JP4305127B2 - 溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents

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本発明は、CaOを主体とする脱燐用媒溶剤を溶銑の浴面に吹き付けて行う溶銑の脱燐処理方法に関するものである。
近年、溶銑段階で予め脱燐処理(「予備脱燐処理」ともいう)を実施し、溶銑中の燐を或る程度除去した後、この溶銑を転炉に装入して転炉で脱炭精錬を実施する製鋼方法が発展してきた。この場合、溶銑の脱燐処理は、トーピードカー、溶銑鍋、転炉などの設備を用い、CaO系の脱燐用媒溶剤と酸素ガス及び固体の酸化鉄などの酸素源とを溶銑に添加して、溶銑中の燐を酸素源によって酸化し、生成した燐酸化物をCaO系の脱燐用媒溶剤などからなるスラグ中に取り込み、溶銑中の燐を除去するという方法で行われている。
この脱燐処理の際、溶銑中の燐を溶銑側からスラグ側に効率的に移行させるためには、スラグの組成及び質量などを制御することが極めて重要な因子となる。この内、スラグの組成に関しては、スラグの塩基度(CaO/SiO2 )を高い値に調整することが重要であると同時に、特に、蛍石(CaF2 )を脱燐用媒溶剤の滓化促進剤として使用することで、スラグの粘性低下やスラグ中のFeOの活量が増加するなどにより、脱燐反応が促進されることから、従来、生石灰などのCaO源に加えて蛍石を併用することが広く行われてきた。
例えば、特許文献1には、脱燐用媒溶剤として添加するCaOの質量と、添加する酸素源中の酸素の質量との質量比(CaO/O)を規定するのみならず、脱燐用媒溶剤中のCaF2 及びAl23 の総質量とCaOの質量との質量比((CaF2 +Al23 )/CaO)、並びに、脱燐用媒溶剤中のAl23 の質量とCaF2 の質量との質量比(Al23 /CaF2 )を規定した、CaF2 を併用することで脱燐率を向上させた脱燐処理方法が提案されている。
しかし、最近では環境保護の観点から、再利用されるスラグからの弗素(F)の溶出量が規制されるため、脱燐処理で生成するスラグについてもスラグ中の弗素濃度を低減させる必要が生じ、そのため、蛍石などの弗素源を使用しない脱燐処理方法が強く望まれるようになった。更に、近い将来、燐含有量の少ない良質の鉄鉱石が枯渇する懸念もあり、その場合には、現状よりも燐含有量の高い鉄鉱石を使用せざるを得ず、溶銑中の燐濃度が上昇する可能性があり、弗素源を必要としないで、効率良く脱燐処理する方法がより一層必要になる。
これらに対処すべく、蛍石などの弗素源を使用せずに効率良く脱燐処理を行う方法が幾つか提案されている。例えば、特許文献2には、溶銑に付与する攪拌力を1.2〜10kw/溶銑tとした上で、CaF2 、CaCl2 などの滓化促進剤を添加することなく、スラグ中のCaOとSiO2 とのモル比が1.7〜2.1となるように微粉のCaO源を添加して、脱燐処理する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、スラグの塩基度は2前後の低い値であるため、脱燐能が低下し、効率良く脱燐処理するためには多量のスラグが必要であり、そのため、環境保護の観点からのスラグ発生量の低減とは逆行してしまう。
又、特許文献3には、溶銑の脱燐処理前後の脱燐量に応じて脱燐用造滓剤中の弗素質量及びCaO質量を規定することにより、スラグ中の弗素をフロルアパタイト((3CaO・P25 )・CaF2 )の形態とし、生成するスラグからの弗素の溶出を抑制した脱燐処理方法が提案されている。しかしながら、フロルアパタイトは水に対して難溶性ではあるものの、溶解速度が遅いだけであるため、土壌で使用される場合のように、長い年数が経ると、溶出量はスラグ中に含まれる弗素量に比例するため、根本的な対策には成り得ない。又、特許文献3の実施例には、処理前の燐濃度が0.165質量%である高濃度の燐を含有する溶銑の脱燐処理が記載されているが、脱燐処理後の燐濃度は0.045質量%と高く、引き続き0.02質量%以下まで溶銑脱燐処理を実施しており、脱燐率が低いことに起因して多重処理が避けられず、処理コストの高騰が問題となる。
