JP5211786B2 - 吹錬制御方法および該吹錬制御方法を用いた低りん溶銑の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑の脱りん吹錬において、りん濃度を適正に制御するために必要なCaO含有脱りん剤の供給量および供給期間を制御する吹錬制御方法、ならびに、該吹錬制御方法を用いた低りん溶銑の製造方法に関する。
吹錬では、溶銑に含まれる成分濃度が目標値となるように制御される。制御対象となる成分としては、炭素の他、りん等の製品品質にかかわる成分が挙げられる。溶銑からりんを除去する、すなわち、脱りんを行うためには、CaO源となる副原料(CaO含有脱りん剤)を溶銑に供給する必要がある。
一般に、上底吹き転炉における溶銑の脱りん吹錬制御での操作量は、
1.脱珪反応や脱りん反応(下記式(1))に必要なFeOの生成を制御する上吹き酸素の供給量、および、上吹き酸素を溶銑に供給するランスの高さ
2.炉内の攪拌状況を制御する底吹きガスの供給量
3.溶銑の温度を制御するためのスケールなどの冷材の投入量
4.脱りん反応に必要なCaO濃度を制御するCaO含有脱りん剤の供給量
から構成される。
3(CaO)+5(FeO)+2[P]=(3CaO・P)+5[Fe] (式1)
(上記式1において、( )はスラグ中の成分であることを意味し、[ ]は溶銑中の成分であることを意味する。)
脱りん吹錬の主目的である反応は上記式1で表される。上記式1からわかるように、脱りん反応を促進させて効率よく溶銑中のりんを除去するためには、スラグ内のCaO濃度とFeO濃度を高める必要がある。
図1に示すように、上底吹き転炉1にチャージされた溶銑2に、塊状CaO含有脱りん剤を投入した場合の脱りん反応は、溶銑2の浴面上に生成したスラグ3、3(溶融したCaO、SiO、FeOなどから構成される)と溶銑(メタル)2との界面4、4で進行する。CaOはCaO含有脱りん剤の融点が高いために、またFeOはスラグ/メタル界面4、4に到達するまでに溶銑2に含まれるCと反応して消失してしまい易いために、これらCaOおよびFeOの濃度をいかにして高めるかが、CaO源として塊状CaO含有脱りん剤を使用する場合の主な課題であった。
そのため、CaO含有脱りん剤の融点を低下させる蛍石等のハロゲン化物の投入量、FeO生成量をコントロールする上吹き酸素の供給量およびランス5の高さ、ならびに、底吹きガス6の供給量が、塊状CaO含有脱りん剤を投入する場合の脱りん吹錬の吹錬制御における主な操作量であった。塊状CaO含有脱りん剤の投入量自体は、溶銑のりん濃度・珪素濃度や目標りん濃度等の操業条件で設定されるもので、上記式1で示した脱りん反応を律速するような重要な操作量ではなかった。
しかし、近年は、環境上の問題がある蛍石等のハロゲン系化合物を含む滓化促進材を使わずに、CaO源として塊状CaO含有脱りん剤だけでなく、粉状CaO含有脱りん剤を上吹き酸素と共に吹込む技術が開発されている。例えば、特許文献1に、粉状CaO含有脱りん剤の供給速度と溶銑浴面に吹付けられる気体酸素の供給速度との比を、ある上下限値で規定することにより、高い脱りん反応効率が得られるという技術が開示されている。
また、特許文献2には、脱りん処理前の溶銑中のりん濃度及び珪素濃度に応じて、粉状CaO含有脱りん剤の平均添加速度の範囲を規定することにより、溶銑中のりんを効率良く除去することができるという技術が開示されている。さらに、特許文献3には、塊状CaO含有脱りん剤は精錬初期、粉状CaO含有脱りん剤は精錬末期に添加することにより、精錬末期のフォーミングを抑制し脱りん速度低下を回避するという技術が開示されている。
特許第3888264号公報 特開2005−126784号公報 特開2002−256320号公報
