ灰、Al灰等が例示される。機械攪拌を行いながら脱硫することは、当業者にとっては周知であるため、脱硫に関するこれ以上の説明は省略する。
[脱炭]
溶銑鍋4による脱硫を終了した後に脱硫スラグを除滓し、溶銑8を転炉9へ移して脱炭する。脱炭は通常の慣用される手法及び条件で行えばよく、当業者にとっては周知であるため、脱炭に関するこれ以上の説明は省略する。
本実施の形態では、このようにして溶鋼を製造する。
本実施の形態によれば、脱燐を行われた溶銑6を転炉2から溶銑鍋4へ移してから機械攪拌を行いながら脱硫することにより鋼を製造する際に、転炉2を傾転しても脱燐スラグ3の大部分は転炉2内に残存したままで脱燐された溶銑6が溶銑鍋4に流入するとともに、この溶銑6に随伴して溶銑鍋4に極少量流入した脱燐スラグ3の流動性も著しく低下しているため、溶銑鍋4から脱燐スラグ3を除滓する必要がない。
このため、溶銑鍋4における溶銑6の除滓作業を行うことなく、機械攪拌装置7を用いて機械攪拌(KR脱硫処理)を行うことによって、充分な脱硫処理を行うことができる。また、脱燐スラグ3を除滓せずに脱硫を行っても、溶銑鍋4内に存在する脱燐スラグ3の量はCaO塊を用いて脱P処理した場合よりも極めて少ないため、脱燐スラグ3を被覆して復燐を抑制する脱硫スラグを生成するために必要となる脱硫剤の量も、極めて少なくて済む。
このため、本実施の形態によれば、溶銑鍋4における脱燐スラグ3の除滓作業に起因した、脱燐スラグ3に含有される粒鉄ロスが生じることによる鉄歩留まりの低下、溶銑6の温度の低下、操業時間のロスさらには熱エネルギーのロスをいずれも抑制できる。
また、以上説明した本実施の形態において、脱燐後脱硫前にS含有量が多い安価なスクラップを鉄源として添加すれば、スクラップを添加した後に脱硫が行われることとなるために、溶銑6のS濃度の上昇に起因した二次精錬での脱硫負荷の増大を防止できる。このため、安価なスクラップを鉄源として用いて低燐低硫鋼を安価に製造することができる。
さらに、本発明を実施例を参照しながらより具体的に説明する。
図1に示すように、溶銑1(Si:約0.3%、Mn:約0.25%、P:約0.10%、S:約0.025%;約1340℃)約250トンを上底吹型転炉2へ装入した。
そして、上吹ランス10から酸素を22000Nm3/hrの流量で約6分間溶銑1に吹き付け、底吹羽口11からN2ガスを攪拌ガスとして50Nm3/minの流量で溶銑1中へ吹き込みながら、溶銑1を脱燐した。
この脱燐では、酸化鉄(スケール)2トンを吹錬初期に炉上ホッパ(図示しない)から添加し、脱燐剤として粒径が2.83mm未満の生石灰粉(CaO粉体、配合塩基度:1.4〜3.2)2.2〜5.1トン、又は、この生石灰粉2.2〜5.1トンと、Al23粉1.2トン以下との混合粉体を上吹き酸素とともに溶銑1へ吹き付けた。なお、一部試験では、塊生石灰約3.2トンを吹錬前に添加した。
脱燐を終了した後に、転炉2を傾転することにより脱燐された溶銑6を溶銑鍋4へ移した。そして、溶銑鍋4中に極少量存在する脱燐スラグ3を除滓せずに引き続いて機械攪拌装置7を用いて、粒径が0.1〜5.66mmの生石灰粒1.8トン、ソーダ灰0.17トン、Al灰0.15トンを脱硫剤として添加した後に機械攪拌装置7のインペラーを溶銑6中へ浸漬して約120rpmで12分間回転させて脱硫するKR脱硫処理を行った。なお、一部試験では、溶銑6の浴面に存在する脱燐スラグ3を除去した。
