JPH10237526A - 溶銑の脱りん方法 - Google Patents

溶銑の脱りん方法

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JPH10237526A
JPH10237526A JP4262897A JP4262897A JPH10237526A JP H10237526 A JPH10237526 A JP H10237526A JP 4262897 A JP4262897 A JP 4262897A JP 4262897 A JP4262897 A JP 4262897A JP H10237526 A JPH10237526 A JP H10237526A
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dephosphorization
hot metal
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concentration
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JP4262897A
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Masaki Miyata
政樹 宮田
Toru Matsuo
亨 松尾
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】脱りん速度が速く、しかも脱りん効率の高い、
低コストの溶銑の脱りん方法を提供する。 【解決手段】(1)上底吹き転炉形式の炉において、酸
素を上吹きして脱りん処理する際、スラグ組成を、Al
23=2〜15%、T.Fe=3〜25%、%CaCl
2 =2〜10%、塩基度=1.2〜3.0に制御して溶
銑を脱りん処理する。(2)上記スラグを形成させるに
際して、脱りん用フラックスとして、CaOおよびSi
2 源としての転炉滓、Al23源としての連続鋳造滓
および造塊滓のうちの一種類以上、ならびに酸化鉄源と
しての鉄鉱石および鉄スケールのうちの一種類以上、さ
らにCaCl2 源としてのアンモニアソーダ灰および塩
素酸カルシウム製造時の副産品のうち一種以上を用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱りん速度が速
く、脱りん効率が高く、処理コストの安い溶銑の脱りん
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種鋼材に対する品質改善要求は
日増しに高まっており、特に低りん鋼に対する需要の増
大が著しい。
【0003】周知の通り、高炉で製造される溶銑は、不
純物として多量のりんを含んでいるため、製鋼工程で効
率良く脱りん処理を行う必要がある。
【0004】転炉1基による脱りん脱炭同時処理の場合
には、精錬末期には溶鋼温度が高くなるため脱りん反応
促進に不利なこと、また炉壁に付着して残存するスラグ
が次の精錬で溶鋼中りんの上昇の原因になること等の問
題がある。したがって、所期の低りん鋼を得るには、再
精錬等でフラックスが大量に必要になるという問題があ
った。
【0005】そこで、転炉精錬の事前処理方法として、
トーピードカーまたは取鍋内の溶銑中に生石灰、CaF
2 、Na2CO3等の紛状フラックスを吹き込んで撹拌す
るインジェクション法がとられたこともある。しかし、
使用する生石灰、CaF2 、Na2CO3は高価であり、
コスト的に不利な面がある。
【0006】これに対処する有効な手段として、本出願
人は、特公平3−77246号公報において、2段の回
分式向流精錬法を開示した。
【0007】この方法は、具体的には、上底吹き機能を
持つ2基の転炉形式の炉のうちの一方を脱りん炉、他方
を脱炭炉として溶銑の精錬を行う製鋼方法である。すな
わち、脱りん炉内へ注入した溶銑に脱炭炉で発生した転
炉滓と生石灰とをフラックスの主成分とする脱りん用フ
ラックスを添加し、底吹きガス撹拌を行いつつ酸素ガス
を上吹きして溶銑温度を1450℃以下に保ちながら溶
銑脱りんを行う第1工程と、得られた脱りん溶銑を脱炭
炉に注銑し通常のフラックスを添加して脱炭する第2工
程とから成ることを特徴とする製鋼方法である。
【0008】この方法の第二工程で発生した転炉滓は第
一工程の溶銑の脱りん処理に有効である。すなわち、転
炉滓は、1600〜1750℃という高温の転炉精錬終
