JP2001207206A - 溶銑脱りん法 - Google Patents

溶銑脱りん法

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JP2001207206A JP2000350040A JP2000350040A JP2001207206A JP 2001207206 A JP2001207206 A JP 2001207206A JP 2000350040 A JP2000350040 A JP 2000350040A JP 2000350040 A JP2000350040 A JP 2000350040A JP 2001207206 A JP2001207206 A JP 2001207206A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱りん剤として転炉スラグを利用して脱りん
処理する際に見られるスロッピングを防止すると共に、
炉壁等へのスラグ付着を防止し、安全に効率良く脱りん
処理することのできる方法を確立すること。 【解決手段】 転炉スラグを脱りん成分として利用して
溶銑脱りんを行なうに当たり、酸化鉄源を除く脱りん成
分として(1)転炉スラグ:50〜70質量%と蛍石:1
〜8質量%を含む脱りん剤を使用し、あるいは(2)転炉
スラグ:55質量%以上で実質的にCaF2を含まない
脱りん剤を使用すると共に、溶銑当たりの総酸素原単位
を調整して脱りん処理を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉で製造された
溶銑中のP(りん)を、転炉装入前に予備処理によって
効率よく除去することのできる溶銑脱りん法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】最近、転炉処理前の溶銑段階で[Si]
と[P]を除去する溶銑予備処理が普及している。従
来、溶銑中のPの除去については、転炉で多量の生石灰
を添加して脱りんする方法が汎用されてきたが、転炉で
の精練は通常約1650℃の高温で行なわれるため、低
温処理を好む脱りん処理にとって有利な方法とは言えな
い。これに対し溶銑予備処理は、約1300℃の低温で
行なわれるため、脱りん効率の点ではより有効な方法と
いえる。また予備処理によって脱りんを行なう際には、
前処理で予め脱珪処理してから脱りん処理を行なう場合
と、高炉から出銑された溶銑にそのまま脱りん剤を添加
して脱りんする場合がある。
【0003】そして、脱りん処理を終えた溶銑を転炉で
吹錬する際に、溶銑中の[P]量が製品規格以下まで低
減している場合は最早脱りんは不要であるから、転炉吹
錬では脱炭および昇温のみを行えばよい。しかしなが
ら、全くスラグのない状態(スラグレス)で吹錬を行な
うと、排ガスへのダストロスが著しく増大するため、通
常は、吹錬中の溶銑のカバーを目的として少量の生石灰
が添加される。
【0004】一方、溶銑中の[P]が製品規格以下まで
低下していない場合は、転炉吹錬工程でも多少の脱りん
が必要となるので、溶銑中の[P]量に応じた生石灰の
添加が行われる。つまり予め溶銑脱りんを行った場合で
も、転炉吹錬工程では副原料の添加が不可欠であり、そ
の結果として、脱りん処理されていない溶銑を使用した
場合の2〜3割程度の転炉スラグが生成する。
【0005】他方、転炉での精錬温度は約1650℃と
高温であるため、前述の如くスラグの脱りん能は低く、
従って精錬スラグ中のりん濃度は低くなる。特に溶銑予
備処理で脱りんを行なった溶銑を用いて吹錬したときに
生じる転炉スラグは、溶銑中の[P]が低いことから転
炉スラグ中のりん濃度は非常に低く(0.2〜0.8質
量%程度)、またこの転炉スラグは、通常約50質量%
程度のCaO(生石灰)を含んでいる。従ってこの転炉
スラグを、より低温で脱りん処理が行われる溶銑脱りん
時の脱りん成分として利用すれば、再度脱りん能を発揮
することが確認されている。
【0006】溶銑脱りん後のスラグ中に含まれるりん濃