試験結果を表2にまとめて示す。表2におけるNo.1 は脱燐剤としてCaO塊体を用いた従来例であり、No.2〜21は本発明例である。なお、表2におけるBは実塩基度を示す。また、表2の評価の欄における「×」印は得られた溶鋼のP:0.020%超又はS:0.0020%超であることを示し、「○」印は得られた溶鋼のP:0.020%以下かつS:0.0020%以下であることを示し、「◎」印は得られた溶鋼のP:0.010%以下かつS:0.0018%以下であることを示す。
Figure 2005272883
表2に示すように、No.2〜4の本発明例によれば、実塩基度を1.4〜1.8に上昇させるとともに(%T.Fe)を5〜15%に制御することにより、十分に脱燐を進行させてP:0.020%以下とすることができた。また、生成した脱燐スラグ3の流動性は極めて低く、転炉2を傾転して脱燐された溶銑6を溶銑鍋4中へ排出しても脱燐スラグ3は殆ど溶銑鍋4へは流入しなかった。転炉2内に残存した脱燐スラグ3の量は、生成された脱燐スラグ3全量のうちの約90%に達するものであった。なお、転炉2内に残存した脱燐スラグ3の量は、以下の方法で計算により推定した。
(a)全脱りんスラグ量Wpを、SiO2バランス(物質収支計算)から計算により求めた。
(b)脱硫スラグ量Wsを、溶銑鍋へ流出した脱りんスラグ量Wppと脱硫剤量Wsfとの和として求めた。
(c)脱りんスラグ流出量Wppを、SiO2バランスから、Wpp×(%SiO2)pp=(Wsf+Wpp)×(%SiO2)sとして計算により求めた。ただし、(%SiO2)ppは脱りんスラグ中のSiO2濃度であり、(%SiO2)sは脱硫スラグ中SiO2濃度である。
(d)転炉2に残存した脱りんスラグ量を、(全脱りんスラグ量Wp−脱りんスラグ流出量Wpp)として求めた。
(e)転炉2への脱りんスラグの残存率を、{(全脱りんスラグ量Wp−脱りんスラグ流出量Wpp)/脱りんスラグ流出量Wpp}×100(%)として求めた。
なお、No.2〜4では実塩基度を1.8超に高めることはできなかった。
また、さらに脱燐率を高めるために溶銑1にAl23源を添加して脱燐スラグ3の(%Al23)を高めた。Al23源の添加法として、(1)例えば二次精錬後の取鍋スラグ等のAl23含有物質を溶銑1の浴面上へ塊のまま添加すること、又は(2)上吹酸素とともに溶銑1へ吹き付けるCaO粉体にAl23粉を混合して添加することを用いた。
表2のNo.10〜20に示すように、これらいずれの手段によっても脱燐スラグ3の(%Al23)を4〜10%に高めることができ、これにより、CaO粉体の滓化をさらに促進して実塩基度を、(T.Fe):5〜15%で1.8以上と高めることができ、P:0.010%以下と脱燐率を向上できた。しかも、実塩基度を高めたことにより脱燐スラグ3の(%Al23)を4〜10%としても脱燐スラグ3の流動性はほとんど高まらず、溶銑6を溶銑鍋4へ排出した際に随伴して流出する脱燐スラグ3の量も極少ないままであった。
なお、表2のNo.5〜9に示すように、実塩基度が1.8以上、(%T.Fe)が5〜15%の範囲であっても、脱燐スラグ3の(%Al23)が10%を超えると脱燐スラグ3の流動性が高まり、溶銑6とともに溶銑鍋4へ流入する脱燐スラグ3の量も増加するため、脱硫後のS濃度が高まってしまう。
また、表2のNo.10〜15に示すように、実塩基度が1.8以上、(%Al23)が10%以下であっても、(%T.Fe)が15%を超えると脱燐スラグ3の流動性が高まり、溶銑6とともに溶銑鍋4へ流入する脱燐スラグ3の量も増加してしまい、脱硫後のS濃度が高まってしまう。
