JP6642739B2 - 溶銑の脱りん方法 - Google Patents

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Description

本発明は、安価に効率良く脱りん処理を行うことができる溶銑の脱りん方法に関する。
近年、鋼材に対する要求が高度化し、低りん鋼に対する需要が増加している。現在、溶銑の脱りん処理は、熱力学的に有利な溶銑段階の低温条件において処理する方法によって、広く一般に行われている。溶銑の脱りん処理を行う装置としては上底吹き転炉が適している。上底吹き転炉では、脱りん処理に必要な酸化剤として、固体酸化剤に比べて熱ロスの少ない気体酸素を、上吹きランスから高速で溶銑に吹き付けることができる。
脱りん剤としては、石灰石(CaCO3)を焼成した生石灰(CaO)が主に用いられている。しかしながら、石灰石は生石灰よりかなり安価であるため、できれば脱りん剤として石灰石を用いたい。しかしながら、石灰石は900℃程度で以下の(1)式の吸熱反応により熱分解し、溶銑温度が低下して多大な熱ロスを生じてしまうという問題がある。
CaCO3=CaO+CO2 ・・・(1)
但し、[Si]濃度が高かったり溶銑温度が高かったりスクラップ配合率が低かったりする場合には、溶銑の脱りん処理における熱裕度が高くなるため、安価な石灰石を使用できる。
ところで、溶銑の脱りん処理は、溶銑段階の低温条件において行われるため、脱りん剤として使用されるCaOの滓化を促進させることが重要である。融点が2300℃以上と非常に高いCaOを滓化するには蛍石(CaF2)の使用が効果的である。ところが、蛍石を使用した場合にはCaOの滓化により発生したスラグがフッ素(F)を含有するため、スラグの再利用先が大幅に制限されるなどの弊害が大きい。そのため、蛍石を用いないCaO滓化促進方法が開発されてきた。
その方法として、例えば、脱りん処理後のスラグの塩基度(CaO質量濃度/SiO2質量濃度)が1.8以上2.6以下となるようにし、精錬剤の少なくとも一部をカルシウムフェライトとして、粒径が3mm以下の生石灰を上吹きランスより酸素と共に溶銑へ吹き付ける方法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では高価なカルシウムフェライトを併用しないと、極低[P]濃度([P]≦0.015質量%)にまで溶銑を脱りんすることができない。そのため、多くのコストがかかってしまうという問題点がある。
また、蛍石やカルシウムフェライトを使用せずにCaOを効率よく滓化して低りん鋼を溶製する方法として、上吹きランスよりCaO粉、Al23粉およびFe23粉を含有する混合粉を、酸素ガスジェットと共に[Si]濃度が0.15質量%以下の溶銑の浴面へ吹き付ける方法が開示されている(特許文献2参照)。この方法では、Al23やFe23がCaOと反応して低融点のCaO−Al23−FeO融体を容易に形成し、脱りん反応が極めて効率良く進行する。
しかしながら、CaO粉、Al23粉、Fe23粉それぞれの単価は低いが、ミキサー等で混合粉を作成するには多くのコストがかかってしまう。また、[Si]濃度が0.15質量%超の溶銑に対してこの方法を適用すると、脱りん処理における吹錬前半に脱珪反応が急速に進んでSiO2が多量に生成するため、脱りん処理における吹錬前半のスラグ塩基度(CaO添加量/(SiO2生成量+SiO2添加量))が低下して、スロッピングの発生する頻度が急増してしまう。混合粉中の各粉体の配合比率が予め決まっているため、溶銑条件に応じて柔軟に対応することもできない。
一方、吹錬前半にCaO含有カバースラグを形成し、そのカバースラグの塩基度(重量比:CaO/SiO2)が0.4〜1.5で、その後、CaO粉とAl23粉およびFe23粉の混合粉とを上吹きする溶銑脱りん方法が開示されている(特許文献3参照)。この方法では、脱りん処理における吹錬前半に低融点のカバースラグを形成させることで、スピッティング量を低減できるとしている。しかしながら、脱りん処理における吹錬前半は低温で推移するため、塩基度が0.4〜1.5となるように塊状のCaOを添加すると、吹錬前半に塊状のCaOは溶解しきれず脱りん利用効率が低くなってしまう。また、溶銑の脱りん処理後もスラグ中に未溶解CaOが残留してしまい、脱りんスラグを路盤材等へ有効活用する際に問題となる。それを回避するために、低融点のカルシウムフェライトを用いてカバースラグを形成させる場合は、前述したようにコストが多くかかるという問題が生じる。
以上のように従来技術においては、カルシウムフェライトを用いたり混合粉を作成したりすると、コストが多くなってしまうという問題点がある。また、混合粉を用いると、脱りん処理条件に応じて処理方法を調整することも難しい。
特開2010−1536号公報 特許第3525766号公報 特許第3687433号公報
本発明は前述の問題点を鑑み、脱りん処理により低りん溶銑を安価に溶製できる溶銑の脱りん方法を提供することを目的とする。
