JP2001115205A - 溶銑の脱燐方法 - Google Patents
溶銑の脱燐方法Info
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Abstract
において脱燐の過程でスロッピングや耐火物の過度の溶
損を生ぜず、かつ、溶銑歩留まりを高く保ちながら脱燐
処理することのできる方法を提案する。 【手段】 溶銑の脱燐方法を、脱炭精錬を行ない溶鋼を
排出した後に転炉内に溶融状態の脱炭スラグを残留させ
る段階と、前記溶融状態の脱炭スラグに滓化促進剤を投
入して該脱炭スラグを半溶融状態にする段階と、前記段
階により得られた半溶融状態のスラグを有する転炉に溶
銑を装入後、該転炉内に酸素を送給する脱燐段階とから
なり、前記脱燐段階では、スラグ成分を重量%でAl2O3を
2%未満、T.Feを7%未満、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を2.
0超えとなるように制御する。
Description
法に係り、特に高炉から出銑された溶銑を転炉滓フラッ
クスを用いて回分式向流精錬法により脱燐する方法に関
する。
燐などの不純物を多く含有しているので、転炉による脱
炭精錬に先立って脱燐などの予備処理を行うのが通例で
ある。この脱燐には多くの方法が提案され現実に利用さ
れているが、その一つとして転炉を予備処理精錬炉とし
て用い、転炉操業の脱炭工程で発生したスラグを利用し
て脱燐する回分式向流精錬法がある。
8-157921号公報に示されている技術がある。この方法
は、上底吹き転炉形式の炉において、転炉滓と酸化鉄と
を主成分とする脱燐用フラックスを用い、酸素を上吹き
して溶銑を脱燐する際、処理中のスラグ条件を重量%
で、塩基度(%CaO/%SiO2)=1.2〜2.0、かつ(Al2O3)
=2〜16%、(T.Fe)=7〜30%に制御して脱燐を行うもの
である。この方法により、実質的にCaF2を添加すること
なく転炉滓をフラックスとして利用して溶銑の脱燐を行
うことができ、処理後スラグをエージングを省略して路
盤材などに活用することができるとされている。
法ではフラックス中の(Al2O3)が高いので、スラグの
粘性が高く溶銑を脱燐する過程でいわゆるスロッピング
現象が起こりスラグが過度に泡立ち炉口からスラグが流
出するという問題がある。また、スラグ中のAl2O 3が高
い場合には、スラグの飽和MgO濃度が上昇するため、耐
火物の溶損が激しくなるという問題があり、これを防止
するために別途MgOを添加する必要がある。さらに、Al2
O3の濃度上昇は、スラグの脱燐能力の指標であるフォス
フォラスキャパシティーあるいはP分配比((%P)/[%P])
を低下させるためスラグの絶対量を増加しなければなら
ず、脱燐コストを押し上げる要因になる。
れた発明においてはスラグ中T.Fe値が7%以上と高いが、
このような場合には脱燐後廃棄されるスラグにFeが移行
する量が増大し、鉄源の損失につながり溶銑歩留まりを
低下させる。また、CaF2などのフッ素源を用いた場合に
は、脱燐処理後のスラグを路盤材等として利用するとき
エージングを要するなどの支障を生ずる。
向流精錬法による溶銑の脱燐方法の有する問題点の解決
を図ることを目的とし、脱燐の過程でスロッピングや耐
火物の過度の溶損を生ぜず、かつ、溶銑歩留まりを高く
保ちながら脱燐処理することのできる方法を提案するこ
とを目的とする。
するために、溶銑の脱燐方法を、脱炭精錬を行ない溶鋼
を排出した後に転炉内に溶融状態の脱炭スラグを残留さ
せる段階と、前記溶融状態の脱炭スラグに滓化促進剤を
投入して該脱炭スラグを半溶融状態にする段階と、前記
段階により得られた半溶融状態のスラグを有する転炉に
溶銑を装入後、該転炉内に酸素を送給する脱燐段階とか
らなり、前記脱燐段階では、スラグ成分を重量%でAl2O3
を2%未満、T.Feを7%未満、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を
2.0超えとなるように制御することとする。
5kg以下のCaO、3.0kg以下の炭素系還元剤、5kg以下のAl
2O3を含有する固化スラグであることとすることを好適
とし、また、滓化促進剤は実質的にフッ素化合物を含ま
ないものであることをを好適とするものである。
手順に従って具体的に説明する。図1は本発明の実施手
順を模式的に示す工程図である。ここに示されているよ
うに転炉による通常の脱炭精錬()を受けた溶鋼は出
鋼されるが()、その際に転炉内に溶融状態の脱炭ス
ラグを残留させる。この残留させた脱炭スラグはスラグ
コーティングに用いられる他、以下のようにして溶銑の
脱燐に利用される。したがってその残留量は、脱燐処理
に供される量を含んで予備処理される装入溶銑1t当た
り20〜40kg程度とするのがよい。なお、溶銑1t当たり
20kg未満では脱燐が行えず、40kgを越える残留量とした
ときは、引き続く処理によって半溶融状体とするのに長
時間を要し、転炉操業に支障をきたし、かえってコスト
アップになる。
ている転炉内には滓化促進剤を投入して()脱炭スラ