また、CaO含有粉体を酸素とともに上吹して脱燐を行って脱燐スラグ3の流動性が高まって溶銑鍋4への流入量が増えた条件((%Al23)>10%又は(%T.Fe)>15%)では、その後の機械攪拌による脱硫(KR脱硫)での脱硫率がやや悪化した。ただし、処理後のS濃度:0.0020%以下は達成されており、低硫鋼を溶製するには問題ないレベルである。脱硫後の脱硫スラグをEPMAにより観察した結果、これは、流動性が高い脱燐スラグ3を覆うように造粒された脱硫剤の一部が、脱硫に寄与し難くなったことに起因していることが判明した。
さらに、表2のNo.13、21に示すように、実塩基度が2.3、(%Al23)が7%、(%T.Fe)が11%である場合、脱燐スラグ3を溶銑鍋4から除滓しても、脱燐スラグ3を除滓しなかった場合と脱硫率はほぼ同等だった。これは、溶銑鍋4に流入した脱燐スラグ3の流動性が低いため、脱燐スラグ3が溶銑鍋4へ流入した量が少なかったとともに脱硫剤が殆ど脱燐スラグ3と反応しなかった(脱燐スラグ3の周りに脱硫剤が付着しなかった)ことに起因していると考えられる。なお、No.23では脱燐スラグ3を除滓したため、溶銑6の温度低下が約5℃大きくなり、鉄歩留まりも約0.15%低下してしまった。
[比較例1]
(1)高炉から出銑された溶銑(Si:0.3%、Mn:0.20%、P:0.1%、S:0.025%;1340℃)250トンを、事前にスクラップを25トン装入してある転炉へ装入し、上吹ランスから酸素を22000Nm3/hrの流量で6分間溶銑に吹き付け、底吹羽口からN2ガスを50Nm3/minの流量で溶銑に吹き込むとともに、酸化鉄(スケール)2トン、生石灰(粒径が5〜30mmのCaO塊)約3.2トン(配合実塩基度は約2.0)を添加することにより、溶銑を脱燐した。
脱燐後に転炉を傾転することにより溶銑鍋へ脱燐された溶銑を排出したが、生成した脱燐スラグのうちの約20%に達する大量の脱燐スラグが溶銑鍋に流入してしまった。溶銑鍋における溶銑の組成はC:3.7%、Mn:0.15%、P:0.020%、S:0.025%で、温度は1325℃だった。なお、溶銑鍋における脱燐スラグの実塩基度は1.3と低く、(T.Fe)は17%であった。
(2)溶銑鍋へ流入した脱燐スラグを除滓せずに、脱硫剤として、生石灰1.8トン、ソーダ灰0.17トン、Al灰15トンを添加して、脱燐された溶銑をKR脱硫処理した。このようにして、C:3.7%、Mn:0.08%、P:0.021%、S:0.0060%、温度1270℃の、S含有量が極めて高い溶鋼となった。脱硫の際に脱燐スラグ3が多量に存在したために脱硫が進行し難くなったためと考えられる。
(3)溶銑鍋の脱硫スラグを除滓した後、上吹ランスから酸素を50000Nm3/hrの流量で15分間溶銑に吹き付け、底吹羽口からCO2ガスを10〜40Nm3/minの流量で溶銑に吹き込むとともに、Mn鉱石(Mn含有率55%)0.7トン、生石灰約1.5トン、珪石0.4トン(配合塩基度:約3.7)を添加することによって、脱炭した。これにより、C:0.1%、Mn:0.20%、P:0.015%、S:0.0065%、温度:1650℃という、S濃度が高い溶鋼を得た。このため、この溶鋼はさらに二次精錬で脱硫しなければならなかった。
[本発明例1]
(1)高炉から出銑された溶銑(Si:0.3%、Mn:0.19%、P:0.1%、S:0.024%;1342℃)250トンを、事前にスクラップを25トン装入してある転炉へ装入し、上吹ランスから酸素を22000Nm3/hrの流量で6分間溶銑に吹き付け、底吹羽口からN2ガスを50Nm3/minの流量で溶銑に吹き込むとともに、酸化鉄(スケール)2トンを吹錬初期に炉上ホッパーから添加するとともに、生石灰(粒径がが2.83mm未満のCaO粉体)約3.2トン(配合実塩基度は約2.0)を上吹き酸素とともに溶銑へ吹き付けることにより、溶銑を脱燐した。