本発明を完成させるにあたって、CaO粉、Al23粉等からミキサー等で混合粉を作成するには多くのコストがかかることから、本発明者らは、2基以上の粉体供給用ディスペンサーを用いれば、混合粉を作成するよりコスト及び手間が抑えられることに着目した。また、2基以上の粉体供給用ディスペンサーを用いることにより、各粉体の組成比を吹錬中に変更することができるため、溶銑の脱りん処理での吹錬中の粉体の混合組成を適切に選択することが可能になり、処理条件に応じて合理的な処理が行えることにも着目した。そこで、処理条件に応じての吹錬中の粉体の混合組成の変化の影響を、詳細に調査した。その結果、特に、吹錬中の装入塩基度(CaO装入量/(SiO2装入量+溶銑中の[Si]の酸化によるSiO2生成量):質量比)の推移に応じて、上吹き粉体のCaOおよびAl23の混合組成を適正化することで、スロッピングを回避し、且つ低りん溶銑([P]≦0.020質量%)を溶製できる方法を見出した。
本発明は以下の通りである。
(1)転炉と、前記転炉に酸素ガスを吹き込む上吹きランスと、前記上吹きランスに前記酸素ガスを供給するガスラインと、前記上吹きランスから前記酸素ガスとともに吹き付けるCaO源が保持された第1のディスペンサーと、前記上吹きランスから前記酸素ガスとともに吹き付けるAl23源が少なくとも保持された第2のディスペンサーと、を有する脱りん処理装置を用いた溶銑の脱りん方法であって、
前記転炉へ溶銑を装入し、底吹き羽口からN2ガスを前記溶銑へ0.1〜0.6Nm3/min/tの流量で吹き込んで攪拌しつつ、前記上吹きランスから1.0〜2.5Nm 3 /min/tの流量の酸素ガスと共に、吹錬開始から吹錬終了まで間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から50〜80%の量の酸素ガスを吹き付けるまでの間は、前記第1のディスペンサーに保持されたCaO源のみを装入塩基度が0.8〜1.2となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は前記上吹きランスから前記酸素ガスと共に、前記第2のディスペンサーに保持された、Al23源を含む混合粉であって、Al23の割合((Al23質量)/(CaO質量+CaCO3質量×0.56+Al23質量)×100)が5〜20質量%である混合粉のみを吹き付けるか、または、前記第1のディスペンサーに保持されたCaO源と前記第2のディスペンサーに保持されたAl23源との混合粉であって、Al23の割合が5〜20質量%である混合粉を吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.5以上とし、吹錬時間を6〜10分とすることを特徴とする溶銑の脱りん方法。
(2)吹錬開始前または吹錬開始後30秒以内に、最大粒径10mm以下の細粒CaO源を、装入塩基度0.4未満相当分だけ添加し、吹錬開始から吹錬終了まで間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から50〜80%の量の酸素ガスを吹き付けるまでの間は、前記CaO源のみを前記添加した細粒CaO源と合わせて装入塩基度が0.8〜1.2となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は前記上吹きランスから前記酸素ガスと共に前記混合粉を吹き付けて、前記添加した細粒CaO源と合わせて処理末期の装入塩基度を1.5以上とすることを特徴とする上記(1)に記載の溶銑の脱りん方法。
本発明によれば、脱りん処理により低りん溶銑を安価に溶製できる溶銑の脱りん方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る脱りん処理装置を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明では、高炉から出銑された溶銑もしくはさらに脱珪した溶銑([Si]濃度:0.1〜0.7質量%)に対して、上底吹き転炉内において、上吹きランスを通じて気体酸素と共に少なくとも精錬剤の一部を粉体として溶銑へ吹き付けて脱りん処理を行う。本実施形態では、上吹き酸素ラインに繋がっている、「CaO源が保持されたディスペンサー」と「少なくともAl23源が保持されたディスペンサー」との少なくとも2基以上の粉体供給用ディスペンサーを有する脱りん処理装置を用いて、溶銑の脱りん処理を行う。
図1は、本実施形態に係る脱りん処理装置を説明するための図である。
図1に示すように、転炉1内には、前述した溶銑2が保持されており、脱りん処理を行う際には、酸素ガスライン4を経由して上吹きランス3から酸素を吹き付ける。また、脱りん処理を行う際には、CaO源(CaO、、CaCO3、等)の粉体が保持されているディスペンサー5と、それとは別にAl23源(主にAl23)の粉体が保持されているディスペンサー6とから、処理条件に適したタイミングで、かつ、適切な混合比率で粉体を供給する。但し、各粉体の粒径は運搬効率上、最大粒径が1mm以下とすることが好ましい。また、CaO源の粉体は石灰石(CaCO3)または生石灰(CaO)のどちらかもしくはそれらの混合粉とすることが好ましく、Al23源の粉体はバン土頁岩またはボーキサイトが好ましい。なお、以下の説明では、第1のディスペンサー5はCaO源の粉体を保持し、第2のディスペンサー6はAl23源の粉体を保持しているものとするが、第2のディスペンサー6は、CaO源の粉体とAl23源の粉体とを混合したものを保持していてもよい。このように第2のディスペンサー6は、Al23源を少なくとも保持しているものとする。
