JP5999157B2 - 転炉での溶銑の精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、上吹きランスを介して酸素ガス及びCaO系媒溶剤を炉内の溶銑の同一箇所に吹き付けて行う転炉での溶銑の精錬方法に関する。
鉄鋼材料の高機能化及び高品質化のためには、鋼中の不純物を極限まで低下させる必要があり、溶鋼中の不純物元素及び酸化物系非金属介在物を効率的に除去する技術が求められている。鋼中の不純物元素の1つである燐(P)は、鉄鋼材料の延性や強度を劣化させるので、鋼中の燐含有量を低下させることが要求されている。
鋼中の燐含有量を低下させるための溶銑の脱炭精錬及び脱燐精錬においては、溶銑中の燐を酸素ガスなどの酸素源によって酸化し、生成する燐酸化物(P25)をCaO系媒溶剤の滓化によって生成するスラグに吸収させて、溶銑中の燐を除去している。従って、鋼中の燐含有量を低下させるためには、CaO系媒溶剤の使用量を増加させたり処理時間を延長させたりすることが必要であり、精錬コストの増加、及び、スラグ発生量の増加によるスラグ処理費の増加などを招くという問題があった。
ところで、転炉における溶銑の脱炭精錬及び脱燐精錬においては、溶銑とスラグとの間で下記の(1)式に示す脱燐反応が進行する。つまり、溶銑中の燐(P)がFeOによって酸化され、この酸化反応によって生成したP25がCaOと反応してスラグに吸収されるという反応である。但し、(1)式において、[P]、[Fe]は溶銑中の成分、(FeO)、(CaO)、(3CaO・P25)はスラグ中の成分を示している。ここで、溶銑の脱燐精錬とは、溶銑を転炉で脱炭精錬する前に、予め、溶銑中の燐を除去する精錬であり、予備脱燐精錬とも呼ばれる。
2[P]+5(FeO)+3(CaO)=(3CaO・P25)+5[Fe]・・・(1)
(1)式から明らかなように、脱燐反応速度を促進させるためには、スラグ中のFeOの作用を効果的に利用することが重要となる。
FeOの生成を利用した溶銑の脱燐方法としては、上吹きランスから噴射される酸素ガスが溶銑に衝突している箇所(「火点」という)に、CaO系媒溶剤を上吹きランスを介して吹き付ける技術が挙げられる(例えば、特許文献1を参照)。この技術は、CaO系媒溶剤を火点に直接供給することで、火点は高温であり、且つ、火点はFeOの生成場所であって、火点にはFeOが高濃度で存在することから、CaO系媒溶剤の滓化が促進されて(1)式の反応が促進されるという技術である。
また、特許文献2には、上吹きランスから酸素ガスを溶銑に供給すると同時に、添加するCaO系媒溶剤の一部を搬送用ガスとともに前記上吹きランスから吹き付けて、転炉内の溶銑を脱炭精錬するにあたり、上吹きランスからの酸素ガス流量、精錬中の排ガスの組成、排ガスの流量などから酸素バランスを逐次計算することにより求められる不明酸素量に基づいて炉内でのFeO生成量を推定し、精錬開始時から全酸素量の40体積%の酸素量を供給する時点までに、炉内でのFeOの生成量を3〜30kg/溶銑−tの範囲に制御するとともに、精錬開始時から全酸素量の40体積%の酸素量を供給した時点を超えた以降は上吹きランスからのCaO系媒溶剤の供給を停止する精錬方法が提案されている。
特開昭58−61211号公報 特開2012−67378号公報
酸素ガスを上吹きランスを介して転炉内の溶銑に吹き付けて行う脱炭精錬や脱燐精錬では、精錬中におけるスラグ中のFeO濃度は、精錬開始に伴って上昇するが、その後、一旦減少し、精錬末期に急激に上昇する。(1)式からも明らかなように、溶銑の脱燐反応を効率的に行うためには、スラグ中のFeO濃度に応じてCaO系媒溶剤を添加することが重要となる。つまり、FeOは火点で生成することから、スラグ中のFeO濃度が高くなる時期にCaO系媒溶剤を火点に添加することが脱燐反応の促進につながる。
この観点から上記従来技術を検証すれば、特許文献1は、CaO系媒溶剤を火点に添加することで、CaO系媒溶剤の滓化が促進されるとともにFeOとの反応が促進され、脱燐反応に不利な高炭素鋼であっても脱燐反応が進行することを記載するだけで、スラグ中のFeO濃度が高くなる時期に関連させてCaO系媒溶剤を添加することは記載していない。実施例には、スラグのスロッピングを抑制することを目的として、精錬初期にCaO系媒溶剤を添加することが記載されている。
特許文献2は、精錬開始時から全酸素量の40体積%の酸素量を供給した時点を超えた以降は上吹きランスからのCaO系媒溶剤の供給を停止する精錬方法を提案しており、スラグ中のFeO濃度が高くなる時期に関連させてCaO系媒溶剤を添加することは全く考慮していない。また、特許文献2は、上吹きランスからのCaO系媒溶剤の供給を、全酸素量の40体積%の酸素量を供給した時点を超えた以降まで継続させても、脱燐反応には優位差がないことを記載している。