脱燐後に転炉を傾転することにより溶銑鍋へ脱燐された溶銑を排出したが、脱燐スラグは殆ど溶銑鍋中へ流出しなかった。溶銑鍋中の脱燐された溶銑の組成は、脱燐後に、C:3.7%、P:0.019%、S:0.023%で、温度は1322℃であった。なお、溶銑鍋の脱燐スラグの実塩基度は2.0であり、(T.Fe)は9%であった。
(2)溶銑鍋へ極少量排出された脱燐スラグを除去せずに、脱燐された溶銑をKR脱硫処理した。脱硫剤として、生石灰1.8トン、ソーダ灰0.17トン、Al灰0.15トンを添加した。このようにして、C:3.7%、Mn:0.09%、P:0.019%、S:0.0017%、温度1264℃の溶銑を得た。脱燐スラグが溶銑鍋中へ殆ど排出されなかったため、KR脱硫が十分に進行したためと考えられる。
(3)溶銑鍋中の脱硫スラグを除去した後、溶銑に、上吹ランスから酸素を50000Nm3/hrの流量で15分間溶銑に吹き付け、底吹羽口からCO2ガスを10〜40Nm3/minの流量で溶銑中へ吹き込んだ。Mn鉱石(Mn含有率55%)0.7トン、生石灰約1.5トン、珪石0.4トン(配合塩基度:約3.7)を添加することにより、脱炭した。これにより、C:0.1%、Mn:0.20%、P:0.015%、S:0.0019%、温度1652℃の溶鋼を得た。
[本発明例2]
(1)高炉から出銑された溶銑(Si:0.3%、Mn:0.21%、P:0.1%、S:0.026%;1335℃)250トンを、事前にスクラップを25トン装入してある転炉へ装入し、上吹ランスから酸素を22000Nm3/hrの流量で6分間溶銑に吹き付け、底吹羽口からN2ガスを50Nm3/minの流量で溶銑に吹き込むとともに、酸化鉄(スケール)2トン、取鍋スラグ(CaO45%、SiO:8%、T.Fe:7%、Al19%)3トンを、吹錬初期に炉上ホッパーから添加するとともに、生石灰(粒径が2.83mm未満のCaO粉体)約2.9トン(配合実塩基度は約2.3)を上吹き酸素とともに溶銑へ吹き付けることにより、溶銑を脱燐した。
脱燐後に溶銑鍋へ脱燐された溶銑を排出したが、脱燐スラグは殆ど溶銑鍋中へ流出しなかった。溶銑鍋中の脱燐された溶銑の組成は、脱燐後に、C:3.7%、P:0.008%、S:0.025%で、温度は1302℃であった。なお、溶銑鍋の脱燐スラグの実塩基度は2.2であり、(T.Fe)は12%、(Al)は7%であった。
(2)溶銑鍋へ排出された脱燐スラグを除去せずに、脱燐された溶銑をKR脱硫処理した。脱硫剤として、生石灰1.8トン、ソーダ灰0.17トン、Al灰0.15トンを添加した。このようにして、C:3.7%、Mn:0.10%、P:0.008%、S:0.0015%、温度1260℃の溶銑を得た。脱燐スラグが溶銑鍋中へ殆ど排出されなかったため、KR脱硫が十分に進行したためと考えられる。
(3)溶銑鍋中の脱硫スラグを除去した後、溶銑に、上吹ランスから酸素を50000Nm3/hrの流量で15分間溶銑に吹き付け、底吹羽口からCO2ガスを10〜40Nm3/minの流量で溶銑中へ吹き込んだ。Mn鉱石(Mn含有率55%)0.7トン、生石灰約1.5トン、珪石0.4トン(配合塩基度:約3.7)を添加することにより、脱炭した。これにより、C:0.1%、Mn:0.20%、P:0.006%、S:0.0017%、温度1655℃の溶鋼を得た。