また、CaO源はCaOとCaCOの合計質量濃度が80%以上とし、生石灰や石灰石のほか、ドロマイトを一部混合したもの等が適当である。CaOとCaCOの合計質量濃度が80%以上とする理由は、80%未満とするとCaOやCaCO以外の成分が多く混じることになり、脱りん処理中にスラグフォーミングが過大になってスラグが炉口からあふれ出たり、或いは脱燐不良になったりする危険が高まるからである。Al23源はAl質量濃度が50%以上とし、ボーキサイトのほか、Al質量濃度が高いスラグや耐火物の廃材などでもよい。Al質量濃度が50%以上とする理由は、50%未満とするとAl以外の成分が多く混じることになり、脱りん処理中にスラグフォーミングが過大になってスラグが炉口からあふれ出たり、或いは脱燐不良になったりする危険が高まるからである。なお、Al質量濃度が50%以上と比較的に低くしてもよい理由は、CaO源の使用量と比べてAl源の使用量が相対的に少ないため、脱りん処理に及ぼす影響が小さいからである。
脱りん処理で吹錬が開始されると、第1のディスペンサー5からCaO源がガスライン7に供給され、CaO源が上吹きランス3に運搬される。このときの運搬用ガス(キャリアーガス)にはN2が用いられることが多いが、CO2やArでも良く、酸素でも良い。CaO源が上吹きランス3に運搬されると、酸素ガスライン4から供給される酸素ガスとともに、溶銑2へCaO源が吹き付けられる。なお、N2を用いる場合には、上吹きランス3から酸素ガスとともにN2ガスも噴出されることになるが、酸素ガスに比べてN2ガスの量は少ないため、操業上無視できる。また、吹錬中には、転炉1の底部の不図示の羽口から底吹きガスとしてN2ガスが吹き込まれ、溶銑2が攪拌される。
次に、詳細は後述するが、吹錬中の適当なタイミングで、第2のディスペンサー6からAl23源もガスライン7に供給される。Al23源がガスライン7に供給されることによって、CaO源とAl23源とがガスライン7において混合(ポストミックス)され、混合粉がN2ガス等によって上吹きランス3に運搬される。これにより、上吹きランス3から酸素ガスとともに混合粉が溶銑2へ吹き付けられる。
ここで、第1のディスペンサー5及び第2のディスペンサー6から酸素ガスライン4へ直接各粉体を供給するようにしてもよいが、ディスペンサーやガスラインのメンテナンスの容易性等を考えて、各ディスペンサーから供給される粉体は、酸素ガスライン4とは異なるガスライン7で混合され、ガスライン7を経由してN2ガス等により上吹きランス3に運搬されるようにすることが好ましい。このように、ガスライン7中でこれらの粉体が混合され、上吹きランス3から酸素ガスと共に溶銑2へ吹き付けられる。なお、図1に示す例では、ガスライン7は上吹きランス3に直接繋がっているが、ガスライン7が酸素ガスライン4に繋がっているようにしてもよい。
以上のように本実施形態においては、上吹き酸素ラインに繋がっている、「CaO源が保持されたディスペンサー」と「少なくともAl23源が保持されたディスペンサー」との少なくとも2基の粉体供給用ディスペンサーを有する脱りん処理装置を用いて、溶銑の脱りん処理を行う。これにより、ミキサー等で混合粉を作成する手間およびコストをなくすることができる。また、このようにディスペンサーを使い分けることにより、後述するように、吹錬中に吹き付ける粉体の種類及び割合を簡単に制御することができるため、簡単にかつ効率良く低りん溶銑を溶製することができる。
次に、前述の脱りん処理装置を用いた脱りん処理における諸条件について説明する。脱りん処理では、吹錬中にスロッピング(フォーミングスラグの炉口からの横溢や飛散)を極力抑え、処理後の溶銑中[P]≦0.020質量%とする。そのための好ましい条件を見出すべく、以下の項目について様々な条件で脱りん試験を行った。吹錬時間は、他工程との操業上の絡みで一般的な吹錬時間である6〜10分とし、定められた吹錬時間に合わせられるように上吹き酸素流量を調整した。以下、「上吹き酸素流量」とは、吹錬中における平均上吹き酸素流量を指し、スラグのフォーミング状態に応じて0.8〜1.2倍の範囲で上吹き酸素流量を調整する場合も含まれるものとする。また、「混合粉中のAl23濃度(Al23の割合)」は、(Al質量)/(CaO質量+CaCO質量×0.56+Al質量)×100とする。
(1)上吹き酸素流量:0.8〜2.7Nm3/min/溶銑t(以下、ガス供給速度の単位を、Nm3/min/t、またはNm3/min/溶銑tと表す。)
(2)底吹きガス流量:0.08〜0.7Nm3/min/溶銑t
(3)CaO源のみでの装入塩基度(少なくともAl23粉が含まれている粉体の使用を開始するまでの装入塩基度):0.7〜1.3
(4)装入塩基度が0.8〜1.2から1.4〜2.7までのCaO+Al23混合粉中のAl23濃度:3〜25質量%