グを半溶融状態にする()。半溶融状体とは、スラグ
中に液相と固相が混在した状態をいい、具体的には、転
炉炉体を傾動させたとき炉口からスラグが流出すること
はないが、炉体内において流動性を保っている状態をい
う。これにより転炉内壁の耐火物のスラグコーティング
を容易にするとともに、続く溶銑の受銑および脱燐過程
において、再び脱炭スラグが滓化促進剤とともに再溶融
し脱燐に十分寄与できるようにするのである。なお、上
記滓化促進剤の投入は転炉出鋼後極力速やかに行い、滓
化促進剤がそのまま固体のまま残ることのないようにす
ることが必要である。
ィングできる程度まで固化する機能と、脱燐過程にとっ
ての最適成分に制御できるようにスラグの組成を調整す
る機能とを有する。したがって、その配合は、装入溶銑
1t当たり5kg以下のCaO、3.0kg以下の炭素系還元剤、5kg
以下のAl2O3を含有する固化スラグとするのが好まし
い。
い、主として脱炭スラグの固化のために用いられる。し
かし、この量が多すぎる場合には脱燐過程においてもス
ラグ中にそのまま固体で残る場合が多く、また脱炭スラ
グを再溶融できない程度に固化させてしまうので上記の
ように溶銑1t当たり5kg以下に制限される。好ましくは
2.5kg以下とするのがよい。
の炭素(C)を主として含有する還元剤をいい、脱燐ス
ラグのT.Feを調整する機能を有する。したがって、脱炭
スラグのT.Fe含有量に応じて溶銑1t当たり3kg以下の範
囲で適宜添加される。
滓、造塊滓などの溶鋼をAl脱酸するときに生ずるAl2O3
を含有するCaO-Al2O3-SiO2系鉱滓であり、一種のプリメ
ルトスラグであるから、Al2O3の調整に役立つばかりで
なく、脱炭スラグの半溶融化および脱燐過程での再溶融
にも寄与する。したがって、溶銑1t当たり5kg以下の範
囲で適宜添加する。
成中、T.Fe濃度が高いほど生石灰(CaO)の溶解度が上
昇し、一方、Al2O3濃度が高い場合にはスラグの粘性が
低下して生石灰(CaO)等の固化剤を添加しても流動状
態を保つ傾向があるから、脱炭スラグの組成に応じ、滓
化促進剤の溶銑あたりの添加量を表1のように調整する
のがよい。
あるいは推定方法は下記のとおりである。 スラグ組成を直接分析することによって行う。すなわ
ち脱炭吹錬終了後、次の脱燐吹錬用溶銑装入時までにス
ラグ組成の化学分析を行う。この方法は分析時間を待つ
余裕があるときに適している。
〔O〕および装入Al2O3から推定する。すなわちスラグ中
のT.Fe含有率と吹き止めO含有率との間にはほぼ表2に
示す相関関係があることを利用してT.Fe含有率を吹き止
め酸素〔O〕からT.Fe含有率を推定する。一方、脱炭ス
ラグ中のAl2O3(%)は、 {(装入Al2O3すなわち副原料から持ち込まれたAl2O3)
+(前チャージの残留スラグから持ち込まれたAl
2O3)}×100/生成スラグ量 によって計算によって求める。この方法は、計算時間に
余裕があるとき適用しうる。
から経験則によりスラグ組成を推定しうることを利用し
てT.FeとAl2O3の含有率(%)を推定する。この方法は、脱
炭吹錬終了から脱燐用溶銑の装入までの時間が10min未
満のとき行う。
加され、脱炭スラグが半溶融状体とされ、続いて転炉に
は溶銑が装入される(図1工程)。次いで常法に従い
酸素上吹きあるいはこれに酸素底吹きを併用して溶銑の
脱燐が行われる(工程)。この際、溶銑の顕熱さらに
は脱燐の際の溶銑諸成分の酸化熱により半溶融状体であ
ったスラグが再溶解するが、本発明ではこの脱燐過程に
おけるスラグ成分を重量%でAl2O3を2%未満、T.Feを7%未
満、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を2.0超えとなるように
制御する。
の添加および脱燐過程における酸素吹き込み量(吹き込
み速度)の制御により行われる。また、脱燐過程(酸素
吹き込み過程)において、少量の滓化促進剤をスラグ組
成調整のため添加することもできる。
流動性を維持したまま炉口より流滓して廃棄する(工程
)。
果が認められる。まず塩基度2.0〜2.5のレベルでは、P
分配比((P)/[P]、(P):スラグ中%P、[P]:溶銑中%P)
が、従来法では約80であったものが約90に上昇する。こ
れにより比較的少量のスラグにより効率的な脱燐を行う
ことができる。
0.6上昇する。脱燐酸素効率ηPは ηP=(理論上脱燐に必要な酸素原単位)/{(上吹き酸
素原単位)+(鉄鉱石が分解して発生する酸素原単位)
−(理論上脱珪に必要な酸素原単位)} である。ここに、「理論上脱燐に必要な酸素原単位」
は、 2P+(5/2)O2=P2O5 を生ずるに必要な酸素原単位として求められ、「理論上
脱珪に必要な酸素原単位」は、 Si+O2=SiO2 を生ずるに必要な酸素原単位として求められる。
に吹き込まれた酸素の脱燐に寄与する程度の指標である
が、その上昇により脱燐のための酸素原単位を低下させ
ることができる。事実、本発明による場合には従来法に
比して酸素原単位が溶銑1t当たり標準状態で約1.3m3低
下する。なお、上記脱燐酸素効率ηPの上昇は、脱炭ス