特開昭63−57712号公報 特開平9−143529号公報 特開2000−226610号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、蛍石などの弗素源を使用することなく、高濃度の燐を含有する溶銑であっても、溶銑中の燐を効率良く除去することのできる溶銑の脱燐処理方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、転炉型精錬容器を用い、CaO系の脱燐用造滓剤を使用して溶銑の脱燐試験を種々の条件下で実施した。以下に、試験結果を説明する。
蛍石(CaF2 )は、CaO系の脱燐用造滓剤を使用した脱燐精錬においては、CaO系スラグの溶融性を確保する上で重要な働きをしており、蛍石の添加量が少ない試験では、スラグは十分に滓化したようには見えず、脱燐反応効率も低下した。
しかし、試験を繰り返す内に、酸素ガスが供給されている領域に、微粉の生石灰を添加することで、蛍石を添加しなくても、脱燐反応が向上することを見出した。更に、生石灰の供給速度の変化に応じて、脱燐反応が大きく変化することが分かった。この現象は、溶銑中の燐濃度が高い場合にも確認できた。つまり、図1に示すように、溶銑の燐濃度及び珪素濃度に応じて、最適な生石灰の供給速度が存在することを確認した。尚、図1は、横軸を脱燐処理前の溶銑の燐濃度として、脱燐率が90%以上の試験を●印で表し、脱燐率が90%未満の試験を○印で表した図であり、図1の縦軸は、溶銑中の珪素の酸化により生成されるSiO2 と反応するCaO分を考慮して、生石灰中のCaO純分の平均添加速度(FCaO )から脱燐処理前の溶銑の珪素濃度([Si])を差し引いた「FCaO −0.4×[Si]」の値である。
図1に示すように、脱燐率が90%以上の試験と90%未満の試験とでは、脱燐処理前の溶銑中燐濃度に応じて、「FCaO −0.4×[Si]」の値に基づき、明確に分離されること、即ち、脱燐率が90%以上になる場合とならない場合とで、「FCaO −0.4×[Si]」の値に境界が存在することが見出された。この境界線を近似計算すると、図1に示す実線は下記の(1)式で近似され、図1に示す破線は下記の(2)式で近似されることが分かった。但し、(1)式及び(2)式において、FCaO は、CaOを主体とする脱燐用媒溶剤中のCaO純分の平均添加速度(kg/min・溶銑t)、[Si]は、脱燐処理前の溶銑中の珪素濃度(質量%)、[P]は、脱燐処理前の溶銑中の燐濃度(質量%)である。
Figure 0004305127
従って、生石灰中のCaO純分の平均添加速度(FCaO )を、脱燐処理前の溶銑中の燐濃度及び珪素濃度に応じて、下記の(3)式の範囲内に調整することで、蛍石などの弗素源を併用しなくても、90%以上の高い脱燐率を確保して脱燐処理を施すことができることを見出した。
Figure 0004305127
これは、脱燐反応が主に酸素ガスの供給されている領域(「火点」という)で起こるために、CaO純分の平均添加速度(FCaO )が(3)式を満足する範囲よりも小さい場合には、脱燐用造滓剤が不足するために脱燐率が高くならず、一方、CaO純分の平均添加速度(FCaO )が(3)式を満足する範囲よりも大きい場合には、酸素ガスが供給されている領域の脱燐用造滓剤が多くなり過ぎて、脱燐用造滓剤の滓化が遅れ、脱燐反応が阻害されるためである。溶銑中の珪素濃度が高い場合には、生成するSiO2 と反応するCaO分を確保した上で、脱燐用のCaO分を確保する必要があり、従って、(3)式からも明らかなように、脱燐処理前の溶銑中の珪素濃度に応じてCaO純分の平均添加速度(FCaO )を高める必要がある。
この場合、反応容器内で生成するスラグ量が多い場合には、上吹きした酸素ガスがスラグに遮断され、溶銑浴面へ到達することが妨げられるので、到達燐濃度が高くなることが分かった。生成するスラグ量を少なくするためには、スラグ中のSiO2 を低減することが効果的であり、従って、溶銑中の珪素濃度を脱燐処理前に予め低減しておくことが好ましく、特に、溶銑中の珪素濃度を脱燐処理前に予め0.1質量%以下に低減することで、脱燐反応が安定し、燐濃度の低い溶銑を安定して得ることができることが分かった。
又、粉体状の生石灰を溶銑浴面に吹き付けて添加することによって、生石灰の滓化が促進され、蛍石などの弗素源を使用しなくても、従来と同等の脱燐処理が可能であることも確認できた。この場合、滓化が促進されることにより、脱燐用造滓剤の使用原単位も大幅に低減することが分かった。尚、本発明における酸素ガスとは、工業的に純酸素ガスと呼ばれるもので、体積%で数%程度の窒素ガスなどを含有するガスも本発明における酸素ガスに含まれる。