(5)吹錬前または吹錬開始後30秒以内に転炉内へ装入した、細粒CaO源(粒径≦10mm)による装入塩基度:0〜0.5
(6)脱りん処理での吹錬時間:6〜10分間
(7)処理後の溶銑温度:1300〜1350℃
(8)溶銑の組成:[Si]:0.4質量%、[P]:0.10質量%
(9)溶銑量:2t
以下、本発明で規定する条件を表1および表2に基づいて説明する。なお、表1および表2に記載された処理後溶銑中[P]は、各条件で連続5Ch試験した結果のP濃度(質量%)の平均値である。また、処理後溶銑中[P]が0.015質量%以下で、且つスロッピング「無」の場合の評価を「◎」とし、軽度のスロッピングが発生した場合、または処理後の溶銑中[P]が0.015質量%超0.020質量%以下だった場合の評価を「○」とした。軽度のスロッピングとは、転炉の炉口からスラグが少しこぼれ落ちる程度で、操業継続には何ら支障のないレベルのものである。
Figure 0006642739
Figure 0006642739
(1)表1のNo.1〜3および表2のNo.31〜32
上底吹き転炉へ溶銑を装入し、上吹き酸素流量を2.0Nm3/min/t、底吹きN2流量を0.25Nm3/min/tとし、吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から60%の量の酸素ガスを吹き付けるまでは、上吹きランスからCaO源の粉体のみを溶銑へ吹き付け、その後は上吹きランスから、CaO+Al23混合粉(混合粉中のAl23濃度は10質量%)を吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。なお、処理前に細粒CaO源は添加しなかった。上記の条件を基本条件として、上吹きしたCaO源の粉体のみによる装入塩基度を、0.7〜1.3と変化させた。
実験の結果、装入塩基度が0.8未満の場合は、吹錬中に軽度のスロッピングが発生した。溶融スラグの塩基度が過度に低い状態でAl23源(CaO+Al23混合粉)を添加すると、スラグ中のAl23濃度が上昇してスラグがフォーミングし易くなり、軽度のスロッピングが発生してしまうことが確認できた。
これに対し、装入塩基度が高まるとスラグ中のFeOが溶銑中のCによって還元されやすくなるため、スラグがフォーミングし難くなることが確認できた。また、スラグ中の装入塩基度が高まるとスラグの脱りん能も向上するため、処理後溶銑中[P]濃度が低下することも確認できた。但し、装入塩基度が1.2を超えると、スラグ中のFeO濃度が過度に低下してしまい、スラグの流動性が低下して脱りん速度が低下してしまう。その結果、処理後溶銑中[P]が0.015質量%以下にまで低減できないことが確認できた。
上述の結果から、上吹きしたCaO源の粉体のみによる装入塩基度は0.8〜1.2であることが好ましいことが確認できた。
(2)表1のNo.4〜7および表2のNo.33〜34
上底吹き転炉へ溶銑を装入し、上吹き酸素供給量を2.0Nm3/min/t、底吹きN2流量を0.25Nm3/min/tとし、吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から60%の量の酸素ガスを吹き付けるまでは、上吹きランスからCaO源の粉体のみを装入塩基度が1.0となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は上吹きランスからCaO+Al23混合粉を吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。なお、処理前に細粒CaO源は添加しなかった。上記の条件を基本条件として、上吹きしたCaO+Al23混合粉中のAl23濃度を、3〜25質量%まで変化させた。
実験の結果、混合粉中のAl23濃度が5質量%未満だと、処理後溶銑中[P]が0.015質量%まで低減できないことが確認できた。これは、混合粉中のCaO分が火点(上吹きした酸素ガスが溶銑浴面と衝突して生成する高温部(2000℃以上))で溶融して十分に脱りん反応に消費されなくなってしまったことによると考えられる。火点では上吹き酸素によって溶銑中のFeが酸化されてFeOが生成し、上吹きされた粉体を溶融してスラグ中にFeO−CaO系融体を形成する。しかしながら、FeOは溶銑中のCによって還元されるため、上記融体中のFeO濃度は低下し易い。するとFeO−CaO融体の融点が上昇し、流動状態を保てなくなるため、融体の脱りん利用効率が低下してしまうと考えられる。それに対し、上記融体にAl23が含まれていれば、融体の融点が顕著に低下するため、溶融状態を維持して脱りん利用効率を高く維持できるようになる。しかしながら、混合粉中のAl23濃度が5質量%未満では融体の融点低下効果が小さく、融体の脱りん効率をそれほど向上できなかった。
一方、混合粉中のAl23濃度を20質量%超にまで高めると、火点で生成した上記融体の流動性が非常に高まり、火点周囲のバルクスラグの流動性も過度に高まるため、スラグがフォーミングし易くなって、軽度のスロッピングが発生してしまうことが確認できた。
上述の結果から、混合粉中のAl23濃度は5〜20質量%であることが好ましいことが確認できた。