ラグ中の低級酸化物(FeO、MnOなど)が溶銑中Cによっ
て還元されO2が発生するためであると推定される。
燐の過程においてスロッピングが発生することは皆無で
あった。このことは、脱燐滓の流動性を確保するために
必要とされる蛍石(CaF2)の添加を皆無にできることを
意味する。この蛍石の添加を皆無にできることと、低Al
2O3であることが相俟って耐火物の異常な溶損も認めら
れなかった。これは、スラグ中のAl2O3分を2%未満に制
御したためであって、溶銑歩留まりに向上に寄与する。
満と低く、そのため脱炭スラグからの鉄(Fe)の回収が
進行する。たとえば通常のT.Feを20%程度に保って脱燐
する場合にくらべ、スラグ量が溶銑1t当たり40kgである
とき、脱炭スラグからのFe回収量の差は約3kgに達す
る。
鋼を吹錬し、出鋼後転炉内に 6tの脱炭スラグを残し
た。脱炭スラグの成分は、T.Fe:20%、CaO:45%、Si
O2:10%、MnO:2%、Al2O3:2%、MgO:6.5%、P2O5:2%で
あった。出鋼後、2min経過後に溶銑1t当たり生石灰を2.
5 kg、連鋳滓(CaO:34%、SiO2:14%、Al2O3:23%)か
らなる滓化促進剤を溶銑1t当たり2.5kgの割合で脱炭ス
ラグ上に添加し、転炉炉体を傾動させてスラグコーティ
ングを行った。その際、脱炭スラグは滓化促進剤を混合
し特に大きな不溶融物は認められず、全体に半溶融状態
を示していた。
%、Si:0.15%、Mn:0.25%、P:0.19%、S:0.02%、温度1
280℃)を180t受銑した。その後、上吹きにて酸素を標
準状態で350m3/minの割合で吹き込みながら7min間脱燐
を行った。脱燐中のスラグ成分は、T.Fe:6.5%、CaO:3
5%、SiO2:16%、MnO:6%、Al2O3:1.8%、MgO:6.0%、P2
O5:6.9%であった。
Mn:012%、P:0.015%、S:0.02%であり、スラグ中(P)は
3.5%となった。酸素原単位は溶銑1t当たり標準状態で1
1.8m 3、溶銑歩留まりは100.3%であった。操業終了後炉
体内耐火物の異常な溶損は認められなかった。また、排
出されたスラグは冷却後エージングすることなくそのま
ま路盤材として利用することができた。
グや耐火物の過度の溶損を生ぜず、かつ、溶銑歩留まり
を高く保ちながら脱燐処理することができる。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 脱炭精錬を行ない溶鋼を排出した後に転
炉内に溶融状態の脱炭スラグを残留させる段階と、 前記溶融状態の脱炭スラグに滓化促進剤を投入して該脱
炭スラグを半溶融状態にする段階と、 前記段階により得られた半溶融状態のスラグを有する転
炉に溶銑を装入後、該転炉内に酸素を送給する脱燐段階
とからなり、 前記脱燐段階では、スラグ成分を重量%でAl2O3を2%未
満、T.Feを7%未満、スラグ塩基度(CaO/SiO2)を2.0超
えとなるように制御することを特徴とする溶銑の脱燐方
法。 - 【請求項2】 滓化促進剤は、装入溶銑1t当たり5kg以
下のCaO、3.0kg以下の炭素系還元剤、5kg以下のAl2O3を
含有する固化スラグであることを特徴とする請求項1記
載の溶銑の脱燐方法。 - 【請求項3】 滓化促進剤は実質的にフッ素化合物を含
まないものであることを特徴とする請求項1または2記
載の溶銑の脱燐方法。
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---|---|---|---|
JP29229199A JP3915341B2 (ja) | 1999-10-14 | 1999-10-14 | 溶銑の脱燐方法 |
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JP3915341B2 JP3915341B2 (ja) | 2007-05-16 |
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JP2003013126A (ja) * | 2001-06-29 | 2003-01-15 | Kawasaki Steel Corp | 溶銑の脱燐方法 |
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JP2016151027A (ja) * | 2015-02-16 | 2016-08-22 | 新日鐵住金株式会社 | 溶鋼の製造方法 |
JP2022057595A (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-11 | Jfeスチール株式会社 | 溶銑の脱燐方法および溶鋼の製造方法 |
-
1999
- 1999-10-14 JP JP29229199A patent/JP3915341B2/ja not_active Expired - Fee Related
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