本発明は、上記試験結果に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、溶銑の浴面に酸素ガスを吹き付けて供給すると共に、溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けてCaOを主体とする脱燐用媒溶剤を吹き付けて供給することにより溶銑を脱燐処理する方法であって、脱燐処理前の溶銑中の燐濃度及び珪素濃度に応じて、前記CaOを主体とする脱燐用媒溶剤中のCaO純分の平均添加速度(FCaO )が上記(3)式の範囲内となるように、当該脱燐用媒溶剤の供給量を調整することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1の発明において、前記溶銑の脱燐処理前の珪素含有量が0.1質量%以下であることを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1又は第2の発明において、前記脱燐用造滓剤として、実質的に弗素を含有しない物質を使用することを特徴とするものである。
本発明によれば、高濃度の燐を含有する溶銑であっても、脱燐用造滓剤として蛍石などの弗素源を併用することなく、CaOを主体とする脱燐用媒溶剤を使用するだけで、高い脱燐率で効率良く脱燐処理することが可能となる。又、脱燐処理で生成したスラグを再利用する際に、スラグからの弗素の溶出を考慮する必要がなく、スラグの再利用を促進させることができる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図2は、本発明に係る溶銑の脱燐処理方法を実施する際に用いる転炉型精錬設備の概略断面図である。
図2に示すように、本発明による溶銑の脱燐処理方法で用いる転炉型精錬設備1は、その外殻を鉄皮4で構成され、鉄皮4の内側に耐火物5が施行された炉本体2と、この炉本体2内に挿入され、上下方向に移動可能な鋼製の上吹きランス3とを備えている。炉本体2の上部には、収容した溶銑15を精錬後に出湯するための出湯口6が設けられ、又、炉本体2の炉底には、撹拌用ガス18を吹き込むための底吹き羽口7が設けられている。この底吹き羽口7はガス導入管8と接続されている。上吹きランス3には、酸素ガス配管9が接続されており、酸素ガス配管9を介して任意の流量で上吹きランス3から炉本体2内に酸素ガスが供給されるようになっている。
上吹きランス3は、造滓剤移送配管19を介して、脱燐用造滓剤17を収容するディスペンサー11と接続されており、一方、ディスペンサー11には、酸素ガス配管9から分岐した酸素ガス配管9A、並びに、窒素ガス配管10が接続されている。即ち、ディスペンサー11内に供給された酸素ガス及び窒素ガスは、ディスペンサー11内の脱燐用造滓剤17の搬送用ガスとして機能し、造滓剤移送配管19を経由して上吹きランス3の先端から、炉本体2内の溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けて、脱燐用造滓剤17を吹き付けて供給することができるようになっている。酸素ガス配管9,9Aには、それぞれ流量調整弁12,13が設けられ、又、窒素ガス配管10には、流量調整弁14が設けられており、酸素ガスを上吹きランス3から任意の流量で吹き込みながら、酸素ガス又は窒素ガスを、ディスペンサー11を経由して任意の流量で搬送用ガスとして吹き込むことができるようになっている。搬送用ガスとしては、酸素ガス及び窒素ガスに限るものではなく、Arガスや炭酸ガスなど種々の気体を利用することができる。
上吹きランス3は、外側から順に外管、中管、内管、最内管の同心円状の4種の鋼管(図示せず)即ち四重管で構成されており、酸素ガス又は窒素ガスを搬送用ガスとする脱燐用造滓剤17が最内管の内部を通り、酸素ガスが内管と最内管との間隙を通り、外管と中間との間隙及び中管と内管との間隙は冷却水の給排水流路となっている。尚、本発明に係る脱燐処理方法を実施する場合、上吹きランス3は脱燐用造滓剤17の供給流路を兼ねる必要はなく、上吹きランス3とは別に脱燐用造滓剤17の供給用ランスを設置してもよい。この場合には、上吹きランス3は四重管とする必要はなく、通常の三重管のランスを複数個配置すればよい。但し、炉本体2の上方部における設備配置が煩雑になるので、これを防止するためには、上吹きランス3が脱燐用造滓剤17の供給流路を兼ねることが好ましい。
このような構成の転炉型精錬設備1を用い、溶銑15に対して以下に示すようにして本発明に係る脱燐処理を実施する。