しかしながら、上記特許文献1には、粉状CaO含有脱りん剤の供給開始時期や供給量の具体的な算出方法が開示されていないため、粉状CaO含有脱りん剤の供給期間が不定である。さらに、上記特許文献2も同様に、粉状CaO含有脱りん剤の供給開始時期や供給量の具体的な算出方法が開示されていないため、実際に粉状CaO含有脱りん剤を供給する期間が不定である。特許文献3では、粉状CaO含有脱りん剤の供給のタイミングに関する示唆はあるものの、塊状CaO含有脱りん剤と粉状CaO含有脱りん剤の使用割合や粉状CaO含有脱りん剤の供給速度に関する情報は一切開示されていないため、粉状CaO含有脱りん剤の供給量や供給期間が不定である。
粉状CaO含有脱りん剤の供給量や供給期間が不適切な場合には、粉状CaO含有脱りん剤が有する本来の高い脱りん能を発揮できず、効率的に低りん鋼を溶製することができない。すなわち、上記特許文献1〜3に開示されているような従来の技術を実操業には適用することはできず、その技術の有効性を判断することもできないという問題があった。
そこで本発明は、溶銑の脱りん吹錬において、粉状CaO含有脱りん剤および塊状CaO含有脱りん剤の供給量および供給期間に関する上記問題点を解決できる吹錬制御方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、吹錬期間に対する粉状CaO含有脱りん剤の供給期間の割合(粉状CaO含有脱りん剤の吹き付け期間/吹錬期間。以下、この割合を「吹込割合α」ということがある。)がある値以上になると、高い脱りん効率を安定して得ることができるということを見出した。
この理由としては、速い速度で粉状CaO含有脱りん剤を溶銑に供給すると、CaOの滓化が阻害されるといったことや、FeOの生成が追いつかないといったことによって、火点近傍で上記式1の脱りん反応を抑制するような現象の発生確率が非常に高まるからであると考えられる。本発明はかかる知見、推定に基づいてなされたものである。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、上底吹き転炉を用いて、溶銑(2)の浴面に酸素を吹き付けるとともに粉状CaO含有脱りん剤(8)を吹き付ける、溶銑脱りん吹錬の吹錬制御方法であって、吹錬期間に対する、粉状CaO含有脱りん剤の吹き付け期間の割合が、任意の下限値以上になるように、粉状CaO含有脱りん剤の供給量および供給速度を制御することを特徴とする、吹錬制御方法である。
本発明において、「CaO含有脱りん剤」とは、CaO成分を質量比で40%以上含有し、溶銑の脱りん剤として用いることができるものであれば特に限定されない。CaO含有脱りん剤の具体例としては、生石灰(CaO)、石灰石(CaCO)、転炉スラグが挙げられる。また、「粉状CaO含有脱りん剤」とは、粉状のCaO含有脱りん剤を意味し、その粒径は、溶融滓化の容易性の観点から150μm以下を指すが、粒径は1mm以下であれば実質的に同等の使用効果を得ることができる。さらに、「溶銑の浴面に酸素を吹き付けるとともに粉状CaO含有脱りん剤を吹き付ける」とは、酸素をキャリアガスとして粉状CaO含有脱りん剤を溶銑の浴面に吹き付けても良いし、あるいは酸素を溶銑の浴面に吹き付けながら、その酸素とは別の気体(例えば、窒素ガスやアルゴンガス等。)をキャリアガスとして粉状CaO含有脱りん剤を溶銑の浴面に吹き付けても良いことを意味する。
第1の本発明の吹錬制御方法において、吹錬期間に対する、粉状CaO含有脱りん剤の吹き付け期間の割合の下限値が、0.8であることが好ましい。
第1の本発明の吹錬制御方法において、粉状CaO含有脱りん剤を溶銑の浴面に吹き付ける前に、塊状CaO含有脱りん剤を上底吹き転炉内に投入することが好ましい。
ここに、「塊状CaO含有脱りん剤」とは、塊状のCaO含有脱りん剤を意味し、その粒径は、炉内への添加投入時の飛散ロスの防止や溶融滓化の容易性の観点から15mm〜35mm程度が一般に用いられるが、5mm〜50mm程度であれば本発明において実質的に同等の使用効果を得ることができる。