即ち、特許文献1及び特許文献2では、転炉内の溶銑に脱炭精錬または脱燐精錬を施す際に、溶銑中の燐が効率的に除去されているとはいいがたい。尚、本発明における溶銑の脱炭精錬とは、脱炭反応とともに脱燐反応を行う必要のある精錬であり、予め鋼製品レベルまで脱燐精錬された溶銑を脱炭精錬する場合は含まない。予め鋼製品レベルまで脱燐精錬された溶銑を脱炭精錬する場合には、脱燐反応が不要であるからである。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上吹きランスを介して転炉内の溶銑浴面の火点にCaO系媒溶剤を吹き付けて溶銑を脱燐精錬または脱炭精錬するにあたり、溶銑中の燐を効率的に除去することのできる、転炉での溶銑の精錬方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意検討研究を行った。その結果、炉内スラグのFeO濃度は、上吹きランスからの酸素ガスの吹き付け開始(「精錬開始」という)によって上昇し始め、精錬中期で極大値を示し、その後は減少していくが、精錬末期で急激に上昇することが認められた。
溶銑の脱燐反応は、前述したように、溶銑中の燐が酸素ガスなどの酸素源によって酸化されて燐酸化物(P25)となり、この燐酸化物がCaO系媒溶剤の滓化によって生成するスラグに吸収されることで進行する。従って、精錬の開始時点からCaO系媒溶剤を供給することが必要であるが、精錬末期のスラグ中のFeO濃度が上昇する期間にCaO系媒溶剤を火点に添加することで、脱燐反応が促進されることを知見した。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]転炉内の溶銑に上吹きランスから酸素ガスを吹き付け、且つ、前記酸素ガスの溶銑浴面での衝突面に前記上吹きランスからCaO系媒溶剤を吹き付けて転炉内の溶銑を脱燐精錬または脱炭精錬する、転炉での溶銑の精錬方法において、前記上吹きランスからのCaO系媒溶剤の吹き付けを、前記上吹きランスからの酸素ガスの吹き付け開始から予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給する時点までの全部の期間または一部の期間で行うとともに、予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点から精錬終了までの全部の期間または一部の期間で行い、予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給した時点を超えた後から予定送酸量の70体積%未満の酸素ガスを供給する期間は、前記上吹きランスからのCaO系媒溶剤の吹き付けを停止することを特徴とする、転炉での溶銑の精錬方法。
[2]予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点以降に上吹きランスから供給するCaO系媒溶剤の添加量は、CaO系媒溶剤の予定する添加量の10〜40質量%であることを特徴とする、上記[1]に記載の転炉での溶銑の精錬方法。
本発明によれば、転炉における溶銑の脱燐精錬または脱炭精錬において、精錬の初期のみならず、スラグ中のFeO濃度が高くなる精錬末期、つまり、FeOが火点に潤沢に存在する精錬末期にもCaO系媒溶剤を火点に添加するので、脱燐反応が促進され、精錬終了時の溶銑中または溶鋼中の燐濃度を低位にすることが可能となる。また、脱燐効率の向上により、CaO系媒溶剤の使用量を低減することができ、これによって発生するスラグ量が少なくなり、精錬コストの低減が実現される。
本発明を実施する際に用いる転炉設備の概略断面図である。 脱炭精錬における燐分配比を本発明例と比較例とで対比して示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明に係る溶銑の脱燐精錬または溶銑の脱炭精錬を実施する際に用いる転炉設備の概略断面図である。
図1に示すように、転炉設備1は、その外殻を鉄皮4で構成され、鉄皮4の内側に耐火物5が施工された転炉2と、この転炉2の内部に挿入され、上下方向に移動可能な上吹きランス3とを備えている。転炉2の上部には、精錬後の溶銑(脱燐精錬の場合)または精錬後の溶鋼(脱炭精錬の場合)を出湯するための出湯口6が設けられ、また、転炉2の炉底には、炉内の溶銑15に撹拌用ガス18を吹き込むための底吹き羽口7が設けられている。底吹き羽口7はガス導入管8と接続されている。上吹きランス3には、酸素ガス配管9が接続されており、酸素ガス配管9を介して任意の流量で上吹きランス3の先端から転炉2の内部に精錬用の酸素ガスが供給されるようになっている。