点では、りん(Ca3(PO42 3- の形態で存在)がス
ラグ中でほぼ飽和状態となっている。しかし、溶銑のよ
うに温度が1450℃以下(通常は1250〜1400
℃程度)の低温で、脱りん反応にとって熱力学的に有利
な条件下では、転炉滓は高いりん含有量の溶銑に対して
は、十分な脱りん能力を有する。
【0009】このような溶銑脱りん法における脱りん用
フラクッスとして、「鉄と鋼」、第76年(1990)
第11号の第1817〜1822頁、同第1801〜1
808頁および上記特公平3−77246号公報に示さ
れているように、転炉滓系または生石灰系の脱りんフラ
ックスが用いられる。このうち転炉滓は、いったん溶融
しスラグ化されたものなので、再使用する場合には転炉
滓自体が溶融しやすいことに加えて、他のフラックスの
スラグ化を促進する作用を持っている。そのため、効率
的な脱りんが可能となると共に、必要なフラックス量が
約半減してコスト面で有利になる。また、同時に系外に
排出されるスラグ量も大幅に低減するので、スラグの廃
棄処理等コストが安価になるという効果も得られる。
【0010】ところで、上記方法では、低りん銑を得る
ためには、スラグ中のCaOの活量を高レベルに維持す
る必要があり、結果的にスラグの塩基度(CaO/ S
iO2:重量比)を2.0以上にしなければならない。
塩基度が高いと、脱りん用フラックスがスラグ化しにく
いので、スラグの滓化促進用フラックスとして CaF2
を添加する。しかし、同方法はこのCaF2 の添加が問
題で、添加したフッ素の存在によりスラグのMgO飽和
溶解度が増加し、耐火物の構成成分であるMgOがスラ
グ中に溶け出して耐火物の溶損が起こる。そのために、
耐火物の使用原単位が上昇するという欠点が顕在化し
た。
【0011】そこで、この欠点を解決する方法として、
本出願人は、さらに特開平8−157921号公報に記
載の技術を開示した。その要点は、脱りん処理完了直後
のスラグの塩基度を1.2〜2.0に抑え、かつAl2
3の濃度を2〜16重量%(以下、組成を示す「重量
%」は単に「%」と表示する)とし、さらにスラグ化の
促進および溶銑中のりんの酸化とスラグ中への移動を円
滑化させるため、スラグ中のT.Fe(全鉄)を7〜3
0%に高めることにある。この成分調整により、スラグ
中のフッ素を2%以下に抑制できるよううになり、高脱
りん率で、かつ耐火物原単位の低い溶銑の脱りんが可能
となった。
【0012】また、この方法では、従来埋め立て用に投
棄していた鋼の連続鋳造滓(取鍋から連続鋳造装置のタ
ンディシュに注鋼した後に取鍋に残ったスラグ)や造塊
滓(取鍋から鋳型に注鋼した造塊後に取鍋内に残ったス
ラグ)をAl23源として活用できるので、製鋼工程全
体でのスラグ発生量をさらに低減することが可能である
という利点もある。
【0013】さらに、脱りん炉より発生するスラグは、
塩基度を2.0以下に抑えているので、凝固する際次に
示す反応が起こりにくく、また未滓化石灰もほとんど存
在しない。
【0014】 3CaO・SiO2→2CAa・SiO2+f.CaO なお、上記反応式中のf.CaOは遊離石灰である。
【0015】このように、発生するスラグには未滓化石
灰や遊離石灰がほとんど存在しないので、エージング処
理を省略して直接路盤材として利用可能となる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の特開平
8−157921号公報に記載の方法でも、なお問題が
残っている。すなわち、低りん鋼種の生産量の増加が要
望されおり、精錬時間をさらに短縮する必要があるにも
かかわらず、上記の方法では、必要条件である脱りん率
90%以上を達成するのに10分以上の長時間の精錬を
要する。
【0017】今後、需要に応じて低りん鋼の生産量を伸
ばすためには、脱りん精錬時間を10分未満に短縮する
必要が生じている。
【0018】上記の課題を解決する手段としては、脱り
ん用フラックスにスラグの融点降下フラックスを添加し
て滓化を促進し、これによってスラグと溶銑の接触を十
分に確保して脱りん速度を速めるのが有効と考えられ
る。しかしながら、一方では、融点降下フラックスの種
類の選定と添加量の調整を適正に行わないと、前述のC
aF2の添加の場合のように耐火物原単位の悪化が生じ
る可能性もある。
【0019】本発明の目的は、すでに特公平3−772
46号公報および特開平8−157921号公報で開示
された発明における、高脱りん率の実現、転炉滓等の活
