JP3733010B2 - 溶銑脱りん方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉で製造された溶銑中に含有されるP(りん)分を、転炉装入前に溶銑予備処理によって効率よく除去することのできる溶銑脱りん方法で、特に反応容器のフリーボード部の耐火物内面に予備処理スラグの付着、成長を抑制する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、溶銑段階で[Si],[P]分を除去する溶銑予備処理が普及している。そのなかで脱りん反応は2P+5(FeO)+4(CaO)=(4CaO・P25)+5Fe式で行われる。従来、溶銑中のりん分の除去については、転炉で多量の生石灰を添加して脱りんする方法が汎用されていたが、転炉での精練は通常約1650℃の高温で行われるため、低温処理が適する脱りん処理にとって転炉の精練は有利な方法とは言えない。これに対し溶銑予備処理は、約1300℃で転炉精練に比べ低温で行われるため、脱りん処理の点ではより有効な方法である。
【0003】
また溶銑予備処理によって脱りんを行う際には、前処理で予め脱珪処理を行って後脱りんを行う場合と、高炉から出銑された溶銑にそのまま脱りん剤を添加して脱りんする場合とがある。そして、溶銑脱りん処理後の溶銑を転炉で吹錬する際に、溶銑中の[P]量が製品規格以下まで低減している場合は最早脱りんは不要であるから、転炉吹錬では脱炭および昇温のみを行えばよいが、全くスラグのない状態(スラグレス)で吹錬を行うと、排ガスへのダストロスが著しく増加するため、通常は吹錬中の溶銑のカバーを目的として少量の生石灰が添加される。一方溶銑の[P]が製品規格以下まで低減していない場合は、転炉吹錬工程でも多少の脱りんが必要となるので、溶銑中の[P]量に応じた生石灰の添加が行われる。
【0004】
つまり予め溶銑脱りん処理を行った場合でも、前述のごとく転炉吹錬工程では副原料の添加が少量であっても不可欠であり、その結果として脱りん未処理溶銑を使用した場合の2〜3割程度の転炉スラグが生成する。他方、転炉の精練温度は約1650℃と高温であるため、前述のごとくスラグの脱りん能は低く、したがって精練時に生成する転炉スラグ中のりん濃度は低くなる。特に溶銑脱りん処理を行った溶銑を用いたときの転炉スラグは、溶銑中の[P]が低いことから、りん濃度は非常に低く、0.4〜0.8質量%程度であり、かつ通常50質量%程度のCaOを含んでいる。よってこの転炉スラグを溶銑脱りん処理時の脱りん剤として利用すれば再度脱りん能を発揮することが確認されている。溶銑脱りん後の予備処理スラグ中に含まれるりん濃度は通常2〜4質量%程度であるから、溶銑脱りん剤としてりん濃度の低い転炉スラグを使用すれば、予備処理スラグ中へりんを効果的に取り込んで濃化することができ、脱りん剤として用いられる生石灰の使用量を大幅に削減できる。
【0005】
こうした転炉スラグを利用した溶銑脱りん処理を例示すると、高炉設備から出銑された溶銑は混銑車で移送する過程で溶銑予備処理され、その後転炉で吹錬処理される。ここで従来は、溶銑予備処理および転炉吹錬で生成した予備処理スラグや転炉スラグは系外へ搬出され、セメント原料や路盤材などとして使用されていたが、上記転炉スラグを利用するプロセスでは、転炉から生じる転炉スラグの全量を溶銑予備処理工程へリターンして溶銑脱りん剤として有効利用し、生成した予備処理スラグのみが系外へ搬出される。このプロセスを採用する際の通常一般的な転炉スラグ組成(質量%)は次の通りである。CaO:45〜53,SiO2:12〜18,MgO:6〜8,FeO:10〜12,Fe23:4〜5,MnO:3〜10,P25:1.0〜1.8
【0006】
溶銑脱りん処理が行われる反応容器としては、混銑車の他、取鍋や転炉型脱りん炉等が使用されるが、いずれにしても、転炉吹錬工程で副生する転炉スラグを脱りん剤として利用することにより、生石灰の使用量は大幅に削減できて多大なコスト低減が可能となる。このように転炉スラグを脱りん剤として再利用することは、例えば特公昭55―30042号公報や特開平4―333506号公報に記載されている技術である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