(3)表1のNo.2、8〜10および表2のNo.35〜36
上底吹き転炉へ溶銑を装入し、上吹き酸素流量を2.0Nm3/min/t、底吹きN2流量を0.25Nm3/min/tとし、吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から60〜90%の量の酸素ガスを吹き付けるまでは、上吹きランスからCaO源の粉体のみを装入塩基度が1.0となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は上吹きランスからCaO+Al23混合粉(混合粉中のAl23濃度は10質量%)を吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。なお、処理前に細粒CaO源は添加しなかった。
実験の結果、吹き付けた酸素ガスが50%未満の量の時期にCaO+Al23混合粉の上吹きを開始すると、その分スラグ中のAl23濃度が上昇してスラグがフォーミングし易くなり、軽度のスロッピングが発生してしまうことが確認できた。一方、吹き付けた酸素ガスの量が80%超の時期にCaO+Al23混合粉の上吹きを開始すると、処理後溶銑中[P]が0.015質量%以下まで低下しなかった。CaO源の粉体のみを上吹きすると、溶銑中のP濃度を十分に下げることができないが、CaO+Al23混合粉の上吹き期間が吹錬の後半20%未満では短すぎて、溶銑を極低りん化させることはできないことが確認できた。
上述の結果から、吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から50〜80%の量の酸素ガスを吹き付けるまでに、混合粉の上吹きを開始することが好ましいことが確認できた。
(4)表1のNo.11〜15および表2のNo.37
上底吹き転炉へ溶銑を装入し、上吹き酸素流量を2.0Nm3/min/t、底吹きN2流量を0.25Nm3/min/tとし、吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から60%の量の酸素ガスを吹き付けるまでは、上吹きランスからCaO源の粉体のみを装入塩基度が1.0となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は上吹きランスからCaO+Al23混合粉(混合粉中のAl23濃度は10質量%)を吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.4〜2.5とした。なお、処理前に細粒CaO源は添加しなかった。
実験の結果、処理末期の装入塩基度を1.5未満にすると、スラグの脱りん能が低くなり過ぎて、処理後溶銑中[P]を0.015質量%以下まで低減できないことが確認できた。また、吹錬末期までスラグ中の装入塩基度が低かったため、スラグフォーミングが激しく、吹錬末期に軽度のスロッピングが発生してしまうことも確認できた。
一方、処理末期の装入塩基度を2超にしても、処理後溶銑中[P]は0.005質量%未満まで低減できなかった。つまり、処理末期のスラグ中の装入塩基度を過度に高めると、火点周囲のバルクスラグの流動性が急激に低下してしまうため、処理後溶銑中[P]は低下し難くなってしまったと考えられる。なお、処理末期の装入塩基度を高めることで、スロッピングは発生しなかった。
上述の結果から、処理末期の装入塩基度は1.5以上であることが好ましく、また、経済的な観点から、処理末期の装入塩基度の上限を2にするのがさらに好ましいことが確認できた。
(5)表1のNo.16〜18および表2のNo.38〜39
上底吹き転炉へ溶銑を装入し、上吹き酸素流量を0.8〜2.7Nm3/min/tと変化させ、底吹きN2流量を0.25Nm3/min/tとし、吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から60%の量の酸素ガスを吹き付けるまでは、上吹きランスからCaO源の粉体のみを装入塩基度が1.0となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は上吹きランスからCaO+Al23混合粉(混合粉中のAl23濃度は10質量%)を吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。なお、処理前に細粒CaO源は添加しなかった。
実験の結果、上吹き酸素流量を1.0Nm3/min/t未満にすると、吹錬時間を6〜10分とした場合、処理後溶銑中[P]を0.015質量%以下にするのに必要な酸素が足りないことが確認できた。一方、上吹き酸素流量を2.5Nm3/min/t超にまで高めると、上吹き酸素によって溶銑中のFeが過度に酸化され、スラグ中のFeO濃度が過度に高まってフォーミングし、軽度のスロッピングが発生してしまうことが確認できた。また、上吹き酸素流量が過度に大きいと、脱りんに必要な酸素量を吹き終えるまでの吹錬時間が過度に短くなって、処理後溶銑中[P]が0.015質量%以下まで低下しにくくなる傾向があることも確認できた。