用によるスラグ発生量の抑制、発生スラグの路盤材への
利用および耐火物原単位低減の技術的利点を生かしつ
つ、さらに、90%以上の高脱りん率を維持し、かつ精
錬時間を10分未満の短時間で完了させるのに有効な脱
りん方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1)および(2)にある。
【0021】(1)上底吹き転炉内の溶銑に、酸素を上
吹きして脱りん処理する方法において、Al23:2〜
15重量%、T.Fe(全鉄):3〜25重量%、Ca
Cl2:2〜10重量%を含み、塩基度(CaO/Si
2:重量比)が1.2〜3.0の組成のスラグを用い
て脱りん処理する。
【0022】(2)スラグ形成用の脱りん用フラックス
として、CaOおよびSiO2 源としての転炉滓、Al
23源としての連続鋳造滓および造塊滓のうちの一種以
上、酸化鉄源としての鉄鉱石および鉄スケールのうちの
一種以上、および CaCl2源とし合成CaCl2を用
いる。合成CaCl2としては、アンモニアソーダ灰お
よび塩素酸カルシウム製造時の副産品のうちの一種以上
を使用することができる。
【0023】なお、脱りん処理中のスラグ組成は、脱り
ん処理の進行とともに変化するものであり、上記のスラ
グ組成は脱りん処理終了時の組成を意味する。
【0024】上述のような、スラグ組成の適正化によ
り、脱りん率が90%以上で、かつ脱りん処理時間10
分未満の脱りん方法を実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】従来から、溶銑の脱りん用フラッ
クスの一つとして、CaCl2 の使用が提案されてい
る。その代表例として、特開昭54−152616号公
報や特開昭60−218410に開示の方法がある。し
かし、これらの方法は、必須要件として、CaCl2
共に遷移金属酸化物(酸化マンガン、酸化ニッケル等)
や酸化バリウムなどの高価な化合物の添加を伴うもの
で、コスト面から工業的に見合う方法とは言えない。
【0026】本発明方法は、従来の特殊な化合物の添加
を伴うCaCl2 使用の考え方とは異なり、製鋼工程で
使用される一般的なスラグ成分であるCaO、SiO
2 、FeOおよびAl23に対して、CaCl2 をスラ
グ融点降下成分として新たに添加し、さらに成分全体を
適正範囲に調整して滓化の促進を図るものである。具体
的には、CaCl2 の添加によりCa3OCl4の形で約
850℃の低融点化合物を形成させて、これをスラグの
滓化促進に活用するものである。
【0027】さらに、原料ソースとして見た場合、Ca
Cl2 はアンモニアソーダ灰または塩素酸カルシウム製
造時の副産品として合成物の形で量産されるので、入手
し易くかつ安価な工業的利用に有利な成分と言える。
【0028】ところで、上底吹き転炉で溶銑を脱りん処
理する場合、添加するフラックスの組成がそのままスラ
グの組成にはならない。これは、一部の成分が溶銑から
スラグに物質移動するからである。その代表的なものは
SiO2 であり、脱りん処理時に溶銑中Siが酸化され
てSiO2 となりスラグ側に移動する。したがって、フ
ラックス添加時にはこの分を予測して、スラグの塩基度
が目標通りになるようにフラックス中のCaOを増量し
た組成設計としておく。
【0029】一方、添加するフラックスのうち揮発する
成分もある。CaCl2 がそれで、スラグの一成分とな
る前に少量分が揮発でロスするので、これも同様にフラ
ックス組成設計時に考慮しておく必要がある。
【0030】脱りん処理後の溶銑のりん濃度を最終的に
決定するは、脱りん処理終了時のスラグ組成であるの
で、本発明方法では、前述のようにこの値をもってスラ
グを規定した。
【0031】本発明方法の要点は、従来使用していた脱
りん用CaO−SiO2 −Fe酸化物−Al23の4成
分主体のスラグ(表1参照)に、CaCl2 を新たに加
え、5成分主体のスラグ(表1参照)とすることによ
り、スラグの滓化速度を上げ、その結果として脱りん時
間の短縮を図ることにある。
【0032】
【表1】
【0033】図1に、250tの上底吹き転炉で得られ
たこの効果の一例を示す。従来法の4成分を主体とする
スラグの精錬では、りん濃度が0.01重量%に到達す
るのに10分かかるのに対し、本発明方法の5成分を主
体とするスラグの精錬では7分で済む。本発明方法によ
れば、実炉で要望されている、精錬時間10分未満、脱
りん率90%以上(脱りん処理後溶銑中りん濃度で0.