転炉スラグを脱りん剤として用い混銑車等の反応容器内で溶銑脱りん処理を行う場合に生ずる大きな操業上の問題の一つは、溶銑面より上部の空間いわゆるフリーボード部の耐火物内面への予備処理スラグ(以下スラグと称する)の付着現象である。この付着物は溶銑脱りん処理の繰り返しとともに成長し、約200回の脱りん処理を行った時点では、付着物の厚みは約1mにも達する場合がある。混銑車天井部の耐火物内面に生成した付着物の鉱物相をX線回折により同定したところ、主要鉱物相として2CaO・SiO2相および2CaO・SiO2・Al23相の存在が確認された。当該スラグを光学反射顕微鏡で組織観察したところ、図4に示すように2CaO・SiO2相の間を2CaO・SiO2・Al23相が埋めていることが判明した。さらに当該スラグを1350℃で溶融させた後に急冷し、組織観察を行った結果、図5に示すように2CaO・SiO2相の周りに2CaO・SiO2・Al23相のデンドライトが確認された。これから、溶銑処理温度では高融点の2CaO・SiO2相と低融点の液相が共存し、2CaO・SiO2・Al23相は冷却過程で液相から晶出したものであることが分かる。したがって、低融点の液相が高融点の2CaO・SiO2相のバインダーの役目を果たしていることが明らかとなった。
【0008】
フリーボード部の耐火物内面へのスラグの付着が増大する原因は以下のように考えられる。図6は,脱りん剤中のCaO分をどれだけ転炉スラグで置き換えたかを示す指標(脱りん剤の転炉スラグ置換率)とスラグ中の遊離石灰量の関係を示したものである。ここで脱りん剤の転炉スラグ置換率は次の式により求めた。脱りん剤の転炉スラグ置換率(%)=(転炉スラグ中のCaO分量)/(脱りん剤の全CaO分量)×100 また図6中の計算f-CaO濃度は、投入された脱りん剤中の生石灰分がすべて遊離石灰になったと仮定して計算した結果である。図6に示すように、脱りん剤の転炉スラグ置換率0%、すなわち石灰系脱りん剤を用いた従来の脱りん処理では,処理後のスラグにおける遊離石灰の濃度は0.1%〜28%と大きくばらついている。ところが脱りん剤の転炉スラグ置換率が25%以上になると、処理後のスラグ中の遊離石灰濃度は大きく減少する。スラグ中の遊離石灰の存在形態としては、未滓化石灰と晶出石灰の二つがあるが、転炉スラグの置換率=0%、すなわち従来の脱りん処理のスラグを観察した結果、未滓化石灰が多量に存在することが確認された。
【0009】
一方,脱りん剤として転炉スラグを使用した脱りん処理の場合、スラグ中には未滓化石灰は確認できなかった。つまり生石灰は融点が2570℃と高いため他の酸化物との反応が遅く、低融点相の生成が困難である。したがって従来の転炉スラグを用いず生石灰と酸化鉄をベースとした脱りん処理では、スラグの液相が少なく、高融点鉱物を繋ぎ止めるバインダーが不十分なため、耐火物へのスラグ付着は生じない。これに対して、転炉スラグは一旦溶融過程を経て冷却したプリメルト品であるため、液相が短時間で容易に生成される。これが脱りん剤として転炉スラグを増量使用することにより混銑車等の反応容器の天井部へのスラグの付着が増大する原因と考えられる。
【0010】
脱りん処理では脱りんのための酸化剤として供給する鉄鉱石粉や酸素ガスが溶銑中の[C]と反応し、COガスの発生を伴いながら脱りんが進行する。このためスラグ中にCOガスがトラップされスラグがフオーミングする。フオーミングが甚だしい場合は、スラグが反応容器の炉口から溢れ出る、いわゆるスロッピングを引き起こす。スロッピングは軌道や周辺設備の焼損等重大なトラブルの原因となるため、脱りん処理においてはスロッピングの発生率を低位に抑制することが重要である。スロッピングの発生を抑制するには混銑車等の反応容器内で溶銑面上に十分な空間いわゆるフリーボード部を確保しておく必要があるが、脱りん剤として転炉スラグを使用した場合は、フリーボード部の耐火物内面へのスラグ付着が著しく、フリーボード部が小さくなり,容易にスロッピングを誘発していた。
【0011】