[本発明例3]
(1)高炉から出銑された溶銑(Si:0.3%、Mn:0.20%、P:0.1%、S:0.025%;1331℃)250トンを、事前にスクラップを25トン装入してある転炉へ装入し、上吹ランスから酸素を22000Nm3/hrの流量で6分間溶銑に吹き付け、底吹羽口からN2ガスを50Nm3/minの流量で溶銑に吹き込むとともに、酸化鉄(スケール)2トンを吹錬初期に炉上ホッパーから添加するとともに、粒径が2.83mm未満のCaO粉体とAl粉の混合粉体(Al/CaO=3.17約4.4トン(配合塩基度:約2.3)を上吹き酸素とともに溶銑へ吹き付けることにより、溶銑を脱燐した。
脱燐後に溶銑鍋へ脱燐された溶銑を排出したが、脱燐スラグは殆ど溶銑鍋中へ流出しなかった。溶銑鍋中の脱燐された溶銑の組成は、脱燐後に、C:3.7%、P:0.008%、S:0.023%で、温度は1320℃であった。なお、溶銑鍋の脱燐スラグの実塩基度は2.3であり、(T.Fe)は12%、(Al)は8%であった。
(2)溶銑鍋へ排出された脱燐スラグを除去せずに、脱燐された溶銑をKR脱硫処理した。脱硫剤として、生石灰1.8トン、ソーダ灰0.17トン、Al灰0.15トンを添加した。このようにして、C:3.7%、Mn:0.10%、P:0.008%、S:0.0014%、温度1260℃の溶銑を得た。脱燐スラグが溶銑鍋中へ殆ど排出されなかったため、KR脱硫が十分に進行したためと考えられる。
(3)溶銑鍋中の脱硫スラグを除去した後、溶銑に、上吹ランスから酸素を50000Nm3/hrの流量で15分間溶銑に吹き付け、底吹羽口からCO2ガスを10〜40Nm3/minの流量で溶銑中へ吹き込んだ。Mn鉱石(Mn含有率55%)0.7トン、生石灰約1.5トン、珪石0.4トン(配合塩基度:約3.7)を添加することにより、脱炭した。これにより、C:0.1%、Mn:0.20%、P:0.006%、S:0.0016%、温度1657℃の溶鋼を得た。
本実施の形態の製造方法を模式的に示す説明図である
符号の説明
1 溶銑
2 転炉
3 脱燐スラグ
4 溶銑鍋
6 溶銑
7 機械攪拌装置

Claims (3)

  1. 転炉に装入された溶銑に粒径が3mm未満のCaO含有粉体を酸素とともに上吹きすることによって、溶銑鍋への出銑のために傾転された転炉からの流出量が、該溶銑にCaO塊体を添加して該転炉を傾転した場合の転炉からの流出量の半分以下となる程度の流動性を有する脱燐スラグを形成しながら該溶銑を脱燐し、前記転炉を傾転することによって、脱燐された溶銑の前記溶銑鍋への移載と前記脱燐スラグの90%以上を該転炉内に残存させることによる除滓とを同時に行い、該溶銑鍋へ移載された溶銑に対する除滓を行うことなく該溶銑を機械攪拌しながら脱硫した後、脱硫された溶銑を転炉へ移して脱炭することを特徴とする鋼の製造方法。
  2. 前記脱燐の際に、前記脱燐スラグ中のフリーCaO量を全CaO量から減じた量を全SiO2量で除することにより得られる実塩基度(CaO/SiO2)を1.4以上とする請求項1に記載された鋼の製造方法。
  3. 前記脱燐の際に、前記脱燐スラグの組成を、該脱燐スラグ中のフリーCaO量を全CaO量から減じた量を全SiO2量で除することにより得られる実塩基度(CaO/SiO2):1.8以上、(%Al23):4〜10%、及び(%T.Fe):5〜15%とする請求項1又は請求項2に記載された鋼の製造方法。
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