上述の結果から、上吹き酸素流量は1.0〜2.5Nm3/min/tであることが好ましいことが確認できた。
(6)表1のNo.19〜22および表2のNo.40〜41
上底吹き転炉へ装入した溶銑へ、上吹き酸素流量を2.0Nm3/min/t、底吹きN2流量を0.08〜0.7Nm3/min/tと変化させ、吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から60%の量の酸素ガスを吹き付けるまでは、上吹きランスからCaO源の粉体のみを装入塩基度が1.0となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は上吹きランスからCaO+Al23混合粉(混合粉中のAl23濃度は10質量%)を吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。なお、処理前に細粒CaO源は添加しなかった。
実験の結果、底吹きN2流量を1.0Nm3/min/t未満にすると、溶銑中のPの物質移動速度が顕著に低下して、6〜10分という短時間の吹錬では、処理後溶銑中[P]を極低の濃度である0.015質量%以下まで低減できないことが確認できた。一方、底吹きN2流量を0.6Nm3/min/t超にまで高めると、溶銑とスラグとが過度に攪拌混合され、スラグ中のFeO濃度が過度に低下してしまい、処理後溶銑中[P]を0.015質量%以下にまで低減できないことが確認できた。
上述の結果から、吹錬中の底吹きN2流量は0.1〜0.6Nm3/min/tであることが好ましいことが確認できた。
(7)表1のNo.23〜24および表2のNo.42
上底吹き転炉へ溶銑を装入し、吹錬前に粒径10mm以下の細粒CaO源をホッパーから装入塩基度0〜0.5相当分添加した。その後、吹錬を開始し、上吹き酸素流量を2.0Nm3/min/t、底吹きN2流量を0.25Nm3/min/tとし、吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から60%の量の酸素ガスを吹き付けるまでは、上吹きランスからCaO源の粉体のみを装入塩基度(この場合、CaO装入量は、細粒CaOと粉体中のCaOとの合計)が1.0となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は上吹きランスからCaO+Al23混合粉(混合粉中のAl23濃度は10質量%)を吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。
実験の結果、細粒CaO源の添加量が装入塩基度0.39相当分までは、吹錬中に十分溶解して脱りんに寄与でき、処理後溶銑中[P]は0.015質量%以下にまで低減されることが確認できた。吹錬初期は上吹き酸素ガスによって急激に脱珪反応が進行してスラグ中にSiO2が多量に生成されるため、細粒CaOは溶解し易いといえる。このことから、吹錬開始から30秒以内に細粒CaOを添加した場合も、細粒CaO源は溶解しやすく、同様の効果が得られる。
但し、細粒CaO源の添加量を装入塩基度0.4相当分以上とすると、細粒CaO源の一部が未溶解となり、吹錬途中でスラグの実塩基度が低下して軽度のスロッピングが発生してしまうことも確認できた。CaO源を粉体として上吹き酸素ガスと共に溶銑浴面へ吹き付ける場合は、火点においてCaO源の粉体が速やかに溶解し、スラグの実塩基度は上昇するが、細粒CaO源は吹錬初期には炉壁付近に滞留し、火点で生成したFeO系融体との接触機会が少ないこともあり、溶解するのに比較的時間を要してしまうと考えられる。
上述の結果から、吹錬開始前または吹錬開始から30秒経過する前に転炉内へCaO源の粉よりも安価な10mm以下の細粒CaO源を添加する場合は、装入塩基度が0.4未満相当分だけの細粒CaO源を添加することが好ましいことが確認できた。
次に、本発明を実施例に基づいて更に説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
上底吹き転炉へ、[Si]:0.4質量%、[P]:0.10質量%の組成を有する溶銑を280t装入した。続いて底吹き羽口からN2ガスを溶銑中へ流量0.25Nm3/min/tで吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、最大粒径が1mm以下のCaO源の粉が保持されたディスペンサー1基とCaO源の粉にAl23源の粉を10質量%混ぜた最大粒径が1mm以下の粉体((Al質量)/(CaO質量+CaCO質量×0.56+Al質量)×100=10%、以下、(CaO+10%Al23)混合粉)が保持されたディスペンサー1基とが上吹き酸素ガスラインに接続されている脱りん処理装置を用いて、上吹きランスから酸素ガス2.0Nm3/min/tと共に吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から75%の量の酸素ガスを吹き付けるまでは、CaO源の粉が保持されたディスペンサーからCaO源の粉のみを装入塩基度が1.0となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は(CaO+10%Al23)混合粉)が保持されたディスペンサーの方から(CaO+10%Al23)混合粉のみを吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。吹錬時間は7分で、吹錬末期の溶銑温度は1342℃、処理後溶銑中[P]は0.012質量%だった。また、吹錬中にスロッピングは生じなかった。