このように、塊状CaO含有脱りん剤を転炉内に投入しておくことによって、吹錬初期に溶銑表面を覆うスラグ(以下、このスラグを「カバースラグ」という。)が形成され、スピッティング量を低減することができる。
第2の本発明は、第1の本発明の吹錬制御方法を用いて製造する、低りん溶銑の製造方法である。
ここに、「低りん溶銑」とは、含有する化学成分の質量濃度が炭素3%以上、かつ、りん0.3%以下である溶銑を指す。
本発明によれば、安定した高い脱りん効率での溶銑の脱りん吹錬が可能となり、安定して質量濃度が炭素3%以上、かつ、りん0.3%以下である溶銑の溶製が可能な、吹錬制御方法、および、該吹錬制御方法を用いた低りん溶銑の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の吹錬制御方法を上底吹き転炉で実施する場合の様子を概略的に示す図である。
図1に示すように、上底吹き転炉1(以下、単に「転炉1」という。)では、溶銑2がチャージされた状態で、転炉1の底部から、溶銑2を攪拌するための撹拌用ガス6が吹き込まれ、上部からは、ランス5を通して溶銑2の浴面に酸素が吹き付けられる。ランス5には、配管7が接続されており、この配管7を介してランス5から転炉1内に酸素が供給されるようになっている。また、配管7は途中で分岐しており、粉状CaO含有脱りん剤8が収容された容器9を介してランス5へ繋がる流路7aと、容器9を介さずに直接ランス5へ繋がる流路7bを備えている。すなわち、流路7aを通って容器9内に供給される酸素は、容器9内の粉状CaO含有脱りん剤8のキャリアガスとして機能し、粉状CaO含有脱りん剤8をランス5の先端から転炉1内の溶銑2の浴面に吹き付けることができる。さらに、配管7には、流路7a側と流路7b側のそれぞれに流量調整弁10、11が設けられている。この流量調整弁10、11を調整することによって、酸素の供給量および供給期間、並びに、粉状CaO含有脱りん剤8の供給量および供給期間を任意に決めることができる。
上述したように、溶銑2に塊状CaO含有脱りん剤を投入した場合は、スラグ/メタル界面4で下記式1に示す脱りん反応が起こる。
3(CaO)+5(FeO)+2[P]=(3CaO・P)+5[Fe] (式1)
(上記式1において、( )はスラグ中の成分であることを意味し、[ ]は溶銑中の成分であることを意味する。)
一方、粉状CaO含有脱りん剤8を酸素と共にランス5から溶銑2の浴面に吹き付ける場合、上記式1の脱りん反応は、火点近傍12で起こる。火点近傍12では溶銑2の温度が高く、さらにランス5から吹き付けられるCaO含有脱りん剤8が粉状であることから、CaOが溶融しやすく、また火点近傍12ではFeOが豊富に存在するので、上記式1の脱りん反応は蛍石を使用せずとも速やかに進行する。そのため、火点近傍12への粉状CaO含有脱りん剤の供給量および供給期間が上記式1を律速する重要な操作量となる。
そこで、本発明者らは、さまざまな条件下で粉状CaO含有脱りん剤を溶銑に供給する実験を行い、吹込割合αと脱りん効率関係を調べた。ここで、脱りん効率とは、吹錬前の溶銑に含まれるりんの量や投入される副原料(スクラップ等)に含まれるりんの量など転炉に装入される全てのりんの量の総和に対する脱りんされたりんの量の割合を意味する。図2は、吹込割合αと、脱りん効率の関係を示した図である。
図2からわかるように、吹込割合αが大きい場合は、脱りん効率のバラツキが小さいが、吹込割合αが小さい場合は、脱りん効率のバラツキが急激に大きくなっている。したがって、吹込割合αの下限値を適当に設定し、吹込割合αがその下限値より大きくなるように制御しつつ脱りん吹錬を行うことによって、安定した高い脱りん効率を得ることができる。吹込割合αの好ましい下限値は0.8である。