01重量%以下に相当)の条件を十分にクリアーするこ
とが明らかである。
【0034】さらに、脱りん処理時間を7分間と一定に
して、溶銑脱りんに及ぼすスラグ組成の適正値について
検討した。
【0035】溶銑処理温度は、脱りん反応にとって熱力
学的に有利な、1300〜1400℃とし、脱りん処理
後の溶銑中りん濃度の目標を0.01重量%以下とた。
【0036】溶銑脱りんに対する各スラグ成分の適正組
成に関する知見について述べる。検討の対象項目は、塩
基度、Al23、T.FeおよびCaCl2 である。四
つの項目ともに、溶銑脱りんに影響をおよぼす要因とな
るので、他の三つの項目の影響が現れないように、これ
らの組成を適正条件の範囲とした上で、特定成分の脱り
んに対する適正値を順次検討した。
【0037】図2は、溶銑脱りん処理後のスラグ塩基度
と溶銑中りん濃度との関係を示す図である。脱りんに対
して、スラグ塩基度の適正値が存在することが分かる。
スラグ塩基度が1.2未満の場合に、脱りん処理後の溶
銑中りん濃度が目標値に到達しないのは、スラグ中のC
aOの活量が下がり、スラグによるりんの捕捉、吸収能
力が低下するためである。また、塩基度が3.0を超え
ると、スラグの融点が上昇し、スラグ化が遅れて、脱り
ん反応が進行しにくくなり、溶銑中りん濃度を低下させ
ることが困難となる。
【0038】図3は、溶銑脱りん処理後のスラグ中Al
23濃度と、溶銑中りん濃度の関係を示す図である。A
23濃度も、脱りんに対して適正値が存在することが
分かる。スラグ中Al23濃度が2%未満では、Al2
3添加によるスラグ融点の低下が不十分なため、スラ
グ化が進まず、スラグの粘性が上昇して、スラグと溶銑
とが十分に接触せず、目標とする溶銑中りん濃度を達成
できない。また、スラグ中Al23濃度が15%を超え
る場合も、上吹き酸素による酸化反応でCa3 (P
42 3-の形で溶銑から分離されたりんを、スラグ中に
捕捉、吸収する成分であるCaOのスラグ中の活量が相
対的に低下するため脱りんが不十分となる。
【0039】図4は、溶銑脱りん処理後のスラグ中T.
Fe濃度と、溶銑中りん濃度との関係を示す図である。
溶銑脱りんに対して、T.Feにも同様に適正範囲が存
在することが分かる。すなわち、スラグ中のT.Feは
主にFeOの形態で存在するが、これが3%未満の状態
では、スラグの酸素ポテンシャルが低いため、上吹き酸
素で酸化して一旦Ca3(PO42 3- の形で溶銑から分
離したりんを、この形で保持するだけの酸化力を保ち得
ないため、脱りんが十分に進行しなくなる。また、T.
Feが25%を超えるとスラグ中のCaO活量が相対的
に低下してしまうため、スラグの脱りん能が低下し、脱
りんが不十分となる。
【0040】図5は、溶銑脱りん処理後のスラグ中Ca
Cl2 濃度と溶銑中りん濃度の関係を示す図である。こ
の場合もまた、溶銑脱りんに対し、適正なCaCl2
度が存在することが分かる。スラグ中のCaCl2 が2
%未満では、まだ融点降下効果が小さい。2%以上でス
ラグの滓化促進効果を発揮する。ただし10%を超える
と耐火物中のMgOを溶出させ、さらにCaCl2 自体
の濃度上昇もあって結果的にスラグ中のCaO濃度を希
釈させることとなり、相対的にスラグ中のCaOの活量
が低下して脱りん効率が低下する。
【0041】以上の結果から、溶銑脱りんに対して適正
なスラグ条件は以下の通りとなる。
【0042】塩基度=1.2〜3.0 Al23=2 〜15% T.Fe=3〜25% CaCl2=2〜10% さらに、上記脱りんスラグ条件を達成する配合フラック
スとしては、資源再利用および価格安価の観点から、次
の原料ソースの使用が適当である。
【0043】CaOおよびSiO2源:転炉滓 Al23源:連続鋳造滓、造塊滓 酸化鉄源:鉄鉱石、鉄スケール CaCl2 源:アンモニアソーダ灰または塩素酸カル
シウム製造時の副産品 ただし、本発明方法においては、必要とする配合フラッ
クスの全量を上記原料ソースに依存するものではなく、
例えばCaO源としての生石灰およびAl23源として
のボーキサイトなどを使用しても差し支えない。すなわ
ち、転炉滓に塩基度調整用として生石灰を併用するこ
と、さらに連続鋳造滓にAl23濃度調整用としてボー
キサイトを併用することなどが可能である。
【0044】図6は、脱りん処理後のスラグ中CaCl
2 濃度と耐火物溶損指数との関係を示す図である。耐火
物溶損指数は、スラグ中のフッ素濃度が0%の時の耐火
物溶損量を1.0として指数化したものである。図7か
らCaCl2 濃度が10%を超えると耐火物溶損指数が
急激に増大することが分かる。
【0045】したがって、CaCl2 の添加を10%以
下に抑制すれば、耐火物溶損の増加を防止し、かつ脱り
んを効率的に行うことができる。
【0046】図7に、参考として、脱りん処理スラグに
CaF2 を使用した場合のフッ素濃度と耐火物溶損指数
との関係を示した。フッ素が2%(CaF2 換算で4.