(実施例2)
上底吹き転炉へ、[Si]:0.4質量%、[P]:0.10質量%の組成を有する溶銑を280t装入した。その後、吹錬開始前に最大粒径10mm以下の細粒CaO源を装入塩基度0.3相当分添加した。続いて底吹き羽口からN2ガスを溶銑中へ流量0.25Nm3/min/tで吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、最大粒径が1mm以下のCaO源の粉が保持されたディスペンサー1基と最大粒径が1mm以下のAl23源の粉が保持されたディスペンサー1基とが上吹きランスから吹き付ける酸素ガスの供給ラインとは別のN2ガスラインに接続されている脱りん装置を用いて、上吹きランスから酸素ガス2.0Nm3/min/tと共に吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から75%の量の酸素ガスを吹き付けるまではCaO源の粉が保持されたディスペンサーからCaO源の粉のみを装入塩基度(CaO装入量は、細粒CaO源と粉体CaO源中のCaOとの合計)が1.0となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後はCaO源の粉が保持されたディスペンサーとAl23源の粉が保持されたディスペンサーとから、上吹きランスから吹き付けられる粉体が(CaO+10%Al23)混合粉になるようにして(ガスライン中でポストミックスして)吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。吹錬時間は7分で、吹錬末期の溶銑温度は1344℃、処理後溶銑中[P]は0.012質量%だった。また、吹錬中にスロッピングは生じなかった。
(実施例3)
上底吹き転炉へ、[Si]:0.4質量%、[P]:0.10質量%の組成を有する溶銑を280t装入した。その後、吹錬開始前に最大粒径10mm以下の細粒CaO源を装入塩基度0.3相当分添加した。続いて底吹き羽口からN2ガスを溶銑中へ流量0.25Nm3/min/tで吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、最大粒径が1mm以下のCaO源の粉が保持されたディスペンサー1基と最大粒径が1mm以下のAl23源の粉が保持されたディスペンサー1基とが上吹きランスから吹き付ける酸素ガスの供給ラインとは別のN2ガスラインに接続されている脱りん装置を用いて、上吹きランスから酸素ガス2.0Nm3/min/tと共に吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から60%の量の酸素ガスを吹き付けるまではCaO源の粉が保持されたディスペンサーからCaO源の粉のみを装入塩基度(CaO装入量は、細粒CaO源と粉体CaO源中のCaOとの合計)が1.0となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後はCaO源の粉が保持されたディスペンサーとAl23源の粉が保持されたディスペンサーとから、上吹きランスから吹き付けられる粉体が(CaO+10%Al23)混合粉になるようにして(ガスライン中でポストミックスして)吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。吹錬時間は7分で、吹錬末期の溶銑温度は1350℃、処理後溶銑中[P]は0.006質量%だった。また、吹錬中にスロッピングは生じなかった。
(実施例4)
上底吹き転炉へ、[Si]:0.4質量%、[P]:0.10質量%の組成を有する溶銑を280t装入した。続いて底吹き羽口からN2ガスを溶銑中へ流量0.25Nm3/min/tで吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、最大粒径が1mm以下のCaO源の粉が保持されたディスペンサー1基と最大粒径が1mm以下のAl23源の粉が保持されたディスペンサー1基とが上吹きランスから吹き付ける酸素ガスの供給ラインとは別のN2ガスラインに接続されている脱りん装置を用いて、上吹きランスから酸素ガス2.0Nm3/min/tと共に吹錬開始から吹錬終了までの間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から60%の量の酸素ガスを吹き付けるまではCaO源の粉が保持されたディスペンサーからCaO源の粉のみを装入塩基度が1.3となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後はCaO源の粉が保持されたディスペンサーとAl23源の粉が保持されたディスペンサーとから、上吹きランスから吹き付けられる粉体が(CaO+10%Al23)混合粉になるようにして(ガスライン中でポストミックスして)吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。吹錬時間は7分で、吹錬末期の溶銑温度は1345℃、処理後溶銑中[P]は0.016質量%だった。また、吹錬中にスロッピングは生じなかった。