先ず、炉本体2内に、予め分析して燐濃度及び珪素濃度を把握した溶銑15を装入する。用いる溶銑15としてはどのような組成であっても処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。脱珪処理とは、溶銑15に酸素ガス或いはミルスケールなどの酸化鉄を添加し、主として溶銑15中の珪素を除去する処理である。因みに、脱燐処理前の溶銑15の主な化学成分は、炭素:3.8〜5.0質量%、珪素:0.4質量%以下、硫黄:0.05質量%以下、燐:0.08〜0.3質量%程度である。但し、前述したように、脱燐処理時に炉本体2内で生成されるスラグ16の量が多くなると脱燐効率が低下するので、炉内のスラグ量を少なくして脱燐効率を高めるために、予め脱珪処理により、溶銑15中の珪素濃度を0.1質量%以下まで低減しておくことが好ましい。又、溶銑温度は1250〜1350℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
脱燐処理を施す溶銑15の燐濃度及び珪素濃度を前述した(3)式に代入して、CaOを主成分とする脱燐用媒溶剤17中のCaO純分の平均添加速度(FCaO )の範囲を求める。そして、底吹き羽口7から窒素ガスなどの非酸化性ガス又はArガスなどの希ガスを撹拌用ガス18として溶銑15中に吹き込みながら、上吹きランス3から溶銑15の浴面に向けて酸素ガスを吹き付けて供給すると共に、求めた(3)式の範囲内の任意の平均添加速度(FCaO )で、CaOを主成分とする脱燐用造滓剤17を、上吹きランス3を介して溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けて吹き付けて供給し、溶銑15の脱燐処理を実施する。
この場合、CaOを主成分とする脱燐用造滓剤17としては、生石灰粉を使用することができる。生石灰粉にアルミナ粉などを滓化促進剤として加えてもよいが、本発明においては脱燐用造滓剤17を溶銑浴面に吹き付けて添加するので、生石灰粉単体であっても十分に滓化するので、アルミナ粉などの滓化促進剤は用いなくても十分に脱燐することができる。特に、スラグ16からの弗素の溶出量を抑えて環境を保護する観点から、蛍石などの弗素含有物質は脱燐用造滓剤17として使用しないことが好ましい。但し、弗素が不純物成分として不可避的に混入した物質については使用しても構わない。底吹き羽口7から吹き込まれた攪拌ガス18によって溶銑15は攪拌され、浴面に吹き付けられた脱燐用造滓剤17は火点にて溶融し、スラグ16を形成する。
脱燐処理時の酸素源が気体の酸素ガスのみでは溶銑温度が上昇し過ぎて脱燐反応が阻害される場合もあるので、必要に応じて固体酸素源としてミルスケールや鉄鉱石などの酸化鉄を添加してもよい。酸素ガスの添加量と固体酸素源の添加量との比は、溶銑15中の珪素濃度、燐濃度、炭素濃度などに応じて適宜変更することができる。又、脱燐用造滓剤17の投入量は、溶銑15中の珪素濃度及び燐濃度に応じて変更することとするが、スラグ16の塩基度(CaO/SiO2 )が2以上の範囲であるならば、最大でも溶銑トン当たり40kg程度であれば十分である。又、ランス高さは特に限定する必要はなく、スラグ16の生成量などを勘案して設定すればよい。
以上説明したように、本発明に係る溶銑の脱燐処理方法では、溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けてCaOを主体とする脱燐用媒溶剤17を吹き付けて溶銑15を脱燐処理する際に、溶銑15の燐濃度及び珪素濃度に応じて、CaO純分に換算した脱燐用造滓剤17の添加速度を最適範囲に調整するので、高い脱燐率で効率良く脱燐処理することが可能となる。又、CaOを主成分とする脱燐用造滓剤17を、溶銑15の酸素ガスの吹き付け面に向けて吹き付けて添加するので、CaOを主成分とする脱燐用造滓剤17の滓化が十分に進行し、蛍石などの弗素源を使用しなくても、従来と同等の脱燐処理が可能であり、そのため、脱燐処理で生成したスラグ16を再利用する際に、スラグ16からの弗素の溶出を考慮する必要がなく、スラグ16の再利用を促進させることができる。
尚、上記説明では、脱燐処理設備として転炉型精錬設備1を用いた場合を示したが、脱燐処理設備は上記の転炉型精錬設備1に限るものではなく、取鍋やトーピードカーなどの溶銑搬送容器などであっても、窒素ガス、Arガスなどの攪拌用ガスをインジェクションランスなどによって溶銑中に吹き込むことで、上記に沿って本発明を実施することができる。