1%)を超えると耐火物溶損指数が急激に増大すること
が分かる。
【0047】以上のことから、CaCl2は、耐火物の
溶損に対し、CaF2に比較して、重量比的に約2.5
倍の添加許容量を有する有利なフラックスと言える。
【0048】なお、本発明方法による脱りん処理後のス
ラグは、塩基度を低く抑えることができるので、遊離石
灰および未滓化石灰の含有量が少なく路盤材として有効
に活用することが可能との副次的な効果も有する。
【0049】
【実施例】250tの上底吹き転炉を用いて脱りん処理
を行った。
【0050】転炉に装入された溶銑(温度は約1280
℃、組成はC:約4.5%、P:約0.10%)250
tに、フラックスとして転炉滓(CaO:49%、 S
iO2:7%、Al23:0.5%、T.Fe:23
%、P25:1%)約6t、鉄鉱石2.5t〜7.5
t、および造塊滓(CaO:47%、Al23:19
%、SiO2:11%、P25 :1%)約2tを添加
し、更に生石灰およびアンモニアソーダー灰製造時の副
産品(CaCl2 :70%)を適宜添加して、塩基度、
Al23濃度およびCaCl2濃度を調整した。
【0051】送酸は、上吹きランスより約1.3Nm3
/min・溶銑tで行い、約7分間精錬した。なお、底
吹きCO2ガス流量は0.13Nm3/min・溶銑tと
した。
【0052】スラグ中のT.Fe濃度の調整は、鉄鉱石
添加量に加え上吹き酸素ランス−湯面間距離を調整する
ことにより行った。
【0053】処理後の溶銑中りん濃度の目標値を0.0
1%以下として操業を行ない、この目標の達成可否を調
査した。
【0054】表2に、脱りん処理前後における溶銑中濃
度、脱りん後スラグ組成、脱りん処理温度および評価結
果を示す。本発明で定める範囲内のスラグ条件で処理し
た場合は、スラグの融点が低いにもかかわらず、耐火物
の溶損を増加することなく、7分間の処理で目標の溶銑
りん濃度0.01%以下を達成することができた。
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】本発明法によれば、低塩基度の安価なフ
ラックスを使用して、耐火物の溶損量を増加させること
なく、かつ短時間に溶銑中りん濃度を0.01%以下に
低減することができる。また、脱りん処理後のスラグは
路盤材等へ活用することが可能で、本発明方法はスラグ
の有効利用の観点からも経済的なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱りん処理中の、溶銑中りん濃度の経時変化を
示す図である。
【図2】脱りん処理後のスラグ塩基度と、溶銑中りん濃
度との関係を示す図である。
【図3】脱りん処理後のスラグ中Al23濃度と、溶銑
中りん濃度との関係を示す図である。
【図4】脱りん処理後のスラグ中T.Fe濃度と、溶銑
中りん濃度との関係を示す図である。
【図5】脱りん処理後のスラグ中CaCl2 濃度と、溶
銑中りん濃度との関係を示す図である。
【図6】脱りん処理後のスラグ中CaCl2 濃度と、耐
火物溶損指数との関係を示す図である。
【図7】脱りん処理後のスラグ中フッ素濃度と耐火物溶
損指数との関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上底吹き転炉内の溶銑に、酸素を上吹きし
    て脱りん処理する方法において、Al23 :2〜15
    重量%、T.Fe(全鉄):3〜25重量%、CaCl
    2:2〜10重量%を含み、塩基度(CaO/SiO
    2 :重量比)が1.2〜3.0の組成のスラグを用いて
    脱りん処理することを特徴とする溶銑の脱りん方法。
  2. 【請求項2】請求項1におけるスラグ形成用の脱りん用
    フラックスとして、CaOおよびSiO2 源としての転
    炉滓、Al23源としての連続鋳造滓および造塊滓のう
    ちの一種以上、酸化鉄源としての鉄鉱石および鉄スケー
    ルのうちの一種以上、およびCaCl2 源としてのアン
    モニアソーダ灰および塩素酸カルシウム製造時の副産品
    のうちの一種以上を用いることを特徴とする溶銑の脱り
    ん方法。
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