度は通常2〜4質量%程度であるから、溶銑脱りん剤と
してりん濃度の低い転炉スラグを使用すれば、スラグ中
へりんを効果的に濃化することができ、脱りん剤として
用いられる生石灰の使用量を大幅に削減できる。
【0007】こうした転炉スラグを利用した溶銑脱りん
プロセスを例示すると、図1のフロー図に示す通りであ
る。即ち図中、1は高炉設備、2は混銑車、3は転炉を
示しており、高炉設備1から出銑された溶銑は混銑車2
で移送する過程で予備処理され、その後転炉3で吹錬処
理される。ここで従来は、溶銑予備処理および転炉吹錬
で生成した予備処理スラグや転炉スラグは施設外へ搬出
され、セメント原料や路盤材などとして利用されていた
が、上記転炉スラグを利用するプロセスでは、転炉3か
ら生じる転炉スラグの全量を溶銑予備処理工程へ返還し
て溶銑脱りん剤として有効利用し、生成した予備処理ス
ラグのみが施設外へ搬出される。このプロセスを採用す
る際の一般的な転炉スラグ組成(質量%)は次の通りで
ある。 CaO:45〜53%、SiO2:12〜18%、Mg
O:6〜8%、FeO:10〜20%、Fe23:5〜
10%、MnO:3〜10%、P25:0.4〜2%
【0008】溶銑脱りん処理が行なわれる反応容器とし
ては、混銑車の他、取鍋や転炉型脱りん炉等が使用され
るが、いずれにしても、吹錬工程で副生する転炉スラグ
を脱りん剤として利用することにより、生石灰の使用量
は大幅に削減され多大なコスト低減が可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】転炉スラグには、スラ
グ中のP25を3CaO・P25や4CaO・P25
して固定するのに必要なCaOが約50質量%程度含ま
れており、これが生石灰の代替として脱りんに有効に作
用する。しかしながら転炉スラグは、反面で相当量のS
iO2やFeOを含んでおり、しかも一旦転炉で溶融さ
れたプリメルト品であることから、これを生石灰の代替
として脱りん処理に使用すると、脱りん処理時の操業性
に大きな変動を来たす。
【0010】即ち、転炉スラグはプリメルト品であるた
め滓化速度が早く、またSiO2やFeOを含んでいる
ためそれ自体の融点も低い。従って転炉スラグを用いて
脱りん処理を行なうと、スラグが滓化過剰となって、混
銑車や転炉の炉口からスラグが溢れ出るスロッピング現
象を誘発する。スラグが容器外へ溢れ出ると、周辺の軌
道や設備がスラグで埋まったり焼損するといった重大な
操業トラブルの原因となる。しかも転炉スラグは、高融
点の鉱物である2CaO・SiO2を多量含んでいるの
で、これが低温の脱りん処理工程で十分に溶融せず、脱
りん処理中にインジェクションランスや混銑車の内張り
耐火物などの表面に付着して成長するため、ランスの寿
命低下や内容積減少といった操業トラブルの原因にもな
ってくる。
【0011】本発明は上記の様な事情に着目してなされ
たものであって、その目的は、脱りん剤として転炉スラ
グを利用する場合にみられる前述した障害、特にスロッ
ピング現象を防止すると共に2CaO・SiO2などの
付着・成長を抑制し、溶銑脱りん処理を安全に且つ効率
よく遂行することのできる方法を確立しようとするもの
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る溶銑脱りん法とは、転炉スラグを
脱りん成分として利用して溶銑脱りんを行なうに当た
り、酸化鉄源を除く脱りん成分として、 (1)転炉スラグ:50〜70質量%と蛍石:1〜8質量
%を含む脱りん剤を使用し、あるいは、 (2)転炉スラグ:55質量%以上で実質的にCaF2を含
まない脱りん剤を使用すると共に、下記式で定義される
総酸素原単位を溶銑トン当たり8.0Nm3以上とする 総酸素原単位[Nm3/溶銑トン]=酸素ガス原単位+
転炉スラグ中(FeO+Fe23)酸素分の[Nm3
溶銑トン]換算値+酸化鉄中(FeO+Fe2 3)酸素
分の[Nm3/溶銑トン]換算値とする ところに要旨を有している。
【0013】なお本発明の溶銑脱りん法を実施する際に
使用される脱りん剤としては、上記転炉スラグや蛍石の