また、上吹きランス3は、移送用配管19を介して、CaO系媒溶剤17を収容するディスペンサー11と接続されており、一方、ディスペンサー11には、酸素ガス配管9から分岐した酸素ガス配管9A、並びに、窒素ガス配管10が接続されている。即ち、ディスペンサー11に供給された酸素ガスまたは窒素ガスは、ディスペンサー11に収容されたCaO系媒溶剤17の搬送用ガスとして機能し、移送用配管19を経由して上吹きランス3の先端から、転炉2に収容された溶銑15の浴面に向けて、CaO系媒溶剤17を吹き付けて供給(「投射」ともいう)することができるようになっている。酸素ガス配管9には流量調節弁12が設けられ、酸素ガス配管9Aには流量調節弁13が設けられ、また、窒素ガス配管10には流量調節弁14が設けられており、酸素ガスを上吹きランス3から任意の流量で吹き込みながら、酸素ガスまたは窒素ガスを、ディスペンサー11を経由して任意の流量で搬送用ガスとして吹き込むことができるようになっている。
酸素ガス配管9A及び窒素ガス配管10は、移送用配管19と接続するバイパス配管20と接続しており、酸素ガス配管9Aと合流した後の窒素ガス配管10に設置された遮断弁21及びバイパス配管20に設置された遮断弁22によって、ディスペンサー11を経由せずに酸素ガスまたは窒素ガスだけが上吹きランス3に供給できるようにも構成されている。この場合、窒素ガスに代えて、Arガスや炭酸ガスなど種々の気体を搬送用ガスとして利用することができる。搬送用ガスとして酸素ガスを用いるか、或いは、窒素ガスなどの酸素ガス以外のガスを用いるかは、精錬の状況などから適宜決定すればよい。
上吹きランス3では、精錬用の酸素ガスの供給流路と、CaO系媒溶剤17の供給流路とは独立しているが、上吹きランス3の先端から噴出した精錬用酸素ガス及びCaO系媒溶剤17は合流し、精錬用酸素ガスの溶銑15への衝突面(火点)にCaO系媒溶剤17が投射されるように構成されている。
転炉2の上方には、鉄スクラップ、磁選屑などの冷鉄源、及び、生石灰、ドロマイト、鉄鉱石、コークスなどの副原料を収容するホッパー、及び、ホッパーに収容されたこれらの冷鉄源及び副原料を切り出して転炉2に上置き添加するための切り出し装置、秤量器及びシュートが設置されているが、図1では省略している。
このような構成の転炉設備1を用い、溶銑に対して予備処理としての脱燐精錬を行うか、或いは、脱燐精錬が施されていない溶銑または脱燐精錬が施されているものの鋼製品の燐レベルまで脱燐されていない溶銑の脱炭精錬を行う。転炉2における溶銑の脱炭精錬及び脱燐精錬は、精錬方法がほぼ同一であるので、以下、溶銑の脱炭精錬に本発明を適用する場合を例として説明する。
先ず、転炉2に溶銑15を装入する。溶銑15の装入後、必要に応じて鉄スクラップなどの冷鉄源を装入する。その後、底吹き羽口7から攪拌用ガス18としてArガスを吹き込みながら、上吹きランス3から精錬用酸素ガスを溶銑15の浴面に吹き付ける。この精錬用酸素ガスの溶銑15への吹き付けと同時またはその後に、上吹きランス3からCaO系媒溶剤17を溶銑浴面に吹き付ける。CaO系媒溶剤17としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO3)、消石灰(Ca(OH)2)などを使用することができる。また、これらに、CaOの含有量が50質量%以上となる条件で、蛍石(CaF2)やアルミナ(Al23)を混合したものをCaO系媒溶剤17とすることもできる。
供給される酸素ガスと溶銑中の炭素とが反応して脱炭反応(C+O→CO)が進行する。また、溶銑15が珪素を含有する場合には、脱珪反応(Si+2O→SiO2)も同時に起こる。また、火点では鉄の酸化反応(Fe+O→FeO)が起こる。
上吹きランス3から火点に供給されるCaO系媒溶剤17は、火点は高温であり、且つ、FeOが生成される場所であることから、加熱され且つFeOと反応して滓化する。また、脱珪反応が発生する場合には、脱珪反応によって発生するSiO2とも反応して滓化する。滓化したCaO系媒溶剤17は、炉内にスラグ16を形成する。
脱炭反応や脱珪反応が起こり、溶銑15の炭素濃度及び珪素濃度が低下し始めると、溶銑中の燐が、供給される酸素ガス及び生成するFeOによって酸化されて燐酸化物(P25)が生成し、この燐酸化物(P25)が滓化したCaO系媒溶剤17を主成分とするスラグ16に吸収されて、下記の(1)式で示す脱燐反応が進行する。
2[P]+5(FeO)+3(CaO)=(3CaO・P25)+5[Fe]・・・(1)