このため,反応容器内のフリーボード部を確保するために、容器内に受ける溶銑量を減らさざるを得ず,脱りん処理能力の低下や容器の耐火物コストの上昇などの問題を抱えていた。すなわち、転炉スラグを脱りん剤として利用することで,脱りんのための生石灰が大幅に削減でき,脱りんコストの大幅な低減が可能となる一方、フリーボード部へスラグが付着、成長するといった問題を抱えており、転炉スラグを脱りん剤として再利用する上での大きな障害となっていた。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解消するためになしたものであって、その目的は、反応容器内のフリーボード部の耐火物内面にスラグの付着、成長を抑制する溶銑脱りん方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る本発明は全CaO分の25質量%異常を転炉スラグ中のCaOで置き換えた脱りん剤と酸化剤を用いて行う溶銑脱りん処理であって、脱りん処理期間中の、始めのスラグ組成をさほど問題としなくても良い処理期間を除いた少なくとも80%以上にわたり、反応容器内のスラグの液相率を45質量%以下、または80質量%以上に保つことを特徴とする溶銑脱りん方法である。これの作用、効果を説明するとCaO当量で25質量%以上占める脱りん剤で溶銑予備処理を行うと、この脱りん剤によって液相が生成しやすく、生成したスラグが反応容器のフリーボード部の耐火物内面に付着、成長しやすいので、これを防ぐために脱りん処理期間中の、始めのスラグ組成をさほど問題としなくても良い処理期間を除いた脱りん反応の進行がすすむ80%以上の期間にわたり、生成するスラグの液相率を45質量%以下、または80質量%以上に保つことによりスラグが耐火物内面に付着、成長することを抑制するものである。スラグ中の液相率を45質量%以下にすると、高融点鉱物相間を繋ぎ止めるバインダーが少なく、かつ耐火物への接着力も低下するためスラグは付着せずに落下する。一方液相率が80質量%以上にすると、スラグの粘性が低いためフリーボード部に飛散してもスラグは垂れ落ち、付着しない。ここにいう液相率とはスラグ全重量に占めるスラグ中液相の重量の割合を示すものであり、平衡状態の液相率はスラグ組成と温度が決まれば一義的に決まるものである。従って、スラグ組成が決定すれば予備処理時のスラグ液相率は熱力学計算を実施することにより精度よく推定することが可能である。最近、多元系スラグの高温での各相の組成・構成比を計算する熱力学ソフトが汎用されており、これらを用いれば溶銑処理温度での液相率は容易に計算できる。例えば熱力学ソフトとしてはアーヘン工科大学で開発されたCHEMSAGEが、また計算に用いるモデルとしてはGaye−Kapoor−Frohbergらの編集のものを使用すればよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
発明者らは、フリーボード部の耐火物内面における付着物の生成は、スラグの液相率により左右されると考えた。すなわち液相率が低ければ高融点鉱物相間を繋ぎ止めるバインダーが少なく、かつフリーボード部耐火物(主としてAl23−SiC−C系煉瓦や高アルミナ質系煉瓦)への接着力も低下するため、スラグは付着せずに落下する。一方液相率が高い場合はスラグの粘性が低いためいったんフリーボード部に飛散してもスラグは垂れ落ちてしまい、やはり付着しない。すなわち、フリーボード部に飛散したスラグが付着物として残存するには、固相と液相があるバランスで混在している必要がある。
【0016】
発明者等は、上記を実証するため、表1に示す溶融した試薬合成スラグ(No.1〜18)を準備し、この各試薬合成スラグに一定時間耐火物を浸漬させ、耐火物に付着したスラグの重量とスラグ組成との関係を調査するラボテストを実施した。表1にスラグ組成から求めた1350℃における液相率と耐火物に付着したスラグの重量を示す。
【0017】
【表1】
Figure 0003733010
【0018】