吹込割合αが脱りん効率のバラツキに影響する理由としては、粉状CaO含有脱りん剤の供給速度が速すぎる(吹込割合αが小さい)と、CaOの滓化が阻害されるといったことや、FeOの生成が追いつかないといったことによって、火点近傍で上記式1の脱りん反応を抑制するような現象の発生確率が非常に高まるからであると考えられる。
また、吹錬前に、転炉内に塊状CaO含有脱りん剤を投入しておくことによって、吹錬初期に溶銑の浴面にカバースラグが成形され、スピッティング量を低減させられることが知られている(特許第3687433号公報)。塊状CaO含有脱りん剤は、脱りん以外に歩留まり低下を抑制する効果をもち、塊状CaO含有脱りん剤から生成したスラグは脱りん能力も持つ。
したがって、溶銑の脱りんを行う際には、塊状CaO含有脱りん剤と粉状CaO含有脱りん剤を併用することが好ましい。そこで、本発明者らは、塊状CaO含有脱りん剤と粉状CaO含有脱りん剤を併用するために、塊状CaO含有脱りん剤の脱りん効率と粉状CaO含有脱りん剤の脱りん効率の関係を実験によって調べた。図3にその実験結果を示す。
図3中に示したβは、CaO含有脱りん剤として塊状CaO含有脱りん剤のみを用いて脱りんを行い、脱りん効率80%以上を満足する塊状CaO含有脱りん剤の使用量と、CaO含有脱りん剤として粉状CaO含有脱りん剤のみを用いて脱りんを行い、脱りん効率80%以上を満足する粉状CaO含有脱りん剤の使用量と、を比較して前者を1とした場合の、後者の割合を示している。本発明では塊状CaO含有脱りん剤として前記したように生石灰、石灰石、転炉スラグなどを使用できるが、図3の調査においては粒径15〜35mm程度の生石灰を用いた。以下、このβを脱りん効率指数βという。
本発明の吹錬制御方法では、脱りん効率指数βを実験で見出しておき、それを考慮に入れてαがある下限値以上となるように粉状CaOの投入量と供給速度を決定する。
以下に、本発明の吹錬制御方法を実施する際に用いる吹錬制御システムについて、図4を参照しつつ具体的に説明する。図4は、本発明の吹錬制御方法を実施する際に用いることができる吹錬制御システム40の構成を概略的に示す図である。
図4に示すように、吹錬制御システム40は、溶銑データ41、目標データ42、および制御パラメータ43、に基づいて種々の計算を行う、上吹き酸素量および冷材量算出機能44、吹錬期間算出機能45、およびCaO含有脱りん剤投入方法の算出機能46、ならびに、入出力部47、を備えている。以下に、これらについて説明する。
溶銑データ41は、チャージ毎の溶銑重量、溶銑成分(C、Si、Mn、P等)、溶銑温度、溶銑率等の溶銑条件のデータである。
目標データ42は、チャージ毎の目標成分(C、Si、Mn、P等)、目標温度、材質コード毎に整理された目標塩基度等の目標値データである。
制御パラメータ43は、吹込割合αの下限値、脱りん効率指数β、粉状CaO含有脱りん剤を供給する設備の供給可能速度の上限値および下限値、塊状CaO含有脱りん剤投入量の初期値、上吹き酸素流量、ならびに、底吹きガス流量である。
上吹き酸素量および冷材量算出機能44では、溶銑データ41と目標データ42に基づいて、チャージ毎に目標成分を満足するために必要な上吹き酸素の供給量および冷材の投入量を算出する。
吹錬期間算出機能45では、上吹き酸素量および冷材量算出機能44で算出した上吹き酸素の供給量と制御パラメータ43に基づいて、チャージ毎に必要な吹錬期間を算出する。
CaO含有脱りん剤投入方法算出機能46では、吹錬期間算出機能45で算出した吹錬期間と溶銑データ41と目標データ42と制御パラメータ43を用いて、粉状CaO含有脱りん剤の供給量および供給速度、ならびに、塊状CaO含有脱りん剤の投入量を算出する。
入出力部47では、上吹き酸素量および冷材量算出機能44で算出した、上吹き酸素の供給量と冷材の投入量や、CaO含有脱りん剤投入方法算出機能46で算出した、粉状CaO含有脱りん剤の供給量および供給速度、ならびに、塊状CaO含有脱りん剤の投入量を表示するとともに、目標データ42および制御パラメータ43の修正入力などのインターフェイス機能を有する。