但し、(1)式において、[P]、[Fe]は溶銑中の成分、(FeO)、(CaO)、(3CaO・P25)はスラグ中の成分を示している。
炉内のスラグ16の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が高いほど、(1)式の脱燐反応が進行するので、スラグ16の塩基度は3.0以上に制御する。本発明では上吹きランス3からCaO系媒溶剤17を火点に吹き付けることを必須とするが、上吹きランス3だけからCaO系媒溶剤17を供給すると、精錬初期のスラグ16の塩基度を3.0以上に確保できないこともあるので、精錬の初期に、CaO系媒溶剤17の予定する添加量の一部を、転炉2の上方に配置したホッパーからシュートを介して上置き添加してもよい。その際に、ドロマイト、鉄鉱石などの副原料を併せて上置き添加しても構わない。スラグ16の塩基度を過剰に高くすることはCaO系媒溶剤17の原単位を増大させてコスト増を招くので、スラグ16の塩基度の上限値は5.0以下とすることが好ましい。
脱炭精錬の中期は、脱炭反応が盛んであり、底吹き羽口7から吹き込まれる攪拌用ガス18による溶銑15とスラグ16との攪拌以外に、脱炭反応によって生成するCOガスによる溶銑15とスラグ16との攪拌が激しく、生成するFeOは脱炭反応に費やされ、(1)式による脱燐反応は停滞する。従って、この時期、具体的には、予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給した時点を超えた以降は、上吹きランス3からのCaO系媒溶剤17の供給を停止する。
この場合、予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給完了する以前に上吹きランス3からのCaO系媒溶剤17の供給を停止しても構わない。また、CaO系媒溶剤17を連続して供給する必要はなく、酸素ガスの吹き付け開始から予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給する時点までの期間で、断続的に数回に分けてCaO系媒溶剤17を供給しても構わない。
ここで、予定送酸量とは、脱炭精錬前の溶銑15の炭素濃度、珪素濃度、及び、脱炭精錬後の溶鋼の炭素濃度に基づいて計算される酸素ガス量であり、酸素ガス以外に鉄鉱石などの酸化鉄を酸素源として使用する場合には、酸化鉄を含めた全酸素源の供給量である。酸化鉄などの固体酸素源は気体に換算して全酸素源の供給量を求める。
一方、脱炭精錬の末期になると、溶銑15の炭素濃度が少なくなり、脱炭反応が低下する。脱炭反応が低下すると、脱炭反応によって生成するCOガスによる溶銑15とスラグ16との攪拌は弱くなり、生成するFeOは脱炭反応に消費されず、徐々に炉内に蓄積される。つまり、脱燐反応に適する条件に移行する。この時期、具体的には、予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点以降は、上吹きランス3からのCaO系媒溶剤17の供給を再開する。つまり、予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給した時点を超えた後から予定送酸量の70体積%未満の酸素ガスを供給する期間は、上吹きランス3からのCaO系媒溶剤17の吹き付けを停止する。
この場合、予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点から直ちにCaO系媒溶剤17の供給を再開してもよく、また、予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点から或る程度経過した後に、例えば、予定送酸量の80体積%の酸素ガスを供給した時点からCaO系媒溶剤17の供給を再開してもよい。また更に、脱炭精錬の終了まで上吹きランス3からのCaO系媒溶剤17の供給を継続してもよく、脱炭精錬の終了以前に上吹きランス3からのCaO系媒溶剤17の供給を停止してもよい。
予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点以降に上吹きランス3から供給するCaO系媒溶剤17の添加量は、CaO系媒溶剤17の予定する添加量の10〜40質量%の範囲内とすることが好ましい。予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点以降に供給するCaO系媒溶剤17の量が、予定する添加量の10質量%未満では、添加量が少なすぎて脱燐反応を促進させる効果が十分に得られない。一方、予定する添加量の40質量%を超えて添加すると、精錬初期の添加量が少なくなり、精錬初期の脱燐が停滞する虞がある。