他、生石灰や酸化剤としてスケールなどの酸化鉄源が含
まれるが、本発明では、これらのうち酸化鉄源を除いた
脱りん成分の含有率として規定している。従って、上記
転炉スラグと蛍石の含有率範囲を満たす限り、生石灰の
配合量やスケールなどの酸化鉄源などの配合量は特に制
限されない。また転炉スラグにも相当量の酸化鉄が含ま
れるが、該酸化鉄は転炉スラグの1成分として該転炉ス
ラグとしての配合量に含めるものとする。
【0014】上記(1)の溶銑脱りん法を実施するに当た
っては、上記転炉スラグの配合量を(X)、蛍石の配合
量を(Y)とした時、これらが下記式(I)の関係 Y≦24−0.32X……(I) また上記(2)の脱りん法を実施するにあったっては、同
じく上記転炉スラグの配合量を(X)、総酸素原単位を
(Z)とした時、下記式(II)の関係 Z≦16.03−0.066X……(II) を、それぞれ満たす様に調整すれば、転炉スラグ使用に
よる前述した難点、即ちスロッピングの発生とスラグ付
着の問題を一層確実に防止することができるので好まし
い。
【0015】また本発明にかかる脱りん法の特徴は、処
理容器に対して溶銑の占める比率が多く空間容積が小さ
くなる混銑車や取鍋で脱りん処理を行なう際に特に効果
的に活かされる。
【0016】
【発明の実施の形態】転炉スラグを生石灰の代替として
使用した場合、全脱りん剤中に占める転炉スラグの割合
が高くなるほど、脱りんスラグが滓化過剰となって脱り
ん処理中にスロッピングを起こし易くなることは、先に
説明した通りである。そこで、転炉スラグを利用した脱
りん処理で指摘される上記問題の解消に焦点を絞って研
究を進めてきた。
【0017】その結果、まず第1の知見として、転炉ス
ラグと共に適量の蛍石(弗化カルシウム主体の鉱石)を
併用すれば、溶銑脱りん工程で生じるスロッピングの発
生を防止できると共に、ランスや溶銑予備処理炉内壁へ
の2CaO・SiO2の付着・成長も可及的に抑えられ
ることを知り、上記第1の発明に想到した。
【0018】生石灰を脱りん剤として使用する従来の溶
銑脱りんでは、脱りん剤として用いる生石灰の滓化を促
進するため、生石灰と共に適量の蛍石が併用されてい
る。ところが転炉スラグを併用する前記プロセスでは、
転炉スラグの使用による滓化過剰が操業上大きな問題と
なるため、滓化促進剤としての蛍石の使用はむしろ避け
られてきた。
【0019】しかしながら本発明者らが種々研究を進め
た結果、転炉スラグの使用量に応じて蛍石の配合量を適
正にコントロールすれば、脱りん剤全体としての滓化状
態がより適正に制御されると共に、スロッピングやスラ
グ付着の問題も解消されることが確認された。
【0020】図2は、転炉スラグを利用した脱りん処理
時における脱りん剤組成とスロッピング発生率の関係を
グラフ化して示したものであり、図2の横軸は、転炉ス
ラグ原単位/(転炉スラグ原単位+生石灰原単位+蛍石
原単位)で、スケールなどの酸化鉄源は計算から除外し
ている。
【0021】図2からも明らかな様に、転炉スラグの配
合率を多くした場合でも、該転炉スラグの配合量に応じ
て蛍石の配合率を適正に調整すれば、スロッピング発生
率を確実に制御できることが分かる。そして通常の溶銑
脱りん操業では、経験上スロッピング発生率を30%以
下に抑えれば、実操業上の障害にはならないことが確認
されている。
【0022】一方、転炉スラグを利用した溶銑脱りん工
程では、前述の如く2CaO・SiO2を主体とするス
ラグの付着・成長の問題を生じるが、蛍石は2CaO・
SiO2に対しても優れた溶解能を示すので、適量の蛍
石を併用することによりこうしたスラグ付着の問題も解
消できることが確認された。
【0023】ちなみに図3は、脱りん剤中に占める転炉
スラグおよび蛍石の配合量がランスへのスラグ付着量に
及ぼす影響を調べた結果を示したグラフである。なお混
銑車脱りんを行なう場合、その容器形状から個々の混銑
車ごとに内張り耐火物への2CaO・SiO2の付着量
を把握することは困難であるため、この実験ではインジ
ェクションランスヘのスラグ付着発生率と蛍石配合量と