次に、CaO含有脱りん剤投入方法算出機能46での計算過程について、図5に示すフローチャートを参照しつつ具体的に説明する。
STEP1では、溶銑に投入するCaO源を、仮に全て塊状CaO含有脱りん剤とした場合に必要となる、溶銑1ton当たりの塊状CaO含有脱りん剤の投入量Wbk[kg/ton]を決定する。具体的には、以下に説明する方法で算出するか、もしくは溶銑りん濃度や目標塩基度などによって予め準備されたテーブル値を使用しても良い。
塊状CaO含有脱りん剤の投入量Wbkは、溶銑データ41に含まれる、溶銑重量および溶銑成分(Si)、ならびに、目標データ42に含まれる、材質コード毎に整理された目標塩基度から計算される。但し、塊状CaO含有脱りん剤の種類や粒径は、前記したように操業上の事情に応じて選択可能であるが、それらの相違は目標塩基度の修正にて対応可能である。
STEP2では、実際に吹錬前に投入する、溶銑1ton当たりの塊状CaO含有脱りん剤の投入量W[kg/ton]を決定する。このとき、制御パラメータ43として与えられる、溶銑1ton当たりの塊状CaO含有脱りん剤の投入量の初期値Wbi[kg/ton](経験によって適当に決められた、溶銑1ton当たりの塊状CaO含有脱りん剤の投入量。)を使ってもよいし、入出力部47で適宜その初期値を修正してもよい。
STEP3では、溶銑1ton当たりの粉状CaO含有脱りん剤供給量W[kg/ton]を、脱りん効率指数βを使い、下記式2に従って算出する。
=(Wbk−W)×β (式2)
STEP4では、吹込割合αが1.0、すなわち吹錬期間t[min]全体に渡って粉状CaO含有脱りん剤を供給し続けることを前提とし、下記式3に従って、粉状CaO含有脱りん剤の供給速度V[kg/min/ton]を算出する。ただし、吹錬期間tは、吹錬期間算出機能45で算出しておく。
V=W/(t×α) (式3)
(但し、α=1.0)
STEP5では、STEP4で求めた粉状CaO含有脱りん剤の供給速度Vを、粉状CaO含有脱りん剤を供給する設備の供給可能速度の上限値Vmax[kg/min/ton]および下限値Vmin[kg/min/ton]を使って、上下限チェックを行う。STEP4で求めた供給速度Vが上限値Vmaxと下限値Vminの間の値であれば処理を終了する。
STEP6では、STEP4で求めたVがVmaxより大きかった場合に、まずVをVmaxに置き換え、下記式4に従って、粉状CaO含有脱りん剤供給量を算出しなおす。すなわち、粉状CaO含有脱りん剤の供給を最大速度で行った場合に供給できる、溶銑1ton当たりの粉状CaO含有脱りん剤投入量W´[kg/ton]を算出する。
´=Vmax×(t×α) (式4)
(但し、α=1.0)
STEP7では、STEP6で算出された粉状CaO含有脱りん剤投入量W´を用い、下記式5に従って、溶銑1ton当たりの塊状CaO含有脱りん剤投入量を算出しなおして処理を終了する。STEP7で算出しなおされる、溶銑1ton当たりの塊状CaO含有脱りん剤投入量をW´[kg/ton]とする。
´=W+(W−W´)/β (式5)
STEP8では、STEP4で求めた供給速度Vが下限値Vmin未満の場合に、まずVをVminに置き換え、下記式6に従って、吹込割合αを算出する。
α=W/Vmin/t (式6)
STEP9では、STEP8で算出したαの下限値をチェックする。αがαmin以上であれば処理を終了する。ここで、αminは適当に設定された1以下の数値であり、上述したように、0.8とするのが好ましい。αがαminより小さい場合には、STEP10に進む。
STEP10では、αをαminとしたうえで、下記式7に従って、粉状CaO含有脱りん剤投入量を算出しなおす。STEP7で算出しなおされる、溶銑1ton当たりの粉状CaO含有脱りん剤投入量をW´´[kg/ton]とする。