図1に、上記表1に示す、脱りん処理時のスラグ温度である1350℃における液相率と浸漬した耐火物への付着物の重量との関係を示す。これより、付着量は液相率45質量%以下、または80質量%以上ではほぼ0となり、液相率60%付近で最大となる分布を示した。すなわち、スラグ組成を制御して脱りん中のスラグの液相率を45質量%以下または80質量%以上に保持することにより、フリーボード部の付着物を低減できることが明らかとなった。図2に、転炉スラグを使用した場合の、脱りん処理中のスラグ液相率と全スラグ量(計算値)の推移の例を示す。本図のスラグ液相率は、脱りん処理前に混銑車内に残留していた脱珪スラグ、脱りん剤として吹き込んだ転炉スラグ、生石灰等から計算されるスラグ組成に基づいて、CHEMSAGEを用いて計算したものである。本図より、転炉スラグを用いて脱りん処理した場合、脱りん処理の全期間に亙ってスラグ液相率は付着しやすい範囲内にあることがわかる。本図には、脱りん処理中の全スラグ量の計算値を示しているが、脱りん処理開始後数分間はスラグ量が少ないために,混銑車天井部への付着の影響は小さい。したがって脱りん処理期間中、初期の20%程度の期間は、スラグ組成をさほど問題としなくても良く、その後の80%の期間において、付着し難い組成に制御することが重要である。
【0019】
スラグの液相率を45質量%以下の低液相率側に制御するには、スラグ中のAl23濃度(以下(Al23)で表す)低減、(MgO)低減、(FeO)低減などの方策が考えられるが、(FeO)濃度は脱りんのためには適正な濃度、すなわち7質量%前後に制御する必要があり、大幅に濃度を上下することは困難である。
【0020】
一方スラグの液相率を80質量%以上の高液相率側にコントロールするには、スラグ中の(Al23)増量、(FeO)増量などが考えられるが、(FeO)は前述の理由から濃度を大幅に上下することが困難である。ここで(MgO)はスラグへの飽和溶解度が低いため、(MgO)が上がるとスラグの融点は上昇し、液相率は低下する。またスラグの高液相率化には、スラグの融点を下げる元素を添加することも有効である。このような元素としてNa2OやCaF2があるが、CaF2は添加しすぎるとスロッピングを引き起こしやすくなるため、やはり大幅に濃度を上下することは困難である。またスラグ中(Al23)を増加させるためには脱りんの促進剤としてアルミドロス、ボーキサイトなどを使用すれば良い。
【0021】
転炉スラグを脱りん成分として使用する場合、スラグの(%CaO)/(%SiO2)で表される塩基度は1.3〜2.3の範囲になる。そこで発明者らは塩基度1.3〜2.3の範囲で、スラグの液相率に及ぼすスラグ中Al23濃度,MgO濃度の影響について調査した。調査に用いたスラグ組成とCHEMSAGEにより計算した液相率を表1に示す。
【0022】
まず、低液相側に関する調査の結果、液相率を45質量%以下の範囲内に抑えるためには、スラグ中(Al23)および(MgO)を(%Al23)+1.7(%MgO)≦5質量%に規制すればよいことを明らかにした。ここで(%MgO)の係数を1.7としたのは、(%Al23)の液相率に及ぼす影響と(%MgO)の液相率に及ぼす影響の比が1.7であるためである。図3にスラグ塩基度が1.3におけるスラグ中(%Al23)+1.7(%MgO)と脱りん処理温度である1350℃における液相率の変化を示す。脱りん処理は、脱りん剤としてCaO源を吹き込むため、脱りん処理の進行とともに塩基度は高くなり、塩基度の増加とともに液相率が低くなる。したがって最も低塩基度である塩基度1.3のスラグにおいて、脱りん処理中の液相率を45質量%以下にすれば、脱りん処理期間全般に亙って液相率は45質量%以下にできる。(Al23)および(MgO)を上記の範囲に規定した理由は以下の通りである。スラグ中の(Al23)および(MgO)を上記範囲に制御すると、脱りん処理時のスラグの液相率が45質量%以下となり、高融点鉱物相を繋ぎ止めるバインダーが不足するため、付着物は生成しなくなる。スラグ中のAl23源としては、(1)高炉スラグ、(2)転炉スラグ、(3)脱りん脱硫の促進剤として添加されるAl23,の3つがある。スラグ中の(Al23)を脱りん処理の間低位に保つためには、これらAl23の混入源を管理する必要がある。すなわち、(1)高炉スラグの混銑車への混入を低減する。(2)転炉副原料中のAl23量を管理する。(3)脱りん脱硫の促進剤Al23の代替剤としてCaF2,CaCl2,Na2CO3等を使用する、などの対策を実施すれば可能である。
【0023】
つぎに高液相側の検討として、スラグの塩基度を低減し、(FeO)を増加した表1のNo.2のケースがある。これによると液相率90.44質量%で大幅に付着量を減少せしめた結果が得られた。