の関係として調査した。
【0024】図3からも明らかな様に、転炉スラグの配
合率を多くした場合でも、それに応じて蛍石の配合率を
増加させてやれば、ランスヘのスラグ付着発生率を抑制
できることが分かる。尚、ランスがスラグで肥大すると
ランス昇降不能などの大きな操業阻害を引き起こすが、
ランスヘのスラグ付着発生率を10%以下に抑えてやれ
ば、実操業上は支障なく溶銑脱りん操業を遂行できるこ
とを確認している。
【0025】上記図2および図3の結果から、溶銑脱り
ん処理時に使用される転炉スラグの配合率と蛍石の配合
率の関係において、スロッピング発生率を30%以下、
およびランスヘのスラグ付着発生率を10%以下に抑え
ることのできるより好ましい組成を求めると、図4に示
す通りとなる。
【0026】上記図2,3より、脱りん剤として転炉ス
ラグを多量に使用して脱りん剤原単位の低減効果を有効
に享受するには、転炉スラグ配合率を50〜70質量
%、蛍石配合率を1〜8質量%の範囲に設定することが
必要となる。また図4より、過剰なスロッピングを発生
させることなく、且つランスや耐火物壁へのスラグ付着
をより効果的に抑制することのできる転炉スラグと蛍石
の好適配合量の関係は、転炉スラグの配合量をX、蛍石
の配合量をYとした時、「Y≦24−0.32X」の関
係を満たす範囲となる。
【0027】ちなみに、転炉スラグの配合量が50質量
%未満では、副生物としての転炉スラグを有効利用する
という本発明の目的を有意に活かすことができず、一方
70質量%を超えて過度に転炉スラグ量を増大すると、
蛍石の配合量を如何に調整してもスロッピングの問題が
回避できなくなり、また蛍石の配合量が1質量%未満で
は、スラグ付着の問題が解消できなくなり、逆に8質量
%を超えて過度に蛍石を配合すると、スロッピングの問
題が回避できなくなる。転炉スラグのより好ましい配合
量は60〜70質量%、蛍石のより好ましい配合量は1
〜5質量%、更に好ましくは1〜3質量%の範囲であ
る。
【0028】他方溶銑脱りん処理では、溶銑中のりんを
酸化するための酸素源として鉄鉱石などの酸化鉄と酸素
ガスが使用される。酸化鉄は反応容器の上方から塊状の
ものを溶銑上へ添加する場合と、溶銑中に浸漬した耐火
物製のランスを通して粉体状のものをキャリアガスと共
に溶銑中へ吹き込む場合がある。また、酸素ガスはラン
スを通して溶銑の上方から溶銑へ吹付ける場合と、耐火
物製のランスを通して脱りん剤と共に溶銑中へ吹込む場
合がある。
【0029】酸化鉄を用いる脱りん処理では溶銑の温度
は低下し、酸素ガスを用いる脱りん処理では溶銑の温度
は上昇する。従って、一般的には脱りん処理後の温度を
所定値に調整するため酸化鉄と酸素ガスを併用し、それ
ぞれの原単位を調整しながら脱りん処理する方法が採用
されている。
【0030】脱りん時に酸化剤として使用された酸化鉄
や酸素ガスは、脱りんスラグ中のT.Fe(全酸素)濃
度を上昇させる。酸化鉄や酸素ガスは、溶銑中のりんや
炭素の酸化に消費されるが、酸化鉄の一部は未反応のま
まスラグへ移行し、また酸素ガスの一部は鉄の酸化に消
費される。従って、例えば図5に示す如くこれら酸化剤
の原単位の上昇と共に脱りんスラグ中のT.Fe濃度は
上昇する。ここでT.Feとは、FeOおよびFe23
中のFe分のみの濃度を意味し、また、図中の総酸素原
単位は次式で定義するものであり、酸素ガス原単位およ
び脱りん剤中のFeO+Fe23中酸素分のNm3/溶
銑トン換算値を合計したものである。 総酸素原単位[Nm3/溶銑トン]=酸素ガス原単位+
転炉スラグ中(FeO+Fe23)酸素分の[Nm3
溶銑トン]換算値+酸化鉄中(FeO+Fe23)酸素
分の[Nm3/溶銑トン]換算値 FeOやFe23は酸化物の溶解度が大きく、FeOや
Fe23の存在によりスラグ中の2CaO・SiO2
溶解が促進されることが知られている。
【0031】そこで本発明の第2の構成として、蛍石に
代えてスラグ中のT・Feの制御により、脱りん剤とし
て転炉スラグを使用した時の2CaO・SiO2の耐火