´´=V×(t×α) (式7)
(但し、α=αmin
STEP11では、STEP10で算出された粉状CaO含有脱りん剤投入量W´´を用い、下記式8に従って、塊状CaO含有脱りん剤投入量を算出しなおして処理を終了する。STEP11で算出しなおされる、溶銑1ton当たりの塊状CaO含有脱りん剤投入量をW´´[kg/ton]とする。
´´=W+(W−W´)/β (式8)
以上の手順に従えば、安定した脱りん効率を実現できる、CaO含有脱りん剤投入方法(塊状CaO含有脱りん剤投入量、ならびに、粉状CaO含有脱りん剤供給量および供給期間)を求めることが可能となる。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う吹錬制御方法および該吹錬制御方法を用いた低りん溶銑の製造方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の吹錬制御方法の実施形態例を概略的に示す図である。 吹込割合αと脱りん効率の関係を示す図である。 脱りん効率指数βを説明する図である。 本発明の吹錬制御方法を実施する際に用いる制御システムの構成を概略的に示す図である。 CaO含有脱りん剤投入方法算出機能46について説明するフローチャートである。
符号の説明
1 転炉
2 溶銑
3 スラグ
4 スラグ/メタル界面
5 ランス
6 底吹きガス
7 配管
8 粉状CaO含有脱りん剤
9 容器
12 火点近傍

Claims (5)

  1. 上底吹き転炉を用いて、溶銑の浴面に酸素を吹き付けるとともに粉状CaO含有脱りん剤を吹き付ける、溶銑脱りん吹錬の吹錬制御方法であって、
    吹錬期間 に対する、前記粉状CaO含有脱りん剤の吹き付け期間の割合αが、予め前記αと脱りん効率との関係を調べて定めておいた任意の下限値α min 以上になるように、かつ、
    前記粉状CaO含有脱りん剤の供給速度Vが該粉状CaO含有脱りん剤を供給する設備の供給可能速度の上限値V max および下限値V min の間の値になるように、
    予め実験で見出しておいた下記脱りん効率指数βを考慮に入れて、
    前記粉状CaO含有脱りん剤の供給量 および供給速度を制御することを特徴とする、吹錬制御方法。
    β:CaO含有脱りん剤として塊状CaO含有脱りん剤のみを用いて脱りんを行い、脱りん効率80%以上を満足する塊状CaO含有脱りん剤の使用量と、CaO含有脱りん剤として粉状CaO含有脱りん剤のみを用いて脱りんを行い、脱りん効率80%以上を満足する粉状CaO含有脱りん剤の使用量と、を比較して前者を1とした場合の、後者の割合。
  2. 前記粉状CaO含有脱りん剤の供給量W および前記供給速度Vの制御を、
    溶銑データと、目標データと、前記α min 、前記β、前記V max 、前記V min 、前記塊状CaO含有脱りん剤投入量の初期値、上吹き酸素流量、および底吹きガス流量からなる制御パラメータと、前記吹錬期間t と、に基づいて計算を行う吹錬制御システムを用いて算出することを特徴とする、
    請求項1に記載の吹錬制御方法。
  3. 前記吹錬期間に対する、前記粉状CaO含有脱りん剤の吹き付け期間の割合の下限値が、0.8であることを特徴とする、請求項1または2に記載の吹錬制御方法。
  4. 前記粉状CaO含有脱りん剤を前記溶銑の浴面に吹き付ける前に、塊状CaO含有脱りん剤を前記上底吹き転炉内に投入することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の吹錬制御方法。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の吹錬制御方法を用いることを特徴とする、低りん溶銑の製造方法。
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