【0024】
なお、天井部付着物発生の抑制には、望ましくは脱りん処理の始めから終わりまでスラグの液相率を上記の範囲に制御すること、言い換えれば(Al23)および(MgO)を前述の範囲に制御することが望ましいが、実質的な効果を得るには脱りん処理期間の80%以上にわたり液相率を上記範囲内に制御すればよい。
【0025】
【実施例】
(実施例1)
特定の混銑車について、以下の脱りん方法で150回の脱りん処理を実施した。高炉鋳床上で脱珪処理を実施し、脱珪された溶銑を280〜320tの範囲で混銑車に受銑した。当該処理で発生した脱珪スラグをスラグドラッガーにより除去した後、転炉スラグ粉15〜25kg/t,生石灰粉7〜13kg/t,蛍石粉0.9〜1.5kg/t,鉄鉱石粉20〜40kg/tの混合物を溶銑中に侵漬したランスから10Nm3/minの窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行った。また脱りん処理中には水冷式のランスから溶銑上に酸素ガス0.5〜3.0Nm3/t吹付けた。このとき、スラグ中の(MgO)は転炉スラグからの混入により1.5〜2質量%であった。転炉スラグ中の(Al23)は不可避的に混入してくるものの、脱りん脱硫剤中のAl23分を管理することにより、混銑車内のスラグ中(Al23)を0.5〜1.5質量%の範囲に抑えて、(%Al23)+1.7(%MgO)≦4.9質量%の範囲に調整した。この結果スラグ中の液相率は39質量%〜44質量%の範囲となり、当該混銑車は、150回の脱りん処理終了後もフリーボード部へのスラグ付着はほとんど認められなかった。
【0026】
(比較例)
特定の混銑車について、以下の脱りん方法で150回の脱りん処理を実施した。高炉鋳床上で脱珪処理を実施し、脱珪された溶銑を280〜320tの範囲で混銑車に受銑した。当該処理で発生した脱珪スラグをスラグドラッガーにより除去した後、Al23分の高い転炉スラグ粉(Al23濃度=8質量%)15〜25kg/t,生石灰粉7〜13kg/t,蛍石粉0.9〜1.5kg/t,鉄鉱石粉20〜40kg/tの混合物を溶銑中に侵漬したランスから10Nm3/minの窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行った。また脱りん処理中には水冷式のランスから溶銑上に酸素ガス0.5〜3.0Nm3/t吹付けた。このとき、混銑車内のスラグ中(Al23)は4.5〜7.0質量%の間になっていた。当該混銑車では、150回の脱りん処理終了後にフリーボード部の耐火物内壁に厚み700mm,付着量15tのスラグ付着が認められた。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る溶銑脱りん方法によれば、混銑車等の反応容器のフリーボード部へのスラグの付着、成長が抑制されるので、反応容器の受銑量の確保が可能で、しかもスラグの除去作業が不要となるので、結果的に脱りん処理能力を維持でき、かつ反応容器の耐火物損傷が無くなり耐火物コストが節減できる。また脱りんされた溶銑を用いた転炉吹錬工程で副生する転炉スラグを脱りん剤として再利用が可能となり、全体に生石灰の使用量を大幅に削減できて、多大なコスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1350℃における液相率とスラグ付着量の関係を示す。
【図2】脱りん処理中のスラグ液相率と全スラグ量の推移を示す。
【図3】1350℃の液相率とAl23,MgO濃度との関係を示す。
【図4】フリーボード部付着物の顕微鏡写真を示す。
【図5】付着物のEPMA像を示す。
【図6】脱りん剤の転炉スラグ置換率とスラグ中遊離石灰濃度の関係を示す。

Claims (1)

  1. 全CaO分の25質量%以上を転炉スラグ中のCaOで置き換えた脱りん剤と酸化剤を用いて行う溶銑脱りん処理であって、脱りん処理期間中の、始めのスラグ組成をさほど問題としなくても良い処理期間を除いた少なくとも80%以上にわたり、反応容器内のスラグの液相率を45質量%以下、または80質量%以上に保つことを特徴とする溶銑脱りん方法。
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