脱炭反応によって溶銑15から生成される溶鋼の炭素濃度が予定した値になったなら、上吹きランス3からの酸素ガスの供給を停止して脱炭精錬を終了する。
溶銑15の脱燐精錬も、上記の脱炭精錬に準じて行えばよい。
以上説明したように、本発明によれば、上吹きランス3からのCaO系媒溶剤17の吹き付けを、酸素ガスの吹き付け開始から予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給する時点までの全部の期間または一部の期間で行うとともに、予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点から精錬終了までの全部の期間または一部の期間で行うので、つまり、精錬の前半と後半とに分割して行うので、脱燐反応が促進され、脱燐精錬の場合には精錬終了時の溶銑中の燐濃度を、また、脱炭精錬の場合には精錬終了時の溶鋼の燐濃度を低位にすることが可能となる。
370トン容量の転炉を用い、本発明を適用して溶銑の脱炭精錬を実施した。CaO系媒溶剤としては生石灰を使用し、この生石灰の添加を、酸素ガスの吹き付け開始から予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給する時点までの全部または一部の期間と、予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点から精錬終了までの全部または一部の期間と、に分割して行った(本発明例)。本発明例において、予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点以降のCaO系媒溶剤の添加量は、CaO系媒溶剤の予定する添加量の10〜40質量%の範囲内で変化させた。
また、送酸速度、ランス高さ、生石灰供給量、鉄鉱石添加量、底吹き攪拌ガス流量などの操業条件を本発明例と同一とし、生石灰の添加を、酸素ガスの吹き付け開始から予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給する時点までの全部または一部の期間のみとする脱炭精錬(比較例)も行った。
精錬終了後、炉内の溶鋼及びスラグから分析用試料を採取して溶鋼及びスラグの燐濃度を分析し、各脱炭精錬での燐分配比(スラグ中燐濃度(質量%)/溶鋼中燐濃度(質量%))を調査した。燐分配比が高いほど、脱燐反応が効率的に行われたことを意味する。
図2に、燐分配比の調査結果を示す。図2に示すように、本発明例では燐分配比が比較例よりも高くなっており、効率良く溶銑を脱燐できることが確認できた。
1 転炉設備
2 転炉
3 上吹きランス
4 鉄皮
5 耐火物
6 出湯口
7 底吹き羽口
8 ガス導入管
9 酸素ガス配管
10 窒素ガス配管
11 ディスペンサー
12 流量調節弁
13 流量調節弁
14 流量調節弁
15 溶銑
16 スラグ
17 CaO系媒溶剤
18 撹拌用ガス
19 移送用配管
20 バイパス配管
21 遮断弁
22 遮断弁

Claims (1)

  1. 転炉内の溶銑に上吹きランスから酸素ガスを吹き付け、且つ、前記酸素ガスの溶銑浴面での衝突面に前記上吹きランスからCaO系媒溶剤を吹き付けて転炉内の溶銑を脱燐精錬または脱炭精錬する、転炉での溶銑の精錬方法において、
    前記上吹きランスからのCaO系媒溶剤の吹き付けを、炉内スラグのFeO濃度が上昇し始める、前記上吹きランスからの酸素ガスの吹き付け開始から予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給する時点までの期間の全部の期間または一部の期間で行うとともに、精錬中期で極大値を示し、その後は減少していた炉内スラグのFeO濃度が上昇する時期である、予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点から精錬終了までの期間の全部の期間または一部の期間で行い、
    且つ、予定送酸量の70体積%の酸素ガスを供給した時点以降に上吹きランスから供給するCaO系媒溶剤の添加量を、CaO系媒溶剤の予定する添加量の10〜40質量%とし、
    予定送酸量の40体積%の酸素ガスを供給した時点を超えた後から予定送酸量の70体積%未満の酸素ガスを供給する期間は、前記上吹きランスからのCaO系媒溶剤の吹き付けを停止し、
    かくして、精錬初期及び精錬末期の脱燐反応を促進させることを特徴とする、転炉での溶銑の精錬方法。
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