(比較例1)
上底吹き転炉へ、[Si]:0.4質量%、[P]:0.10質量%の組成を有する溶銑を280t装入した。続いて底吹き羽口からN2ガスを溶銑中へ流量0.25Nm3/min/tで吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、最大粒径が1mm以下のCaO源の粉を装入したディスペンサー1基を酸素ガスラインに接続して、上吹きランスから酸素ガス2.0Nm3/min/tと共に吹錬開始から吹錬末期までCaO源の粉を溶銑へ吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。吹錬時間は7分で、吹錬末期の溶銑温度は1344℃、処理後溶銑中[P]は0.025質量%だった。また、吹錬中にスロッピングは生じなかった。この例では、ディスペンサーが1基であることからAl23源の粉を用いることができなかったため、脱りん利用効率を高くすることができなかった。
(比較例2)
上底吹き転炉へ、[Si]:0.4質量%、[P]:0.10質量%の組成を有する溶銑を280t装入した。続いて底吹き羽口からN2ガスを溶銑中へ流量0.25Nm3/min/tで吹き込んで溶銑を攪拌しつつ、最大粒径が1mm以下のCaO源の粉に最大粒径が1mm以下のAl23源の粉を10質量%混ぜた混合粉を装入したディスペンサー1基を酸素ガスラインに接続して、上吹きランスから酸素ガス2.0Nm3/min/tと共に吹錬開始から吹錬末期まで混合粉を溶銑へ吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.8とした。吹錬時間は7分で、吹錬末期の溶銑温度は1340℃、処理後溶銑中[P]は0.010質量%だったが、吹錬中にスロッピングが生じた。この例では、処理後溶銑中[P]を低下させるために混合粉を吹錬当初から吹き付けたが、ディスペンサーが1基であることから混合粉を吹錬当初から吹き付けることしかできなかったため、吹錬中にスラグのAl23濃度が上昇してスラグがフォーミングし易くなり、スロッピングが発生してしまった。
本発明によれば、脱りん処理により低りん溶銑を安価に溶製できる脱りん処理装置およびそれを用いた溶銑の脱りん方法を提供することができるため、工業的価値は大きい。

Claims (2)

  1. 転炉と、前記転炉に酸素ガスを吹き込む上吹きランスと、前記上吹きランスに前記酸素ガスを供給するガスラインと、前記上吹きランスから前記酸素ガスとともに吹き付けるCaO源が保持された第1のディスペンサーと、前記上吹きランスから前記酸素ガスとともに吹き付けるAl23源が少なくとも保持された第2のディスペンサーと、を有する脱りん処理装置を用いた溶銑の脱りん方法であって、
    前記転炉へ溶銑を装入し、底吹き羽口からN2ガスを前記溶銑へ0.1〜0.6Nm3/min/tの流量で吹き込んで攪拌しつつ、前記上吹きランスから1.0〜2.5Nm 3 /min/tの流量の酸素ガスと共に、吹錬開始から吹錬終了まで間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から50〜80%の量の酸素ガスを吹き付けるまでの間は、前記第1のディスペンサーに保持されたCaO源のみを装入塩基度が0.8〜1.2となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は前記上吹きランスから前記酸素ガスと共に、前記第2のディスペンサーに保持された、Al23源を含む混合粉であって、Al23の割合((Al23質量)/(CaO質量+CaCO3質量×0.56+Al23質量)×100)が5〜20質量%である混合粉のみを吹き付けるか、または、前記第1のディスペンサーに保持されたCaO源と前記第2のディスペンサーに保持されたAl23源との混合粉であって、Al23の割合が5〜20質量%である混合粉を吹き付けて、処理末期の装入塩基度を1.5以上とし、吹錬時間を6〜10分とすることを特徴とする溶銑の脱りん方法。
  2. 吹錬開始前または吹錬開始後30秒以内に、最大粒径10mm以下の細粒CaO源を、装入塩基度0.4未満相当分だけ添加し、吹錬開始から吹錬終了まで間の全酸素ガス供給量を100%とした場合に、吹錬開始から50〜80%の量の酸素ガスを吹き付けるまでの間は、前記CaO源のみを前記添加した細粒CaO源と合わせて装入塩基度が0.8〜1.2となる分だけ溶銑へ吹き付け、その後は前記上吹きランスから前記酸素ガスと共に前記混合粉を吹き付けて、前記添加した細粒CaO源と合わせて処理末期の装入塩基度を1.5以上とすることを特徴とする請求項1に記載の溶銑の脱りん方法。
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