高炉から出銑された溶銑を、溶銑鍋内で脱珪処理し、次いで、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理した後、図2に示す容量が300トンの転炉型精錬設備に装入して脱燐処理の試験を実施した。
試験では、脱燐用造滓剤として生石灰粉のみを用い、酸素ガスを搬送用ガスとし、上吹きランスから溶銑湯面に吹き付ける生石灰粉の添加速度を、CaO純分に換算した平均添加速度(FCaO )で0.34〜1.01kg/min・溶銑tに変化させた。酸素ガスの供給速度は20,000〜35,000Nm3 /h、酸素ガスの吹錬時間は10〜12分間とした。各試験共に底吹き羽口から窒素ガスを0.05〜0.1Nm3 /min・溶銑tの供給量で吹き込み、溶銑を攪拌した。又、処理前後の溶銑温度は1300〜1350℃の範囲に調整した。尚、蛍石は各試験共に全く使用していない。試験条件及び試験結果を表1に示す。
Figure 0004305127
溶銑中の珪素が酸化して生成されるSiO2 と反応するCaO分を考慮して、脱燐反応に使用されるCaO純分の平均添加速度(FCaO )から脱燐処理前の溶銑の珪素濃度([Si])を差し引いた「FCaO −0.4×[Si]」の値を縦軸とし、脱燐処理前の溶銑中珪素濃度([P])を横軸として、脱燐率が90%以上の試験を●印で表し、脱燐率が90%未満の試験を○印で表した図が図1である。図1に示すように、溶銑の燐濃度及び珪素濃度に応じて、最適な生石灰の供給速度が存在することが分かった。
つまり、図1からも明らかなように、脱燐率が90%以上の試験と90%未満の試験とでは、脱燐処理前の溶銑中の燐濃度に応じて、「FCaO −0.4×[Si]」の値に基づき、明確に分離されること、即ち、脱燐率が90%以上になる場合とならない場合とで、「FCaO −0.4×[Si]」の値に境界が存在することが分かった。この境界線を近似計算した結果、図1に示す実線は上記の(1)式で近似され、図1に示す破線は上記の(2)式で近似されることが分かった。
即ち、脱燐処理前の溶銑中の燐濃度及び珪素濃度に応じて、脱燐用造滓剤中のCaO純分の平均添加速度(FCaO )を図1に示す実線と破線とで囲まれた範囲に調整することにより、蛍石などの弗素源を使用しなくても、CaOを主体とする脱燐用造滓剤のみで、効率良く溶銑を脱燐することが可能であることが確認できた。尚、表1の区分の欄には、本発明の範囲の試験を本発明例と表示し、それ以外を比較例と表示した。
溶銑の脱燐処理試験において、脱燐率が90%以上の試験を●印で表し、脱燐率が90%未満の試験を○印で表した図である。 本発明に係る溶銑の脱燐処理方法を実施する際に用いる転炉型精錬設備の概略断面図である。
符号の説明
1 転炉型精錬設備
2 炉本体
3 上吹きランス
4 鉄皮
5 耐火物
6 出湯口
7 底吹き羽口
8 ガス導入管
9 酸素ガス配管
10 窒素ガス配管
11 ディスペンサー
12 流量調整弁
13 流量調整弁
14 流量調整弁
15 溶銑
16 スラグ
17 脱燐用造滓剤
18 撹拌用ガス
19 造滓剤移送配管

Claims (3)

  1. 溶銑の浴面に酸素ガスを吹き付けて供給すると共に、溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けてCaOを主体とする脱燐用媒溶剤を吹き付けて供給することにより溶銑を脱燐処理する方法であって、脱燐処理前の溶銑中の燐濃度及び珪素濃度に応じて、前記CaOを主体とする脱燐用媒溶剤中のCaO純分の平均添加速度(FCaO )が下記(3)式の範囲内となるように、当該脱燐用媒溶剤の供給量を調整することを特徴とする、溶銑の脱燐処理方法。
    0.25×ln([P])+0.8<FCaO−0.4×[Si]<0.5×ln([P])+1.6 …(3)
    但し、(3)式において、FCaO は、CaOを主体とする脱燐用媒溶剤中のCaO純分の平均添加速度(kg/min・溶銑t)、[Si]は、脱燐処理前の溶銑中の珪素濃度(質量%)、[P]は、脱燐処理前の溶銑中の燐濃度(質量%)である。
  2. 前記溶銑の脱燐処理前の珪素含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱燐処理方法。
  3. 前記脱燐用造滓剤として、実質的に弗素を含有しない物質を使用することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の溶銑の脱燐方法。
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