物への付着を防止することを考えた。
【0032】図6には、蛍石を使用しなかった場合のス
ロッピング発生率に及ぼす転炉スラグの配合率と総酸素
原単位の影響を示しており、この図からも明らかな様
に、蛍石添加の場合と同様に、転炉スラグの配合率を多
くした場合でも、総酸素原単位の適正化によりスロッピ
ング発生率を制御できることが確認された。
【0033】また図7は、蛍石を使用しなかった場合の
ランスへのスラグ付着発生率に及ぼす転炉スラグの配合
率と総酸素原単位の影響を示しており、この図からは、
転炉スラグの配合率を多くした場合でも、総酸素原単位
の適正化によりランスへのスラグ付着を制御できる。
【0034】図6,7の結果から、溶銑脱りん処理時に
使用される転炉スラグの配合率と総酸素原単位の関係に
おいて、スロッピング発生率を30%以下に、またラン
スへのスラグ付着発生率を10%以下に抑えることので
きるより好ましい組成を求めると、図8に示す通りとな
る。図8より、脱りん剤として蛍石を使用せずに、過剰
なスロッピングを発生させることなく、且つランスや耐
火物壁へのスラグ付着を抑制することのできる転炉スラ
グと総酸素原単位のより好ましい配合量の関係は、総酸
素原単位が8Nm3/溶銑トン以上で且つ転炉スラグの
配合量をX、総酸素原単位をZとしたとき、「Z≦1
6.03−0.066X」の関係を満たす範囲となる。
【0035】なお本発明で使用する脱りん剤には、上記
転炉スラグなどの他、溶銑中のりん含有量に応じて適量
の生石灰を配合し、更には酸化剤としてスケール(酸化
鉄)などが配合されるが、それらの配合量は特に制限さ
れない。
【0036】そして、上記条件を満たす範囲で可能な限
り生石灰を転炉スラグに置き換えることにより、スロッ
ピングの発生やランスヘのスラグ付着の発生を可及的に
防止しつつ、溶銑脱りんを効率よく実施し得ることにな
った。尚、上記脱りん剤の添加方法は特に制限されない
が、たとえば、溶銑内に浸漬配置した浸漬ランスから、
窒素ガスなどのキャリアガスを用いて吹込む方法等が例
示される。
【0037】なお溶銑脱りんを行なう容器としては、混
銑車、取鍋あるいは転炉等が使用されるが、転炉では容
器内容積のうち溶銑の占める比率は約20%程度である
のに対し、混銑車や取鍋では容器の内容積のうち60〜
80%程度を溶銑が占めており、上部の空間容積が非常
に小さい。すなわち、混銑車や取鍋はスロッピングが発
生し易い容器であるため、特にスロッピングを引き起こ
さないような配慮を必要とする。従って本発明は、溶銑
脱りん処理容器として混銑車や取鍋を使用する場合に特
に効果的に活かされる。
【0038】
【実施例】以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実験例によって制限
を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範
囲で適当に変更を加えて実施することは、何れも本発明
の技術的範囲に包含される。
【0039】実施例1 高炉鋳床上で脱珪処理を行い、脱珪された該溶銑310
トンを混銑車に受銑した。該溶銑上の脱珪スラグをスラ
グドラッガーで除去した後、転炉スラグ粉20.3kg
/トン、生石灰粉10.1kg/トン、蛍石粉1.2k
g/トンおよび鉄鉱石粉25.5kg/トンの混合物
を、溶銑中に浸漬したランスから窒素ガスと共に吹き込
み、溶銑脱りん処理を行った。また該脱りん処理中に
は、水冷式のランスから溶銑上に酸素ガスを2.0Nm
3/トンで吹き付けた。
【0040】上記溶銑脱りん処理において「転炉スラグ
粉+生石灰粉+蛍石粉」中に占める転炉スラグ配合率は
64質量%、蛍石配合率は4質量%であり、脱りん処理
中にスロッピングは見られず、また脱りん処理後のラン
スにスラグの付着も認められなかった。
【0041】実施例2 高炉鋳床上で脱珪処理を行い、脱珪された該溶銑293
トンを混銑車に受銑した。該溶銑上の脱珪スラグをスラ
グドラッガーで除去した後、転炉スラグ粉(酸素含量:
5.2質量%)25.8kg/溶銑トン、生石灰粉6.
2kg/溶銑トン、鉄鉱石粉(酸素含量:28.1質量
%)27.0kg/溶銑トンの混合物を、溶銑中に浸漬
したランスから窒素ガスと共に吹き込み、溶銑脱りん処
理を行った。また該脱りん処理中には、水冷式のランス
から溶銑上に向けて酸素ガスを2.9Nm3/溶銑トン
で吹き付けた。
【0042】上記溶銑脱りん処理において「転炉スラグ
粉+生石灰粉」に対して、転炉スラグ配合率は81質量
%、総酸素原単位は9.2Nm3/溶銑トン(計算式は
下記の通り)であり、蛍石は添加しなかったが脱りん処
理中にスロッピングの発生は起こらず、また脱りん処理
後のランスにスラグの付着も認められなかった。 総酸素原単位=1000×0.052×1/32×0.0224×25.8+100
0×0.281×1/32×0.0224×27.0+2.9=9.2(Nm3/溶銑
トン)
【0043】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、溶
銑脱りん処理用の脱りん剤として転炉スラグを有効利用
する際に、該転炉スラグと共に適量の蛍石と生石灰を併
用し、あるいは蛍石を使用することなく総酸素原単位を
適正に制御することによって、転炉スラグ使用によって
生じる実操業上の問題として指摘されるスロッピングの
問題およびスラグ付着・堆積の問題を生じることなく、
安い脱りん剤コストで効率よく溶銑脱りんを遂行し得る
ことになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で採用される転炉スラグ利用の脱りん剤
リサイクルと従来法を示す概略フロー図である。
【図2】溶銑脱りん処理時におけるて転炉スラグおよび
蛍石の使用量とスロッピング発生率の関係を調べた実験
データを示すグラフである。
【図3】溶銑脱りん処理時におけるて転炉スラグおよび
蛍石の使用量とランスへのスラグ付着量の関係を調べた
実験データを示すグラフである。
【図4】転炉スラグと蛍石を併用して溶銑脱りんを行な
う際に、転炉スラグ配合量と蛍石配合量のより適切な範
囲を示すグラフである。
【図5】脱りん処理時の総酸素原単位と脱りん処理後の
スラグ中のT・Fe量との関係を示すグラフである。
【図6】転炉スラグ配合率と脱りん処理時のスロッピン
グ発生率の関係を示すグラフである。
【図7】転炉スラグの配合率とランスへのスラグ付着比
率の関係を示すグラフである。
【図8】転炉スラグ配合率および蛍石配合率のより適正
な関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬村 康一郎 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 星川 郁生 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 Fターム(参考) 4K014 AA03 AB02 AB03 AB04 AB16 AC01 AC14 AC16 AC17 AD21 AD23 AD27

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉スラグを脱りん成分として利用して
    溶銑脱りんを行なうに当たり、酸化鉄源を除く脱りん成
    分として、転炉スラグ:50〜70質量%と蛍石:1〜
    8質量%を含む脱りん剤を使用することを特徴とする溶
    銑脱りん法。
  2. 【請求項2】 上記転炉スラグの配合量を(X)、蛍石
    の配合量を(Y)とした時、これらが下記式の関係を満
    たす様に調整する請求項1に記載の溶銑脱りん法。 Y≦24−0.32X
  3. 【請求項3】 転炉スラグを脱りん成分として利用して
    溶銑脱りんを行なうに当たり、酸化鉄源を除く脱りん成
    分として、転炉スラグ:55質量%以上で実質的にCa
    2を含まない脱りん剤を使用すると共に、下記式で定
    義される総酸素原単位を溶銑トン当たり8.0Nm3
    上とすることを特徴とする溶銑脱りん法。 総酸素原単位[Nm3/溶銑トン]=酸素ガス原単位+
    転炉スラグ中(FeO+Fe23)酸素分の[Nm3
    溶銑トン]換算値+酸化鉄中(FeO+Fe2 3)酸素
    分の[Nm3/溶銑トン]換算値
  4. 【請求項4】 上記転炉スラグの配合量を(X)、前記
    総酸素原単位を(Z)とした時、これらが下記式の関係
    を満たす様に調整する請求項3に記載の溶銑脱りん法。 Z≦16.03−0.066X
  5. 【請求項5】 溶銑脱りん処理容器として混銑車または
    取鍋を使用する請求項1〜4のいずれかに記載の溶銑脱
    りん法。
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